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ー電話機ー <喜一じいちゃんシリーズ>
2018.05.28 (Mon) | Category : ミステリー・不思議な話
950:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/13(土)12:34:39ID:Lc2CebrJ0
家は昔質屋だった、と言ってもじいちゃんが17歳の頃までだから私は話でしか知らないのだけど結構面白い話を聞けた。
田舎なのもあるけどじいちゃんが小学生の頃は幽霊は勿論、神様とか妖怪やら祟りなど非科学的な物が当たり前に信じられていた時代でそう言った物を質屋に持ち込む人は少なくは無かったそうだ。
どういった基準で値段をつけていたのかは分らないが、じいちゃん曰く
「おやじには霊感があったからそう言う神がかった物は見分ける事ができたんだ」
と喜一じいちゃんは言っていた。
喜一じいちゃんの時代は電話が無かった、無かったと言っても一般家庭での話しでお役所や大手の企業等は所有していた。
喜一だって何度か市役所で見たことがあったがそれでも少年にとっては未知の世界の機械、ある日そんな特別な電話機を蔵で発見したのだそれはもう喜一にとっては大事だった。
蔵を飛び出しドタドタと縁側を駆け抜け店へと走る
「何で何で!!電話機が蔵に!蔵に!?」
大興奮の喜一の言葉は片言だったが親父には充分だった
「おめぇまた勝手に蔵に入りやがったな…」
じろりと喜一を睨んだが今の喜一には全く効果は無かった。
「なぁなぁあれしゃべれるんだろ?隣町のじっちゃんとも話せるのかな?」
目をキラキラさせながら話す喜一をしり目に親父は足の爪を切りながら
「あほう、家に電話線何てあるか、それに電話機ちゅーのは向こう側にも電話機がねぇと話せねーんだよ。」
親父の冷めた口調に喜一の興奮もあっという間に冷めてしまった。
「この辺で電話機がある所っちゃぁ市役所、軍の事務所、隣町の呉服屋ぐれーだろ、どっちにせよお前みたいなガキには縁の無い物だな」
ガキ扱いされた上にじゃまだと店を追い出されすっかり喜一は機嫌をそこねた。
電話機はもう買い手が決まっているらしく家の蔵にいるのはほんの数週間、電話機自体壊れていたがみえっぱりな金持ちの壁のオブジェになるそうだった。(当時の電話は壁に掛る大きな物だった)
それでも喜一は親父の目を盗んで電話機の受話器を取って話しをしていた、と言ってもただの独り言だ
「…それで親父はカンカンだしかーちゃんは大泣きするしで…」
「フフ…」
喜一の話に誰かが笑った
「え?」
喜一は周りを見渡したが誰かがいるはずも無い、と言うことは電話の向こうだ。
951:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/13(土)12:36:44ID:Lc2CebrJ0
「も…もしもーし、どなたですか?」
喜一がおそるおそる訪ねると
「…申し申し?」
返答があった。
親父のヤツ俺を電話機に近づけまいとして壊れてる何て嘘を付いたんだな、そう思った喜一は嬉しくて嬉しくて電話の向こうに話しかけた
「こ…こんにちは」
暫くすると
「こんにちは…声を出すつもりは無かったんだが君の話が面白くてね、盗み聞きになってしまったなすまない」
相手はとても紳士な感じがした。
「そんなこと気にしなくていいよ、それよりさそっちは何県なの?」
喜一は電話の向こうが気になって仕方がなかった
「そうだな…とても遠い遠い所だよ君の知らない所だ」
彼の答えに喜一は
「外国!?遠いって蘭よりも遠いのか?」
そう聞くと彼は笑いながら
「そうだねきっと蘭よりも遠いだろう」
と答えてくれた。
それから喜一は毎晩親父が寝静まった後蔵で電話をした、電話の話相手は喜一が受話器を取って
「もしもし」
と言うと必ず
「申し申し」
と答えてくれた。彼の話はとても面白くリアルだった、ある日
「おじさんはどんな仕事をしてるの?」
と喜一が聞くと彼は少し困った様に
「うーんそうだな前は人を幸せにする仕事をしていたんだ」
曖昧な答えに
「幸せって?」
と聞き返した
「まぁいろいろあるけどたとえばお金とかが良く入るようにしていたよ」
それを聞いて喜一はかってに銀行関係の人だと思った
「ふーん、じゃあ今は?」
今度の質問には少し彼の声のトーンが下がった
「前の仕事は任期が終わってしまってね。今は逆の仕事をしているんだ…でもまた暫くすれば幸せにする方の仕事に戻れるんだけどね」
喜一は考えた、お金を与える仕事と逆って事は奪うんだな…きっとヤクザの取立屋だ!銀行員になったり取立屋になったりそれは大変そうだと思った喜一は彼をねぎらったのだった。
そんな楽しい電話生活もあっという間に過ぎとうとう明日電話機の受渡と言う日になった。
「申し申し…今日は何だか元気が無いね、どうしたんだい?」
心配されてしまった喜一はここが質屋で電話出来るのが今日で最後だと言うことを彼に話し、寂しがった。
