都市伝説・・・奇憚・・・blog
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足
2010.04.27 (Tue) | Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象
21 名前:モーゼル 投稿日:03/04/19 04:32
大学生時代、学校の近くのアパートに一人暮らししてる友人(仮にSする)は、俗に言う「霊感の強い奴」だった。
元々俺は幽霊話・怪談話は好きだったが、あまり「霊を見る」事は無かったと思う。
ところがSと付き合い始めてから、そいつの影響か、よく「霊体験」をする様になった。
俺はその頃Sと本当に仲が良く、家に帰らずにSの家に何日も泊りっぱなしという事も珍しくなかった。
あれは確か、7月の半ば位だったか。俺の所属するクラスの殆どの皆が課題を期限内に完成させる事が出来なかったので、他の科の奴等は夏休みに入っているにも関わらず、登校して作品制作に精を出していた。(美大だった為)
その日も帰りが遅くなった事もあり、家に帰るのがかったるくなってしまったので、Sの部屋に泊めてもらう事にした。
工房内にエアコン等ある訳も無いので体中汗臭く、またFRPを使っている為に作業服を脱いでも体のあちこちにガラス繊維が付いているので、チクチクして仕方がない。
俺はシャワーを浴びさせてもらう事にした。
先にシャワーを浴び終えたSは、
「ちょっと用があるから出掛けてくる。シャワー浴びてて良いよ。」
と言って出て行ってしまった。
ようやくこの不快感から脱出できる・・!
人の家にも関わらず、着ていた服を適当に脱ぎ捨て風呂場に入った。
こういう時のシャワー程気持ちの良い物は無い。
昇天するかの様な気持ちの良さを満喫しながら、髪を洗い始めた。
その風呂場には小さい椅子が置いてあって、それに座り、下を向く感じで髪を洗っていたのだが、なんとなく違和感を感じた。
・・・人の気配?
視界には自分の膝、そして爪先・・・と入って来るのだが、その先にもう一つ(いや、1セットと言うべきか)ある
。
俺が入った時は、(当たり前だが)先客は中にいなかった。
小さい。男の足では無い。女か?
しかも薄~い土色というか、生気の無い色をしている。作り物の様だ。
・・・で、爪先はこちらを向いている。
一瞬パニくりそうになったが、Sが言っていた事を思い出した。
「向こうに、こっちが(向こうの存在に)気付いてる事を悟られては駄目だ。」
その場が風呂場とは思えない程全身を寒気が包み、泣きそうになるのを堪え、目を閉じ、必死で気付かないフリをして髪を洗い続けた。
不意に、その「足」の方から声が聞こえてきた。
こもっていると言うか、丁度隣の部屋のテレビの音が聞こえる様な感じで。
何を言っているかは聞き取れない。会話の様に聞こえたと思う。
時間の感覚は既に無い。その「物体」は永遠と俺の前で会話らしき物を続け、俺は髪を洗い続けている。
その時だ。ふと「会話」が止んだかと思うと、その「物体」は『バタン!!』と物凄い勢いで風呂場の扉を開け、『ドン!ドン!ドン!』とアパート中に響き渡る程の大きな足音を立てて走り、『ガラララ、バン!!』とまたも物凄い勢いでベランダのドアを開けて出ていった。
俺はもうその場にいる事が出来ず、シャンプーも流さずにズボンだけ履いて外へ逃げ出て、Sが帰ってくるまでアパートの門で震えながら座り込んでいた。
大学生時代、学校の近くのアパートに一人暮らししてる友人(仮にSする)は、俗に言う「霊感の強い奴」だった。
元々俺は幽霊話・怪談話は好きだったが、あまり「霊を見る」事は無かったと思う。
ところがSと付き合い始めてから、そいつの影響か、よく「霊体験」をする様になった。
俺はその頃Sと本当に仲が良く、家に帰らずにSの家に何日も泊りっぱなしという事も珍しくなかった。
あれは確か、7月の半ば位だったか。俺の所属するクラスの殆どの皆が課題を期限内に完成させる事が出来なかったので、他の科の奴等は夏休みに入っているにも関わらず、登校して作品制作に精を出していた。(美大だった為)
その日も帰りが遅くなった事もあり、家に帰るのがかったるくなってしまったので、Sの部屋に泊めてもらう事にした。
工房内にエアコン等ある訳も無いので体中汗臭く、またFRPを使っている為に作業服を脱いでも体のあちこちにガラス繊維が付いているので、チクチクして仕方がない。
俺はシャワーを浴びさせてもらう事にした。
先にシャワーを浴び終えたSは、
「ちょっと用があるから出掛けてくる。シャワー浴びてて良いよ。」
と言って出て行ってしまった。
ようやくこの不快感から脱出できる・・!
人の家にも関わらず、着ていた服を適当に脱ぎ捨て風呂場に入った。
こういう時のシャワー程気持ちの良い物は無い。
昇天するかの様な気持ちの良さを満喫しながら、髪を洗い始めた。
その風呂場には小さい椅子が置いてあって、それに座り、下を向く感じで髪を洗っていたのだが、なんとなく違和感を感じた。
・・・人の気配?
視界には自分の膝、そして爪先・・・と入って来るのだが、その先にもう一つ(いや、1セットと言うべきか)ある
。
俺が入った時は、(当たり前だが)先客は中にいなかった。
小さい。男の足では無い。女か?
しかも薄~い土色というか、生気の無い色をしている。作り物の様だ。
・・・で、爪先はこちらを向いている。
一瞬パニくりそうになったが、Sが言っていた事を思い出した。
「向こうに、こっちが(向こうの存在に)気付いてる事を悟られては駄目だ。」
その場が風呂場とは思えない程全身を寒気が包み、泣きそうになるのを堪え、目を閉じ、必死で気付かないフリをして髪を洗い続けた。
不意に、その「足」の方から声が聞こえてきた。
こもっていると言うか、丁度隣の部屋のテレビの音が聞こえる様な感じで。
何を言っているかは聞き取れない。会話の様に聞こえたと思う。
時間の感覚は既に無い。その「物体」は永遠と俺の前で会話らしき物を続け、俺は髪を洗い続けている。
その時だ。ふと「会話」が止んだかと思うと、その「物体」は『バタン!!』と物凄い勢いで風呂場の扉を開け、『ドン!ドン!ドン!』とアパート中に響き渡る程の大きな足音を立てて走り、『ガラララ、バン!!』とまたも物凄い勢いでベランダのドアを開けて出ていった。
俺はもうその場にいる事が出来ず、シャンプーも流さずにズボンだけ履いて外へ逃げ出て、Sが帰ってくるまでアパートの門で震えながら座り込んでいた。
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廃屋探検
2010.04.25 (Sun) | Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象
845 名前:841 ◆O2uqqje66g 投稿日:03/04/18 15:15
小学生の頃、俺は友達と2人で廃屋探検に行きました。
ターゲットは町内でも田舎な地域にある家で、結構新しいのに無人。
前の住人が自殺したとか殺されたとか、そういう噂が立っている所でした。
学校が終わってすぐ、その家へ向かう段取りだったのに、俺が職員室に呼ばれて説教を食らっていたせいで、出発がずいぶん遅れました。
しかもコンビニ寄って立ち読みしてたりで、現場に到着したのは夕方6時頃。
広い産業道路沿いの一角に塀に囲まれた一軒家です。
周囲の空き地はススキが茂り放題で、いかにも空き家って雰囲気。
俺は「遅くなると怒られるよなー」とチキン入ってたんですが、友達はやる気満々です。
軽々と塀を乗り越えた友達は、早速玄関のドアをガンガン引っぱりました。でも開かない。
二人で手分けして入る所を探したんですが、窓は雨戸用のシャッターが閉まっているし、裏口にはカギが掛かっているしで、とても入り込めそうにありません。
この時点で俺は半分諦めてたんですけど、相変わらず全力投球な友達に気を遣い、一応やる気のカケラぐらいは見せておこうっていう軽い気持ちで、
「引いてダメなら押してみろってな」
なんて言いながら玄関のドアを押してみました。
すると、信じられないことにあっさりと開きやがったんです。
「マジか!ウッソやろぉ!」
友達がダッシュで駆け寄ってきました。ボルテージは最高潮です。
「これは何かあるでぇ・・・」
などととつぶやきながら、余裕の土足で上がり込んで行きます。
しかたなく、俺も後から家の中に入りました。
初秋で外は結構明るかったのに、家の中は薄暗い、と言うよりほとんど真っ暗でした。
俺の持ってきたキーホルダーの豆球が頼りです。探検ムードは盛り上がるばかり。
