都市伝説・・・奇憚・・・blog

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窓の外から長い黒髪の女が覗いている

2019.01.16 (Wed) Category : 創作作品

836:窓の外1/2:2007/02/01(木)04:15:17ID:8RurMs3S0
んじゃ。創作。

「相談したいことがあるんだけど」
そう話しかけてきたのは、まだろくに話したことも無いクラスメイトだった。
新学期のクラス替えがあったばかりで俺もそう社交的な方ではなかったからまだ名前もおぼつかないクラスメイトに相談を持ちかけられるのは妙な気がする。

「ああ」
と返事をしてからなんとなく相談内容の察しがついた。
実は俺は少々霊感があったりする。
といってもそんな大したものではない。
霊が見えたり祓えたりできるわけでもなく、ただ嫌な感触を感じられるだけだ。
こいつがそんなことを知ってるはずも無いがまあ誰かから聞いたんだろう。

以前肝試しでちょっとだけやらかして俺の霊感は仲間内では有名なのだ。
案の定その相談とは怪談の類だった。
「実は俺一人暮らししてるんだけどさ、ここ何日かその、窓にな」
要約すると、幽霊が出て困ってるらしい。

ある日テレビを見てるときにふと視線を感じてカーテンの隙間を見ると窓の外から長い黒髪の女がこっちを見ていたんだそうだ。
あわてて隣の部屋に逃げ、しばらくして様子を見るともういなかった。
別の日にまた視線を感じてカーテンを開けると、またそいつがいたという。
「俺もう怖くてよ。頼むから今晩泊まりに来てくれないか」
実際行ったところで何が出来るわけでもなさそうだったが俺は友人の家に泊まりに行くということに魅力を感じて受けることにした。



837:窓の外2/2:2007/02/01(木)04:16:20ID:8RurMs3S0
日が暮れるとそいつはだんだん落ち着かなくなってきた。
知らない人間と言ってもいい俺に相談するぐらいだからそうとう追い詰められていたんだろう。
ちょっとかわいそうになって俺はわざと明るく励ました。

「大丈夫だって。今だって何も感じないし、こういうのは平然としてたら出てこないもんだ」
そう。俺は家の前、部屋の中まで入っても何も感じなかった。
おそらく見間違えか何かで先入観を持ってしまい、それ以後もそれらしいものを無意識のうちに探して当てはめてでもいるんだろう。
一緒に過ごして安心させればそのうち消えるはずだ。
例え何か出たところで俺には慣れのせいか平然としていられる自信があった。

楽観的に考えているとそいつが急にビクッと体を振るわせた。
「な、なぁ。また見られてる気がするんだが、頼む、お前カーテンの裏を確認してくれないか」
言われても俺にはやっぱり何も感じられなかった。
やはり少々神経質になっているんじゃないだろうか。
まあこれでカーテンを開けて笑ってやればこいつも安心するだろう。
そう考えてカーテンの外を見ると、そこに“そいつ”がいた。

長い髪。白い服を着た女が、血走った眼を見開いてこっちを見ていた。
「うあああああああああああ!!」
俺は無我夢中で玄関を飛び出し駆けた。
クラスメイトも後ろから付いてきている。
コンビニの明かりの前までついて俺たちはようやく一息つくことが出来た。

「や、やっぱり居ただろ?どうしよう。俺霊に呪われてるのかな」
まだ勘違いしたままにこいつに俺は言った。
「馬鹿野郎!あれは生身の人間だ!」



840:ドゥカッティー:2007/02/01(木)04:23:03ID:xGN2gHcf0
>>837
続きが読みたい。
その後どーなっちまうんだい?
この三人。

842:窓の外:2007/02/01(木)04:29:23ID:8RurMs3S0
>>840

前に姉が
窓の外に血まみれの幽霊が立ってるのと
窓の外に血まみれの人間が立ってるの
どっちが怖い?って言ってたのから起こしました。
特に続きは考えてなかったけどあったほうがいいのかなぁ。



849:窓の外3/2:2007/02/01(木)04:46:57ID:8RurMs3S0
無理やり続き

恐怖に引きつるクラスメイトの顔。
相当ショックを受けたのかと思ったが何だか様子が可笑しい。
クラスメイトの視線の先へ俺も振り返ると、“あいつ”が後ろから迫ってきていた。
「っ――――――――!!」
今度は悲鳴にもならない。
再び駆け出す俺たち。
が、赤信号につかまってしまう。
立ち止まることに耐え切れなかったのかクラスメイトが飛び出した。

