都市伝説・・・奇憚・・・blog
ガラス戸の向こう
2008.05.19 (Mon) | Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象
でも今は肯定も否定もしない。
今から12年前、俺は仕事の都合で部屋を引っ越す事になった。
その部屋は会社が用意したもので、引っ越し等も全て業者にまかせ引っ越しが完了して初めてその部屋に入った。
ドアを開けたその瞬間、すごい線香の臭いそして今まで感じたことのない寒気、(これはかなりやばいかも)と自問自答しながらも奥の部屋に荷物を置いた。
間取りの確認をするように俺は部屋を見渡し、取りあえず自分の寝る場所と、くつろぐ場所を決めた。
この部屋の間取りは、2Kで玄関を入るとすぐ左手に4畳半の台所そして奥には6畳間がふたつ、手前の6畳間をくつろぐ場所に奥の部屋を、寝る場所と決めた。
荷物の整理をする間もなく、俺は追われている図面書きを始めた。
普通ならこんな嫌な感じのする場所で仕事などする気にはなれないでも当時の俺は駆け出しで、他のことを考える余裕など一切なしとにかくひたすら図面を書いてた。それから3時間が経過して腹が減ったなと思い時計を見ると11時半、飯食ったら寝なきゃそう思い台所に向かおうとした瞬間俺の体は凍り付いた。
ガラス戸の向こうに誰かいる、曇りガラスのために誰なのかは分からない、ただ直感的に(人じゃねーよな)そう思い開けるべきかほっとくべきか・・・でも腹は減っている。それに今ここの部屋の主は俺じゃん、自分に言い聞かせて開けることにした。
嫌だなと思いながら俺はガラス戸をひいた。そして次の瞬間思った。
(やめときゃよかった)目の前にいたのは、身長180ほどの男。
季節は8月なのに黒いコートをまとい眼球の飛び出した目で俺を見ている・・・あまりに目が怖いので俺は視線を下にそらした。
すると首からはおびただしい血、(やばいかも)心の中でつぶやいてると耳元で声がした、ここは俺の部屋なんだけど、あんた誰。
そう言われた瞬間俺は、ガラス戸を引いていた。
どうすりゃいいんだよ、助けを呼ぼうにもまだ電話は引いてないし今と違い当時は携帯など普及もしてなかった。
逃げるしかない、でもガラス戸引けば男がたってるし・・・
だからといってこの部屋ではさすがに寝れん、やっぱ出ていくしかない仕事道具と軽い身の回り品をまとめて出る準備をして、俺は恐る恐るガラス戸を引き男とは目を合わせないようにしながら、男の横をすり抜け玄関の扉を開きながら思わず「失礼しました。」そう言いながら扉を閉めていた。我ながら情けなかった。
その日は仕方なく駅前のカプセルホテルに泊まることにした。
翌日会社に向かい、アパートを借りた担当にそれとなく聞いてみた。
担当は駅からも近いし、部屋数の割に値段が安かったから、理由はそれだけらしい。
俺は担当の前で大きくため息をつきながら
「そうですか。」
それしか言えなかった。変なのが出るんで部屋を代えてくれなどとは言えない。
言ったところで誰も信じないだろうし。
この事件に遭うまで自分は、色々な現象を体験して怖いと心底思った事はなかった。でも今回は心底恐ろしかった。
一人ではとてもあの部屋に戻ることはできない、そう思い俺は中学からの親友の二人に連絡をとり相談に乗ってもらう事にした。
仕事が終わってから喫茶店で落ち合うことにして、俺は喫茶店で二人を待っていると先にBがきた。Bは俺と同じで多少の霊感のある奴だった。しばらくしてAがきた。AはBとは違い心霊現象とは無縁で筋金入りの否定派で、科学で証明できない物は起こるはずがないといつも俺達のことを否定する奴だった。
俺は二人に昨日起こった事を一部始終話した。反応はおれの予想どおりAはアホかっの一言、Bは神妙な顔でお前がそこまで怖がるのは初めてだな、そう言い終わるとBは「わかった今日一緒に行って調べてみるか」Bの言葉を聞いてAは、俺のほうは行けるとしても明日からだな今日はこの後、彼女んとこ行かなきゃ行けないからさ、俺とBは了解した。