「うわ!」
突然、ある部屋の入り口で、先行していた友達が後ろに飛び退きました。
恐る恐る中を覗くと、部屋の真ん中に人影が立っていました。
俺らとタメぐらいの子供が、懐中電灯を持ってこっちをジーッと見ています。
白っぽい服を着た、見慣れない顔の女の子でした。
「お前、誰や?」
友達が聞きました。でも、返事はありません。
「なにしてるんや。」
今度は俺です。
「探検。」
その子がポツリと言いました。
「何時ここに入ったんや?」
また友達が聞きましたが、女の子はそれを無視して
「ここはまだ入り口なの。でもこの奥に・・・」
と、そこで言葉を切り、部屋の奥にあるドアを指さしました。
「一緒に行きましょう。」
それを聞いた友達は、その扉に向かって突き進んで行きます。
俺は気味が悪かったけど、仕方なくあとに続きました。
女の子が俺の後ろからついてくる気配がしました。
ドアを開けると、机と椅子が置いてあるだけの書斎みたいな部屋でした。
別に変わった感じはしません。
「なんも無い、フツーの部屋やな。」
友達が言いました。
「残念~」
突然、女の子が妙に明るい声を出し、俺はなぜかゾクっとしました。
「ここのアイテムは私がゲットしましたぁ~」
そんな風に言って、ポケットから写真を何枚か取りだしました。
「なんやそれ?」
「壁に貼ってあったの。」
そう言って見せてくれた写真は、おっさんが何人か写ってる写真でした。
ただ、どの写真も背景がべったりと黒一色に塗りつぶされていて、それが不気味でした。
「うふふふ・・おかしな写真よねッ」
女の子の妙に明るいノリも気になります。
「次はこっちよ。」
俺たちは、女の子に引っ張られる形で家の中をうろつきました。
どの部屋もほとんど真っ暗なんで、俺の小さいライトで届く範囲しか見えません。
女の子はなぜか懐中電灯を点けようとしない。
それでも目が慣れてくると、なんとなく様子がわかるようになってきました。
なんて事のない、普通の部屋ばっかりでした。
いい加減飽きてきて、「もう帰ろう」と言いかけたところで、廊下の突き当たりのドアの前に来ました。そのドアが変です。
よく見ると、ドアの上の方、ちょうど小窓がありそうな辺りに分厚い木の板が釘で打ち付けてあります。ノブの所には蝶つがい式の鍵と南京錠。
まるで、何かを閉じこめているような様子です。
南京錠は外れていたんで、俺が鍵を外してドアを開けました。
長い廊下が先に続いていました。
両側は板が打ち付けてあるばかりで、外の様子は全然見えません。
「渡り廊下かな?」
俺、友達、子供の順で暗い廊下を先に進みました。
俺の後ろには友達がいるはずなのに、気配をあまり感じません。
ずいぶん離れて、女の子が付いてきているようでした。時折、後ろから声が聞こえます。
妙に浮かれた口調で何か喋っていますが、内容はわかりません。
突き当たりにドアがありました。
さっきのと同じようなドア。小窓に板が打ち付けてあって、鍵も付いています。
ただ、こっちの鍵は引きちぎられたように壊れていました。
それを見た時に感じたのは、ものすごくイヤな予感です。
それなのに、俺は一気にドアを開けたんです。
真っ黒な部屋でした。
真っ暗じゃなくて真っ黒。
壁や床、天井もそうだったと思うけど、全てが真っ黒に塗りつぶされた部屋です。
隅の方に写真が立てかけてありました。
遺影みたいな感じの人の写真。でも、はっきりとは見えませんでした。
それよりも目を奪われたのは、ドアから見て右側の壁。
そこに押入があって、こっち側の戸が開いていました。
中にはキノコが生えています。ヌルヌルとした粘液にくるまれた、赤黒い小さなキノコ。
それが、びっしりと押入の床や奥の壁まで覆い尽くしていました。
押入の床も壁も、ヌメヌメと光るゲルにまみれて、内臓みたいに見えました。
出来の悪い悪夢のような光景に吐き気を覚えながらも、それに魅入られるかのように、いつしか俺は中に足を踏み入れようとしていました。
「あ~あ」
突然、耳元で声が聞こえました。
「入ったら死んでまうのに。」
低い男の声でした。
背筋が急にゾクッとして振り向くと、目の前に友達の顔がありました。
何とも言えない表情です。
悲しそうな、嬉しそうな、でもどこを見ているのか判らない虚ろな目。
部屋の中の光景とは違った意味で、俺は吐き気をもよおしました。
それでも、勇気を振り絞って目の前の友達に声をかけようとしました。
「おい・・」
その時、足首のあたりがヒンヤリとした何かに包まれました。
そのままグッと締め付けてくる、ヌルリとした柔らかい感触。
何かが、部屋の中から俺の足首を掴んでいる!
「うワァアァァア!」
俺は思わず悲鳴を上げ、友達を押しのけて廊下を走りました。
前方の暗闇に女の子の姿が見えます。あたりに響き渡る甲高い笑い声。
もう恐ろしくて気が狂いそうでしたが、無我夢中で走りました。
どこをどう走り抜けたのか、気がつくと俺は外に出ていました。
しばらく走って、道路沿いの自販機コーナーでようやく一息つきました。
ズボンをまくり上げ、自販機の明かりで照らして見ると、足首に異常はありませんでしたが、逃げ出す時にあちこちぶつかったのか、傷や痣がたくさん付いていました。
廃屋であったことについて俺が覚えているのはここまでです。
あとは、家に帰るのが遅くなって親にひどく叱られたことぐらい。
多少の脚色はありますが(セリフとか言い回しとかね)
95%くらいは本当にあった出来事です。
こうやって整理してみると、あらためて気付いた事があります。
それは、記憶がかなりいい加減だなってことです。
何というか、アンバランスで「いびつ」なんですよね。
カギの掛かったドアや、女の子に見せてもらった数枚の写真。
そういうディテールは、細かいところまではっきり覚えているんですけど、家の中の様子なんかは曖昧な記憶しかない。
ただ、感触っていうか感情っていうか、怖いとか、気持ち悪いとか、そういう記憶が残っているだけなんです。
廊下の突き当たりの部屋に関しても、黒い部屋だっていう印象ばかりが強くて、中がどうなっていたのかは、殆ど覚えていない。
部屋に写真があったのは見てるけど、どんな写真なのかはわからないんです。
ドアを開ける前のイヤな予感だったり、足を掴まれた時の感触だったり、そういう自分の感じた事は、昨日の事のように蘇るんですけどね。
例外は、押入の中の光景と耳元の低い声、振り向いた時の友達の表情。
特に友達の顔は、目に焼き付いて離れない位ハッキリと覚えていたんです。
ところが、あのあと友達がどうなったのかは覚えていない。
だから、気になって調べようと思ったんですよ。それが3日前の話です。
名前もわからないんで、卒業アルバムで顔を探そうってパラパラめくりました。
そしたら居ないんです、記憶の中の顔と一致する奴が。
そんなはずはない。あの時学校で待ち合わせして一緒に行ったんだから、絶対同じ学校に居るはずだって、何回も見直したんだけど、居ない。
そこで、あらためてその友達の顔を思い出そうとしたんですが、黒い部屋の前で振り向いた時に見た顔以外、全然思い出せない。
虚ろなあの表情が、俺の中に残された記憶の全てでした。
それだけじゃないんです。
ずっと仲の良い友達だったと思ってたのに、そいつと一緒に遊んだ思い出が、その廃屋へ行った時のものだけだって事に、その時初めて気付いたんです。
「そんなアホな・・・」
そう思って、もう一度アルバムを繰るうちに、あるページのところで手が止まりました。
そこには、あの廃屋にいた女の子の顔写真が載っていたんです。
慌てて他のページも確認しました。
その顔は、卒業アルバムのいたるところに載っていました。
名簿には、ちゃんと名前も住所も書いてあります。
正体不明だと思っていた女の子の存在を確認した事で、俺の記憶は、いよいよアヤフヤなものに成り下がりました。
少し迷ってから、俺はその女の子(仮にAとします)に連絡を取る事にしました。
幸い母親がAの携帯番号を教えてくれたので、早速電話してみました。
最初は怪訝な口調だったAも、事情を話すと
「ああ、あの時の・・・」
と思い出したようでした。
てゆーか、聞いてみるとAはあの時のことを克明に覚えていました。
Aはあの日、あの廃屋の近所に引っ越してきました。
で、あたりをブラブラするうちに廃屋を見つけたAは、塀の隙間から中に入り、すでに開いていた玄関から上がり込んで、探検を始めました。
やがて書斎みたいな部屋で、数枚の写真を見つけました。
それを見ているうちに、持ってきた懐中電灯の明かりが消えてしまった。
それで少し怖くなり、探検を続けるか迷っているところで、誰かが玄関のドアを開ける音が聞こえてきました。
