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都市伝説・・・奇憚・・・blog

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ー沙耶の行方・エンディングー <沙耶ちゃんシリーズ>

2017.11.27 (Mon) Category : 創作作品

88:まこと◆T4X5erZs1g:2008/08/25(月)00:08:44ID:fdz6BKAj0
<沙耶の行方-1>
夕方に空港に到着。
沙耶ちゃんのアパートに直行した。
郵便受けには大量のチラシが入りっぱなしになってる。
インターホンを鳴らしたが返事はなかった。
電話は相変わらず電源が切れている。
勘弁してくれよ。。。

バイト先まで歩き、店長に、帰ってきた挨拶と沙耶ちゃんの欠勤の話を聞いた。
俺が親父の危篤を聞いた夜、沙耶ちゃんはすでに出勤していなかったらしい。
ただ、この日は連絡があった。

翌日の欠勤時、それまで真面目に働いていたこともあって、店長は自ら彼女のアパートへ足を運んだんだ。
でも人のいる気配はなかった。
「女の子の独り暮らしだし、もしかしてと思ってね」
店長は沙耶ちゃんの実家にまで電話を入れた。
父親が出て
「存じません」
とぶっきらぼうに切られたそうだ。



89:まこと◆T4X5erZs1g:2008/08/25(月)00:11:34ID:fdz6BKAj0
<沙耶の行方-2>
「こうまで長引くと心配だね。まこちゃん、沙耶ちゃんの実家にもう一度連絡を入れてみてくれないかな。捜索願を出させたほうがいいかも」
と依頼されたので、
「なんで店長がやらんの?」
と聞くと、
「僕はあのお父さんはどうも苦手で」
と頭を掻いてた。

沙耶ちゃんの履歴書から電話番号をもらってプッシュすると、平日の夕方だからだろうか、父親ではなく母親らしき女性の応答があった。

警戒心を抱かれないように、できるだけ穏やかな声で伝えてみる。
「私は沙耶さんにアルバイトに来てもらっているコンビニの責任者ですが、沙耶さんがここ数日、連絡なしに欠勤されてるんです。もしかして、そちらに帰ってらっしゃるんでしょうか?」

H先輩が聞いたら
「小学校からやり直してこい」
と言いそうな言葉遣いだな。
でも母親らしい女性にはちゃんと通じたようだ。

あっさりと
「こっちに帰ってますよ。ごめんなさいね。もうそちらには戻らないと思います」
との返事をもらった。

なんだか釈然としない。
っていうのも、沙耶ちゃんは以前
「実家に居場所がないから1人で出てきた」
と言ってたんだ。
実は、彼女は、父親とその浮気相手の子どもなんだよ。
だから正妻に目の敵にされて実家にいられなくなったみたいなんだ。
そんな家に自主的に戻ったのか?それとも。。。

考えるだけ無駄なんで、店長に労いの意味でもらった今晩の休みを、沙耶ちゃんの実家行きに使うことにした。



90:まこと◆T4X5erZs1g:2008/08/25(月)00:13:38ID:fdz6BKAj0
<沙耶の行方-3>
少し田舎に下るとはいえ、見事に開拓された新興住宅地の中に沙耶ちゃんの家はあった。
立派な門構えとその奥の広い庭が、裕福な暮らしを示している。
沙耶ちゃんの親父さんは、従業員数百人を抱える中小企業の副社長だ。
以前、興味本位に調べさせてもらった。

重役はすべて家族親類という典型的な同族会社の中で、唯一、身内外からその地位に上りつめた人だ。
女癖はともかく、まあ有能なんだろう。
沙耶ちゃんにお嬢さんな雰囲気があるのも、この家で育ったんなら納得できるな。