暗闇にライトだけでは距離が掴みにくいが、俺もつい後を追った。
なんとか轢かれずに済んだがそれを実感するまもなくさらに走る。
そして後方にブレーキ音。
間髪入れずに衝突音が鳴り響いた。
さすがに足を止め様子を伺う。
……。
悪夢が、終わった。

後日警察から聞いた話だと、あの女の部屋にはクラスメイトの写真がびっしり貼られていたそうだ。
いわゆるストーカーってやつだ。
事故死した女の事をかわいそうだと思う気持ちもあるがやはり思い出すたびに浮かんでくるのはあのときの恐怖だろう。
俺はショックでしばらく学校を休んで、久しぶりにあのクラスメイトと会った。
開口一番そいつは言う。

「まだ、あの女が窓の外に立ってるんだ」
死んでもなお。



引用元:死ぬ程洒落にならない怖い話をあつめてみない?156
https://hobby9.5ch.net/test/read.cgi/occult/1169205119/836-849




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首なし

2019.01.11 (Fri) Category : 創作作品

724:その1:2007/01/31(水)15:04:22ID:y+dfwiSU0
今からもう20年以上も前の話。
私が中学生の時分のことです。
列車旅行が好きだった私は、小遣いがたまると友人Oと連れ立っては札幌発の列車で道内のあちこちに出かけたものでした。
当時は赤字ローカル線廃止の嵐が吹き荒れていた頃で、1つ2つと地方線が姿を消つつあった時代です。

中2の夏休みのことでした。
札幌近郊のI市から旧産炭地に延びる線が廃止になるとの噂を耳した私は、nすぐさまその友人Oを誘って廃鉱巡りの日帰り旅行に出かけました。

ローカル列車はI駅を出発すると、しばらく田園地帯を走った後、次第に山あいに分け入っていきました。
車窓のすぐそばまで山肌が迫ってくるような厳しい鉄路が続いた後、急に視界が開けて列車は停車しました。終点でした。
昭和30年代後半には年間乗降客が55万人を超えていたその駅ですが、そのときに降りたのは私たちの他は3人だけでした。

携帯していた地理院の地図を見ると、廃鉱と炭住集落はさらにその先です。
私たちは逸る気持ちを抑えながら目的地へと向かいました。
駅前の古い民家が散在する集落を抜けると、道は急に上り坂になり、大きく右にカーブを描くとともに深い木々に覆われ始めました。



725:その2:2007/01/31(水)15:04:49ID:y+dfwiSU0
いつ着くんだよ・・・と苛々し始めたころ、急に道が左に折れました。
次の瞬間、二人は息を飲みました。
目の前に赤錆だらけの巨大な鋼塔がそびえていたからです。
それは廃鉱の高塔でした。

「遺跡」を目の当たりにして大満足の私たちは、記念写真をとった後、再び地図を広げ現在位置を確認しました。
次に向かうは炭住群です。地図ではかなり大規模です。

どんな廃墟が現れるんだろう?

期待はあっさりと裏切られました。
行けども行けども炭住群など現れやしません。
替りに二人が目にしたのは、深い雑草に覆われた広い原っぱでした。
目的の建物はとうの昔に取り壊されていたのです。

がっかりして
「もう帰ろう」
と切り出すと、
「あれ見える?」
とOが聞いてきました。
指の先を注視すると、野原の奥に灰褐色の塊が見えます。

「炭住じゃね?」
落胆しかけていた二人は喜び勇んで走り出しました。
近づくと、そのとおり、数軒の平屋型の炭住であることが分かりました。
炭住と私たちの間には川が流れており、建物のある敷地はそこだけが周りよりも低くなっていました。



727:その3:2007/01/31(水)15:05:13ID:y+dfwiSU0
もちろん探検です。
2軒は内部がぼろぼろで見るべきものは何もありませんでしたが、残る2軒は保存状態が非常によく、家具も当時のままでした。
私とOは夢中になって「発掘」を開始しました。

当時の家計簿やら、子供の勉強道具やら、鉱夫の勤務予定表やらとにかく色んなものが出てきました。
その中から、私は小学校卒業の寄せ書きノートを発掘物としてリュックにしまいました。
おそらくはその家の子供のものだったのでしょう。

