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都市伝説・・・奇憚・・・blog

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2024.04.26 (Fri) Category : 

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ー田舎 前編ー <師匠シリーズ>

2019.05.01 (Wed) Category : 創作作品

909:田舎 前編 ◆oJUBn2VTGE:2007/03/07(水)19:47:40ID:OPG460nV0
大学1回生の秋。
その頃うちの大学には試験休みというものがあって、夏休み→前期試験→試験休みというなんとも中途半端なカリキュラムとなっていた。
夏休みは我ながらやりすぎと思うほど遊びまくり、実家への帰省もごく短い間だった。
そこへ降って沸いた試験休みなる微妙な長さの休暇。
俺はこの休みを、母方の田舎への帰省に使おうと考えた。

高校生の時に祖母が亡くなってその時には足を運んだが、まともに逗留するとなると中学生以来か。
母の兄である伯父も
「一度顔を出しなさい」
と言っていたので、ちょうどいい。
その計画を、試験シーズンの始まったころにサークルの先輩になんとはなしに話した。

「すごい田舎ですよ」
とその田舎っぷりを語っていたのであるが、ふと思い出して小学生のころにそこで体験した「犬の幽霊」の話をした。
夜中に赤ん坊の胴体を銜えた犬が家の前を走り、その赤ん坊の首が笑いながら後を追いかけていくという、なんとも夢ともうつつともつかない奇妙な体験だった。

先輩は
「ふーん」
とあまり興味なさそうに聞いていたが、俺がその田舎の村の名前を出した途端に身を乗り出した。
「いまなんてった?」
面食らって復唱すると、先輩は目をギラギラさせて
「つれてけ」
と言う。
俺が師匠と呼び、オカルトのいろはを教わっているその人の琴線に触れるものがあったようだ。



910:田舎 前編 ◆oJUBn2VTGE:2007/03/07(水)19:48:47ID:OPG460nV0
伯父の家はデカイので一人二人増えても全然大丈夫だったし、おおらかな土地柄なので友人を連れて行くくらいなんでもないことだった。
「いいですけど」
結局師匠を伴って帰省することとなったのだが、それだけでは終わらなかった。
試験期間中にもかかわらず俺は地元のオカルト系ネット仲間が集まるオフ会に参加していた。

そんな時期に試験があるなんてウチの大学くらいなわけで、フリーターや社会人が多いそのオフ会はお構いなしに開かれた。
それなら参加しなければいいだけの話のはずだが、オカルトに関することに触れている時間がなにより楽しかったそのころの俺は、あたりまえのようにファミレスに足を運んだのだった。その後の2年間の留年の契機がもう始まっていたと言える。

「試験休みに入ったら、母方の田舎に行くんスよ」
そこでも少年時代の奇妙な体験を披露した。
反応はまずまずだったが「子供のころの話」というフィルターのためか、オカルトマニア度の高い方々のハートにはあまり響かなかったようだ。すぐにそのころホットだった心霊スポットであるヒャクトウ団地への突撃計画へ話が移っていった。

ところがそれを尻目に、ある先輩がつつッと俺の隣へやってきて
「おまえの田舎は四国だよな」
と言う。
オフでも「京介」というネット上のハンドルネームで呼ばれる人で、ハッとするほど整った顔立ちの女性だった。
俺はこの人に話しかけられると、いつもドキドキしてそれに慣れることがない。
「そうです」
と答えると、真面目な顔をして
「四国には犬にまつわる怪談が多い」
と言った。



911:田舎 前編 ◆oJUBn2VTGE:2007/03/07(水)19:50:43ID:OPG460nV0
そして
「なんと言っても、おまえの故郷は犬神の本場だ」
と、何故か俺の肩をバンバンと叩くのだった。

「犬神ってなんですか」
という俺の問いに、紺屋の白袴だと笑い
「犬を使って人を呪う術だよ」
と耳元で囁いた。ヒャクトウ団地突撃団の怪気炎が騒々しかったためだが、耳に息が掛かって、それがどうしようもなく俺をゾクゾクさせた。
田舎はどんなところだと聞くので、先日師匠にしたような話をした。