カメラつきのインターホンを鳴らすことをためらっていると、左手の路上から人の話し声が聞こえてきた。
年配の男と若い女の子の声。
「お父さん、今日は帰り遅いよ。家で待ってるのイヤなんだから、もっと早く帰ってきて」
と女の子。。。。あれ。。。?
「これが普通の帰宅時間なんだぞ。今までは沙耶のために無理して帰ってたんだから」
と。。。沙耶ちゃんの父親らしき人物。。。

門に取り付けられた電灯が2人の顔を照らし始めた。
向こうも俺に気づいたようだった。
俺は真っ先に沙耶ちゃんに飛びつきたい衝動を押さえww、父親に頭を下げる。
すると、彼から声をかけてきた。
「君は?」

どの立場にするか少し思案してから、答えた。
「沙耶ちゃんの友人です」

沙耶ちゃんは父親の顔を見て、それから俺を見て、首をかしげた。
「わかんない。誰ですか?」
父親が
「事故で名前も家族のことも忘れましてね。たぶん元には戻らないと思います」
と補足した。




(続きは『続きを読む』をクリック)









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隣に新しく人が引っ越してきたんです

2017.11.26 (Sun) Category : 創作作品

430:本当にあった怖い名無し:2017/11/19(日)16:56:09.92ID:zm4E/7O10.net
創作でしかも幽霊の話じゃないんだが投稿していいかな



431:本当にあった怖い名無し:2017/11/19(日)17:26:34.03ID:zm4E/7O10.net
返事がないので投下



432:1/5:2017/11/19(日)17:28:27.95ID:zm4E/7O10.net
新婚2年目の5月のことです。前の年に赤ちゃんができて、生後半年でした。
あの頃は集合住宅に住んでいまして・・・かなり大きな団地でしたが古くて・・・
入居者も歯がかけたようにほつぽつとしか入っておらず、子どもがもう少し大きくなったら新しくて広いところに越そうと、夫と話をしていました。

夫は食品販売の会社に勤めていたんですが、4月から3ヶ月の長期出張で地方支店に行ってました。
週末には帰って来ましたが、平日は赤ちゃんと2人でのんびりと過ごしていたんです。
それでですね、第2週の月曜に、右隣に新しく人が越してきたんです。

事前の連絡なんかはなかったです、自治会があまり機能してなかったんですね。
私が午後に赤ちゃんを乳母車にのせて2時間ばかり買い物に出ている間に、もう引っ越しは済んでしまっていましたから、荷物はあまりなかったんだと思います。

先ほど、のんびりしたと言いましたが、やはり寂しさもありましたので、話し相手になるような人ならいいなと思ってました。
ところがその日も、翌日もご挨拶も何もなかったんです。
こちらから伺うのもなんですし、そういうのが今風なんだと思って黙ってました。

ところがそれだけじゃなくて、通路で会ったとき私から挨拶しようとしたら、ふいと横を向いて部屋に入ってしまったんです。
私より5歳位上でしょうか、ちょうど夫くらいの年齢だと思いました。
きれいな方だと想うんですが、ボサボサの髪に化粧っ気はまったくありませんでした。



433:2/5:2017/11/19(日)17:29:29.32ID:zm4E/7O10.net
失礼な人、と思いましたが、どうやら一人暮らしで、昼夜逆転の生活をしているようでした。
日中は出かける様子がないし、夜ずっと部屋に明かりがついていたんです。
どうしてわかるかというと、物干し場をかねているベランダが、胸までの高さの仕切りはあるもののつながっていて、そこから身をのり出すとサッシ戸がのぞけるんですが、新しいカーテンのすき間から夜中ずっと明かりが見えてたんです。
いえ別に監視していたわけじゃなくて、なんとなく薄気味が悪いなと思ってたんです。

・・・夜の仕事というわけではなさそうでした。
ときおり深夜に出かけることもありましたがすぐ戻ってきて・・・
食料をコンビニ等で買ってたんだと思います。

そのうち土曜日になり、夫が帰ってきたのでお隣の話をしましたが、
「へえ、そう」
と言ったぐらいでほとんど関心がないようでした。
翌週の月曜日、天気がよかったのでベランダに洗濯物を干していましたら、そのお隣のベランダを白い猫がうろついていました。