てっきり「大人が入ってきて怒られる」と思って身を固くしていたところへ、現れたのが自分と同じくらいの子供だったのでホッとしたそうです。
安堵感でちょっとハイになったAは、探検を続けるように持ちかけました。
(あの時のちょっと芝居がかった仕草は、多少の演技を交えて好奇心を刺激する、Aの作戦だったわけです。女ってのはつくづく怖い生き物だと思う。)
その甲斐あって、現れた子供とAは一緒に家の中を探検し始めました。
「そこで二人になったから、探検続けてしもたんよ。あそこで止めてたら・・」
「え??ちょっと待って」
俺はあわてて聞き直しました。
「二人って・・・」
「だから、私と**君(俺の名前)の二人やんか。他に誰が居るっていうの?」
一緒に廃屋を彷徨ううちに、Aは俺の行動がおかしいことに気が付きました。
誰も居ない方向に向かって話しかけたり、誰かの後を追うように歩いたり。
そういうのが気持ち悪くて、Aは少し離れて俺の後ろを付いて回りました。
やがて、あの渡り廊下にさしかかったあたりで、喋り声が聞こえてきました。
Aはてっきり俺が独り言をつぶやいているんだ、と思ったそうです。
「こいつ本当に大丈夫か?」
Aの恐怖心は一気にふくれあがりました。
そして、俺が黒い部屋のドアを開いた時、Aはものすごい悪臭を嗅いだのです。
思わず口を押さえ、後ろを向こうとした時、低い男の声で
「・・死んでまうのに。」
と言うのが聞こえました。
見ると、俺が虚ろな目をしてこっちを向いている。
真っ黒な部屋を背にした俺は、背景を黒く塗りつぶされているように見えました。
まるで、あの写真のように。
それで、Aは振り向いて逃げ出したのです。
俺と同じく、夢中で逃げるうちに、いつしか自分の家の前まで来ていたそうです。
Aはそれからしばらく、悪夢に悩まされました。
その後、学校で俺を見かけることはあっても、
あの時のことを思うと、声を掛ける気にはならなかった。
だから、今日までの俺はAの事を覚えてなかったんです。
最後にAがこんな事を言いました。
「でもね、こういうこと言ったら何やけど、**君のいう友達っていうの、今も居るんだよきっと。」
「え?」
「ホラ、さっき『二人?』って聞き直した時あったでしょ?あの時、**君の声にかぶってたよ。『マジで・・』って。低い男の声。」
小学生の頃、俺は友達と2人で廃屋探検に行きました。
ターゲットは町内でも田舎な地域にある家で、結構新しいのに無人。
前の住人が自殺したとか殺されたとか、そういう噂が立っている所でした。
学校が終わってすぐ、その家へ向かう段取りだったのに、俺が職員室に呼ばれて説教を食らっていたせいで、出発がずいぶん遅れました。
しかもコンビニ寄って立ち読みしてたりで、現場に到着したのは夕方6時頃。
広い産業道路沿いの一角に塀に囲まれた一軒家です。
周囲の空き地はススキが茂り放題で、いかにも空き家って雰囲気。
俺は「遅くなると怒られるよなー」とチキン入ってたんですが、友達はやる気満々です。
軽々と塀を乗り越えた友達は、早速玄関のドアをガンガン引っぱりました。でも開かない。
二人で手分けして入る所を探したんですが、窓は雨戸用のシャッターが閉まっているし、裏口にはカギが掛かっているしで、とても入り込めそうにありません。
この時点で俺は半分諦めてたんですけど、相変わらず全力投球な友達に気を遣い、一応やる気のカケラぐらいは見せておこうっていう軽い気持ちで、
「引いてダメなら押してみろってな」
なんて言いながら玄関のドアを押してみました。
すると、信じられないことにあっさりと開きやがったんです。
「マジか!ウッソやろぉ!」
友達がダッシュで駆け寄ってきました。ボルテージは最高潮です。
「これは何かあるでぇ・・・」
などととつぶやきながら、余裕の土足で上がり込んで行きます。
しかたなく、俺も後から家の中に入りました。
初秋で外は結構明るかったのに、家の中は薄暗い、と言うよりほとんど真っ暗でした。
俺の持ってきたキーホルダーの豆球が頼りです。探検ムードは盛り上がるばかり。
「うわ!」
突然、ある部屋の入り口で、先行していた友達が後ろに飛び退きました。
恐る恐る中を覗くと、部屋の真ん中に人影が立っていました。
俺らとタメぐらいの子供が、懐中電灯を持ってこっちをジーッと見ています。
白っぽい服を着た、見慣れない顔の女の子でした。
「お前、誰や?」
友達が聞きました。でも、返事はありません。
「なにしてるんや。」
今度は俺です。
「探検。」
その子がポツリと言いました。
「何時ここに入ったんや?」
また友達が聞きましたが、女の子はそれを無視して
「ここはまだ入り口なの。でもこの奥に・・・」
と、そこで言葉を切り、部屋の奥にあるドアを指さしました。
「一緒に行きましょう。」
それを聞いた友達は、その扉に向かって突き進んで行きます。
俺は気味が悪かったけど、仕方なくあとに続きました。
女の子が俺の後ろからついてくる気配がしました。
ドアを開けると、机と椅子が置いてあるだけの書斎みたいな部屋でした。
別に変わった感じはしません。
「なんも無い、フツーの部屋やな。」
友達が言いました。
「残念~」
突然、女の子が妙に明るい声を出し、俺はなぜかゾクっとしました。
「ここのアイテムは私がゲットしましたぁ~」
そんな風に言って、ポケットから写真を何枚か取りだしました。
「なんやそれ?」
「壁に貼ってあったの。」
そう言って見せてくれた写真は、おっさんが何人か写ってる写真でした。
ただ、どの写真も背景がべったりと黒一色に塗りつぶされていて、それが不気味でした。
「うふふふ・・おかしな写真よねッ」
女の子の妙に明るいノリも気になります。
「次はこっちよ。」
俺たちは、女の子に引っ張られる形で家の中をうろつきました。
どの部屋もほとんど真っ暗なんで、俺の小さいライトで届く範囲しか見えません。
女の子はなぜか懐中電灯を点けようとしない。
それでも目が慣れてくると、なんとなく様子がわかるようになってきました。
なんて事のない、普通の部屋ばっかりでした。
いい加減飽きてきて、「もう帰ろう」と言いかけたところで、廊下の突き当たりのドアの前に来ました。そのドアが変です。
よく見ると、ドアの上の方、ちょうど小窓がありそうな辺りに分厚い木の板が釘で打ち付けてあります。ノブの所には蝶つがい式の鍵と南京錠。
まるで、何かを閉じこめているような様子です。
南京錠は外れていたんで、俺が鍵を外してドアを開けました。
長い廊下が先に続いていました。
両側は板が打ち付けてあるばかりで、外の様子は全然見えません。
「渡り廊下かな?」
俺、友達、子供の順で暗い廊下を先に進みました。
俺の後ろには友達がいるはずなのに、気配をあまり感じません。
ずいぶん離れて、女の子が付いてきているようでした。時折、後ろから声が聞こえます。
妙に浮かれた口調で何か喋っていますが、内容はわかりません。
突き当たりにドアがありました。
さっきのと同じようなドア。小窓に板が打ち付けてあって、鍵も付いています。
ただ、こっちの鍵は引きちぎられたように壊れていました。
それを見た時に感じたのは、ものすごくイヤな予感です。
それなのに、俺は一気にドアを開けたんです。
真っ黒な部屋でした。
真っ暗じゃなくて真っ黒。
壁や床、天井もそうだったと思うけど、全てが真っ黒に塗りつぶされた部屋です。
隅の方に写真が立てかけてありました。
遺影みたいな感じの人の写真。でも、はっきりとは見えませんでした。
それよりも目を奪われたのは、ドアから見て右側の壁。
そこに押入があって、こっち側の戸が開いていました。
中にはキノコが生えています。ヌルヌルとした粘液にくるまれた、赤黒い小さなキノコ。
それが、びっしりと押入の床や奥の壁まで覆い尽くしていました。
押入の床も壁も、ヌメヌメと光るゲルにまみれて、内臓みたいに見えました。
出来の悪い悪夢のような光景に吐き気を覚えながらも、それに魅入られるかのように、いつしか俺は中に足を踏み入れようとしていました。
「あ~あ」
突然、耳元で声が聞こえました。
「入ったら死んでまうのに。」
低い男の声でした。
背筋が急にゾクッとして振り向くと、目の前に友達の顔がありました。
何とも言えない表情です。
悲しそうな、嬉しそうな、でもどこを見ているのか判らない虚ろな目。
部屋の中の光景とは違った意味で、俺は吐き気をもよおしました。
それでも、勇気を振り絞って目の前の友達に声をかけようとしました。
「おい・・」
その時、足首のあたりがヒンヤリとした何かに包まれました。
そのままグッと締め付けてくる、ヌルリとした柔らかい感触。
何かが、部屋の中から俺の足首を掴んでいる!