そして村の名前をだした瞬間に、まるで先日の再現のように身を起こして
「ほんとか」
と言うのである。

これには俺の方が狐につままれたような気持ちで、誘うというより半ば疑問系に
「一緒に行きますか?」
と言った。
京介さんは綺麗な眉毛を曲げて
「うーん」
と唸ったあと、
「バイトがあるからなあ」
とこぼした。

「コラ、おまえらも行くんだぞヒャクトウ団地」
他のメンバーから本日のメインテーマを振られて、その話はそれまでだった。
けれど俺は見逃さなかった。
「バイトがあるから」
と言った京介さんが、そのあと突撃団の輪に背を向けて小さなスケジュール帳をなんども確認しているのを。

京介さんはたぶん、行きたがっている。
バイトがあるのも本当だろうが、なかば弟分とはいえ、男である俺と二人で旅行というのにも抵抗があるのだろう。
いや、案外そんなことおかまいなしに
「いいよ」
とあっさり承知するような人かもしれない。
「一緒に行きますか」
などとサラリと言えてしまったのも、きっとそういうイメージがあったからだ。

ともかく、あと一押しだという感触はあった。
一瞬、二人で行けたらなあという楽しげな妄想が浮かんだが、師匠も来るのだということを思い出し、少し残念な気持ちになった。



912:田舎 前編 ◆oJUBn2VTGE:2007/03/07(水)19:51:58ID:OPG460nV0
しかし、師匠と京介さんというコンビの面白さは実感していたので、これはなんとしても二人セットで来させたい。
ところがこの二人、水と油のように仲が悪い。
一計を案じた。

オフ会がハネたあと、散会していく人の中からCoCoさんという、その集まりの中心人物をつかまえた。
彼女も俺と同じ大学だったが、試験などよりこちらのほうが大事なのだろう。
そして彼女は師匠の恋人であり、京介さんとも親しい仲であるという、まさに味方に引き入れなければならない人だった。

CoCoさんはあっさりと俺の計画に乗ってくれた。
むしろノリノリで、ああしてこうして、という指示まで俺に飛ばし始めた。
簡単に言うと、師匠には「師匠、俺、CoCoさん」の3人旅行だと思わせ、京介さんには「京介さん、俺、CoCoさん」の3人旅だと思わせるのだ。

いずれ当然バレるが、現地についてしまえばなし崩し的にどうとでもなる。
つまりいつもの俺の手口なのだった。
翌日、CoCoさんから「キョースケOK」とのメールが来た。

同じ日に、
「なんか、一緒に来たいって行ってるけどいいか?」
と、CoCoさんの同行を少し申し訳なさそうに師匠が尋ねてきた。
もちろん気持ちよく了承する。
これで里帰りの準備が整った。
そして試験の出来はやはり酷いものだった。


俺と師匠は南風という特急電車で南へ向かっていた。
甘栗を食べながら、俺は師匠に「何故俺の田舎に興味があるのか」という最大の疑問をぶつけていた。
京介さんとCoCoさんは一つ後の南風で来るはずだ。
師匠にはCoCoさんが用事があり、少し遅れて来ることになっており、京介さんに対しては、俺は一日早く帰省して待っていることになっていた。



913:田舎 前編 ◆oJUBn2VTGE:2007/03/07(水)19:53:41ID:OPG460nV0
「う~ん」
と言ったあと、もう種明かしをするのはもったいないな、という風を装いながらも、師匠は俺の田舎に伝わる民間信仰の名前を挙げた。
なんだ。
そんな拍子抜けするような感じがした。
田舎で生活する中でわりと耳にする機会のある名前だった。別段特別なものという印象はない。

具体的にどんなものかと言われると少し出てこないが、まあ困ったことがあったら、太夫(たゆう)さんを呼んで拝んでもらうというようなイメージだ。それは田舎での生活の中に自然に存在していたもので、別段怪しげなものでもない。
もっとも、一度か二度、小さいときになにかの儀式を見た記憶があるだけで、どういうものかは実際はよくわからない。

