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都市伝説・・・奇憚・・・blog

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2024.12.05 (Thu) Category : 

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ー毒男の怖い話とか音楽とか雑談とかー <毒男シリーズ>

2020.05.14 (Thu) Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象

1:毒男◆B.DOLL/gBI 2020/05/05(火)21:37:24.68ID:YjxLmX+
|A-) 怖い話は探しながら人がいる限りゆっくりと
   怖い話書ける人、貼れる人はどうぞー
   レスがなくなったらさるさんくらったか寝たか人いなくなったと思ってね



10:毒男◆B.DOLL/gBI 2020/05/05(火)21:57:30.24ID:YjxLmX+

 ―宝石屋のオニーサン―
加藤さんが子供のころ、公園で遊んでいるとジーンズ姿の男が近づいてきた。
見たことのない男だった。

「キミ、これちょっと着けてくれる」

脂っけのない長い髪をした男はビーズのついたネックレスを加藤さんに見せた。

「子供だからね。キラキラしてるときれいだなって思ったよ」

加藤さんが恥ずかしがっていると横にいた友達が男に
「私がする」
と言ったのだが、男は首を振り、加藤さんがしないならあげないと言った。

「これは特別にオニーサンが作ったんだよ。オニーサンは宝石屋なんだ」

ネックレスには細い線がついていた。
「これなあに」

「電気でピカピカ光るからね。今、スイッチ入れてくる。すごくキレイに光るよ」

「やっぱり、私がしたいな」

「だめ…この首がいいから…」

たしか、男がそう言ったことを加藤さんは今でも憶えていた。

<この首がいい>…と。

男は加藤さんがネックレスを着けると<ピカピカ光るスイッチ>を入れに行った。

「そのままにしといてね。壊れやすいから」

男は念を押すように繰り返した。
「したいなぁ…」
友達が呟いた。
加藤さんは不意に外そうと思い、ネックレスを頭から<脱ぐ>ようにして外した。
そしてそばにあった枝の根元にかけた。
「あたし、していい?」
友達が立ち上がり、手に触れた瞬間。
車が急発進する凄まじい音と共にビンビンと空気が鳴った。

枝が激しく揺れると地面に落ち、公園の外までひきずられて止まった。
気がつくとネックレスをかけていた枝が根元からスッパリと落とされたように丸い切り口を見せていた。
ふたりともワッと声を上げると家に逃げ帰ったという。
結局、男は捕まらなかった。



15:毒男◆B.DOLL/gBI 2020/05/05(火)22:03:51.17ID:YjxLmX+

 ―狐憑きの顔―
私の友人A子さんに関する話をします。

彼女は数年前に離婚を経験しました。
直接的原因は、ご主人の家庭との不和。
一言で言えばそうなのですが、そこにはかなりいろいろ事情があります。

かいつまんで説明しますと、まずご主人の態度の変化から。
新婚半年目あたりから態度に変化が現れたそうです。
一言で言えば、「冷たくなってきた」。

それまで案外うまくいっていた姑にご主人のことを相談した時から、今度は舅・姑にも態度の変化が出現。ご主人を含め、3人から事あるごとにお前が悪いと非難されるようになった、とのこと。

そして出産後からは息子=孫はかわいがるが、嫁=A子さんに対しての態度は悪化していくばかりとなりました。それは端から見ている私の目にもひどいもので、いじめとしか思えないようなものでした。
詳細は書きませんが…常識を大幅にはずれたものであったとだけ書いておきます。

ある日、A子さんが
「離婚しようと思う」
と私に相談してきました。
それまでの惨状を見てきた私ですから、もちろん賛成ですが、その理由の一つを聞いて驚きました。
以下、その概略です。

義父は土地持ちで、A子さん夫婦はその義父の持つ広大な土地の一角に家を建てて暮らしていた。そこは150坪ほどの土地で、義父達が暮らす本家?とは畑を挟んで相対したものであり、また、A子さんの家の裏にはやはり義父の持っている雑木林が続いてあった。
その雑木林である日A子さんは壊れた材木のようなものを見つけた。
いろいろ聞いたり調べたりしているうちに、以下のことがわかってきた。

・A子さんの住む家はもと雑木林で、そこにはお稲荷さんが祀られていた
・義父の母親が毎日お稲荷さんにお供えをしていたが、母親が亡くなってからは誰もそれをしていなかった
・A子さん達が暮らす家は、お稲荷さんを壊した所に建てられていた、もちろん壊す時にお祓い等は一切しなかった

そこで義父にそれとなく周囲から聞いた話を小出しにし、放置されたお稲荷さんを再祀したらどうかという提言をした。
すると、まるで半狂乱になったような調子で、そんな必要はない、余計な口出しをするなと罵られた。

「私はお稲荷さんとか信じるわけじゃないけど、でもおろそかにすると祟られるとか言うじゃない?そう思ったから義父に進言したんだけど…でもその時の義父の怒った顔は本当にキツネのようで怖かった」
A子さんはそう言いました。

結局家裁で調停離婚となり、何とか子供も自分の元へ引き取ることもできたので、A子さんにとっては大変良い結果となりました。
その後、A子さん夫妻が住んでいた家は今はご主人の実家の物置と化しているそうで、雑木林にあったお稲荷さんの祠の残骸は今もそのまま野ざらしにされているそうです。