動物が好きではないので種類はわかりませんでしたが、ごく普通の日本の猫に見えました。
ノラ猫ではないと思いました。この4階のベランダに登ってくることができるとは思えませんし、首に鈴がついてチリチリ鳴ってましたから。それに手術しているのか鳴き声もたてません。
お隣で飼っている猫なんだろうか・・・

団地はペット禁止でしたが、そのときは苦情を言うつもりはなかったんです。



434:3/5:2017/11/19(日)17:30:30.29ID:zm4E/7O10.net
それが・・・数日後風を入れるためにサッシを開けていたら、どうやらその猫が入り込んだようなんです。
寝室のほうに寝かせてある赤ちゃんのベビーベッドの布団にひじょうに臭いシミがついていました。
もちろん赤ちゃんはおむつなので、赤ちゃんのおしっこというわけではありません。
いつも寝室への襖は少し開けていますので、そこからベランダを通ってそこから入り込んだとしか考えられませんでした。

これは苦情を言うしかないと思い、意を決して通路に出、隣の部屋のインターホンを押しました。
しばらく間があって
「・・・何ですか」
と機械のような抑揚の返事が返ってきました。

「あのお宅で飼っている白い猫のことなんですが・・・」
「・・・猫がどうしたって」
「ベランダからうちに入り込んでるみたいなんです」
「それで?」
「困るんです。うちには赤ちゃんもいますし」

ここでまた間があって、
「赤ちゃん」
とインターホンからあざ笑うような声が聞こえました。
「ドア開けられないからそのままベランダに出て。そこで話すから」
ベランダの仕切りごしに話をするということなんだろうか、なにか部屋に入れられない理由でも・・・
それで不承不承ベランダに出ました。



435:4/5:2017/11/19(日)17:31:31.42ID:zm4E/7O10.net
待っているといつまでも出てきませんので、そこから声をかけました。
「あのベランダに出たんだけど」
するとサッシのすぐ後ろから
「今行く。準備してるんだよ」
と声がして、隣の女が両手に頑丈そうな白の布袋をひきずって出てきました。
相変わらずボサボサの髪でジャージの上下でした。
「あんたに迷惑かけたようだから猫を始末するよ・・・どっちの袋に猫入ってると思う」
わけがわからず黙っていると、
「早く選べよ、この2つの袋には猫とお前の赤ちゃんがはいってるんだよ」
「嘘!!そんなことありえない」

「・・・お前が最後に赤ちゃんを見たのはいつだよ?さっきこの仕切りを乗り越えて袋に入れたんだよ」
袋は下に置かれていましたが、よく見るとどちらも布を突っ張るようにして中で動いてるものがあります。
私は思わず赤ちゃんを見に部屋へ戻ろうとしましたが、
「動くな!動くとガキを入れたほうを下に放り投げるよ!」
「早く選びな。3つ数えるうちに選びな、1・2・・・」
私は仕切りにとびついて乗り越えようとしました。
でも足が上がりません。

女は片方の袋を持ってベランダの向こうの仕切りまで後じさりすると、高笑いしながら、両手で袋を外への手すりの下のコンクリの柱に叩きつけ出しました。
「アハハハハハハハ、さあ、死ね、死ね」



436:5/5:2017/11/19(日)17:32:33.60ID:zm4E/7O10.net
袋の中で
「ギッ、ギイイッ」
というくぐもった声がしていました。
女はすぐに疲れて、袋をコンクリの角に立てかけて足で踏み始めました。
「ギッ、ギニャッ」
「アハハハハハハハハ」
白い袋に赤く血が滲んできました。
私は仕切りを越えるのをあきらめ、寝室まで走りました。
赤ちゃんはベビーベッドですやすやと眠っていました。
「お前の赤ちゃんは声帯取ってないだろうが、アハハハハハハハア」
ベランダで女が叫び声を上げていました。
私は迷わず警察に通報しました。