どうして師匠がそんなマイナーな地元の信仰を知っているのだろうと、ふと思った。
京介さんもやっぱりそれに対して反応したのだろうか。
「それ、なんですか」
窓の外に広がる海を頬杖をついて見ていた師匠の首筋に、紐のようなものが見えた。
「アクセ」
こっちを見もせずにそう言ったものの、師匠がアクセサリーの類をつけるところを見たことがない俺は首を捻った。
俺の視線を感じたのか胸元に手をあてて、師匠はかすかに笑った。

その瞬間、なんとも言えない嫌な予感に襲われたのだった。
ガタンガタンと電車が線路の連結部で跳ねる音が大きくなった気がして、俺は理由もなく車内を見回した。
いくつかの駅で停まったあと、電車はとりあえずの目的地についた。
「ひどイ駅」
と開口一番、師匠は我が故郷の駅をバカにした。



914:田舎 前編 ◆oJUBn2VTGE:2007/03/07(水)19:55:39ID:OPG460nV0
駅周辺にある椰子の木を指差してゲラゲラ笑う師匠を連れて街を歩く。「遅れて」来るCoCoさんを待つ間、昼飯を腹に入れるためだ。
途中、ボーリング場の前にある電信柱に立ち寄った。
地元では通の間で有名な心霊スポットだ。
夜中、その前を歩くと電信柱に寄り添うように立つ影を見るという。見たあとどんな目に会うかという部分は、様々なヴァリエーションが存在する。

話を聞いた師匠は
「ふーん」
と鼻で返事をして周囲を観察していたかと思うと、やがて興味を無くして首を振った。
先に進みながら師匠を振り返り、
「どうでした」
と聞くと、Tシャツの襟元をパタパタさせながら
「なにかいるっぽい」
と言った。

なにかいるっぽいけど、よくわかんない。よくわかんないってことは、大したことない。
大したことないってことは、よけいに歩いて暑いってことだよ。
不満げにそう言うのだった。

確かに暑い日だった。本格的な秋が来る前の最後の地熱がそこかしこから吹き上がって来ているようだった。
師匠が
「サワチ料理が食いたい」
と、まるでトルコに旅行した日本人がいきなりシシケバブを食べたがるようなことを言うので、昼から食べるものではないということを苦心して納得させ、二人で蕎麦を食べた。

アーケード街をぶらぶらと散策したあと駅に戻ると、ワンピース姿のCoCoさんといつもと同じジャケット&ジーンズの京介さんがちょうど改札を出て来る所だった。
「よお」
と手を上げかけて、京介さんの動きが止まる。
師匠も止まる。
と思ったのもつかの間、一瞬の隙をつかれてチョークスリーパーに取られる。

「何度引っ掛けるんだお前は」
頭の後ろから師匠の声がする。口調が笑ってない。



915:田舎 前編 ◆oJUBn2VTGE:2007/03/07(水)19:57:04ID:OPG460nV0
「何度引っ掛かるんですか」
俺は右手を必死に腕の隙間に入れようとしながらも強気にそう言った。
向こうでは、踵を返そうとする京介さんをCoCoさんが押しとどめている。
俺とCocoさんの説明を中心に、師匠がよけいなことを言って京介さんが本気で怒る場面などを経て、実に15分後。
「暑いし、もういいよ」
という京介さんの疲れたような一言で、同行四人という状況が追認されることになった。

思うにこの二人、共通点が多いのが同族嫌悪となっているのではないだろうか。
無類のオカルト好きであり、ジーンズをこよなく愛し、俺という共通の弟分を持ち、それからこの後に知ったのであるが二人とも剣道の有段者だった。
俺はよくこの二人を称して磁石のS極とS極と言った。
その時もお互いの磁場の分だけ距離を置いていたので、その真ん中でCoCoさんにだけ聞こえるようにその例えを耳打ちすると、彼女は何を思ったのか
「二人とも絶対Mだ」
とわけのわからない断言をして、俺にはその意味がその日の夜までわからなかった。

夜になにかあったわけではない。ただ俺がそれだけ鈍かったという話だ。
ただ一つ、そのときに気になることがあった。
さっき師匠にチョークスリーパーを掛けられた時に感じた不思議な香りが、かすかに鼻腔に残っている。
まさかな。

