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リアル(後編)
2011.05.25 (Wed) | Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象
(※有名なコピペです。複数のサイトなどにまとめられていたので、当ブログでも掲載します…が、問題があるようでしたら削除します。2ちゃんねるへの初出は2009年11月のようです。)
(前編はこちら)
S先生「久しぶりねぇ。随分立派になって。早いわねぇ」
祖母「S先生、Tちゃんば大丈夫でしょかね?」
祖父「大丈夫って。そげん言うたかてまだ来たばかりやけんS先生かてよう分からんてさ」
祖母「あんたさんは黙っときなさんてさ。もうあたし心配で心配で仕方なかってさ」
何でだろう…ただS先生の前に来ただけなのにそれまで慌ていた祖父母が落ち着いていた。
それは両親にも、俺にも伝わってきて、深く息を吐いたら身体から悪いものが出ていった気がした。
両親はもう体力的にも精神的にも限界に近かったらしく、
「疲れちゃったやろ?後はS先生が良くしてくれるけん、隣ば行って休んでたらよか」
と人懐こい祖父の言葉に甘えて隣の部屋へ。
S先生「じゃあTちゃん、こっちにいらっしゃい」
S先生に呼ばれ、向かい合わせで正座した。
S先生「それじゃIさん達も隣の部屋で寛いでらして下さい。Tちゃんと話をしますからね」
S先生「後は任せて、こっちの部屋には良いと言うまで戻って来ては駄目ですよ?」
祖父「S先生、Tちゃんばよろしくお願いします!」
祖母「Tちゃん、心配なかけんね。S先生がうまいことしてくれるけん。あんたさんはよく言うこと聞いといたらよかけんね。ね?」
しきりにS先生にお願いして、俺に声をかけてくれる祖父母の姿にまた涙が出てきた。
泣きっぱなしだな俺。
S先生はもっと近づくように言い、膝と膝を付け合わせるように座った。
俺の手を取り、暫くは何も言わず優しい顔で俺を見ていた。
俺は何故か悪さをして怒られるじゃないかと親の顔色を伺っていた子供の頃のような気持ちになっていた。
目の前の、敢えて書くが自分よりも小さくて明らかに力の弱いお婆ちゃんの威圧的でもなんでもない雰囲気に呑まれていた。
あんな人本当にいるんだな。
S先生「…どうしようかしらね」
俺「…」
S先生「Tちゃん、怖い?」
俺「…はい」
S先生「そうよねぇ。このままって訳には行かないわよねぇ」
俺「えっと…」
S先生「あぁ、いいの。こっちの話だから」
何がいいんだ!?
ちっともよかねーだろなんて気持ちが溢れて来て、耐えきれずついにブチ撒けた。
本当に人として未熟だなぁ、俺は。
俺「あの、俺どーなるんすか? もう早いとこ何とかして欲しいんです。大体何なんですか?何でアイツ俺に付きまとうんですか? もう勘弁してくれって感じですよ。S先生、何とかならないんですか?」
S先生「Tちゃ…」
俺「大体、俺別に悪いこと何もしてないっすよ!?確かに□□(心霊スポットね)には行ったけど俺だけじゃないし、何で俺だけこんな目に会わなきゃいけないんすか?鏡の前で△しちゃだめだってのも関係あるんですか?ホント訳わかんねぇ!!あーっ!苛つくぅぁー!!」
「ドォ~ドォルルシッテ」
「ドォ~ドォルル」「チルシッテ」
…何が何だか解らなかった。(ホントに訳解んないので取り敢えずそのまま書く)
「ドォ~。 シッテドォ~シッテ」
左耳に鸚鵡か鸚哥みたいな甲高くて抑揚の無い声が聞こえてきた。
それが「ドーシテ」と繰り返していると理解するまで少し時間がかかった。
俺はS先生の目を見ていたし、S先生は俺の目を見ていた。
ただ優しくかったS先生の顔は無表情になっているように見えた…。
左側の視界には何かいるってのは分かってた。 チラチラと見えちゃうからね。
よせば良いのに、左を向いてしまった。
首から生暖かい血が流れてるのを感じながら。
アイツが立ってた。
体をくの字に曲げて、俺の顔を覗き込んでいた。
くどいけど…訳が解らなかった。起きてることを認められなかった。
此処は寺なのに、目の前にはS先生がいるのに…何でなんで何で…。
一週間前に、見たまんまだった。
アイツの顔が目の前にあった。 梟のように小刻みに顔を動かしながら
俺を不思議そうに覗き込んでいた。
「ドォシッテ? ドォシッテ? ドォシッテ? ドォシッテ?」
鸚鵡のような声でずっと質問され続けた。
きっと…林も同じようにこの声を聞いていたんだろう。
俺と同じ言葉を囁かれていたのかは解らないが…。
俺は…息する事を忘れてしまって目と口を大きく開いたままだった。
いや、息が上手く出来なかったって方が 正しいな。
たまに【コヒュッ】って感じで息を吸い込む事に失敗してた気がするし。
そうこうしているうちに、アイツが手を動かして顔に貼り付けてある
お札みたいなのをゆっくりめくり始めたんだ。
見ちゃ駄目だ!! 絶対駄目だって分かってるし逃げたかったんだけど動けないんだよ!!
