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都市伝説・・・奇憚・・・blog

都市伝説を中心にホラー、オカルト系の話題をお楽しみください。 メールはyoshizo0@hotmail.co.jpへ ☆☆投稿やまとめて欲しい話題のタレコミなど、情報提供受付中! ☆☆気がつけば1億PV☆☆

赤い浴衣

2007.12.06 (Thu) Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象

私が中学生の頃、登下校に使っていた竹林を通る近道がありました。 
少し薄暗くて少し肌寒い細く狭い小道です。 

ある日その道を歩いて学校に向かっていた時、私はふいに人の気配を感じて後ろを振り向きました。 

そこにはやけに丈の短い赤い浴衣を着たおかっぱの女の子がいて、私の何メートルか後ろを走って横切って行きました。 
浴衣と同じ真っ赤な絞りの帯をしめていたのが印象的でした。 

私は女の子が走って行った場所を見に行ってみましたが、もうそこに女の子の姿はありませんでした。3,4才の子だったので私は 
「あんな小さい子なのに親はそばにいないのかな・・・?」 
と思いましたが、たいして気にもとめず私はそのまま学校に向かいました。 

学校に着いて友人にこの事を話しました。 
女の子の浴衣がとても印象的だったので近くでお祭りでもあるの?と友人に尋ねました。 

すると友人は、




「浴衣着てたって・・・今、2月だよ・・・・?」 


3年程前の出来事でした。 







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エスカレーター

2007.12.06 (Thu) Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象

もうかなり前になるので時効だと思うが、同ネタガイシュツならスマソ。 

 私がビル警備員のバイトをしていた時の話です。 
場所は都内のSデパートですが、当時でも既に一般的な設備は乏しく防火シャッターの開閉は勿論、エスカレーターやエレベーターの設定変更等も、中央管制で管理室から・・・という訳にはいかない処でした。 
 閉館になり、お客さんを導線に誘導し、Sデパート社員を無事に建物から追い出したら、店舗内の異常がないか確認をしながら巡回します。 
 そのデパートは、建物の構造上細長く、警備の巡回ルートもかなりの距離になります。 
 そのせいで、私がI号ES(エスカレーター)の前を巡回したのは、待機所に近いにも関わらず深夜1時頃でした。

 モーターの動く音がするので、防火扉を開けて、中を覗いて見るとI号ESが起動している音でした。 
 私は管理室に無線で確認を取ると、メンテは入っていない、多分ES停止の担当者が停止し忘れたのだろう、とのことです。 
 ESの制動鍵は巡回者全員が所持しているのので、当然、ついでに止めておいて欲しいと連絡を受け、恐らく仮眠室で眠りについている担当者に悪態をつきながら、私はいつものように、鍵を差し込み、停止ボタンを押して、ESを停止・・・停止・・・しませんでした。 

 古い建物です、設備もがたがきていても不思議はありません。 
そういえば、頻繁にI号ESはメンテをしています。 
 私は再び管理室に無線を入れました。 
 担当者は、したくても停止できなかったのではないのか、だとすると管理室に報告が入っているはずです。しかし、帰ってきた答えは、それならば、最初の連絡時に伝える、との事。そりゃそうです。 
止まらないのなら、それは仕方のない事です、私は対応を尋ねました。 
 と、無線のノイズとは別に、なにやら異音が聞こえます。

からかっかっ・・・とクラッチを入れ損ねたような乾いた音。次いで、ごおん、ぐぎょぎょ・・・じゃり、じゃり・・・と濡れた砂利道を踏むような音がします。 
 私は、余りに場所にそぐわない突然のその音に、身動きが取れません。 
後で考えると音の中に、「・・・て・・・て・・・な・・・」と声が聞こえたような気がします。 
 呆然と立ち尽くしていると、突然I号ESは停止しました。 

 しばらくして、正気に返った私は事の次第を、I号ESが怪音を発しながら停止した事を管理室に告げました。 
 すると、整備業者に連絡をとったので、いったん待機室に戻り、着き次第作業の立会いをするように言われました。最悪です。 

