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ビー玉
2009.09.10 (Thu) | Category : 人を信じすぎる人へ
814 名前:1/5 投稿日:02/10/01 04:16
小さい頃、夏休みに1ヶ月ほど田舎の祖父母の所に預けられた事がある。
我侭いっぱいに育った俺は、近所の子供達に受け入れられるはずもなく、いつも一人、河原で遊んでいた。
そんな俺にも友達ができた。
そいつも友達がいないようで、いつも一人だった。
そいつはいつでもにこにことしていて、俺の益体も無い自慢話や、偉そうな態度に
「うわー、君って凄いんだ~」とか、「わー、かっこいいなー」とかの賛辞を惜しまない。
俺もちょっと子分ができたようで、嬉しかった。
815 名前:2/5 投稿日:02/10/01 04:17
何にでもすぐ感心してしまうそいつは、俺が東京から持ってきたおもちゃに目を丸くしていた。
「今日は特別に貸してやるからな、好きなので遊べよ」
意外な事に、そいつが選んだのはビー玉だった。
「おいおい、ラジコンとか合体ロボとかあるんだからさ、それで遊ぼうぜ」
「うん…でも、これ、とってもきれいだよ…」
そう言ってそいつは、ビー玉を日にかざして、うっとりしていた。
ビー玉も買ってもらえないのだろうか。俺はそのことが哀れに思われた。
「…そんなに気にいったんなら、やろうか?それ」
「!!いいの?!ホント?ありがとう!大事にするよ!君って本当にいい人だね!」
ビー玉如きで…という思いはあったが、何となくいい事をしたような気がして、
俺はちょっぴり嬉しくなった。
816 名前:3/5 投稿日:02/10/01 04:19
数日後、そいつは変な事を言い出した。
「はぁ、ビー玉作るのって難しいねえ」
「何?」
「ほら、君がくれたやつだよ。君が作ったんだろ?」
ぐっとつまったが、さんざん偉そうな事を言っていたので、今更後へは引けず
「そうさ、俺が作ったのさ。まあ、ちょっとコツがいるかな」
「ボクが作ると最初は綺麗なのに、そのうち、ちっちゃくなっちゃうんだ。
ねぇ、コツを教えてくれないかなあ」
???な、何か考えないと…
「そ、そうだな…全部教えちゃうとお前の為にならないから、ヒントだけな…え~と
…そう、水分。水分をあたえないと。ま、言えるのはこれだけだな」
汗をかきながら俺が言うと、そいつは腕をくんで考え始めた。
「う~ん、ボク、君みたいに頭よくないから、難しいなあ。でも、後は自分で
考えてみるね!ありがとう!」
817 名前:4/5 投稿日:02/10/01 04:20
それからしばらくして、俺は東京に戻る事になった。
そいつにその事を告げると、はらはらと泣きじゃくった。
「せっかくいい友達が出来たのに…君がいなくなると、つまんないよ」
「まあ、そう泣くな。また来年来るからさ」
「…うん!淋しいけど、我慢するね!…あっ、そうだ、もうすぐあれ、出来そうなんだ。
明日君が出発するまでに作るから、お土産にあげるね」
「何?」
「イヤだなあ、ビー玉だよ!君のヒント難しいから、苦労しちゃったよ。だって、
川で洗うと中身が流れちゃうし…でもね、いい方法思いついたんだ!」
「ふ、ふ~ん。そうか。楽しみにしてるよ」
818 名前:5/5 投稿日:02/10/01 04:21
翌日。迎えにきた母と、東京に帰るべく畦道を歩いていると、そいつは走ってきた。
「はぁはぁ、間に合ってよかった…これ、約束のお土産…一番綺麗に出来たやつ
持ってきたんだ…こうやってるとね、ちっちゃくならないし、綺麗なままなんだ…
じゃ、また来年来てね!きっとだよ!」
それだけ言うと、自分の口から何かをぽんっと吐き出し、俺の右手にそっと乗せた。
そして走り去った。
「こちらでできたお友達かしら?何をいただいたの?」
硬直している俺の右手の上にあるものを覗き込むと、母は絶叫した。
その翌年、俺は田舎に行かなかった。いや、それ以来一度も行っていない。
だから、そいつがどうなったのか全く知らない。
でも、俺の机の引出しには、大人になった今でもあの「お土産」が入っている。
干からびた緑色の猫の目玉が。
小さい頃、夏休みに1ヶ月ほど田舎の祖父母の所に預けられた事がある。
我侭いっぱいに育った俺は、近所の子供達に受け入れられるはずもなく、いつも一人、河原で遊んでいた。
そんな俺にも友達ができた。
そいつも友達がいないようで、いつも一人だった。
そいつはいつでもにこにことしていて、俺の益体も無い自慢話や、偉そうな態度に
「うわー、君って凄いんだ~」とか、「わー、かっこいいなー」とかの賛辞を惜しまない。
俺もちょっと子分ができたようで、嬉しかった。
815 名前:2/5 投稿日:02/10/01 04:17
何にでもすぐ感心してしまうそいつは、俺が東京から持ってきたおもちゃに目を丸くしていた。
「今日は特別に貸してやるからな、好きなので遊べよ」