発掘にも飽きて、二人は炭住の外に出ました。
それまで気づかなかったのですが、炭住からは、さらに奥に向かう道が続いていました。
道のすぐ先には、古い大きな公民館のような建物があり、建物の脇の空き地は、赤茶けた石か砂のようなものが一面を覆っていました。
踏みつけた感じが快く、Oと2人でぎゅっぎゅっと踏みつけてまわりました。

建物の内部は、2階から1階にかけてはぼろぼろになった銀幕が垂れ下がり、その前には台座のはがれた多数の椅子が据えられていました。
そこでは往時、映画が上演されていたのだと思います。

券買所と思しき場所の奥には、ガラス製のヨーグルトの空容器がいくつも打ち捨てられていました。
100まで数えたところで残りがあまりに多いので数えるのは止めてしまいました。
ここでの発掘物はその容器でした。



728:その3:2007/01/31(水)15:05:32ID:y+dfwiSU0
数年後、私は東京で大学生活を送っていました。

冬のある日のことです。
私は夏の帰省中に実家で取りだめたビデオの整理をしていました。
一つ一つデッキに入れては中身を確認し、ラベルを貼る作業です。

作業も半ばのことでした。
そのビデオだけがスポーツのものではなく、TV局のスタジオ内らしき場所が映っていました。
どうやら妹が録画したものを間違って持ってきてしまったようです。
画面はちょうど、男性が2人の中年女性に何かを手渡したところでした。

1人の女性はそれを見るや、白目を剥いて卒倒しました。
隣の女性は
「あ、やだ」
と言ったきり、すすり泣き始めました。

それは1枚のスナップ写真で、
私が中2の夏に訪れたあの建物が写っていました。

そこはいわゆる「炭鉱会館」でした。
炭鉱地域の集会所と娯楽施設を兼ねた建物です。
その炭鉱は昭和40年代前半に坑道で大爆発が起こり、多数の死者が出たそうです。
負傷者は炭鉱会館のすぐ横にあった赤レンガ建ての病院に運ばれ、そこで亡くなる方も大勢いたそうです。
事故の後、そこは廃鉱となり、人々はその地を離れていきました。

テレビの画面にはその建物内部の写真も映し出されました。
その2人の女性によると、たくさんの顔が写し出されているとのことでした。



729:その4:2007/01/31(水)15:05:56ID:y+dfwiSU0
胸騒ぎがしました。
そうです。あの「発掘物」です。
何も知らなかったとは言え、悲惨な事故にあってその地を離れざるを得なかった人々の家から、そして炭鉱会館から、勝手に物を持ち出してしまったのです。

なぜあの家だけにあんなに色々なものが残っていたのか?
彼らは夜逃げ同然に去らなければならなかったのではないか?
それはなぜか?

冬休みになるとすぐに帰省しました。
あれを探し出して、元の場所に戻すためです。
帰った次の日にあの地に向かいました。
終点でバス降りると、急ぎ足で目的地に向かいました。
牡丹雪が激しく舞っていました。

あの上り坂の下まで来て愕然としました。
私はすっかり冷静さを失っていました。
季節は冬です。
もう誰も住まないあの地が除雪されることはないのです。
春になるのを待たなければなりません。

そして、それは帰ってきたその日から始まりました。



730:その5:2007/01/31(水)15:06:29ID:y+dfwiSU0
家に着いたときはもう夜の10時を回っていました。
落胆しながら帰る道すがら、私は件の「発掘物」の保管場所のことを考えていました。
今回のことがあるまでは中学時代の教科書などをまとめた段ボール箱に入れていたのですがもうその気にはなれません。
色々と考えた結果、母屋とは離れた外の物置にしまうことにしました。

目的を果たせなかったこともあって心中穏やかではありませんでしたが、疲れていたこともあって布団に横になると、すぐ眠りに落ちてゆきました。

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そこは木造の小学校で、私は教室の後ろで級友とふざけて遊んでいました。
そのときです。非常に強い視線を感じました。
休み時間で、教室では何人かの子供がグループになっていましたが、一人だけ、どのグループにも加わらない子がいました。
見た感じ、何か妙な印象を与える子でした。
首が非常に短いのです。
その子が私をじーっと見つめていました。

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布団から跳ね起きると、私は肩で息をしていました。
急いで部屋の明かりをつけました。
部屋には何の代わりもありませんでした。

気持ちを落ち着けるために下の階へ行くと、母親と妹がまだテレビを見ていました。
いつもと何も変わらない情景です。
3人でテレビを見ていると気持ちが落ち着いたので2階へ行き、また布団に潜り込みました。



