都市伝説・・・奇憚・・・blog
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常連客
2019.04.22 (Mon) | Category : 誰も信じない人へ
139:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2008/08/05(火)15:32:39ID:0haOjZE10
学生時代、叔父が経営する小さな小料理屋(居酒屋)で手伝いをした。
常連客で、70代のMさんという真っ白な頭の爺様がいた。
ほぼ毎日、開店の16時くらいから24時くらいまでいる超顧客。
現役時代は物書き系の仕事をしてためか、ちょっとクセがあり、他の常連客は一線を引いていた(挨拶程度のみ)。
3年くらい前に奥さん(子供はいない)が亡くなってから、ほぼ毎日通ってくれているんだそうで、叔父も大切にしていた。
そんなMさんはいつも特等席のカウンター奥で1人でチビチビ飲んでいた。
なんとなくちょっとかわいそうで、俺はわりと話しかけていた。
仲良くなると意外とおもしろく、古く興味深い話なんかも聞けるので、俺はいつのまにか自然と「Mさん担当」みたいな役割になっていた。
Mさんがある日を境に、急に来なくなった。叔父は気にしながらも、
「Mさん、携帯もってないし、自宅番号も知らんから連絡とれない。そういえば、前にも急に来なくなったことあったなあ。なんだか隣に座った客が気に入らないとかが理由だったかな。ちょっと変わった感じの人だから、ほとぼり覚めたらまた来るだろ。病気とかっていう話は聞いてないからだいじょうぶだと思う」
と。
叔父からしても、他の客がいない時間帯の話し相手なので態度にはあまり出さないがかなり気にかけていたようだった。
140:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2008/08/05(火)15:33:14ID:0haOjZE10
ある日の開店直後、叔父に買い物を頼まれたので近所のスーパーへ。
戻ってきたときにチャリを置いてる最中、
「お客さんいるかな」
という感じでなにげに店内をチラっと見てみた。
カウンター奥にMさんの姿がいたので、ああ久々だなと。
しかし店内へ入ったら、叔父しかいなかった。
あれ?と思い、
「叔父さん、Mさん来てないの?」
と。
すると叔父は
「は?まだ誰も来てないよ。なんで?」
と真顔で。
今、外から見えたということを話すと、叔父に、
「誰か通り過ぎた爺さんでも硝子に映って見えたんだろ~」
と言われた。
俺は、
「いやたしかにMさんだった」
とは思ったが、放置。
それから約2週間後の午後。
叔父から
「すぐ店に来い」
と突然の電話。
急いで行くと、開店準備中の店内には叔父と60歳くらいの女性がいた。
誰だこの人?と思ったら、その女性は、Mさんの妹さんだそうな。
時々、1人で暮らすMさんを心配して家に行くそうで、1ヶ月ほど前に家を尋ねたときにMさんが倒れていたとか。
それでMさんはそのまま入院して息を引き取ったと。
その後、妹さんが遺品整理をしていたら日記が出てきて、それを読んでいたら、店で飲んでることばっか書いてたらしい。
それで妹さんが店を探して電話をかけて、挨拶に来たということだった。
日記は少しだけ読ませていただいたが、叔父や俺や、数少ない仲の良い客と何を話して楽しかったとか。
俺のことはけっこう書いてあったので、読んでいて涙が出た。
141:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2008/08/05(火)15:34:01ID:0haOjZE10
その日さすがに店は休んで、チビチビと2人で飲んでいた。
少し前に俺が見たMさんを、
「死ぬ前に来てたのかな」
などと話していた。
酔った叔父は、
「Mさんの特等席は半永久的に使うのやめるか!3年間毎日通った皆勤賞だ!」
と言い出したので賛成した。
そして叔父は「予約席ーRESERVED」のプレートを買ってきて置き始めた。
事情を知っている常連客の人は、その席にリンゴを持ってきたりしていた。
以後、叔父の店には不思議なことがたまにある。
叔父が大好きな演歌歌手や大好きな元プロ野球選手が突然訪れた。
急に雑誌で
「飲み屋だが飯が激ウマ」
と紹介されたこともあり、それが原因で客足が増え、昼間の営業を再開することとなった。
(以前、昼営業をやった時期があったが、客入りが悪くてやめた)
最近、俺が客として久々顔を出したときのこと。
若い、子供連れの新しい常連客らしいご夫婦がいた。
まだ4歳くらいの娘さんがカウンターの奥を指さして突然、
「そこに頭の白いおじさんがいるよ!」
と言い出した。
母親があわてて
「すいませんこの子時々へんなこと言うんです」
と苦笑いで謝っていたら、叔父が
「どんな人なの?」
と聞いた。
小さい子は
「頭が白くてね、こっち見て笑ってるよ」
と言った。
叔父と俺は目を合わせた。俺は鳥肌がたったが、怖くはなかった。
叔父は
「頭真っ白っていったらMさんしかいないよな!今そこか、へへへ」
と。
すると一瞬、店内の薄暗くしてある電気がブワーっと光が強く、明るくなり、すぐにまた薄暗くなった。
叔父は嬉しいんだか怖いのを隠しているのかわからんけどひたすら
「んへへ、へへっ」
とだけ笑っていた。
それから叔父は店の片隅に、店内で撮ったMさんの写真をさりげなく置き、
開店前には手を合わせて
「今日もよろしく」
と言っています。
143:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2008/08/05(火)16:23:08ID:PpHSr96q0
たとえ作り話でも、ええ話や~
145:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2008/08/05(火)16:56:45ID:uODaJi6L0
いい話だった
死後、守り神になったみたいだな
146:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2008/08/05(火)18:48:41ID:/Iv1PooDO
いい話だね。
147:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2008/08/05(火)20:33:39ID:No1gAaWx0
ちょっと泣けたぞ。乙(つд∩)
152:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2008/08/05(火)22:31:10ID:/6Ycrqdt0
>>139-141
座敷童みたいなお爺さんさんだなw
ええ話を有難う
176:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2008/08/06(水)20:24:21ID:C4R3ZUJW0
>>139-141
いい話だな~。そういう体験もしてみたい・・・。
引用元:不可解な体験、謎な話~enigma~Part46
https://www.logsoku.com/r/2ch.net/occult/1216822187/139-176
.