もう顎の辺りが見えてしまいそうなくらいまで来ていた。
心の中では
「ヤメロ!それ以上めくんな!!」
って叫んでるのに口からは
「ァ…ァカハッ…」
みたいな情けない息しか出ないんだ。
もうやばい!! ヤバい!ヤバい!ってところで
「パンッ!!」
って。
例えとか誇張でもなく“跳び上がった。 心臓が破裂するかと思った。
正座してたから体が倒れそうになりながら後に振り向いてすぐ走り出した。
何か考えてた訳じゃなく体が勝手に動いたんだよね。
でも慣れない正座のせいで足が痺れてまともに走れないのよ。
痺れて足が縺れた事とあんまりにも前を見てないせいで頭から壁に突っ込んだがちっとも痛くなかった。
額から血がだらだら出てたのに…、
それだけテンパって周りが見えてなかったって事だな。
血が目に入って何も見えない。手をブン回して出口を探した。
けど的外れの方ばっかり探してたみたい。
「まだいけません!」
いきなりS先生が大きい声を出した。
障子の向こうにいる両親や祖父母に言ったのか俺に言ったのか分からなかった。
分からなかったがその声は俺の動きを止めるには十分だった。
ビクってなってその場で硬直。またもや頭の中では物凄い回転で事態を把握しようとしていた。
っつーか把握なんて出来る筈もなく、S先生の言うことに従っただけなんだけどね。
俺の動きが止まり、仏間に入ろうとする両親と祖父母の動きが止まった事を確認するかのように少しの間を置いてからS先生が話始めた。
S先生「Tちゃんごめんなさいね。怖かったわね。もう大丈夫だからこっちに戻ってらっしゃい」
「Iさん、大丈夫ですからもう少し待ってて下さいね」
障子(襖だったかも)の向こうからしきりに何か言ってのは聞こえてたけど覚えてない。
血を拭いながらS先生の前に戻ると手拭いを貸してくれた。
お香なのかしんないけどいい匂いがしたな。
ここに来てやっとあの音はS先生が手を叩いた音だって気付いた。
(質問出来る余裕は無かったけど)
S先生「Tちゃん、見えたわね?聞こえた?」
俺「見えました…どーして?って繰り返してました。」
この時にはもうS先生の顔はいつもの優しい顔になってたんだ。
俺も今度はゆっくりと、出来るだけ落ち着いて答える事だけに集中した。
まぁ…考えるのを諦めたんだけどね。
S先生「そうね。どうして?って聞いてたわね。何だと思った?」
さっぱり分からなかった。考えようなんて思わなかったしね。
俺「?? …いや…、ぅぅん?…分かりません」
S先生「Tちゃんはさっきの怖い?」
俺「怖い…です」
S先生「何が怖いの?」
俺「いや…、だって普通じゃないし。幽霊だし…」
ここらへんで俺の脳は思考能力の限界を越えてたな。S先生が何が言いたいのかさっぱりだった。
S先生「でも何もされてないわよねぇ?」
俺「いや…首から血が出たし、それに何かお札みたいなの捲ろうとしてたし,
明らかに普通じゃないし…」
S先生「そうよねぇ。でも、それ以外は無いわよねぇ」
俺「…」
S先生「難しいわねぇ」
俺「あの、よく分からなくて…すいません」
S先生「いいのよ」
S先生は、俺にも分かるように話してくれた。諭すっていった方がいいかもしれない。
まず、アイツは幽霊とかお化けって呼ばれるもので間違いない。
じゃあ所謂悪霊ってヤツかって言うとそう言いきっていいかS先生には難しいらしかった。
明らかにタチが悪い部類に入るらしいけど、S先生には悪意は感じられなかったって言っていた。
俺に起きた事は何なのかに対してはこう答えた。
「悪気は無くても強すぎるとこうなっちゃうのよ。あの人ずっと寂しかったのね。話したい、触れたい、見て欲しい、気付いて気付いてーって、ずっと思ってたのね」
「Tちゃんはね、分からないかもしれないけど暖かいのよ。色んな人によく思われてて、それがきっと“いいな~。優しそうだな~って思ったのね。
だから自分に気付いてくれた事が嬉しくて仕方なかったんじゃないかしら」
「でもね、Tちゃんはあの人と比べると全然弱いのね。だから、近くに居るだけでも怖くなっちゃって体が反応しちゃうのね」
S先生は、まるで子供に話すようにゆっくりと、難しい言葉を使わないように話してくれた。
俺はどうすればいいのか分からなくなったよ。
アイツは絶対に悪霊とかタチの悪いヤツだと決めつけてたから。
S先生にお祓いしてもらえばそれで終ると思ってたから…。
それなのにS先生がアイツを庇うように話してたから…。
S先生「さて、それじゃあ今度は何とかしないといけないわね。Tちゃん、時間かかりますけど何とかしてあげますからね」
この一言には本当に救われたよ。
あぁ、もういいんだ。終るんだって思った。やっと安心したんだ。
S先生に教えられたことを書きます。俺にとって一生忘れたくない言葉です。
「見た目が怖くても、自分が知らないものでも自分と同じように苦しんでると思いなさい。救いの手を差し伸べてくれるのを待っていると思いなさい」
S先生はお経をあげ始めた。お祓いのためじゃ無くアイツが成仏出来るように。
その晩、額は裂けてたしよくよく見れば首の痕が大きく破けて痛かったけど
本当にぐっすり眠れた。(お経終わってもキョドってた俺のために笑いながらその日は泊めてくれた)
翌日、朝早く起きたつもりがS先生はすでに朝のお祈りを終らしてた。
S先生「おはよう、Tちゃん。さ、顔洗って朝御飯食べてらっしゃい。食べ終わったら本山に向かいますからね」
関係者でも何でもないんであまり書くのはどうかと思うが少しだけ。
S先生が属している宗派は前にも書いた通り教科書に載るくらい歴史があって、信者の方も修行されてる方も日本全国にいらっしゃるのね。
教えは一緒なんだけど地理的な問題から東と西それぞれに本山があるんだって。
俺が連れていってもらったのが西の本山。本山に暫くお世話になって、自分が元々持っている徳(未だにどんなものか説明できないけど)を高める事と、アイツが少しでも早く成仏出来るように本山で供養してあげられるためってS先生は言ってた。
その話を聞いて一番喜んだのが祖母、まだ信じられなそうだったのが親父。
最後は俺が
「もう大丈夫。行ってくる」
って言ったから反対しなかったけど。
本山に着くと迎えの若い方が待っていて、S先生に丁寧に挨拶してた。
本堂の横奥にある小屋(小屋って呼ぶのが憚れるほど広くて立派だったが)で本山の方々にご挨拶。
ここでもS先生にはかなりの低姿勢だったな。
S先生、実は凄い人らしく、望めばかなりの地位(「寂しいけど序列ができちゃうのね」ってS先生は言ってた)にいても不思議じゃないんだって後から聞いた。
俺は本山に暫く厄介になり、まぁ客人扱いではあったけど皆さんと同じような生活をした。
多分、S先生の言葉添えがあったからだろうな。
その中で、自分が本当に幸運なんだなって実感したよ。
もう四十年間ずっと蛇の怨霊に苦しめられている女性や、家族親族まで祟りで没落してしまって身寄りが無くなってしまったけど家系を辿れば立派な士族の末裔の人とか…
俺なんかよりよっぽど辛い思いしてる人がこんなにいるなんて知らなかったから…。
厳しい生活の中にいたからなのか、場所がそうだからなのか、あるいはS先生の話があったからなのか恐怖は大分薄れた。
(とは言うものの、ふと瞬間にアイツがそばに来てる気がしてかなり怯えたけど)
本山に預けてもらって一ヶ月経った頃S先生がいらっしゃった。
S先生「あらあら、随分良くなったみたいね」
俺「えぇ、S先生のおかげですね」
S先生「あれから見えたりした?」
俺「いや…一回も。多分成仏したかどっかにいったんじゃないですか?ここ、本山だし」
S先生「そんな事ないわよ?」
顔がひきつった。
S先生「あら、ごめんなさい。また怖くなっちゃうわよね」
「でもねTちゃん、ここには沢山の苦しんでる人がいるの。その人達を少しでも多く助けてあげるのが私達の仕事なのよ」
多分だけどS先生の言葉にはアイツも含まれてたんだと思う。
「Tちゃん、もう少しここにいて勉強しなさい。折角なんだから」