「うワァアァァア!」
俺は思わず悲鳴を上げ、友達を押しのけて廊下を走りました。
前方の暗闇に女の子の姿が見えます。あたりに響き渡る甲高い笑い声。
もう恐ろしくて気が狂いそうでしたが、無我夢中で走りました。
どこをどう走り抜けたのか、気がつくと俺は外に出ていました。
しばらく走って、道路沿いの自販機コーナーでようやく一息つきました。
ズボンをまくり上げ、自販機の明かりで照らして見ると、足首に異常はありませんでしたが、逃げ出す時にあちこちぶつかったのか、傷や痣がたくさん付いていました。
廃屋であったことについて俺が覚えているのはここまでです。
あとは、家に帰るのが遅くなって親にひどく叱られたことぐらい。
多少の脚色はありますが(セリフとか言い回しとかね)
95%くらいは本当にあった出来事です。
こうやって整理してみると、あらためて気付いた事があります。
それは、記憶がかなりいい加減だなってことです。
何というか、アンバランスで「いびつ」なんですよね。
カギの掛かったドアや、女の子に見せてもらった数枚の写真。
そういうディテールは、細かいところまではっきり覚えているんですけど、家の中の様子なんかは曖昧な記憶しかない。
ただ、感触っていうか感情っていうか、怖いとか、気持ち悪いとか、そういう記憶が残っているだけなんです。
廊下の突き当たりの部屋に関しても、黒い部屋だっていう印象ばかりが強くて、中がどうなっていたのかは、殆ど覚えていない。
部屋に写真があったのは見てるけど、どんな写真なのかはわからないんです。
ドアを開ける前のイヤな予感だったり、足を掴まれた時の感触だったり、そういう自分の感じた事は、昨日の事のように蘇るんですけどね。
例外は、押入の中の光景と耳元の低い声、振り向いた時の友達の表情。
特に友達の顔は、目に焼き付いて離れない位ハッキリと覚えていたんです。
ところが、あのあと友達がどうなったのかは覚えていない。
だから、気になって調べようと思ったんですよ。それが3日前の話です。
名前もわからないんで、卒業アルバムで顔を探そうってパラパラめくりました。
そしたら居ないんです、記憶の中の顔と一致する奴が。
そんなはずはない。あの時学校で待ち合わせして一緒に行ったんだから、絶対同じ学校に居るはずだって、何回も見直したんだけど、居ない。
そこで、あらためてその友達の顔を思い出そうとしたんですが、黒い部屋の前で振り向いた時に見た顔以外、全然思い出せない。
虚ろなあの表情が、俺の中に残された記憶の全てでした。
それだけじゃないんです。
ずっと仲の良い友達だったと思ってたのに、そいつと一緒に遊んだ思い出が、その廃屋へ行った時のものだけだって事に、その時初めて気付いたんです。
「そんなアホな・・・」
そう思って、もう一度アルバムを繰るうちに、あるページのところで手が止まりました。
そこには、あの廃屋にいた女の子の顔写真が載っていたんです。
慌てて他のページも確認しました。
その顔は、卒業アルバムのいたるところに載っていました。
名簿には、ちゃんと名前も住所も書いてあります。
正体不明だと思っていた女の子の存在を確認した事で、俺の記憶は、いよいよアヤフヤなものに成り下がりました。
少し迷ってから、俺はその女の子(仮にAとします)に連絡を取る事にしました。
幸い母親がAの携帯番号を教えてくれたので、早速電話してみました。
最初は怪訝な口調だったAも、事情を話すと
「ああ、あの時の・・・」
と思い出したようでした。
てゆーか、聞いてみるとAはあの時のことを克明に覚えていました。
Aはあの日、あの廃屋の近所に引っ越してきました。
で、あたりをブラブラするうちに廃屋を見つけたAは、塀の隙間から中に入り、すでに開いていた玄関から上がり込んで、探検を始めました。
やがて書斎みたいな部屋で、数枚の写真を見つけました。
それを見ているうちに、持ってきた懐中電灯の明かりが消えてしまった。
それで少し怖くなり、探検を続けるか迷っているところで、誰かが玄関のドアを開ける音が聞こえてきました。
てっきり「大人が入ってきて怒られる」と思って身を固くしていたところへ、現れたのが自分と同じくらいの子供だったのでホッとしたそうです。
安堵感でちょっとハイになったAは、探検を続けるように持ちかけました。
(あの時のちょっと芝居がかった仕草は、多少の演技を交えて好奇心を刺激する、Aの作戦だったわけです。女ってのはつくづく怖い生き物だと思う。)
その甲斐あって、現れた子供とAは一緒に家の中を探検し始めました。
「そこで二人になったから、探検続けてしもたんよ。あそこで止めてたら・・」
「え??ちょっと待って」
俺はあわてて聞き直しました。
「二人って・・・」
「だから、私と**君(俺の名前)の二人やんか。他に誰が居るっていうの?」
一緒に廃屋を彷徨ううちに、Aは俺の行動がおかしいことに気が付きました。
誰も居ない方向に向かって話しかけたり、誰かの後を追うように歩いたり。
そういうのが気持ち悪くて、Aは少し離れて俺の後ろを付いて回りました。
やがて、あの渡り廊下にさしかかったあたりで、喋り声が聞こえてきました。
Aはてっきり俺が独り言をつぶやいているんだ、と思ったそうです。
「こいつ本当に大丈夫か?」
Aの恐怖心は一気にふくれあがりました。
そして、俺が黒い部屋のドアを開いた時、Aはものすごい悪臭を嗅いだのです。
思わず口を押さえ、後ろを向こうとした時、低い男の声で
「・・死んでまうのに。」
と言うのが聞こえました。
見ると、俺が虚ろな目をしてこっちを向いている。
真っ黒な部屋を背にした俺は、背景を黒く塗りつぶされているように見えました。
まるで、あの写真のように。
それで、Aは振り向いて逃げ出したのです。
俺と同じく、夢中で逃げるうちに、いつしか自分の家の前まで来ていたそうです。
Aはそれからしばらく、悪夢に悩まされました。
その後、学校で俺を見かけることはあっても、
あの時のことを思うと、声を掛ける気にはならなかった。
だから、今日までの俺はAの事を覚えてなかったんです。
最後にAがこんな事を言いました。
「でもね、こういうこと言ったら何やけど、**君のいう友達っていうの、今も居るんだよきっと。」
「え?」
「ホラ、さっき『二人?』って聞き直した時あったでしょ?あの時、**君の声にかぶってたよ。『マジで・・』って。低い男の声。」
アパートの窓から
2010.04.22 (Thu) | Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象
798 名前:うんちんぐ 投稿日:03/04/18 11:45
俺が大学生のころ、四谷の近くで一人暮らししてたときのこと。
その日、なんとなくだるかった俺は大学を一時間目で切り上げて家に帰って早く寝よう、とマターリ自転車で帰っていた。
そのとき、俺は安い貧乏アパートみたいなのに住んでたんだけど、はじめて見たときから、空気がよどんでいるというか、天気のいい日でも薄暗い、そこだけ違う空間のようなアパートだと思った。