学生時代、叔父が経営する小さな小料理屋(居酒屋)で手伝いをした。
常連客で、70代のMさんという真っ白な頭の爺様がいた。
ほぼ毎日、開店の16時くらいから24時くらいまでいる超顧客。
現役時代は物書き系の仕事をしてためか、ちょっとクセがあり、他の常連客は一線を引いていた(挨拶程度のみ)。
3年くらい前に奥さん(子供はいない)が亡くなってから、ほぼ毎日通ってくれているんだそうで、叔父も大切にしていた。
そんなMさんはいつも特等席のカウンター奥で1人でチビチビ飲んでいた。
なんとなくちょっとかわいそうで、俺はわりと話しかけていた。
仲良くなると意外とおもしろく、古く興味深い話なんかも聞けるので、俺はいつのまにか自然と「Mさん担当」みたいな役割になっていた。
Mさんがある日を境に、急に来なくなった。叔父は気にしながらも、
「Mさん、携帯もってないし、自宅番号も知らんから連絡とれない。そういえば、前にも急に来なくなったことあったなあ。なんだか隣に座った客が気に入らないとかが理由だったかな。ちょっと変わった感じの人だから、ほとぼり覚めたらまた来るだろ。病気とかっていう話は聞いてないからだいじょうぶだと思う」
と。
叔父からしても、他の客がいない時間帯の話し相手なので態度にはあまり出さないがかなり気にかけていたようだった。
140:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2008/08/05(火)15:33:14ID:0haOjZE10
ある日の開店直後、叔父に買い物を頼まれたので近所のスーパーへ。
戻ってきたときにチャリを置いてる最中、
「お客さんいるかな」
という感じでなにげに店内をチラっと見てみた。
カウンター奥にMさんの姿がいたので、ああ久々だなと。
しかし店内へ入ったら、叔父しかいなかった。
あれ?と思い、
「叔父さん、Mさん来てないの?」
と。
すると叔父は
「は?まだ誰も来てないよ。なんで?」
と真顔で。
今、外から見えたということを話すと、叔父に、
「誰か通り過ぎた爺さんでも硝子に映って見えたんだろ~」
と言われた。
俺は、
「いやたしかにMさんだった」
とは思ったが、放置。
それから約2週間後の午後。
叔父から
「すぐ店に来い」
と突然の電話。
急いで行くと、開店準備中の店内には叔父と60歳くらいの女性がいた。
誰だこの人?と思ったら、その女性は、Mさんの妹さんだそうな。
時々、1人で暮らすMさんを心配して家に行くそうで、1ヶ月ほど前に家を尋ねたときにMさんが倒れていたとか。
それでMさんはそのまま入院して息を引き取ったと。
その後、妹さんが遺品整理をしていたら日記が出てきて、それを読んでいたら、店で飲んでることばっか書いてたらしい。
それで妹さんが店を探して電話をかけて、挨拶に来たということだった。
日記は少しだけ読ませていただいたが、叔父や俺や、数少ない仲の良い客と何を話して楽しかったとか。
俺のことはけっこう書いてあったので、読んでいて涙が出た。
141:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2008/08/05(火)15:34:01ID:0haOjZE10
その日さすがに店は休んで、チビチビと2人で飲んでいた。
少し前に俺が見たMさんを、
「死ぬ前に来てたのかな」
などと話していた。
酔った叔父は、
「Mさんの特等席は半永久的に使うのやめるか!3年間毎日通った皆勤賞だ!」
と言い出したので賛成した。
そして叔父は「予約席ーRESERVED」のプレートを買ってきて置き始めた。
事情を知っている常連客の人は、その席にリンゴを持ってきたりしていた。
以後、叔父の店には不思議なことがたまにある。
叔父が大好きな演歌歌手や大好きな元プロ野球選手が突然訪れた。
急に雑誌で
「飲み屋だが飯が激ウマ」
と紹介されたこともあり、それが原因で客足が増え、昼間の営業を再開することとなった。
(以前、昼営業をやった時期があったが、客入りが悪くてやめた)
最近、俺が客として久々顔を出したときのこと。
若い、子供連れの新しい常連客らしいご夫婦がいた。
まだ4歳くらいの娘さんがカウンターの奥を指さして突然、
「そこに頭の白いおじさんがいるよ!」
と言い出した。
母親があわてて
「すいませんこの子時々へんなこと言うんです」
と苦笑いで謝っていたら、叔父が
「どんな人なの?」
と聞いた。
小さい子は
「頭が白くてね、こっち見て笑ってるよ」
と言った。
叔父と俺は目を合わせた。俺は鳥肌がたったが、怖くはなかった。
叔父は
「頭真っ白っていったらMさんしかいないよな!今そこか、へへへ」
と。
すると一瞬、店内の薄暗くしてある電気がブワーっと光が強く、明るくなり、すぐにまた薄暗くなった。
叔父は嬉しいんだか怖いのを隠しているのかわからんけどひたすら
「んへへ、へへっ」
とだけ笑っていた。
それから叔父は店の片隅に、店内で撮ったMさんの写真をさりげなく置き、
開店前には手を合わせて
「今日もよろしく」
と言っています。
143:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2008/08/05(火)16:23:08ID:PpHSr96q0
たとえ作り話でも、ええ話や~
145:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2008/08/05(火)16:56:45ID:uODaJi6L0
いい話だった
死後、守り神になったみたいだな
146:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2008/08/05(火)18:48:41ID:/Iv1PooDO
いい話だね。
147:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2008/08/05(火)20:33:39ID:No1gAaWx0