「そうか…それは寂しいね、でもよかった実は私もそろそろ自分の仕事を抑えるのが限界だったんだよ、君に迷惑がかからなくて良かった」
952:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/13(土)12:37:18ID:Lc2CebrJ0
喜一には彼の言っていることが良く解らなかったが彼も寂しがってくれている事が解ったので少し嬉しかった。
「最後に聞きたいのだが、この電話機の持ち主になる家はお金持ちかい?」
彼が不思議なことを訪ねた、
「?、うんお金持ちだよ、でも嫌なヤツだって親父が言ってたから明日からは電話しない方がいいかもね」
喜一がそう教えてあげると
「ハハハ…そうかそれならよかった…また会えるといいね」
彼の言葉に喜一は
「まだ会ってないよ、いつか会えるといいねだろ?」
そう訂正し最後の電話を切った。
翌日、店に電話機の主人になる人が来た親父の横で電話機を見送ると
「お前ずいぶんと電話機と親しくなったみてぇだな」
喜一は心臓が飛び出るかと思うほど驚いた、
「なっな何のこと」
白を切ろうとしたが親父にはお見通しだった様だ
「お前があの貧乏神と仲良くやってくれたおかげで受渡まで家に災難は無かったし、むしろ売上上々だったしな」
さらに喜一は驚いた
「貧乏神!?あの電話が?電話の相手は?」
「おめぇ繋がらない電話に人間が出るわけねぇだろ」
喜一には電話線と言う物がよく分かっていなかったのだ。
「ねぇ貧乏神なんか憑いてる物売っちゃっていいの!?」
喜一がハッと気づいて問うと
「いくら何でも神さんを払うわけにいくめぇ、それにあそこの親父は昔から嫌なヤツだからな少し痛い目に遭えばいいさ、金に困ればまた家に売りに来るだろう、その頃には福の神に変わってねぇかなぁ」
クククと喉を鳴らした親父は大きなあくびをして茶の間へと姿を消した。
喜一はあの電話の会話をいろいろ回想していると思い出した様に茶の間から顔を出した親父が
「今回は特別に泳がせてやったが、調子に乗ってまた蔵に入るんじゃねーぞ、次勝手に入ってみやがれ裏の木に吊すからな」
そう言うとキッと喜一を一睨みすると喜一はブルっと身を強張らせた。
親父の恐ろしさを改めて思い知らされた今の喜一には充分効果があった。
それからあの電話機がどうなったかは解らない、じいちゃんは初めて電話線が繋がっている電話をとるとき
「申し申し」
とまた聞こえないだろうかと期待したもんだと語っていた。
953:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/13(土)12:38:36ID:Lc2CebrJ0
タイトル入れ忘れました。「電話機」でいいかな
954:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/13(土)13:00:27ID:aW9v1Azf0
>>953
おひさしぶりです。
やっぱ喜一じいちゃんのお話しはおもしろいですね。
じいちゃんの親父さまも凄いw
955:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/13(土)13:03:16ID:KH4xK2Vy0
>>941-953
うわあ、お久しぶり! あなたのおじいさんのお話、ずっと好きで楽しみに読んでたよ。
また読めるとは思わなかった。今回も良いなあ。
時間の流れ方と言うのか、漂う空気がゆったりしていた時代の話だよね。
こういう雰囲気って、現代からはすっかり払われ、消えてしまった気がする。残念だ。
「また元の幸せを与える方の仕事に戻れる」
と言っているから、貧乏神さんは福の神に変わるんだろうね。
それを親父さんがちゃんと判った上で、ちょっとお仕置をする意味で嫌な金持ちに売る、という筋立てが痛快。
徹底的に立ち直れないほど打ちのめすのではなく、程度を弁えた対応だね。
私も電話機と話してみたいよ。貧乏神だったらちょっと困るけどw
956:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/13(土)13:14:42ID:Lc2CebrJ0
ありがとうございます。喜んでくれる方がいると本当にうれしいです。
おばあちゃん(喜一じいちゃんの妹でじいちゃんとは10以上離れているのでまだまだ元気、家の都合で幼い頃隣町に住んでいたため喜一の話にはでてきませんでした。)は私や姉より話しに詳しいのでまたお里に行ったら聞いてきます。
正月に話しをまとめれる時間があったのでまた近いうちに乗せますね。
957:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/13(土)15:11:19ID:v3h5eURg0
>>956
なかなか面白かったよ。
958:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/13(土)17:53:31ID:qqMeaA5s0
ありがとう、すごく面白かった!
