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階段
2010.05.08 (Sat) | Category : 人を信じすぎる人へ
715 名前:1 投稿日:03/04/24 19:15
携帯でメールをしながら歩いていると、右膝に何か当たった。
と思った次の瞬間、右側の地下通路への階段を子供が転げ落ちていくのが見えた。
スタントマンのように横向きに回転しながら、だんだんと加速して転がっていく、2歳くらいの男の子。
転落していくその間もずっとおれの顔を泣き顔で見続けている。
おれは妙に現実感がなく、それを観察していた。
一番下まで落ちた子供は2,3度回転してうつ伏せで止まった。
そのままぴくりとも動かない。
やっとヤバイと気付いたおれは、他に人の目がないのを確認すると急いでその場を離れた。
そして3日経った。
試験休みで昼まで寝ていて、飯を食うために降りていくと、母親が喪服にアイロンを当てていた。
「今日お母さん、遠藤さん家のお通夜出ていろいろ手伝いするから。おでん作ったから夜はお父さんとそれ食べて」
「うん・・・」
おれがまだ眠くてボーっとしていると、母は
「かわいそうに、拓海くんまだ2歳になって間もないのに・・・」
と喪服を広げながら言った
近所の子供だった。
知りたくなくても情報は次々入ってきた。
遠藤さん夫婦の、結婚して6年目に待ち望んでやっと授かった一人息子だったこと。
夫婦はどちらも一人っ子で、どちらの両親にとっても初孫で、みんなが溺愛していたこと。
1ヶ月前に2歳の誕生日を向かえ、まだ乗れない三輪車をプレゼントにもらったこと。
その三輪車がお棺の横に置かれ、遺影も誕生日のケーキを前にしての写真だったこと。
意識不明のまま入院していたその子が死ぬ間際に「まま、こわい」と言ったこと。・・・・・
聞けば聞くほど鬱になったが、おれは自分のせいではないと自分に言い聞かせた。
おれにぶつからなくても転げ落ちていたかもしれないじゃないか。
ちょろちょろしてるガキが悪い。
目を離した親が悪い。
おれは悪くない。おれのせいじゃない。
休みが終わり、学校へ行った。
階段を下りるとき、何かが膝の裏を押してガクッとなった。
よろめいたが特になにもない。うしろにも誰もいない。
何も思わず、少しだけ慎重に階段を下りた。
そして帰り道の駅の階段を下りる時。
また何かがおれの脚を押した。
後ろを見てもなにもない。・・・・だが何かの感触があったのは確かだった。
1mにも満たない大きさの何かが、おれに体当たりしたような感触だ。
体中の血が冷えた。
動悸がして、おれは焦って早足で駅を出た。
早く帰ろう。駅からつながっている歩道橋を降りて自転車に乗って、5分もすればもう家だ。
歩道橋を歩き出したおれは、前から歩いてきた女の人と目があった。
30歳前後のショートカットの女性。なぜか目を見開いて立ちすくんで俺を凝視している。
その時。
『まま!!このひと!!!』
真後ろから大音響で子供の甲高い声が響き渡った。
おれは度肝を抜かれ、ここに居た全員が今のを聞いてしまった!と思いあわててその場から逃げ出そうと、階段へ走った。
足がもつれる。そこへまた何かが脚にぶつかってきた。
おれは階段から転落した。
気がついたら病院だった。
死なずにすんだ・・・・
医者から説明を受け、母にむいてもらったりんごを食い、一人になって横になろうとした時、入り口のドアのすりガラスに小さい人影が映っているのが見えた。
ぼんやりと見える男の子の影。ぺたっと手のひらがガラスに押し付けられた。
おれは頭を抱えて目をつぶった。しばらくして目を開けると消えていた。
・・・・・遠藤 拓海くんだ。おれを許さないつもりだ。
あれから下りの階段に近づくたび、後ろから精一杯の幼い力でおれを押している感触がある。
だからおれは出来るだけ階段は使わない。
だんだんと、押す力が強くなっている。
もし長い階段を下りなくてはいけなくなったら、今度こそ命がないかもしれない。
携帯でメールをしながら歩いていると、右膝に何か当たった。
と思った次の瞬間、右側の地下通路への階段を子供が転げ落ちていくのが見えた。
スタントマンのように横向きに回転しながら、だんだんと加速して転がっていく、2歳くらいの男の子。
転落していくその間もずっとおれの顔を泣き顔で見続けている。
おれは妙に現実感がなく、それを観察していた。
一番下まで落ちた子供は2,3度回転してうつ伏せで止まった。
そのままぴくりとも動かない。
やっとヤバイと気付いたおれは、他に人の目がないのを確認すると急いでその場を離れた。
そして3日経った。
試験休みで昼まで寝ていて、飯を食うために降りていくと、母親が喪服にアイロンを当てていた。
「今日お母さん、遠藤さん家のお通夜出ていろいろ手伝いするから。おでん作ったから夜はお父さんとそれ食べて」
「うん・・・」
おれがまだ眠くてボーっとしていると、母は
「かわいそうに、拓海くんまだ2歳になって間もないのに・・・」
と喪服を広げながら言った
近所の子供だった。
知りたくなくても情報は次々入ってきた。
遠藤さん夫婦の、結婚して6年目に待ち望んでやっと授かった一人息子だったこと。
夫婦はどちらも一人っ子で、どちらの両親にとっても初孫で、みんなが溺愛していたこと。
