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地下の井戸(前編)
2011.05.28 (Sat) | Category : 人を信じすぎる人へ
902 本当にあった怖い名無し 2008/01/21(月) 00:52:13 ID:wohjQNUp0
これを書いたら、昔の仲間なら俺が誰だか分かると思う。
ばれたら相当やばい。まだ生きてるって知られたら、また探しにかかるだろう。
でも俺が書かなきゃ、あの井戸の存在は闇に葬られたままだ。だから書こうと思う。
文章作るの下手だし、かなり長くなった。しかも怪談じゃないから、興味の湧いた人だけ読んで欲しい。
今から数年前の話。俺は東京にある、某組織の若手幹部に使われてた。Nさんって人。
今やそういう組織も、日々の微妙にヤバい仕事は、アウトソーシングですよ。
それも組織じゃなく、個人が雇うの。警察が介入してきたら、トカゲの尻尾切りってやつね。
その代わり金まわりは、かなり良かったよ。俺は都内の、比較的金持ちの日本人、外国人が遊ぶ街で働いてた。日々のヤバい仕事っていうと、すごそうだけど、実際に俺がやってたのは、ワンボックスで花屋に花取りに行って、代金を払う。
その花を俺がキャバクラから、高級クラブまで配達する。キャバクラ行くと、必ず花置いてあんだろ?あれだよ。で、花配りながら、集金して回る。
もちろん花屋に渡した代金の、3~5倍はもらうんだけどね。3万が10万、5万が25万になったりするわけよ。月に3千万くらいにはなったね。
俺がやるヤバい仕事ってのは、最初はその程度だった。それでも結構真面目にやってた。
相手も海千山千のが多いからさ。相手が若僧だと思うと、なめてかかって、値切ろうとするバカもいるんだよね。
その度に暴力沙汰起こしてたんじゃ、仕事になんないわけだ。起こす奴もいるけど。でも警察呼ばれたら負けだからね。次から金取れなくなるから、組から睨まれる。タダじゃすまんよ。
そういう時、俺は粘り強く話す。話すけど、肝心なトコは絶対譲らない。一円も値切らせないし、ひとつの条件もつけさせない。
前置き長くなったけど、まあうまくやってるってんで、Nさんの舎弟のSさん、Kさんなんかに、結構信頼されるようになった。
それで時々花の配達に使ってるワンボックスで、夜中に呼び出されるようになった。
積んでるのは、多分ドラム缶とか段ボール。荷物積む時は、俺は運転席から出ない事になってたし、後ろは目張りされてて、見えないから。
それでベンツの後ろついてくだけ。荷物を下ろしたら、少し離れたところで待たされて、またベンツについて帰って、金もらって終了。
何を運んでたなんて知らない。その代わり、1回の仕事で、花の配達の1ヶ月分のバイト代をもらえた。
ある夜、また呼び出された。行ってみると、いつもとメンツが違う。いつもはSさんかKさんと、部下の若い人だった。ところがその日は、幹部のNさんがいて、他にはSさん、Kさんの3人だけ。
3人とも異様に緊張してイラついてて、明らかに普通じゃない雰囲気。俺が着いても、エンジン切って待ってろって言ったまま、ボソボソ何か話してた。
「・・・はこのまま帰せ」
「あいつは大丈夫ですよ。それより・・・」
途切れ途切れに会話が聞こえてたけど、結局俺は運転していく事になった。何だか嫌な予感がしたけどね。
後ろのハッチが開いて、何か積んでるのが分かった。でも今回はドラム缶とか、段ボールじゃなかった。置いた時の音がね、いつもと違ってた。重そうなもんではあったけど。
更に変だったのが、SさんとKさんが同乗した事。いつもは俺一人で、ベンツについてくだけなのに。しかもいきなり首都高に入った。あそこはカメラもあるし、出入口にはNシステムもあるから。こういう仕事の時は、一般道でもNシステムは回避して走るのに。