 1時間と待たずに業者は到着しました。 
整備業者は、何も言わずI号ESに向かって行きます。 
私は管理室から連絡を受けたのだろうと思い、慌てて後を付いて行く格好になりました。 
 I号ESに着くと、おもむろに業者は整備ハッチを開け、ESの下に潜っていきます。 
私は、黙ってES室から離れた場所に立ち会っていると、ほんの10分もしない内にごうん、ヴィーンと音を立ててESは私に向かって登るように動き出しました。 
 しかしその後待てど暮らせど、業者が出てきません。 
 更に10分ぐらいすると、下の方から人影がESに乗って登って来るのが見えました。 
私は、業者が下のハッチから出たのかと思い、
「ご苦労様です、早かったですね」 
と声をかけました。しかし、確かに人影に見えたのに誰もいません。 
 只、空気が揺らいでESに人が乗っているかのように見えるだけです。 
 私は、突然全身を恐怖に襲われて、動く事が出来ません。 
口をパクパク上下させるだけで、声も出ません。 

 10分ぐらい固まっていたでしょうか、突然無線から応答がありそれを合図に全身の緊張が解け、カラダが動くようになりました。 
 管理室からでした。 
 整備業者が到着したので、早く待機所に戻って来いと怒鳴っています。 
え?・・・。

 後で聞いた話によると、I号ESは、以前整備中にESが動いて、ベルト(足を乗せるところ)巻き込まれて死んだ人がいるそうです。 
 その後も、1人同じように亡くなり、事故が絶えないESだそうで、整備業者の人も、作業を嫌がっていました。 

 時給は良かったのですが、これ以外のことも起き、私はこの仕事を早々に辞めました。 

 拙い文章ですまない。







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倉庫

2007.12.06 (Thu) Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象

この体験は、私が小学生の4~5年生の時の出来事です。 
季節は秋から冬へ替わる時期でした(多分10月から11月にかけてかもしれない)。 

私の母校の近くに倉庫がありまして、その頃は学校の怪談やオカルトチックな話が 好きな友人と一緒に
「期末テストが終わったら、あの倉庫に行かへん?」
と、ちょっとした探険隊ごっこを計画していました。 

そして期末テストが終わり、例の倉庫を探索する日になりました。 
メンバーは私を含め5人です。私達は夜中にうまく家を抜け出して、倉庫の前の広い駐車場に集まりました。友人の話では、その倉庫はオバケが出ると有名な所です。 
私達は恐る恐る中に入りました。

倉庫の中は、案の定真っ暗でカビ臭く、もうすぐ冬だというのにジメジメしています。 
「なんか出そうやなぁ」
と友人はワクワクして言い、私達5人はまず2階に上がろうと思い 
2階へと登る階段を捜していた所、1人が
「ひぃっ!」
と言ってその場に座り込んでしまったのです。私達は
「一体何が起きたんだ!」
と思い、へたれこんでいる友人を見ました。 
そこには単にひび割れた等身大のガラスがあって、私の友人は自分の姿を見てビックリしただけでした(笑) 

早速彼を起こして、2階の階段を捜していた所
「お~い、あったぞ~。」
と友人。 
そして私達は2階に登りはじめました。 

その階段は人1人が通れる位のスペースしかなく、皆1列に列んで登ってゆきます。 

ギィコ...ギィコ...ギィコ...ギィコ...ギィコ... 

階段の床は木の板が貼ってあり、踏むと音が鳴るのです。 

ギィコ...ギィコ...ギィコ...ギィコ...ギィコ... 