それから30分ほど話してからAは出ていき、俺とBも喫茶店をでてアパートに向かうことにした。
そして問題のアパートに到着し、玄関の前に立った途端Bは一言
「こんなの初めてだよ」
すでにBの顔からは汗が吹き出していた。
俺は鍵穴に鍵をさしながらBに
「開けるよいいか」
Bは俺を見てうなずいた。昨日と同じように線香の強烈な臭いが鼻をついてくる。
Bもすごい臭いだなといいながら、部屋に上がった。
昨日の事もあり二人とも土足だった。
俺とBは台所を抜けてすぐに6畳間に向かった。
6畳間に入るとBは、
「お前の言うとおり台所普通じゃないね」
と俺のほうを見ながら呟いた。部屋に入るまでの道すがら俺とBはどういう対処法でいくか相談していた。所詮素人に出来る対処法などたいした事はなく前の部屋で使用していたお札をガラス戸にはり、清めの塩を台所の四隅に盛ることにした。
二人で怖々と台所に塩を盛り、奥の6畳間に戻りため息混じりにBは
「効けばいいけどな」
そう呟いた。俺としても効いてくれればいう事はない。
昨日得体の知れない奴がでたのが11時すぎ、また同じ時間に奴は現れるのか、そう思いながら時計を見るとまだ9時10分すぎ。
その時自分の中ではまだ何も起こらないだろうと思い、Bと雑談をしながら気を紛らわせようとした。
5分ほど経っただろうか、その時いきなりガラス戸が揺れ始めしだいに激しくなり、もの凄い音でガラス戸を叩く音へとかわった。
二人ともガラス戸を見つめながら後ずさりをして、部屋の奥へ奥へと進んでいた。奥に行くと、叩く音はピタッとやんだ。
二人で顔を見合わせた次の瞬間今度は、二人の背後の窓がいきなり開いた。鍵も開けてないのに何故、そう思いながら今度は二人ともガラス戸の方にたじろいだ。思い切り開いた窓を見つめながらBは
「なあ、これ洒落にならねーよ部屋から出たほうがいいよ」
そう言った瞬間、ガラス戸の上の窓が割れた。
そうなると当然二人の視線は、割れたばかりの窓に移る・・・・
割れた窓の向こうには、昨日俺が見た奴の目が二人を睨んでいた。
眼球の飛び出したあの目が。
俺はBに
「逃げるしかねーぞ」
そう言いながら逃げる場所を探した。でもどうしても出口は玄関のみ、あとはいきなり開いた窓しかない・・・行くしかない。
ここは二階飛び出しても大怪我はしないだろう。
部屋の電気を消し、先にBを出してから自分も下を確認せずに飛んだ。
無事部屋から出た二人は、大通りに出てタクシーをつかまえ、一目散にBの住むアパートに向かった。
部屋に向かう途中のタクシーの中で二人は会話をする事もできないほおびえていた。
Bの部屋に到着し、落ち着こうと思い煙草に火をつけた。
そしてBも落ち着いたのだろう、ひきつった笑いで
「あの部屋どうすんの」
そう聞いてきた
「無理あそこでは住めない」
俺はそう答えるしかなかった。
その晩は二人ともこれ以上の会話はなかった。
一晩Bの部屋で過ごし、その日が土曜日という事もあり週末をBの部屋にいる事にした。
二人とも会話もないまま昼飯を食っていると、Bの部屋の電話が鳴った。
Aからだった。今からBの部屋に来たいという、きっと昨日の話が聞きたいのだろう、Bはそう言いながら受話器を置いた。
それから2時間程経過したころAはやってきた。
Aはやけに嬉しそうに
「二人ともここに居るって事は逃げたの」
そう言うといきなり真顔になり、
「情けなさすぎないか」
それを聞いたBは怒りだし
「見えねー奴にはわかんねーだよ」
今にも掴みかかりそうなBをなだめ俺はAに
「俺達二人が簡単に逃げ出したことあったか、他の奴がビビって逃げ出しても俺達は逃げたことなんてねーんだぞ、お前もそれはよく知ってんだろ、その俺達二人がここにいる、それだけで理解できねーか。」
俺もかなり切れそうになるのを、押さえながらまくしたてた。
そして落ち着いた所で昨日のことを、Aに説明し俺は二度とあの部屋には戻らない事をAに告げた。するとAは「仮に戻らないとしたら新しい部屋を借りなきゃいけないんだろ、そしたら自腹で借りる事になるんじゃねーの