首都高の環状線はさ、皇居を見下ろしちゃいけないとかでさ、何ヵ所か地下に入るよね。恥ずかしながら、俺は運転には自信あるけど、道覚えるのは、苦手なんだよね。方向音痴だし。
多分環状線を、2周くらいしたと思う。車が途切れたところで、突然Nさんが乗るベンツが、トンネルの中で、ハザード出した。
それまでSさんもKさんも、ひと言もしゃべらなかったけど、Sさんが、右の車線に入って止めろって。言われるままに止めたよ。そこって合流地点だった。で、中洲みたいになってるとこに、バックで車入れろって言うから、その通りにして、ライト消した。
両側柱になってて、普通に走ってる車からは、振り返って見たとしても、なかなか見つけられないと思う。まあ見つけたとしても、かかわり合いにならない方が良いけどね。Nさんが乗ったベンツは、そのまま走り去った。
SさんとKさんは、二人で荷物を下ろしてたけど、俺にも下りて来いって。俺はこの時も、嫌な予感がした。今まで呼ばれた事なんて無かったし。
SさんとKさんが、二人で担ぎ上げてるビニールの袋。映画とかでよく見る、死体袋とかいう黒いやつ。もう中身は、絶対に人間としか思えない。
とんでもない事に巻き込まれたって思って、腰が痛くなった。多分腰抜ける寸前だったんだろう。何で組の人じゃなくて、俺なの?ってその時は思ったけど、その理由も後になれば分かったんだけど。
で、Sさんがポケットに鍵があるから、それ使って、金網の扉の鍵開けろって言うから、言う通りにした。金網開けて、5~6メートルで、また扉にぶつかる。扉というより、鉄柵って感じかな。だって開ける為の把手とか無いし、第一鍵穴すら見当たらない。
どうすんだろうな~と思ったら、またSさんが別のポケットを指定。今度は大小ひとつずつの鍵。コンクリの壁にステンレスの小さい蓋が付いてて、それを小さい方の鍵で開ける。中に円筒形の鍵穴があって、それは大きい方の鍵。それを回すと、ガチャって音がして、柵が少し動いた。
右から左に柵が開いた。壁の中まで柵が食い込んでて、その中でロックされてる。鍵を壊して侵入は、出来ない構造らしい。
更に先はもう真っ暗。マグライトをつけて先に進んだけど、すぐに鉄扉に当たった。『無断立入厳禁 防衛施設庁』って書いてあった。これは不思議だった。だってここ道路公団の施設だよね?
ていうか、こんなとこ入って、平気なのかなって思った。まあこの人たちのやる事だから、抜かりは無いとは思うんだけど、監視カメラとかあるんじゃないのって、不安になった。まあ中に進んだら、もっと不思議なもんが、待ってたんだけどね。鉄の扉も、さっきの鉄柵と同じ要領で開いて、俺たちは中に入った。
SさんもKさんも、うっすら汗かき始めてて、随分重そうだったけど、運ぶの手伝えとは言わなかった。中に入るとすぐ階段で、ひたすら下に下りて行った。結構下りた。時々二人が止まって、肩に担ぎ上げた「荷物」を担ぎ直してた。
階段を下りると、ものすごく広い通路が、左右に伸びてた。多分幅10mくらいあったと思う。
下りたところで、ひと休みした。通路はところどころ電灯がついてて、すごく薄暗いけど、一応ライトは無しで歩けた。俺たちは反対側に渡って(って言いたくなるくらい広い)、左手に向かって進んだ。
時々休みながら、どれくらい進んだかな。通路自体は分岐はしてない。ひたすら真っ直ぐで、左右の壁に時々鉄の扉がついてる。ある扉の前でSさんが止まって言った。
「これじゃねえか。これだろ」
そこには『帝国陸軍第十三号坑道』そう書いてあった。字体は古かったけど。信じられる?今の日本にあるのは、陸上自衛隊でしょ。何十年も前のトンネルなのか、これは?
