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濡れ女(萌ver.)#1
2009.12.20 (Sun) | Category : 都市伝説・改変萌ver.
あの頃はまさか、こんなことになるなんて思ってもいなかった。
バイト帰りにいつも通る河川敷。あいにくの雨だが俺の好きな景色だ。
そんな場所であいつと出逢った。
少し石が盛り上がり、川幅が狭くなっているところに女がいた。
もう深夜0時を回っているのに女一人、しかも傘を差している様子も無い。
俺は心配になって、彼女のもとへ駆け出していた。
「どうしたんですか?こんな時間に女性一人なんて危ないですよ?」
彼女は俺の問いには答えず、無言のままこちらに振り向いた。
俺は言葉を失ってしまった。雨に濡れているはずなのに、艶やかに輝く長い黒髪。
アルピノかと思うほど白く美しい肌。星の光に照らされ輝く大きな瞳。
彼女を見ていると自分という存在が、どんなに卑小な存在が思い知らされるような気がした。
長い沈黙が続く、俺は彼女の瞳から目を離す事が出来なかった。彼女も俺の瞳を見つめている。
ふと彼女が微笑んだ。俺は笑顔で答えるしか無かった。
彼女の薄桃色の唇が開き、長い沈黙を打ち破る。
「男はみんな一緒・・・馬鹿な男。」
雨が紡ぎ出す音に消されてしまいそうな小さな声、しかしはっきりと聞こえた。
俺の意識が一瞬遠のく、次の瞬間には彼女は消えたように居なくなっていた。
自宅に着いたのは午前一時を少し過ぎたころだった。あれからどうやって帰ったのか覚えていない。
彼女は一体なんだったんだろう。もしかしたら、何もかも夢だったのかも知れない。
でも、彼女の言葉は俺の脳裏に焼き付いている。全ての男を呪うように感じられた。
彼女はどうして、あんな言葉を言ったのだろうか・・・それに着ている服もおかしかった。
いわゆる洋服ではない、和服だ。黒い生地に紋白蝶が描かれている美しい着物だった。
明日から、また大学だ。もう寝なくては・・・そうは思っても、俺の頭から彼女が消えることは無かった。
午前8時、もう大学へ行く準備をしないと遅刻してしまう。俺はインスタントのコーヒーを入れ、
3日前に買った食パンを手に取った。
「なんだこれ!?」
思わず声を上げてしまった。食パンは見るも無惨なほど青カビまみれになっていた。それだけではない。
封を切っていないパスタ麺にも、うっすらと青カビが生え始めている。6月だからカビ易いのは分かるけど、これは異常じゃないのか・・・。
しかし、そんなことを気にしている場合じゃない。俺は熱いコーヒーを胃に流し込み、大学へと向かった。
急いで大学へ向かった俺は、そんな俺を見つめる和服の女が居たことには気がつくはずもなかった。
大学からの帰り道、俺は今日受けた講義を思い出していた。民族学の講義で九州地方に伝わる伝説を聞いたのだが、
その中に「濡れ女子」という妖怪の伝説があった。雨の日の晩に水辺に現れ、ニタリと微笑みかける。
それにつられて微笑み返した男は一生取り憑かれてしまうそうだ。
「まさかな・・・。」
俺は自嘲気味に笑い、夕食用にレトルト食品を買う。
アパートの自分の部屋の前に俺は立ちつくしていた。
鉄で出来ているドアに赤黒い錆が点々と現れていた。
俺は覚悟を決め、錆び付いたドアを開ける。
目の前に現れた光景に俺は言葉を失ってしまった。
「へ?部屋が片付いている・・・?」
実家の母が来たのだろうか、一人暮らしの男が作り出した異世界だったはずの俺の部屋はまるで新居のように綺麗に片づいていた。
「母さん、来てくれたのなら待っててくれても良いのに。けど、書き置きくらい残しておけよな。」
母が部屋を片づけてくれた喜びもつかの間、俺はある可能性を思いついてしまった。
。
。
やはり・・・俺の秘蔵のエロコレクションが無くなっている。
すぐに部屋を片づけてくれた礼を言うつもりが、この一件の御陰で電話する気も失せてしまった。
ふと、背後に気配を感じ、俺は振り返った。そこには昨夜の彼女が立っていた。
あの時と全く同じ・・・濡れた長い髪のまま。
(つづく)
バイト帰りにいつも通る河川敷。あいにくの雨だが俺の好きな景色だ。
そんな場所であいつと出逢った。
少し石が盛り上がり、川幅が狭くなっているところに女がいた。