でも、親からの仕送りもない貧乏学生だった俺は、贅沢も言えないので、家賃の安いそこに住んでいた。
そんで、ちょっと熱っぽさもあったものの、途中コンビニで昼飯を買って、家に帰ってねっころがっていた。
その日も、いつものとおり部屋が薄暗く、隣りにビルがあるわけでもないのに日光があんまり入ってこないような、全体的にどんよりとした部屋で、座布団を枕にしてぼ~っとしてたらピンポーンと俺の部屋のチャイムがなった。
「どうせ勧誘とかセールスとかだろ。」
と思った俺は、出るのもめんどくさいので居留守を使った。
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、
まるで俺が家にいるのを知っているかのように鳴り続けた。
「大家さんかな?」
と思った俺は、ドアのレンズから外を見てみた。
しかし、誰もいない。
「やっと、あきらめて行ったか。」
そう思って再びねっころがっていたら、今度は電話が。
トゥルルルルルル、トゥルルルルル、トゥルルルルル、
電話は近くにあったのですぐに出た。
「はい、もしもし。」
しかし相手は無言だったので、すぐに切った。
「なんだよ、いたずらかよ・・・。」
でも、そのときはさっきのチャイムのこともあってなんとなく薄気味が悪かった。
もう、なにがあってもでないからな。
と思ったおれは薄い毛布をかぶって寝ることにした。
俺の住んでたアパートの前は、車もあまり通らない静かな道で、テレビも何もつけないと、部屋のなかはし~んとしていた。
チッチッチッチッ・・・と時計の音が聞こえるぐらいだった。
けれど、その日はなぜかいつも聞こえるはずの時計の音がしない。
まったくの無音状態で、隣りの部屋のテレビの音もなにもきこえない。
今、この時間に、このアパートには俺しかいないような、なんだかすこし怖くなってきたときだった。
コン、コン、コン、コン、
と、今度は俺の部屋の窓ガラスをだれかが叩く音がした。
さっきの勧誘の人に、俺が部屋にいるのがばれたのかな。
そう思って、窓の方を見ようとしたとき、ふと気がついた。
「あれ、俺の部屋って二階じゃん・・・。」
そのことに気がついたら、一気に全身の鳥肌が立った。
そのアパートには、窓に小さなベランダがあるものの、人がよじ登ってそこに入ることは考えられない。
でも、誰かがベランダにいる、絶対にいる。
コン、コン、コン、コン、
誰かがずっと俺の部屋の窓を叩いている。
もう俺は怖くて、怖くて、勘弁して下さいって感じで、そのまま寝てるフリをして毛布にくるまってかたまっていた。
でも、俺はもっと重大なことに気がついた。
「あ!窓の鍵をあけっぱなしだ・・・。」
俺はいつも家にいるときは窓を開けて部屋の空気を入れ替えて、そのあと窓の鍵は、夜寝る前になってからしめる、ということをしていた。
ガラガラガラッ!
誰かが窓を開けて、部屋に入ってきた。
俺は窓を背にしてただひたすら寝てるフリをしていた。
っていうか、もうそうするしかなかった。
絶対に振り向いてはいけない気がしたから。
ミシッ、ミシッ、ミシッ
と、その誰かが、俺のほうにゆっくりと歩いてくる。
そしてゆっくりと、俺をまたいでいった。
そのとき、俺は怖いながらも少し目を開けてしまった。
目の前には、見開いた大きい目玉が二つ、こっちを見ていた。
そこで俺は気を失ってしまった。
夜になって目覚めたとき、部屋の窓があきっぱなしになっていた。
気絶する直前に見てしまった、あの目玉のことを再び思い出したら、俺は全身の震えがとまんなくなって、急いで友達の家に行った。
その後、その友達の家に一週間ぐらい泊まらしてもらい、もっと人通りの多い道のマンションに引っ越した。
あのときの、あのことは今でもなんなのかわからないけれど、なるべく考えないようにしている。
俺が大学生のころ、四谷の近くで一人暮らししてたときのこと。
その日、なんとなくだるかった俺は大学を一時間目で切り上げて家に帰って早く寝よう、とマターリ自転車で帰っていた。
そのとき、俺は安い貧乏アパートみたいなのに住んでたんだけど、はじめて見たときから、空気がよどんでいるというか、天気のいい日でも薄暗い、そこだけ違う空間のようなアパートだと思った。
でも、親からの仕送りもない貧乏学生だった俺は、贅沢も言えないので、家賃の安いそこに住んでいた。
そんで、ちょっと熱っぽさもあったものの、途中コンビニで昼飯を買って、家に帰ってねっころがっていた。
その日も、いつものとおり部屋が薄暗く、隣りにビルがあるわけでもないのに日光があんまり入ってこないような、全体的にどんよりとした部屋で、座布団を枕にしてぼ~っとしてたらピンポーンと俺の部屋のチャイムがなった。
「どうせ勧誘とかセールスとかだろ。」
と思った俺は、出るのもめんどくさいので居留守を使った。
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、
まるで俺が家にいるのを知っているかのように鳴り続けた。
「大家さんかな?」
と思った俺は、ドアのレンズから外を見てみた。
しかし、誰もいない。
「やっと、あきらめて行ったか。」
そう思って再びねっころがっていたら、今度は電話が。
トゥルルルルルル、トゥルルルルル、トゥルルルルル、
電話は近くにあったのですぐに出た。
「はい、もしもし。」
しかし相手は無言だったので、すぐに切った。
「なんだよ、いたずらかよ・・・。」
でも、そのときはさっきのチャイムのこともあってなんとなく薄気味が悪かった。
もう、なにがあってもでないからな。
と思ったおれは薄い毛布をかぶって寝ることにした。
俺の住んでたアパートの前は、車もあまり通らない静かな道で、テレビも何もつけないと、部屋のなかはし~んとしていた。
チッチッチッチッ・・・と時計の音が聞こえるぐらいだった。
けれど、その日はなぜかいつも聞こえるはずの時計の音がしない。
まったくの無音状態で、隣りの部屋のテレビの音もなにもきこえない。
今、この時間に、このアパートには俺しかいないような、なんだかすこし怖くなってきたときだった。
コン、コン、コン、コン、
と、今度は俺の部屋の窓ガラスをだれかが叩く音がした。
さっきの勧誘の人に、俺が部屋にいるのがばれたのかな。
そう思って、窓の方を見ようとしたとき、ふと気がついた。
「あれ、俺の部屋って二階じゃん・・・。」
そのことに気がついたら、一気に全身の鳥肌が立った。
そのアパートには、窓に小さなベランダがあるものの、人がよじ登ってそこに入ることは考えられない。
でも、誰かがベランダにいる、絶対にいる。
コン、コン、コン、コン、
誰かがずっと俺の部屋の窓を叩いている。
もう俺は怖くて、怖くて、勘弁して下さいって感じで、そのまま寝てるフリをして毛布にくるまってかたまっていた。
でも、俺はもっと重大なことに気がついた。
「あ!窓の鍵をあけっぱなしだ・・・。」
俺はいつも家にいるときは窓を開けて部屋の空気を入れ替えて、そのあと窓の鍵は、夜寝る前になってからしめる、ということをしていた。
ガラガラガラッ!
