ホームレスハンター

仕事帰りの男性が夜の公園の前を通り掛かると、ベンチの近くで何かがうごめいていた。

人だった。ボロキレを着たホームレスのような男が丸くうずくまっていた。
男は心配になり、うずくまるホームレスに近づいて行った。

よく近づいてみるとホームレスは血まみれだった。手足には手錠がはめられていて身動き出来ないでいた。
男が近づくとホームレスは反応し、顔をこちらに向けた。それはもはや原型を失い顔とは呼べない程ぐちゃぐちゃになっていた。
目は完全に潰れ、鼻から骨がはみ出て口が裂け歯が剥き出しになっていた。

「あ…が…ふぃ……」
ホームレスは何か呟きながら男の足に這い寄ってきていた。
その直後、物陰から何者かが飛び出し、男の背中を金属バットで殴りつけた。

「うぐ………」
たまらず男はその場にへたれこんだ。
あちこちに血が染みたジャージを着た中年男がバットで男をメッタ打ちにしていた。
男は次第に意識が遠のいていった。

翌朝、男は体中に大ケガをした状態で通行人に発見された。
しかし男が見たあのホームレスの姿はどこにも無かったそうだ。
男の背中には紙が貼られて、こう書かれていた。

「ホームレスじゃなかったから殺さなかった」
男は入院してなんとか全治した。
しかし犯人は未だに捕まっていないらしい。