そして義父は今肝臓を患って入院中、元ご主人は離婚後勤めていた会社で大失敗をやらかしてクビになり失業、近所のコンビニでバイトしているとのこと。義母は怪しい宗教にクビを突っ込んでいて、毎週末に集会に通っている、とのことでした。

実は私、ここまでの話を1ヶ月ほど前にA子さんに直接会って聞いたんです。
そして彼女は、私との別れ際に、連れてきた子供に笑顔でこう言いました。
「いい気味よね」
その時のにやりとした彼女の顔は今でも夢に出るほどです。

本当にキツネ憑きにあった人のニタリ顔って、一度見たら二度と忘れることができないくらい怖いものなんだと、その時私は思い知らされたのでした…



21:毒男◆B.DOLL/gBI 2020/05/05(火)22:14:03.28ID:YjxLmX+

 ―○丸ダム―
これはつい最近の出来事なんだけど、俺は友人Yと一緒に東京の奥多摩にある○丸ダムってところに釣りに出掛けたんだ。
そこは釣り場にたどり着くのはちょっとしんどいけど結構いい釣り場で、地元の人間くらいしか来ない場所なんだ。

夜中に着いて日が昇るくらいまで釣るつもりで装備もバッチリだったんだけど、その日はなんか釣果が芳しくなくて、竿に鈴付けて放置してYとお喋りしながらまったりと過ごしてた。
その時、放置してあった俺の竿から鈴の音が
「ちり…ちり…ちりーん」
俺は慌ててあわせたんだが、どうやら逃げてしまったようで引きがない…
取り敢えず餌の付け替えをしようとリールを巻き上げ始めると、微妙に何かの感触を感じた…藻でも絡んでるのかな?

…絡んでたのは藻なんかじゃなかった…
30cmはある人の髪の毛がごっそりついて来た!!

俺と見守っていたYは声にならない悲鳴を上げ、俺は思わず竿を放り投げた。
しかし、気持ちが悪いとはいえ竿はかなり高価なものなので、仕方なくラインを切って竿だけは確保した。

まだまだ夜明けには時間があったけど、とても続行する気にはなれなくてその後はもう逃げるようにして立ち去ったんだけど、逃げ切ってはいなかったんだな…

帰りの車の中で俺たちはさっきの髪の毛について話し合い、いつの間にかお互いの持ちネタ(怪談ね)を披露しながら走ってた。
そのうちに、なんだか恐怖心も薄らいできて、俺もさっきの事は面白いネタになったくらいにしか考えなくなってた。

しばらく車を走らせてたんだけど、助手席の友人が喋らなくなったんで
「おい!?俺に運転させといて寝てるんじゃねーよ」
と隣を見ると友人は寝てるわけじゃなく、なんだか青っ白い顔しながら窓の外を見てる…
「おい!?気持ち悪いのか?」
「え!?い…いや…あのさ…変なこと聞くけど…」
「なんだよ!?」
「歩道に女が立ってるんだよ…」
「はぁ!?こんな時間にか!?どこだよ?」
「どこっていうかさ…ずっと居るんだよ…」
「え!?」
「さっきから何回も同じ女が立ってこっち見てるんだよ!!」

俺はYがまた俺をびびらせようとしてるんだと思いながらも、自然に歩道にやって背筋が凍りついた。
本当にいる…確かにYの言ったとおり歩道に女が立ってこっちを見てる。
俺が思わずYのほうを見るとYは黙って頷いた。
その後日が昇り、町へと出るまでに20回以上その女を見た…

もう2人とも無言のままで、地元に帰り着くと俺はYを家の前で降ろしバックミラーを気にしながら(かなり臆病になってた)家まで辿り着き、道具も放りだしてそのまま布団に包まった。
いつの間にか寝込んでいた俺をお袋がすげぇ怖い顔して起こしに来た。

「あんた!!あのクーラーボックスなに!?」
「へ!?いやちっこいのがチョロチョロ釣れただけだから今日は何も入れて帰ってきてないよ?」
そういいつつクーラーボックスの中を覗くと…
俺が釣り上げた「あの髪の毛」がごっそり…
ラインを切って置き去りにした髪の毛が…



24:毒男◆B.DOLL/gBI 2020/05/05(火)22:24:07.39ID:YjxLmX+

 ―幸せなら手をたたこう―
二年前の実話です。

ヨルダンの砂漠で迷子になりました。
周りは一面砂と空。
砂に埋もれてるきれいな人骨が友達に見えて安心感すら感じた。
夜になると急激に寒くなりそいつと自然に添い寝をした。

それから3日間がたった。
まだ2月だったので昼間でも日ざしはきつかったけど、気温はさほどでもなかったのが助かった。
その日奇跡的に通りかかったトルコ人バックパッカー二人組に助けられ、数キロ離れた遊牧民のベドウィンの家につれていってくれた。

着いてすぐ子供達に歓迎されあれこれ話しかれられたがアラビア語はまったく理解できなかった。
その家の家長はアリという人だった。アリはこの家で唯一英語が話せた。
僕が日本人だということを話すとアリは思い立ったように歌いはじめた。
「しあわせんあら…手を叩こ。しあわせんあら、手を…」
僕が
「何でその歌しってるの?!」
とびっくりして聞くと。
何年も前に一緒に数カ月、移動しながら暮らしていた日本人がいたことを話してくれた。


