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黒いコートの男(3)

2018.09.29 (Sat) Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象

54:K[]投稿日:2006/12/27(水)14:58:57ID:e/oZWy3uO
長いのと短いの書きます。
まず短い方から…

大学1年の2月半ば、僕と彼女(仮にR)は講義が終わり、夜の通りを歩いていました。
正月での一件のあと、僕たちはまたあの黒いコートの男を見てしまわないか、不安でした。
Rなど、黒いコートの人を見るたびに顔を引きつらせていました。
店はほとんど閉まっていて、明かりはほぼありませんでした。

僕「単位大丈夫かな…」
R「危ないの?」
僕「ちょっとね…Rは?」
R「たぶん大丈夫。留年しないでよ?」

冗談っぽく言っていましたが、どこか落ち着かない様子でした。

角を2つ曲がり、トンネルを通り、駅前の明るい大通りが見えてきました。
2人で他愛のない話をしていた時です。

R「M(僕)…」
僕「うん…」

数十メートル先に黒いコートの男がいました。
こっちに向かって歩いてきます。



57:K[]投稿日:2006/12/27(水)15:19:55ID:e/oZWy3uO
暗くて顔はよく見えません。
踵を返しダッシュで逃げようかと思いましたが、背を向けるのはもっと怖かったので、結局直進することにしました。

…あと30m。

大通りでは車が何事もないかのように行き交っていました。

あと20m。

Rが僕の腕を、血の流れが止まるほど強く掴んでいます。

あと10m。

真冬だというのに僕は汗をかいていました。
冷や汗をかいたのはたぶん初めてです。
この通りの人通りの無さを恨みました。
僕たちは目を伏せ、できるだけ前を見ないようにして歩きました。

あと5m。4m。3m。2m。1m…

僕「あれ?」
僕たちと男はすれ違い、その男は何事もなかったかのように歩いて行ってしまいました。
…あいつじゃなかったのか?
しかし振り返って確認など怖くてできません。
僕たちはダッシュでその通りを抜け、大通りに出ました。
青信号が点滅しています。



59:K[]投稿日:2006/12/27(水)15:35:52ID:e/oZWy3uO
急いで横断歩道を渡ろうとしたその時、キキィィィィィ……ガシャァァァン!!
僕たちの目と鼻の先で大型トラックと乗用車が正面衝突しました。
どちらもボコボコにへこんでいて、乗用車のフロントガラスは血に染まっていました。
すぐに人だかりができました。

僕たちは呆然として、目の前の惨事を見ていました。
ゴールだと思っていた大通りは地獄と化しました。

R「ねぇ…」
僕「…ん?」
R「あれ…」

僕はRの指差す方を見ました。
通りの反対側、集まる人の中に、さっきの男がいました。
やはりあいつだった…
表情のない顔で現場を眺め、チラッと僕たちを見たあと、あいつは人通りのない、暗い通りに歩いて行ってしまいました。



72:K[]投稿日:2006/12/27(水)18:42:02ID:e/oZWy3uO
長い方です。
大学1年の秋、前日に1日かけて部屋を掃除し、僕は彼女(仮にR)の到着を待っていました。
時間はちょうど正午。

きっかけは3日前、Rが
「見せたいものがある」
ということで、僕の家に来たいと言ったことです。
Rの持ってくるものも気になりますが、僕にとってもっと重要だったのが、Rが家に来ることそのものでした。
どちらかがどちらかの家に行くのは、初めてでした。などと考えてるうちにインターホンが鳴りました。
Rでした。

R「どうしたの?顔赤いよ?」
緊張していたのは僕だけだったようです。

Rはテーブルに大きめのダンボール箱を置きました。
そこには「ThePlanetarium」と書かれていました。
R「プラネタリウムだって。駅前で売ってたんだよ?すごい並んでた」
最後の1個だったそうです。

Rは箱を開け、黒い球体を取り出しました。
よく見ると表面に無数の穴が開いています。
中にライトがあり、穴から漏れ出る光が星空を作る仕組みなのでしょう。
僕は部屋唯一の窓の雨戸を閉めました。
元々薄暗い天気だったこともあり、完全に真っ暗になりました。
Rはスイッチを入れました。



73:K[]投稿日:2006/12/27(水)18:58:53ID:e/oZWy3uO
真っ暗闇がとてもきれいな星空に変わりました。
僕たちは学校で聞いた程度の名前の星や星座を探したりしました。