俺はS先生の言葉に従った。あの時の事がまだまだ尾を引いていて、まだここにいたいって思ってたからね。
それに一日はあっという間なんだけど…
何て言うか時間がゆっくり流れてような感じが好きだったな。(何か矛盾してるけどね)
そんなこんなが続いて、結局三ヶ月も居座ってしまった。
その間S先生は(二ヶ月前に来たきり)こっちには顔を出さなかった。
やっぱりS先生の言葉がないと不安だからね。
でも、哀しいかな流石に三ヶ月もそれまで自分がいた騒々しい世界から隔離去れると物足りない気持ちが強くなってた。
実に二ヶ月ぶりにS先生がやって来てやっと本山での生活は終りを迎えようとしていた。
身支度を整え、兎に角お世話になった皆さんに一人ずつ御礼を言いS先生と帰ろうとしたんだ。
でも気付くと横にいたはずのS先生がいない。
「あれ?」
と思って振り向いたら少し後にいたんだ。
「歩くの速すぎたかな?」
って思って戻ったら優しい顔で
「Tちゃん、帰るのやめてここに居たら?」
って言われた。
実はS先生に認められた気がして少し嬉しかった。
「いや、僕にはここの人達みたいには出来ないです。本当に皆さん凄いと思います。真似出来そうもないですよ」
照れながら答えたら
「そうじゃなくて帰っちゃ駄目みたいなのよ」
「え?」
「だってまだ残ってるから」
また顔がひきつった。
結局、本山を降りる事が出来たのはそれから二ヶ月後だった。実に五ヶ月も居座ってしまった。
多分、こんなに長く家族でも無い誰かに生活の面倒を見てもらう事はこの先ないだろう。
S先生から
「多分もう大丈夫だと思うけど、しばらくの間は月に一度おいでなさい。」
と言われた。
アイツが消えたのか、それとも隠れてるのか本当のところは分からないからだそうだ。
長かった本山の生活も終ってやっと日常に戻って来た。
借りてたアパートは母が退去手続きを済ましてくれていて、実家には俺の荷物が運び込まれてた。
アパートの部屋を開けた時、何かを燻したような臭いと部屋の真ん中辺りの床に小さな虫が集まってたらしい。
怖すぎたらしくその日はなにもしないで帰って来たんだってさ。
翌日、仕方無いんで意を決してまた部屋を開けたら臭いは残ってたけど虫は消えてたらしい。
母には申し訳ないが俺が見なくて良かった。
実家に戻り、実に約半年ぶりくらいに携帯を見ると(そーいやそれまでは気にならなかったな。)
物凄い件数の着信とメールがあった。 中でも一番多かったのが○○。
メールから、奴は奴なりに自分のせいでこんな事になったって自責の念があったらしく、謝罪とかこうすればいいとかこんな人が見つかったとかまめに連絡が入ってた。
母から、○○が家まで来た事も聞いた。
戻って二日目の夜、○○に電話を入れた。電話口が騒がしい。
○○は呂律が回らず何を言っているか分からなかった。
…コンパしてやがった。
とりあえず電話をきり「殺すぞ」とメールを送っておいた。
所詮世の中他人は他人だ。
翌日、○○から謝りたいから時間くれないか?とメールが来た。
電話じゃなかったのは気まずかったからだろう。
夜になると、家まで○○が来た。わざわざ遠いところまで来るくらいだ。
相当後悔と反省をしていたのだろう。
(夜に出歩くのを俺が嫌ったからってのが一番の理由である事は言うまでもない)
玄関を開け○○を見るなり二発ぶん殴ってやった。
一発は奴の自責の念を和らげるため、
一発はコンパなんぞに行ってて俺を苛つかせた事への贖罪のために。
言葉で許されるよりも殴られた方がすっきりする事もあるしね。
まぁ、二発目は俺の個人的な怒りだが。
○○に経緯を細かく話し、その晩は二人して興奮したり怖がったり…
今思うと当たり前の日常だなぁ。
○○からは、あの晩のそれからを聞いた。
あの晩、逃げたした時には林は明らかにおかしくなっていた。
林の車の中で友達と待っていた○○には、
まず間違いなくヤバい事になっているって事がすぐに分かったそうだ。
でも、後部座席に飛び乗ってきた林の焦り方は尋常じゃ無かったらしく、車を出さざるを得なかったらしい。
「反抗したりもたついたりしたら何されっか分かんなかったんだよ」
○○の言葉が状況を物語っていた。
○○は、車が俺の家から離れ高速の入り口近くの信号に捕まった時に、逃げ出したらしい。
○○「だってあいつ、途中から笑い出したり、震えたり、“俺は違う“とか“そんな事しません“とか言い出して怖いんだもんよ」
アイツが何か囁いてる姿が甦ってきて頭の中の映像を消すのに苦労した。
俺の家に戻って来なかったのは単純に怖すぎたからだって。
「根性無しですみませんでした」
って謝ってたから許した。俺が○○でも勘弁だしね。
その後、林がどうなったかは誰も知らない。さすがに今回の件では○○も頭に来たらしく、
林を紹介した友達を問い詰めたらしい。
結局、林は詐欺師まがいにも成りきれないようなどうしようも無いヤツだったらしく、唆されて軽い気持ち(小遣い稼ぎだってさ…)で紹介したんだと。
○○曰く「ちゃんとボコボコにしといたから勘弁してくれ!」との事。
でもこんな状況を招いたのが自分の情報だってのには参ったから、
今度は持てる人脈を総動員したが…
こんなことに首を突っ込んだり聞いた事がある奴が回りにいるはずもなく、
多分とか~だろうとかってレベルの情報しか無かったんだ。
だから
「何か条件が幾つかあって、偶々揃っちゃうと起きるんじゃないか」
としか言えなかった。
その後、俺はS先生の言い付けを守って毎月一度、S先生を訪ねた。
最初の一年は毎月、次の一年は三か月に一度。
○○も、俺への謝罪からか何も無くても家まで来ることが増えたし、S先生のところに行く前と帰ってきた時には必ず連絡が来た。
アイツを見てから二年が経った頃、S先生から
「もう心配いらなそうね。Tちゃん、これからはたまに顔出せばいいわよ。でも、変な事しちゃだめよ」
って言ってもらえた。
本当に終ったのか…俺には分からない。
S先生はその三ヶ月後、他界されてしまった。
敬愛すべきS先生、もっと多くの事を教えて欲しかった。
ただ、今は終ったと思いたい。
S先生のお葬式から二ヶ月が経った。
寂しさと、大切な人を亡くした喪失感も薄れ始め俺は日常に戻っていた。
慌ただしい毎日の隙間にふとあの頃を思い出す時がある。
あまりにも日常からかけ離れ過ぎていて、本当に起きた事だったのか分からなくこともある。
こんな話を誰かにするわけもなく、またする必要もなく、ただ毎日を懸命に生きてくだけだ。
祖母から一通の手紙が来たのはそんなごくごく当たり前の日常の中だった。
封を切ると、祖母からの手紙と、もう一つ手紙が出てきた。
祖母の手紙には俺への言葉と共にこう書いてあった。
“S先生から渡されていた手紙です。四十九日も終わりましたのでS先生との約束通りTちゃんにお渡しします“
S先生の手紙、今となってはそこに書かれている言葉の真偽が確かめられないし、そのままで書く事は俺には憚られるので崩して書く。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
Tちゃんへ
ご無沙汰しています。Sです。あれから大分経ったわねぇ。
もう大丈夫?怖い思いをしてなければいいのだけど…。
いけませんね、年をとると回りくどくなっちゃって。
今日はね、Tちゃんに謝りたくてお手紙を書いたの。
でも悪い事をした訳じゃ無いのよ。
あの時はしょうがなかったの。 でも…、ごめんなさいね。
あの日、Tちゃんがウチに来た時、先生本当は凄く怖かったの。
だってTちゃんが連れていたのはとてもじゃ無いけど先生の手に負えなかったから。
だけどTちゃん怯えてたでしょう?
だから先生が怖がっちゃいけないって、そう思ったの。
本当の事を言うとね、いくら手を差し伸べても見向きもされないって事もあるの。
あの時は、運が良かったのね。
Tちゃん、本山での生活はどうだった? 少しでも気が紛れたかしら?
Tちゃんと会う度に先生まだ駄目よって言ったでしょう?
覚えてる?