もう深夜0時を回っているのに女一人、しかも傘を差している様子も無い。
俺は心配になって、彼女のもとへ駆け出していた。
「どうしたんですか?こんな時間に女性一人なんて危ないですよ?」
彼女は俺の問いには答えず、無言のままこちらに振り向いた。
俺は言葉を失ってしまった。雨に濡れているはずなのに、艶やかに輝く長い黒髪。
アルピノかと思うほど白く美しい肌。星の光に照らされ輝く大きな瞳。
彼女を見ていると自分という存在が、どんなに卑小な存在が思い知らされるような気がした。
長い沈黙が続く、俺は彼女の瞳から目を離す事が出来なかった。彼女も俺の瞳を見つめている。
ふと彼女が微笑んだ。俺は笑顔で答えるしか無かった。
彼女の薄桃色の唇が開き、長い沈黙を打ち破る。
「男はみんな一緒・・・馬鹿な男。」
雨が紡ぎ出す音に消されてしまいそうな小さな声、しかしはっきりと聞こえた。
俺の意識が一瞬遠のく、次の瞬間には彼女は消えたように居なくなっていた。
自宅に着いたのは午前一時を少し過ぎたころだった。あれからどうやって帰ったのか覚えていない。
彼女は一体なんだったんだろう。もしかしたら、何もかも夢だったのかも知れない。
でも、彼女の言葉は俺の脳裏に焼き付いている。全ての男を呪うように感じられた。
彼女はどうして、あんな言葉を言ったのだろうか・・・それに着ている服もおかしかった。
いわゆる洋服ではない、和服だ。黒い生地に紋白蝶が描かれている美しい着物だった。
明日から、また大学だ。もう寝なくては・・・そうは思っても、俺の頭から彼女が消えることは無かった。
午前8時、もう大学へ行く準備をしないと遅刻してしまう。俺はインスタントのコーヒーを入れ、
3日前に買った食パンを手に取った。
「なんだこれ!?」
思わず声を上げてしまった。食パンは見るも無惨なほど青カビまみれになっていた。それだけではない。
封を切っていないパスタ麺にも、うっすらと青カビが生え始めている。6月だからカビ易いのは分かるけど、これは異常じゃないのか・・・。
しかし、そんなことを気にしている場合じゃない。俺は熱いコーヒーを胃に流し込み、大学へと向かった。
急いで大学へ向かった俺は、そんな俺を見つめる和服の女が居たことには気がつくはずもなかった。
大学からの帰り道、俺は今日受けた講義を思い出していた。民族学の講義で九州地方に伝わる伝説を聞いたのだが、
その中に「濡れ女子」という妖怪の伝説があった。雨の日の晩に水辺に現れ、ニタリと微笑みかける。
それにつられて微笑み返した男は一生取り憑かれてしまうそうだ。
「まさかな・・・。」
俺は自嘲気味に笑い、夕食用にレトルト食品を買う。
アパートの自分の部屋の前に俺は立ちつくしていた。
鉄で出来ているドアに赤黒い錆が点々と現れていた。
俺は覚悟を決め、錆び付いたドアを開ける。
目の前に現れた光景に俺は言葉を失ってしまった。
「へ?部屋が片付いている・・・?」
実家の母が来たのだろうか、一人暮らしの男が作り出した異世界だったはずの俺の部屋はまるで新居のように綺麗に片づいていた。
「母さん、来てくれたのなら待っててくれても良いのに。けど、書き置きくらい残しておけよな。」
母が部屋を片づけてくれた喜びもつかの間、俺はある可能性を思いついてしまった。
。
。
やはり・・・俺の秘蔵のエロコレクションが無くなっている。
すぐに部屋を片づけてくれた礼を言うつもりが、この一件の御陰で電話する気も失せてしまった。
ふと、背後に気配を感じ、俺は振り返った。そこには昨夜の彼女が立っていた。
あの時と全く同じ・・・濡れた長い髪のまま。
(つづく)
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Title : 無題
こりは(゜∀゜;ノ)ノかなり続きが気になって参りました!
ガッテン 2009.12.21 (Mon) 02:19 編集
Re:無題
続きをお楽しみに!!!ww
2009.12.21 22:44
Title : 無題
あれ?おかしいな…
F5連打しても続きが読めない…?
まだかまだか!
(;∇;)
NONAME 2009.12.21 (Mon) 18:00 編集
Re:無題
もうちょっとまってぇ…ww
2009.12.22 00:29