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都市伝説・・・奇憚・・・blog

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2024.11.26 (Tue) Category : 

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【納涼】怖い話【VIP】(前編)

2019.07.26 (Fri) Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象

1:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)14:53:58.286ID:7blKN20t0
淡々と怖い話投下していくので読み物としてお使いください



3:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)14:54:23.865ID:7blKN20t0>>20
「巨頭オ」

数年前、ふとある村の事を思い出した。
一人で旅行した時に行った小さな旅館のある村。
心のこもったもてなしが印象的だったが、なぜか急に行きたくなった。

連休に一人で車を走らせた。
記憶力には自信があるほうなので、道は覚えている。
村に近付くと、場所を示す看板があるはずなのだが、その看板を見つけたときあれっと思った。

「この先○○km」となっていた(と思う)のが、「巨頭オ」になっていた。

変な予感と行ってみたい気持ちが交錯したが、行ってみる事にした。
車で入ってみると村は廃村になっており、建物にも草が巻きついていた。

車を降りようとすると、20mくらい先の草むらから、頭がやたら大きい人間?が出てきた。

え?え?とか思っていると、周りにもいっぱいいる!
しかもキモい動きで追いかけてきた・・・。
両手をピッタリと足につけ、デカイ頭を左右に振りながら。

車から降りないでよかった。
恐ろしい勢いで車をバックさせ、とんでもない勢いで国道まで飛ばした。
帰って地図を見ても、数年前に言った村と、その日行った場所は間違っていなかった。

だが、もう一度行こうとは思わない。



4:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)14:54:27.536ID:GHdn2jPF0
(∩ ゚д゚)



5:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)14:55:49.512ID:7blKN20t0
「笑い女」

先週の金曜のことなんだけど、会社の先輩の大村っていう男が死んだ。
もちろん直接現場を見たわけじゃないけど、マンションの自室で、自分の両耳にボールペンを突き刺して死んでたらしい。
大村自身の手がペンをギュッと握り締めてたっていうんで、警察も事件性は認めずに、すぐに自殺だって判断した。

会社の連中はそんな大村の死に様を随分不思議がったりしていたけど、俺は特に驚きもしなかった。
それでも司法解剖っていう奴がどうしても必要らしくて、多分、大村の身体は詳しく調べられたんだと想像してる。
わかりきってることを調べるために身体を弄り回されるなんて、ちょっと気の毒だと思う。

すぐに通夜があって、同じ課の奴らは課長を先頭に連れだって公共斎場に行ったらしいけど、俺だけはどうしても外せない用事があるって課長に断って、直帰した。
周りから見たら不自然だったろうとは思うけど、通夜なんていう湿っぽくて皆が押し黙ってるような空間には、今は堪えられそうにないから。

大村と俺とは、先輩後輩っていうこととはあまり関係なく、仲が良かった。
お互いに相手のマンションの所在地を知ってたって書けば、どの程度の仲だったかは伝わるかなと思う。
三週間くらい前のあの日も、大村が会社帰りに俺の部屋に遊びに来てた。
俺らは缶ビールを飲みながら、同僚の陰口ばかり叩いてた。
二人とも酒を飲むときは会話だけを楽しみたいってタイプだったから、テレビもつけてなかったし、音楽を流したりもしてなかった。
我ながら暗いとは思うけど。

そのうちに、買い溜めてあったビールが尽きた。
俺はアルコールが無くても会話が楽しければ良いと思ってたんだけど、大村はそれじゃ駄目みたいだった。
すぐに買いに行こうって言い出す。
渋々ながらも、大村を連れてマンションを出て、近所のスーパーに買い出しに行った。



7:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)14:57:20.006ID:7blKN20t0
店に入るとすぐに、大村が
「おい、何だよ、あれ」
ってニヤニヤしながら聞いてきた。
指さす先を見ると、ボサボサの髪を腰まで垂らした女が買い物カゴをぶら下げて、野菜を選んでた。
別に何の変哲もない、よくある光景だ。
ただ一つ変わってるとしたら、女が大声で笑ってることだけ。

レタスを手に取りながら、
「いひゃっいひゃっいひゃっ」
て笑ってるだけ。
それすらも、俺にしてみればやっぱり何の変哲もない、よくある光景だ。
「ああ、あれ。笑い女だよ」