このまま帰ったら酷い事になるって思ったの。
だから、Tちゃんみたいな若い子には退屈だとは分かってたんだけど帰らせられなかったのね。
先生、毎日お祈りしたんだけど中々何処かへ行ってくれなくて。
でも、もう大丈夫なはずよ。近くにいなくなったみたいだから。
でもねTちゃん、もし…もしもまた辛い思いをしたらすぐに本山に行きなさい。
あそこなら多分Tちゃんの方が強くなれるから中々手を出せないはずよ。
最後にね、ちゃんと教えておかないといけない事があるの。
あまりにも辛かったら、仏様に身を委ねなさい。
もう辛い事しか無くなってしまった時には、心を決めなさい。
決してTちゃんを死なせたい訳じゃないのよ。
でもね、もしもまだ終っていないとしたらTちゃんにとっては辛い時間が終らないって事なの。
Tちゃんも本山で何人もお会いしたでしょう?
本当に悪いモノはね、ゆっくりと時間をかけて苦しめるの。決して終らせないの。
苦しんでる姿を見てニンマリとほくそ笑みたいのね。
悔しいけど、先生達の力が及ばなくて目の前で苦しんでいても何もしてあげられない事もあるの。
あの人達も助けてあげたいけど…、どうにも出来ない事が多くて…。
先生何とかTちゃんだけは助けたくて手を尽くしたんだけど、正直自信が持てないの。
気配は感じないし、いなくなったとも思うけど、まだ安心しちゃ駄目。
安心して気を弛めるのを待っているかも知れないから。
いい?Tちゃん。
決して安心しきっては駄目よ。
いつも気を付けて、怪しい場所には近付かず、余計な事はしないでおきなさい。
先生を信じて。ね?
嘘ばかりついてごめんなさい。
信じてって言う方が虫が良すぎるのは分かっています。
それでも、最後まで仏様にお願いしていた事は信じてね。
Tちゃんが健やかに毎日を過ごせるよう、いつも祈ってます。
S
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読みながら、手紙を持つ手が震えているのが分かる。気持ちの悪い汗もかいている。
鼓動が早まる一方だ。
一体、どうすればいい?
まだ…、終っていないのか?
急にアイツが何処かから見ているような気がしてきた。
もう、逃れられないんじゃないか?もしかしたら、隠れてただけでその気になればいつでも俺の目の前に現れる事が出来るんじゃないか?
一度疑い始めたら、もうどうしようもない。全てが疑わしく思えてくる。
S先生は、ひょっとしたらアイツに苦しめられたんじゃないか?
だから、こんな手紙を遺してくれたんじゃないか?
結局…、何も変わっていないんじゃないか?
林は、ひょっとしたらアイツに付きまとわれてしまったんじゃないか?
一体アイツに何を囁かれたんだ。
俺とは違う、もっと直接的な事を言われて…、おかしくなったんじゃないか?
S先生は、俺を心配させないように嘘をついてくれたけど、
「嘘をつかなければならないほど」
の事だったのか…。
結局、それが分かってるからS先生は最後まで心配してたんじゃないのか?
疑えば疑うほど混乱してくる。どうしたらいいのかまるで分からない。
ここまでしか…俺が知っている事はない。
二年半に渡り今でも終ったかどうか定かではない話の全てだ。
結局、理由も分からないし、都合よく解決できたり何かを知ってる人がすぐそばにいるなんて事は無かった。
何処から得たか定かではない知識が招いたものなのか、あるいはそれが何かしらの因果関係にあったのか…。
俺には全く理解できないし、偶々としか言えない。
でも、偶々にしてはあまりにも辛すぎる。
果たしてここまで苦しむような罪を犯したのだろうか?
犯していないだろう?
だとしたら…何でなんだ?不公平過ぎるだろう。
それが正直な気持ちだ。
俺に言える事があるとしたらこれだけだ。
「何かに取り憑かれたり狙われたり付きまとわれたりしたら、マジで洒落にならんことを改めて言っておく。最後まで、誰かが終ったって言ったとしても気を抜いちゃ駄目だ」
そして…、最後の最後で申し訳ないが俺には謝らなければいけない事があるんだ。
この話の中には小さな嘘が幾つもある。これは多少なりとも分かり易くするためだったり、
俺には分からない事もあっての事なので目をつぶって欲しい。
おかげで意味がよく分からない箇所も多かったと思う。合わせてお詫びとさせて欲しい。
ただ…、謝りたいのはそこじゃあない。
もっと、この話の成り立ちに関わる根本的な部分で俺は嘘をついている。
気付かなかったと思うし、気付かれないように気を付けた。
そうしなければ伝わらないと思ったから。
矛盾を感じる事もあるだろう。がっかりされてしまうかもしれない…。
でもこの話を誰かに知って欲しかった。
俺は○○だよ。
…今更悔やんでも悔やみきれない。
(前編はこちら)
S先生「久しぶりねぇ。随分立派になって。早いわねぇ」
祖母「S先生、Tちゃんば大丈夫でしょかね?」
祖父「大丈夫って。そげん言うたかてまだ来たばかりやけんS先生かてよう分からんてさ」
祖母「あんたさんは黙っときなさんてさ。もうあたし心配で心配で仕方なかってさ」
何でだろう…ただS先生の前に来ただけなのにそれまで慌ていた祖父母が落ち着いていた。
それは両親にも、俺にも伝わってきて、深く息を吐いたら身体から悪いものが出ていった気がした。
両親はもう体力的にも精神的にも限界に近かったらしく、
「疲れちゃったやろ?後はS先生が良くしてくれるけん、隣ば行って休んでたらよか」
と人懐こい祖父の言葉に甘えて隣の部屋へ。
S先生「じゃあTちゃん、こっちにいらっしゃい」
S先生に呼ばれ、向かい合わせで正座した。
S先生「それじゃIさん達も隣の部屋で寛いでらして下さい。Tちゃんと話をしますからね」
S先生「後は任せて、こっちの部屋には良いと言うまで戻って来ては駄目ですよ?」
祖父「S先生、Tちゃんばよろしくお願いします!」
祖母「Tちゃん、心配なかけんね。S先生がうまいことしてくれるけん。あんたさんはよく言うこと聞いといたらよかけんね。ね?」
しきりにS先生にお願いして、俺に声をかけてくれる祖父母の姿にまた涙が出てきた。
泣きっぱなしだな俺。
S先生はもっと近づくように言い、膝と膝を付け合わせるように座った。
俺の手を取り、暫くは何も言わず優しい顔で俺を見ていた。
俺は何故か悪さをして怒られるじゃないかと親の顔色を伺っていた子供の頃のような気持ちになっていた。
目の前の、敢えて書くが自分よりも小さくて明らかに力の弱いお婆ちゃんの威圧的でもなんでもない雰囲気に呑まれていた。
あんな人本当にいるんだな。
S先生「…どうしようかしらね」
俺「…」
S先生「Tちゃん、怖い?」
俺「…はい」
S先生「そうよねぇ。このままって訳には行かないわよねぇ」
俺「えっと…」
S先生「あぁ、いいの。こっちの話だから」
何がいいんだ!?