ここからのことは話したくないです。
女は夫の昔の恋人だったみたいです。
あの団地のことを調べて越してきたみたいなんですね。
夫がそのことを知っていたかどうかはわかりません。
裁判のときには知らなかったとは言ってましたが・・・離婚したんです、このことのせいで。

女のほうは動物虐待ですか・・・たいした罪にはなりません。
両親らしき人が警察から引き取って連れて帰ったはずです。
どこかの病院に入院してるんじゃないかと思いますがわかりません。

あと、猫の袋とは別のもう一つのほうには、動く赤ちゃんのリアルな人形が入ってました。



437:本当にあった怖い名無し:2017/11/19(日)17:50:47.17ID:hkR/jbeO0.net
こわ~・・・



438:本当にあった怖い名無し:2017/11/19(日)20:09:10.55ID:wHuCZ5B70.net
ほんのりどころじゃねえわ



439:本当にあった怖い名無し:2017/11/19(日)21:04:32.05ID:BwkcG+EA0.net
いや創作なんでしょ



440:本当にあった怖い名無し:2017/11/19(日)22:20:23.72ID:QxXxNmc/0.net
最初稲川Jさんの語り口調で読んだよ
ベビーカーと称さないのは時代背景が古めなんかなぁ
マーキング困るよね



441:本当にあった怖い名無し:2017/11/19(日)22:36:53.59ID:EyjkVSEkO.net
創作宣言がなけりゃ、良作だったな



446:本当にあった怖い名無し:2017/11/20(月)06:08:21.48ID:lSrmcHyAO.net
創作だろうと思って読んでるくせに創作宣言されるとなんとなく萎えるのが不思議



447:本当にあった怖い名無し:2017/11/20(月)08:07:16.13ID:/f6eiWO60.net
こういう日常の中にある異常者の話もいいもんですな。オカルトじゃないけど。


引用元:ほんのりと怖い話スレ 126
http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1507703100/430-447




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ー親父の死ー <沙耶ちゃんシリーズ>

2017.11.25 (Sat) Category : 創作作品

46:まこと◆T4X5erZs1g:2008/08/23(土)22:45:42ID:5DwZQ5v70
<親父の死-1>
2時間ほど仮眠を取って、夜中のバイトの支度をしているところに電話が入った。
親父の面倒を看てもらっている叔母(母さんの妹)からだ。
「まことくん、お父さんの容態が急変したの。もう飛行機もないでしょうけど、できるだけ急いで来てあげて」

俺はすぐに自家用車で空港まで向かった。
バイト先には途中で連絡を入れた。
まだ店にいた店長は快諾してくれた。
H先輩には朝一の飛行機の時間を調べてもらった。
最近思うんだが、俺はなぜこの人をあんなに毛嫌いしていたんだろう。

空港に着いたが、最終便の出た後の国内線ロビーは、当然のように閑散としている。
駐車場に置いてきた車まで戻り、早朝までの充分な時間を睡眠に費やした。
なぜだろう。気は焦るが、親が死ぬという絶望感はない。
きっと『親孝行ができた』と実感しているからだ。
余命宣告よりずっと長生きをしてくれた親父に感謝。。。

0時を回って15分ほどした頃、沙耶ちゃんの携帯の番号を押した。
「今日は送っていけなくてごめん。昨日はありがとう」
と言うつもりだった。
でも彼女は出なかった。数回のコール音の後、
「ただいま電話に出ることができません」
とアナウンスが流れ、通話が切れた。
ああ、まだ仕事中だったかな。