731:その6:2007/01/31(水)15:07:07ID:y+dfwiSU0
しかしながら、なかなか寝付けません。
そのうち背中に違和感を感じ始めました。
どうやら敷布団の下に何かがあるのです。
脱いだ服か何かの上に布団を敷いてしまったのでしょうか?
確かめようとめくると、そこには物置にしまったはずのあの発掘物の寄せ書きノートがありました。

朝になるまで、両親がいる1階の今でテレビを見て過ごすことにしました。
私には小さい頃から物を布団の下に隠すくせがあり、疲れたことこともあって無意識にそうしてしまったのだろうと思うことにしました。
物置に隠したのも夢の中で見た光景と考えることしました。
テレビではくだらない深夜番組が続きました。

「おい、起きろ」
父親の声がしました。
いつの間にか居間で眠り込んでいたようです。
しばらくそこでぼうっと過ごしながら、母親が朝食の準備をするのを待っていました。

「あんた、相変わらず物好きねー 何これ?」
台所から母親の声がしました。
台所のテーブルの上には、もうひとつの発掘物であるヨーグルトの入れ物が置かれていました。
「お母さん、どうしたの? これ」
「どうしたのって、あんたが食器戸棚に置いたんでしょ?」
「え?・・・そうそう、懐かしい形だから、それで何か食べようと思ってさ・・・」

父もやってきました。
「おお、懐かしいな、子供の頃よく食べたよ。」



732:その7:2007/01/31(水)15:07:49ID:y+dfwiSU0
「元に戻すまでは、もう逃げられない。」
そう観念し、発掘物は紙袋に入れてリュックにしまうことにしました。
昔から諦めは早いほうでしたから。

しかし、やはり何かと心細いので居間のある1階にいることにしました。
そのうちまた睡魔が襲ってきました。

--------------------------------------------------------------------

「くーびなしっ!」
「くーびなしっ!」
「くーびなしっ!」
首の短いあの子に向かってクラスのみんながはやし立てていました。
私もつい調子に乗って
「くーびな・・・」
その子が私のほうへ振り向きました。

四白眼でした。

--------------------------------------------------------------------

もう東京に一人で戻る気力は残っていませんでした。
両親には、その年度の後期と次年度の前期を休学扱いにしたいと懇願しました。
単位をとるためには東京でテストを受けなければならないからです。
どんな嘘をついたかもう覚えてはいませんが、何とか両親を説得することは出来ました。

時が経つにつれ、その子は目覚めているときの私の視界にも姿を現し始めました。
いつもというわけではありません。
時折、視界の一番片隅にいてあの目で私を見つめているのです。
でも、そこに目を向けるともういません。
それでいて、いつの間にかまた視界に入ってくるという具合です。



733:その8:2007/01/31(水)15:08:10ID:y+dfwiSU0
とにかく春が待ち遠しくてたまりませんでした。
日々降り積もる雪をこんなに恨めしく思ったことはありません。
夢ではあの木造校舎の中で、現では視界の片隅で、という形であの子が私を解放してくれることはありませんでした。
私は日々衰弱して行きました。

幸いなことにその年は道内各地で例年よりも雪解けが早く進みました。
おかげで4月の下旬には私はあの地へ向かうことができました。
でも、もう遅すぎたのです。

あの炭住も炭鉱会館もすっかり取り壊され、その跡は更地になっていました。
地元のお寺で供養してもらおうとも考えましたが、集落の菩提寺はとうの昔に廃寺となっていました。

私は発掘物を元に戻すすべを完全に失っていました。



734:その9:2007/01/31(水)15:09:12ID:y+dfwiSU0
札幌の向かう列車の中で、私はこれまでのことをぼんやりと思い起こしていました。
不思議なことに、あの子の姿が私の視界に現れることはもうなくなっていました。
そのうち、例の寄せ書きノートをまだしっかり読んだことがないのに思い至りました。

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酷い寄せ書きでした。
クラス全員がその子を「首なし」と呼びつけ、
そして「中学では一緒のクラスになりたくない」だのあるいは「中学には来るな」だのそんなことばかりが書いてあるのです。

読み進むうちに、あることに気づきました。
寄せ書きを記した子供の名前に赤鉛筆で二重線が引いてあり、その脇には1985.1.12のような年月日が付されているのです。
子供によって年月日はばらばらですが、ごく最近のものもあります。
「何だろう、これは?」
そう考えていくうちに強い不安がよぎりました。
「まさか俺の名前はないよな?! おいおい!!」
残るは最後の1ページです。
思い切ってめくりました。

そこには、二重線が引かれた私の父親の名があり、脇には、その日の年月日が記されていました。



736:その10:2007/01/31(水)15:13:20ID:y+dfwiSU0
以上で終わりです。
Tenho que dizer tudo isto e uma ficcao e nao tem nada a ver com as pessoas existentes.



