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洒落にならないかどうかはわからんが、俺が幽霊を見せてもらった話。
2022.04.15 (Fri) | Category : ミステリー・不思議な話
550:本当にあった怖い名無し:2021/12/22(水)10:57:32.45ID:AAw0gkOM0.net
洒落にならないかどうかはわからんが、俺が幽霊を見せてもらった話。
中学の時、クラスにちょっと変わった姉弟がいた。
姉のA子が4月、弟のB男が3月生まれのいわゆる年子で、2人ともクラスでは少し浮いた存在だった。
痩せぎすで突き出た頬が特徴的な姉とは対照的に、柔道部にでもいそうながっちり体型の弟。
2人とも大人しい性格で口数は多くない。
そんなA子から話しかけられたのは中2の秋だった。
「ねえ、幽霊見たくない?」
突然の声かけに驚いたが、話には興味がそそられた。
俺は昔からオカルト好きで、夏にはクラスの連中とよく怪談話で盛り上がっていた。
猿夢とか八尺様とか、オカ板で見つけた話をよく披露してたから、クラスではちょっとした怪談通ってポジションだった。
A子が俺に声をかけたのはそれが理由だったらしい。
幽霊を見つけて誰かに話したいけど、まともに聞いてくれそうなのは俺ぐらいしかいなさそうだったと。
「幽霊ってどこにいんだよ?」
「学校終わったらB男と案内するからついてきて」
551:本当にあった怖い名無し:2021/12/22(水)10:58:33.05ID:AAw0gkOM0.net
放課後、俺は親友のNを誘って姉弟と一緒に幽霊ツアーに出かけた。
着いたのは峠道の入口近くに建つボウリング場の廃墟。
もう10年以上も前に廃業したボウリング場で、1階が駐車場、2階がボウリング場といった造りだ。
建物の老朽化はかなり進んでいて、相当寂れている。
窓ガラスはほとんど破られ、壁面はスプレーの落書きで埋め尽くされている。
地元の暴走族がたまり場に使っているようなところだから、学校でも近づかないよう厳重に注意されている場所だ。
「こんなとこ、勝手に入って大丈夫なのかよ?」
俺は少しだけ不安になって、A子に聞いた。
「大丈夫、この時間は誰もいない。B男と何度も来てるけど、誰かに会ったことは一度もないから」
そう言うとA子はどんどんと敷地の中に入っていく。
俺たちも黙って後を付いていった。
「ここだよ」
1階駐車場の奥にある内壁の前に立ってA子は言った。
経年劣化のせいでだいぶ朽ちてはいるが、どう見ても普通のコンクリート壁だ。
「じゃあB男、そこに立って」
と、A子は弟に立ち位置を指示すると、鞄から懐中電灯を取り出した。
駐車場は開放式で、周囲から外光が入ってくるけど当然ながら照明はない。
薄暗くはあるが、移動は特に差し支えない程度の明るさだ。
それでも傾きかけた夕日のせいで、徐々に暗さが増している。
552:本当にあった怖い名無し:2021/12/22(水)10:59:33.87ID:AAw0gkOM0.net
「じゃあいい? 幽霊出すよ」
A子はそう言うと懐中電灯をつけ、B男に向けた。
「あっっ!!」
俺とNは思わず声を上げた。
コンクリート壁に映ったB男の影、ちょうど頭の位置に女の顔が映っている。
色は白黒だが、うつろな目つきのやつれた表情がはっきりとわかる。
「スゴいでしょ。B男、ちょっと頭振ってみて」
A子に指示されたB男は首を左右に振る。
すると驚いたことに、壁に映った女の顔もB男の動きに合わせて首を振っている。
当時は知らなかったが、今思うとモニターに映ったアバターのような動きだった。
俺は完全にパニック状態だが、Nが耳元でささやいた。
「おい、これ、ヤベぇんじゃねえか…」
Nの声に少し正気を取り戻した俺は、改めて姉弟と壁に映る女を見た。
「ス、スゲェな、幽霊初めて見たわ」
だいぶうわずった声だったろうけど、俺は冷静な風を装って言葉を続けた。
「ま、でも俺らそろそろ帰んないと、他に行くとこあるし」
「なに、ビビってんの? コイツここから動かないから怖くないよ」
そんなA子の言葉を尻目に、俺とNはそそくさとその場を離れた。
553:本当にあった怖い名無し:2021/12/22(水)11:00:34.47ID:AAw0gkOM0.net
その後は特に何もない。
俺もNも姉弟とは距離を取ってそのまま卒業した。
姉弟の消息は知らないし調べる気もない。
ボウリング場は数年前に解体され、今ではただの空き地になっている。
あの女は今でもそこにいるのだろうか?