1ヶ月前に2歳の誕生日を向かえ、まだ乗れない三輪車をプレゼントにもらったこと。
その三輪車がお棺の横に置かれ、遺影も誕生日のケーキを前にしての写真だったこと。
意識不明のまま入院していたその子が死ぬ間際に「まま、こわい」と言ったこと。・・・・・
聞けば聞くほど鬱になったが、おれは自分のせいではないと自分に言い聞かせた。
おれにぶつからなくても転げ落ちていたかもしれないじゃないか。
ちょろちょろしてるガキが悪い。
目を離した親が悪い。
おれは悪くない。おれのせいじゃない。
休みが終わり、学校へ行った。
階段を下りるとき、何かが膝の裏を押してガクッとなった。
よろめいたが特になにもない。うしろにも誰もいない。
何も思わず、少しだけ慎重に階段を下りた。
そして帰り道の駅の階段を下りる時。
また何かがおれの脚を押した。
後ろを見てもなにもない。・・・・だが何かの感触があったのは確かだった。
1mにも満たない大きさの何かが、おれに体当たりしたような感触だ。
体中の血が冷えた。
動悸がして、おれは焦って早足で駅を出た。
早く帰ろう。駅からつながっている歩道橋を降りて自転車に乗って、5分もすればもう家だ。
歩道橋を歩き出したおれは、前から歩いてきた女の人と目があった。
30歳前後のショートカットの女性。なぜか目を見開いて立ちすくんで俺を凝視している。
その時。
『まま!!このひと!!!』
真後ろから大音響で子供の甲高い声が響き渡った。
おれは度肝を抜かれ、ここに居た全員が今のを聞いてしまった!と思いあわててその場から逃げ出そうと、階段へ走った。
足がもつれる。そこへまた何かが脚にぶつかってきた。
おれは階段から転落した。
気がついたら病院だった。
死なずにすんだ・・・・
医者から説明を受け、母にむいてもらったりんごを食い、一人になって横になろうとした時、入り口のドアのすりガラスに小さい人影が映っているのが見えた。
ぼんやりと見える男の子の影。ぺたっと手のひらがガラスに押し付けられた。
おれは頭を抱えて目をつぶった。しばらくして目を開けると消えていた。
・・・・・遠藤 拓海くんだ。おれを許さないつもりだ。
あれから下りの階段に近づくたび、後ろから精一杯の幼い力でおれを押している感触がある。
だからおれは出来るだけ階段は使わない。
だんだんと、押す力が強くなっている。
もし長い階段を下りなくてはいけなくなったら、今度こそ命がないかもしれない。
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Title : 無題
お前が悪い…
霊も成長するんだな
おかめ 2010.05.08 (Sat) 21:44 編集
Re:無題
これは自業自得ですね
2010.05.11 14:59
Title : うん
本当の事なら仕方無いですね。あなたが悪い
まあ 2010.05.08 (Sat) 21:46 編集
Re:うん
病院に連れて行ってれば助かったかもしれないのに…ね。
2010.05.11 15:00
Title : 無題
そして、残念ながら…
もう、逃れることはできないでしょう…
火巳ヶ家 2010.05.09 (Sun) 09:10 編集
Re:無題
レス主が死ぬまで憑いてきますね。
2010.05.11 15:14
Title : 無題
普通、2歳児を階段で一人にしないだろ
邪魔ww
NONAME 2010.05.09 (Sun) 09:17 編集
Re:無題
確かにジャマですけどねw
事故を起こして放置してもいい理由にはならないですよ。
2010.05.11 15:15
Title : 無題
罪を償う事から逃げ続ける代わりに、子供の復讐に追われるのか。
ようやく授かったお子さんを亡くしたご両親を思うと、あまりに不憫でならないね…
オッサン 2010.05.09 (Sun) 18:00 編集
Re:無題
階段に近づかないように、って物理的に不可能ですから、いずれは…。
2010.05.11 15:16
Title : 無題
まだ歩くのがやっとな年齢の子供を、混み気味のショッピングモールで歩かせるDQNを思い出しました。この話の両親もDQN親だったら、一気に後味の悪い話に…
ストライクドッグ 2010.05.09 (Sun) 21:49 編集
Re:無題
そういえば、最近ペット用のリードのようなもので繋いで歩かせる器具があるそうですが。
あれ、親としてどうなんだろ。
2010.05.11 15:17
Title : 無題
まあこの人が悪いけど
親の監督不行き届きも
ありますね
わたし飲食店勤めてるんですが
子供が店中走り回ってても
ほったらかしで酒飲んでる親とか
だいぶいらっとします
あついものとか運んでる人と
ぶつかったりしたら…とか
心配じゃないんですかね
ま 2010.05.10 (Mon) 01:44 編集
Re:無題
そうですね。
親の責任も多分にあると思います。
最近、飲み屋に子供をつれてくるバカ親が多いですけど、あれどうにかならないですかね?
2010.05.11 15:19
Title : 無題
階段使わない事なんてないだろうし、残念ながら。
火浦 2010.05.10 (Mon) 12:05 編集
Re:無題
普段の生活すら危ぶまれますね。
ご愁傷様です。
2010.05.11 15:25