都市伝説・・・奇憚・・・blog
ばあちゃんの形見
2008.05.03 (Sat) | Category : 誰も信じない人へ
いい話しかどうか分からないけど。
俺が子供の時、ばあちゃんが亡くなった。
遠くに住んでいて、俺は死に目に会えなかった。
でも、おふくろが、ばあちゃんを看取った。
ばあちゃんが亡くなった時、俺が小学校で、帰りの支度をしていた。
何も感じなかったし、何も予感もなくて、電話が来て、ばあちゃんが死んだ事を初めて知った。
親父と、ばあちゃんが住んでいた福島まで行く途中、その頃は、福島まで6時間かかって、ようやく到着した時、ばあちゃんは布団で、眠るように横になっていた。
子供なりに、すごいショックで、すごく悲しかったような気がする。
じいちゃんが、布団の横で泣いていた。
正直、あんまりよく覚えていないけど。
その日に通夜があって、その夜は俺はじいちゃんと一緒に寝たような記憶がある。
じいちゃんとばあちゃんは、福島で旅館をやってて、じいちゃんは歳だったし、おふくろがお香を絶やさないように、ずっとばあちゃんの側にいた。
夜中、ふと目が覚めると、ばあちゃんがいた。
じいちゃんの横で、悲しそうにうつむいていた。
「おばあちゃん」
と俺が声をかけると、すっと俺の前にやって来て、頭を撫でて、消えていった。
あの時、ばあちゃんは確かに
「財布の中を見てごらん」
というような事を言ったような気がする。
あれから、数年が経って、俺は高校生になっていた。
福島に戻って、じいちゃんと思い出話しをしていた時、ふと、ばあちゃんの言葉を思い出した。
じいちゃんが形見にと受け取った、ばあちゃんの財布。
じいちゃんが開けてもいい、と言うので、開けてみた。
その中に、写真が一枚入ってた。
俺の生まれたばかりの時の写真だった。
写真の裏側に書かれていた言葉
「私の孫が生まれた。この子の結婚式を見る事ができるだろうか」。
そこには、ばあちゃんが、じいちゃんとの結婚式の時に交わし合った指輪が入っていた。
ごめんね、おばあちゃん。
俺、まだ結婚してないけど、あの指輪、大切に持ってるよ。
この記事にコメントする