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都市伝説・・・奇憚・・・blog

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2024.11.22 (Fri) Category : 

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最終電車

2008.10.01 (Wed) Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象

 僕の家から会社までは、小さな私鉄の電車で約30分です。都会では考えられないでしょうが、行きも帰りもほとんど座って通勤しています。その電車で帰宅途中、無気味な出来事を体験しました。 

 その日、僕は部長の誘いで飲みに行き、12時前の終電にようやく間に合いました。 
タクシーで帰ると1万円弱かかりますから、とりあえず電車にのれた事でほっとしながら座席に腰をおろしました。 
 
 田舎の事なので、終電といっても静かなものです。どうやらこの車両には僕ひとりのようでした。僕は足を前の座席にのばすと、酔いのせいもあって、すぐに居眠り始めました。何分くらいたったでしょうか。僕は、小さな声で目をさましまた。 
 
くすくすと笑う声は、どうやら小さな子供と、若い母親のようです。 
 子供「ねえ、この電車もよくのったよね。」 
 母親「そうね。けんちゃん、電車すきだったものね。」 
 子供「うん。○○駅に行った時はとっても楽しかったね。」 
 母親「そうね、できたら、東京駅とか、国鉄の大きな駅にも連れていってあげたかったわ」 
 子供「うん、夜行列車、いちど乗ってみたかったな」 

 僕は夢うつつに親子の会話を聞いていました。車両は4人がけの座席になっているので、姿は見えませんでしたが、けっこうはっきり聞こえてくるということは、すぐ近くのシートにいるのでしょうか。どこか途中の駅で乗ってきたのかな、と思いました。 
 
 母親「けんちゃん、国鉄にはあんまりのせてあげられなかったものねえ」 

 コクテツ、という響きが奇妙に感じました。JRになってからもう15年以上たつのではないか。そんな事を考えているうちに、目がさめてきました。 

 僕はそっとシートから体を乗り出して、周りを見回しましたが、親子の姿などこにも見えないのです。 
 僕からは死角になっているところに座っているのだろうか。思い巡らしているうちに次の駅につき、乗降のないまま、発車しました。 

 またうとうとしはじめると、それを待っていたかのように、親子のひそひそ声が聞こえてきました。 
 母親「けんちゃん、あの時はこわかった?」 
 子供「ううん、お母さんが一緒だったもん。ぜんぜん平気だったよ」 
 母親「でも、痛かったでしょう。」 
 子供「んー、わかんない。でも、大好きな電車だったからよかった。」 
 母親「そう、そうよね。けんちゃんの好きな、この青い電車をえらんだんだもの。_ 
 子供「あ、もうすぐあの踏切だよ。」 
 
子供がはしゃいだ声をだしました。僕はぼんやりと窓の外をみました。カーブの先田畑の中に、ぼんやりと浮かぶ踏切の赤いシグナル。その踏切に親子らしい人影がたっていました。親子は、下りた遮断機を、くぐり抜けようとしているようにみえました。
 
 キキキキーーーーーー と電車が急ブレーキをかけると同時に、鈍い衝撃が伝わってきました。そして、僕の座っているシートの窓ガラスに、ピシャっと赤い飛沫がかかりました。全身の血の気が引く思いで、僕は思わずドアの方へと走ろうとしました。 
 
 しかし…座席から立ち上がってふと気付くと、電車は元通り走っています。僕の心臓だけが、激しく鼓動をうっていました。 
 
 夢か…。と立ち上がったついでに車内をみまわしましたが、やはり誰もいません。 
 
 さっきから聞こえてきた親子の会話も、夢だったのかもしれない。そう思って気を落ち着かせると、一人で車両に乗っているというだけでおびえている自分が情けなくさえ思えてきました。 
 
 終点です、と車内アナウンスが聞こえ、ようやく電車が本当に減速しはじめました。僕はコートと鞄を抱えて、出口にむかいました。ホームの明かりが見え始めました時、はっきりと後ろに人の気配を感じました。なにか、ぼたぼたと水滴の落ちるような音もきこえてきました。 
 
目をあげ、僕の背後に映った人影を見た瞬間、僕は思わず持っていた物を取り落とし、そのうえ、腰をぬかしてしまったのです。 
 
 ガラスに映っていたのは、五歳くらいの子供を抱いた、若い母親でした。母親の左腕はから先がなく、胸もずたずたで、その傷口から血をぼとりぼとりとたらしていました。 
 
そして右腕で抱き締められている子供は左半身が潰されて、ほとんど赤い肉塊にしかみえませんでした。 
子供は、残っている右目で僕をジッと見つめていました。 
 
 その後はあんまり覚えていません、へたり込んでいる僕を駅員が引っぱりだしそのまま事務所で冷たい水をだしてくれました。 
 
 車内の出来事をその駅員に聞くことはできませんでした。実際に飛び込み自殺があったといわれるとおかしくなりそうでしたから。 








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