そう思ってCoCoさんを見たが、あいかわらず何を考えているのかよくわからない表情をしていた。
そうしているうちに、駅のロータリーに車がついた。
四人の前で作業着を着た初老の男性が車から降りながら手を振る。
伯父だった。

バスなり電車なりで行けるよ、とあれほど言ったのに
「ちょうどこっちに出てくる用事があるき」
と車で迎えに来てくれたのだった。



916:田舎 前編 ラスト ◆oJUBn2VTGE:2007/03/07(水)19:58:43ID:OPG460nV0
ところどころに真新しい汚れのついた作業着を見て、そんな用事なんてなかったことはすぐわかる。
久しぶりの俺の帰省が嬉しかったのだろう。俺が連れてきた初対面の3人と愛想よく握手をして、
「さあ乗ったり乗ったり」
と笑う。

ここから村までは車で3時間は掛かる。
車内でも伯父はよく喋り、よく笑い、それまでの険悪なムードはひとまず影を潜めた。
日差しの眩しい国道を気持ち良く疾走する車の、窓の向こうに広がる景色を眺めながら、俺は来て良かったなあと気の早いことを考えていた。

思えば、その無類のオカルト好きが二人揃って俺の帰省について来ると言い出した事態の意味を、その時もう少し考えてみるべきだったのかも知れない。
紺屋の白袴と笑われても仕方がない。俺は、俺のルーツでもある山間部の因習と深い闇を、知らな過ぎたのだった。

だがとりあえず今のところは、ひたすらに暑い日だった。



引用元:死ぬ程洒落にならない怖い話をあつめてみない?159
https://hobby9.5ch.net/test/read.cgi/occult/1172663729/909-916




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夜が来る

2019.04.16 (Tue) Category : 創作作品

452:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)13:22:48.07ID:ovlqF/TA0.net
創作の長文怪談とか需要ある?



453:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)13:25:03.03ID:Ems24qRB0.net
>>452
あるさ



454:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)13:36:51.93ID:ovlqF/TA0.net
んじゃ



455:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)13:37:54.95ID:ovlqF/TA0.net
今晩は、都内の大学に通っている山尾と申します。よろしくお願いします。

私、大学の3年生なんですけど、今年の10月にアパートを引っ越したんです。
はい、前のアパートが、道路の拡張工事に引っかかって取り壊されるためです。
そのことは前から言われてたので、8月ころから新しい部屋を探してました。

不動産屋さん回りをしてたら、すごく条件のいいところが一ヶ所あったんです。
前のところよりも大学に近くて、電車を使わずに通えそうな距離で、しかも家賃も1万円ほど安いという。
それで、現地を見にいったとき、不躾かと思ったんですが、不動産屋さんに、
「こんな家賃なのは、なにかわけがあるんですか?」
って、思いきって聞いてみました。

そしたら、不動産屋さんはちょっと困った顔をしましたが、外に出て、アパートの裏手側に回ったんです。

そこですね、道をはさんで墓地になってたんです。
もちろん高い塀に囲まれてるので、外からは墓地だとはわからないんですけど。

でも、私はあんまり気にならなかったんですよ。
というのは、空いていた部屋は2階のいちばん端で、お寺の区画は切れてて、窓からはお墓が見えなかったんです。

不動産屋さんは、
「所有者からははっきり聞いてはいませんが、こういう事情で他所よりお安いんだと思います」
こう話してました。
それで、立ち退きの期限もあったので、そこに決めちゃったんです。

それとですね、今回の話に関係があるんですけど、キッチンのついた一間の部屋の中を見せてもらってるとき、ガス台の上、換気扇があるところの横に、金属の赤い箱があったんです。
はい、天井から10cmほど下で、もちろんイスとかに上がらないと手が届かない高さです。



456:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)13:38:55.96ID:ovlqF/TA0.net
「あれは?」
って聞いたら、
「あっ、ガス検知器です」
という答えで、たしかに、真ん中に小さなライトが一つ点滅していました。
そのときはなんとなく納得したんですけど、今考えれば赤い色って変ですよね。

