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都市伝説・・・奇憚・・・blog

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2024.04.30 (Tue) Category : 

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―顔― <師匠シリーズ>

2013.01.07 (Mon) Category : 創作作品

423 顔 ウニ New!2006/06/03(土) 12:07:12 ID:3rNkYIQb0
大学1回生の冬。
大学生になってからの1年弱、大学の先輩であり、オカルト道の師匠でもある人と様々な心霊スポットへ足を踏み入れた俺だったが、さすがに寒くなってくると出不精になってくる。

正月休みにめずらしく師匠が俺の下宿に遊びに来た。
とくにすることもないので、コタツにもぐりこんで俺はゲームボーイを、師匠はテレビをぼーっと見ていた。
ふと、師匠が
「あれ?」
と言うので顔を向けると、テレビにはダイバーによるどこかの海の海底探査の様子が映っていた。

「この石像って、あ、消えた」
すぐに画面が切り替わったが、一瞬だけ見えた。
地中海のエジプト沖で、海底にヘレニズム期の遺跡が発見されたと、アナウンサーが報じていた。
海底に沈んだ石造りの古代の建造物が、ダイバーの水中カメラに映し出されている。

その映像の中に、崩れた石柱の下敷きになっている石像の姿があったのだ。
なにかの神様だろうそれは、泥の舞う海の底で苦悶の表情としか思えない顔をしていた。



424 顔 ウニ New!2006/06/03(土) 12:07:58 ID:3rNkYIQb0
最初からそんな表情の石像だったとは思えない、不気味な迫力があった。
何ごともなく、番組は次のニュースへ移る。
「こんなことって、あるんですかね」
と言う俺に、師匠は難しい顔をして話しはじめた。

「廃仏毀釈って知ってる?」
師匠の専攻は仏教美術だ。日本で似たような例を知っているという。
江戸から明治に入り、神仏習合の時代から仏教にとっては受難といえる神道一党の時代へ変化した時があった。
多くの寺院が打ち壊され、仏具や仏像が焼かれ、また神社でも仏教色の強かったところでは、多くの仏像が収められていたが、それらもほとんどが処分された。

「中でも密教に対する弾圧は凄まじかった」
吉野の金峰山寺は破壊され、周辺の寺院も次々と襲われたが、その寺の一つで不思議なことがあったという。



426 顔 ウニ New!2006/06/03(土) 12:08:58 ID:3rNkYIQb0
僧侶が神官の一党に襲われ、不動明王など密教系の仏像はすべて寺の庭に埋められて、のちに廃寺とされた。
弾圧の熱が収まりはじめたころ、貴重な仏像が坑されたという話を聞きつけて、近隣の山師的な男がそれを掘り起こそうとした。

ところが土の中から出てきた仏像は、すべて憤怒の顔をしていたという。
元から憤怒の表情の不動明王はともかく、柔和なはずの他の仏像までもことごとく、地獄の鬼もかほどではないという凄まじい顔になっていたそうだ。

その怒りに畏れた男は、掘り出した仏像に火をかけた。
木製の仏像は6日間(!)ものあいだ燃え続け、その間「おーんおーん」という唸り声のような音を放ち続けたという。
あまりに凄い話に俺は、気がつくと正座していた。



427 顔  ラスト ウニ New!2006/06/03(土) 12:10:24 ID:3rNkYIQb0
「何年かまえ、人間国宝にもなっている仏師が外国メディアのインタビューを受けた記事を読んだことがある。記者が、どうしてこんなに深みのあるアルケイックスマイルを表現できるのでしょうかと聞くと、仏師はこう答えた。『彫るのではない。わらうんだ』これを聞いたときは痺れたねぇ・・・」
めずらしく師匠が他人を褒めている。

俺は命を持たない像が、感情をあらわすということもあるかも知れない、と思い始めた。
「そうそう、僕が以前、多少心得のある催眠術の技術を使って面白いことをしたことがある」
なにを言い出したのか、ちょっと不安になった。

「普通の胸像にね、ささやいたんだ。『お前は石にされた人間だよ』」

怖っ
なんてことを考えるんだこの人は。
そしてどうなったのか、あえて聞かなかった。 




 








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Title : 無題

師匠の言うことはどこまで本当かわからないが、凄まじい人だなぁ。師匠の師匠の可奈子さん?はもっとすごいけどねw

ボンコ 2013.01.07 (Mon) 21:07 編集

Re:無題

とりあえず物語として面白いので載せてますw

2013.01.08 15:22

Title : 無題

数年間の大学生活なのに、どれだけネタがあるんだよ。

師匠シリーズ秋田県 2013.01.07 (Mon) 23:32 編集

Re:無題

ワタシが好きだからいいじゃないですかwwwww

でもまあ、大学生活4年間で週に1回なにかあれば4年×52週=208回も不思議現象があるじゃないですかw

月に1回でも4×12ヶ月で60回!

2013.01.08 15:28

Title : 無題

胸像に催眠術かけた後日談が知りたすぎる

NONAME 2013.01.09 (Wed) 00:27 編集

Re:無題

都市伝説版二宮金次郎とかみたいに動いたりして

2013.01.10 14:35

Title : 無題


(!)←この表現が赤川っぽくて好きだ(*^ω^*)

ねこたま 2013.01.13 (Sun) 02:05 編集

Re:無題

そういえば、赤川次郎の本って読んだことないわ。
もっぱら阿刀田派だった

2013.01.14 18:44

Title : 無題

> その怒りに畏れた男は、掘り出した仏像に火をかけた。

無理ありすぎ
そこは供養でそ

ばb 2013.01.25 (Fri) 01:58 編集

Re:無題

供養って考えが浮かぶくらいならそもそも掘らないってw

2013.01.25 19:13

Title : 無題

>そしてどうなったのか、あえて聞かなかった

聞けよ!気になるじゃないかぁ!

ちなみに私は断然赤川派でした。
でも阿刀田高も面白かったよ♪
ちょー覚えてるのは、ある男が年老いた母と豪華客船に乗る話。
航海中に船が座礁して、客たちは海に投げ出され、男も母とはぐれて海に落ちる。
絡み付く昆布のようなものを必死で蹴ってなんとか逃れ、岸にたどり着く。
数日後、残念なことに母は遺体で発見される。
その遺体は何かにぶつかったかのように無数の打撲傷があった...。

っていう話。

昆布だと思って蹴っていたのは実は息子に必死でしがみつく母だったのに、そうと知らず蹴飛ばしてしまったっていうのが怖悲しい話だと思ったんだけど。
友人は男が昆布から逃れ、岩で打撲した母が遺体で見つかった話だ、と言っていた。
なんの捻りもない、まんまやん。と思ったけどホントはどっちだったのか。

ネフェルタリ 2013.08.13 (Tue) 00:45 編集

Re:無題

前者でしょ、それは。
ていうか今更考えると、よくある都市伝説とかオカルトだよね。

2013.08.13 18:58

Title : 無題

その友達は赤川次郎嫌いだったので、赤川次郎じゃなかったと思うんだけど...。
もしかしたら星新一だったかも?
もし赤川次郎なら、タイトル知りたいです!
教えて♪ヨッシー。

ネフェルタリ 2013.08.16 (Fri) 02:14 編集

Re:無題

や、阿刀田氏だったと思う。

2013.08.16 20:28

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