都市伝説・・・奇憚・・・blog
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開けてくれ(1)
2007.09.25 (Tue) | Category : 都市伝説・定番
A子とB夫、C子とD夫の2組のカップルが、夏休みを利用して一緒に旅行をすることにした。
B夫は仕事の都合で出発が遅れそうとのことなので、A子はC子とともにD夫の運転する車に乗り込み、先に目的地のホテルへと向かう。
道中、A子はC子やD夫と他愛のない話をして盛り上がっていたのだが、車が山道に差し掛かった頃に急に睡魔に襲われ、深い眠りに落ちていった。
A子が目覚めると、そこはどうやらホテルの一室。
知らない間に目的地に着いてしまったらしい。
辺りを見まわすと深刻な表情のC子とD夫が自分のことを見つめている。
D夫は重々しく口を開いた。
「目が覚めたかい?実は・・・とても残念な知らせがあるんだ。どうか心を落ちつけて、ショックを受けないようにして欲しい。さっき地元の病院から電話があった。B夫はここに向かう途中に崖から転落して病院に運び込まれ・・・たった今、息を引き取ったそうだ」
あまりに突然の知らせ。
A子は驚きで頭の中が真っ白になり、
「嘘でしょ・・・」
とだけ尋ねるのがやっとであった。
「私たちも嘘であって欲しいとどんなに願ったか。でも、これは事実なのよ」
C子が涙ながらにA子に語った。
もう夜も遅かったため病院へは明日行くことにし、その日はみんな早めに眠りにつくことに決まる。
A子があまりに大きなショックを受けているようであったため、C子もD夫も今日は一晩中A子の側にいると約束をした。
その日の夜遅く。
A子が一睡もできぬままに過ごしていると、
「ズリッ、ズリッ」
廊下から何かを引きずるような音が聞こえてきた。
音はだんだんA子たちがいる部屋に近づいてくる。
やがて、音が扉のすぐ前まで迫り
「ドン、ドン」
ドアを誰かがノックする音、そして聞き覚えのある声が響いてきた。
「A子、A子!頼むから返事をしてくれ」
この声は・・・B夫だ!
A子は起き上がり扉に駆け寄ろうとしたが、誰かに手を掴まれてそれを阻まれる。
見ると厳しい表情のD夫がしっかりとA子の手を握って離さない。
C子も不安そうな表情でA子を見つめている。
二人ともA子同様、眠れぬ夜を過ごしていたのだ。
D夫が強い口調でA子に言った。
「A子、行っちゃだめだ。B夫はきっと君を迎えに来たんだ。もし扉を開けたら、君まで死んでしまう!」
それでも扉の方へ行こうとするA子に向かい、C子も涙ながらに訴えた。
「ダメよ、A子。行ったらもう戻れないわ。B夫はもう私たちと同じ世界の人間じゃないの。B夫はもう死んだのよ!」
躊躇するA子。
その時、再び強く扉が叩かれた。
「頼む、A子。お願いだ・・・開けてくれ。俺は、俺はおまえなしじゃダメなんだ。お願いだ、A子。お願いだ・・・」
A子は二人を振り払い、涙ながらにこう言った。
「ごめん。二人とも、ごめん。私もB夫なしじゃ生きていけない。B夫がいない世界で生きるぐらいなら、B夫と一緒に向こうの世界へ・・・」
A子は扉に駆け寄ると鍵を外し、力いっぱいに扉を押し開けた。
まばゆい光が部屋の中に溢れた・・・
「A子、お願いだ。開けてくれ。目を開けてくれ・・・」
B夫の声がすぐ近くで響いている。
A子は目を開き辺りを見まわした。
そこは病院の一室。
どうやらA子は病室のベッドに寝ているらしい。
A子の目の前にはB夫の顔が、涙で目を真っ赤にしたB夫の顔が見える。
「A子・・・」
B夫はそれだけをやっと口に出すと、A子をしっかりと抱きしめた。
聞くとA子たちを乗せた車はホテルへ向かう途中に崖から転落。
A子はすぐに病院に運び込まれたが、一晩の間生死の境をさまよっていたらしい。
「それから・・・C子とD夫は死んだよ。病院に運び込まれた時には、もう手遅れだった」
B夫は言いにくそうにそれだけをA子に告げた。
A子が生死の境をさまよっている時、夢の中に現れたC子とD夫はA子を道づれにしようとしていたのであろうか。
今となっては知るすべはない。
.