馬鹿げてる、何で起こるはずのない現象にビビってそんな無駄金を使う必要があんだよ」
今度は逆にAのほうが切れそうだった。
その時俺は思った、見えない人間、理解しない奴にしてみればどれだけ馬鹿げた事か、居るはずのない物に対しておびえ、挙げ句の果てには逃げだそうとしている、Aには理解できるわけないか。
話が進んでいくとAは俺に向かいながら
「俺が確認する、それだけの事が起こるなら俺にも見えるはずだろ、そしたら俺も納得するよ」
Aのその言葉を聞いたとき俺は、あれだけはっきりした現象が起きたんだいくらAに霊感がなくても少しは何かを感じ取れるかもしれない。
もしAに見る事ができたら逃げ出す気持ちも分かるだろうと。
でもそれが全ての間違いだった。それから三人は、9時頃に俺のアパートに付くように調整しながらむかうことにした。それでもBはかなり嫌がっていたのだが・・・。
8時40分思ったよりも早く付いた。心なしかAは楽しそうだった。
階段を上り部屋の前に付いた時Aの表情が変わった。それはまるで喧嘩の前の表情だった。俺はAに
「喧嘩でもしそうな顔だな」
と言うとBは
「やめねーか、やっぱ今までと違いすぎんだよここは」
Aはそれを聞いて
「いつものBはどうしたよ、喧嘩の時はそうじゃねーだろ。いつものお前らしくもねー」
そう吐き捨てるようにいいながら
「ならお前はここにいればいい、開けるよ」
Aは俺に相づちをうちドアを開けた。何事も無いかのようにAは台所をすぎ、6畳間に進んでいき、俺もその後を追い部屋に入った。
何ともねーじゃん、俺を見ながらAは笑い出した。しかしAの笑いもそこまでだった、笑っているAを見て俺はたじろいだ。
Aの背にしているガラス戸の向こうであの得体のしれない奴がまたここを見ている、すでに言葉にならない俺はAの背後を指さしそれに気づいたAもガラス戸に視線を移した。
きっと見えたであろうAは俺のほうに後ずさりしている。
後ずさりしてきたAの肩が俺の肩とぶつかる、俺は必死に声をだし
「窓から逃げるぞ」
そして二人で窓に向かった、窓は昨日のままで開いている、二人が動いた瞬間今度は逆に窓が閉まってしまった。
行き場を失った二人は、そこに立ちすくむ事しかできない。
立ちすくして居ると、Aの様子がおかしくなってきている、いきなりおびえながらその場に座り込んでしまい、
「やめてっ、やめてくれ」
そう叫びながら何かを振り払おうとしている。
Aは何を見ているんだ。そう思いAの振り払おうとしている場所を俺は目を凝らして見ようとしたが、俺には見えない、俺に見えるのはガラス戸の向こうに居る奴だけ、Aはまったく別のものを見ている。
俺は必死にAをなだめた、でもどんどん酷くなっている。
Aの普通ではない声を聞いて、Bが玄関を開けてくれた。
とっさに俺はBに
「そこの盛り塩をここに投げろ」
そう叫んだ。
Bは塩を取り、一直線に投げてくれた、その瞬間得体の知れない奴は消えた。そして俺はAを担ぎ上げて玄関に向かい何とか部屋を後にした。
Aを担いだまま階段を下り、一旦その場におろしAの様子を見た。
だがAのおびえはやむことはなかった。
Aの様子を見て俺は病院に連れていくことにした。しかしBは
「医者には何て言うんだよ」
泣きそうになりながらいった。
でも俺達にはなにもできない、だから連れていこう、Bをなだめながらそう言うのがやっとだった。
大通りにでてタクシーをつかまえ、○○病院まで急いでくれ、そう運転手に告げると、運転手はAを見ながら他のタクシーにしてよ、それを聞いたBが怒りだし、
「てめー乗車拒否すんのかこら」
そう言って運転手の座っている座席を、後ろから思い切り蹴りつけ運転手も二人の殺気だった顔をみて観念したのか、分かりました。
そう言いながら○○病院に向かってくれた。
病院に着き俺はAを抱えながら、急患受付に向かい事情を医者に説明した、すると医者は疑わしそうに俺を見ながら、