誰かが窓を開けて、部屋に入ってきた。
俺は窓を背にしてただひたすら寝てるフリをしていた。
っていうか、もうそうするしかなかった。
絶対に振り向いてはいけない気がしたから。
ミシッ、ミシッ、ミシッ
と、その誰かが、俺のほうにゆっくりと歩いてくる。
そしてゆっくりと、俺をまたいでいった。
そのとき、俺は怖いながらも少し目を開けてしまった。
目の前には、見開いた大きい目玉が二つ、こっちを見ていた。
そこで俺は気を失ってしまった。
夜になって目覚めたとき、部屋の窓があきっぱなしになっていた。
気絶する直前に見てしまった、あの目玉のことを再び思い出したら、俺は全身の震えがとまんなくなって、急いで友達の家に行った。
その後、その友達の家に一週間ぐらい泊まらしてもらい、もっと人通りの多い道のマンションに引っ越した。
あのときの、あのことは今でもなんなのかわからないけれど、なるべく考えないようにしている。
留守番電話(2)
2010.04.21 (Wed) | Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象
以前紹介した【留守番電話】の別バージョン。
どちらが先に世に出たものかは不明。
617 名前:1/3 投稿日:03/04/15 20:35
私の身に起きた不思議な話しを聞いて下さい。
大学の先輩の事なのですが、付合っていた彼女が交通事故にあった。
即死だったそうです。
後日、傷心している先輩を励ますつもりもあり、先輩のアパートに遊びに行ったのです。
今だガックリと肩を落す先輩はポツリと、
「俺がバイトじゃなかったら…留守にしていなきゃ」
と、留守番電話の再生ボタンを押した。
『もしもし、今からそっちに行くね』
電話から再生されたのは生前の彼女の明るい声。
「これが、彼女の最後の声なんだ…俺の部屋に来る途中に…俺さえ電話に出ていれば、迎えにいけば、もしかしたら…」
「たとえ先輩が部屋にいても、何も変わらなかったかもしれないじゃないですか。やっぱ彼女は…」
私は口をつぐんだ。
何を言っても、今の先輩には慰めの言葉が見つからなかったから。
一月後、想いを振払う様に先輩はアパートからの引越しを決めました。
私は、先輩の引越しの手伝いにいったのです。
手際の悪い私達は、アパートの荷造りが一段落する頃には、日も傾きかけていました。
「悪いな、お前に荷造りまでさせてしまって」
「いいんですよ、もうすぐ片付きますね」
と、その時、部屋の片隅に置かれていた留守番電話から、
『もしもし、今からそっちに行くね』
…かっ、彼女の声、まさか…
ギョとした私ですが、今だ彼女を忘れられない先輩はボイスメモリを消さずに、何かの拍子に再生されただけだ、と自分を納得させたのです。
しかし、何もこんな時にタイミングが悪いと思い先輩に目をやると。
「悪い…」
「エッ」
「悪いな、今日はありがと、もういいよ、帰ってくれないか…」
「帰ってって、トラックも借りてきてるし、今日中に出なくちゃまずいじゃないですか」
「いや、俺は、もうちょっと、ここに残るから、あとは大丈夫だから」
ただならぬ先輩の気配に、ただ従うしかなく、私は部屋を出ました。
その日以来先輩が行方不明になったのです。
アパートの部屋はあの時の荷造り途中のままで。
私は、あの時帰ってしまった自分を後悔しました。
時が経ったとはいえ、傷心しきった先輩は自殺したかもしれないじゃないか…先輩の御両親も警察に捜索願いを出し、私は、警察に出向き、あの日の事を事細かく説明をしました。
記憶をたどりながら。
と、一つの何気ない行動の記憶が蘇り、私は全身が鳥肌立つったのです。
あの時、引越しの荷造りをする時、私は早々に留守番電話の回線だけ残し電源コードはコンセントから抜いた…
電話が掛かりこそすれ、留守番電話が再生されるはずがないじゃないか…
『もしもし、今からそっちに行くね』
あの時の彼女の声は、留守番電話の再生音なんかじゃなかった。
なぜ気が付かなかった。
そして、先輩は知っていたんだ、あの時、彼女からのメッセージである事を…
私は警察には、そんな事は言えませんでした。
私を帰した後、じっと彼女を待っていた先輩。
彼女は来たのか…彼女は先輩を連れていったのか…どこへ
これが、私の経験した不思議な話しです。
この事を思い出すにつれ、恐さより寂しさを想います。
先輩と彼女は幸せに一緒にいるのでしょう…どこかで…
どちらが先に世に出たものかは不明。
617 名前:1/3 投稿日:03/04/15 20:35
私の身に起きた不思議な話しを聞いて下さい。
大学の先輩の事なのですが、付合っていた彼女が交通事故にあった。
即死だったそうです。
後日、傷心している先輩を励ますつもりもあり、先輩のアパートに遊びに行ったのです。
今だガックリと肩を落す先輩はポツリと、
「俺がバイトじゃなかったら…留守にしていなきゃ」
と、留守番電話の再生ボタンを押した。
『もしもし、今からそっちに行くね』
電話から再生されたのは生前の彼女の明るい声。
「これが、彼女の最後の声なんだ…俺の部屋に来る途中に…俺さえ電話に出ていれば、迎えにいけば、もしかしたら…」
「たとえ先輩が部屋にいても、何も変わらなかったかもしれないじゃないですか。やっぱ彼女は…」
私は口をつぐんだ。
何を言っても、今の先輩には慰めの言葉が見つからなかったから。
一月後、想いを振払う様に先輩はアパートからの引越しを決めました。
私は、先輩の引越しの手伝いにいったのです。
手際の悪い私達は、アパートの荷造りが一段落する頃には、日も傾きかけていました。
「悪いな、お前に荷造りまでさせてしまって」
「いいんですよ、もうすぐ片付きますね」
と、その時、部屋の片隅に置かれていた留守番電話から、
『もしもし、今からそっちに行くね』
…かっ、彼女の声、まさか…
ギョとした私ですが、今だ彼女を忘れられない先輩はボイスメモリを消さずに、何かの拍子に再生されただけだ、と自分を納得させたのです。
しかし、何もこんな時にタイミングが悪いと思い先輩に目をやると。
「悪い…」
「エッ」
「悪いな、今日はありがと、もういいよ、帰ってくれないか…」
「帰ってって、トラックも借りてきてるし、今日中に出なくちゃまずいじゃないですか」
「いや、俺は、もうちょっと、ここに残るから、あとは大丈夫だから」
ただならぬ先輩の気配に、ただ従うしかなく、私は部屋を出ました。
その日以来先輩が行方不明になったのです。
アパートの部屋はあの時の荷造り途中のままで。
私は、あの時帰ってしまった自分を後悔しました。
時が経ったとはいえ、傷心しきった先輩は自殺したかもしれないじゃないか…先輩の御両親も警察に捜索願いを出し、私は、警察に出向き、あの日の事を事細かく説明をしました。
記憶をたどりながら。
と、一つの何気ない行動の記憶が蘇り、私は全身が鳥肌立つったのです。
あの時、引越しの荷造りをする時、私は早々に留守番電話の回線だけ残し電源コードはコンセントから抜いた…
電話が掛かりこそすれ、留守番電話が再生されるはずがないじゃないか…
『もしもし、今からそっちに行くね』
あの時の彼女の声は、留守番電話の再生音なんかじゃなかった。
なぜ気が付かなかった。
そして、先輩は知っていたんだ、あの時、彼女からのメッセージである事を…
私は警察には、そんな事は言えませんでした。
私を帰した後、じっと彼女を待っていた先輩。
彼女は来たのか…彼女は先輩を連れていったのか…どこへ
これが、私の経験した不思議な話しです。
この事を思い出すにつれ、恐さより寂しさを想います。
先輩と彼女は幸せに一緒にいるのでしょう…どこかで…
足音
2010.04.21 (Wed) | Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象
466 名前:1/8 投稿日:03/04/13 22:55
長文いきます。
2年くらい前、お菓子屋さんでバイトしてた時の話。
その店は車通りの多い交差点の角にあって、割と儲かっていた。と思う。
営業時間は9時までで、閉店すると店内ほとんどの明かりを落として、お金の計算と発注をして、9時半までには帰るのが日課だった。
帰る時には、店の明かりを全部消すのだけど、その時必ずいつも2階の休憩室から「コトコト…」という音が鳴っていた。
