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木蔭の女
2011.04.17 (Sun) | Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象
春。桜前線がどんどん北上し、横浜も桜で満開となった。
花見だと人は浮かれ、橋本茂見さん(仮名・20歳)も専門学校の仲間達と、野毛山公園で大いに騒いだ。
夜も更けた頃、仲間達と別れた橋本さんは、まだ花見の余韻が覚めなかったので、一人で飲み直す事にした。
コンビニでビールを買い、自宅近くの小さな公園に入った。そこでも小振りな桜が一本、花びらを一杯に開いていたが、花見をしている人はいなかった。どこか遠くから犬の吠える声が届き、風で木の葉がザワザワ擦れる。
そんな淋しい風景だったからかもしれない。橋本さんは、有名な小説のフレーズを思い出した。
「桜の木の下には屍体が埋まっている」
少し気持ち悪かったが、まあ良いか、と桜の根本に座る。ビールの缶を開けながら、寒い頃に、この樹の下で立ち小便をした事を思い出した。
「あの時は悪かったな」
橋本さんは、ニヤニヤ笑いながら桜を見上げた。
満開の桜は、夜風にキシキシ枝を鳴らすだけだった。
ビールが空になったので、帰ろうと立ち上がった橋本さんは、急に尿意を催した。
またここですっか! と、桜の根本に小便を始めた。
「ごめんよ!」と目の前の桜におどけてみた橋本さんは、すぐに「まずいっ」と思った。桜の木の向こうに人影が見えたのだ。女のようだった。
橋本さんはどうしようと慌てたが、女はすぐに樹の幹に姿を隠した。少し安堵した橋本さんは、小便も終えたので、そこから立ち去ろうとした。
その時、ふと桜を見た橋本さんは、妙だと気付いた。
よく考えると、目の前の小さな幹に、人が姿を隠す事など不可能だからだ。
不思議に思った橋本さんは、暗闇に目を凝らして桜を見た。
ど、どうして!
橋本さんは目を疑った。幅20cmほどの幹の向こうに、女の姿はなかったのだ。
信じられない出来事に呆然となった橋本さんは、気を取り直そうと、自分の後頭部を叩いた。
きっと、酔いで錯覚したのだ。頭の中でそう結論を出した橋本さんは、帰ろうと背後を振り向いた。
「……!!」
驚いて立ちすくんだ。目の前に、あの女が立っていたのだ。
桜の花びらをデザインした柄のワンピースを着た女は、じっと橋本さんを見つめている。血の気のない白い顔が、彼の目に焼き付いた。
女は橋本さんを見ながら、ゆっくりと桜の傍まで歩いていく。そして、再び幹の向こうの木蔭に進み、そのまま姿を消した。
そ、そんな!
恐ろしくなった橋本さんは、その場から駆け出した。しばらく夜道を走っていると、行く手に交番がある。
お巡りさん、と叫びながら交番に飛び込んだ橋本さんは、何事かと驚いている警官に、今さっきあった出来事を話した。
「酔っぱらいの相手はしてられないんだ」
一通り話を聞いた警官は、うんざりとした表情になった。嘘じゃない、本当なんだと、橋本さんは公園の方を指差しながら、必死に警官に訴えようとした。
だがその時、交番の前を、桜の柄のワンピースを着た女が横切ったのを見て、橋本さんは絶句した。あの女だった。
女はにっこり微笑み、軽く会釈をした。つられて警官も頭を下げる。
そのほんの一瞬の間、女の表情が変わった。
さっきと同じ、生気のない無表情な顔。死人の様な冷ややかな視線で、橋本さんを見つめる。
「あ…あ…あっ……」
女はすぐに元の表情に戻ると、闇の中へ去っていった。
蛇に見込まれた蛙の様になった橋本さんの脳裏に、再びある小説のフレーズが蘇った。
「桜の木の下には屍体が埋まっている」
(暗さんからの投稿です。ありがとうございました)
花見だと人は浮かれ、橋本茂見さん(仮名・20歳)も専門学校の仲間達と、野毛山公園で大いに騒いだ。
夜も更けた頃、仲間達と別れた橋本さんは、まだ花見の余韻が覚めなかったので、一人で飲み直す事にした。
コンビニでビールを買い、自宅近くの小さな公園に入った。そこでも小振りな桜が一本、花びらを一杯に開いていたが、花見をしている人はいなかった。どこか遠くから犬の吠える声が届き、風で木の葉がザワザワ擦れる。
そんな淋しい風景だったからかもしれない。橋本さんは、有名な小説のフレーズを思い出した。
「桜の木の下には屍体が埋まっている」
少し気持ち悪かったが、まあ良いか、と桜の根本に座る。ビールの缶を開けながら、寒い頃に、この樹の下で立ち小便をした事を思い出した。
「あの時は悪かったな」
橋本さんは、ニヤニヤ笑いながら桜を見上げた。
満開の桜は、夜風にキシキシ枝を鳴らすだけだった。
ビールが空になったので、帰ろうと立ち上がった橋本さんは、急に尿意を催した。
またここですっか! と、桜の根本に小便を始めた。
「ごめんよ!」と目の前の桜におどけてみた橋本さんは、すぐに「まずいっ」と思った。桜の木の向こうに人影が見えたのだ。女のようだった。
橋本さんはどうしようと慌てたが、女はすぐに樹の幹に姿を隠した。少し安堵した橋本さんは、小便も終えたので、そこから立ち去ろうとした。
その時、ふと桜を見た橋本さんは、妙だと気付いた。
よく考えると、目の前の小さな幹に、人が姿を隠す事など不可能だからだ。
不思議に思った橋本さんは、暗闇に目を凝らして桜を見た。
ど、どうして!