「取りあえず安定剤で落ち着かせましょう、一晩たてば落ち着くでしょう」
そう言いながら処置室に向かった。そう聞いた俺とBは安心し一晩病院で過ごすことにした。
病院の待合室で俺とBは仮眠を取らせてもらい、朝が来るのを待っていた。
医者に肩を叩かれて俺は目を覚ました。
医者は俺に
「どうもおかしな事になった」
そう告げると、昨日の事をもう一度詳しく聞かせてくれと言い、全てを聞き終わった医者はため息をつきながら
「彼の精神状態が何らかのショックでおかしくなったかもしれないんだ」
そして
「これから別の病院に搬送して詳しく見てもらおうと思う」
俺は震えだしてしまった。
これからどうすればいい、Aの親に何て説明すればいいのか分からないままBと共にAの搬送される病院に向かった。
話が長くなってすまない、この事件の後俺は、Aの両親から訴えられ警察に尋問された。そして精神鑑定も受けさせられた。
そして今現在俺は、Aの両親に慰謝料として毎月10万の支払いを続けている。
あれから12年Aとは会話ができないまま。
あの時やめておけばAをこんなめに会わせる事はなかったのに。
心霊現象について俺はこの事件で、色々学んだと思う。
信じられない人にしてみれば、馬鹿げた事でしかないそして俺はそれを、周りに信じてもらうことは出来なかった。
一部の人には信じてもらえたが、ほとんどは認めない。
それが普通なんだと、そう思う事にして否定もしない
だけど肯定もしない。
ホテル跡
2008.05.18 (Sun) | Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象
初めてこのスレにきました。俺の実体験で忘れようにも忘れられない話があります。
今から4年前の夏。友人のNと二人で車でY県にキャンプに行った。
男二人だし、どうせやるなら本格的なキャンプにしようということで少し山奥にある河原にテントを張った。清流で魚も多く獲れそうなので二人で釣りをしていると同じく釣りに来た現地人のおじさんと仲良くなり色々な話した。
しばらくするとおじさんはそこよりう少し離れたところにある廃墟らしき建物を指差し
「あそこはちょっと前まで観光客向けのホテルだったんだけどな、客がさっぱりでつぶれちまって、今では荒れ放題だよ。でも、ベットなんかが置きっぱなしになっているからこのシーズンになると よく若いカップルがエッチなことやりにくるんだよ。車でちょっと上に行ったところにはオートキャンプ場 があるからなあ」
日が暮れる頃、そのおじさんは帰って行った。俺達も火をおこして釣った魚と町で買い込んで来た焼肉という食事とその後片付けを済ませて、しばらくビールを飲みながらとりとめもない話をしていた。
24時半を少し回った頃になってNがある提案をした。
「なあ、昼間のおっさんの言っていたホテル跡の廃墟、ちょっと行ってみねえか」
俺は一瞬男二人でそんなとこ行ってどうするんだ?と思ったが、Nの言おうとしてることがすぐわかった。
おじさんが言っていた
「このシーズンによくエッチなことしにくる若いカップルが~」
ということである。
冷静に考えると、こんなことでわざわざ行こうなんて考えはしないものだが、このときは多少の酒も入っていた
こともあってスケベ心が働き
「よし行こう行こう。運がよければ覗けるかも・・」
ってことになり、車を走らせホテル跡の廃墟に向った。
建物から少し離れた場所に車をとめて、徒歩でゆっくりと近づいていく。
近くに行くにつれ建物の外観が見えてきた。三階建てのわりと小さな建物で、建物とその周辺は月と星の明かりのみが頼りの暗闇で、うるさい虫の鳴き声のみが聞こえてくる。
なんだか俺とNはすっかり興さめてしまい
「なんか俺たちアホみたいだな・・」
なんてことを話していた時、遠くからスカートをはいた女の人が現れて、建物に近づくとの外側に取り付けられた非常階段らしき階段を、歩いて上るというよりもエスカレーターにでも乗っているかのようにスーッと登って行き扉の外れた入り口から内部に姿を消した。
