都市伝説・・・奇憚・・・blog
最後のあいのり
2008.07.02 (Wed) | Category : 誰も信じない人へ
数年前、高一の頃の話です。
私にはKという彼氏がいましたが、学校が別なこともありほとんど接点がなく、放置状態でした。
それから同じクラスのTという男の子ととても仲がよかったのですが、彼とは恋愛関係というより親友に近い感じでした。
Tは、別のクラスにMという彼女がいました。こちらは私とKと違い、誰もが認めるような仲良しな2人でした。
MはいつもTのいる私のクラスに来ていたので、いい子ではあったけれど、自分のクラスにはあまり友達がいないみたいでした。
私とTは部活をしていましたが、Mはしていなかったので、Mはよく先に帰りTは私と帰ることが多かったです。
夏休み後の秋のある日、私が部活を終えて教室に戻ると、Tが一人でいました。Tも部活が終わったようでした。
私はいつも駅から自転車通学なのですが、その日はたまたま朝バスか何かで来ていたので、駅まで歩かなくてはいけなかったのです。
これはラッキーと思って、Tに駅まで乗せていってもらおうと考えました(Tと私は路線が違いましたが乗る駅は同じでした)。
しかしTは
「今日は行くとこがあるからだめ」
と断りました。
珍しいなーと思いつつ、教室を出るTを見送って、私も帰りの支度をし、教室の鍵を職員室に返してから校舎を出ました。
それから門を出ようと自転車置場の脇を通ると、けっこうのんびりしていたのに、そこにはまだTがいました。
私が
「まだいたの?」
と聞くと、Tは
「やっぱり乗せてってやる」
と言いました。ヘンに思いながらも、私はTの後ろに乗りました。
ふだん私とTは、冗談を言い合ったり、会話が絶えることがなかったのですが、なぜか2人とも口を閉じたままで、気まずくなりました。
しばらくして、突然Tが言葉を発しました。
「俺、お前のこと好きだったかも。」
正直嬉しかったです。私の彼氏は名ばかりで、実際にはほとんど会ってすらなかったし、好きでもありませんでした。
私の返事を待たずにTは続けました。
「でもMが俺のこと好きだって告ってきたから。俺、Mも好きなんだ。ごめんな。」
「だからってわけじゃないけど、お前は彼氏と仲良くしたほうがいいよ。」
珍しく妙に説教くさいTの言葉に、私はなんで?と聞き返しました。私は、Tの私が好きという発言ではじめて、
本当に好きなのは誰なのかに気付いたと思ったのです。
Tは
「お前の彼氏はお前が好きなんだから仲良くしてやれ」
のようなよく意味のわからないことを言っていました。
私はTの顔が見たかったけれど、後ろに座っていたので無理でした。
その後もTは
「Mは友達が少ないから、友達になってやって」
だとか
「親は大事に汁」
だとか、説教を続けていました。
私はわけがわからなくて、ほとんど黙っていました。
駅につくと、Tはなぜか私を駅の前に降ろして自分は自転車のままどこかへ行こうとしました。
「どこ行くの?」
と聞くと、Tはまた曖昧な答えを返して、
「じゃあね」
と手を振りながら、どこかへ行ってしまいました。
予想つく方もいらっしゃると思いますが、その晩、Tの訃報が連絡網で伝わってきました。
交通事故だったとのこと。
おかしいのは、事故が起こった時間と、私とTが一緒にいた時間が、かなり近いということです。
事故が起こった場所は、私たちの通学路の途中でしたが、私たちは事故の現場らしきものは見ませんでした。
ということは、あの時一緒にいたTは本物? しかしTは、自分が死ぬことを知っているような口調で、私に話をしました。
さらに教室で会ったときに
「行くところがある」
と行っていたのも、買物ならよく一緒に行ったのに、なぜ一人で行きたがったのか?
もしかして天国のこと?などなど、疑問が多く残ります。
とりあえずあの後、私はTのいいつけを守って(?)、Kとも仲良くなったし(今は別れましたが)、Mとも友達になりました。
言っていたこととか、正直うろ覚えですが、Tのことはずっと忘れないと思います。
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