実際その音は、蛍光灯を消した時の音だったらしく、私は別に怖くもなかったのだけど、幽霊なんかは信じないが怖い話は大好きな私は新人のバイトなんかに
「電気を消すと足音がするんだよ~」
と言っては脅かして遊んでいた。
新人も、怖がりつつもそれが蛍光灯の音だとわかっていたので、
「やめて下さいよ~」
なんてふざけて受け答えしていた。
確か12月の始めくらいのことだったと思うけど、店に面した交差点で事故があった。
私はその日バイトが休みで、事故を見なかったのだけど、壮絶だったらしい。
そこの交差点の信号は時間差になっていたせいか、見通しは悪く無いのによく事故が起こっていた。大体2ヶ月に一回くらいのペース。
バイト中に事故を目撃して、救急車を呼んだこともあった。
で、その12月の事故で、私がバイトを始めてから初めての死者が出た。
私はその場にいなかったからわからないけど、信号無視してきた車が店の前の交差点を横断中の中年の女性をはねたらしい。
私は次の日バイトに行くまでその事故のことを知らなかったのだけど、店長の話ではその女性は、搬送先の病院で亡くなった、とのことだった。
事故に関しては珍しいことではなかったので、しばらくしたらその話は誰からともなく忘れてしまった。
その一ヶ月後くらいの12月30日のことだったと思う。
お菓子屋さんにとってみれば年末年始はかなりの稼ぎ時で、バイト先も例外じゃなかった。
お年賀用の菓子折りの造り置きを、何百という単位で作っておかなきゃいけない。
だから30日は、店を閉めてからもずっと残って作業していた。
残っていたのは、私と新しいバイトの子と副店長の3人。
多分11時になるかならないかの時間だったと思うけど、ずっと作業してきてちょっと休憩しよう、ということになった。
寒かったし、何か暖かいモノでも買って来よう、ということになって近所のコンビニに2人が買い物に行くことになった。
残ることになった新人は結構な怖がりで、
「早く帰ってきて下さいよ~」
と冗談だか本気だかわからないような怖がり方をしていた。
それがちょっと面白くて、私と副店長は彼女を残すことになったんだと思う。
安全のため鍵をかけて、副店長とコンビニに行って10分くらいで戻った。
外から店を見たら、明らかに変。
何故って電気が全部消えている。
新人が黙って何処かに出かけたのか?と思ったけど、鍵はかかったままだった。
ちなみに彼女(新人)は店の鍵を持っていない。
だから、自分達を驚かす為にわざと電気を消して待ってるんだな、という結論になった。
ニヤニヤしながら2人で店の中に入る。
「わ!」
とか言いながら飛び出してくるかと思っていた新人だけど、全く出て来る気配がない。
息を潜めてカウンターの影にでも隠れているのかと思って、とりあえず電気をつけた。
「●●さ~ん!戻って来たよ~」
と呼んでも出てこない。
ちょっと心配になってくる。
多分何処かに隠れてて、こっちが本当に心配しだしたころに飛び出てくるんだろう。
そう思って、ちょっと店の中を探した。
それでも何処にもいない。2階も探したし、ロッカーの中も見たけどいない。
本格的に焦ってきて、呼びながら2人で探した。でもいない。
鍵はかかってたから、外にいるわけはないし…と思って、とりあえず店長に電話をしてみようか…という話になった時、突然。
ド オ ン !
何かを叩く音がした。正直言うと、ビックリしてちょっとチビりそうになった…。
その音は店の奥の、業務用の大きな冷凍庫からしたみたいだった。
冷凍庫というか、2畳分くらいの小さな部屋と言った方がいいかもしれない。
冷凍庫っていうのは、温度の調節のために時々止まっては稼動して…をくりかえしている様だったので、たまに「ドン」という音がしたりはしていたのだけど、明らかにその音とは違う。
どちらかというと中から何かをぶつけたような音だった。
まさか!?と思って慌てて冷凍庫を開けると…。
いた。
新人がその中でガタガタ震えながら体育座りをしていた。
「何してるの!?」
と急いで彼女を中から引っぱりだし、上着を着せて買って来た肉まんを食べさせてやった。
歯をガチガチ鳴らして、最初はロクに立つこともできなかったのだけど、徐々に震えが止まって、肉まんとお茶を飲むことができた。
「大丈夫?何であんな中入ってたの?」
と聞くと、急に彼女は涙を流して
「もう帰りたい!帰りたい!ここいたくない!」
と子供の様に泣き出した。
時間ももう遅いし(確か11時半過ぎ)新人もこんなだから、とにかく帰ろう、ということになった。新人は副店長が車で送って行った。
次の日、新人はバイトに来なかった。辞めたらしい。
おかげで31日は死ぬ程忙しかった。
31日に店を閉めてから、副店長に昨日のことを聞いた。
副店長が車の中で新人に聞いた話では、彼女はやっぱり私達を驚かそうとしてカウンターの影に隠れていたらしい。
そうしたら、突然電気が消えた。彼女は私達が帰って来て、逆に驚かそうと電気を消したと思ったらしい。
そうしたら足音が聞こえた。
「来た来た…」
と彼女は思ったらしいけど、何か変。
……2階から聞こえる。
蛍光灯を消した時の音は彼女も何度か聞いていたので、最初はその音だと思ったらしい。
でも、いつもはネズミが走っているような「コトコト…」という音が何だか「ギシ…ギシ…」という音に聞こえる。
しかも音のする場所が移動している。
例えるなら、2階で誰かがグルグル歩き回っているような…。
彼女は怖くなって電気を付けようと走り、慌ててスイッチを押したけど電気が付かない。
泣きそうになりながら何度もスイッチを押していると、音がまた移動している。
…ギシ…ギシ…ギシ…ギシ…
(階段を降りてきてる!?)
とにかく何処かに逃げなきゃ、隠れなきゃ、と思った彼女の目に飛び込んできたのが冷凍庫のドア。
開けたら、中の電気が付いた。それに安心したのか、彼女はその中に入ってドアを閉めた。
もちろん冷凍庫なので、ドアを閉めたら電気が消える。
密室で寒くて真っ暗で、彼女はまたパニックになった。今度は出ようと必死になるけど何故かドアが開かない。もちろん冷凍庫は人が閉じ込められないように、中からも簡単に開くようになってる。
赤いボタンをポチッと押せばいいだけ。
でも、いくら押してもドアが開かなかったらしい。
凍えそうに寒くて、狭くて、暗くて、頭がおかしくなりそうになりながら
「助けて!助けて!」
と何度も叫んでドアを叩いたらしい。でも開かない。
もう自分は本当に死ぬんじゃないかと思って、渾身の力を込めてドアを叩いたら、外からドアが開いた。
私達がドアを開けたらしい。
ちなみに私達は彼女のその渾身の一発以外の音や声は全く聞かなかった。
この話を聞いて、多分彼女は怖くてパニックになっただけなんだろう、と思ったけどそんな目にあったんじゃ辞めるのも無理はないな…と思った。
そしてその時店長が、
「昨日深夜にセコムのセンサーが反応したらしくて、警備員が見に来たんだけど、何もなかったんだって~(笑)」
と言った。
普段だったら
「何か出たんじゃないの~?(笑)」
と笑う所だけど(実際過去に何度か反応したことがあったし)昨日のことがあっただけに、笑えなかった…。
で、今私このバイト辞めてるんだけど、それにはちょっと理由があってね。
新人さんが辞めた2日後のお昼、2階の休憩室で1人休んでたんですが。
そこの灰皿(タバコを吸う人がいないので、その時は小物入れになってた)に見た事のない指輪があった。ちょっと高そうな感じ。
後で店長に聞いてみたら
「ああ、あの指輪ね~、一ヶ月くらい前に店の駐車場に落ちてたのを拾ったの。高そうだし、お客さんの落とし物かもしれないから預かってるんだよ」
一ヶ月前。偶然かもしれないけど、死亡事故が起きた時。中年の女性。指輪。
ひょっとしたらその指輪は亡くなった女性のもので、新人の子が聞いた足音はその女性のものでは。
そう考えてしまったら、何だか怖くなってしまって。
お正月の忙しい時期が終わってから、私もバイトを辞めた。
確かめることも何もできないけど、今でもそのお店は普通に営業しているし、店長も副店長もまだ勤めている。
以上です。長文失礼しました。
長文いきます。
2年くらい前、お菓子屋さんでバイトしてた時の話。
その店は車通りの多い交差点の角にあって、割と儲かっていた。と思う。
営業時間は9時までで、閉店すると店内ほとんどの明かりを落として、お金の計算と発注をして、9時半までには帰るのが日課だった。
