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文化祭の準備
2026.06.05 (Fri) | Category : 都市伝説・地域限定
ある学校であったといわれている話。
文化祭の数日前、四人の男子が居残りで準備をすすめていた。
見回りの先生を何度かやり過ごしながら、こそこそと作業に熱中しているうちに、気がつけば時刻は夜中の11時半。
事前に、家に帰りが遅くなると連絡はしていたが、さすがにもう帰らないと大目玉だと、慌てて四人は帰り支度を始めた。
ところが、下駄箱まで来たところで、一人が教室に腕時計を忘れたことに気づいた。
取りに戻るから待っててくれと言う彼に、もう遅いから明日にすれば良いだろと友人達は言ったが、折悪く、翌日は学校が休みの日。
結構高い腕時計だから放っておきたくないと渋る友人に、仕方無く三人は、昇降口で彼を待つことにした。
夜の12時、もしくは12時5分までに急いで戻ると、教室に引き返した彼を見送った後、しばらくの間、玄関先で手持ち無沙汰をまぎらわす三人。
三人の前には、月明かりに照らされただだっ広い校庭が静かに広がり、昼間とは違う風景の前で雑談を交わしているうちに、学校の時計の針が、午前12時ちょうどを指した。
その瞬間、
「あっ」
と、なんとはなしに校庭を眺めていた一人が声をあげた。
その声に、おしゃべりをしていた他の二人も、どうしたんだと振り返った途端、
「あっ」
と、目の前の光景に驚きの声をあげた。
つい先ほどまで、満月のほのかな光に浮かび上がっていた、人っ子一人いない校庭。
その校庭いっぱいに、墓石が立っていたのだ。
古い墓石が、昼間に授業や部活で生徒達が駆け回っていたはずの校庭の隅から隅まで立ち並び、それと一緒にボロボロに朽ちかけた卒塔婆と、苔むした地蔵や石灯籠が、今にも崩れそうな姿で立っている。
さっきまで青白かったはずの地面は、雑草が生い茂る泥土に変わり、折れた卒塔婆や首の落ちた地蔵の頭が、半ば埋もれるように転がっていた。
校庭が墓地に変わっている。
信じられない光景を前に、金縛りにあったように動けなくなる三人。
そこへ、教室に忘れ物を取りに行った一人が戻って来た。
異変に気づかないまま、校庭を前に立ち尽くす友人達のもとへ駆け寄り、すぐに、
「あっ」
と、目を丸くして叫ぶなり、彼らと同じように動けなくなってしまった。
そのまま、動くことも声を出すことも忘れて、墓地になった校庭を見つめたまま、呆然と立ち尽くす四人。
長い時間が過ぎたかのように思った矢先、
ピピッ、と電子音が鳴った。
教室に戻った一人の腕時計が、五分遅れで12時ちょうどになった音だった。
その音で我に返った四人が、ふたたび校庭を見やると、そこにはいつもの校庭の姿があった。
墓石も卒塔婆もすべて消え、月明かりの中にただ、なにも無い地面が広がっているだけだった。
その後、人伝に聞いた話では、学校がある場所は昔、古い墓地だったらしい。
四人が出会ったのは、学校を建てるために潰された墓地の幽霊だったのか。
それとも校庭だけが、墓地だった頃にタイムスリップしたのだろうか。
その出来事がなんだったのかは、今を以てわからない。
ただ、その夜以降、四人は登校も下校も、校門と昇降口をまっすぐ行き来できなくなってしまった。
校庭の真ん中を歩いている時に、また墓地に変わってしまうかもしれないから。
(※トンカラリン助さんからの投稿です。ありがとうございました)
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文化祭の数日前、四人の男子が居残りで準備をすすめていた。
見回りの先生を何度かやり過ごしながら、こそこそと作業に熱中しているうちに、気がつけば時刻は夜中の11時半。
事前に、家に帰りが遅くなると連絡はしていたが、さすがにもう帰らないと大目玉だと、慌てて四人は帰り支度を始めた。
ところが、下駄箱まで来たところで、一人が教室に腕時計を忘れたことに気づいた。
取りに戻るから待っててくれと言う彼に、もう遅いから明日にすれば良いだろと友人達は言ったが、折悪く、翌日は学校が休みの日。
結構高い腕時計だから放っておきたくないと渋る友人に、仕方無く三人は、昇降口で彼を待つことにした。
夜の12時、もしくは12時5分までに急いで戻ると、教室に引き返した彼を見送った後、しばらくの間、玄関先で手持ち無沙汰をまぎらわす三人。
三人の前には、月明かりに照らされただだっ広い校庭が静かに広がり、昼間とは違う風景の前で雑談を交わしているうちに、学校の時計の針が、午前12時ちょうどを指した。
その瞬間、
「あっ」
と、なんとはなしに校庭を眺めていた一人が声をあげた。
その声に、おしゃべりをしていた他の二人も、どうしたんだと振り返った途端、
「あっ」
と、目の前の光景に驚きの声をあげた。
つい先ほどまで、満月のほのかな光に浮かび上がっていた、人っ子一人いない校庭。
その校庭いっぱいに、墓石が立っていたのだ。
古い墓石が、昼間に授業や部活で生徒達が駆け回っていたはずの校庭の隅から隅まで立ち並び、それと一緒にボロボロに朽ちかけた卒塔婆と、苔むした地蔵や石灯籠が、今にも崩れそうな姿で立っている。
さっきまで青白かったはずの地面は、雑草が生い茂る泥土に変わり、折れた卒塔婆や首の落ちた地蔵の頭が、半ば埋もれるように転がっていた。
校庭が墓地に変わっている。
信じられない光景を前に、金縛りにあったように動けなくなる三人。
そこへ、教室に忘れ物を取りに行った一人が戻って来た。
異変に気づかないまま、校庭を前に立ち尽くす友人達のもとへ駆け寄り、すぐに、
「あっ」
と、目を丸くして叫ぶなり、彼らと同じように動けなくなってしまった。
そのまま、動くことも声を出すことも忘れて、墓地になった校庭を見つめたまま、呆然と立ち尽くす四人。
長い時間が過ぎたかのように思った矢先、
ピピッ、と電子音が鳴った。
教室に戻った一人の腕時計が、五分遅れで12時ちょうどになった音だった。
その音で我に返った四人が、ふたたび校庭を見やると、そこにはいつもの校庭の姿があった。
墓石も卒塔婆もすべて消え、月明かりの中にただ、なにも無い地面が広がっているだけだった。
その後、人伝に聞いた話では、学校がある場所は昔、古い墓地だったらしい。
四人が出会ったのは、学校を建てるために潰された墓地の幽霊だったのか。
それとも校庭だけが、墓地だった頃にタイムスリップしたのだろうか。
その出来事がなんだったのかは、今を以てわからない。
ただ、その夜以降、四人は登校も下校も、校門と昇降口をまっすぐ行き来できなくなってしまった。
校庭の真ん中を歩いている時に、また墓地に変わってしまうかもしれないから。
(※トンカラリン助さんからの投稿です。ありがとうございました)
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