ちょっと泣けたぞ。乙(つд∩)
152:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2008/08/05(火)22:31:10ID:/6Ycrqdt0
>>139-141
座敷童みたいなお爺さんさんだなw
ええ話を有難う
176:本当にあった怖い名無し[]投稿日:2008/08/06(水)20:24:21ID:C4R3ZUJW0
>>139-141
いい話だな~。そういう体験もしてみたい・・・。
引用元:不可解な体験、謎な話~enigma~Part46
https://www.logsoku.com/r/2ch.net/occult/1216822187/139-176
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痴呆老人の徘徊かと思ったら
2019.04.19 (Fri) | Category : 誰も信じない人へ
987:本当にあった怖い名無し:2008/07/29(火)23:51:25ID:6H5bzBq20
高校3年の夏休み。すでに進路が決まっていた。
ちょうど父が長期出張中ということもあり、なんだかんだでほぼ毎日、夜中に遊びに出かけていた。
遊ぶといっても友達が集まってだらだらするだけだが、母はもちろん心配していた。
家では小言三昧。
ある日、晩飯時に年上の友達から電話がきた(携帯が普及してない時代)。
友達は
「バイト終わったら数名でカラオケ行くからおまえも来いよ」
と。
電話を切ると母が
「あんた、今日もまた夜出かけるの?こっちは心配して寝れないことだってあるんだから!」
と。
母は時折ヒステリックになる人なので、俺は、
「あー、ヒステリー嫌だ嫌だ」
みたいな感じで無視。自室へこもった。
24時。母の部屋の電気が消えているのを確認して、こっそり玄関へ向かった。
うちは古い家で、当時の玄関は木に硝子がはめ込まれているだけなんだけど、暗い中でサンダルを探していたら、玄関の向こうに誰かがいるのが見えた。
「え?こんな時間に誰?」
と思ってよく見ると、背の低い老人男性だった。
「まさか近所のボケたじいさんでも夜中に徘徊してるのか?」
と思ったが、俺が外へ出て対応すると、母が起きてくるだろうと考えたので、とりあえず玄関に腰を降ろしてちょっと様子を見てみることにした。
988:本当にあった怖い名無し:2008/07/29(火)23:53:28ID:6H5bzBq20
座りながらサンダルへ手を伸ばした時、ちょっとだけ目を離した。
次の瞬間、老人男性はいなくなっていた。ものの2.3秒で。
「ん?こええなー。徘徊老人だろあれ」
と思いながらサンダルを履いた。
そこから立ち上がろうとしたら、目の前にその老人が立っていた。
なんともいえない表情で俺のことをじっと見ている。
怖い感じではなく、どちらかというと油すましみたいな。
そこで俺は
「ひゃっ!」
みたいな感じでスッ転んでしまった。
もしかしたら声すら出ていなかったかもしれない。
転んでからまた老人を見たら、もうそこにはいなかった。
俺は玄関から、もちろん脱兎のごとく逃げ出した。
結局朝まで部屋から出ることはなかった。いつの間にか寝ていた。
朝、母が俺の部屋を換気しようといきなり入ってきて目が覚めた。
「あれ!あんたいたの?夜遊びは中止にでもなったの?」
と。
それで
「やべえ、電話してねえや俺」
と気がつき、1人暮らしの友達宅へ電話をした。何回かかけたが出る事はなかった。
その日は1人で玄関を通る気にはなれず、しかも家に1人ってのも嫌だったので、ひさしぶりに母と買い物へ出かけることにした。
母は
「いつも荷物持ちしてくれたらラクだわ~」
とか言ってたが俺の頭の中は
「あのじいさんは何?」
でいっぱいだった。
買い物から戻った頃、電話が一本かかってきた。
友達の、そのまた友達から。
一度だけ面識があったので、何の用だろうかと。
すると、昨夜約束していた友達は朝方、繁華街でチンピラみたいなのに絡まれて喧嘩になってしまい、結局病院送りにされてしまったとか。
それを聞いて、
「あのじいさんのおかげで助かったのか俺?」
と。
友達は1週間弱で退院したんだが、なんとなくそれきり疎遠になった。
俺は夜中に出かけるのを自重するようにした。いろいろと怖い。
989:本当にあった怖い名無し:2008/07/29(火)23:54:21ID:6H5bzBq20
それからちょっとしてお盆時期になった。
暇をもてあましているので母の実家へ行くことにした。
小5から高3の夏休み直前まで部活で忙しかったので、母の実家へ行くことは7年ぶりくらいだった。
すごい田舎の母の実家へ到着して、懐かしくて家の中を回った。
田舎だから座敷が広い。3つ連なりなんだけど、そのうちの1つに仏壇がある。
そこの部屋のふすまの上には、親族の写真が額縁で飾ってあった。
「あー懐かしいなこれ。見た記憶あるわ」
と思いながら眺めていたら、その中に、あの老人男性がいた。鳥肌がたった。
母を急いで呼んできて、
「ちょっと!この人は誰?」
と聞くと、
「私のおじいちゃんだよ。あんたのひいおじいちゃん。私おじいちゃん大好きだったのよ~」
と。
一瞬で嫌な汗がぶわーっと出たんだけど、それでわかった。
ああ、ひいじいちゃんは俺を守ってくれたんだ、と。
その夜、玄関での出来事を母に話したら、母は、
「あんたを守ったんじゃなくて、私を大事に思ってるのよ。あんたが私の言うこと聞かないから怒りに出てきたのよ~」
と。
まあどちらでもいいんだけど、以後はなるべく母の実家へちょくちょく行って、写真に挨拶するようにしています。
終わり
引用元:不可解な体験、謎な話~enigma~Part45
https://hobby11.5ch.net/test/read.cgi/occult/1213858874/987-989
.