SさんもKさんも、汗だくで息も荒くなってたから、扉を入ったところで、また「荷物」を下ろして、休憩する事にした。二人とも無言だったから、俺も黙ってた。
しばらくして、Sさんがそろそろ行こうって言って、袋の片側、多分『足』がある側を持った。そしたら・・・
『袋』が突然暴れた。Sさんは不意を突かれて、手を放してしまい、弾みで反対側の袋の口から、顔が出てきた。猿ぐつわを噛まされた、ちょっと小太りの男。
どっかで見たことある・・・それもあるけど、分かっていながらも、袋からリアルに人が、しかも生きた人が出てきた事にビビッて、俺は固まってた。
SさんがKさんに
「おい何で目を覚ました!」
「クスリ打てクスリ!」
「袋に戻せ!」
とか言ってるのが聞こえた。
(※一旦区切ります。後編はこちら)
これを書いたら、昔の仲間なら俺が誰だか分かると思う。
ばれたら相当やばい。まだ生きてるって知られたら、また探しにかかるだろう。
でも俺が書かなきゃ、あの井戸の存在は闇に葬られたままだ。だから書こうと思う。
文章作るの下手だし、かなり長くなった。しかも怪談じゃないから、興味の湧いた人だけ読んで欲しい。
今から数年前の話。俺は東京にある、某組織の若手幹部に使われてた。Nさんって人。
今やそういう組織も、日々の微妙にヤバい仕事は、アウトソーシングですよ。
それも組織じゃなく、個人が雇うの。警察が介入してきたら、トカゲの尻尾切りってやつね。
その代わり金まわりは、かなり良かったよ。俺は都内の、比較的金持ちの日本人、外国人が遊ぶ街で働いてた。日々のヤバい仕事っていうと、すごそうだけど、実際に俺がやってたのは、ワンボックスで花屋に花取りに行って、代金を払う。
その花を俺がキャバクラから、高級クラブまで配達する。キャバクラ行くと、必ず花置いてあんだろ?あれだよ。で、花配りながら、集金して回る。
もちろん花屋に渡した代金の、3~5倍はもらうんだけどね。3万が10万、5万が25万になったりするわけよ。月に3千万くらいにはなったね。
俺がやるヤバい仕事ってのは、最初はその程度だった。それでも結構真面目にやってた。
相手も海千山千のが多いからさ。相手が若僧だと思うと、なめてかかって、値切ろうとするバカもいるんだよね。
その度に暴力沙汰起こしてたんじゃ、仕事になんないわけだ。起こす奴もいるけど。でも警察呼ばれたら負けだからね。次から金取れなくなるから、組から睨まれる。タダじゃすまんよ。
そういう時、俺は粘り強く話す。話すけど、肝心なトコは絶対譲らない。一円も値切らせないし、ひとつの条件もつけさせない。
前置き長くなったけど、まあうまくやってるってんで、Nさんの舎弟のSさん、Kさんなんかに、結構信頼されるようになった。
それで時々花の配達に使ってるワンボックスで、夜中に呼び出されるようになった。
積んでるのは、多分ドラム缶とか段ボール。荷物積む時は、俺は運転席から出ない事になってたし、後ろは目張りされてて、見えないから。
それでベンツの後ろついてくだけ。荷物を下ろしたら、少し離れたところで待たされて、またベンツについて帰って、金もらって終了。
何を運んでたなんて知らない。その代わり、1回の仕事で、花の配達の1ヶ月分のバイト代をもらえた。
ある夜、また呼び出された。行ってみると、いつもとメンツが違う。いつもはSさんかKさんと、部下の若い人だった。ところがその日は、幹部のNさんがいて、他にはSさん、Kさんの3人だけ。
3人とも異様に緊張してイラついてて、明らかに普通じゃない雰囲気。俺が着いても、エンジン切って待ってろって言ったまま、ボソボソ何か話してた。
「・・・はこのまま帰せ」
「あいつは大丈夫ですよ。それより・・・」
途切れ途切れに会話が聞こえてたけど、結局俺は運転していく事になった。何だか嫌な予感がしたけどね。
後ろのハッチが開いて、何か積んでるのが分かった。でも今回はドラム缶とか、段ボールじゃなかった。置いた時の音がね、いつもと違ってた。重そうなもんではあったけど。
更に変だったのが、SさんとKさんが同乗した事。いつもは俺一人で、ベンツについてくだけなのに。しかもいきなり首都高に入った。あそこはカメラもあるし、出入口にはNシステムもあるから。こういう仕事の時は、一般道でもNシステムは回避して走るのに。
首都高の環状線はさ、皇居を見下ろしちゃいけないとかでさ、何ヵ所か地下に入るよね。恥ずかしながら、俺は運転には自信あるけど、道覚えるのは、苦手なんだよね。方向音痴だし。