ちっともよかねーだろなんて気持ちが溢れて来て、耐えきれずついにブチ撒けた。
本当に人として未熟だなぁ、俺は。
俺「あの、俺どーなるんすか? もう早いとこ何とかして欲しいんです。大体何なんですか?何でアイツ俺に付きまとうんですか? もう勘弁してくれって感じですよ。S先生、何とかならないんですか?」
S先生「Tちゃ…」
俺「大体、俺別に悪いこと何もしてないっすよ!?確かに□□(心霊スポットね)には行ったけど俺だけじゃないし、何で俺だけこんな目に会わなきゃいけないんすか?鏡の前で△しちゃだめだってのも関係あるんですか?ホント訳わかんねぇ!!あーっ!苛つくぅぁー!!」
「ドォ~ドォルルシッテ」
「ドォ~ドォルル」「チルシッテ」
…何が何だか解らなかった。(ホントに訳解んないので取り敢えずそのまま書く)
「ドォ~。 シッテドォ~シッテ」
左耳に鸚鵡か鸚哥みたいな甲高くて抑揚の無い声が聞こえてきた。
それが「ドーシテ」と繰り返していると理解するまで少し時間がかかった。
俺はS先生の目を見ていたし、S先生は俺の目を見ていた。
ただ優しくかったS先生の顔は無表情になっているように見えた…。
左側の視界には何かいるってのは分かってた。 チラチラと見えちゃうからね。
よせば良いのに、左を向いてしまった。
首から生暖かい血が流れてるのを感じながら。
アイツが立ってた。
体をくの字に曲げて、俺の顔を覗き込んでいた。
くどいけど…訳が解らなかった。起きてることを認められなかった。
此処は寺なのに、目の前にはS先生がいるのに…何でなんで何で…。
一週間前に、見たまんまだった。
アイツの顔が目の前にあった。 梟のように小刻みに顔を動かしながら
俺を不思議そうに覗き込んでいた。
「ドォシッテ? ドォシッテ? ドォシッテ? ドォシッテ?」
鸚鵡のような声でずっと質問され続けた。
きっと…林も同じようにこの声を聞いていたんだろう。
俺と同じ言葉を囁かれていたのかは解らないが…。
俺は…息する事を忘れてしまって目と口を大きく開いたままだった。
いや、息が上手く出来なかったって方が 正しいな。
たまに【コヒュッ】って感じで息を吸い込む事に失敗してた気がするし。
そうこうしているうちに、アイツが手を動かして顔に貼り付けてある
お札みたいなのをゆっくりめくり始めたんだ。
見ちゃ駄目だ!! 絶対駄目だって分かってるし逃げたかったんだけど動けないんだよ!!
もう顎の辺りが見えてしまいそうなくらいまで来ていた。
心の中では
「ヤメロ!それ以上めくんな!!」
って叫んでるのに口からは
「ァ…ァカハッ…」
みたいな情けない息しか出ないんだ。
もうやばい!! ヤバい!ヤバい!ってところで
「パンッ!!」
って。
例えとか誇張でもなく“跳び上がった。 心臓が破裂するかと思った。
正座してたから体が倒れそうになりながら後に振り向いてすぐ走り出した。
何か考えてた訳じゃなく体が勝手に動いたんだよね。
でも慣れない正座のせいで足が痺れてまともに走れないのよ。
痺れて足が縺れた事とあんまりにも前を見てないせいで頭から壁に突っ込んだがちっとも痛くなかった。
額から血がだらだら出てたのに…、
それだけテンパって周りが見えてなかったって事だな。
血が目に入って何も見えない。手をブン回して出口を探した。
けど的外れの方ばっかり探してたみたい。
「まだいけません!」
いきなりS先生が大きい声を出した。
障子の向こうにいる両親や祖父母に言ったのか俺に言ったのか分からなかった。
分からなかったがその声は俺の動きを止めるには十分だった。
ビクってなってその場で硬直。またもや頭の中では物凄い回転で事態を把握しようとしていた。
っつーか把握なんて出来る筈もなく、S先生の言うことに従っただけなんだけどね。
俺の動きが止まり、仏間に入ろうとする両親と祖父母の動きが止まった事を確認するかのように少しの間を置いてからS先生が話始めた。
S先生「Tちゃんごめんなさいね。怖かったわね。もう大丈夫だからこっちに戻ってらっしゃい」
「Iさん、大丈夫ですからもう少し待ってて下さいね」
障子(襖だったかも)の向こうからしきりに何か言ってのは聞こえてたけど覚えてない。
血を拭いながらS先生の前に戻ると手拭いを貸してくれた。
お香なのかしんないけどいい匂いがしたな。
ここに来てやっとあの音はS先生が手を叩いた音だって気付いた。
(質問出来る余裕は無かったけど)
S先生「Tちゃん、見えたわね?聞こえた?」
俺「見えました…どーして?って繰り返してました。」
この時にはもうS先生の顔はいつもの優しい顔になってたんだ。
俺も今度はゆっくりと、出来るだけ落ち着いて答える事だけに集中した。
まぁ…考えるのを諦めたんだけどね。
S先生「そうね。どうして?って聞いてたわね。何だと思った?」
さっぱり分からなかった。考えようなんて思わなかったしね。
俺「?? …いや…、ぅぅん?…分かりません」
S先生「Tちゃんはさっきの怖い?」
俺「怖い…です」
S先生「何が怖いの?」
俺「いや…、だって普通じゃないし。幽霊だし…」
ここらへんで俺の脳は思考能力の限界を越えてたな。S先生が何が言いたいのかさっぱりだった。
S先生「でも何もされてないわよねぇ?」
俺「いや…首から血が出たし、それに何かお札みたいなの捲ろうとしてたし,
明らかに普通じゃないし…」
S先生「そうよねぇ。でも、それ以外は無いわよねぇ」
俺「…」
S先生「難しいわねぇ」
俺「あの、よく分からなくて…すいません」
S先生「いいのよ」
S先生は、俺にも分かるように話してくれた。諭すっていった方がいいかもしれない。
まず、アイツは幽霊とかお化けって呼ばれるもので間違いない。
じゃあ所謂悪霊ってヤツかって言うとそう言いきっていいかS先生には難しいらしかった。
明らかにタチが悪い部類に入るらしいけど、S先生には悪意は感じられなかったって言っていた。
俺に起きた事は何なのかに対してはこう答えた。
「悪気は無くても強すぎるとこうなっちゃうのよ。あの人ずっと寂しかったのね。話したい、触れたい、見て欲しい、気付いて気付いてーって、ずっと思ってたのね」
「Tちゃんはね、分からないかもしれないけど暖かいのよ。色んな人によく思われてて、それがきっと“いいな~。優しそうだな~って思ったのね。
だから自分に気付いてくれた事が嬉しくて仕方なかったんじゃないかしら」
「でもね、Tちゃんはあの人と比べると全然弱いのね。だから、近くに居るだけでも怖くなっちゃって体が反応しちゃうのね」
S先生は、まるで子供に話すようにゆっくりと、難しい言葉を使わないように話してくれた。
俺はどうすればいいのか分からなくなったよ。
アイツは絶対に悪霊とかタチの悪いヤツだと決めつけてたから。
S先生にお祓いしてもらえばそれで終ると思ってたから…。
それなのにS先生がアイツを庇うように話してたから…。
S先生「さて、それじゃあ今度は何とかしないといけないわね。Tちゃん、時間かかりますけど何とかしてあげますからね」
この一言には本当に救われたよ。
あぁ、もういいんだ。終るんだって思った。やっと安心したんだ。
S先生に教えられたことを書きます。俺にとって一生忘れたくない言葉です。
「見た目が怖くても、自分が知らないものでも自分と同じように苦しんでると思いなさい。救いの手を差し伸べてくれるのを待っていると思いなさい」