高校3年の夏休み。すでに進路が決まっていた。
ちょうど父が長期出張中ということもあり、なんだかんだでほぼ毎日、夜中に遊びに出かけていた。
遊ぶといっても友達が集まってだらだらするだけだが、母はもちろん心配していた。
家では小言三昧。
ある日、晩飯時に年上の友達から電話がきた(携帯が普及してない時代)。
友達は
「バイト終わったら数名でカラオケ行くからおまえも来いよ」
と。
電話を切ると母が
「あんた、今日もまた夜出かけるの?こっちは心配して寝れないことだってあるんだから!」
と。
母は時折ヒステリックになる人なので、俺は、
「あー、ヒステリー嫌だ嫌だ」
みたいな感じで無視。自室へこもった。
24時。母の部屋の電気が消えているのを確認して、こっそり玄関へ向かった。
うちは古い家で、当時の玄関は木に硝子がはめ込まれているだけなんだけど、暗い中でサンダルを探していたら、玄関の向こうに誰かがいるのが見えた。
「え?こんな時間に誰?」
と思ってよく見ると、背の低い老人男性だった。
「まさか近所のボケたじいさんでも夜中に徘徊してるのか?」
と思ったが、俺が外へ出て対応すると、母が起きてくるだろうと考えたので、とりあえず玄関に腰を降ろしてちょっと様子を見てみることにした。
988:本当にあった怖い名無し:2008/07/29(火)23:53:28ID:6H5bzBq20
座りながらサンダルへ手を伸ばした時、ちょっとだけ目を離した。
次の瞬間、老人男性はいなくなっていた。ものの2.3秒で。
「ん?こええなー。徘徊老人だろあれ」
と思いながらサンダルを履いた。
そこから立ち上がろうとしたら、目の前にその老人が立っていた。
なんともいえない表情で俺のことをじっと見ている。
怖い感じではなく、どちらかというと油すましみたいな。
そこで俺は
「ひゃっ!」
みたいな感じでスッ転んでしまった。
もしかしたら声すら出ていなかったかもしれない。
転んでからまた老人を見たら、もうそこにはいなかった。
俺は玄関から、もちろん脱兎のごとく逃げ出した。
結局朝まで部屋から出ることはなかった。いつの間にか寝ていた。
朝、母が俺の部屋を換気しようといきなり入ってきて目が覚めた。
「あれ!あんたいたの?夜遊びは中止にでもなったの?」
と。
それで
「やべえ、電話してねえや俺」
と気がつき、1人暮らしの友達宅へ電話をした。何回かかけたが出る事はなかった。
その日は1人で玄関を通る気にはなれず、しかも家に1人ってのも嫌だったので、ひさしぶりに母と買い物へ出かけることにした。
母は
「いつも荷物持ちしてくれたらラクだわ~」
とか言ってたが俺の頭の中は
「あのじいさんは何?」
でいっぱいだった。
買い物から戻った頃、電話が一本かかってきた。
友達の、そのまた友達から。
一度だけ面識があったので、何の用だろうかと。
すると、昨夜約束していた友達は朝方、繁華街でチンピラみたいなのに絡まれて喧嘩になってしまい、結局病院送りにされてしまったとか。
それを聞いて、
「あのじいさんのおかげで助かったのか俺?」
と。
友達は1週間弱で退院したんだが、なんとなくそれきり疎遠になった。
俺は夜中に出かけるのを自重するようにした。いろいろと怖い。
989:本当にあった怖い名無し:2008/07/29(火)23:54:21ID:6H5bzBq20
それからちょっとしてお盆時期になった。
暇をもてあましているので母の実家へ行くことにした。
小5から高3の夏休み直前まで部活で忙しかったので、母の実家へ行くことは7年ぶりくらいだった。
すごい田舎の母の実家へ到着して、懐かしくて家の中を回った。
田舎だから座敷が広い。3つ連なりなんだけど、そのうちの1つに仏壇がある。
そこの部屋のふすまの上には、親族の写真が額縁で飾ってあった。
「あー懐かしいなこれ。見た記憶あるわ」
と思いながら眺めていたら、その中に、あの老人男性がいた。鳥肌がたった。
母を急いで呼んできて、
「ちょっと!この人は誰?」
と聞くと、
「私のおじいちゃんだよ。あんたのひいおじいちゃん。私おじいちゃん大好きだったのよ~」
と。
一瞬で嫌な汗がぶわーっと出たんだけど、それでわかった。
ああ、ひいじいちゃんは俺を守ってくれたんだ、と。
その夜、玄関での出来事を母に話したら、母は、
「あんたを守ったんじゃなくて、私を大事に思ってるのよ。あんたが私の言うこと聞かないから怒りに出てきたのよ~」
と。
まあどちらでもいいんだけど、以後はなるべく母の実家へちょくちょく行って、写真に挨拶するようにしています。
終わり
引用元:不可解な体験、謎な話~enigma~Part45
https://hobby11.5ch.net/test/read.cgi/occult/1213858874/987-989
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駅前を歩いてたら、すごく変なナンパをされて人生が完成した話
2019.04.10 (Wed) | Category : 誰も信じない人へ
676:本当にあった怖い名無し:2019/03/23(土)16:28:10.39ID:zzIxWD7h0.net
