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のっぺらぼう(萌ver.)
2009.12.15 (Tue) | Category : 都市伝説・改変萌ver.
日本の古典怪談というか、落語と言うか。
「こんな顔だったかい?」
というセリフで有名な「のっぺらぼう」も時代の波には逆らえなかった模様。
- - - - - -
夜の散歩が僕の最近のマイブームだ。
家族が寝静まった深夜十二時、僕はいつものように黒いウインドブレイカーをパジャマの上から着て家を出る。
今日は登校時に通る公園まで行こうと思っている。
ちょうど真ん中に西口から東口まで通じる四十メートル程の石でできた一本道があり、その左側には電柱の半分くらいの高さの木が縦に三本並んでいて、右側には三本の木が二本目の木を中心に横に並んで見えるベンチがある。
他にはいくつかの遊具が右側にある程度だ。
近所に他の公園が無かったのもあって小さい頃はよくここで遊んでいたし、僕にとって結構馴染みのある場所でもある。
公園に入ってすぐ、十時の方向――二本目の木の近くに立った白い和服を着た黒髪の女性の後姿が僕の目に映った。
(何をやっているんだろう?夜中に女性が一人だなんて物騒だな)
僕は女性の方へ足を運び、
「何をしているの?」
と尋ねた。
女性は後ろを向いたまま
「こうしてね・・・誰か人が来るのを待っているのよ」
と答えた。
「何故人を待っているのか、僕にはわからないけれど、こんな夜遅くに女性が出歩くのは危ないんじゃないかな」
「ふふふ、心配いらないわ。だって、私・・・」
と言って、こっちを振り向きながらやや低い声で
「のっぺらぼうだもの!」
……のっぺらぼう?僕の目の前にいる女性には耳も目も鼻も口も、有る。少なくとも、僕のイメージするのっぺらぼうとは違う。
僕がまったく驚いていない姿を見て、女性は何かに気がついたかのように
「あっ!」
と言ってまた後ろを向いた。
そして再度、振り向いた。ゆで卵のように白いつるんとした顔。
うん、今度はちゃんとしたのっぺらぼうだ。だけど・・・
「あ・・えっとごめん、脅かすタイミングがちょっとずれててあまり怖くないや・・」
僕が言うと、彼女は
「なっ・・・」
と、いつのまにか元に戻っていたその顔の頬を赤らめて
「きょ・・今日はちょっと調子が悪かっただけよっ・・!」
と言った。
「そんなことより・・あなた」
と黒く大きな瞳を鋭くさせて彼女は言った。
「こんな夜遅くまで起きてちゃ駄目じゃない、明日も学校でしょう」
「うーん、まぁ、そうなんだけど。夜に散歩をするのが楽しくてさ」
「駄目よ。今日だって遅刻しそうだったじゃない」
「え?なんで知ってるの・・?」
「それは・・・・その・・あなたのこと・・いつもここで見てるから・・・」
彼女は照れくさそうに言って、視線をそらした。
「もしかして、今日、驚かそうとしたのも僕が夜中に出歩かないようにするために・・・」
「べ・・・別に、そ・・、そ、そんなんじゃないわよっ!私がただ人を驚かせるのが好きなだけなんだから!」
顔を赤くさせて彼女が言った。おどおどとした表情が実に可愛らしい。
「そっか、それじゃあ、そうなのかな」
「そ、そうよ!私は人を怖がらせるのが好きな悪い霊なの!だから・・あなた夜更かししてたら祟っちゃうんだから!」
「うん、わかった。もう夜中に出歩くのは止すよ。」
「わ・・わかればいいの!それじゃあね!」
と言って彼女は、スーっと消えていった。
僕は約束の通り、それからは夜中に散歩をするのを止めた。
彼女にまた会いたいと思ったりもしたけれど、思いだけに留めている。彼女は今日もこの公園で僕を見守ってくれているのだと思うから。
僕は立ち止まって誰もいない2本目の木を見つめ、軽く手を振った。
「こんな顔だったかい?」
というセリフで有名な「のっぺらぼう」も時代の波には逆らえなかった模様。
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夜の散歩が僕の最近のマイブームだ。
家族が寝静まった深夜十二時、僕はいつものように黒いウインドブレイカーをパジャマの上から着て家を出る。
今日は登校時に通る公園まで行こうと思っている。
ちょうど真ん中に西口から東口まで通じる四十メートル程の石でできた一本道があり、その左側には電柱の半分くらいの高さの木が縦に三本並んでいて、右側には三本の木が二本目の木を中心に横に並んで見えるベンチがある。