S先生はお経をあげ始めた。お祓いのためじゃ無くアイツが成仏出来るように。
その晩、額は裂けてたしよくよく見れば首の痕が大きく破けて痛かったけど
本当にぐっすり眠れた。(お経終わってもキョドってた俺のために笑いながらその日は泊めてくれた)
翌日、朝早く起きたつもりがS先生はすでに朝のお祈りを終らしてた。
S先生「おはよう、Tちゃん。さ、顔洗って朝御飯食べてらっしゃい。食べ終わったら本山に向かいますからね」
関係者でも何でもないんであまり書くのはどうかと思うが少しだけ。
S先生が属している宗派は前にも書いた通り教科書に載るくらい歴史があって、信者の方も修行されてる方も日本全国にいらっしゃるのね。
教えは一緒なんだけど地理的な問題から東と西それぞれに本山があるんだって。
俺が連れていってもらったのが西の本山。本山に暫くお世話になって、自分が元々持っている徳(未だにどんなものか説明できないけど)を高める事と、アイツが少しでも早く成仏出来るように本山で供養してあげられるためってS先生は言ってた。
その話を聞いて一番喜んだのが祖母、まだ信じられなそうだったのが親父。
最後は俺が
「もう大丈夫。行ってくる」
って言ったから反対しなかったけど。
本山に着くと迎えの若い方が待っていて、S先生に丁寧に挨拶してた。
本堂の横奥にある小屋(小屋って呼ぶのが憚れるほど広くて立派だったが)で本山の方々にご挨拶。
ここでもS先生にはかなりの低姿勢だったな。
S先生、実は凄い人らしく、望めばかなりの地位(「寂しいけど序列ができちゃうのね」ってS先生は言ってた)にいても不思議じゃないんだって後から聞いた。
俺は本山に暫く厄介になり、まぁ客人扱いではあったけど皆さんと同じような生活をした。
多分、S先生の言葉添えがあったからだろうな。
その中で、自分が本当に幸運なんだなって実感したよ。
もう四十年間ずっと蛇の怨霊に苦しめられている女性や、家族親族まで祟りで没落してしまって身寄りが無くなってしまったけど家系を辿れば立派な士族の末裔の人とか…
俺なんかよりよっぽど辛い思いしてる人がこんなにいるなんて知らなかったから…。
厳しい生活の中にいたからなのか、場所がそうだからなのか、あるいはS先生の話があったからなのか恐怖は大分薄れた。
(とは言うものの、ふと瞬間にアイツがそばに来てる気がしてかなり怯えたけど)
本山に預けてもらって一ヶ月経った頃S先生がいらっしゃった。
S先生「あらあら、随分良くなったみたいね」
俺「えぇ、S先生のおかげですね」
S先生「あれから見えたりした?」
俺「いや…一回も。多分成仏したかどっかにいったんじゃないですか?ここ、本山だし」
S先生「そんな事ないわよ?」
顔がひきつった。
S先生「あら、ごめんなさい。また怖くなっちゃうわよね」
「でもねTちゃん、ここには沢山の苦しんでる人がいるの。その人達を少しでも多く助けてあげるのが私達の仕事なのよ」
多分だけどS先生の言葉にはアイツも含まれてたんだと思う。
「Tちゃん、もう少しここにいて勉強しなさい。折角なんだから」
俺はS先生の言葉に従った。あの時の事がまだまだ尾を引いていて、まだここにいたいって思ってたからね。
それに一日はあっという間なんだけど…
何て言うか時間がゆっくり流れてような感じが好きだったな。(何か矛盾してるけどね)
そんなこんなが続いて、結局三ヶ月も居座ってしまった。
その間S先生は(二ヶ月前に来たきり)こっちには顔を出さなかった。
やっぱりS先生の言葉がないと不安だからね。
でも、哀しいかな流石に三ヶ月もそれまで自分がいた騒々しい世界から隔離去れると物足りない気持ちが強くなってた。
実に二ヶ月ぶりにS先生がやって来てやっと本山での生活は終りを迎えようとしていた。
身支度を整え、兎に角お世話になった皆さんに一人ずつ御礼を言いS先生と帰ろうとしたんだ。
でも気付くと横にいたはずのS先生がいない。
「あれ?」
と思って振り向いたら少し後にいたんだ。
「歩くの速すぎたかな?」
って思って戻ったら優しい顔で
「Tちゃん、帰るのやめてここに居たら?」
って言われた。
実はS先生に認められた気がして少し嬉しかった。
「いや、僕にはここの人達みたいには出来ないです。本当に皆さん凄いと思います。真似出来そうもないですよ」
照れながら答えたら
「そうじゃなくて帰っちゃ駄目みたいなのよ」
「え?」
「だってまだ残ってるから」
また顔がひきつった。
結局、本山を降りる事が出来たのはそれから二ヶ月後だった。実に五ヶ月も居座ってしまった。
多分、こんなに長く家族でも無い誰かに生活の面倒を見てもらう事はこの先ないだろう。
S先生から
「多分もう大丈夫だと思うけど、しばらくの間は月に一度おいでなさい。」
と言われた。
アイツが消えたのか、それとも隠れてるのか本当のところは分からないからだそうだ。
長かった本山の生活も終ってやっと日常に戻って来た。
借りてたアパートは母が退去手続きを済ましてくれていて、実家には俺の荷物が運び込まれてた。
アパートの部屋を開けた時、何かを燻したような臭いと部屋の真ん中辺りの床に小さな虫が集まってたらしい。
怖すぎたらしくその日はなにもしないで帰って来たんだってさ。
翌日、仕方無いんで意を決してまた部屋を開けたら臭いは残ってたけど虫は消えてたらしい。
母には申し訳ないが俺が見なくて良かった。
実家に戻り、実に約半年ぶりくらいに携帯を見ると(そーいやそれまでは気にならなかったな。)
物凄い件数の着信とメールがあった。 中でも一番多かったのが○○。
メールから、奴は奴なりに自分のせいでこんな事になったって自責の念があったらしく、謝罪とかこうすればいいとかこんな人が見つかったとかまめに連絡が入ってた。
母から、○○が家まで来た事も聞いた。
戻って二日目の夜、○○に電話を入れた。電話口が騒がしい。
○○は呂律が回らず何を言っているか分からなかった。
…コンパしてやがった。
とりあえず電話をきり「殺すぞ」とメールを送っておいた。
所詮世の中他人は他人だ。
翌日、○○から謝りたいから時間くれないか?とメールが来た。
電話じゃなかったのは気まずかったからだろう。
夜になると、家まで○○が来た。わざわざ遠いところまで来るくらいだ。
相当後悔と反省をしていたのだろう。
(夜に出歩くのを俺が嫌ったからってのが一番の理由である事は言うまでもない)
玄関を開け○○を見るなり二発ぶん殴ってやった。
一発は奴の自責の念を和らげるため、
一発はコンパなんぞに行ってて俺を苛つかせた事への贖罪のために。
言葉で許されるよりも殴られた方がすっきりする事もあるしね。
まぁ、二発目は俺の個人的な怒りだが。
○○に経緯を細かく話し、その晩は二人して興奮したり怖がったり…
今思うと当たり前の日常だなぁ。
○○からは、あの晩のそれからを聞いた。
あの晩、逃げたした時には林は明らかにおかしくなっていた。
林の車の中で友達と待っていた○○には、
まず間違いなくヤバい事になっているって事がすぐに分かったそうだ。
でも、後部座席に飛び乗ってきた林の焦り方は尋常じゃ無かったらしく、車を出さざるを得なかったらしい。
「反抗したりもたついたりしたら何されっか分かんなかったんだよ」
○○の言葉が状況を物語っていた。
○○は、車が俺の家から離れ高速の入り口近くの信号に捕まった時に、逃げ出したらしい。