駅前を歩いてたら、すごく変なナンパをされて人生が完成した話する。
妻との馴れ初めなんだが、多分このスレの趣旨に合ってる話だと思う。
長いから、飽きたら読み飛ばしてくれ。
俺は小さい頃、一年に一度くらいの頻度で同じ夢を見ることがあった。
中学生くらいまで繰り返し見たので覚えてしまったのだが、シロツメクサみたいのがところどころ咲いてる野原みたいな場所を、ちょんちょんと左右の三つ編みにした幼女が走り回ってる、ていう夢。
この夢を見るときは、なぜか分からないけど、今まで感じたことのないような種類の幸福感を感じられて、密かに見るのが楽しみだった。
677:本当にあった怖い名無し:2019/03/23(土)16:28:43.30ID:zzIxWD7h0.net
高校生くらいから見なくなって、そんなこともすっかり忘れ社会人になったんだが、休日に本屋へ寄った帰りに、すいません、と女性から肩を叩かれた。
えっ俺?と思いヘッドフォンを片耳だけ外して、はい?と返すと、神妙な顔で
「私と、どこかで会いませんでしたか?」
と聞かれた。
あれ、知人か!?と思いまじまじと顔を見てみたが、全然思い出せない。
なんだ?と思いつつ
「いや、多分人違いです……」
と半笑いで答えたが、女性は気まずそうに
「そっか、そうですよね……すいません」
と俯いた後、急にバッと顔を上げ、
「あの!一目惚れしたんですけど!付き合ってくれませんか!?」
と言ってきた。
そこでやっと、あっこれナンパか!と気付いた。
全くモテなかった俺は、リアルに女性から告白されたという事実に舞い上がりまくり、
「あっどーも……w」
とかちょっとかっこつけながらペコペコして、女性も笑いながら
「それじゃ連絡先教えてもらっていいですか?」
と携帯を出してきて、その日以来連絡を取るようになった。
678:本当にあった怖い名無し:2019/03/23(土)16:29:27.13ID:zzIxWD7h0.net
俺は友人達に
「なんか~ナンパされて~彼女出来たw」
と自慢しまくって調子に乗ったが、彼女の方は、なぜかデートしてても連絡取ってても無理してるというか、思い詰めてる感じで、はじめは緊張してるのかな?とか思っていたが、だんだんと、え?俺もしかして好かれてなくね?
でも告白されたよな?あれ?となっていった。
それでも、なんだかんだ言いつつ3が月くらいが経ち、今度二人でドライブに行こうかという話になった。
車、という単語を出した瞬間、彼女の顔が能面みたいになって、えっ?と思ったけど、すぐ笑って
「ドライブいいね!行きたい」
と言うので、なんだろ?と思いつつ出掛けることにした。
当日彼女に会うと、めちゃめちゃでかいリュックみたいの背負ってきて吹き出した。
「ちょw遠足じゃないんだからw」
と笑いつつ、わりと田舎だったので、結構な距離をドライブして、普段より都心の方へ出てみたりして遊んだ。
その日の彼女はすごくキラキラして見えた。
やっぱ地味な地元より都心の方が楽しいよな、来て良かったと思った。
ドライブ時間が長かったので、彼女が作ってきてくれたおにぎりとかサンドイッチとか食べて、車内で二人きりで色んな話して、俺もすごく嬉しくて、楽しかった。
それ以来、ときどきドライブデートするようになり、彼女も毎回色んな物作ってきてくれたりして、心の距離も縮まった気がした。
679:本当にあった怖い名無し:2019/03/23(土)16:30:09.27ID:zzIxWD7h0.net
ある日、いつも通り彼女の家の前で彼女を乗せて車を出したとき、彼女が助手席に座るなり、
「今日だね、多分」
と言い出した。
「えっ、何が?」
と聞いたら、
「え?私何か言った?」
と笑われ、ちょっと怖かったが、今日行く場所の確認とか話し合ってたらすっかりいつものノリになり、普通にデートを終え、夕方過ぎに帰路についた。
季節は冬で、あたりは山道なのもあってもう暗く、明日は氷点下になるらしーね~やべ~wとか話しつつ車を走らせていた。
しばらくすると、なんとなく、彼女の声のトーンが固くなってる気がした。
チラッと顔を見ると、なんだか目が据わっていた。
「どうした?平気?寒い?」
と聞くと
「うん大丈夫」
と答え、そこからあまり話さなくなった。
俺は彼女を怒らせるようなことを言ったかな、と考えつつ、山道のカーブを曲がった。
車体がスーとカーブの外側にずれたかと思うと、遠心力でその勢いのまま、部分的に無くなっていたガードレールの隙間から、すぽーんと落っこちた。
ガガンガガー!みたいな爆音のあと意識が飛んで、彼女に揺すられて目を覚ました。
車はシューと音がしていてよくわからないことになってて、頭が痛いわ目がよく見えないわ、服が濡れてるわで呆然とした。
ふと、彼女が心配になり振り返って、ぎょっとした。
彼女は無傷なのかピンピンしていて(実際は怪我してた)淡々といつものでかいリュックからガーゼや包帯などを出して、信じられない手際の良さで、俺の頭にテキパキ巻きはじめた。
気付かなかったが、俺の頭はぱっくり割れてて、血で服が濡れていたらしかった。
その後、すぐ彼女は携帯で助けを呼び(俺の携帯は圏外だった)、予報通り氷点下の寒さだったので、リュックに入ってたホッカイロとかを俺の身体に貼り、抱き合って身体を温めあった。