47:まこと◆T4X5erZs1g:2008/08/23(土)22:46:56ID:5DwZQ5v70
<親父の死-2>
夜明けの陽の光で目が覚めた。
出発までは時間があったが、空港内に行って、メシと洗面を済ませた。
大丈夫。まだ親父は死んでいない。確信があった。
叔母からの連絡もなかったし、夢枕にも立たなかったしww
そういえば、例の悪夢みたいな幻覚も見なかったな。
このときばかりは白骨に感謝したよ。

飛行機に乗り込んで海を渡った。
そこからバスで1時間。
郷里の総合病院で無事に生きてる親父と面会したよ。
父さんは、自力呼吸もできないのに、酸素マスクを外して
「俺はお前に孝行してやった」
というようなことを言った。
そして死んだ。

わけがわからず湯灌の間に叔母に聞くと、そんなことにこだわってたのか、と笑いがこみあげるほど親父らしい考えを聞かされた。

「お父さんは、まことくんがお父さんより先に死んでしまうんじゃないかと、ずっと心配してたのよ。あなたが家を飛び出して音信不通になったときも、ずっと連絡が途切れていたときも」

「だから、お父さんが先に死んであげることがまことくんへの孝行になったの。そうしたら、まことくんは賽の河原で石を積まなくても済むでしょう」

賽の河原っていうのは、一般化してはいるが仏教思想の一つだな。
親より先に死んだ子どもは、三途の川を渡れずに(転生の手続きができずに)、親が迎えに来るまで延々と石を積まなくてはならないっていう、あれ。
親父が先に死んだから、俺はもういつ死んでもいいわけだ。

「なんで俺が死ぬなんて思ってたんだよ、あの人は?」
笑いながら叔母に聞くと、叔母は、至って真面目な口調で言った。
「姉さん(俺の母親)が、そこまであんたたちの一家を追い込んだからよ」
そして謝られた。
「あんなのが身内で、ごめんね」
俺がその謝罪を受け入れるわけはない。
愚考に走った母さんが悪いのは確かだし、おそらく、知らず知らずのうちにその原因を作った俺と親父が悪いのも納得できる。でも叔母は関係がないからね。



48:まこと◆T4X5erZs1g:2008/08/23(土)22:47:47ID:5DwZQ5v70
<親父の死-3>
親父が歓迎されない病死(アルコール中毒を経ての肝臓癌だったんだ)だったということと、喪主の俺が遠方から来ているということで、葬儀は内内で済ませることになった。
その夜、親戚だけの簡単な通夜をしていると、玄関が開いた。
読経の最中だったので目だけ上げると、母さんと姉さんがバツが悪そうに立っていた。

末席の叔母が2人を中に誘っている。(ああ、声をかけておいてくれたのか) 少し苦々しく思いながらも、久しぶりの顔が元気そうなのに安心した。

式が終わり、親類連中は帰った。
叔母は俺と仏さんの番をすると言い張っていたが、1人のほうが気楽なので帰した。
母と姉は町に宿を取っているという。
ビールを開け、親父の棺の横で、どうでもいいことに頭を巡らせた。

叔母の話によると、母さんは親父と結婚する前に付き合っていた相手がいたらしい。
結婚してからも感情的には切れていなかったんだろう。
気持ちの冷めている親父の世話をし、親父の子どもである俺を育てているうちに、現実から逃げ出したくなったのかな。
今では、その男と充実した生活を送っているはずだ。。。

ふと、沙耶ちゃんの言葉を思い出した。
『強力な守護霊に守られている人間は、努力しなくても、人生が好転するの』
羨ましい限りだね、まったく。

イライラしてきた。沙耶ちゃんの声が聞きたい。
携帯の番号を押すと、電源が入っていないとアナウンスされた。そっか。バイト中だったな。。。



49:まこと◆T4X5erZs1g:2008/08/23(土)22:48:50ID:5DwZQ5v70
<親父の死-4>
神経が昂ぶっていたが、それでもウツラウツラと眠れそうになってきた頃、玄関の戸が開いた。
挨拶のない訪問者を不審に思いながら出ると、母さんと姉さんと。。。泥だらけの子どもが立っていた。。。
「もうみんな帰った?ちょっと話があるんだけど」