○○「だってあいつ、途中から笑い出したり、震えたり、“俺は違う“とか“そんな事しません“とか言い出して怖いんだもんよ」
アイツが何か囁いてる姿が甦ってきて頭の中の映像を消すのに苦労した。
俺の家に戻って来なかったのは単純に怖すぎたからだって。
「根性無しですみませんでした」
って謝ってたから許した。俺が○○でも勘弁だしね。
その後、林がどうなったかは誰も知らない。さすがに今回の件では○○も頭に来たらしく、
林を紹介した友達を問い詰めたらしい。
結局、林は詐欺師まがいにも成りきれないようなどうしようも無いヤツだったらしく、唆されて軽い気持ち(小遣い稼ぎだってさ…)で紹介したんだと。
○○曰く「ちゃんとボコボコにしといたから勘弁してくれ!」との事。
でもこんな状況を招いたのが自分の情報だってのには参ったから、
今度は持てる人脈を総動員したが…
こんなことに首を突っ込んだり聞いた事がある奴が回りにいるはずもなく、
多分とか~だろうとかってレベルの情報しか無かったんだ。
だから
「何か条件が幾つかあって、偶々揃っちゃうと起きるんじゃないか」
としか言えなかった。
その後、俺はS先生の言い付けを守って毎月一度、S先生を訪ねた。
最初の一年は毎月、次の一年は三か月に一度。
○○も、俺への謝罪からか何も無くても家まで来ることが増えたし、S先生のところに行く前と帰ってきた時には必ず連絡が来た。
アイツを見てから二年が経った頃、S先生から
「もう心配いらなそうね。Tちゃん、これからはたまに顔出せばいいわよ。でも、変な事しちゃだめよ」
って言ってもらえた。
本当に終ったのか…俺には分からない。
S先生はその三ヶ月後、他界されてしまった。
敬愛すべきS先生、もっと多くの事を教えて欲しかった。
ただ、今は終ったと思いたい。
S先生のお葬式から二ヶ月が経った。
寂しさと、大切な人を亡くした喪失感も薄れ始め俺は日常に戻っていた。
慌ただしい毎日の隙間にふとあの頃を思い出す時がある。
あまりにも日常からかけ離れ過ぎていて、本当に起きた事だったのか分からなくこともある。
こんな話を誰かにするわけもなく、またする必要もなく、ただ毎日を懸命に生きてくだけだ。
祖母から一通の手紙が来たのはそんなごくごく当たり前の日常の中だった。
封を切ると、祖母からの手紙と、もう一つ手紙が出てきた。
祖母の手紙には俺への言葉と共にこう書いてあった。
“S先生から渡されていた手紙です。四十九日も終わりましたのでS先生との約束通りTちゃんにお渡しします“
S先生の手紙、今となってはそこに書かれている言葉の真偽が確かめられないし、そのままで書く事は俺には憚られるので崩して書く。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
Tちゃんへ
ご無沙汰しています。Sです。あれから大分経ったわねぇ。
もう大丈夫?怖い思いをしてなければいいのだけど…。
いけませんね、年をとると回りくどくなっちゃって。
今日はね、Tちゃんに謝りたくてお手紙を書いたの。
でも悪い事をした訳じゃ無いのよ。
あの時はしょうがなかったの。 でも…、ごめんなさいね。
あの日、Tちゃんがウチに来た時、先生本当は凄く怖かったの。
だってTちゃんが連れていたのはとてもじゃ無いけど先生の手に負えなかったから。
だけどTちゃん怯えてたでしょう?
だから先生が怖がっちゃいけないって、そう思ったの。
本当の事を言うとね、いくら手を差し伸べても見向きもされないって事もあるの。
あの時は、運が良かったのね。
Tちゃん、本山での生活はどうだった? 少しでも気が紛れたかしら?
Tちゃんと会う度に先生まだ駄目よって言ったでしょう?
覚えてる?
このまま帰ったら酷い事になるって思ったの。
だから、Tちゃんみたいな若い子には退屈だとは分かってたんだけど帰らせられなかったのね。
先生、毎日お祈りしたんだけど中々何処かへ行ってくれなくて。
でも、もう大丈夫なはずよ。近くにいなくなったみたいだから。
でもねTちゃん、もし…もしもまた辛い思いをしたらすぐに本山に行きなさい。
あそこなら多分Tちゃんの方が強くなれるから中々手を出せないはずよ。
最後にね、ちゃんと教えておかないといけない事があるの。
あまりにも辛かったら、仏様に身を委ねなさい。
もう辛い事しか無くなってしまった時には、心を決めなさい。
決してTちゃんを死なせたい訳じゃないのよ。
でもね、もしもまだ終っていないとしたらTちゃんにとっては辛い時間が終らないって事なの。
Tちゃんも本山で何人もお会いしたでしょう?
本当に悪いモノはね、ゆっくりと時間をかけて苦しめるの。決して終らせないの。
苦しんでる姿を見てニンマリとほくそ笑みたいのね。
悔しいけど、先生達の力が及ばなくて目の前で苦しんでいても何もしてあげられない事もあるの。
あの人達も助けてあげたいけど…、どうにも出来ない事が多くて…。
先生何とかTちゃんだけは助けたくて手を尽くしたんだけど、正直自信が持てないの。
気配は感じないし、いなくなったとも思うけど、まだ安心しちゃ駄目。
安心して気を弛めるのを待っているかも知れないから。
いい?Tちゃん。
決して安心しきっては駄目よ。
いつも気を付けて、怪しい場所には近付かず、余計な事はしないでおきなさい。
先生を信じて。ね?
嘘ばかりついてごめんなさい。
信じてって言う方が虫が良すぎるのは分かっています。
それでも、最後まで仏様にお願いしていた事は信じてね。
Tちゃんが健やかに毎日を過ごせるよう、いつも祈ってます。
S
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読みながら、手紙を持つ手が震えているのが分かる。気持ちの悪い汗もかいている。
鼓動が早まる一方だ。
一体、どうすればいい?
まだ…、終っていないのか?
急にアイツが何処かから見ているような気がしてきた。
もう、逃れられないんじゃないか?もしかしたら、隠れてただけでその気になればいつでも俺の目の前に現れる事が出来るんじゃないか?
一度疑い始めたら、もうどうしようもない。全てが疑わしく思えてくる。
S先生は、ひょっとしたらアイツに苦しめられたんじゃないか?
だから、こんな手紙を遺してくれたんじゃないか?
結局…、何も変わっていないんじゃないか?
林は、ひょっとしたらアイツに付きまとわれてしまったんじゃないか?
一体アイツに何を囁かれたんだ。
俺とは違う、もっと直接的な事を言われて…、おかしくなったんじゃないか?
S先生は、俺を心配させないように嘘をついてくれたけど、
「嘘をつかなければならないほど」
の事だったのか…。
結局、それが分かってるからS先生は最後まで心配してたんじゃないのか?
疑えば疑うほど混乱してくる。どうしたらいいのかまるで分からない。
ここまでしか…俺が知っている事はない。
二年半に渡り今でも終ったかどうか定かではない話の全てだ。
結局、理由も分からないし、都合よく解決できたり何かを知ってる人がすぐそばにいるなんて事は無かった。
何処から得たか定かではない知識が招いたものなのか、あるいはそれが何かしらの因果関係にあったのか…。
俺には全く理解できないし、偶々としか言えない。
でも、偶々にしてはあまりにも辛すぎる。
果たしてここまで苦しむような罪を犯したのだろうか?