意外な事に、そいつが選んだのはビー玉だった。
「おいおい、ラジコンとか合体ロボとかあるんだからさ、それで遊ぼうぜ」
「うん…でも、これ、とってもきれいだよ…」
そう言ってそいつは、ビー玉を日にかざして、うっとりしていた。
ビー玉も買ってもらえないのだろうか。俺はそのことが哀れに思われた。
「…そんなに気にいったんなら、やろうか?それ」
「!!いいの?!ホント?ありがとう!大事にするよ!君って本当にいい人だね!」
ビー玉如きで…という思いはあったが、何となくいい事をしたような気がして、
俺はちょっぴり嬉しくなった。
816 名前:3/5 投稿日:02/10/01 04:19
数日後、そいつは変な事を言い出した。
「はぁ、ビー玉作るのって難しいねえ」
「何?」
「ほら、君がくれたやつだよ。君が作ったんだろ?」
ぐっとつまったが、さんざん偉そうな事を言っていたので、今更後へは引けず
「そうさ、俺が作ったのさ。まあ、ちょっとコツがいるかな」
「ボクが作ると最初は綺麗なのに、そのうち、ちっちゃくなっちゃうんだ。
ねぇ、コツを教えてくれないかなあ」
???な、何か考えないと…
「そ、そうだな…全部教えちゃうとお前の為にならないから、ヒントだけな…え~と
…そう、水分。水分をあたえないと。ま、言えるのはこれだけだな」
汗をかきながら俺が言うと、そいつは腕をくんで考え始めた。
「う~ん、ボク、君みたいに頭よくないから、難しいなあ。でも、後は自分で
考えてみるね!ありがとう!」
817 名前:4/5 投稿日:02/10/01 04:20
それからしばらくして、俺は東京に戻る事になった。
そいつにその事を告げると、はらはらと泣きじゃくった。
「せっかくいい友達が出来たのに…君がいなくなると、つまんないよ」
「まあ、そう泣くな。また来年来るからさ」
「…うん!淋しいけど、我慢するね!…あっ、そうだ、もうすぐあれ、出来そうなんだ。
明日君が出発するまでに作るから、お土産にあげるね」
「何?」
「イヤだなあ、ビー玉だよ!君のヒント難しいから、苦労しちゃったよ。だって、
川で洗うと中身が流れちゃうし…でもね、いい方法思いついたんだ!」
「ふ、ふ~ん。そうか。楽しみにしてるよ」
818 名前:5/5 投稿日:02/10/01 04:21
翌日。迎えにきた母と、東京に帰るべく畦道を歩いていると、そいつは走ってきた。
「はぁはぁ、間に合ってよかった…これ、約束のお土産…一番綺麗に出来たやつ
持ってきたんだ…こうやってるとね、ちっちゃくならないし、綺麗なままなんだ…
じゃ、また来年来てね!きっとだよ!」
それだけ言うと、自分の口から何かをぽんっと吐き出し、俺の右手にそっと乗せた。
そして走り去った。
「こちらでできたお友達かしら?何をいただいたの?」
硬直している俺の右手の上にあるものを覗き込むと、母は絶叫した。
その翌年、俺は田舎に行かなかった。いや、それ以来一度も行っていない。
だから、そいつがどうなったのか全く知らない。
でも、俺の机の引出しには、大人になった今でもあの「お土産」が入っている。
干からびた緑色の猫の目玉が。
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Title : 無題
ラムネを買えば、手に入るよ って教えてあげれば良かったのに。
火巳ヶ家 2009.09.10 (Thu) 22:04 編集
Re:無題
そしたらきっと
「とりだせない!」
ってそこらじゅう殴りだしそうです。
2009.09.11 20:05
Title : 無題
とっといたんだ
優しいな
キャサリン 2009.09.10 (Thu) 23:13 編集
Re:無題
でも…
なんで猫だってわかったんでしょう?
2009.09.11 20:06
Title : 無題
BB弾なら食べたことあるわw
甘かった。
米日本 2009.09.11 (Fri) 08:09 編集
Re:無題
プラスチックって甘いんですかw
2009.09.11 20:09
Title : 無題
なんで取っておくのwwwwww
(怖いから笑うしかないw)
この子(友達)が幽霊だってオチだと思ってたので意外でしたΣ(゚ω゚)
(・ω・`*) 2009.09.12 (Sat) 06:43 編集
Re:無題
そうですね、なんでとっておいたんでしょうねww
2009.09.12 16:36
Title : 無題
この話を読んだ日の夜
夢に出てきました。
「ビー玉」が。。。←
ひょっとこ 2009.09.12 (Sat) 06:46 編集
Re:無題
な…
なめたの?
どうなの?ww
2009.09.12 16:36
Title : 無題
目は身体で一番艶やかな部分だからか、こういう話多いですね。
暗 2011.02.18 (Fri) 02:47 編集
Re:無題
ですね。
魚とかだったら目玉も美味しいんだけどねぇ
2011.02.18 14:19