で、引っ越しをしました。
荷物が少なかったので、業者には頼まず、大学のサークル仲間で免許を持ってる人が運んでくれたんです。
その日の夜は、お礼に、新しい部屋でピザなんかをとって、少しお酒を飲んだんですけど、一人、
「この部屋、なんかなあ」
っていう友だちがいて、
「何?」
って聞いたら、
「気を悪くしないでね。ケチをつけてるわけじゃないんだけど、この部屋、暗く感じない?」
じつは、私もそう思ってたんです。けどそれは、部屋の照明が古くなっているせいだと考えてました。
蛍光灯だったので、新しい大家さんに、LEDとかに変えられないか話してみようと思いました。

それから、1ヶ月は何も起きなかったです。照明のほうは旧式で、LEDは無理だったんですけど、蛍光管を変えたら明るくなりました。
先月のことです。夜の8時ころでしたか。バイトから帰って、キッチンで料理してました。
簡単な献立ですけど、生活費節約のために、毎日自炊してたんです。

そしたら、フライパンの油がパチンとはじけて顔にあたり、びっくりして横の壁にドンとぶつかってしまって。
そのとき、ウインウインってサイレンの音がすぐ上から聞こえて、見るとガス検知器のライトの点滅が激しくなってました。
あわてて火を消したんですが、ガスの臭いはしなかったです。

私がぶつかったせいだと思って、見てみようと机からイスをひっぱり出してるうち、音は消えて、点滅も収まったんです。
はい、それから2週間後くらいですね。
その日は遅く、11時ころに部屋に戻りました。



457:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)13:39:56.73ID:ovlqF/TA0.net
冷蔵庫から飲み物を出してると、携帯が鳴ったんです。
出てみると地元にいる母でした。
「あ、お母さん、どしたの、こんな時間に?」
実家は夜が早くて、ふつうはもう寝てる時間なんです。
母はいつもののんびりした声で、
「お父さんの具合が悪くってねえ」
「え?どういうこと?」

変なことを言うなあと思いました。
私の父は4年前に病気で亡くなってて、母は、実家で兄の家族と同居してるんです。

「お父さんてどういうこと?」
そしたら少し沈黙があって、
「・・・そっちは停電してないのかい?」
って。

「何言ってるのよお母さん、私のとことそっち、すごく離れてるじゃない。お母さんのほう、停電なの?」
「そうかい、停電じゃないのかい・・・じゃあ、夜が来るよ」
そこで電話は切れました。
その途端、部屋の電気がぱっと消えたんです。
「え、え?ホントに停電?!」

ウワンウワンウワン・・・ガス検知器がまた鳴り出したんです。
赤い光の点滅で、天井がまだらになって見えました。
「ああ、どうしよう?」
暗い中をキッチンまで行きましたが、もちろんガスはついてないです。
まずこれを止めなきゃと思ったんですが、まごまごしてるうちに音と光が消え、真っ暗闇になったんです。
窓のカーテンを開けてみました。

下は道なので、街灯とかの光が見えるはずなんですが、それもなくて、この地域一帯が停電なんだと思いました。
でも、地震があったわけでも、台風でもないのに。とにかく暗くてどうにもならず、手探りで机の引き出しから懐中電灯を出したんです。
スイッチを入れると、一瞬だけつきましたが、すぐに消えて、また真っ暗に。
ああ、こんなときに電池切れ。

玄関のドアを開けて外の廊下に出てみました。
そしたらやっぱり街全体が真っ暗で。



458:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)13:40:58.23ID:ovlqF/TA0.net
「そうだ、隣はどうしてるんだろう」
はい、私の部屋は端なんですけど、右隣の人はあいさつをして知っていて、私と同じ大学生だったんです。
インターホンを押しましたが反応ありません。
ああ、停電でこれも切れてるんだと考えて、ドアをドンドンとノックしました。
そしたら、ドアが少し開いて、
「誰?」
という声がしたので、
「あたし、隣の山尾」
そう言うと、チェーンロックを外す音がしてドアが開きました。

「あ、すみません、急に停電になったので、何かわかることないのかと思って」
「入って」
中はぼうっとオレンジ色の明かりで、部屋のテレビ台の上にロウソクが立ててあったんです。
「あ、準備いいですね。うちは懐中電灯もつかなくて。どうして停電になってるかわかりますか?」
「・・・夜が来たから」
「え? どういうことです?」
「ほら、こっち来てみて」