俺たちは少し離れたところで見ていたのだが、Nは興奮した声で
「おい、マジで見れんじゃねーの。そっと行ってみようぜ」
なんてことを言うのだが、俺はその女の人のただならぬ気配にすっかり恐くなってしまい
「もう帰ろう」
なんて弱音を吐いた。
しかしNは聞かず、結局俺はその非常階段の下までいく。Nは階段を上って様子を見にいって何か面白いものが見れそうだったら階段下で待機している俺に合図して、俺もその後を追うということになった。
階段下まで来ると俺は完全にびびってしまい、震えだしそうな感じで足音を忍ばせて階段を昇っていくNのうしろ姿をながめていた。
階段を昇りきって入り口から様子をうかがうN。Nはこちらに顔を向けると声を落として
「おいなんか黄色い白衣みたいなものを着た奴がむこうの部屋に見えるぞ。なんだろ?」
と言うと建物内部に足を踏み入れた。
・・・・・・・・・・・・・
・・・・と、ここ迄で俺の記憶はブッツリと途切れている。
気が付くとなぜか一人で河原のテントの中に寝ていた。どういうことになったのかわけがわからなかった。
外に出てみると車もちゃんと戻ってきている。Nの姿だけが見あたらない。
落ち着いてちょっと前までのことを整理して考えてみたが、どうしてもNが建物に足を踏み入れた以降のことが
思い出せない。というより何もなかったかのようにきれいに記憶が消えている。
酒は入っていたが、記憶が飛ぶほど飲んではいない。第一そこまでの記憶は鮮明に残っているのだ。
時計を見ると1時20分。Nはどこに行ってるのかもわからず、恐くて眠れないままテントのなかで朝まで震えていた。
テントの中にはNの荷物がそのまま残っている。俺は恐かったが、明るい昼間ならと思い勇気を振り絞って昨日のホテル跡に行ったが荒れた状態の建物内部とその周辺のどこにもNの姿はなかった。俺はどうしていいかわからずに仕方なく一人で東京に戻った。
友人やNの実家にも連絡したがどこにもNはおらず、ついにはY県の警察にも連絡した。俺も警察にかなりの質問をされたが、どう答えようもなかった。多分警察は俺がNを殺害したのではないかという線も考えただろうが、証拠らしいものも何もつかめなかったのだろう。
結局、Nは自分から蒸発したとして有耶無耶に片付けられてしまったような感じで終わってしまった。
あれから4年。現在もNは行方不明のままである。
これを読んでいるみなさんはたいして恐くないかもしれないでしょうが、体験した俺は思い出しただけでも、泣きそうなくらい恐ろしい事件です。
いったい何が起こったのでしょうか。
鏡の中に
2008.05.17 (Sat) | Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象
何年か前の蒸し暑い夏の夜のこと。室外機の調子が悪かったのでクーラーを動かせず、仕方が無いのでベランダの窓を開けて寝付かれないまま本を読んでいたのです。
生ぬるいとはいえ夜の風が流れ込んできたし、少し離れた場所にある街道の騒音もそれほど気にはならなかったから。ただもう後数時間で夜が明けるという時刻もあって、赤信号が重なるのか数分に一度ふと静寂が訪れる瞬間があったのです。
「チリン」
という鈴の音が風に乗って聞こえたような気がしたのも、そんなぽっかり空いた隙間のような静けさの中でした。
車の音があれば気がつかないようなかすかな音で、風に運ばれてきたどこか遠くの音のように聞こえました。
最初はどこかの風鈴か何かだろうと思って読みかけの本に目を落としたのですが、なにか気になってふと静けさが訪れると無意識に耳を澄ますようになっていました。
すると、やはり気のせいではなく鈴の音が聞こえるのです。
しかもその音がゆっくりと近づいてくるのがわかったときには、ぞわっと背筋に寒いものが走りました。
というのもこの部屋はマンションの12階なのです。鈴を鳴らしている何かは、どうやってこちらに近づいているのでしょうか?
