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バッテン教室
2011.03.17 (Thu) | Category : 都市伝説・公共・企業系
こんばんは。
久し振りに、都市伝説を投稿しますm(_ _)m
開かずの教室系の学校怪談です。
かなりの長文で、私書箱には収まらなかったので、こちらで投稿します;
- - - - - -
ユリ子の所属するソフトボール部は、旧校舎の前の運動場で練習を行っていた。
その木造校舎は間もなく取り壊される事になっていた。
新設される校舎のために、ユリ子達が部活動をしている運動場もろともなくなる。
木造校舎が好きだったユリ子は、それを残念に思っていた。
管理教育の象徴に思える鉄筋の建物と違い、木造は人の温かさを残しているのだ。
旧校舎の一階は一年生が授業に使っており、二階は特別教室が使用される時以外、足を運ぶ者はいない。誰でも出入りが可能だったので、ユリ子は旧校舎の内部をほとんど熟知していた。
そんな彼女でも、入室はおろか、見た事すらない場所が一ヶ所だけあった。
旧校舎の端にある、『バッテン教室』と呼ばれる部屋だ。
二十年前、その教室で、ある男子生徒が焼身自殺を図った。勉強疲れによるノイローゼが原因だったらしい。
それから、その教室は封鎖され、窓にビニールテープが×形に張られている。
校舎の端に行くまでの廊下は、コンクリートの雑な塊で塞がれており、所々でブロックの地が顔を見せている。立ち入りは不可能だ。
ある日の練習中。そのバッテン教室にボールが入ってしまった。
打席に立ったピッチャーが思い切りバットを振り、ボールは一塁のベースの右側を大きく逸れる。旧校舎のガラスが薄かった事も災いし、簡単に窓を割ったボールは、バッテン教室の中に飛び込んだ。
皆の口から溜め息が漏れた。想定されてしかるべき事だったが、バッテン教室にボールが飛び込むなんて誰も考えていなかったし、事実そんな話があった事も聞かない。
キャプテンを中心にして相談した結果、先生達には黙っている事に決めた。どうせもうすぐ取り壊されてしまうのだ。
一年生が体育小屋にボールを取りに行っている間、やる事がなくなった皆は、その場でぼんやり新しいボールを待っていた。
ユリ子だけはバッテン教室を見上げていた。直される見込みもなく、ガラスを割られた教室が可哀想に思える。
……と、ガラスの割れ目から、汚れたソフトボールが飛び出してきた。気のせいではない。ボールは確かにバッテン教室から投げ返されてきたのだ。
「皆」
ユリ子がボールを拾い上げて叫ぶと、キャプテンが走ってきた。
「なんだ、教室の中に入ってなかったんだ」
ピッチャーが珠を受け取り、練習は再開される。ユリ子は今の出来事を言いそびれてしまった。
暗くなった頃、ユリ子は一人で運動場に立ち、バッテン教室を見上げた。
ぼんやりと、戻ってきたボールの事を考える。人がバッテン教室に入り込む事など有り得ない。窓には鍵がかかっていて、梯子で上ったにしてもどこか壊さなければならないはずだ。
ユリ子の頭には、ある考えがあった。それを確かめるために、自宅からボールを持ってきていた。
彼女は大きく振りかぶると、バッテン教室にボールを投げ込んだ。白い球はユリ子の狙い通り、ガラスの割れ目に吸い込まれた。
一呼吸おいて、ボールは戻ってきた。ユリ子の胸元に投げ返されてきたのだ。
間違いない。ユリ子は確信した。あそこには幽霊がいるのだ。きっと親切な良い幽霊が。
優しく投げ返されてきたそれを抱き締め、ユリ子は家路に就いた。
夏休みになる一週間前。パワーショベルやブルドーザーが校庭に並んだ。
予定より早く、旧校舎は壊される事になったのだ。
大きなショベルに、木板の壁が剥ぎ取られる。校舎が破壊されるのを為す術もなく見守っていたユリ子は、初めてバッテン教室の中を見た。
勿論、そこに人などいない。隅の方に一組だけ、机と椅子が置かれていた。
その空席も、校舎と心中する様に、同じ最期を迎えた。
平たくなった校舎の上にブルドーザーが乗り上げて作業をしている。
ユリ子はバッテン教室にいたはずの彼の事を思った。一体彼は、これからどこへ行くのだろう。
そこが安らかな場所であってほしい。ユリ子は心の中で手を合わせた。
(群馬県K高校の話)
(※暗さんからの投稿です。ありがとうございました)
久し振りに、都市伝説を投稿しますm(_ _)m
開かずの教室系の学校怪談です。
かなりの長文で、私書箱には収まらなかったので、こちらで投稿します;
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ユリ子の所属するソフトボール部は、旧校舎の前の運動場で練習を行っていた。
その木造校舎は間もなく取り壊される事になっていた。
新設される校舎のために、ユリ子達が部活動をしている運動場もろともなくなる。
木造校舎が好きだったユリ子は、それを残念に思っていた。
管理教育の象徴に思える鉄筋の建物と違い、木造は人の温かさを残しているのだ。
旧校舎の一階は一年生が授業に使っており、二階は特別教室が使用される時以外、足を運ぶ者はいない。誰でも出入りが可能だったので、ユリ子は旧校舎の内部をほとんど熟知していた。
そんな彼女でも、入室はおろか、見た事すらない場所が一ヶ所だけあった。
旧校舎の端にある、『バッテン教室』と呼ばれる部屋だ。
二十年前、その教室で、ある男子生徒が焼身自殺を図った。勉強疲れによるノイローゼが原因だったらしい。