母さんは、通夜の恥じ入った態度とは正反対のふてぶてしい表情で、親父の安置された部屋に上がりこんでいく。
姉さんは俺と顔も合わせずに母さんの後ろについている。
坊主は、俺の隣りで止まって、そこだけ泥がはげた薄い唇を動かした。
「次は頭」
全身が緊張したよ。
そっか。。。そういうお膳立てなわけか。。。

冷静さを欠いちゃまずい。
深呼吸を繰り返しながら自分に言い聞かせた。
母さんは、親父の死に顔に興味も見せずに切り出した。
「この家とお父ちゃんの預金のこと、あんた、聞いてる?」
知るか。首を振る。

「妹(叔母)の話だと、お父ちゃん、全部あんたに遺すって遺言書いちゃってるらしいんだわ。でもね、あたしはともかく、同じ子どもなのに、お姉ちゃんに何ももらえないっていうのは、不公平すぎるからね」
と母。
。。。てか、ここまで強欲だと母親扱いするのも抵抗があるわorz

「俺は遺言のことなんか知らないし、どうしようもないんだから、そんな話、持ってくんな」
吐き捨てると、姉ちゃんが初めて口を開いた。
「相続を放棄してくれればいいのよ。そうしたら、母ちゃんに半分、私たちには4分の1ずつ配分されて、みんな公平になるじゃない」

母親は
「お姉ちゃんにだけは遺産を渡して」
と繰り返す。姉は執拗に母親の権利を出張する。
なんかほんと。。。面倒。。。
「じゃあさ」
俺は、自分の言葉に自覚のないまま、言った。
「俺と姉さんがいなくなったらいいんじゃねーの?」



50:まこと◆T4X5erZs1g:2008/08/23(土)22:49:32ID:5DwZQ5v70
<親父の死-5>
人間の首って、こんなに激しく脈打ってるもんなんだな。
姉さんの顔が紫に染まっていくのを見ながら、俺はさらに両手の力を込めた。
母さんは腰が抜けたみたいで、大声を上げることもせずに、親父の棺桶を狂ったように叩いている。

なんだか予想どおりすぎて、拍子抜けだよ。
どうせ夢なんだろ、これ。
もう少し俺に不利な状況にしてもいいんじゃねーの?
なあ、坊主。

姉さんが泡を吹き始めた。そろそろ死ぬかな。
馬乗りになった俺が浮き上がるほどの抵抗をしてた体も、もうほとんど動かないし。
瞳孔が開いた。あー。。。なんつーか。。。気分は悪くないんだけど心残りがあるって感じだ。。。
沙耶ちゃんに連絡がついてたらなあ。。。俺、こんなことしなかったのに。。。

そう思った瞬間、こわばってた手から力が抜けた。姉さんの喉に酸素が流れる感触が現れた。
まだ生きてる!よかった!
母さんに向かって叫んだ。
「誰かを呼んできてくれ!早く!!」
でも、母さんは動かない。
畜生!自分の娘の緊急事態だろーが!

自力で姉から離れようとしたんだが駄目だ。脳が俺の意思を無視する。
また徐々に力が入ってきた。腕が攣るほど抵抗してるんだけど『負けてる』。
いっそ、手が動かなくなれば。。。見回すと、祭壇のでかい燭台が目に入った。ロウソクを抜けば使える!
俺は自分の肩に思いっきり噛みついた。痛みで我に返って、一瞬、体が自由になった。
祭壇に飛びつき、火のついているロウソクをねじ取って、鋭い針をむき出しにする。
そして、親父の棺桶の上に置いた自分の左手に、思いっきり突きたてた。



