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都市伝説・・・奇憚・・・blog

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2024.11.22 (Fri) Category : 

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死ぬよりはマシだけど死ぬ程に辛い夏休みの思い出

2019.09.23 (Mon) Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象

362:本当にあった怖い名無し:2019/08/16(金)02:08:06.58ID:B6d1UD5R0.net
昨日書いたのにつられて思い出した地味に長いくせに典型的な体験談

死ぬ程に辛い夏休みの思い出



363:本当にあった怖い名無し:2019/08/16(金)02:09:16.86ID:B6d1UD5R0.net
僕は小学校三年生の時にとある出来事が起こるまでそこそこ霊感があったのだと思っている
ただ僕が感じられるのは人の姿とか声ではなくて空中や人の周囲に色のついたモヤが見えたり何も見えないけれど強く感じる不快感だったり嘘の発言がボイチェンを通したように歪んで聞こえるみたいな抽象的なものだけだった

なんとなくそれらが良いモノなのか悪いモノなのかの察知は出来ていてそれで怖い思いみたいなのはあまりしていなかったけれどそれが通常は見えていてはいけないモノなんだと薄々理解はしていた

どうせ悪いモノの存在を伝えたところで対処法とかは知らなかったしそもそも見えちゃった時点で手遅れな事が殆どだったからね
なので僕の母親以外に僕が変なものが見えるという事を伝えていなかった

そんな僕が7歳の夏休みに幼馴染みの友達家族と一緒に泊まり掛けで海水浴に行くことになった
幼馴染みは小学校に上がる前に車で二時間ぐらいの場所へ引っ越してしまっていて小さい僕たちには永遠の別れの様に思っていたけれど

その年は僕の家族が仕事や部活の大事な時期に重なってしまい旅行が出来なそうだということで僕が不貞腐れているのを知った幼馴染み一家が自分達の家族旅行に僕を同行させてくれることになったんだ

僕も幼馴染みも久しぶりの再会に大喜びで朝早くの出発なのに最初からテンションがクライマックス
行きの車ではしゃぎすぎて体力を使い果たしてぐったりとしていたけれど海についたらすぐに復活して昼食を掻き込む様に平らげると浜辺に遊びに出た

芋洗いという程に混雑はしていなかったけれどそこそこ人が多くて少し怯んだ覚えがあるけれど遊びの天才だったあの頃の僕たちは何かしら楽しいことを見つけていた記憶がある

しばらくして面倒を見に来てくれた幼馴染みの父親は小さい頃から泳ぎが得意だったそうで学生時代には大会で表彰台に上がることもあったぐらいだったそう



364:本当にあった怖い名無し:2019/08/16(金)02:10:55.33ID:B6d1UD5R0.net
幼馴染みも英才教育の賜物か泳ぎが得意で僕もしばらく浅瀬で二人に泳ぎを教わったけれどあまり上達はしなかった
それからは僕がつかまった浮き輪を二人が引っ張って泳ぐ遊びをしていておじさんならあそこまで連れていってあげられるぞと水平線の果てに見えるブイを指差しているので僕と幼馴染みが嘘だぁと笑うとちゃんと見てろよと猛然としたクロールであっという間に往復してきて驚いたり夕方まで全力で遊び尽くした一日目はあっという間に過ぎてしまった

浜辺の目の前にある宿泊所には大浴場があったので幼馴染みは母親と僕は父親とで風呂に入っていた
一日付き合ってくれてくたくたな幼馴染みの父親に明日もたくさん海で遊ぼうねというと少し困ったような顔で
「そりゃ難しいなぁ」
と笑われたのが今思うと印象的だった
その後で夕食をとっている頃にはさすがの無限の体力も尽きて気がついたら眠ってしまっていたよ

次の日目が覚めてまだ静かな宿泊所のトイレに向かい用を済ませて戻ろうとするとニコニコ笑いながら手をがしっと掴まれて
「早くいこうぜ」
と外に連れ出された
朝御飯も済ませていなかったし寝起きでまだぼぉっとしていたけれど遊びの誘惑には勝てず入り口の脇に置いておいた浮き輪を胴にはめるとそのまま二人で海に突撃していった