犯していないだろう?
だとしたら…何でなんだ?不公平過ぎるだろう。
それが正直な気持ちだ。
俺に言える事があるとしたらこれだけだ。
「何かに取り憑かれたり狙われたり付きまとわれたりしたら、マジで洒落にならんことを改めて言っておく。最後まで、誰かが終ったって言ったとしても気を抜いちゃ駄目だ」
そして…、最後の最後で申し訳ないが俺には謝らなければいけない事があるんだ。
この話の中には小さな嘘が幾つもある。これは多少なりとも分かり易くするためだったり、
俺には分からない事もあっての事なので目をつぶって欲しい。
おかげで意味がよく分からない箇所も多かったと思う。合わせてお詫びとさせて欲しい。
ただ…、謝りたいのはそこじゃあない。
もっと、この話の成り立ちに関わる根本的な部分で俺は嘘をついている。
気付かなかったと思うし、気付かれないように気を付けた。
そうしなければ伝わらないと思ったから。
矛盾を感じる事もあるだろう。がっかりされてしまうかもしれない…。
でもこの話を誰かに知って欲しかった。
俺は○○だよ。
…今更悔やんでも悔やみきれない。
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Title : 無題
幽霊に殺されたなら殺されそうなもんでしょうけどね、〇〇さん。
幽霊自体も攻撃するのにはタイミングが必要とかなのかな?公式的には幽霊を否定してる仏教よりかは(密教交じり系っぽいですけど)神道筋に頼るのも手のような気はしますが…
数字 2011.05.25 (Wed) 20:13 編集
Re:無題
この話に出てくるのは浄土真宗っぽいですね。
東本願寺と西本願寺。
仏教は来世とかも否定してますからね。
2011.05.26 17:22
Title : 無題
ちょっ……これ
小説とかにしたほうが
いいよッ!!
林!間違いなく
儲けれるぞ(笑)
ニョン 2011.05.25 (Wed) 20:48 編集
Re:無題
林!
出版持込するんだw
2011.05.26 20:06
Title : 無題
どっかのサイトにも掲載されていましたけど、最後まで載せてませんでしたね…
最後まで読めたのでよかったです。
火巳ヶ家 2011.05.25 (Wed) 21:03 編集
Re:無題
そうなんですか。
喜んでもらえてよかったです。
2011.05.26 20:06
Title : 無題
お話としては面白かったです。
しかし最後の一文で台無し…
意外性狙ったんだろうけどTしかわからないだろう心情まで細かくかいてるじゃん…
と、マジレスしてみたり…
こじこ 2011.05.25 (Wed) 21:20 編集
Re:無題
その辺が「ウソ」の部分なんじゃないでしょうか?
2011.05.26 20:07
Title : 無題
いやしかし…
怖いもんは怖いよなぁwww
林マジワロタwww
春月 2011.05.26 (Thu) 01:41 編集
Re:無題
こういう林っぽいキャラって結構いますよねw
2011.05.26 20:18
Title : 無題
久々に本当怖かった~;;
かんかんだら(漢字が分からない…)以来にツボでした。
あこ 2011.05.26 (Thu) 03:44 編集
Re:無題
久々ですかw
最近ちょっとゆるいのかなーw
2011.05.26 20:19
Title : 無題
削除するかもってこの話、何か問題あるんですか?
このサイトに相応しくない真面目に怖い話ですね。いい意味で。
NONAME 2011.05.26 (Thu) 09:08 編集
Re:無題
いえ、いろいろあるんですよ…
2011.05.26 20:56
Title : 無題
あリがとうございます!!
なんか…すいませんっ;;
みき 2011.05.26 (Thu) 23:26 編集
Re:無題
いえいえ、大丈夫ですぉー。
面白かったです♪
2011.05.27 13:52
Title : 無題
この話、マズい奴ですよね?
ユリウス 2011.05.27 (Fri) 00:14 編集
Re:無題
ちょっぴりね。
2011.05.27 14:20
Title : 無題
いろいろあるって そこが気になりますねーw
気になるなーw
べーだー 2011.05.27 (Fri) 02:11 編集
Re:無題
気にしないでくださいw
現実的な問題なのでw
2011.05.27 15:22
Title : 無題
Tと○○を入れ替えて書いてるのか、それともTなんかいないくて架空の設定なのか、Tが書ける状態じゃないから○○が代筆してるのか。
どういう意味なんでしょ?
NONAME 2011.05.27 (Fri) 03:46 編集
Re:無題
多分代筆なんじゃないかなー。
2011.05.27 15:23
Title : 無題
これは読めば読むほど味が出る話ですな!(゜∀゜)
最後の「○○は俺」発言で興ざめを誘うと共に、話の謎(物語としての面白い所)を更に深める結果となりました。
具体的な謎提示として例をいくつか…。
1:○○がその悪霊?
2:Tの生死は?
3:S先生は何故最後あんな手紙を書いたのか?
4:Tのマンションへ母親が行った時に見た虫の死骸はなぜ翌日消えてたのか?
5:悪霊の正体は?
6:結局この話は何を伝えたいのか?(1、2が明らかになれば分かる?もしくは最後の「○○は俺」発言は、作り話ということを示唆している?)
7:本当に○○は林の本性を知らなかったのか?
8:結局悪霊は何が原因で現れたのか?
是非ともこの話の考察を誰かにやっていただきたいですな。
ネッシー 2011.05.27 (Fri) 04:02 編集
Re:無題
ふむふむ。
○○は俺、という一点で考えると、林を連れてきた経緯が不明確になるんですよねー。
2011.05.27 15:25
Title : 無題
最後の一行で混乱した…
仮の人 2011.05.27 (Fri) 12:48 編集
Re:無題
ワタシも混乱しましたw
何度も読み返しちゃいました。
2011.05.27 18:30
Title : 無題
久しぶりに来ました。
このサイトに掲載されてる長文は裏切らないですね。よしぞーさんセンスいいです。
S先生の視点でのスピンオフ?もいけそうです。
ななし 2011.05.27 (Fri) 13:02 編集
Re:無題
おお、ありがとうございます!
ほめられた♪
2011.05.27 19:26
Title : 無題
とんでもない悪霊だったってことか…
それより、色々駄目な話って何?
そこが一番怖い…
NONAME 2011.05.27 (Fri) 13:23 編集
Re:無題
や、現実問題で色々あるですよ
2011.05.27 19:26
Title : 無題
えっ…?
結局どういうことでしょうか…?ι
色々と訳がわからなくて混乱してます…ι
つるかめ 2011.05.28 (Sat) 23:12 編集
Re:無題
やばい話にかかわった
ばれた
逃げてる
こんな感じw
2011.05.31 17:57
Title : 無題
Tがいなくなった(死んだ?)から〇〇が聞いてた話をかわりに書いた、のかと思いました。
NONAME 2011.06.11 (Sat) 20:17 編集
Re:無題
実際のところはどうなんでしょうね?
2011.06.12 00:25
Title : 無題
方言がめちゃくちゃw
九州弁と関西弁がごっちゃになってるやんw
なしこ 2011.08.03 (Wed) 18:04 編集
Re:無題
あんまり追求したらかわいそうですw
2011.08.05 18:39