帰る時には、店の明かりを全部消すのだけど、その時必ずいつも2階の休憩室から「コトコト…」という音が鳴っていた。
実際その音は、蛍光灯を消した時の音だったらしく、私は別に怖くもなかったのだけど、幽霊なんかは信じないが怖い話は大好きな私は新人のバイトなんかに
「電気を消すと足音がするんだよ~」
と言っては脅かして遊んでいた。
新人も、怖がりつつもそれが蛍光灯の音だとわかっていたので、
「やめて下さいよ~」
なんてふざけて受け答えしていた。
確か12月の始めくらいのことだったと思うけど、店に面した交差点で事故があった。
私はその日バイトが休みで、事故を見なかったのだけど、壮絶だったらしい。
そこの交差点の信号は時間差になっていたせいか、見通しは悪く無いのによく事故が起こっていた。大体2ヶ月に一回くらいのペース。
バイト中に事故を目撃して、救急車を呼んだこともあった。
で、その12月の事故で、私がバイトを始めてから初めての死者が出た。
私はその場にいなかったからわからないけど、信号無視してきた車が店の前の交差点を横断中の中年の女性をはねたらしい。
私は次の日バイトに行くまでその事故のことを知らなかったのだけど、店長の話ではその女性は、搬送先の病院で亡くなった、とのことだった。
事故に関しては珍しいことではなかったので、しばらくしたらその話は誰からともなく忘れてしまった。
その一ヶ月後くらいの12月30日のことだったと思う。
お菓子屋さんにとってみれば年末年始はかなりの稼ぎ時で、バイト先も例外じゃなかった。
お年賀用の菓子折りの造り置きを、何百という単位で作っておかなきゃいけない。
だから30日は、店を閉めてからもずっと残って作業していた。
残っていたのは、私と新しいバイトの子と副店長の3人。
多分11時になるかならないかの時間だったと思うけど、ずっと作業してきてちょっと休憩しよう、ということになった。
寒かったし、何か暖かいモノでも買って来よう、ということになって近所のコンビニに2人が買い物に行くことになった。
残ることになった新人は結構な怖がりで、
「早く帰ってきて下さいよ~」
と冗談だか本気だかわからないような怖がり方をしていた。
それがちょっと面白くて、私と副店長は彼女を残すことになったんだと思う。
安全のため鍵をかけて、副店長とコンビニに行って10分くらいで戻った。
外から店を見たら、明らかに変。
何故って電気が全部消えている。
新人が黙って何処かに出かけたのか?と思ったけど、鍵はかかったままだった。
ちなみに彼女(新人)は店の鍵を持っていない。
だから、自分達を驚かす為にわざと電気を消して待ってるんだな、という結論になった。
ニヤニヤしながら2人で店の中に入る。
「わ!」
とか言いながら飛び出してくるかと思っていた新人だけど、全く出て来る気配がない。
息を潜めてカウンターの影にでも隠れているのかと思って、とりあえず電気をつけた。
「●●さ~ん!戻って来たよ~」
と呼んでも出てこない。
ちょっと心配になってくる。
多分何処かに隠れてて、こっちが本当に心配しだしたころに飛び出てくるんだろう。
そう思って、ちょっと店の中を探した。
それでも何処にもいない。2階も探したし、ロッカーの中も見たけどいない。
本格的に焦ってきて、呼びながら2人で探した。でもいない。
鍵はかかってたから、外にいるわけはないし…と思って、とりあえず店長に電話をしてみようか…という話になった時、突然。
ド オ ン !
何かを叩く音がした。正直言うと、ビックリしてちょっとチビりそうになった…。
その音は店の奥の、業務用の大きな冷凍庫からしたみたいだった。
冷凍庫というか、2畳分くらいの小さな部屋と言った方がいいかもしれない。
冷凍庫っていうのは、温度の調節のために時々止まっては稼動して…をくりかえしている様だったので、たまに「ドン」という音がしたりはしていたのだけど、明らかにその音とは違う。
どちらかというと中から何かをぶつけたような音だった。
まさか!?と思って慌てて冷凍庫を開けると…。
いた。
新人がその中でガタガタ震えながら体育座りをしていた。
「何してるの!?」
と急いで彼女を中から引っぱりだし、上着を着せて買って来た肉まんを食べさせてやった。
歯をガチガチ鳴らして、最初はロクに立つこともできなかったのだけど、徐々に震えが止まって、肉まんとお茶を飲むことができた。
「大丈夫?何であんな中入ってたの?」
と聞くと、急に彼女は涙を流して
「もう帰りたい!帰りたい!ここいたくない!」
と子供の様に泣き出した。
時間ももう遅いし(確か11時半過ぎ)新人もこんなだから、とにかく帰ろう、ということになった。新人は副店長が車で送って行った。
次の日、新人はバイトに来なかった。辞めたらしい。
おかげで31日は死ぬ程忙しかった。
31日に店を閉めてから、副店長に昨日のことを聞いた。
副店長が車の中で新人に聞いた話では、彼女はやっぱり私達を驚かそうとしてカウンターの影に隠れていたらしい。
そうしたら、突然電気が消えた。彼女は私達が帰って来て、逆に驚かそうと電気を消したと思ったらしい。
そうしたら足音が聞こえた。
「来た来た…」
と彼女は思ったらしいけど、何か変。
……2階から聞こえる。
蛍光灯を消した時の音は彼女も何度か聞いていたので、最初はその音だと思ったらしい。
でも、いつもはネズミが走っているような「コトコト…」という音が何だか「ギシ…ギシ…」という音に聞こえる。
しかも音のする場所が移動している。
例えるなら、2階で誰かがグルグル歩き回っているような…。
彼女は怖くなって電気を付けようと走り、慌ててスイッチを押したけど電気が付かない。
泣きそうになりながら何度もスイッチを押していると、音がまた移動している。
…ギシ…ギシ…ギシ…ギシ…
(階段を降りてきてる!?)
とにかく何処かに逃げなきゃ、隠れなきゃ、と思った彼女の目に飛び込んできたのが冷凍庫のドア。
開けたら、中の電気が付いた。それに安心したのか、彼女はその中に入ってドアを閉めた。
もちろん冷凍庫なので、ドアを閉めたら電気が消える。
密室で寒くて真っ暗で、彼女はまたパニックになった。今度は出ようと必死になるけど何故かドアが開かない。もちろん冷凍庫は人が閉じ込められないように、中からも簡単に開くようになってる。
赤いボタンをポチッと押せばいいだけ。
でも、いくら押してもドアが開かなかったらしい。
凍えそうに寒くて、狭くて、暗くて、頭がおかしくなりそうになりながら
「助けて!助けて!」
と何度も叫んでドアを叩いたらしい。でも開かない。
もう自分は本当に死ぬんじゃないかと思って、渾身の力を込めてドアを叩いたら、外からドアが開いた。
私達がドアを開けたらしい。
ちなみに私達は彼女のその渾身の一発以外の音や声は全く聞かなかった。
この話を聞いて、多分彼女は怖くてパニックになっただけなんだろう、と思ったけどそんな目にあったんじゃ辞めるのも無理はないな…と思った。
そしてその時店長が、
「昨日深夜にセコムのセンサーが反応したらしくて、警備員が見に来たんだけど、何もなかったんだって~(笑)」
と言った。
普段だったら
「何か出たんじゃないの~?(笑)」
と笑う所だけど(実際過去に何度か反応したことがあったし)昨日のことがあっただけに、笑えなかった…。
で、今私このバイト辞めてるんだけど、それにはちょっと理由があってね。
新人さんが辞めた2日後のお昼、2階の休憩室で1人休んでたんですが。
そこの灰皿(タバコを吸う人がいないので、その時は小物入れになってた)に見た事のない指輪があった。ちょっと高そうな感じ。
後で店長に聞いてみたら
「ああ、あの指輪ね~、一ヶ月くらい前に店の駐車場に落ちてたのを拾ったの。高そうだし、お客さんの落とし物かもしれないから預かってるんだよ」
一ヶ月前。偶然かもしれないけど、死亡事故が起きた時。中年の女性。指輪。
ひょっとしたらその指輪は亡くなった女性のもので、新人の子が聞いた足音はその女性のものでは。
そう考えてしまったら、何だか怖くなってしまって。
お正月の忙しい時期が終わってから、私もバイトを辞めた。
確かめることも何もできないけど、今でもそのお店は普通に営業しているし、店長も副店長もまだ勤めている。
以上です。長文失礼しました。
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