実はこのマンション、というかマンション群は郊外のこの辺りでは目立つせいなのか、飛び降り自殺が多いので地元では有名でした。
その年もすでに二件飛び降りがあって、一人は住人の中年男性、もう一人は同じ沿線に住む若い女性だったとか。
そして、年に数回ある飛び降りのほとんどが夜というのも奇妙な感じで、近所の方とも
「やはり昼は下が見えるから怖いのかしら」
など話していたのを覚えています。
もっとも、それまで霊体験などなかった私は、あまり気持ち良いものではありませんでしたが、それほど深く気にしていたわけではなかったのです。
「チリン」
鈴の音はずいぶん近くで聞こえるようになりました。ちょうど2、3階下の辺りで鳴っているような感じです。
ぞっとしたのですが、どうしても気になってしまいベランダに出てみよう、そう決心しました。
ベランダには胸の高さほどの転落防止のための手すりがあるので、下を見るにはそこから頭を出して覗きこまなければいけないのです。
そのとき、本当に偶然だったのですが、近くの薬局でもらった鏡が目に入りました。
安っぽい黄色のプラスチックの枠がついていて、その薬局の名前が入っているような手鏡。
後で考えれば田舎の祖母の
「鏡にはこの世ならざるものが映るんだよ」
という言葉を覚えていたからかも知れません。
とにかくサンダルを足に引っかけ、その鏡を持ってベランダに出たのです。
相変わらず生ぬるい風が吹いており、手すりが不透明なので見えないのですが鈴の音はもうほんの足元近くのように聞こえます。私は左手で手すりの上を掴み、下の様子が映るように鏡を斜めに持った右手を外に向かって伸ばしました。
その瞬間、鏡がもぎ取られるように手から離れていったのです。
声にならない悲鳴を上げて慌てて家の中に逃げ込みましたが、ガラス戸を閉める前に下の方でガシャンという鏡の割れる遠い音が聞こえました。
マンションに住む人ではなくてもご存知でしょうが、この高さから落とせばどんなものでも凶器となりえます。
ですから本来はすぐ確認すべきなのですが、その時は気が動転してベットの中で夜が明けるまで震えていたのです。
なぜなら一瞬の間ですが、手すりから突き出した鏡には、暗闇の底から伸びている真っ白な無数の手が映っていたからです…
それ以来、夜になると全ての窓に鍵をかけカーテンを引く生活が続いていますが、もしあのときに身を乗り出して下を覗いていたら、地面に叩きつけられていたのは鏡ではなくて私だったのかも知れない、今でもそう思うのです。
窓の向こうの川
2008.05.15 (Thu) | Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象
かれこれ4年前の今頃であろうか...
私の友人Hが一人暮らしを始めたという電話を受け、MとIを誘って、遊びに出かけた。
Hが借りたアパートは、川沿いのよくある「リバーサイド~~」などという名前だけ立派なアパートだった。
鉄筋の3階建てで、Hは3階の角部屋を借りた。
窓を開けると、目の前に入〇川(伏せさせて下さい)が見えて、夏だというのに涼しく感じたのを覚えている。
H自身も相当気にいっていたようで、部屋の自慢話が続いていた。
私はMに、
「涼しくていいな~」
と話し掛けた。するとMは、
「いや、涼しいというより寒気がするな...」
と険しい表情をしていた。
Mはいわゆる"霊感"というものが多少あるようで、本当か嘘かはさだかではないが、よく目撃話を聞かされていた。
ちなみに、私には霊感はなく、見たことなどなかったし、信じてもいなかった。
Hの自慢話も終わり、みんなでベランダへ出てタバコを吸いながらまったりとしていた。
丁度、夕暮れでオレンジ色に染まった川がとても印象的だった。
川の向こう岸には犬連れのおじいさんや帰路を急ぐような子供たちや私達と同じように川をみつめている女性の姿があった。
ふいにIが、
「そうだ、麻雀やろうよ」
と言い出した。
特にこの後の予定も何もなかったので、麻雀をやろうということになった。
さしあたって、麻雀の前に何かと飲み物や食べ物を買いに行こうということになり、私とMが、近所のコンビニへ買出し係となって出かけた。
コンビニでいろいろと選んでいるとMが
「なぁ、あの部屋どう思う?」
と聞いてきた。
私には何も感じなかったので、聞かれても困るのだが、とりあえず、
「いや、別に....フツーじゃない?」
と答えておいた。
Mは、
「う~~ん....」
と、さっきのような険しい表情をしていたので、
