ダンボール

ある男がいつものように車で家に帰ってきたときのことだ。見ると自宅の門の前に、なぜか大きなダンボール箱が置かれている。きっとゴミか何かだろう。そう考えた男は邪魔なダンボール箱を車で弾き飛ばすと、そのまま車庫へと入った。
　「ただいま。今帰ったよ」
　男が玄関で明るい声を上げると、妻が不思議そうな顔でこう尋ねた。
　「あら、あなた。うちのぼうやは一緒じゃなかったの？。あなたを驚かせるんだって言って、家の前のダンボール箱の中に隠れていたみたいだけど」

ゴルフ好きの男

　あるゴルフが趣味の男には、ティーを口にくわえる癖があった。ところがある日のこと、彼はコースを回っている最中に突然苦しみだし、そのまま死んでしまう。農薬が染み付いたティーをくわえ続けていたことで、彼はいつのまにか致死量の農薬を摂取していたのだ。

深夜の客

ある美容室に、閉店間際の時間になってから一人の若い男が訪れた。メガネをかけた、どことなく陰気そうな男だ。男の担当についた若い女性の美容師が、髪を切ろうとしてふと目をとめると、男は肩からかけられたシーツの下のちょうど股間の辺りで、なにやらもぞもぞと手を動かしている。これは変質者に間違いない。怯えた女性美容師は奥にいた男の先輩に助けを求め、二人で男を取り囲むと厳しい口調でこう言った。
　「ちょっと、お客さん。いったい何をしているんですか！」
　その声と同時に、先輩の美容師が男にかけられていたシーツを払いのける。すると、シーツの下の男の手は…ハンカチでメガネを拭いていた。