都市伝説・・・奇憚・・・blog
二人だけのお別れ会
2008.06.17 (Tue) | Category : 誰も信じない人へ
この時期になると思い出す、もうず~っと前の話。
オレが小学校5年生の時、隣のクラスにKという女の子が居た。
容姿は普通だが、笑顔がかわいくてオレはいつしかKが好きになっていた。
しかし、照れ屋なオレには告白など出来るはずもなく、放課後に近所の神社でみんなで一緒に遊ぶのが精一杯だった。
そんなある日、いつもは早めに帰るKが珍しく遅くまで残って遊んでいた。
一人減り、二人減り、そして遂にオレとKの二人だけになった。
俺「K、珍しいな。お前いつも早く帰るのに。」
K 「・・・M君(俺のこと)に話したい事があったから・・・」
俺「えっ?俺に?」 ←(この時、心臓バクバク)
K 「あたしんち、引っ越すことになったの。すっごく遠くへ。」
俺「・・・( ゚д゚)ポカーン・・・」
K 「一番初めに言っておきたかったんだ。あたし、M君のこと好きだったんだよw」
ここまで言うと、Kは走って帰っていった。
俺は、あまりの急な展開に( ゚д゚)ポカーンとしたまま動けなかった。
後で知ったが、Kは親の仕事の都合で仙台へ、夏休みに入ってからすぐ引っ越すということだった。
それから一週間ぐらい過ぎ、夏休みに入った次の日だった。
オレは朝からいつもの神社で一人でベンチに座っていた。
境内には珍しく人影が無く、クマゼミだけが忙しく鳴いていた。
あれ以来、Kとは話をしていない。
顔を合わせても、なんと言っていいか解らなかったから。
妙な空しさだけが心に広がっていた。
「M君・・・」
社の方からKの声がした。裏手に回ってみるとKが立っていた。
彼女はまっすぐオレを見つめて、手にもった小さな袋を差し出した。
「いままでありがとう。M君のこと、忘れないよ。」
オレが小袋を受け取ると同時にKの顔が近づき、お互いの唇が微かに触れた。
顔が離れると、オレは恥ずかしさのあまり暫く下を向いていた。
・・・何か言おう、言わなきゃ!と顔を上げると、Kは涙目にむりやり笑顔を造り何も言わずに走って行ってしまった。
なかば放心状態でベンチに戻った。小さな袋の中身は白いハンカチだった。
しばらくすると、隣のクラスのヤツが数人歩いてきた。
学校の教室を借りてKのお別れ会をやってきたらしい。
オレがKと会っていた時間は、お別れ会の真っ最中・・・
あの時のKは、記憶が勝手に作り出した幻想だったのだろうか・・・?
しかし白いハンカチは今でも実家に残っています。
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