階段の踊り場についた時に、シミの漬いた壁には小さな鏡がありまして、懐中電灯の光が反射して皆の姿がうっすらと見えます。 
「あれぇ?5人で来たよなぁ」
と私。 
鏡に写る皆の姿がおかしいのです。しかし、悲しいかな子供と言うのは深く物事を考えないのであります。だが、これがすべての始まりでした。

2階に到着した私達は、念のため点呼を採る事にしました。 
「?山」「はーい」(伏せ字ですんません<(_ _)>) 
「?崎」「はーい」 
「?本」「はーい」 
「野?」「はーい」(と私を入れて計5人) 

「よーし。じゃあ出発!」
ずんずん奥へと進みます。だが皆の足音がなんかおかしいのです。 
正確に表現するのは難しいのですが、例えて言うなら軍隊が行進する様な足音がするのです。 
しかし、その原因不明な足音はかすかに聞こえてくるので、私以外は聞こえていない様子でした。 
それにしてはやけに足音が近くで鳴っているので、怖がりな私はいよいよ怖くなってきました。 
その足音は、我々の後を追いかけている様な気がしたからです。

我々一行は、2階の角部屋に到着しました。男子トイレです。 
「おお~。いかにも出そうなところやな~。どう?1人ずつ入ってみようや」 
野?君が言いました。私達はジャンケンをして、負けた人から順に中の様子を探ってこようという事になりました。1人、2人、3人、、、ついに私の番が来ました。 

キィ~、、、 

中は意外に荒れていなくて拍子抜けしました。長方形の部屋に窓がひとつ。その夜は曇りで、月は雲に隠れていてしんしんとした暗闇が広がっているだけです。懐中電灯の灯りだけが頼りでした。 
その時

ザンザンザンザンザンザン...

例の足音が聞こえてきました。 
その足音は私の周りを廻っています。 

ザンザンザンザンザンザン... 

やっと事の重大さに気付いた私は飛び出る様に男子トイレを後にしました。 

私はこの変な出来事を皆に話しました。話し終えると1階で鏡の自分で驚いた友人が 
「そういえば、なんかわからへんけれども、さっきからジッと誰かに見られてる様な気がして、嫌やねん」との事。彼が言うには、360度からずっと視線を感じていたそうで気が重かったそうです。皆が口々に
「、、、出たか?、、、」
と言うと皆一斉に寒気を感じました。言葉では言い表せないプレッシャーを360度すべてから身体が感じていました。 
その時 

ザンザンザンザンザンザン... 

ザンザンザンザンザンザン... 

ザンザンザンザンザンザン...


顔にまとわり付く様な嫌な空気が、、、 

ザンザンザンザンザンザン... 

今度は皆にも聞こえる様です。 

ザンザンザンザンザンザン... 

友人が
「か、帰ろう」
と言うと、皆もそれに賛同してゆっくりと来た道を引き返す事にしました。出口に向かう間ずっとあの足音は私達の後をついてきます。 
慎重に階段を降り、1階に着きました。そして皆は走って倉庫を後にしました。 
何故か私は走って出口に向かうと背中を引っ張られる様な感覚があり、気味が悪くなって一目散に走り抜けました。

皆無事に出て来たところで倉庫の方を振り向いて見てみました。そこには無数の人影が 2階の窓から私達を見ているのです。 
街灯も殆ど無いというのに、ハッキリと見えました。 
(終わり) 

あの頃の体験は今でもゾっとします(泣) 
私が今も鮮明に覚えている事はその内の一体(1人?)が「にやり」と笑った気がして、、、 







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非常階段

2007.12.06 (Thu) Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象

 数年前、職場で体験した出来事です。 
 そのころ、ぼくの職場はトラブルつづきで、大変に荒れた雰囲気でした。普通では考えられない発注ミスや、工場での人身事故があいつぎ、クレーム処理に追われていました。朝出社して、夜中に退社するまで、電話に向かって頭を下げつづける日々です。当然、ぼくだけでなく、他の同僚のストレスも溜まりまくって 
いました。 