その話が出た時点でトルコ人の片方ハッサンが言った。
「さっきまでお前の隣にいたやつだよ。」
助けられたばかりで、すっかり気が弛んでいたところなだけに衝撃だった。
ああ見えてあそこは彼のお墓だったのだそうだ。
「日本人は友達思いだな。」
と言ってアリは笑った。
信じられないという思いもあったけど、その笑顔を見てその日本人は満足のいく一生を送ったように思われ、悪い気分にはならなかった。

数日後、体力を回復した僕は出会ったトルコ人の勧めでトルコへ渡り、ロシアを経由して日本へ帰国した。
骨になっていた彼の名前はアリが「たわし」と言っていたので「たかし」とか「ただし」みたいな名前だと思います。



26:毒男◆B.DOLL/gBI 2020/05/05(火)22:28:09.83ID:YjxLmX+

 ―キューピッド―
私にはA子という彼女がいました。
しかし社会人になり仕事が忙しくなると、デートの時間もなかなかとれず、お互いイライラが募り、すれ違いばかりで、喧嘩が絶えなくなりました。
ある日、彼女と大喧嘩をし、私は絶縁の言葉を投げかけ別れました。
その晩、変な夢を見たのです。

見知らぬ町を歩いていると、遠くから麦藁帽子をかぶった少年が自転車で近づいてきました。
そして
「僕はA子の兄だ。妹と別れるなら責任を取れ」
と言うのです。
彼女には生後3ヶ月で亡くなった兄がいたのは知っていました。
私が謝ると、お兄さんが着いて来るように言うので、従いました。
しばらく歩くと鬱蒼とした森に出ました。

突然、空から一羽の鳥が襲い掛かって来て、私の顔やら手やらを噛み千切ってきたのです。
私は血だらけになりながら、無我夢中で逃げましたが、どこまでも追ってきます。
そしてよく見ると、それは鳥ではなかったのです。
怒りに顔を歪め、恐ろしい形相をしたキューピッドなのです。

歯をむき出し、羽根をばたつかせて、
「キーキー!」
と奇声をあげて追いかけてきます。
いつの間にかお兄さんが自転車で私に併走していて、
「殺さないと食べられるぞ!」
と叫びました。キューピッドが飛びついてきて肩に噛み付いてきました。

血が噴出し、激痛が走り、本当に殺されると思い、必死でキューピッドの首を絞めました。
キューピッドは血だらけの顔を苦しそうに歪め…。
その時、何故か悲しくなり、手の力を緩めました。
キューピッドは急に大人しくなりました。同時に私の意識は朦朧とし、気を失いました。
遠のく意識の中、お兄さんが
「それはA子と君の子供だ」
と言ったのを聞きました。

目が覚めると、すぐにA子に電話をしました。
すると、A子は泣きながら、妊娠していることを告白しました。喧嘩ばかりで言い出せなかったのだと。
そしてなんと、黙って中絶することを考えていたのだと。
私達は話し合い、よりを戻しました。

それからは喧嘩もしなくなり私達は結婚し、A子も無事出産しました。
生まれた子供は夢の中のキューピッドとは全く似ていません。もちろん。
ただ、もしA子と別れ、中絶させていたら、この子は、あのキューピッドのような恐ろしい表情で、この世から消えていっていたのかも知れません。

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34:毒男◆B.DOLL/gBI 2020/05/05(火)22:44:29.44ID:YjxLmX+

 
 ―派出所の若い警官―
怖いかどうかは別として、とりあえず実話を…

俺はK県Z市って所に住んでる。で、隣がM市って所なんだが、今から20年以上前の話だ。
M市の国道沿いに派出所が有った。
中学生だった俺は、結構ヤンチャだったので、M市に行っては色々とゴタゴタ(警察沙汰ってやつね)を起こしてた。
で、ある日ゲーセンで5人ばかしと乱闘騒ぎになり、ツレと俺は補導(まぁ、逮捕に近かったんだけど)されてしまった。

で、その派出所に若い警官がいたんだ。一緒に捕まったツレと俺を後に気にしていてくれて、たまに顔を見に来ては海外のハードロックとか、バイクの話をして、雑談して行く。不良中学生と若い警官の交流だった(笑)

秋も深まったとある夜、ツレから電話があった。なにやら慌てている。
「お、おい!○○さん、し、死んじゃったぞ!」
電話の向こうでドモリながら怒鳴るツレ。
実はツレの家は、その派出所のすぐ近所にあり、20歩位歩くと派出所が見える位置にあった。

「マジ?どないしたんや?事故か?…まぁ待っとれ、今からオマエん家に行くわ!」
俺はRZ50(懐かしいでしょ?)に乗って、ツレの家に向かった。
ツレの家に着く前に、派出所が見えた。赤灯が回ってる…。
「…?…何や?」
疑問が湧いたが
とりあえずツレの家に直行した。玄関先でツレは待っていた。真っ青な顔をして。

「どういう事や?○○さん、この間も逢ったばかりやないか?」
「お、俺にも解らん!あのなぁ、○○さん、拳銃でドタマぶち抜いたんや!」
「はぁ~?この間初めての子供が出来たって、○○さん言うてたやん!マジかよ?」
「マジや!遺書も無かったみたいや。俺、昼にたまたま○○さんに逢って話したばっかりやのに…」
「変わった事無かったんか?」
「無い!いつもみたいに単車の話して、これから警邏に行くって言いよった。」

その後、二人で派出所に行ってみた。まだ鑑識(?)の奴等が出入りしていた。
1人を捕まえて
「○○さん、どないしたんですか?」
と、聞いてみた。
「五月蝿い!あっち行っとれ!オマエ等には関係ないこっちゃ!」
と、とりつく島もなく、俺達はけんもほろろで追い返された。