橋本さんは目を疑った。幅20cmほどの幹の向こうに、女の姿はなかったのだ。
信じられない出来事に呆然となった橋本さんは、気を取り直そうと、自分の後頭部を叩いた。
きっと、酔いで錯覚したのだ。頭の中でそう結論を出した橋本さんは、帰ろうと背後を振り向いた。
「……!!」
驚いて立ちすくんだ。目の前に、あの女が立っていたのだ。
桜の花びらをデザインした柄のワンピースを着た女は、じっと橋本さんを見つめている。血の気のない白い顔が、彼の目に焼き付いた。
女は橋本さんを見ながら、ゆっくりと桜の傍まで歩いていく。そして、再び幹の向こうの木蔭に進み、そのまま姿を消した。
そ、そんな!
恐ろしくなった橋本さんは、その場から駆け出した。しばらく夜道を走っていると、行く手に交番がある。
お巡りさん、と叫びながら交番に飛び込んだ橋本さんは、何事かと驚いている警官に、今さっきあった出来事を話した。
「酔っぱらいの相手はしてられないんだ」
一通り話を聞いた警官は、うんざりとした表情になった。嘘じゃない、本当なんだと、橋本さんは公園の方を指差しながら、必死に警官に訴えようとした。
だがその時、交番の前を、桜の柄のワンピースを着た女が横切ったのを見て、橋本さんは絶句した。あの女だった。
女はにっこり微笑み、軽く会釈をした。つられて警官も頭を下げる。
そのほんの一瞬の間、女の表情が変わった。
さっきと同じ、生気のない無表情な顔。死人の様な冷ややかな視線で、橋本さんを見つめる。
「あ…あ…あっ……」
女はすぐに元の表情に戻ると、闇の中へ去っていった。
蛇に見込まれた蛙の様になった橋本さんの脳裏に、再びある小説のフレーズが蘇った。
「桜の木の下には屍体が埋まっている」
(暗さんからの投稿です。ありがとうございました)
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Title : 無題
僕は小学生の卒業式のとき「桜」を歌いました。
さくら~
さくら~
いざまいあがれ~♪
電 2011.04.17 (Sun) 15:09 編集
Re:無題
桜っていう歌が多すぎて最初どれだかわからなかった…w
2011.04.17 16:08
Title : 無題
このフレーズよく耳にするけど、元ネタはなんの小説だっけ…。
ネッシー 2011.04.17 (Sun) 17:48 編集
Re:無題
梶井基次郎氏の「桜の樹の下には」だと思います。
2011.04.19 20:09
Title : 無題
仏には 桜の花を 奉れ
…続き忘れたよゆゆ様…orz
春月 2011.04.17 (Sun) 20:48 編集
Re:無題
ほとけには 桜の花をたてまつれ 我が後の世を 人とぶらはば
ですかねw
2011.04.19 20:58
Title : ↑
我が後の世を人とぶらはば
ですか?
ゆゆ様には永夜でしか会ったことありませんがorz
こじこ 2011.04.17 (Sun) 21:32 編集
Re:↑
話が逸れて来てるww
2011.04.19 20:59
Title : 無題
ボクゥが…そばぁにいるよ…
きぃみぃを…笑わせぇるかぁら…
スカル 2011.04.18 (Mon) 17:29 編集
Re:無題
あっ
例の件、少々お待ちを!
2011.04.19 21:55
Title : 無題
2年前まで野毛山なんて近所だったからびびるよー。
とま 2011.04.18 (Mon) 18:25 編集
Re:無題
あ、そうなんですか。
もしかしたら…( ̄ー ̄)ニヤリ
2011.04.19 21:56
Title : 無題
お久しぶりですm(_ _)m
また書き忘れてた;
この話も、人から聞いた話です。
創作も送ってみようかな…?
暗 2011.07.26 (Tue) 15:23 編集
Re:無題
お久しぶりです。
あ、こちらもそうでしたか。
修正しておきます。
またよろしくお願いします。
2011.07.27 17:36