血が出ていったせいか、凄まじい寒さを感じ、恐怖で死を覚悟した。
こんな状況にも関わらず、彼女は落ち着き払っていて、なぜか
「絶対守るからね」
と俺に言った。
俺は不思議な気持ちになった。
680:本当にあった怖い名無し:2019/03/23(土)16:31:02.88ID:zzIxWD7h0.net
しばらくすると、遠くからサイレンの音が聞こえはじめ、二人揃って保護された。
病院で手当を受け、彼女にあの手際の良さはなんだったのか聞くと、突然泣き出して
「私、知ってた。」
と信じられない話をし始めた。
わかりにくいので、ここからは彼女の話を要約してまとめる。
・小さい頃から、知らない男の人が夜の山道で事故って死ぬ夢を繰り返し見ていた。
・あまりに繰り返し見るので、そのうち、なんとかして助けられないか?と思うようになった。
・助けたいと思っているうちに、なぜか俯瞰ではなく助手席からの視点で夢を見るようになった。
・どんなふうに事故が起き、どこを怪我して、何が原因で死ぬのかまで繰り返し見て把握していたので、助手席目線で夢を見られるようになってからは、男が死なないよう(夢の中で)必要な道具を揃えるようになった。
・そのうち男は助かるのが当たり前になり、まじまじとこちらを見てくるようになった。
初めて俺を見かけたときは、あまりの衝撃で全身から脂汗が吹き出て、吐き気がしたらしい。
当然だよな。
定期的に夢に出てくる男と現実で出会ったら、怖いに決まってる。
はじめて声をかけてきてくれたあの日は、一大決心をして声をかけたそうだ。
本当にただの偶然ならそれまでだけど、もし夢が当たっていたら、ここで声をかけなかったことを私は一生後悔する、と。
681:本当にあった怖い名無し:2019/03/23(土)16:31:31.32ID:zzIxWD7h0.net
正直、全っ然タイプじゃなかったが、友達になって下さいじゃ気味悪がられて終わりそうだけど、一目惚れですと言えばそれらしく聞こえるし、親しくなればいつかあの場面にめぐり合うはずだから、せめてそれまでは、と思って付き合った、と言われた。
俺はそれを聞いて、号泣した。
最初、彼女が無理してる感じだったことの理由もわかった。
信じられない話だったし、頭打ったせいで俺の頭がおかしくなっているんじゃないか?
むしろそうであってくれ!とさえ思った。
正直、命が助かった喜びよりも、彼女が俺から離れていくだろうことの方に絶望した。
俺が号泣しながら、
「それは、別れようってこと?」
と聞くと、
「○○君はどうしたい?」
と聞かれたので、
「俺は絶対別れたくない。もう本気で好きになった後だから」
と答えた。
このとき俺は、なぜか、絶対に彼女と別れてはいけないという予感がしていた。
当時は、キモブサ低スペックの俺がこんないい彼女を逃したら次なんてない!的な焦りだと思っていたけど、たぶん別れちゃいけない理由を、心のどこかで確信していたんだと思う。
それを聞いた彼女は
「私も好きになった。これからも宜しく」
と笑った。
682:本当にあった怖い名無し:2019/03/23(土)16:31:59.16ID:zzIxWD7h0.net
それからさらに半年くらい後なので、付き合って約一年で結婚した。
結婚して二年後には子供が産まれた。
ある晴れた日に、今では妻になった彼女お得意のお弁当をもってピクニックに出掛けた。
2歳になった娘は大はしゃぎで、ピクニックシートを用意している間も走り回って、笑って危ないよと手を伸ばそうとした瞬間、雷が落ちたような衝撃を受けた。
妻に左右の三つ編みにしてもらった娘が駆け回るこの光景は、俺が子供の頃繰り返し見ていた、あの夢の光景だったのだ。
全てのことが、パズルのピースをはめ込むように辻褄が合っていく感覚がした。
彼女が俺を助ける夢を見たのは、俺が彼女と絶対に別れちゃいけないとあんなに感じたのは、この子のためだったのでは?と。
あの夢を見て感じた言葉で言い表せない幸福感、当時の俺にはわかるはずもない、あれは、幼い娘をもった父親の幸福感だ。
今初めて味わうはずの親としての幸せに、懐かしさを感じるという矛盾。
俺の人生は、こうなる運命だったのだと、今なら思う。
以上、ほんのり怖い、俺と妻の馴れ初め話終わり。
長文読んでくれた人、ありがとう。
685:本当にあった怖い名無し:2019/03/23(土)19:07:35.16ID:fSSQ0i8W0.net
夢の話はほかでどうぞ
686:本当にあった怖い名無し:2019/03/23(土)20:00:15.75ID:5AGWju7Z0.net
>>682
テンプレみたいな話で先が読めたけど読みやすかったよ
ありがとう
687:本当にあった怖い名無し:2019/03/23(土)20:12:33.81ID:JWXFq5Oj0.net
>>682
ちゃんと読めたよありがとね
恐い話じゃなくて不思議な話しだね
引用元:ほんのりと怖い話スレ 134
http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1549521242/676-687
.