次の日俺は、オヤジの親友であるM市の警察官**さんに電話を掛けた。
小さい時から俺を知っているし、色々な犯罪捜査の話もしてくれていたから、きっと何か話してくれる筈。そう思ってオヤジに連絡を取って貰った。



35:毒男◆B.DOLL/gBI 2020/05/05(火)22:45:16.40ID:YjxLmX+
**さんの話は、俺の想像以上のものだった。

まず、○○さんは遺書さえも残さず、突然自分の頭を拳銃で撃ち抜いたらしい事。
派出所には二人勤務していて、もう1人が20分程留守にした間に自殺したって事。
その夜、同僚と夜釣りに行く約束をしたばっかりだったって事。

そして、**さんの話で一番怖ろしかったのが、その派出所で拳銃自殺をしたのが、○○さんで2人目だった。
しかも10年後のまったく同じ日に、同じ場所だったって事…

実は**さんは10年程前にその派出所に勤務していた。その日、**さんもそこに居た。
そして、**さんが20分程席を外した間に、一緒に勤務していた後輩が拳銃で頭を撃ち抜き、自殺。当然遺書など書いてはいない。
その人も自殺など考える様な悩みも無く、見合いで知り合った彼女と結婚間近の幸せな時だったらしい。
**さんが所用から帰って来た時には、完全に事切れていたって話だった。

その事件があってからしばらくして、その派出所は撤去され、長い間空き地になっていた。
今では某地方銀行のATMの駐車場になり、当時の面影はまったく無くなっている。

事件の夜、ツレの爺さんが俺達に言っていた事が忘れられない…


「あそこはなぁ昔、真裏にある神社の境内やったんや。それを戦後潰して、道を作った。たぶん神さんの通り道やったんやろうなぁ。世の中には触ったらいかんもんは、ようけある。」



50:毒男◆B.DOLL/gBI 2020/05/05(火)23:13:54.97ID:YjxLmX+

 ―山の話を3つほど―
山の話を3つほど

ひとつめ。
自分の親の知り合いが登山が趣味でそいつから聞いた話らしい。
この男がマニアで登山道の無いところを踏破する、通称「ルートファインディング」の趣味の持ち主。
彼が言うには、奥地に行くと絶壁を人がものすごいスピードで上がって行く様が見られるらしい。
当然、絶対にそれはこの世の人間ではない。


ふたつめ
その後、自分は大学でワンゲル部に入った。
先輩から先輩が雪山に入って避難小屋の中にテントを張って深夜、猛吹雪の中で外でアイゼン(登山靴に付ける雪用の鉄製の爪)を外す音がガチャガチャすると言う。その後誰も入ってこない。
深夜、吹雪の中でアイゼンを扱う人間など居るはずが無い。ましてや入ってこないのはおかしい。このようなカタチで遭難者の霊がさまよっているとのことだった。


みっつめ
その後社会人になってからヒマだったので社会人山岳会に少し居た。
その会では遭難しそうになって恐ろしくなりそれ以来、山はやめた。

遭難は会津の吾妻連峰に山スキーで入ったときのこと。
天気が回復するとの天気予報を信じて入山したんだが、一向に回復せず、吹雪が続いた。
やめれば良かったんだが深入りした我々3人パーティーは見事にホワイトアウト(吹雪で目の前が真っ白)に遭って道を見失い、気が付くと日没寸前でそのまま夜になった。
樹林帯を寝ずに突っ切らないと凍死するため、夜間強行を実施しずいぶん遅くまでさ迷った。

余談だが、人間って極言状況になると幻覚が見えるのよ。
自分の場合は木々の向こうに「家」が見えてかなり参った覚えがある。
あ、家だ、と思うって近づくと森があるばかり…。これはかなり嫌な経験だね。
前を歩いていたメンバーは怒っていたし、後ろのメンバーは話していることが時間と共に脈絡を失っていった。ホントどうしようもない思い出。

その後、慶応小屋を見つけて僕らは命拾いしたんだけど、快晴となった翌日は自衛隊が捜索に出動してきた。昨日の天気予報の御報のせいで僕ら以外のかなりの人が雪山に閉じ込めれていたらしい。
慶応小屋のおじさんによると小屋に向かっていた人達の中でも「来なかった」人が居た。
その人のものかどうかは知らないが、昼前に小屋に向かう道の真中で、山スキーが一本刺さった状態で見つかったとの連絡が入ったのを聞いた。
深夜、山スキーしか移動手段が無いのにそれを刺すことなどあり得ない。
しかも一本だけ…。命の掛かるスキー板は絶対に手放せるもんじゃない。

感覚的だけどね。
多分、このスキー板の持ち主は最期何か見たか気が触れたんだと思う。
そういう事が起こっても全く不思議じゃないから。



58:毒男◆B.DOLL/gBI(ワッチョイ87e5-BKMM)2020/05/05(火)23:41:22.46ID:YjxLmX+

 ―近所の空き家だった家―
私の家の近所、数軒先に先日まで空き家だった家があります。
もう築30年程たつ古い家です。
昨年、前の持ち主が他界されたので売りに出されておりました。
その家にまつわる話です。

前の前の持ち主、Kさんはごくごく一般的な家庭。
両親と中学生の娘の3人暮らしでした。
娘さんは少々神経過敏なところがあり、中学にあがってから親と衝突が絶えなかったようです。
そして15歳になった夏、いつものように親子ゲンカした娘は風呂場で手首を切って狂言自殺を図ろうとしました。