引用元:死ぬ程洒落にならない怖い話をあつめてみない?156
https://hobby9.5ch.net/test/read.cgi/occult/1169205119/724-736




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マセラティおじさん(5)

2018.12.29 (Sat) Category : 創作作品

549:◆J3hLrzkQcs:2007/01/29(月)00:35:07ID:q6VrRK2X0
「おじさんって仕事してるの?」
「してるよ。式神だからね。」

愛情に飢えていた僕は、おっさんにベッタリだった。
友達と言うより父親みたいな存在。
おっさんも、そんな僕に照れてこそいるが、まんざらでもないようだ。

「ホントはね、何にもないときに、こうやって君に会っちゃいけないんだよ。上の決まりでさ。」
上ってのは、式神を指揮する司令塔らしい。正義の秘密結社でもあるのか?
詳しく聞こうとするも
「君を巻き込みたくない」
との理由で、教えてくれなかった。

おっさんには、いつも時間がなかった。
時間になると逃げるようにいなくなってしまう。
最初こそ追いかけてたが、路地を曲がったところで必ず消えてしまうので、もう追いかけることはしなかった。

おっさんは、秒単位で動いているビジネスマンのように、しょっちゅう時間を気にしていた。
なんかいろいろとあるみたい。

そんなある冬の出来事のこと。
その日は、部活は雨が降って中止で、進学塾の授業もない。
冷え切った寂しい家に一人でいることが嫌な僕は、友達の家に遊びに行く。

友達は
「親がいないお前がうらやましい」
と言っていたが、僕だって
「親がいるお前がうらやましい」
と思っていた。

帰る時間になったので、いそいそと友達と別れを告げ、自分の家に戻る。
あたりは真っ暗。見えない恐怖におびえながら、いつの間にか僕は、早歩きになっていた。

マセラティが向こうに見えた。
ものすごいスピードでやって来る。
このあたりでマセラティに乗っているのは、僕の知るところ一人しかいない。
やっぱりそうだ。乗っていたのは、おっさんだった。

あれ?マセラティは、止まることなく過ぎ去ってしまった。
気付いてなかったのかな?疑問に感じるも、どうしようもない。
遅れて数秒後、大勢の人の泣き叫ぶような悲鳴やうめき声が聞こえ出した。
びっくりして、ふと前方に目をやると、なにか得体の知れない真っ黒いものが見える。

マセラティの後を追うように、こっちに迫って来る。
じっと凝らして、それを見てみるとゾッとした。それは、たくさんの人影だった。
人影が、道をびっちりと埋め尽くしている。映画『ゴースト ニューヨークの幻』に出てくる地獄の使者そのものだった。



550:◆J3hLrzkQcs:2007/01/29(月)00:38:36ID:q6VrRK2X0
その数たるやすごいもので、通り過ぎると同時に、砂埃が舞い上がるほどだ。
とてもじゃないが、数え切れない。
ミミズがうねうねと動いたような、そんなまがまがしいオーラをまとわりつけた人影は、逃げられずに固まっている僕を飲み込み、何の危害を加えることもなく行ってしまった。
なんか知らないが助かった…。腰が抜けてしまい、足に力が入らない。
滝汗をかいていた。

文面じゃうまく伝わらないと思うが、あれは僕の呪いなんかより、もっとやばいものだと直感した。
次元そのものが違う圧倒的な存在感を感じる。
ただ目撃しただけなのに、尋常じゃない恐ろしさだった…。

それから数週間。
次におっさんを見たのは体育のサッカーをやるために、外に出たとき。
ふと何気なく空を見たら、はるか向こうの空におっさんが立っていた。浮いている。
みんなに教えたかったけど、いかなることがあっても言ってはいけないと口止めされてたので(まあ、今こうして言っちゃってるわけだが)一人で眺めていた。おっさんは、ここでも僕に気付いてない様子だ。