隣の人は、窓に寄ってカーテンを開けました。外をのぞくと、私のとこからは見えない塀の中のお墓が青白く光ってて、たくさんの人がいるように思ったんです。

「え、あれは?」
「死んだ人が少し出てきてるの。夜だから」
「ええ?」
ここで急にすごく怖くなったんです。
ロウソクの光に照らされた顔が、別人のように思えてきて。

「私、戻ります」
そう言って、逃げるようにして部屋に戻ってきました。
でも、相変わらず真っ暗で。
また、携帯が鳴ったんです。番号は実家から。おそるおそる出てみると、やはり母でした。

「お母さん、こっちも停電、これ、どうなってるのよ?!」
「だから、夜が来たんだって。もうすぐお父さんがそっちへ着くよ」

私は携帯を放り出し、部屋の鍵をかけてベッドに飛び込みました。
布団をかぶっていると、ドンドン、ドンドン、ドアをノックする音が聞こえ、



459:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)13:42:25.98ID:ovlqF/TA0.net
それはドカンドカンと蹴りつける音にかわりました。
でも、私はずっと布団か出ず、そのうちに音は聞こえなくなり、眠ってしまったんです。
目を覚ますと朝の気配がしました。
はい、外が明るくなってたんです。

時間は9時を過ぎてましたが、その日、大学の授業は午後からでした。
まず携帯を見ました。
でも、実家の母からの着信はなかったんです。あと、電気もつきました。
すごく怖かったんですが、隣の部屋の前に行ってインターホンを押すと、隣の人が出てきて、
「どうしたの?」
と聞くので、
「昨日、停電ありましたか?」
「いや、気がつかなかったけど」
こんなやりとりになったんです。

この調子だと、私が部屋に入ったことも否定されるだろうと考えて、言い出しませんでした。
・・・ここまでくると、全部が夢だったって思いますよね。
私は昨日、帰ってきてすぐに寝て、停電する夢を見てた。

そうとしか解釈しようがないです。念のために、母に電話してみました。
母はすぐ出て
「これからパートに行くんだけど、どしたの?」
「昨日の夜、電話した?」
「いや、してない」
・・・あとは、あのガス検知器だけです。イスに上がって金属の箱を見たら、4隅がネジ止めされてたんです。
そのときはどうにもならず、大学の帰りにねじ回しを買ってきて、箱を開けました。

中は真ん中に一つだけ、ブレーカーのような大きなスイッチがあって、上にあがってました。
下側に白い紙が貼ってあり、そこに筆字で「夜」ってあったんです。
大家さんに連絡したんですが不在で、不動産屋にかけました。
担当者が出たので解約したいって話すと、理由を聞いてきたから、一言だけ、
「ガス検知器の中を見ました」
そう言ったら、
「・・・ああ、わかりました。解約は了承します。・・・次のお部屋はお決まりですか?」
頭にきたので電話を切り、誰かに話を聞いてもらいたくてここに来たんです。



460:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)14:20:40.19ID:bLK25kiy0.net
こわい・・
なんやったんやろ?
その後はないの?



461:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)14:51:47.37ID:Ems24qRB0.net
情景が浮かばない部分もあったけど面白かったよ

>>460
創作って宣言してる



464:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)19:47:05.71ID:Jn3qiUSN0.net
>>461
ほんまやー!
恥ずかしい。ありがとう



463:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)15:56:03.20ID:XHE9yHmE0.net
はい、だけがいちいち気になってしまった
面白かったよ



466:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)22:44:03.18ID:Jn3qiUSN0.net
なんか、ゲームのサイレン思い出した



467:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)22:45:38.34ID:aKptZBXX0.net
面白かったし怖かった
電話あたりがヒヤッとした



469:本当にあった怖い名無し:2019/03/02(土)03:09:56.72ID:+RjFH8jd0.net
世にも奇妙なとかそんな感じに仕上げたね
リアルさに欠けるがそこが良かった