風呂に入り手首を切り…そして貧血のため意識を失ったようです。
30年前ですから、今のようなお湯を入れて終わり、という風呂ではありません。ガス風呂です。
娘は真っ赤に染まった風呂の中で湯だった状態で発見され、体中ふやけていたそうです。
Kさんはその事件の後、すぐに引っ越されました。


Kさんが引越した後、今度はIさん一家が引越ししてきました。
Iさん一家は両親、大学在学中の兄、中学生の娘の4人一家。
兄は市外の大学だったため、夏休み以外はほとんど家に帰ることはなかったようです。
中学生の娘は大人しく、親に従順な子だったそうです。
その娘が15歳の夏、体育の授業で跳び箱に失敗し頭から落ち、脳内出血で亡くなりました。
原因は友人が壊れていた跳び箱をよくおさえていなかったからだと、母親は娘の友人を恨んでいたようです。
このころ私の母親も、I家を訪れる娘の友人の姿をよく見たそうです。

そして半年後、今度は母親が骨肉種を患い、最後は眼球、鼻、唇など全て侵されたため手術で切り取りまるでのっぺらぼうのようになって亡くなったそうです。
そしてその母親の死後から一年もたたないうちにI家のご主人は友人の紹介で後家さんをもらうことになりました。

後家さんをもらったI家ですが、後家さんは中々明るい方で近所づきあいも上手。
息子ともうまくやっているようで、この家の住人も今度こそ落ち着くだろうと近所の人々は安心しておりました。
しかし、結婚して一年後。
後家さんは風呂場でガス中毒(鳥が巣を作っていたため)で倒れ、K家の娘のように湯船の中で湯だった状態で発見されたのです。
当時私は幼かったのですが、救急車とその家との雰囲気をはっきりと覚えています。
禍々しい…異様な。



59:毒男◆B.DOLL/gBI 2020/05/05(火)23:41:46.83ID:YjxLmX+
近所では噂が立ちました。
あの家に住む女性はみんな死ぬ。
亡くなった後家さんに至っては、K家の娘と同じ状態で発見されたため、娘の呪いかもしれないと囁かれました。
いつしか噂は町内の外にもオレ、近隣住民では誰も知らぬ者は無いほどの有名な家となりました。

I家のご主人はそれからもこの不名誉な噂がたった家にずっと住み続けました。
20余年の歳月が流れ、住民の様子も変わり古くから住んでいるものも、噂を口にすることがなくなっていました。

そして昨年、I氏は亡くなりました。
息子さんが家を売りに出したのは今年になってからでした。
古いということと、家の雰囲気がどことなく暗いことから買い手がなかなかつかない様子でしたが、今年の夏町内の貸家に入っていた一家の引越しが決まりました。
一家は4人。家中の明かりを点して、今まで暗かった空き家にすっかり活気が戻ったように見えます。

しかし…。
古くから住んでいる町内の者は皆息を潜めて事の成り行きを見守っているのです。
なぜなら、一家の娘は現在14歳。来年は15歳。
あの家に住んだ娘は16歳になれないからです。



70:毒男◆B.DOLL/gBI 2020/05/06(水)00:03:14.51ID:K1R9CXTY0

 ―北朝鮮は良い所―
在日の友人に聞いた話。

戦後間もないころはまだ北朝鮮がどんな国か分からず、
「北朝鮮は天国みたいなところだ」
といううわさも流れていたらしい。

そんなある日、友人の母親の知人(北朝鮮国籍だったらしい)が周りがとめるのも聞かず、北朝鮮へと単身渡った。

それからしばらくして定期的に家族の下へ手紙が送られてくるのだが、いつも通り一遍のことしか書かれていない。
いわく、私は元気にやっています、ここはすばらしいところです、皆さんもぜひ来てください、等々。
ところが、そこには詳しい日常のディーテイルは書かれていない。

彼の家族がおかしいな、と思い始めたあるとき、その封筒にはられている切手がハラリ、と落ちた。
それを拾ってふと裏返してみてびっくり。
その切手の裏の白い部分に小さな文字でびっしりと

ここはひどいところだ、みんな絶対にくるな、

などといったことが書かれていたのだ。



76:毒男◆B.DOLL/gBI 2020/05/06(水)00:27:08.72ID:K1R9CXTY0

 ―2年前の事故―
2年前の話なんだけど、俺が高2で同級生のNの家に泊まりに行ったんだ。
そんで俺のほかにTとHって言う奴もきてて4人で話したり、ゲームやったりして騒いでた。
そんなことしてるうちに時計の針が午前1時をまわって腹が減ったので、コンビニに何か買いに行く事になった。HとNが原付でコンビニまで行く事になった。
だけど俺もいっしょに行きたかったのでTをNの家に残して、俺はNの原付の後ろに乗ってついていく事になった。

コンビニまでは20分くらいの道のりで、Nの肩につかまり顔に吹きつける風が冷たかったのを憶えている。
後ろを向くとフルフェイスヘルメットをかぶったHがみえる。
そして、コンビニについて買い物を済ませると、さっさと店を出てNとHは原付にまたがる。
おれもまたN原付の後ろに乗る。
Hがカゴの中に袋を入れるとヘルメットをかぶりすぐに出発した。

