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J・A60××
2011.03.19 (Sat) | Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象
Aが勤務するセスナ会社は、バイク便を大規模にしたものと考えれば解りやすい。
大事な荷物を出来るだけ早く先方に届ける。値段は高いが、こちらは渋滞に悩まされる事はない。
Aの会社は関東を中心に、関西、東北方面にも荷物を運んでいた。
飛行機だからといって、事故が多いわけではないのだが、Aは入社二年目にして、既に飛行機事故を目撃していた。
その日、Aが働いている埼玉県・入間の飛行場から飛び立ったばかりのセスナが、突風に煽られ、畑に墜落した。
Aは現場に駆けつけ、セスナの亡骸を目の当たりにした。胴体はひしゃげ、尾翼はプロペラと共に地面に突き立っている。右方向から突っ込んだのだろう。30mほどの距離に右翼が散らばっていた。
A達は急いで操縦席を開けようと、斧で扉を外そうとした。操縦していたQが、まだ中にいるのだ。
だが、急ぐ必要はなかった。Qは、人間の形を留めていなかった。胴体のひしゃげたセスナと全く同じ格好になっていた。
AとQは親友だった。Qは操縦士、Aは管制職員として、同期の入社だった。
二人は仕事帰りによく飲みに出かけた。QがAに対して女の心配をしてくれたり、この仕事に就く事を夢見たきっかけなどを語り合ったりして、帰るまでの一時を過ごす。
事故の二日前もそうだった。Qは入社した時には既に結婚しており、もうすぐ子供が出来ると、嬉しそうに話すQに、Aは「おめでとう」と祝辞を述べた。
Qの葬式は、アパートの一室で行なわれた。
あまり人が集まらなかった。Qは奥さんと駆け落ちし、島根の両親と縁を切っていたのだ。
焼香をした時、煙が目にしみたせいか、Aは涙が止まらなかった。
それから間もなく、Aは大阪の飛行場に一年の出向を命じられた。
大阪郊外にあるその基地は、規模が小さく、職員はAを含めて三人しかいない。妻子持ちの二人は、日暮れには帰ってしまう。Aは夜通し、一人で無線機と向き合わなければならなかった。
その夜、Aが夜食の支度をしていると、無線機から雑音が流れ始めた。
雑音に混じって、幽かに声が聞こえてくる。
「ヤオタワー。ディスイズJ・A60××。ヤオタワー。ディスイズJ・A60××」
声は、基地の名前と自機の番号(JとA、四桁の番号)を告げた。
基地と交信したセスナが、許可を取って着陸するための言葉だ。
だが、Aは無線機の前まで行けなかった。その番号が、死んだはずの友人のものだったのだ。
誰かの悪戯なのか。しかし、無線機から流れてくる声は、紛れもなくQの声だった。
AはQと話したいと思った。子供は無事に生まれたよ。奥さんに保険は下りたよ、と。
しかし、それに対してQは何と答えるだろう。
Aは息を殺し、湯呑みにお茶を注いだ。無線機は鳴り続けている。
「ヤオタワー。ディスイズJ・A60××。ヤオタワー。ディスイズJ・A60××」
上空からプロペラの音が響いてきた。飛行場の上を旋回している。
出てはいけない。Aは自分に言い聞かせた。何があろうと応えてはいけない。
このような事は、あってはならないのだ。
無線が番号を繰り返す。セスナは何度も上空を旋回している。
やがて頭上からプロペラの音が遠ざかり、無線機の音も途絶えた。
(※暗さんからの投稿です。ありがとうございました)
大事な荷物を出来るだけ早く先方に届ける。値段は高いが、こちらは渋滞に悩まされる事はない。
Aの会社は関東を中心に、関西、東北方面にも荷物を運んでいた。
飛行機だからといって、事故が多いわけではないのだが、Aは入社二年目にして、既に飛行機事故を目撃していた。