説明しとくと、笑い女は近所では有名な人物。
パッと見にはごく普通の若い女で、取り立ててどうこういうべき所もない。
確かに、腰まである髪は痛みきっていてボサボサだけど、そんな女、どこに行ったっていると思う。
ただ、笑い女の変わっているところは、その呼び名通りに、いつでも笑っているところ。

「いひゃっいひゃっいひゃっ」
ていう何かから空気が漏れるような、それでいてちょっと湿った感じの独特な笑い声を撒き散らして、口の端から涎を垂らしてる。
だから皆、「笑い女」とか、レジ打ちのおばちゃんも「お笑いさん」とか呼んでる。
ただそれだけの存在だ。

キチガイ風でもあるけど、笑い声さえ気にしなければ誰に迷惑をかけるわけでもないから、周りはあんまり気にしない。
気にしたとしても、「嫌な物を見た」ってちょっとのあいだ思うだけで、すぐに見て見ぬふりをする。



10:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)14:58:36.217ID:7blKN20t0
今になって思えば、その時の大村はかなり酔っていたんだと思う。
「ちょっと、からかって来るわ」
とか言って、笑い女に近寄っていった。
俺も酔っていたんだと思う。何しろ、大村のことを止めようとはしなかったから。

「なぁ、おい、アンタ。何がそんなにおかしいんだよ」
大村はぶっきらぼうな口調で笑い女に声をかけた。
けれど、笑い女は答えない。
「いひゃっいひゃっいひゃっ」
て笑うばかりだ。

「おい、答えてみろって。世の中、こんなに不景気だっつーのに、何を楽しそうにしてやがんだ」
大村はそんな内容のことを言ってた。
多分、それまでは俺と一緒に陰口を叩くことで発散してたものが、酔いのせいで他人にまで向いたんだと思う。
やっぱり、笑い女は
「いひゃっいひゃっいひゃっ」
て笑うだけで、何も答えない。
そんなことをしばらく繰り返してから、大村は
「何だよ、こいつ、つまんね。おい、もう行こうぜ」
って言って、不機嫌そうにその場から離れた。

俺らは、カゴにスナック菓子とかを詰め込んでから、酒の並んだ棚に行った。
大村はすぐに缶ビールを手に取っていたけど、俺はビールに飽き始めてたから、チューハイをじっくり選ぶことにしたんだけど、そのうちに、大村が
「うおっ」
ていう叫び声を上げた。
何かと思って振り返ると、大村と笑い女が至近距離で向き合ってる。

例の
「いひゃっいひゃっいひゃっ」
ていう声と一緒に、女の口から大村の顔に唾が飛んでるのが見えた。
それから大村が両手を突き出して笑い女を押し倒すまでは、一瞬だった。
笑い女はフラフラッと倒れて、ペタンと尻餅をついて、それでも
「いひゃっいひゃっいひゃっ」
て笑い続けてた。

買い物客とか店員とかが遠巻きに二人を眺めてて、俺も気まずくなってきたから、適当にチューハイを選んで大村と一緒にそそくさと会計を済ませた。
笑い女に謝ろうかとも思ったけど、事情がよくわからないし俺が謝るのも変な気もして、やめておいた。



11:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:00:02.311ID:7blKN20t0
何があったのか聞くと、大村が言うには
「お前が酒選んでるの眺めてボーッとしてたら、耳元で気持ち悪い笑い声が聞こえた。驚いて振り返ったら、すぐ目の前にあの女の顔があった」
それで、気味が悪かったから咄嗟に突き飛ばしたっていうことらしい。

それから、
「よく見たらあいつ……」
って何か付け加えかけたんだけど、途中で口ごもって、最後まで聞かせてくれなかった。
部屋に帰ってから、また二人で飲み始めた。
でも、大村はさっきのことでバツが悪いのか元気がなくて、ふとした拍子に会話が途切れてお互いに黙ってしまうようなことが多くなった。

そんな感じで会話が途切れると、大村はキョロキョロと視線を動かしたりする。
そのうちに、
「何かゲームやろうぜ」
って大村が言い出した。
こいつがゲームで遊びたがるなんて珍しいなーとは思いつつも、真・無双3で遊んだ。
二人ともすぐに熱中しだして、大村もいつも通りの元気な感じになってきた。
そうしてるうちに、バスがなくなるっていう時間になって、大村は帰っていった。
この時の俺は、スーパーでのことなんか完全に忘れてたと思う。

