都市伝説・・・奇憚・・・blog
出会い
2008.12.24 (Wed) | Category : 誰も信じない人へ
書かせていただきます。
小学校のときからいじめられ、中学になってから耐えられずに自殺しようとしたとき、小遣いもなかった私は、自分が行ける距離の一番高い駅ビルの屋上で、不思議な人に出会いました。
その人は女性で、後で聞いたところ17歳(当時)だったそうです。
その人が一言、
「もし自殺する気なら、あなたの人生を私が買います」
何事かと思いました。
よく見ると、右手に盲人用の白い杖。
しかし、その人の目は明らかに私を捉えているようでした。
促されるように、ずっといじめにあってつらい事、死んでしまいたいという事を涙ながらに語っていました。
気がつけば夕暮れも夜の色になり、その人は名刺を手渡しました。
「話したいことがあれば、ここにきなさい」
と。
次の日から、私はその人の家に通うようになり、いろいろな話をしました。
はじめはいじめの話題ばかりだったのが、いつしか楽しかったこと、思い出に残ったことなども話すようになり、その人も、うまくまとめられない私の話しをゆっくり聞いてくれました。
その人にはお兄さんがいて、学校から帰ってすぐにその人の身の回りの世話をしていました。
いつしか私もそれを手伝うようになり、それを楽しみにするようになりました。
しかし、出会ってから半年が過ぎるころ、床に伏せることが多くなり、ほとんど寝たきりになってしまいました。
そのころになってようやく、
「私はこの人のことを何も知らない」
と気づき、話す側から聞く側に回るようになりました。
ゆっくりと削られていく時間の中で、その人の18年の人生を、私は噛み締めるように聞きました。
そして、出会ってからちょうど一年目、その人はゆっくりと息を引き取りました。
お兄さんは、
「この子が安らかに逝けたのは君のおかげだよ。ありがとう」
と、お葬式のときにいってくれました。
むしろお礼を言いたいのは私のほうなのに。
その後少しして、自宅のほうに入ってみたら、引っ越しましたの張り紙。
私は門の前で泣いてしまいました。
それから5年。
私も18になり、トラックの運転手になっていました。
その日、夕方に荷物を積み、夜のうちに目的地へ移動中。
突然濃い霧のようなものが立ち込め、そこが本当に道路なのかさえわからなくなりました。
危険を感じた私はすぐに車を止め、霧が晴れるまで待つことにしました。
すると前方から、二人の人影か近づいてきました。
なぜだかすぐにあの二人だと気付き、車を降りて駆け出していました。
二人はにこやかに微笑んでいて、私は泣きながら抱きつきました。
それから、時のたつのも忘れて、10年間にあったいろいろなことを話し、二人は昔のように聞いていてくれました。
話が終わると、二人は泣いていました。
私は
「そろそろお別れなんだ」
と思い、
「ありがとう。本当にありがとう」
と言いました。また、私は泣いていました。
二人は
「あなたが幸せなら、私たちは安らかにいられる」
と言い、
「もし私たちの最後の言葉を忘れてしまったら、あの場所へきなさい」
と言い残し、霧の中に消えていきました。
気がつくと霧は晴れ、車は路肩に止まっていました。
翌日、二人の家のあった場所に行くと、そこは墓地になっていました。
十数個ある墓石に刻まれているのはすべて同じ苗字。
その中に新しい墓がひとつ。
その裏には二人の名前がありました。
お兄さんが亡くなったのは、その人が亡くなってちょうど一年後でした。
花を添え、線香をたき、手お合わせていると、頭の中で二人の声が聞こえました。
そして、私は最後の言葉を思い出しました。
「私たちの分まで生きなさい」
と…。
今でもあの二人に言いたい。
「私は今でも生きているよ」
この記事にコメントする
Title : 無題
いい話ですね
少しの文章なのに
すごく感動しました
ひろ 2008.12.24 (Wed) 05:33 編集
Re:無題
ありがとうございますー!
2008.12.26 14:22
Title : 無題
この話の女性が、二次元のお姉さん系のキャラみたいで萌えました。
僕も母性的な美少女に色々と慰めてもらいたいとです。
ストライクドッグ 2008.12.25 (Thu) 00:40 編集
Re:無題
同感ですww
2008.12.26 14:23
Title : 無題
うまく脚本かけばテレビドラマ化できそう
ヒーリング 2008.12.25 (Thu) 02:27 編集
Re:無題
1時間ドラマとかにできそうですよね。
2008.12.26 14:24
Title : 無題
素晴らしい話だ
みやボー 2008.12.25 (Thu) 17:27 編集
Re:無題
ありがとうございます♪
2008.12.26 14:24