 その日も、事務所のカギを閉めて、廊下に出たときには午前三時を回っていました。O所長とN係長、二人の同僚とぼくをあわせて五人です。みな疲労で青ざめた顔をして、黙りこくっていました。 
 ところが、その日は、さらに気を滅入らせるような出来事が待っていました。 
廊下のエレベーターのボタンをいくら押しても、エレベーターが上がってこないのです。なんでも、その夜だけエレベーターのメンテナンスのために、通電が止められたらしく、ビル管理会社の手違いで、その通知がうちの事務所にだけ来ていなかったのでした。 
 これには、ぼくも含めて、全員が切れました。ドアを叩く、蹴る、怒鳴り声をあげる。まったく大人らしからぬ狼藉のあとで、みんなさらに疲弊してしまい、同僚のSなど、床に座りこむ始末でした。 
「しょうがない、非常階段から、おりよう」 
 O所長が、やがて意を決したように口を開きました。 
 うちのビルは、基本的にエレベーター以外の移動手段がありません。防災の目的でつくられた外付けの非常階段があるにはあるのですが、浮浪者が侵入するのを防ぐため、内部から厳重にカギがかけられ、滅多なことでは開けられることはありません。ぼくもそのとき、はじめて階段につづく扉を開けることになったのです。

 廊下のつきあたり、蛍光灯の明かりも届かない、薄暗さの極まったあたりに、その扉はありました。非常口を表す緑の明かりが、ぼうっと輝いています。 
 オフィス街で働いたことのある方ならおわかりだと思いますが、どんなに雑居ビルが密集して立っているような場所でも、表路地からは見えない、「死角」のような空間があるものです。 
 ビルの壁と壁に囲まれた谷間のようなその場所は、昼間でも薄暗く、街灯の明かりも届かず、鳩と鴉のねどこになっていました。 
 うちの事務所は、ビルの7Fにあります。 
 気乗りしない気分で、ぼくがまず、扉を開きました。 
 重い扉が開いたとたん、なんともいえない異臭が鼻をつき、ぼくは思わず咳き込みました。階段の手すりや、スチールの踊り場が、まるで溶けた蝋のようなもので覆われていました。そしてそこから凄まじくイヤな匂いが立ち上っているのです。 
「鳩の糞だよ、これ……」 
 N女史が泣きそうな声でいいました。ビルの裏側は、鳩の糞で覆い尽くされていました。まともに鼻で呼吸をしていると、肺がつぶされそうです。もはや、暗闇への恐怖も後回しで、ぼくはスチールの階段を降り始めました。 

 すぐ数メートル向こうには隣のビルの壁がある、まさに「谷間」のような場所です。足元が暗いのももちろんですが、手すりが腰のあたりまでの高さしかなく、ものすごく危ない。足を踏み外したら、落ちるならまだしも、壁にはさまって、宙吊りになるかもしれない……。 
 振り返って同僚たちをみると、みんな一様に暗い顔をしていました。 
こんなついていないときに、微笑んでいられるヤツなんていないでしょう。自分も同じ顔をしているのかと思うと、悲しくなりました。 
 かん、かん、かん……。 
 靴底が金属に当たる、乾いた靴音を響かせながら、ぼくたちは階段を下り始めました。

 ぼくが先頭になって階段をおりました。すぐ後ろにN女史、S、O所長、N係長の順番です。 
 足元にまったく光がないだけに、ゆっくりした足取りになりま 
す。みんな疲れきって言葉もないまま、六階の踊り場を過ぎたあ 
たりでした。 
 突然、背後からささやき声が聞こえたのです。 
 唸り声とか、うめき声とか、そんなものではありません。 
よく、映画館なんかで隣の席の知り合いに話し掛けるときに、話 
しかけるときのような、押し殺した小声で、ぼそぼそと誰かが喋 
っている。 
 そのときは、後ろの誰か――所長と係長あたり――が会話して 
いるのかと思いました。ですが、どうも様子がへんなのです。 
 ささやき声は一方的につづき、ぼくらが階段を降りているあい 
だもやむことがありません。ところが、その呟きに対して、誰も 
返事をかえす様子がないのです。そして……その声に耳を傾けて 
いるうちに、ぼくはだんだん背筋が寒くなるような感じになりま 
した。 
 この声をぼくは知っている。係長や所長やSの声ではない。 
 でも、それが誰の声か思い出せないのです。その声の、まるで 
念仏をとなえているかのような一定のリズム。ぼそぼそとした陰 
気な中年男の声。確かに、よく知っている相手のような気がする。 
でも……それは決して、夜の三時に暗い非常階段で会って楽しい 
人物でないことは確かです。ぼくの心臓の鼓動はだんだん早くなっ 
てきました。 
 いちどだけ、足を止めて、うしろを振り返りました。 
 すぐ後ろにいるN女史が、きょとんとした顔をしています。そのすぐ後ろにS。所長と係長の姿は、暗闇にまぎれて見えません。