駅前を歩いてたら、すごく変なナンパをされて人生が完成した話する。
妻との馴れ初めなんだが、多分このスレの趣旨に合ってる話だと思う。
長いから、飽きたら読み飛ばしてくれ。
俺は小さい頃、一年に一度くらいの頻度で同じ夢を見ることがあった。
中学生くらいまで繰り返し見たので覚えてしまったのだが、シロツメクサみたいのがところどころ咲いてる野原みたいな場所を、ちょんちょんと左右の三つ編みにした幼女が走り回ってる、ていう夢。
この夢を見るときは、なぜか分からないけど、今まで感じたことのないような種類の幸福感を感じられて、密かに見るのが楽しみだった。
677:本当にあった怖い名無し:2019/03/23(土)16:28:43.30ID:zzIxWD7h0.net
高校生くらいから見なくなって、そんなこともすっかり忘れ社会人になったんだが、休日に本屋へ寄った帰りに、すいません、と女性から肩を叩かれた。
えっ俺?と思いヘッドフォンを片耳だけ外して、はい?と返すと、神妙な顔で
「私と、どこかで会いませんでしたか?」
と聞かれた。
あれ、知人か!?と思いまじまじと顔を見てみたが、全然思い出せない。
なんだ?と思いつつ
「いや、多分人違いです……」
と半笑いで答えたが、女性は気まずそうに
「そっか、そうですよね……すいません」
と俯いた後、急にバッと顔を上げ、
「あの!一目惚れしたんですけど!付き合ってくれませんか!?」
と言ってきた。
そこでやっと、あっこれナンパか!と気付いた。
全くモテなかった俺は、リアルに女性から告白されたという事実に舞い上がりまくり、
「あっどーも……w」
とかちょっとかっこつけながらペコペコして、女性も笑いながら
「それじゃ連絡先教えてもらっていいですか?」
と携帯を出してきて、その日以来連絡を取るようになった。
678:本当にあった怖い名無し:2019/03/23(土)16:29:27.13ID:zzIxWD7h0.net
俺は友人達に
「なんか~ナンパされて~彼女出来たw」
と自慢しまくって調子に乗ったが、彼女の方は、なぜかデートしてても連絡取ってても無理してるというか、思い詰めてる感じで、はじめは緊張してるのかな?とか思っていたが、だんだんと、え?俺もしかして好かれてなくね?
でも告白されたよな?あれ?となっていった。
それでも、なんだかんだ言いつつ3が月くらいが経ち、今度二人でドライブに行こうかという話になった。
車、という単語を出した瞬間、彼女の顔が能面みたいになって、えっ?と思ったけど、すぐ笑って
「ドライブいいね!行きたい」
と言うので、なんだろ?と思いつつ出掛けることにした。
当日彼女に会うと、めちゃめちゃでかいリュックみたいの背負ってきて吹き出した。
「ちょw遠足じゃないんだからw」
と笑いつつ、わりと田舎だったので、結構な距離をドライブして、普段より都心の方へ出てみたりして遊んだ。
その日の彼女はすごくキラキラして見えた。
やっぱ地味な地元より都心の方が楽しいよな、来て良かったと思った。
ドライブ時間が長かったので、彼女が作ってきてくれたおにぎりとかサンドイッチとか食べて、車内で二人きりで色んな話して、俺もすごく嬉しくて、楽しかった。
それ以来、ときどきドライブデートするようになり、彼女も毎回色んな物作ってきてくれたりして、心の距離も縮まった気がした。
679:本当にあった怖い名無し:2019/03/23(土)16:30:09.27ID:zzIxWD7h0.net
ある日、いつも通り彼女の家の前で彼女を乗せて車を出したとき、彼女が助手席に座るなり、
「今日だね、多分」
と言い出した。
「えっ、何が?」
と聞いたら、
「え?私何か言った?」
と笑われ、ちょっと怖かったが、今日行く場所の確認とか話し合ってたらすっかりいつものノリになり、普通にデートを終え、夕方過ぎに帰路についた。
季節は冬で、あたりは山道なのもあってもう暗く、明日は氷点下になるらしーね~やべ~wとか話しつつ車を走らせていた。
しばらくすると、なんとなく、彼女の声のトーンが固くなってる気がした。
チラッと顔を見ると、なんだか目が据わっていた。
「どうした?平気?寒い?」
と聞くと
「うん大丈夫」
と答え、そこからあまり話さなくなった。
俺は彼女を怒らせるようなことを言ったかな、と考えつつ、山道のカーブを曲がった。
車体がスーとカーブの外側にずれたかと思うと、遠心力でその勢いのまま、部分的に無くなっていたガードレールの隙間から、すぽーんと落っこちた。
ガガンガガー!みたいな爆音のあと意識が飛んで、彼女に揺すられて目を覚ました。
車はシューと音がしていてよくわからないことになってて、頭が痛いわ目がよく見えないわ、服が濡れてるわで呆然とした。
ふと、彼女が心配になり振り返って、ぎょっとした。
彼女は無傷なのかピンピンしていて(実際は怪我してた)淡々といつものでかいリュックからガーゼや包帯などを出して、信じられない手際の良さで、俺の頭にテキパキ巻きはじめた。
気付かなかったが、俺の頭はぱっくり割れてて、血で服が濡れていたらしかった。
その後、すぐ彼女は携帯で助けを呼び(俺の携帯は圏外だった)、予報通り氷点下の寒さだったので、リュックに入ってたホッカイロとかを俺の身体に貼り、抱き合って身体を温めあった。