朝早い海には誰も居なくて広い海をまるで貸しきりにしているみたいで凄く気分がよかったのを覚えている
そうして昨日の様に浮き輪を引っ張ってもらいながら海をプカプカとしていると突然背後から感じたこともないようなゾワゾワっとした悪寒が走った

驚いて背後の浜辺を見ると薄暗い灰色のモヤがカーテンの様に広がっていて浜辺が全く見えない
そしてその奥からボイチェンが掛かったような歪んだ獣の雄叫びの様なものが聞こえてきた
それがものすごく怖くて正面を見るけれど全く聞こえていないようにニコニコしながら浮き輪を引っ張り続けてくれている



365:本当にあった怖い名無し:2019/08/16(金)02:11:51.89ID:B6d1UD5R0.net
今までこんな形で変なモノが見えたことは一度もなかったから不安で押し潰されそうでコレは今まで僕が見ていた悪いモノとは多分比較にならないぐらいにヤバいモノかもしれない

なので恐る恐るながら僕は浮き輪を引っ張ってくれている誰かに
「どこまでいくの?」
と震える声で聞く
誰かはそれに答えてくれず変わらないニコニコ顔で僕をどこかへ連れていこうとしている

これは絶対にヤバいモノだ!と確信すると同時に周囲の景色がテレビのチャンネルを切り替えたみたいに一変した
身体中を何か小さいものに叩かれているのに驚いて良く見ると大粒の雨がバケツをひっくり返したように降り注いでいる
うねるような風が次々と壁みたいに高い波を運んできていていつ浮き輪ごとひっくり返ってもおかしくない
そしてまた後ろから歪んだ叫び声が僕の耳に届いた

獣の雄叫びのようなそれは僕に向かって泳いでくる幼馴染みの父親が
「大丈夫だぞ!怖くないからな!」
とかける励ましの言葉だった
これは嘘だ…大丈夫じゃないし怖いんだ…と意識してしまった途端すとーんと体から温度がなくなったように感じる

むしろ真夏とはいえ冷たい雨にうたれながら早朝の海を漂流していたんだから当たり前なんだけどあまりの寒さに体が痺れたみたいに動かなくなってブルブルと震えだしてしまった

なんで忘れてたんだろう?昨日お風呂でおじさんに明日は朝から台風が来るから海で遊ぶのは無理だって言われてたのになんで海に来ちゃったんだろう?誘ってきたのは全然知らない年上の男の子だったし僕寝間着のまんまだし今まで悪いモノが人に見えたり声を出したり触れてきたりしたことなんてなかったのにこっちから触れなければ悪いことなんて起こらなかったのに
頭のなかは溺れる事よりそっちの恐怖でいっぱいだった

幼馴染みの父親の決死の救助のおかげでなんとか僕は助けてもらって一命を取り留めた
しばらく僕はヤバいモノについてわめき散らしていたらしいけれど低体温症の錯乱って事になっていたようだ



366:本当にあった怖い名無し:2019/08/16(金)02:12:30.02ID:B6d1UD5R0.net
半日以上経って落ち着いた僕は次は警察に囲まれていた
知らないお兄ちゃんに海に連れていかれたと言っていたから事件もしくは更なる遭難者の可能性があると判断されたんだろう
結局僕の説明は要領を得なかったようだし行方不明になっている子供も出ていなかったので寝ぼけた僕の夢だということで決着となった

それからは当然ながら散々で幼馴染み家族にも警察にもこってり怒られてそのせいで一日遊べなくなった幼馴染みにもがっつり嫌われて
それとなく初恋じみた気持ちもあった幼馴染みには言い訳したくて僕がみたヤバいモノの話をしたらものすごく怖がらせてしまって
死の危険とヤバいモノの恐怖と叱咤の嵐と初恋の終わりと帰りの車の重苦しい空気をいっぺんに味わって
帰宅してからももちろん家族一同からこてんぱんに絞られることになりました

そんな死ぬよりはマシだけど
死ぬ程に辛い夏休みの思い出



引用元:ほんのりと怖い話スレ 137
http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1564090249/362-366




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