次の日から、大村の行動がおかしくなりはじめた。
まず、やたらとウォークマンで音楽を聴くようになった。
別にそれ自体はおかしなことではないけど、出勤途中に顔を合わせてこっちから声をかけても、軽く手を上げるだけでイヤフォンを外そうとしない。
近寄ってみると、物凄い大音量で聴いてるみたいで、やたらと音漏れしてた。
ちょっと感じ悪いなと思ったけど、その時は別に何も言わないでおいた。
それが、昼休みにまで音楽を聴くようになった。

昼飯に誘おうとしても、大村はそそくさとイヤフォンをつけて一人でどこかに行ってしまう。
挙げ句、仕事中にまでイヤフォンを外さなくなった。
さすがにこれはおかしいと思っていたら、大村よりもさらに上の先輩が大村を怒鳴りつけた。
それからは、仕事中に音楽を聴くようなことはなくなったけど、かわりに独り言を言うようになった。



13:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:02:12.836ID:7blKN20t0
しかも、
「うるさい」
とか
「ああああああ」
とか、大声で言う。周りが注意してもやめようとしない。
みんな、正直気味悪がってた。
見るに見かねて、退勤してから大村を呼び出して話をすることにした。

大村は最初俺と話すのを渋ったけど、賑やかなところでだったら話すって言い出したから、ファミレスに連れ出した。
ファミレスはそこそこの混み具合で、高校生っぽいのが大声ではしゃいだりしてた。
それから、俺が最近のお前はおかしいって切り出すと、大村は自分でもわかってるって言った上で独りでに話し始めた。
なかなか要領を得ない話だったんだけど、大雑把にまとめるとこんな感じ↓

例のスーパーでの一件以降、ふとした拍子に笑い女の「いひゃっいひゃっいひゃっ」ていう笑い声が聞こえるようになった。
初めはかすかに聞こえるという程度で、空耳かとも思ってたんだけど、丁度、背後から段々近づいてきてるような感じで、日を追う毎に笑い声は大きくなってきてる。
周りで何かの音(音楽とか人の声とか)がしているような時には、笑い声は聞こえてこないのだけれど、ふと無音状態になると、「いひゃっいひゃっいひゃっ」が聞こえてくる。
今では、少しくらい辺りが騒がしくても、それ以上のボリュームで笑い声が聞こえてくることもある。
何より辛いのは夜中で、寝ようと思って電気を消すと、部屋中に鳴り響くような勢いで笑い声が襲ってくるので、とてもじゃないけど、寝つくことなんてできない。

まとめるとさっぱりしてるけど、実際には話してる途中でいきなり大声を出したり、
「あいつが、あいつが」
って泣きそうな声で繰り返したりするから、内容を掴むにはかなり時間がかかった。
しまいには、
「あの女に呪われた」
とか
「あいつ、幽霊なんじゃないか」
とか言い出す始末。
俺が何よりもまず思ったのは、大村は変な妄想にとりつかれてるってこと。

笑い女は幽霊なんかではないし、ただのちょっと変わった女でしかない。
その証拠に、あの日以降も俺は笑い女がスーパーで買い物をしてるとこを何度も見てる。実在する人間だ。



15:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:04:22.323ID:7blKN20t0
笑い声が独特で気味が悪いから耳に残ったっていうのと、大村なりの罪悪感みたいなものが、妄想の原因だと思った。
大体、スーパーに出る幽霊っていうのも、何だか間抜けだと思う。
そう言って聞かせても、大村はまるでこっちの言うことを聞こうとしない。
「呪い」とか「幽霊」とか繰り返すばっかり。

俺は段々イライラしてきて、
「そんなに言うなら、一緒にスーパーに行こう」
って切り出した。
大村の言ってることの馬鹿馬鹿しさにも腹が立っていたし、相手が現に実在してるただの女だって認識すれば、変な妄想もなくなるんじゃないかと思ったから。

勿論、大村は猛烈に嫌がったけれど、俺は大村を無理矢理引き摺るようにして、レストランから出て、電車に乗って、例のスーパーに向かった。
電車の中でも大村はブツブツ呟いて、びびってた。

やっとスーパーの前まで着いたところで、大村がやっぱり嫌だって言い出した。
絶対に中には入りたくないって。
仕方ないから、店の前の駐輪場から店内を覗こうって俺が提案した。
それでも大村は帰るって言い出してたけど、俺は相手の肩をがっちり押さえて、逃げ出せないようにした。
ちょっとだけ弱者をいたぶるような気持ちもあったと思う。

