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都市伝説・・・奇憚・・・blog

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2024.11.27 (Wed) Category : 

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むこうづねの痛み

2007.12.05 (Wed) Category : 誰も信じない人へ

私は今でもそうですが、猫が恐ろしくて恐ろしくてなりません。 
従姉妹が「チロ」という、白い雄猫を可愛がっていたのですが、 
小さかった頃、私はこの猫にずいぶんといじめられたからです。 
裸足で従姉妹の部屋を歩いたりすると、隙を見て、かかとに噛み付いてきたり、しゃっ!と鋭い爪でむこうずねをひと掻きしていくのです。 
従姉妹の家に遊びに行くたびに、そんな目に遭いました。 
今にして思えば、私のことを遊び相手……いい「おもちゃ」、からかい相手にしていたのかもしれませんね。 

その従姉妹は5年前、急に肝臓ガンで亡くなりました。 
もういけない、という電話があちこち駆け巡って、苦しむ従姉妹の周りに親戚皆が揃いました。 
私も当然その中にいました。 
従姉妹はもう、麻酔がなければ一刻もじっとしていられないほどの、ひどい苦しみ方でした。見ていて辛くてなりませんでした。 

ところが、沢山の泣きはらした目が見守る中、もう意識が戻らないだろうと思われていた彼女が、まるで親戚一同が揃うのを待っていたかのように、ぽっかりと目を開けたのです。 
そうして周りの皆にか細い声で
「今までありがとう」
そう別れを告げたあと、こう続けました。 
「窓のところにチロが来てるの。私が迷わないように迎えに来たのね……」 

従姉妹はその数時間後、息を引き取りました。 
担当のお医者さんが伯母の方を見て、ゆっくり首を左右に振った、その瞬間です。 
私のむこうずねに鋭い痛みが走りました。 
思わず声をあげたくなるほどの強烈なものでした。 
すすり泣きが始まった病室をそっと抜け出して、後ろ手にドアを閉め、外であわてて靴下を脱いでみました。 
そこにははっきりと、猫の爪によるものとおぼしき、引っ掻き傷が出来ていました。 

従姉妹の言ったことは本当だったんだ。 
本当にチロは来ていたんだ。 
そう直感しました。 
「大丈夫。俺が一緒について行くから」 
きっと彼は彼なりに、私にそう伝えたかったのかもしれません。 

そう。 
昔、さんざんからかって遊んだ、泣き虫のむこうずねを、昔そうしたように、ちょいと引っ掻いて行くことによって……。







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