 ふたたび、階段を下りはじめたぼくは、知らないうちに足をはやめていました。何度か、鳩の糞で足をすべらせ、あわてて手すりにしがみつくという危うい場面もありました。が、とてもあの状況で、のんびり落ち着いていられるものではありません……。 
 五階を過ぎ、四階を過ぎました。そのあたりで……背後から、信じられない物音が聞こえてきたのです。 
 笑い声。 

 さっきの人物の声ではありません。さっきまで一緒にいた、N係長の声なのです。超常現象とか、そういったものではありません。 
 なのに、その笑い声を聞いたとたん、まるでバケツで水をかぶったように、どっと背中に汗が吹き出るのを感じました。 
 N係長は、こわもてで鳴る人物です。すごく弁がたつし、切れ者の営業マンでなる人物なのですが、事務所ではいつもぶすっとしていて、笑った顔なんて見たことがありません。その係長が笑っている。それも……すごくニュアンスが伝えにくいのですが……子供が笑っているような無邪気な笑い声なのです。その合間に、さきほどの中年男が、ぼそぼそと語りかける声が聞こ 
えました。中年男の声はほそぼそとして、陰気で、とても楽しいことを喋っている雰囲気ではありません。なのに、それに答える係長の声は、とても楽しそうなのです。 
 係長の笑い声と、中年男の囁き声がそのとき不意に途切れ、ぼくは思わず足を止めました。 
 笑いを含んだN係長の声が、暗闇の中で異様なほどはっきり聞こえました。 
「所長……」 

 「何?……さっきから、誰と話してるんだ?」 
 所長の声が答えます。その呑気な声に、ぼくは歯噛みしたいほ 
ど悔しい思いをしました。所長は状況をわかっていない。答えて 
はいけない。振り返ってもいけない。強く、そう思ったのです。 
 所長と、N係長はなにごとかぼそぼそと話し合いはじめました。 
 すぐうしろで、N女史がいらだって手すりをカンカンと叩くの 
が、やけにはっきりと聞こえました。彼女もいらだっているので 
しょう、ですが、ぼくと同じような恐怖を感じている雰囲気はあ 
りませんでした。 

 しばらく、ぼくらは階段の真ん中で、立ち止まっていました。 
 そして、震えながらわずかな時間を過ごしたあと、ぼくはいち 
ばん聞きたくない物音を耳にすることになったのです。 
 所長の笑い声。 
 なにか、楽しくて楽しくて仕方のないものを必死でこらえてい 
る、子供のような華やいだ笑い声。 
「なぁ、Sくん……」 
 所長の明るい声が響きます。 
「Nさんも、Tくんも、ちょっと……」 
 Tくんというのはぼくのことです。背後で、N女史が躊躇する 
気配がしました。振り返ってはいけない。警告の言葉は、乾いた 
喉の奥からどうしてもでてきません。 
(振り返っちゃいけない、振り返っちゃいけない……) 
 胸の中でくりかえしながら、ぼくはゆっくりと足を踏み出しま 
した。甲高く響く靴音を、これほど恨めしく思ったことはありま 
せん。背後で、N女史とSが何か相談しあっている気配がありま 
す。もはやそちらに耳を傾ける余裕もなく、ぼくは階段をおりる 
ことに意識を集中しました。

 ぼくの身体は隠しようがないほど震えていました。 
 同僚たちの……そして得体の知れない中年男のささやく声は背後に遠ざかっていきます。四階を通り過ぎました……三階へ……足のすすみは劇的に遅い。もはや、笑う膝をごまかしながら前へすすむことすら、やっとです。 

