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都市伝説・・・奇憚・・・blog

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地下の井戸(後編)

(前編はこちら



Kさんはクスリは持って無いとか、何とか答えてた。その間も『袋』は暴れてた。暴れてたというか、体を縛られてるらしく、激しく身をよじって、袋から出ようとしていた。
するとSさんが、袋の上から腹のあたりを、踏んづけるように蹴った。一瞬『袋』の動きが止まったけど
「ウ~!」と、すごい唸り声を上げながら、また暴れ出した。

Sさんは腹のあたりを、構わず蹴り続けた。それでも『袋』は、暴れ続けた。やがてKさんも加わって、二人で滅茶苦茶に蹴り始めた。パキって音が、2、3回立て続けにした。多分肋骨が折れたんだと思う。

『袋』の動きが止まった。その時なぜか、男は頭を振って、俺に気が付いた。
それまですごい形相で、暴れていた男が、急に泣きそうな顔で、俺を見つめた。

Sさんが「袋に戻せ」と言うと、Kさんが男の肩のあたりを、足で抑えながら、袋を引っ張って、男を中に戻した。
今でもその光景は、スローモーションの映像のまま、俺の記憶に残ってる。
男は袋に戻されるまで、ずっと俺を見てた。一生忘れられない。

Kさんが、袋の口をきつく縛るのを確認すると、Sさんは更に数回、袋を蹴った。
「これくらいかな。殺しちゃまずいからな」
Sさんはそう言って、俺を見た。
「お前、こいつの顔を見たか」
「いえ・・・突然だったんで、何が何だか」
そう答えるのが、精一杯だった。その時は本当に、どこかで見たような気がしたけど、思い出せなかった。

SさんとKさんは、再び動かなくなった『袋』を担ぎ上げた。それまでと違うのは、真ん中に俺が入ったこと。もう中身を知ってしまったので、一連托生だ。

それからその13号坑道ってやつを、延々歩いた。今までの広い通路とはうって変わって、幅が3mも無いくらいの、狭い通路だった。

右手は常に壁なんだけど、左手は時々、下に下りる階段があった。
幅1mちょいくらいの階段で、ほんの数段下りたところに、扉がついてた。

何個目か分かんないけど、Sさんがある扉の前で止まれって言った。そこもまた『帝国陸軍』。
『帝国陸軍第126号井戸』って書いてあった(128だったかも。偶数だった記憶があるけど忘れた)
それでSさんに言われるまま、中に入った。

中は結構広い部屋だった。小中学校の教室くらいはあったかな。その真ん中に、確かに井戸があった。でも蓋が閉まってるの。重そうな鉄の蓋。端っこに鎖がついてて、それが天井の滑車につながってた。滑車からぶら下がっている、もうひとつの鎖を引いて回すと、蓋についた鎖が徐々に巻き取られて、蓋が開いてく仕掛けになってた。

オレは言われるままに、どんどん鎖を引っ張って、蓋を開けていった。完全に蓋が開いたとこで、二人が『袋』を抱え上げた。もう分かったよ。この地底深く、誰も来ない井戸に、投げ込んでしまえば、二度と出てこないもんね。でもひとつだけ分からない事があった。なんで「生きたまま」投げ込む必要があるの?

二人は袋を井戸に落とした。ドボーン!水の中に落ちる音が、するはずだった。でも聞こえてきたのは、バシャッて音。この井戸、水が枯れてるんじゃないの?って音。SさんとKさんも、顔を見合わせてた。

Sさんが俺の持っているマグライトを見て顎をしゃくってみせ、首を傾げて井戸を覗けってジェスチャーをした。マグライトで照らしてみたけど、最初はぼんやりとしか底まで光が届かなかった。レンズを少し回して焦点を絞ると、小さいけど底まで光が届いた。光の輪の中には『袋』の一部が照らし出されてる。やっぱり枯れてるみたいで、水はほとんど無い。

そこに手が現れた。真っ白い手。さらにつるっぱげで、真っ白な頭頂部。
あれ、さっきの『袋』の人、つるっぱげじゃ無かったよな。
ワケが分かんなくて、呆然と考えていたら、また頭が現れた。

え?2人?ますます頭が混乱して、ただ眺めてたら、その頭がすっと上を向いた。
目が無い。
空洞とかじゃなくて、鼻の穴みたいな小さい穴がついてるだけ。

理解不能な出来事に、俺たちは全員固まってた。しかも2人だけじゃ無さそうだ。奴らの周囲でも、何かがうごめいている気配がする。何だあれ?人間なのか?なぜ井戸の中にいる?何をしている?

