硫酸風呂連続殺人事件

768：⑦⑦⑦:2017/12/22(Fri)09:05:30
1949年2月、英国はロンドンで資産家の女性デュランド・ベーコン夫人が行方不明となった。
警察は夫人に付きまとっていたジョン・ジョージ・ヘイが怪しいとにらみ、ヘイが売りさばいた夫人の毛皮のコートや宝石類を突き止め、回収した上で彼を取り調べた。
ヘイは死体がなければ起訴は出来ないとたかをくくっていたのだろう。取り調べた刑事の前で恐ろしい自供を始めた。
「夫人はもうこの世にいません。硫酸で溶かして跡形もなく消えてしまいました。死体がなければ殺人は立証できんでしょう？」

ヘイは夫人を彼の所有するロンドン郊外の倉庫に連れ出すと、拳銃で射殺。夫人の毛皮のコートや宝石類を奪い、死体をドラム缶に入れると防毒マスク、防護服で完全装備すると手押しポンプで少しづつ硫酸を注入した。
２日後、中を覗くと脂肪と骨の一部が浮いていたので、廃液を汲み出し、倉庫の外に捨て、硫酸を継ぎ足した…

始め、警察はヘイの話を信用しなかった。
ヘイには詐欺の前科があったし、捜査を混乱させるための嘘かも知れなかったからだ。

ヘイの誤算は、極めて有能な法医学者シンプソン博士が捜査に協力した事。
そして、人間の体内には酸に溶けにくい物質もあるということ。

「やあ、人間の痕跡を見つけたよ。」
警察に同行し、ヘイの倉庫の外を調べていたシンプソン博士は間もなく最初の手掛かりを発見した。
それはサクランボ位の黒い小さな石ころだったがやけに表面が滑らかであり博士は人間の胆石だと断定した。(まさにそのとうりだった)
勿論、普通そこらに落ちている物ではない。
胆石は脂質に覆われているので極めて酸に溶けにくいのだ。
シンプソン博士曰く
「私は始めから胆石を探していたんだ。夫人の年齢と体格〜高齢でかなり太め〜を考えれば胆石持ちのことが多いからね。」

この発見を足掛かりに付近の土壌を剥がし、分析が行われた。

18個の人骨の欠片が見つかった。

動物の体の組織に対する硫酸の効果は絶大で残ったのは13キロの脂肪だけだった。

アクリル製の義歯は酸に溶けなかった。
倉庫内に隠してあった夫人の入れ歯が発見され、これが重要な証拠となった。

ヘイの処刑は1949年8月10日に執行された。


〜出典：週刊マーダーケースブック14『硫酸風呂連続殺人事件』


（※⑦⑦⑦さんからの投稿です。ありがとうございました）



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