帰り道、コンビに付近の交差点にさしかかったとき後ろから何か音が聞こえたような気がして後ろを振り返った、そうしたらHがふざけて手をふっている。
普段ふざけたりしないHにしては珍しいなと思いながらもHに手をふりかえした。
Nの家に着くとHからコンビニの袋を受け取って一足先にNの部屋に入っていった。

部屋のドアを開けるとTが一人でTVを見ていて
「おかえり、早かったじゃん」
「おう、ほらお前のジュース」
なんて2~3分くらい、Tと話していたらTが
「NとHは?」
というので家の外まで行ったらNとHの原付が無い
「あいつら二人でまたどっかいったのかな?」
「すぐ戻ってくるでしょ、寒いから家の中はいろうよ」
と、家の中に入ったらNの家の電話が鳴ってる、寝ていたNの母親が起きてきて電話に出た。
電話に出た母親の様子が少しおかしい事におれもTすぐに気がついた。

「はい!…はい…」
と深刻な顔で受け答えしている、Nの母親が電話を静かに置くと俺たちに一言、
「NとH君が交通事故にあったって…」
と泣きながら言ってきた。
Nの母親の車でとりあえず事故現場まで行く事に。
Tと俺は車の中で
「家についてから二人でどっか行って事故ったのかな…?」
なんて話してた。
でも事故現場についてから驚いた…コンビニの近くの交差点だった。
大型トラックとぶつかって二人とも即死だったらしい。
Tも俺もかなりショックを受けていたかたわら不思議に思っていた。

一度NもHも俺と一緒に家に戻って二人がいなくなってから事故の知らせが来るまでに10分もかかってない…その交差点まで20分はかかるのに。
警察から事故発生時刻をきくと俺がNの原付の後ろに乗ってる時刻だった。
一緒にNの家までかえってHからコンビニの袋を受け取って…
絶対に俺はNの原付の後ろに乗って二人と家まで戻ったはずなのに、二人は帰る途中に交差点で死んでいる…

そういえばHが交差点付近で手を振った
あれは俺に別れを告げていたのかも…でもなんで俺だけが生きているのか?
真相は全くわからないけどあの日のことは鮮明に覚えている。
手をふっていたHもHの原付のライトの明るさも、つかまっていたNかたの体温も…
2年前の話でした。



77:毒男◆B.DOLL/gBI 2020/05/06(水)00:28:48.53ID:K1R9CXTY0

 ―ワゴン車の助手席―
先月の体験談です。

昼間に一人で車を運転していました。T字路で赤信号に捕まったので、時間潰しのために向かいの壁や左右に視線を動かしていました。
その時ふと、バックミラーが目に入りました。
後ろにはワゴンが止まっていて、運転席には男の人が座っていました。

そこまでは普通だったのですが、私はワゴンの助手席におかしなものを見ました。
おかしなものと言っても、それは人です。赤い服を着た髪の長い女の人が助手席にいるのですが、それが妙におかしいんです。
隣りの運転席の男性と比べて、かなり座高が低いように見えます。
頭の位置が男性の肩くらいの場所にあるんです。

背の低い子供でしたらそういう風に見えても普通なのですが、その女の人は頭の大きさや肩幅から考えて、一般的な成人女性と同じくらいの身長と思われます。
ですから座席に座った時は男性と同じか少し低いくらいになるのが普通のはずなのですが、その女の人の頭の位置はどう見てもおかしい低さでした。
しかも目が怖いんです。眉も目の端も吊り上がり、車の外にいる何かを睨んでいるように見えます。バックミラーに映るその女の人の姿にぞっとしました。

車が揺れているのか自分が震えているのか分からなくなった頃に信号が青に変わりました。
私は急いでアクセルを踏むと、そのT字路を左へ曲がりました。
曲がりながら再びバックミラーを見ると、ワゴンはまっすぐ進んで行きました。

しかし、それは変です。
先程も書きましたが、この道はT字路で、直進したらそこにあるのは民家の壁です。
「え?」
と思ったときには手遅れでした。
ワゴンは向かいの壁へ恐ろしい勢いで追突しました。
私は急いで車を止め、降りてワゴンへ走りました。
赤信号で止まっている車の運転手さん達も急いで降りてきて皆でワゴンに駆け寄りました。

運転席を覗き込んだ私は、その時あまりの恐怖に声が出ませんでした。
ワゴンの中には、一人しか乗っていなかったのです。
乗っていたのは、赤い服を着た髪の長い女の人でした。ワゴンは左ハンドルだったのです。
そして、助手席となる右側の座席には、誰も乗っていませんでした。

女の人が実在し、何も感じなかった男の人こそが幽霊だったのでしょうか。
その時は本当に目の前のことが信じられず、体がガクガク震えました。
そして最後に、気付かなければ良かったのにと思うことに気付いてしまいました。
女の人は鏡の中で見た通り赤い服を着ていたのですが、その服は血の色で赤く染まっていました。

元々は白い服だったのです。その証拠に服の背中や腹の辺りはまだ白いままです。
きっと壁にぶつかる前はまだ真っ白だったはずなんです。
思い出すと今でも恐ろしいです。



100:毒男◆B.DOLL/gBI 2020/05/06(水)02:18:46.31ID:K1R9CXTY0

 ―警備員のバイト―
これは、警備員のバイトをしていた時に、職場の先輩から聞いた話です。
都内Sデパートは縦に長い建物で、当然一人で受け持つ巡回経路は複雑で長いものです。
新人である私が覚えきれているはずもなく、最初の内は先輩と共に異常確認を行います。
EVボックスの位置や、火元確認場所、シャッターボックスの位置などその際に念入りに引き継がれ、その後に一人で回るようになります。