同じ神様が貧乏神と福の神が時々役割を交代してるなんて想像もつかなかった
次の話も期待してます!
959:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/13(土)21:36:48ID:ujjcap6G0
喜一じいちゃんの話好きだなー
貧乏神さんも喜一じいちゃんとおしゃべりできて楽しかっただろうね
968:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/14(日)07:55:32ID:wVgZa7ovO
大変言いづらいんだけど、その時代は
×「もしもし」
○「おいおい」
「もしもし」はずーっとあと
一般家庭に普及してからもしばらく「おいおい」だから
969:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/14(日)08:33:05ID:wo5PngZd0
>>968
もしもしの意味・語源・由来。
もしもしとは、人に呼びかけるときの言葉で、特に、電話で呼びかけるときに使われる。
もしもしは、「申し(もうし)」を連ね短縮された言葉。
江戸時代には、「申し(もうし)」と単独で使われていた。
電話が開通された当初は、高級官僚や実業家などしか電話を持っていなかったため、「もしもし」ではなく「おいおい」と呼びかけ、「はい、ようござんす」と返答されていた。
電話の呼びかけに「もしもし」が使われるようになったのは、電話交換手が中継ぎをしていた為、繋ぐ相手に失礼とならぬよう
「申し上げます」と言っていたことによる。
日本で初めて電話交換業務が行われたのは、明治23年(1890年)12月16日、東京・横浜間である。
大変言いづらいんだけど、喜一じいちゃんの子供時代ならとっくに「もしもし」の時代なのでは?
977:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/15(月)04:11:52ID:PsY3rbKpO
>>969
一般家庭のガキがいきなり、もしもし言うようになったのは
電話が充分に普及してしばらく経ってからだったと思いますよ
庶民がまだ触ったことも使ったこともない時代なら100%おいおいですね
978:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/15(月)07:40:13ID:XlDYCTG90
>>977
おれの記憶では初期には「おいおい」だったけどえらそうな物言いだという事ですぐに「もうしもうし」「もうすもうす」になり、それが「もしもし」に変化したという事だ。
極めて初期なら「おいおい」だろうけど、今回は「もうしもうし」で良いんじゃね。
979:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/15(月)08:07:50ID:0b4M6y330
そもそも言い回しの時代考証をどうこうする話なのか?
980:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/15(月)09:59:34ID:3Rfmc6yv0
人伝えの話で言葉の詮索してもあまり意味はないだろ、録音テープじゃあるまいし
981:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/15(月)14:12:40ID:ua4uxMOd0
なんかお化けは申しって言えないから申し申しって言うようになったとか聞いた事あったんだけどそれウソか
982:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/15(月)20:15:05ID:6/0OYXQN0
>>981
柳田国男先生が『妖怪談義』で語られたように、
村の辻で人に声をかけるとき『モシ』だけだと妖怪に間違われるから、
こちらが人間であることを確認させるためにことばを重ねた故事にならう
荒俣宏『日本妖怪巡礼団』より
983:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/15(月)20:30:12ID:RZlvvyUqO
時代考証スレはここですか
986:本当にあった怖い名無し[age]投稿日:2007/01/16(火)08:22:00ID:KvRVwNLb0
もすもす
987:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/16(火)10:31:29ID:SoADtlon0
>>986ヾ(-_-;)オイオイ
引用元:不可思議な体験、謎な話~enigma~Part36
https://www.logsoku.com/r/2ch.net/occult/1161355593/950-987
家は昔質屋だった、と言ってもじいちゃんが17歳の頃までだから私は話でしか知らないのだけど結構面白い話を聞けた。
田舎なのもあるけどじいちゃんが小学生の頃は幽霊は勿論、神様とか妖怪やら祟りなど非科学的な物が当たり前に信じられていた時代でそう言った物を質屋に持ち込む人は少なくは無かったそうだ。
どういった基準で値段をつけていたのかは分らないが、じいちゃん曰く
「おやじには霊感があったからそう言う神がかった物は見分ける事ができたんだ」
と喜一じいちゃんは言っていた。
喜一じいちゃんの時代は電話が無かった、無かったと言っても一般家庭での話しでお役所や大手の企業等は所有していた。
喜一だって何度か市役所で見たことがあったがそれでも少年にとっては未知の世界の機械、ある日そんな特別な電話機を蔵で発見したのだそれはもう喜一にとっては大事だった。
蔵を飛び出しドタドタと縁側を駆け抜け店へと走る
「何で何で!!電話機が蔵に!蔵に!?」
大興奮の喜一の言葉は片言だったが親父には充分だった
「おめぇまた勝手に蔵に入りやがったな…」
じろりと喜一を睨んだが今の喜一には全く効果は無かった。
「なぁなぁあれしゃべれるんだろ?隣町のじっちゃんとも話せるのかな?」
目をキラキラさせながら話す喜一をしり目に親父は足の爪を切りながら
「あほう、家に電話線何てあるか、それに電話機ちゅーのは向こう側にも電話機がねぇと話せねーんだよ。」
親父の冷めた口調に喜一の興奮もあっという間に冷めてしまった。
「この辺で電話機がある所っちゃぁ市役所、軍の事務所、隣町の呉服屋ぐれーだろ、どっちにせよお前みたいなガキには縁の無い物だな」
ガキ扱いされた上にじゃまだと店を追い出されすっかり喜一は機嫌をそこねた。
電話機はもう買い手が決まっているらしく家の蔵にいるのはほんの数週間、電話機自体壊れていたがみえっぱりな金持ちの壁のオブジェになるそうだった。(当時の電話は壁に掛る大きな物だった)
それでも喜一は親父の目を盗んで電話機の受話器を取って話しをしていた、と言ってもただの独り言だ
「…それで親父はカンカンだしかーちゃんは大泣きするしで…」
「フフ…」
喜一の話に誰かが笑った
「え?」
喜一は周りを見渡したが誰かがいるはずも無い、と言うことは電話の向こうだ。
951:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/13(土)12:36:44ID:Lc2CebrJ0
「も…もしもーし、どなたですか?」
喜一がおそるおそる訪ねると
「…申し申し?」
返答があった。
親父のヤツ俺を電話機に近づけまいとして壊れてる何て嘘を付いたんだな、そう思った喜一は嬉しくて嬉しくて電話の向こうに話しかけた
「こ…こんにちは」
暫くすると
「こんにちは…声を出すつもりは無かったんだが君の話が面白くてね、盗み聞きになってしまったなすまない」
相手はとても紳士な感じがした。
「そんなこと気にしなくていいよ、それよりさそっちは何県なの?」
喜一は電話の向こうが気になって仕方がなかった
「そうだな…とても遠い遠い所だよ君の知らない所だ」
彼の答えに喜一は
「外国!?遠いって蘭よりも遠いのか?」
そう聞くと彼は笑いながら
「そうだねきっと蘭よりも遠いだろう」
と答えてくれた。
それから喜一は毎晩親父が寝静まった後蔵で電話をした、電話の話相手は喜一が受話器を取って
「もしもし」
と言うと必ず
「申し申し」
と答えてくれた。彼の話はとても面白くリアルだった、ある日
「おじさんはどんな仕事をしてるの?」
と喜一が聞くと彼は少し困った様に
「うーんそうだな前は人を幸せにする仕事をしていたんだ」
曖昧な答えに
「幸せって?」
と聞き返した
「まぁいろいろあるけどたとえばお金とかが良く入るようにしていたよ」
それを聞いて喜一はかってに銀行関係の人だと思った
「ふーん、じゃあ今は?」