472:本当にあった怖い名無し:2019/03/02(土)08:26:05.54ID:wqQ/iBcg0.net
語り口調のために一文一文が短くてそこに丁寧語が入るからくどい感じがしちゃった
でもその冗長な感じの中にスッとオカルトな描写が入れられてるのはよかった
急にそっちの世界に引き込まれるような感覚に近くて
小説とか怪談師だったらインタビュー形式でそういう表現にすればある程度違和感なくせるだろうけど掲示板の書き込みという形を取る以上はこの違和感はどうしても出てしまうのが残念だった
評論家気取りみたいでごめんね感想としては面白かったからまた書いて欲しい




引用元:死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?353
http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1546870543/452-472




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3年前父親が死んだ時に俺が死んだ事にした話

2019.04.13 (Sat) Category : 創作作品

1:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:11:43.727ID:OkzJ9400M.net
母親は俺が小さい頃に死んだ
俺は32歳の無職で父親は70歳だった

朝起きると父親が布団の中で冷たくなっていた
俺は一人っ子だし親戚付き合いも希薄だから魔が差したんだ

119に通報して
「息子が死んでる」
って言った



3:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:12:23.130ID:iKN2qfpxa.net
ほう



5:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:12:41.813ID:1MM0NgnAx.net
お前70と見分けつかないくらい老けてんの?



10:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:15:28.381ID:a2985X5Gd.net
ミステリーかよ



11:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:15:29.101ID:OkzJ9400M.net
数十分後何故か救急車だけでなく警察も来た
どうやら自宅で死んだ場合は事件性がないか家族に一応確認するらしい

俺は息子が朝食の時間になっても部屋から出てこないから様子を見たら死んでいたと言うような説明をした

その後は病院で俺の死亡診断書を作成して貰って役所に届け出た



12:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:15:41.158ID:DyGO76rG0.net
1巻だけ面白いタイプの漫画



16:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:20:55.578ID:OkzJ9400M.net
俺は半分引きこもりで太っているから老けて見える
父親は現役のころから健康に気を使っていたから年の割に見た目は若かった
それでも死ぬときは死ぬ
死因は心筋梗塞だった

俺は参列者ひとりだけの家族葬を行い父親を火葬した

俺は三流大学を中退してから少しバイトをして後はずっと無職だったから親戚には居ないものとして扱われていた
だから火葬が終わってから親戚に連絡しても何も言われなかった

正直少し悲しくもあったがこれで俺という存在は消えた



18:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:25:06.663ID:OkzJ9400M.net
俺が入れ替わりをしようと考えたのは父親が俺に医療保険がメインの生命保険をかけていたのを知っていたというのが大きい
死亡時の保険金は1000万円だった

更に父親が退職金や年金を溜めこんでいたのも薄々感づいていた
俺は月に5000円の小遣いしか貰っていなかったからな
父親の貯金は3000万円以上あった



19:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:29:14.197ID:OkzJ9400M.net
タンスに入っていた父親の通帳の下に封筒があって俺宛の手紙が入っていた

そこには俺のために金を残していること
父親が死んでもこの金で暫くは生活できるだろうが一生は無理だから働けとか
お前はやれば出来る息子だとか書いてあった

俺は父親とそこまで仲が良かったわけじゃないし正直この手紙も説教臭いと思った



20:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:30:18.142ID:1Orwwkf40.net
マジモンのクズ



21:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:32:18.462ID:OkzJ9400M.net
当面は保険金と貯金で生活出来る
しかし俺がこの入れ替わりで一番期待していたのはこんなモノじゃない

父親の年金だ

書類上は父親は生きているから年金を貰えるのだ
父親はそれなりの会社に勤めていたから俺は月額にして20万近くの収入源を手に入れた



22:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:35:27.840ID:aMt4KnzKa.net
どこかに叙述トリックがあるはず
気を抜くなよお前ら



23:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:37:13.480ID:OkzJ9400M.net
こうして俺は死んだ父親と入れ替わることによって働かずにまとまった貯金と安定した収入を手に入れた