すると、そのおっさんにどす黒い雷雲が向かってくるのが見える。
例の人影たちだ。おっさんを襲おうとしている。

バチン!
おっさんの手が光ると、おなじみの爆竹音がこだました。

ズドン!
野球のボールをミットでキャッチするようなそんな音が、立て続けにすると同時に、雷雲が光りながら散った。
おっさんの攻撃が当たったのだろう。
とにかく、何がなんだか…よく分からない。出来の悪い特撮映画でも見ているのだろうか?
雷雲は、崩れてこそいたが、勢いを衰えることなく、そのままおっさんに襲いかかる。

ここで、ボールが僕のところに来たので、あわてて視線を足元に戻した。
やはり僕にしか見えていないのか?
あれほどの音がしたにもかかわらず、誰一人として気付いていない様子だ。
ボールを蹴り返し、視線を空に戻すと、時すでに遅し。
おっさんも雷雲もいなかった。

ようやくおっさんが僕に会いに来てくれたのは、それから数日後のこと。



551:◆J3hLrzkQcs:2007/01/29(月)00:40:51ID:q6VrRK2X0
早朝の朝練に行くために、身支度を整えて家から出ると、背後から声がする。
振り返ると、おっさんが立っていた。
ただいつもと違う。
おっさんは、かなり疲れ切ってる様子だ。スーツもよれよれ。

どうにも会話が弾まない。おっさんも無理して作り笑いをしているのが分かる。
帰ってしまう前にあの人影について聞かなければ…。
「やばいな、長居しすぎた。早く行かないと。」
そう言い残し、まさに帰るそのとき。意を決して僕は、おっさんに聞いてみた。

「おじさんを追いかける人影って何なの?」
おっさんは、驚愕の表情の浮かべ振り返った。動揺を隠せない様子だ。

「見てたのか?」
こっくりと頷く。見た内容を詳しく説明しようとしたが
「それ以上言うな」
と一喝されて、黙るほか無かった。
おっさんは大きく、ゆっくりとため息をついた。
そして、そのまま押し黙ってしまうので、二人の間には無言の沈黙が流れる。

「あれって悪霊なの?」
「違う。そもそも君は、霊感がないから見えないだろ?あれはね、もっとやばいもんだ。」
じゃあいったい何なんだ?聞いても、それ以上は教えてくれなかった。

「もう君とは会わないようにしよう。」
いきなりおっさんが切り出す。
言わなきゃよかった。そう思った。興味本位で聞いてしまったことを、すごい後悔した。

「大丈夫。何かあったときは、ちゃんと助けに行くよ。」
そう言うとおっさんは、靴音を響かせながら歩き出した。
引き止めたかったが、ショックで喉が締め付けられたのか、声が出なかった。

ふいにあたりの気配が変わり始める。おっさんが、まさに向かおうとする先にある家の垣根が、風も無いのにざわざわと音を立て始めた。キーンと耳鳴りがする。
「まずいな…。囲まれた。」

そう呟きながら、あたりを見渡すおっさん。何も見えないけど、よからぬ何かの気配を肌で感じる。
「すまない、少し驚かすと思うが気にしないでくれ。」
どういう意味か説明する間もなく、おっさんは呪文を唱えると、その場からふっと消えてしまった。
驚くよりむしろ僕は、突然いなくなる謎が解けたことで、興奮していた。



552:◆J3hLrzkQcs:2007/01/29(月)00:41:26ID:q6VrRK2X0
ただならぬ気配は、おっさんがいなくなった後もまだ残っている。
あたりの家々の塀の隙間から、真っ黒いスライムのようなものがはみ出て、真夏のアスファルトの蒸気のごとく、ゆらゆらと景色を歪めていた。
それは、何かするわけでもなく、ただそこに在るだけ。とはいえ、気持ち悪いので足早にそこをあとにする。

幽霊が見えない僕が、なぜか見える、人ならざるもの。
もしかして?僕の脳裏にあることがよぎった。

おっさんも呪われた一族の末裔なのか?

そう考えると何もかも辻褄が合う。
なぜ僕のことや先祖のことを知っているのか?なぜ僕を助けるのか?
今までバラバラになったジグソーパズルが、ピシピシとはまっていく感覚。

鼻の頭をつまみながら、眉にしわを寄せ、物思いにふける。
いくら勉強しても分からないことってあるんだな…。そう思いつつ僕は、学校に足を向けた。



引用元:死ぬ程洒落にならない怖い話をあつめてみない?156
https://hobby9.5ch.net/test/read.cgi/occult/1169205119/549-552














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