多分環状線を、2周くらいしたと思う。車が途切れたところで、突然Nさんが乗るベンツが、トンネルの中で、ハザード出した。
それまでSさんもKさんも、ひと言もしゃべらなかったけど、Sさんが、右の車線に入って止めろって。言われるままに止めたよ。そこって合流地点だった。で、中洲みたいになってるとこに、バックで車入れろって言うから、その通りにして、ライト消した。
両側柱になってて、普通に走ってる車からは、振り返って見たとしても、なかなか見つけられないと思う。まあ見つけたとしても、かかわり合いにならない方が良いけどね。Nさんが乗ったベンツは、そのまま走り去った。
SさんとKさんは、二人で荷物を下ろしてたけど、俺にも下りて来いって。俺はこの時も、嫌な予感がした。今まで呼ばれた事なんて無かったし。
SさんとKさんが、二人で担ぎ上げてるビニールの袋。映画とかでよく見る、死体袋とかいう黒いやつ。もう中身は、絶対に人間としか思えない。
とんでもない事に巻き込まれたって思って、腰が痛くなった。多分腰抜ける寸前だったんだろう。何で組の人じゃなくて、俺なの?ってその時は思ったけど、その理由も後になれば分かったんだけど。
で、Sさんがポケットに鍵があるから、それ使って、金網の扉の鍵開けろって言うから、言う通りにした。金網開けて、5~6メートルで、また扉にぶつかる。扉というより、鉄柵って感じかな。だって開ける為の把手とか無いし、第一鍵穴すら見当たらない。
どうすんだろうな~と思ったら、またSさんが別のポケットを指定。今度は大小ひとつずつの鍵。コンクリの壁にステンレスの小さい蓋が付いてて、それを小さい方の鍵で開ける。中に円筒形の鍵穴があって、それは大きい方の鍵。それを回すと、ガチャって音がして、柵が少し動いた。
右から左に柵が開いた。壁の中まで柵が食い込んでて、その中でロックされてる。鍵を壊して侵入は、出来ない構造らしい。
更に先はもう真っ暗。マグライトをつけて先に進んだけど、すぐに鉄扉に当たった。『無断立入厳禁 防衛施設庁』って書いてあった。これは不思議だった。だってここ道路公団の施設だよね?
ていうか、こんなとこ入って、平気なのかなって思った。まあこの人たちのやる事だから、抜かりは無いとは思うんだけど、監視カメラとかあるんじゃないのって、不安になった。まあ中に進んだら、もっと不思議なもんが、待ってたんだけどね。鉄の扉も、さっきの鉄柵と同じ要領で開いて、俺たちは中に入った。
SさんもKさんも、うっすら汗かき始めてて、随分重そうだったけど、運ぶの手伝えとは言わなかった。中に入るとすぐ階段で、ひたすら下に下りて行った。結構下りた。時々二人が止まって、肩に担ぎ上げた「荷物」を担ぎ直してた。
階段を下りると、ものすごく広い通路が、左右に伸びてた。多分幅10mくらいあったと思う。
下りたところで、ひと休みした。通路はところどころ電灯がついてて、すごく薄暗いけど、一応ライトは無しで歩けた。俺たちは反対側に渡って(って言いたくなるくらい広い)、左手に向かって進んだ。
時々休みながら、どれくらい進んだかな。通路自体は分岐はしてない。ひたすら真っ直ぐで、左右の壁に時々鉄の扉がついてる。ある扉の前でSさんが止まって言った。
「これじゃねえか。これだろ」
そこには『帝国陸軍第十三号坑道』そう書いてあった。字体は古かったけど。信じられる?今の日本にあるのは、陸上自衛隊でしょ。何十年も前のトンネルなのか、これは?
SさんもKさんも、汗だくで息も荒くなってたから、扉を入ったところで、また「荷物」を下ろして、休憩する事にした。二人とも無言だったから、俺も黙ってた。
しばらくして、Sさんがそろそろ行こうって言って、袋の片側、多分『足』がある側を持った。そしたら・・・
『袋』が突然暴れた。Sさんは不意を突かれて、手を放してしまい、弾みで反対側の袋の口から、顔が出てきた。猿ぐつわを噛まされた、ちょっと小太りの男。
どっかで見たことある・・・それもあるけど、分かっていながらも、袋からリアルに人が、しかも生きた人が出てきた事にビビッて、俺は固まってた。
SさんがKさんに
「おい何で目を覚ました!」
「クスリ打てクスリ!」
「袋に戻せ!」
とか言ってるのが聞こえた。
(※一旦区切ります。後編はこちら)
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えど
電 2011.05.28 (Sat) 20:01 編集
Re:無題
??
2011.05.28 20:30