最初の1年は良かった
ゲームやアニメのBDBOXを買ったりしてこの世の春を謳歌した
人生で初めて風俗にも行った
出前で高い寿司を食ったりもした



24:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:42:17.598ID:OkzJ9400M.net
でもそんな日々も長くは続かなかった

俺の住んでいる地域で高齢者一人世帯の戸別訪問が始まったんだ

最初は適当に追い返していたんだけどあいつら公務員だからかやたらとしつこい
その上最初はお若いですねーとか言ってた癖に最近は俺のことを疑ってるような気がしてきた



25:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:54:52.808ID:RlouGd0Ed.net
ホントならすげえ



26:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:03:23.149ID:OkzJ9400M.net
すまん来客だった

それから俺は毎日いつバレるかと不安でその事しか考えられなくなった
いかに戸別訪問のヤツらを騙すか必死だった

それまで楽しかったゲームやアニメに集中出来なくなった
ノイローゼみたいになっていた

ある時俺は全てを明かして楽になろうと決意した



28:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:17:53.771ID:OkzJ9400M.net
俺は戸別訪問のおばちゃんに俺が俺であることを説明した
一番俺のことを疑ってるように見えたおばちゃんだ

俺の話を聞いたおばちゃんは泣き出した
かわいそうにかわいそうにって



29:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:24:05.334ID:OkzJ9400M.net
俺は初めは俺のやったことに対して泣いてるんだと思った

でも違った

おばちゃんは息子さんが死んだのを受け入れられないんだね
私たちがいるからねみたいな事を言っていた

どうやら俺は疑われていると勘違いしていたみたいだった
その後も何度も説明したけどおばちゃんは全然信じてくれなかった



30:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:31:20.818ID:OkzJ9400M.net
その日おばちゃんは結局最後まで信じてくれずに帰っていった

俺はもう父親のふりをするのに疲れていた
夕方近所の交番に行って同じ話をしたけどやっぱり信じて貰えなかった

次の日また戸別訪問が来た
ただいつもと様子が違った

結論から言うと俺は認知症の疑いで入院させられた



31:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:39:48.600ID:OkzJ9400M.net
入院した病院で検査を受けたけど俺は認知症ではなく重度の虚言癖だと診断された
ようするに誰も俺が俺だって信じてくれなかった

俺は嘘つきになってしまった



32:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:40:52.721ID:H7/cbeDB0.net
なんだそりゃwww



33:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:43:41.701ID:Ulc2d3i30.net
何か星新一のショートショートにありそうな話だな



36:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:47:45.334ID:xtljKNyed.net
落語に出来そうないい流れだ



37:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:51:37.811ID:OkzJ9400M.net
その後も何度か俺が俺だと主張したけど老人の戯言としか受け取って貰えなかった

結果として俺は父親との入れ替わりに完全に成功した

金銭的にはなに不自由なく暮らせるけど俺は世間から消えてしまった

信じて貰えないかもしれないけど本当の話だ



38:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:52:48.780ID:sFdA9TLyr.net
世界最高齢になれそう



40:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:55:46.696ID:OkzJ9400M.net
俺不健康だから無理だよ



43:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)17:00:49.473ID:xtljKNyed.net
オチが弱いからお前は精神病んで本当に自分が親父なんだと思い込むことにして



44:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)17:01:56.664ID:Ulc2d3i30.net
え?終わり?オチは?



48:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)17:06:11.833ID:OkzJ9400M.net
実話なんだからオチとか言われても困るよ



50:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)17:08:59.160ID:M6yCdMghM.net
世にも奇妙ななら
本当に体が入れ替わってたってパターンかな



54:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)17:16:30.458ID:OkzJ9400M.net
まぁ作り話だよ

殆ど思いつきで書いたんだけど意外とウケてうれしい

最後は>>43も良いな

ちなみに実はこれ半分実話なんだ
俺が無職で親が老人でまもなく死にそうってとこな



55:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)17:17:07.778ID:fvDhT5yS0.net
>>54
最後のが一番怖いじゃねえか



60:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)17:25:31.200ID:dNzmO1E0a.net
>>54
いいオチがついたな



66:過去ログ★[]
■このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています



引用元:3年前父親が死んだ時に俺が死んだ事にした話
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1553667103/




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