血が出ていったせいか、凄まじい寒さを感じ、恐怖で死を覚悟した。
こんな状況にも関わらず、彼女は落ち着き払っていて、なぜか
「絶対守るからね」
と俺に言った。
俺は不思議な気持ちになった。
680:本当にあった怖い名無し:2019/03/23(土)16:31:02.88ID:zzIxWD7h0.net
しばらくすると、遠くからサイレンの音が聞こえはじめ、二人揃って保護された。
病院で手当を受け、彼女にあの手際の良さはなんだったのか聞くと、突然泣き出して
「私、知ってた。」
と信じられない話をし始めた。
わかりにくいので、ここからは彼女の話を要約してまとめる。
・小さい頃から、知らない男の人が夜の山道で事故って死ぬ夢を繰り返し見ていた。
・あまりに繰り返し見るので、そのうち、なんとかして助けられないか?と思うようになった。
・助けたいと思っているうちに、なぜか俯瞰ではなく助手席からの視点で夢を見るようになった。
・どんなふうに事故が起き、どこを怪我して、何が原因で死ぬのかまで繰り返し見て把握していたので、助手席目線で夢を見られるようになってからは、男が死なないよう(夢の中で)必要な道具を揃えるようになった。
・そのうち男は助かるのが当たり前になり、まじまじとこちらを見てくるようになった。
初めて俺を見かけたときは、あまりの衝撃で全身から脂汗が吹き出て、吐き気がしたらしい。
当然だよな。
定期的に夢に出てくる男と現実で出会ったら、怖いに決まってる。
はじめて声をかけてきてくれたあの日は、一大決心をして声をかけたそうだ。
本当にただの偶然ならそれまでだけど、もし夢が当たっていたら、ここで声をかけなかったことを私は一生後悔する、と。
681:本当にあった怖い名無し:2019/03/23(土)16:31:31.32ID:zzIxWD7h0.net
正直、全っ然タイプじゃなかったが、友達になって下さいじゃ気味悪がられて終わりそうだけど、一目惚れですと言えばそれらしく聞こえるし、親しくなればいつかあの場面にめぐり合うはずだから、せめてそれまでは、と思って付き合った、と言われた。
俺はそれを聞いて、号泣した。
最初、彼女が無理してる感じだったことの理由もわかった。
信じられない話だったし、頭打ったせいで俺の頭がおかしくなっているんじゃないか?
むしろそうであってくれ!とさえ思った。
正直、命が助かった喜びよりも、彼女が俺から離れていくだろうことの方に絶望した。
俺が号泣しながら、
「それは、別れようってこと?」
と聞くと、
「○○君はどうしたい?」
と聞かれたので、
「俺は絶対別れたくない。もう本気で好きになった後だから」
と答えた。
このとき俺は、なぜか、絶対に彼女と別れてはいけないという予感がしていた。
当時は、キモブサ低スペックの俺がこんないい彼女を逃したら次なんてない!的な焦りだと思っていたけど、たぶん別れちゃいけない理由を、心のどこかで確信していたんだと思う。
それを聞いた彼女は
「私も好きになった。これからも宜しく」
と笑った。
682:本当にあった怖い名無し:2019/03/23(土)16:31:59.16ID:zzIxWD7h0.net
それからさらに半年くらい後なので、付き合って約一年で結婚した。
結婚して二年後には子供が産まれた。
ある晴れた日に、今では妻になった彼女お得意のお弁当をもってピクニックに出掛けた。
2歳になった娘は大はしゃぎで、ピクニックシートを用意している間も走り回って、笑って危ないよと手を伸ばそうとした瞬間、雷が落ちたような衝撃を受けた。
妻に左右の三つ編みにしてもらった娘が駆け回るこの光景は、俺が子供の頃繰り返し見ていた、あの夢の光景だったのだ。
全てのことが、パズルのピースをはめ込むように辻褄が合っていく感覚がした。
彼女が俺を助ける夢を見たのは、俺が彼女と絶対に別れちゃいけないとあんなに感じたのは、この子のためだったのでは?と。
あの夢を見て感じた言葉で言い表せない幸福感、当時の俺にはわかるはずもない、あれは、幼い娘をもった父親の幸福感だ。
今初めて味わうはずの親としての幸せに、懐かしさを感じるという矛盾。
俺の人生は、こうなる運命だったのだと、今なら思う。
以上、ほんのり怖い、俺と妻の馴れ初め話終わり。
長文読んでくれた人、ありがとう。
685:本当にあった怖い名無し:2019/03/23(土)19:07:35.16ID:fSSQ0i8W0.net
夢の話はほかでどうぞ
686:本当にあった怖い名無し:2019/03/23(土)20:00:15.75ID:5AGWju7Z0.net
>>682
テンプレみたいな話で先が読めたけど読みやすかったよ
ありがとう
687:本当にあった怖い名無し:2019/03/23(土)20:12:33.81ID:JWXFq5Oj0.net
>>682
ちゃんと読めたよありがとね
恐い話じゃなくて不思議な話しだね
引用元:ほんのりと怖い話スレ 134
http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1549521242/676-687
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