そのフロアは、婦人服売り場がメインの場所でした。
先輩と2人で回っていると、丁度建物の中程の非常階段付近の防火シャッターの前でおもむろに上を指差して言いました。
「この警報死んでいるから。」
そう聞いてもその時の私には
『故障かな?』
位にしか気にとめなかったのです。

警報には幾つか在りますが、火災報知気(いわゆる煙感)と赤外線の2種類が、そのデパートでは主流でした。
赤外線は、天井張り付いた白濁の半球状のもので、注意してみれば今でも何処のデパートでも見られると思います。
「でも、ドア警は生きているんでしょう?」
と私が尋ねると、
「あたりまえだ。」
と先輩は答えました

非常階段付近には大抵お手洗いがあります。
警備巡回時には、不審者が一番潜んでいやすい場所ですので、勿論中を調べます。
婦人服売り場だけあって、女子トイレしかなく個室内に人影がないかどうか確認します。
私達は、用具入れを含めて通り一遍確認を行い、その場所を後にしました。
私は、その時から先輩の顔色が悪い事に気が付きませんでした。

待機室に戻ったのは深夜3時を少しまわった頃でした。
引継ぎ巡回のため遅くなり、他の皆は仮眠室に行っているようで私達2人しか残っていませんでした。
先輩は椅子に腰掛けるなり、私にぽつぽつと話し始めました。

「あのさあ、さっきの警報…なんで殺していると思う?故障しているわけじゃないんだ。」
私は、
『何を言いたいんだこの人は?』
と思いつつ、大人しく
「さあ」
とだけ答えて先輩の話を促しました。
「ほんというとさ、俺、あそこの女子便所あんなに丁寧に見回ったの初めてなんだ。あそこの便所さ、用具入れの、ほらモップを洗う深くてでっかい洗面器あるだろ、あそこに以前子供が捨てられていたんだ。」



102:毒男◆B.DOLL/gBI 2020/05/06(水)02:19:01.91ID:K1R9CXTY0
何でも、ある若い女性が、気分が少し悪くなったので、トイレに駆け込んで用を足したそうです。
そうすると、便器にはかろうじて人の形をした赤ん坊があったそうです。
その女性は自分が妊娠していた事など全く気が付いておらず、
『最近遅れているなあ、シンナーのせいかな、楽でいいや』
位にしか思っていなかったそうで、それを見たときはどうしていいか分らなかったそうです。
その赤ん坊…といっていいかどうか分らないほどの未熟児は既に赤黒く変死していました。そのために流産したのでしょう。

女性は流れ出た胎盤と一緒に流してしまおうか、とも考えたそうですが見つかったら、誰かが埋葬してくれるのではという期待から、用具室の洗面器にそれをすくい移し、逃げるようにSデパートを後にしたそうです。

すぐにそれは発見されました。第一発見者は清掃業者のおばさんでした。
当然、警察が来ましたが、未熟児の状態では、誰の子供かなんてわかる筈もありません。
簡単な現場検証をした後早々に引き上げていったそうです。

発見された日の夕暮れに、警察に本人もまだ子供な年齢の母親が出頭してきました。
気になって、戻ってみると騒ぎになっており、どうしたらいいのか分らなくなって名乗り出たそうです。
女性の年齢が年齢だけに、確認が終わると後は内内で処理され、Sデパートの関係者にも緘口令が敷かれたそうです。

それからだそうです。そのフロアで不思議な事が起ったのは。

事件の夜、夜警に先輩の友人が当ったそうです。
その時点では皆も、気味が悪いな、位にしか思っていなかったそうです。
それって普通な感性なのかと思われるかもしれませんが、寒い冬の夜等、前日駅の地下通路を追い出された浮浪者が、朝に外部シャッターを開けると横たわって…凍死していた、という事が年に何度かあります。
変な具合に慣れているのでしょう。
先輩の友人も、蛮勇なのか慣れなのかそのまま巡回に出発したそうです

婦人服売り場は、普通に巡回していれば1時過ぎに通りかかります。
先輩の友人は、女子トイレの前に来て流石に緊張して通路から辺りを照らしてみたそうです。
店舗内には異常は見られません、が、その人は、何か変な気がしたので、もう一度懐中電灯を向けてみました。
そこにはマネキンが置かれているだけです。
「異常なし。」
その人は、あえて声を出して確認したそうです。
すると、マネキンの瞳が、目頭から目尻に向かってぐるりと動いたそうです。
その人を見据えるように、一斉に他のマネキンも、ぐるりと視線を向けたそうです。
背後にあるマネキンの視線までも背中越しに、突き刺すように感じ、その人は体中が硬直して全くその場所から動けなくなったそうです。
『南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏…』
心の中でひたすら念仏を唱えたそうです。

するとどのくらいか時間がたったのか、不意に体が動くようになり、それまでの硬直のせいか、どっと倒れるようにひざが崩れたそうです。
先輩の友人を突き刺していた視線も感じなくなりました。
しかし、体中から脂汗が染み出して、鳥肌と、遅れて来た震えのせいで満足に立ち上がることがなかなか出来なかったそうです。