今度の質問には少し彼の声のトーンが下がった
「前の仕事は任期が終わってしまってね。今は逆の仕事をしているんだ…でもまた暫くすれば幸せにする方の仕事に戻れるんだけどね」
喜一は考えた、お金を与える仕事と逆って事は奪うんだな…きっとヤクザの取立屋だ!銀行員になったり取立屋になったりそれは大変そうだと思った喜一は彼をねぎらったのだった。
そんな楽しい電話生活もあっという間に過ぎとうとう明日電話機の受渡と言う日になった。
「申し申し…今日は何だか元気が無いね、どうしたんだい?」
心配されてしまった喜一はここが質屋で電話出来るのが今日で最後だと言うことを彼に話し、寂しがった。
「そうか…それは寂しいね、でもよかった実は私もそろそろ自分の仕事を抑えるのが限界だったんだよ、君に迷惑がかからなくて良かった」
952:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/13(土)12:37:18ID:Lc2CebrJ0
喜一には彼の言っていることが良く解らなかったが彼も寂しがってくれている事が解ったので少し嬉しかった。
「最後に聞きたいのだが、この電話機の持ち主になる家はお金持ちかい?」
彼が不思議なことを訪ねた、
「?、うんお金持ちだよ、でも嫌なヤツだって親父が言ってたから明日からは電話しない方がいいかもね」
喜一がそう教えてあげると
「ハハハ…そうかそれならよかった…また会えるといいね」
彼の言葉に喜一は
「まだ会ってないよ、いつか会えるといいねだろ?」
そう訂正し最後の電話を切った。
翌日、店に電話機の主人になる人が来た親父の横で電話機を見送ると
「お前ずいぶんと電話機と親しくなったみてぇだな」
喜一は心臓が飛び出るかと思うほど驚いた、
「なっな何のこと」
白を切ろうとしたが親父にはお見通しだった様だ
「お前があの貧乏神と仲良くやってくれたおかげで受渡まで家に災難は無かったし、むしろ売上上々だったしな」
さらに喜一は驚いた
「貧乏神!?あの電話が?電話の相手は?」
「おめぇ繋がらない電話に人間が出るわけねぇだろ」
喜一には電話線と言う物がよく分かっていなかったのだ。
「ねぇ貧乏神なんか憑いてる物売っちゃっていいの!?」
喜一がハッと気づいて問うと
「いくら何でも神さんを払うわけにいくめぇ、それにあそこの親父は昔から嫌なヤツだからな少し痛い目に遭えばいいさ、金に困ればまた家に売りに来るだろう、その頃には福の神に変わってねぇかなぁ」
クククと喉を鳴らした親父は大きなあくびをして茶の間へと姿を消した。
喜一はあの電話の会話をいろいろ回想していると思い出した様に茶の間から顔を出した親父が
「今回は特別に泳がせてやったが、調子に乗ってまた蔵に入るんじゃねーぞ、次勝手に入ってみやがれ裏の木に吊すからな」
そう言うとキッと喜一を一睨みすると喜一はブルっと身を強張らせた。
親父の恐ろしさを改めて思い知らされた今の喜一には充分効果があった。
それからあの電話機がどうなったかは解らない、じいちゃんは初めて電話線が繋がっている電話をとるとき
「申し申し」
とまた聞こえないだろうかと期待したもんだと語っていた。
953:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/13(土)12:38:36ID:Lc2CebrJ0
タイトル入れ忘れました。「電話機」でいいかな
954:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/13(土)13:00:27ID:aW9v1Azf0
>>953
おひさしぶりです。
やっぱ喜一じいちゃんのお話しはおもしろいですね。
じいちゃんの親父さまも凄いw
955:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/13(土)13:03:16ID:KH4xK2Vy0
>>941-953
うわあ、お久しぶり! あなたのおじいさんのお話、ずっと好きで楽しみに読んでたよ。
また読めるとは思わなかった。今回も良いなあ。
時間の流れ方と言うのか、漂う空気がゆったりしていた時代の話だよね。
こういう雰囲気って、現代からはすっかり払われ、消えてしまった気がする。残念だ。
「また元の幸せを与える方の仕事に戻れる」
と言っているから、貧乏神さんは福の神に変わるんだろうね。
それを親父さんがちゃんと判った上で、ちょっとお仕置をする意味で嫌な金持ちに売る、という筋立てが痛快。
徹底的に立ち直れないほど打ちのめすのではなく、程度を弁えた対応だね。
私も電話機と話してみたいよ。貧乏神だったらちょっと困るけどw
956:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/13(土)13:14:42ID:Lc2CebrJ0
ありがとうございます。喜んでくれる方がいると本当にうれしいです。
おばあちゃん(喜一じいちゃんの妹でじいちゃんとは10以上離れているのでまだまだ元気、家の都合で幼い頃隣町に住んでいたため喜一の話にはでてきませんでした。)は私や姉より話しに詳しいのでまたお里に行ったら聞いてきます。
正月に話しをまとめれる時間があったのでまた近いうちに乗せますね。
957:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/13(土)15:11:19ID:v3h5eURg0
>>956
なかなか面白かったよ。
958:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/13(土)17:53:31ID:qqMeaA5s0
ありがとう、すごく面白かった!