それから、その教室は封鎖され、窓にビニールテープが×形に張られている。
校舎の端に行くまでの廊下は、コンクリートの雑な塊で塞がれており、所々でブロックの地が顔を見せている。立ち入りは不可能だ。
ある日の練習中。そのバッテン教室にボールが入ってしまった。
打席に立ったピッチャーが思い切りバットを振り、ボールは一塁のベースの右側を大きく逸れる。旧校舎のガラスが薄かった事も災いし、簡単に窓を割ったボールは、バッテン教室の中に飛び込んだ。
皆の口から溜め息が漏れた。想定されてしかるべき事だったが、バッテン教室にボールが飛び込むなんて誰も考えていなかったし、事実そんな話があった事も聞かない。
キャプテンを中心にして相談した結果、先生達には黙っている事に決めた。どうせもうすぐ取り壊されてしまうのだ。
一年生が体育小屋にボールを取りに行っている間、やる事がなくなった皆は、その場でぼんやり新しいボールを待っていた。
ユリ子だけはバッテン教室を見上げていた。直される見込みもなく、ガラスを割られた教室が可哀想に思える。
……と、ガラスの割れ目から、汚れたソフトボールが飛び出してきた。気のせいではない。ボールは確かにバッテン教室から投げ返されてきたのだ。
「皆」
ユリ子がボールを拾い上げて叫ぶと、キャプテンが走ってきた。
「なんだ、教室の中に入ってなかったんだ」
ピッチャーが珠を受け取り、練習は再開される。ユリ子は今の出来事を言いそびれてしまった。
暗くなった頃、ユリ子は一人で運動場に立ち、バッテン教室を見上げた。
ぼんやりと、戻ってきたボールの事を考える。人がバッテン教室に入り込む事など有り得ない。窓には鍵がかかっていて、梯子で上ったにしてもどこか壊さなければならないはずだ。
ユリ子の頭には、ある考えがあった。それを確かめるために、自宅からボールを持ってきていた。
彼女は大きく振りかぶると、バッテン教室にボールを投げ込んだ。白い球はユリ子の狙い通り、ガラスの割れ目に吸い込まれた。
一呼吸おいて、ボールは戻ってきた。ユリ子の胸元に投げ返されてきたのだ。
間違いない。ユリ子は確信した。あそこには幽霊がいるのだ。きっと親切な良い幽霊が。
優しく投げ返されてきたそれを抱き締め、ユリ子は家路に就いた。
夏休みになる一週間前。パワーショベルやブルドーザーが校庭に並んだ。
予定より早く、旧校舎は壊される事になったのだ。
大きなショベルに、木板の壁が剥ぎ取られる。校舎が破壊されるのを為す術もなく見守っていたユリ子は、初めてバッテン教室の中を見た。
勿論、そこに人などいない。隅の方に一組だけ、机と椅子が置かれていた。
その空席も、校舎と心中する様に、同じ最期を迎えた。
平たくなった校舎の上にブルドーザーが乗り上げて作業をしている。
ユリ子はバッテン教室にいたはずの彼の事を思った。一体彼は、これからどこへ行くのだろう。
そこが安らかな場所であってほしい。ユリ子は心の中で手を合わせた。
(群馬県K高校の話)
(※暗さんからの投稿です。ありがとうございました)
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Title : 無題
なんかほんわかしました( ̄∀ ̄)
火巳ヶ家 2011.03.17 (Thu) 15:10 編集
Re:無題
なかなかいい話ですね。
2011.03.17 22:37
Title : 無題
きっとバッテン教室の住人も
窓は割られるわ ボール投げられるわで迷惑してるでしょうwww
春月 2011.03.17 (Thu) 18:28 編集
Re:無題
さみーよ、窓割るんじゃねーよ!
とか思ってるのかなw
2011.03.17 22:37
Title : 無題
バッテンと見た瞬間熊本の話かと期待したのになんだこの話は!ほんわかしたじゃないか!www
ドゥルジ 2011.03.17 (Thu) 20:10 編集
Re:無題
熊本ww
2011.03.18 17:19
Title : 無題
なんかえー話
みき 2011.03.17 (Thu) 21:45 編集
Re:無題
この幽霊さんは結局どこへ行ってしまったんでしょうね
2011.03.18 17:23
Title : 無題
ためしてバッテン
電 2011.03.17 (Thu) 22:05 編集
Re:無題
誰かが言うと思ってたらキミかw
2011.03.18 17:48
Title : 無題
封印が破られ自由になった自殺男子の霊は、ユリ子に一生憑いて行くと決めたのであった!―完―
怖い子 2011.03.18 (Fri) 13:35 編集
Re:無題
ユリ子たん…(´・ω・`)
2011.03.18 20:50
Title : 無題
ホントに親切なんでしょうかねぇ
もしそうだとしたら立ち入りができないほどにブロックを詰んでおかなければならない理由がわかりません
単に気味悪いから、だけじゃそんなに徹底しない気がします
のなめ 2011.03.19 (Sat) 01:22 編集
Re:無題
きっと姿を見たらいかんのですよ。
多分。
2011.03.19 17:49
Title : 無題
バッテン教室‥
まさかまさかと思ってみてたけど
こんなところで
まさーか
ろーかるネタが出て来るとは思わなかったwww驚
DADA@ 2011.10.13 (Thu) 15:53 編集
Re:無題
あれ、地元でしたか?w
2011.10.15 17:15