携帯を見ると、午後2時半くらいでした。
闇に目も慣れてきました。
星探しも飽きてきた頃、僕は「プラネタリウム」がどうなっているのか気になってきました。
この球体、電源スイッチはあっても電源コードも、電池を入れるところもありませんでした。
ソーラーかとも思いましたが、それらしいものは一切ありませんでした。
僕は中を覗いてみることにしました。

穴が小さいので、ほとんど顔をくっつけるようにして、ようやく中を見ることができました。
僕「え!?」
信じられませんでした。
中には無数の小さな光、そして、中心に大きな光の塊が浮かんでいました。
宇宙みたいでした。
中心の光が少しずつ大きくなってきます。

それと同時に、体がフワッと浮くような、ジェットコースターに乗った時のような、そんな感覚を覚えました。
光が迫ってきました。
いや、むしろ僕がその光に向かって「落ちて」いるようでした。



76:K[]投稿日:2006/12/27(水)19:18:52ID:e/oZWy3uO
「プラネタリウム」の中に入ってしまったのかと思いました。
どんどん落下速度が上がってきて、ものすごい空気摩擦を感じて、とても息苦しかったのを覚えています。
僕は怖くなってきました。
落ちることへの恐怖と、光まで行ったらどうなるか分からないという恐怖です。

ただひたすら落ちて、その光にかなり近付きました。
もう大きすぎて視界に収まりません。
成す術なく落ちていると、光の中に何か黒い点が見えてきました。
だんだん大きくなって、黒い穴だと分かりました。
穴に落ちてはいけない。
落ちたら終わりだ、と直感しました。

でも自由落下している僕にはどうすることもできませんでした。
どうしていいか分からず、めちゃくちゃに叫びました。
そのうち、体が熱くなってきました。
摩擦で燃えているのだと分かりました。
喉が乾いて、熱くて、おかしくなりそうでした。
そのうち、
「ぎゃあああ」
とか
「うわぁぁぁ」
とかいろんな悲鳴が聞こえてきました。まわりに僕以外にもたくさんの火達磨がありました。



78:K[]投稿日:2006/12/27(水)19:39:54ID:e/oZWy3uO
顔が焦げて原形が無いもの。
腕とか足が無くなっているもの。
どれもこれも、耳がおかしくなるくらい大きな声で叫んでいました。
唸ってるようにしか聞こえないのもありました。
僕もああなるのかと思うと怖くてたまりませんでした。
聞き覚えのある声が聞こえました。
Rの声でした。
僕の名前を呼んでいました。
でも、僕に見える限り火達磨の中にRの姿はありませんでした。

「あああああああ!」
という一際大きい悲鳴が聞こえたかと思うと、すぐその声は止みました。
穴が目前に迫っていました。
声が途絶えたのは、穴に吸い込まれたからだと思います。
火達磨がどんどん吸い込まれていきました。
穴の奥は全く見えませんでした。
Rの声が大きくなってきました。

穴に近付きすぎて視界は一面真っ暗です。
落ちたらどうなるか怖くて仕方ありませんでした。
自由落下から明らかに吸い込まれる感覚に変わりました。
さらにスピードが上がり、熱くて、怖くて、何もできなくて、どうしようもありませんでした。



83:K[]投稿日:2006/12/27(水)19:59:30ID:e/oZWy3uO
完全に中に落ちると思った時、思いっきり右頬を張られました。

僕は横ざまに倒れ、何かにガツンと頭をぶつけました。
まわりが真っ暗なのでさっきの穴の中だと思いました。
しかし、さっきまでの浮遊感や熱さや空気摩擦は感じませんでした。
代わりに何か地面を感じました。
突然明るくなりました。
電気の明かりでした。
間違いなく、僕は、僕の部屋にいました。
Rが青い顔で僕を見ていました。

「大丈夫?殴っちゃってごめん…」
たしか、こんなことを言ってたと思います。

Rの話では、僕は「プラネタリウム」を覗いたら急に激しく震え、叫びだしたそうです。
大声で呼びかけても反応せず、窓もドアも開かず、電気もつかず、電話もどこにも繋がらなかったそうです。
そのうち僕がだんだん熱くなってきて、パニックになって思わず僕を殴ってしまったそうです。
部屋の時計は午後3時を指していました。
とりあえず換気しようと窓を開けました。
外は真っ暗…夜になっていました。
窓から見える公園の時計は8時を指していました。
「プラネタリウム」は僕が預かり、今も押し入れに押し込んだままです。



引用元:死ぬ程洒落にならない怖い話をあつめてみない?154
https://www.logsoku.com/r/2ch.net/occult/1167114083/54-83





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