103:毒男◆B.DOLL/gBI 2020/05/06(水)02:19:19.90ID:K1R9CXTY0
膝を突いて通路の床をしばらくじっと見ていると、不意に腰につけた無線の呼び出しがかかりました。
「場所○○○発報!」
管理室からでした。感知器が反応しているという事です。
条件反射で無線を手にとり、
「発報了解。」
とうわずって答えたそうです。
そのお陰かどうか、その人はそのやり取りで、気持ちを落ち着ける事ができ、何とか立ち上がる事ができました。
場所は、先輩の友人のいる場所の側、そう、女子トイレ前の感知器です。
もう、マネキンの視線を感じる事はありませんでしたが、目を向ける事ができなかったそうです。

2mほど先にある警報機の解除ボックスの所まで行き、本来なら異常を確認しないといけないのですが、そのまま<解除→再設定>としたそうです。
「発報○○○異常なし」
管理室に連絡を入れ、その人は、そのまま足早に立ち去ろうとしました。
しかし、一瞬視界の中にはいった店舗の異変を遮る事ができず、辺りにあるマネキンの首だけが、ぐっぐぐと、女子便所の方に回りだしたのが視界に入ってしまったそうです。
しかも、首の動きとは逆に、瞳だけはその人の方を睨むように動いています。
「場所○○○再発報!」
腰の無線が怒鳴っていいますが、動く事ができなかったそうです。

そんな状態が数十分続いたので、管理室では先輩と何人かが借り出され、様子を見てくることになったそうです。
駆けつけてみると、その人は固まったまま立ち尽くしていて、暗闇でも分る程汗をかき、紺色の制服はじっとりと濡れていました。
先輩はとりあえず警報機を再設定して友人に手を貸して待機所に戻ったそうです。

先輩は、しばらくして落ち着いた友人から話を聞いたそうです。
その当時、婦人服売り場のマネキンは、瞳の部分をガラスがはめ込まれた物を使っていました。
普通は、ブラシで描かれているのですが、リース料金も変わらず、チョット豪華に見えるので店内の総てのマネキンをガラス目にしていました。
そのガラスの瞳は、ライトを当てると、視線を向けたかのように見えるのでその見間違いだろう、と友人を慰めたそうです。
警報機の発報は、セットしても10分ほどで又再発報するので、故障だろうという事になり、後日取り替えるまで、解除したままで、その日は終わったようです。

先輩の友人は、何日か休みを取り、気持ちを落ち着かせて再度あの婦人服フロアの夜警に挑んだそうです。
きっと、そうしない事には決着が着かなかったのでしょう。
休みの間、他の人が巡回しても、特に怪現象はなかったそうです。
警報機は、それまでに何度も新品に取り替えたのですが、夜中になると無闇に発報を繰り返すため、原因不明のまま、デコイ、つまり殺したままになっていました。



104:毒男◆B.DOLL/gBI 2020/05/06(水)02:20:46.62ID:K1R9CXTY0
先輩の友人が婦人服フロアを巡回したのは、前と同じ1時過ぎでした。
気持ちを落ち着かせて、異常確認をしたそうです。今度は、マネキン達は動いていません。
その人は、
『やっぱり気のせいだったのか。』
と思い、女子トイレの中に入っていきました。
そこも特に異常はなかったそうで、外に向かおうとしたとき、それが目の隅に映ったそうです。
女子トイレには壁一面に化粧鏡があり、そのうちの1枚が用具入れの扉を映していました。
その、扉が、徐々に透けていくように見えたそうです。
先輩の友人は、横に向いた顔を鏡に向ける事ができず、片方の目で鏡を凝視していたそうです。
すっかり扉の透けた用具入れは、白くて大きい洗面器を鏡の前にさらしていました。
その中には、溶けたような腕を洗面器の縁に掛け頭とおぼしきモノがゆっくりと立ち上がろうとしているのが見えたそうです。

その人は、凄まじい勢いで先輩達のいる待機所に駆け込んできました。
その後の夜警をすっとばして帰ってきたそうです。
流石に、先輩達も気味が悪くなり、そこにいる全員で、その人の残りの巡回経路埋めたそうです。

先輩の友人は、翌日仕事をやめました。
そのせいかどうか、マネキンの瞳は、ガラスから再びブラシか、もしくはマネキンそのものを配置しなくなりました。
それまで鍵のなかった用具入れには鍵がつき、警報機は、殺したままになりました。

私は、黙って先輩の話を聞き終わり、
「それで、もう何も起きないのでしょう?」
と、声をかけると、その時初めて先輩の顔色が真っ青なのに気が付きました。
「いや、わからない。言っただろう?それ以来、俺を含めて誰も夜警であの女子トイレをまともに巡回する奴なんていないからな。」
「でも、今日は何もありませんでしたよ。」
私が、そういうと先輩は黙って
「そうか、そうみたいだな、おまえには。」
といって口をつぐんでしまいました。

私には、その後も、その場所では怪異と呼べるものはありませんでした。
勿論、女子トイレは巡回していませんが。
先輩は、私が仕事を辞めるまで、それ以上は話してくれませんでした

私と巡回したその日、先輩は女子便所の鏡を見てしまったそうです。
そこには、無数の子供の手の跡があり、それがどんどん鏡に映った先輩のほうへ移動していくのを。



78:毒男◆B.DOLL/gBI 2020/05/06(水)00:29:57.11ID:K1R9CXTY0
|A-) 今日はここまでーw
   おつかれさまでしたw




引用元:毒男の怖い話とか音楽とか雑談とか
https://hayabusa9.5ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1588682244/




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