「まぁせっかくの一人暮らし記念なんだし、変な事言うなよ」
と、答えた。Hもそんな事言われたらあまりいい気はしないだろうし
買出しも終わり、部屋へ戻りテキトーにパクつきながら、麻雀をはじめた。
半荘が終わる頃、時間は21時。一息つこうとTVをつけて談笑を始めた。
麻雀をしているとよくある事だが、部屋の中がタバコの煙で真っ白になっていた。
Hが、
「うおっ霧かかってるよ、黄ばむと嫌だから窓あけるぞ」
といって、出窓と、窓を全開にした。
とたん、クーラーの冷気が外へ逃げ出し、かわりに生ぬるい嫌な風が部屋へ入ってきた。
誰にのぞかれるという場所でもないので、カーテンも半開けにしていたHが、
「あれ?」
と一言。
「どうした?」
と一応聞いてみる。
「いや....あれ、ちょっときてみ、ほら」
と窓の外を見ながら私達を手招きするので、行ってみた。
今思えば、Mはこの時、窓の外を見ていなかったように思える。
「あ、なんだあれ?」
Iが言う。
窓の外はヘイを隔ててすぐ川で、向こう岸に川原があり、その後ろに少し盛り上がったような道になっている、ごく普通の川辺である。
その道には約30mごとに街灯がたっていて、Hの部屋から真向かいが丁度その街灯にあたる。
見ると、その街灯の下に人影があるのだ。
うすぼんやりとしか確認できなかったのだが、女の影だった
「...なんか気味悪ぃな....」
「いや、フツーの人間だろ...」
突然Iが、
「オオォォーーイ!そんなとこでなにやってんのォォーー?」
と叫んだ。
川の流れる音で掻き消えて向こう側には聞こえないと思うのだが... しばらく様子を見ていたが、なんの反応もないので放置することにした。
なんだか、場もしらけてしまったので、その日はそこで解散し、帰ることにした。
次の日の夕方、私が自宅へ帰るとほぼ同時ぐらいにHから電話がきた。
「よぉ...あんさ、今からウチ来れっか?」
ひどく元気がない様子だったので、聞いてみたのだが、わけを言おうとしない。
「出来ればさ、MとIにも声かけてみてくれや...なるべく早めにな」
Hの電話の事をMとIに言うと、二人とも了解してくれたので、また昨夜と同じメンバーでHのアパートを訪れた。
部屋に入るとHが出迎えてくれたので、何かあったのかどうか聞いてみることにした。
「いや、昨日オマエラが帰った後にさ、なんか気になっちゃって、もう一度見てみたんだよ」
昨夜の人影の件だ。
「そしたらさ、土手の上にいた人影が河原にいたんだよ...」
それを聞いたIは、
「ただ降りただけだろ?何の不思議もねー」
と笑い飛ばしていた。
Mはあいかわらず険しい表情をしていた。
Hがそれでも気味が悪いと言うので、その日はHの家に泊まる事にし、もしもまた昨夜の人影があらわれたら正体を掴もうということになった。
性懲りもなくまた麻雀などをして、時間は夜中の0:30ぐらいになった頃、気づいたようにHが、
「よし....開けるぞ...」
と言い出し、カーテンを開ける。
すると、Hの言った通り、人影は土手から河原へ移動していた。
2日も同じような事があるとやはり気味が悪いもので、みんな言葉を失った。
Iが、
「だったら行って確かめればいんだよ!行くぞ!」
と、私の服を引っ張る。
私とIで橋を渡って、問題のその人影の正体を見に行くことになった。
問題の河原に着いたのだが、人どころか何もない。
聞こえるかどうかわからなかったが、Hのアパートに向かって
「いねぇよ?どこにもなーんにもない」
と私が言うと、Hは
「川だ!川にはいってる!!!」
とつんざくような声で叫ぶ。なんだ、じゅーぶん聞こえる。
「俺らもそっち行かぁ!!」
と、5分後、MとHもやってきた。
Hは鉄パイプ持参だった。一体何をするつもりだったのだろうか....
「チクショーーー!!!」
とHは半狂乱になったように、鉄パイプをぶんぶんふりまわし、あたりの石を
水面に投げつける。
と、Mが
「オイ、部屋の窓見ろ...」
と言った。
見ると、Hの部屋の3/4ほど閉まったカーテンから誰かがこちらを覗き見ていたのだ。
AAでよく見かける「サッ」とかそんな感じのモノだった。
Hは誰よりも早く駆け出して行った。
もしも空き巣か何かだとして、あの状態のHが行ったら本当に殺しかねないので、私達も急いで後を追った。
部屋へ入ると唖然とした顔のHがつったっていた。
「なんか盗られてねぇか!?」
と聞いたのだが、Hは
「いや...大丈夫だ...ナンもいねぇー....」
皆、言葉をうしなった。
正直、気味が悪くて帰りたかったのだが、そんなワケにも行くまい....