他にはいくつかの遊具が右側にある程度だ。
近所に他の公園が無かったのもあって小さい頃はよくここで遊んでいたし、僕にとって結構馴染みのある場所でもある。
公園に入ってすぐ、十時の方向――二本目の木の近くに立った白い和服を着た黒髪の女性の後姿が僕の目に映った。
(何をやっているんだろう?夜中に女性が一人だなんて物騒だな)
僕は女性の方へ足を運び、
「何をしているの?」
と尋ねた。
女性は後ろを向いたまま
「こうしてね・・・誰か人が来るのを待っているのよ」
と答えた。
「何故人を待っているのか、僕にはわからないけれど、こんな夜遅くに女性が出歩くのは危ないんじゃないかな」
「ふふふ、心配いらないわ。だって、私・・・」
と言って、こっちを振り向きながらやや低い声で
「のっぺらぼうだもの!」
……のっぺらぼう?僕の目の前にいる女性には耳も目も鼻も口も、有る。少なくとも、僕のイメージするのっぺらぼうとは違う。
僕がまったく驚いていない姿を見て、女性は何かに気がついたかのように
「あっ!」
と言ってまた後ろを向いた。
そして再度、振り向いた。ゆで卵のように白いつるんとした顔。
うん、今度はちゃんとしたのっぺらぼうだ。だけど・・・
「あ・・えっとごめん、脅かすタイミングがちょっとずれててあまり怖くないや・・」
僕が言うと、彼女は
「なっ・・・」
と、いつのまにか元に戻っていたその顔の頬を赤らめて
「きょ・・今日はちょっと調子が悪かっただけよっ・・!」
と言った。
「そんなことより・・あなた」
と黒く大きな瞳を鋭くさせて彼女は言った。
「こんな夜遅くまで起きてちゃ駄目じゃない、明日も学校でしょう」
「うーん、まぁ、そうなんだけど。夜に散歩をするのが楽しくてさ」
「駄目よ。今日だって遅刻しそうだったじゃない」
「え?なんで知ってるの・・?」
「それは・・・・その・・あなたのこと・・いつもここで見てるから・・・」
彼女は照れくさそうに言って、視線をそらした。
「もしかして、今日、驚かそうとしたのも僕が夜中に出歩かないようにするために・・・」
「べ・・・別に、そ・・、そ、そんなんじゃないわよっ!私がただ人を驚かせるのが好きなだけなんだから!」
顔を赤くさせて彼女が言った。おどおどとした表情が実に可愛らしい。
「そっか、それじゃあ、そうなのかな」
「そ、そうよ!私は人を怖がらせるのが好きな悪い霊なの!だから・・あなた夜更かししてたら祟っちゃうんだから!」
「うん、わかった。もう夜中に出歩くのは止すよ。」
「わ・・わかればいいの!それじゃあね!」
と言って彼女は、スーっと消えていった。
僕は約束の通り、それからは夜中に散歩をするのを止めた。
彼女にまた会いたいと思ったりもしたけれど、思いだけに留めている。彼女は今日もこの公園で僕を見守ってくれているのだと思うから。
僕は立ち止まって誰もいない2本目の木を見つめ、軽く手を振った。
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Title : 無題
あら、まぁ…
完璧にツンデレ化しやがって…
萌Verの素晴らしさは、この上ないですね。
火巳ヶ家 2009.12.16 (Wed) 07:51 編集
Re:無題
他の萌えver.とは違って、安易に男と女の関係が明記されないところが秀逸だと思うんですがどうでしょうか。
2009.12.16 18:04
Title : 無題
彼に人間の彼女が出来た場合はどうなるんだろうか…ちょっとドキドキ
NONAME 2009.12.16 (Wed) 16:21 編集
Re:無題
この霊の場合はそれほどでもないと思いますが…他の萌ver.の女性たちだったら何をするかわかりません…こわい。
2009.12.16 18:07
Title : 無題
↑ヤンデレになっちゃう
マガンドルーズ 2009.12.17 (Thu) 20:04 編集
Re:無題
ヤンデレ…あれは怖い…
(((;><)))
2009.12.19 20:00
Title : 無題
何で萌verの話は全部ツンデレなんだろう。
うにゃ 2009.12.27 (Sun) 16:34 編集
Re:無題
多分、もともと幽霊は怖いものだから、それがデレるという話が一番作りやすいんでしょうね。
2009.12.28 15:30