51:まこと◆T4X5erZs1g:2008/08/23(土)22:50:39ID:5DwZQ5v70
<親父の死-6>
母親の喚き声で集まった近所の親族が、救急車を呼んでくれた。
意識の朦朧としている姉を尻目に、運ばれたのは俺のほうだったww
燭台が大きかったので、針は俺の掌を貫通して骨を砕いてた。
親指と人差し指は普通に動いたが、後の3本は再起不能かもしれない。
ま、どうでもいいや。。。

治療を終えて病室で横たわっているときに、夢を見たよ。
俺は、体と右腕の再生した女の肉体を背負って、あのトンネルの脇に立っていた。
女は下に続く急勾配を指差している。
指示に従いながら、ゆっくりと下りてやった。
何かを探しているみたいだ。

女の指がさまよい始めた。場所が特定できないのか。
「ううん。見たくないの」
意外に若い声で、女は答えた。

すると、10mぐらい前方の薮が動いて、中から薄汚れた沙耶ちゃんが現れた。
「何やってんの、そんなとこで?」
と笑いながら聞くと、沙耶ちゃんも笑いながら、
「先に来て探してたんですよお」
と返す。
そして、俺の背中に向かって、足元を指差しながら、言った。
「ここでずっと待ってたんだよ」

沙耶ちゃんの足元には幼児が眠っていた。
女を背中から下ろしてやると、右手で幼児の頭を撫で始める。
「子どもと一緒に殺されちゃったんだよね。可哀相だったね」
沙耶ちゃんも傍らにしゃがみこんで、同じように幼児を撫でる。

いつのまにか坊主が来ていて、母親の首に頭を取りつけた。あれ?姉さんは生きてるはずだが?
母親は穏やかな表情で、子どもに頬ずりをした。
俺は坊主に言った。
「右腕だけじゃ子どもが抱けないから、俺の左腕をやれないかな?」
坊主は黙って母親を指差した。
母親は両腕で子どもを抱いていた。
そこで夢から覚めた。

医者が来て、俺の手は神経が寸断されてしまったので元どおりには動かないだろうと説明した。
大きな病院でなら神経の縫合をしてもらうことができるかもしれない、とも慰められたが、俺は断った。
俺が持ってるより、あの母親にやったほうが、何倍も役に立つ腕だったからね。



52:まこと◆T4X5erZs1g:2008/08/23(土)22:51:43ID:5DwZQ5v70
<親父の死-7>
包帯だらけの手だったからか、翌日の葬儀には野暮なツッコミは入らなかったww
親戚の何人かが
「あの馬鹿どもは昨日のうちに追い出してやった」
と報告してくれた。
田舎の団結力は頼もしいなw

火葬場に移り、骨上げ(骨が焼けること)を待っているときに、焼き場の職員から呼び出された。
「とても申し上げにくいんですが。。。お父さんの頭のお骨が見当たらないんです。どうしましょうか?」
そっか。親父が姉さんの代わりに首を提供してくれたのか。。。
親族には黙っておいてくれと頼んだ。
どうせ、酒びたりだった親父の骨はまともな原型を留めていなかったし。

すべての儀式を終えた後、俺は空港の待合室で久しぶりに携帯を取り出した。
驚いたよ。40件近い着信が入ってる。
そのうちの30件以上を占めていた梶に電話をすると、ヤツは深刻そうに切り出した。
「沙耶ちゃんってまことさんとそっちに行ってる?バイト、ずっと無断欠勤してるんだけど」

すぐに梶を切って、沙耶ちゃんにかけ直す。。。。電源が入ってない。
最後に会ったのは、踏切事故の翌日の朝だ。もう6日も経つ。その間、電話は一度も通じなかった。
『先に来て探してたんですよ』
夢の中では、沙耶ちゃんはトンネルにいた。
事故?嫌な想像が頭をかすめた。



引用元:【霊感持ちの】シリーズ物総合スレ5【友人・知人】
https://anchorage.5ch.net/test/read.cgi/occult/1219147569/46-52







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