その日は予定通り、Hの部屋で泊まった。あまり寝れなかったのを覚えている。
朝、各々帰宅した。
帰宅途中でMが、
「アイツ、引越したほうがいい...なんか変だ。」
とボソっと言っていた。
その日から、私もいろいろと忙しくてHと連絡が取れない日が続いた。
MとIもバイトの研修に行っていたので、皆、忙しかった。
3日後にようやく早帰りできた。早帰りといっても23:00だ。
またもやタイミングよくHから電話がかかってきた。
あ、そういえばあの人影....と全てを思い出してしまった。
電話の向こうのHは尋常ではなかった。
「オイ!すぐ来てくれ!!!早く!!もう、すぐそ...に!!...だ」
なぜかノイズが聞こえる。ノイズに混じって、カリッカリッと変な音も聞こえた。
私はただならぬ恐怖を感じ、家を飛び出てHのアパートへ向かった。
鍵はかかってなく、すんなりと開いた。
部屋の真中で魂のぬけたようなツラをしているHがいた。
「どうした?何があった?」
肩を揺さぶるが、なにも返答が返ってこない。
部屋をみまわすと、窓が全開に開いていて、カーテンが風に揺れてバタバタしていた。
頬をはたいても何も反応がない。
やっぱりの人影が....となぜかそう思い、ふと異様な好奇心に駆られて、窓の外を見た。
窓の外には何もいなかったのだが、そいつはいたんだ。
影だった。顔とかはわからない。影だった。ヒトの形をした影。
"部屋の中"に。
窓にうつる部屋の中の景色。
そこにそいつがいた。
私は目をそらすことができず、凝視していた。
どういう風に逃げたのかは記憶があやふやでよく覚えてはいない。
ただ、今にして思えば、あの電話のノイズは川の音のようにも聞こえた。
次の日、MとIにHの部屋であったことを話した。
Iは腹をかかえて笑っていた。
Mが、心配だからHの家へ行ってみようと言い出し、行くことになった。
私は行きたくなかった。
部屋にはやはり鍵はかかっていなかった。
。
もぬけの空になっていた。
私達は、きっとHも怖くて実家に帰ったんだろうと思い、Hの自宅へ電話した。
帰ってはいなかった。
後日、Hの母親から電話があった。
Hがまったく連絡がつかないといった内容だ。
こんな話したところで、信じてくれるはずがないし、私自身、Hの身に何が起こったのかは知らないのだから。
それから、3人で一緒にはあまり会わなくなった。
あれから4年。
Iが昨年、海外へ転勤したとの話を聞いた。
Mとは何ヶ月かに一度電話で話すぐらいだ。
問題のアパートはいまでも、そこにあるらしい。
Hは、いまだに行方不明のままです。
毎年、この季節になると思い出してしまいます。
向かいの家
2008.05.13 (Tue) | Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象
最近ようやっと気がつきました。
向かいの家の2階、窓ごしに髪が長くて痩せた女がたまに見えます。
薄いカーテンで仕切られているので表情まではよく見えないのですが、家の住人が友人を呼んで庭で楽しそうにバーベキューや花火をしているときも暗い部屋の中にひとりたたずみ、それらをじっと睨み続けていました。
住人たちは気がつかないどころか今のところほぼ素通りの状態です。
父や母は僕には
「気にするな」
というのですが、あれはどう見ても向かいの家の人間じゃありません。
あの長い髪をかきあげる仕草、
慢性の鼻炎で鼻をすする癖、
手首を手で押さえる癖、
上目遣いの鋭い視線、
忘れもしない何重にも巻いた額の包帯、
頭を殴られる度に、何度も何度も巻きなおした包帯........
忘れたことなんてありません。あたりまえです。忘れるわけがありません。
でもそんなことありえないと思いたかったんです。
父も母も僕もあまりに自分勝手に考えすぎていたんです。
あれは間違いなく、向かいの家のドキュソ長男と付き合っていた
自殺した僕の姉です。