 三階を通り過ぎ、眼下に、真っ暗な闇の底……地面の気配がありました。ほっとしたぼくは、さらに足をはやめました。同僚たちを気遣う気持ちよりも、恐怖の方が先でした。 
 背後から近づいてくる気配に気づいたのはそのときでした。 
 複数の足音が……四人、五人?……足早に階段を降りてくる。 
 彼らは無口でした。何も言わず、ぼくの背中めがけて、一直線に階段をおりてくる。 
 ぼくは、悲鳴をあげるのをこらえながら、あわてて階段をおり 
ました。階段のつきあたりには、鉄柵で囲われたゴミの持ち出し 
口があり、そこには簡単なナンバー鍵がかかっています。 
 気配は、すぐ真後ろにありました。振り返るのを必死でこらえ 
ながら、ぼくは暗闇の中、わずかな指先の気配を頼りに、鍵をあ 
けようとしました。

 そのときです。 
 背後で、かすかな空気を流れを感じました。 
 すぅぅ……。 
(何の音だろう?) 
 必死で、指先だけで鍵をあけようとしながら、ぼくは音の正体を頭の中でさぐりました(とても背後を振り返る度胸はありませんでした)。 
 空気が、かすかに流れる音。 
 呼吸。 
 背後で、何人かの人間が、いっせいに、息を吸い込んだ。 
 そして……。 
 次の瞬間、ぼくのすぐ耳のうしろで、同僚たちが一斉に息を吐き出しました……思いっきり明るい声とともに! 
「なぁ、T、こっちむけよ! いいもんあるから」 
「楽しいわよ、ね、Tくん、これがね……」 
「Tくん、Tくん、Tくん、Tくん……」 
「なぁ、悪いこといわんて、こっち向いてみ。楽しい」 
「ふふふ……ねぇ、これ、これ、ほら」 
 悲鳴をこらえるのがやっとでした。 
 声は、どれもこれも、耳たぶのうしろ数センチのところから聞こえてきます。なのに、誰もぼくの身体には触ろうとしないのです! ただ言葉だけで……圧倒的に明るい、楽しそうな声だけで、必死でぼくを振り向かせようとするのです。 

 悲鳴が聞こえました。 
 誰が叫んでいるのかとよく耳をすませば、ぼくが叫んでいるのです。背後の声は、だんだんと狂躁的になってきて、ほとんど意味のない、笑い声だけです。 
 そのときてのひらに、がちゃんと何かが落ちてきました。 
 重くて、冷たいものでした。 
 鍵です。ぼくは、知らないうちに鍵をあけていたのでした。 
 うれしいよりも先に、鳥肌のたつような気分でした。やっと出られる。闇の中に手を伸ばし、鉄格子を押します。ここをくぐれば、本の数メートル歩くだけで、表の道に出られる……。 

 一歩、足を踏み出した、そのとき。 
 背後の笑い声がぴたりと止まりました。 
 そして……最初に聞こえた中年男の声が、低い、はっきり通る 
声で、ただ一声。 


         「 お  い 」







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襖の向こう

2007.12.06 (Thu) Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象

僕の親友の小学校時分の話。 

今から二十年も前のある日。 
両親が共働きだった彼は、学校から帰ると一人、居間でテレビを見ていた。 
しばらくすると、玄関の引き戸が開く音がするので母親が帰ってきたと思った彼は、驚かせてやろうと居間の入口の引違い襖のそばにしゃがみ、足音がよく聞こえるようにと襖に耳を押しつけて母親を待ちかまえた。 
足音は玄関をあがり、板敷きの廊下を居間に向かって近づいてきて彼が身を潜める襖の前にきた。 
しかし、その足音は入口まできたものの、襖を開けようとしない。 
おかしいと思った彼は外の様子をうかがおうと、いっそう強く襖に耳を押しつけた。 すると 

……ガリ……ガリ……ガリ…。 

廊下の向こう側からゆっくりと爪で襖をひっかく音がする。 
驚いた彼はしばらくその場で硬直したが意を決して襖を開けると、ものすごい勢いで廊下を玄関に向かって走るハイヒールの音だけがした。 そうだ。 

その後彼は自宅で幾度と無く女の幽霊(?)に悩まされることになる。 







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