その時、急に扉が開いて、人が入ってきた。俺は驚いてライトを落として、立ち上がってた。SさんとKさんも。入ってきたのは、Nさんだった。Nさんは俺たちを見て、怪訝そうな顔をした。
「S、もう済んだのか」
Sさんは少しの間、呆然としていたけど、すぐに答えた。
「済みました」
Nさんは俺たちの様子を見て、俺たちが井戸の中身を見た事を悟ったみたいだった。

「見たのか、中を」

俺たちはうなずきもせず、言葉も発しなかったが、否定しないことが肯定になった。
「さっさと蓋閉めろ」
言われて俺は、慌てて鎖のところに行って、さっきとは反対側の鎖を引いて回した。少しずつ蓋が閉まっていく。
「余計な事を考えるんじゃねえ。忘れろ」

そう言われた。確かにそうなんだけど、ぐるぐる考えた。殺しちゃまずいって、Sさんは言ってた。
Sさん自身も、なぜ殺しちゃだめなのか、知らなかったんだと思う。生きたまま落とした理由は?
生きたまま・・・・あの化け物のような奴らがいるところへ。考えたく無くなった。

俺たちは来た道を戻り、車で道に出た。今度はSさん、Kさんは、Nさんのベンツに乗っていった。
そしてそれが3人を見た最後になった。

俺は思い出していた。あのとき『袋』に入っていた男の顔を。
最近出所してきた、会長の3男だった。出来の悪い男というウワサだった。

ケチな仕事で下手を踏み、服役していたらしい。俺は2、3回しか顔を合わせた事が無かったが、大した事無さそうなのに、威張り散らしてヤな感じだったのを覚えてる。

だからといって、会長の息子を殺すのはアウトだよ、死体を隠したっていずれバレる。
それでも出来るだけバレないように、俺を使って運んだんだろうけど。

あの出来事から2週間くらいして、Nさんが居なくなった、お前も姿をくらませって、Sさんから電話があった。バレたんだ。会長の息子を殺ったのを。

組から距離をおいていたのが幸いして、俺は逃げ延びる事ができた。
SさんやKさんがどうなったのかは知らない。あれから数年、俺は人の多い土地を転々としている。これはあるネットカフェで書いた。

もうすぐネットカフェも、身分証を見せないと書き込めなくなるらしい。
これが最後のチャンスだ。
組の人たちがこれを知れば、どこから書いたのか、すぐに突き止めると思う。
だから俺はこの街には、二度と戻ってこない。

誰かあの井戸を突き止めて欲しい。なぜあの井戸に、暴力団なんかが鍵持って入れるのか。
そうしたら俺の追っ手は、皆捕まるかも知れない。

俺は逃げ延びたい。これからも逃げ続けるつもりだ。


 




拍手[6回]

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この記事へのコメント

無題

かわず

Re:無題

かわず??

ああ、蛙ってこと?

無題

あー、あるある。

Re:無題

え、あるんですか?

無題

『帝 国 陸 軍 第 十 三 号 坑 道』
についての話をした人もいたよね。
よしぞーさん知ってる?

Re:無題

いえ、あまり知りません。
ご存知でしたら教えてください♪

無題

え…凶華様は?

Re:無題

誰w

無題

うちのじいちゃんは戦前憲兵だったためか、東京のどの辺にはこういう非常用地下道があるとかいってましたね

Re:無題

へえ、詳しい話を聞いてみたいですね。
まだご存命なのでしょうか。

無題

井戸はいろいろあるよね
うちの田舎の井戸もネコちゃんが飛びこんだし…
親猫がずっと井戸から離れずにゃんにゃんと…(;ω;`)

Re:無題

(´;ω;`)ブワッ

無題

人間似の新種の生物か…
胸が熱くなりますね!

Re:無題

地底人!

無題

こういう怖い話もいいですね。

Re:無題

これ、本当の話だったら…
この彼はまだ生きてるのかな…

無題

実は会長が金正日だと知るのはずっと後のことだった…

Re:無題

拉致かw

無題

Dirがプロモで撮ってたような撮ってなかったような…



撮ってないです似てるのはありましたが。

Re:無題

この場所をですか?

無題

やっぱ一番怖いのは
生きた人間ですね(・∀・)

Re:無題

何かあったときに100%実害ありますからね。

無題

暗いから目が退化したんだろうか

Re:無題

そうかも…
でもそうすると、あの場所で何世代も世代交代しないといけないわけで…

無題

場所がわかれば…
あと、この話の人サーカス団の人?もしくは旅芸人?
転々出来る仕事って何?

Re:無題

アルバイトか何かじゃないでしょうか。
日雇いとか。

>>よしぞーさん

狂乱家族日記ってラノベに登場する母親で、大日本帝国にある地下帝国の神ですwww

Re:>>よしぞーさん

なるほど、わかりましたw

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