壁に映った顔はたしかに衝撃だったが、俺がいちばん恐ろしかったのはA子だ。
あの時、嗤いながら弟を懐中電灯で照らすA子の顔は口が耳まで裂け、目が3倍ぐらいの大きさに見えた。
何かに取り憑かれてたのか、俺の心理状態がそんな幻覚を見せたのかはわからないが、今でもあの顔を夢に見る。
幽霊を見せてもらった話はこれで終わり。
正直言うと俺とNの見たモノが幽霊だったのか、本当のところはわからない。
が、なにか人智を越えた現象であったことは間違いない。
それだけは確信している。
554:本当にあった怖い名無し:2021/12/22(水)11:04:26.56ID:lupvjxu+0.net
>>553
新しい見え方の幽霊だな
面白かった
引用元:死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?365
http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1636630690/550-554
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洒落にならないかどうかはわからんが、俺が幽霊を見せてもらった話。
中学の時、クラスにちょっと変わった姉弟がいた。
姉のA子が4月、弟のB男が3月生まれのいわゆる年子で、2人ともクラスでは少し浮いた存在だった。
痩せぎすで突き出た頬が特徴的な姉とは対照的に、柔道部にでもいそうながっちり体型の弟。
2人とも大人しい性格で口数は多くない。
そんなA子から話しかけられたのは中2の秋だった。
「ねえ、幽霊見たくない?」
突然の声かけに驚いたが、話には興味がそそられた。
俺は昔からオカルト好きで、夏にはクラスの連中とよく怪談話で盛り上がっていた。
猿夢とか八尺様とか、オカ板で見つけた話をよく披露してたから、クラスではちょっとした怪談通ってポジションだった。
A子が俺に声をかけたのはそれが理由だったらしい。
幽霊を見つけて誰かに話したいけど、まともに聞いてくれそうなのは俺ぐらいしかいなさそうだったと。
「幽霊ってどこにいんだよ?」
「学校終わったらB男と案内するからついてきて」
551:本当にあった怖い名無し:2021/12/22(水)10:58:33.05ID:AAw0gkOM0.net
放課後、俺は親友のNを誘って姉弟と一緒に幽霊ツアーに出かけた。
着いたのは峠道の入口近くに建つボウリング場の廃墟。
もう10年以上も前に廃業したボウリング場で、1階が駐車場、2階がボウリング場といった造りだ。
建物の老朽化はかなり進んでいて、相当寂れている。
窓ガラスはほとんど破られ、壁面はスプレーの落書きで埋め尽くされている。
地元の暴走族がたまり場に使っているようなところだから、学校でも近づかないよう厳重に注意されている場所だ。
「こんなとこ、勝手に入って大丈夫なのかよ?」
俺は少しだけ不安になって、A子に聞いた。
「大丈夫、この時間は誰もいない。B男と何度も来てるけど、誰かに会ったことは一度もないから」
そう言うとA子はどんどんと敷地の中に入っていく。
俺たちも黙って後を付いていった。
「ここだよ」
1階駐車場の奥にある内壁の前に立ってA子は言った。
経年劣化のせいでだいぶ朽ちてはいるが、どう見ても普通のコンクリート壁だ。
「じゃあB男、そこに立って」
と、A子は弟に立ち位置を指示すると、鞄から懐中電灯を取り出した。
駐車場は開放式で、周囲から外光が入ってくるけど当然ながら照明はない。
薄暗くはあるが、移動は特に差し支えない程度の明るさだ。
それでも傾きかけた夕日のせいで、徐々に暗さが増している。
552:本当にあった怖い名無し:2021/12/22(水)10:59:33.87ID:AAw0gkOM0.net
「じゃあいい? 幽霊出すよ」
A子はそう言うと懐中電灯をつけ、B男に向けた。
「あっっ!!」
俺とNは思わず声を上げた。
コンクリート壁に映ったB男の影、ちょうど頭の位置に女の顔が映っている。
色は白黒だが、うつろな目つきのやつれた表情がはっきりとわかる。
「スゴいでしょ。B男、ちょっと頭振ってみて」
A子に指示されたB男は首を左右に振る。
すると驚いたことに、壁に映った女の顔もB男の動きに合わせて首を振っている。
当時は知らなかったが、今思うとモニターに映ったアバターのような動きだった。
俺は完全にパニック状態だが、Nが耳元でささやいた。
「おい、これ、ヤベぇんじゃねえか…」
Nの声に少し正気を取り戻した俺は、改めて姉弟と壁に映る女を見た。
「ス、スゲェな、幽霊初めて見たわ」
だいぶうわずった声だったろうけど、俺は冷静な風を装って言葉を続けた。
「ま、でも俺らそろそろ帰んないと、他に行くとこあるし」
「なに、ビビってんの? コイツここから動かないから怖くないよ」
そんなA子の言葉を尻目に、俺とNはそそくさとその場を離れた。
553:本当にあった怖い名無し:2021/12/22(水)11:00:34.47ID:AAw0gkOM0.net
その後は特に何もない。
俺もNも姉弟とは距離を取ってそのまま卒業した。
姉弟の消息は知らないし調べる気もない。
ボウリング場は数年前に解体され、今ではただの空き地になっている。
あの女は今でもそこにいるのだろうか?
壁に映った顔はたしかに衝撃だったが、俺がいちばん恐ろしかったのはA子だ。
あの時、嗤いながら弟を懐中電灯で照らすA子の顔は口が耳まで裂け、目が3倍ぐらいの大きさに見えた。
何かに取り憑かれてたのか、俺の心理状態がそんな幻覚を見せたのかはわからないが、今でもあの顔を夢に見る。
幽霊を見せてもらった話はこれで終わり。
正直言うと俺とNの見たモノが幽霊だったのか、本当のところはわからない。
が、なにか人智を越えた現象であったことは間違いない。
それだけは確信している。
554:本当にあった怖い名無し:2021/12/22(水)11:04:26.56ID:lupvjxu+0.net
>>553
新しい見え方の幽霊だな
面白かった
引用元:死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?365
http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1636630690/550-554
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