その日、Aが働いている埼玉県・入間の飛行場から飛び立ったばかりのセスナが、突風に煽られ、畑に墜落した。
Aは現場に駆けつけ、セスナの亡骸を目の当たりにした。胴体はひしゃげ、尾翼はプロペラと共に地面に突き立っている。右方向から突っ込んだのだろう。30mほどの距離に右翼が散らばっていた。
A達は急いで操縦席を開けようと、斧で扉を外そうとした。操縦していたQが、まだ中にいるのだ。
だが、急ぐ必要はなかった。Qは、人間の形を留めていなかった。胴体のひしゃげたセスナと全く同じ格好になっていた。
AとQは親友だった。Qは操縦士、Aは管制職員として、同期の入社だった。
二人は仕事帰りによく飲みに出かけた。QがAに対して女の心配をしてくれたり、この仕事に就く事を夢見たきっかけなどを語り合ったりして、帰るまでの一時を過ごす。
事故の二日前もそうだった。Qは入社した時には既に結婚しており、もうすぐ子供が出来ると、嬉しそうに話すQに、Aは「おめでとう」と祝辞を述べた。
Qの葬式は、アパートの一室で行なわれた。
あまり人が集まらなかった。Qは奥さんと駆け落ちし、島根の両親と縁を切っていたのだ。
焼香をした時、煙が目にしみたせいか、Aは涙が止まらなかった。
それから間もなく、Aは大阪の飛行場に一年の出向を命じられた。
大阪郊外にあるその基地は、規模が小さく、職員はAを含めて三人しかいない。妻子持ちの二人は、日暮れには帰ってしまう。Aは夜通し、一人で無線機と向き合わなければならなかった。
その夜、Aが夜食の支度をしていると、無線機から雑音が流れ始めた。
雑音に混じって、幽かに声が聞こえてくる。
「ヤオタワー。ディスイズJ・A60××。ヤオタワー。ディスイズJ・A60××」
声は、基地の名前と自機の番号(JとA、四桁の番号)を告げた。
基地と交信したセスナが、許可を取って着陸するための言葉だ。
だが、Aは無線機の前まで行けなかった。その番号が、死んだはずの友人のものだったのだ。
誰かの悪戯なのか。しかし、無線機から流れてくる声は、紛れもなくQの声だった。
AはQと話したいと思った。子供は無事に生まれたよ。奥さんに保険は下りたよ、と。
しかし、それに対してQは何と答えるだろう。
Aは息を殺し、湯呑みにお茶を注いだ。無線機は鳴り続けている。
「ヤオタワー。ディスイズJ・A60××。ヤオタワー。ディスイズJ・A60××」
上空からプロペラの音が響いてきた。飛行場の上を旋回している。
出てはいけない。Aは自分に言い聞かせた。何があろうと応えてはいけない。
このような事は、あってはならないのだ。
無線が番号を繰り返す。セスナは何度も上空を旋回している。
やがて頭上からプロペラの音が遠ざかり、無線機の音も途絶えた。
(※暗さんからの投稿です。ありがとうございました)
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Title : 無題
せつないけど…なんか空の男はカッコイイなぁー…
ベーだー 2011.03.19 (Sat) 13:37 編集
Re:無題
そうですね、格好いいですね!
2011.03.20 21:16
Title : 無題
仮名がなぜQ…
『きゅう』からはじまる名前なんでしょうか…
Q太郎…
こじこ 2011.03.20 (Sun) 12:19 編集
Re:無題
オバQwww
2011.03.21 15:08
Title : 無題
埼玉県入間の飛行場?
自衛隊入間基地ですか?
それとも、幻の埼玉飛行場(戦時中の)
それとも、桶川市・川島町にあるホンダエアポートですか?
とりあえず言えることは、入間には飛行場は“元”以外ですと入間基地しかありませんが…
名無し 2011.03.21 (Mon) 11:37 編集
Re:無題
うーん、どこでしょうね。
現在は入間基地しかないですよね。
2011.03.21 15:18