B夫は仕事の都合で出発が遅れそうとのことなので、A子はC子とともにD夫の運転する車に乗り込み、先に目的地のホテルへと向かう。
道中、A子はC子やD夫と他愛のない話をして盛り上がっていたのだが、車が山道に差し掛かった頃に急に睡魔に襲われ、深い眠りに落ちていった。
A子が目覚めると、そこはどうやらホテルの一室。
知らない間に目的地に着いてしまったらしい。
辺りを見まわすと深刻な表情のC子とD夫が自分のことを見つめている。
D夫は重々しく口を開いた。
「目が覚めたかい?実は・・・とても残念な知らせがあるんだ。どうか心を落ちつけて、ショックを受けないようにして欲しい。さっき地元の病院から電話があった。B夫はここに向かう途中に崖から転落して病院に運び込まれ・・・たった今、息を引き取ったそうだ」
あまりに突然の知らせ。
A子は驚きで頭の中が真っ白になり、
「嘘でしょ・・・」
とだけ尋ねるのがやっとであった。
「私たちも嘘であって欲しいとどんなに願ったか。でも、これは事実なのよ」
C子が涙ながらにA子に語った。
もう夜も遅かったため病院へは明日行くことにし、その日はみんな早めに眠りにつくことに決まる。
A子があまりに大きなショックを受けているようであったため、C子もD夫も今日は一晩中A子の側にいると約束をした。
その日の夜遅く。
A子が一睡もできぬままに過ごしていると、
「ズリッ、ズリッ」
廊下から何かを引きずるような音が聞こえてきた。
音はだんだんA子たちがいる部屋に近づいてくる。
やがて、音が扉のすぐ前まで迫り
「ドン、ドン」
ドアを誰かがノックする音、そして聞き覚えのある声が響いてきた。
「A子、A子!頼むから返事をしてくれ」
この声は・・・B夫だ!
A子は起き上がり扉に駆け寄ろうとしたが、誰かに手を掴まれてそれを阻まれる。
見ると厳しい表情のD夫がしっかりとA子の手を握って離さない。
C子も不安そうな表情でA子を見つめている。
二人ともA子同様、眠れぬ夜を過ごしていたのだ。
D夫が強い口調でA子に言った。
「A子、行っちゃだめだ。B夫はきっと君を迎えに来たんだ。もし扉を開けたら、君まで死んでしまう!」
それでも扉の方へ行こうとするA子に向かい、C子も涙ながらに訴えた。
「ダメよ、A子。行ったらもう戻れないわ。B夫はもう私たちと同じ世界の人間じゃないの。B夫はもう死んだのよ!」
躊躇するA子。
その時、再び強く扉が叩かれた。
「頼む、A子。お願いだ・・・開けてくれ。俺は、俺はおまえなしじゃダメなんだ。お願いだ、A子。お願いだ・・・」
A子は二人を振り払い、涙ながらにこう言った。
「ごめん。二人とも、ごめん。私もB夫なしじゃ生きていけない。B夫がいない世界で生きるぐらいなら、B夫と一緒に向こうの世界へ・・・」
A子は扉に駆け寄ると鍵を外し、力いっぱいに扉を押し開けた。
まばゆい光が部屋の中に溢れた・・・
「A子、お願いだ。開けてくれ。目を開けてくれ・・・」
B夫の声がすぐ近くで響いている。
A子は目を開き辺りを見まわした。
そこは病院の一室。
どうやらA子は病室のベッドに寝ているらしい。
A子の目の前にはB夫の顔が、涙で目を真っ赤にしたB夫の顔が見える。
「A子・・・」
B夫はそれだけをやっと口に出すと、A子をしっかりと抱きしめた。
聞くとA子たちを乗せた車はホテルへ向かう途中に崖から転落。
A子はすぐに病院に運び込まれたが、一晩の間生死の境をさまよっていたらしい。
「それから・・・C子とD夫は死んだよ。病院に運び込まれた時には、もう手遅れだった」
B夫は言いにくそうにそれだけをA子に告げた。
A子が生死の境をさまよっている時、夢の中に現れたC子とD夫はA子を道づれにしようとしていたのであろうか。
今となっては知るすべはない。
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