同じ神様が貧乏神と福の神が時々役割を交代してるなんて想像もつかなかった
次の話も期待してます!
959:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/13(土)21:36:48ID:ujjcap6G0
喜一じいちゃんの話好きだなー
貧乏神さんも喜一じいちゃんとおしゃべりできて楽しかっただろうね
968:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/14(日)07:55:32ID:wVgZa7ovO
大変言いづらいんだけど、その時代は
×「もしもし」
○「おいおい」
「もしもし」はずーっとあと
一般家庭に普及してからもしばらく「おいおい」だから
969:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/14(日)08:33:05ID:wo5PngZd0
>>968
もしもしの意味・語源・由来。
もしもしとは、人に呼びかけるときの言葉で、特に、電話で呼びかけるときに使われる。
もしもしは、「申し(もうし)」を連ね短縮された言葉。
江戸時代には、「申し(もうし)」と単独で使われていた。
電話が開通された当初は、高級官僚や実業家などしか電話を持っていなかったため、「もしもし」ではなく「おいおい」と呼びかけ、「はい、ようござんす」と返答されていた。
電話の呼びかけに「もしもし」が使われるようになったのは、電話交換手が中継ぎをしていた為、繋ぐ相手に失礼とならぬよう
「申し上げます」と言っていたことによる。
日本で初めて電話交換業務が行われたのは、明治23年(1890年)12月16日、東京・横浜間である。
大変言いづらいんだけど、喜一じいちゃんの子供時代ならとっくに「もしもし」の時代なのでは?
977:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/15(月)04:11:52ID:PsY3rbKpO
>>969
一般家庭のガキがいきなり、もしもし言うようになったのは
電話が充分に普及してしばらく経ってからだったと思いますよ
庶民がまだ触ったことも使ったこともない時代なら100%おいおいですね
978:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/15(月)07:40:13ID:XlDYCTG90
>>977
おれの記憶では初期には「おいおい」だったけどえらそうな物言いだという事ですぐに「もうしもうし」「もうすもうす」になり、それが「もしもし」に変化したという事だ。
極めて初期なら「おいおい」だろうけど、今回は「もうしもうし」で良いんじゃね。
979:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/15(月)08:07:50ID:0b4M6y330
そもそも言い回しの時代考証をどうこうする話なのか?
980:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/15(月)09:59:34ID:3Rfmc6yv0
人伝えの話で言葉の詮索してもあまり意味はないだろ、録音テープじゃあるまいし
981:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/15(月)14:12:40ID:ua4uxMOd0
なんかお化けは申しって言えないから申し申しって言うようになったとか聞いた事あったんだけどそれウソか
982:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/15(月)20:15:05ID:6/0OYXQN0
>>981
柳田国男先生が『妖怪談義』で語られたように、
村の辻で人に声をかけるとき『モシ』だけだと妖怪に間違われるから、
こちらが人間であることを確認させるためにことばを重ねた故事にならう
荒俣宏『日本妖怪巡礼団』より
983:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/15(月)20:30:12ID:RZlvvyUqO
時代考証スレはここですか
986:本当にあった怖い名無し[age]投稿日:2007/01/16(火)08:22:00ID:KvRVwNLb0
もすもす
987:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2007/01/16(火)10:31:29ID:SoADtlon0
>>986ヾ(-_-;)オイオイ
引用元:不可思議な体験、謎な話~enigma~Part36
https://www.logsoku.com/r/2ch.net/occult/1161355593/950-987
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