けれど、ガラス越しに店内を眺め渡しても、笑い女はいなかった。
いつも笑い女と出くわす時間は大抵このくらいだから、きっといるだろうと思ったのが失敗だったのかもしれない。
マズイなと思った。ここで笑い女を見ておかないと、大村は余計に
「あいつは幽霊だ」
って思い込むかもしれないから。

それでももう少し待ってれば、いつものように買い物に現れるかもしれないって、俺は粘った。
そのうちに、大村が両耳を塞いでガタガタ震えだした。
「聞こえるよう、聞こえるよう」
って子供が泣きじゃくってるみたいな調子で、鼻水を垂らして言う。
「やっぱ呪われたんだよう」
って。
でも俺は、それが笑い女の呪いなんかで聞こえてるわけじゃないってハッキリ気づいてた。



16:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:04:53.629ID:7blKN20t0
なぜなら
「いひゃっいひゃっいひゃっ」
ていう笑い声は、大村だけじゃなくて、俺にも聞こえてたから。

首だけを横に向けて振り返ると、俺に肩を掴まれた大村の真後ろに、笑い女が立ってた。
「いひゃっいひゃっいひゃっ」
て笑いながら、涎を垂らしてる。
俺は大村が絶対に後ろを振り向かないように、肩を押さえる手に力を込めた。
ただでさえ笑い女を怖がってる大村が、こんな至近距離で当の本人と向かい合うのは、絶対にまずい。
少しすると(凄まじく長い時間のように感じたけど)、笑い女はスーパーとは逆の方向に笑いながら去っていった。

立ち去り際に、笑い女の顔が俺の方を向いた。
俺はそれまで笑い女を遠巻きに見たことは会っても、あんな至近距離で真正面から見るのは初めてだった。
口はにんまり開かれてるのに、ボサボサの髪の中でこっちを向いてる目は、全然笑ってない。
でも、怖いと思ったのはそんなことじゃなくて、笑い女の口そのものだった。
涎が唇の端で泡になってる、笑い女の口には、歯がなかった。

それから後、俺は随分自分勝手なことをしたと思う。
何も知らずにまだ震えてる大村を、無理矢理バスに乗せて一人で帰らせた。
もう、その時の俺にとって、大村の妄想とかはどうでも良かった。
ただただ自分が見たものの気味悪さが恐ろしくて、早く自分の部屋に帰りたいっていう一心だった。

その日以来、大村は会社に出て来なくなった。
最初はみんな(俺以外みんな)、
「あいつ、この年末にサボりかよ」
とか言ってたけど、あまりにも無断欠勤が続いたから、いくらなんでもこれはおかしいって話になった。
そのうちに、大村が死んだってことがわかったのが、先週の金曜。

今となっては大村も気づいていたのかはわからないけど、俺にはハッキリわかってることが一つだけある。
笑い女の
「いひゃっいひゃっいひゃっ」
てのは、笑い声なんかじゃない。

よく聞くと
「居た、居た、居た」
って言ってる。



18:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:06:31.294ID:7blKN20t0
「隙間女」

とある大学に通っていたYが突然学校に来なくなり、連絡しても音信不通となってしまった。
仲良くつるんでいたEとOは、心配になってYのアパートを訪れた。

ピンポーン
E「おーいY、生きてるか~?」

返事はない。鍵もかかっているようだ。

E「なんだ留守か。」
O「もしかして単位落としそうだから、諦めて実家に帰ったんじゃねw」

そんな話をして帰ろうとすると、Yの部屋の玄関が開いた。

E「お、Y!いたのかよ!返事くらいしろよな!」
Y「…あぁ、ゴメン…。」

Yは根っから明るくて、正直言うとバカなヤツだ。しかし今は見るからに元気がなく、痩せて見えた。

O「なんだ具合でも悪いのか?助けてやっからSOSくらい出せよな~。」
Y「いや、別に体調は大丈夫だよ…。」
E「ってかちゃんと飯食ってる?」
O「お前はYの母ちゃんかw」
Y「…。」
O「あ!わかった!お前Mちゃんに振られたんだろ?」
Y「いや、そういうんじゃないけど…。」
E「ま~何があったのか、部屋入って話そうぜ!入った入った!」
O「いやここ、Yの家だからw」

いつものノリでズカズカと部屋に押し入る。
Yの部屋はいつも以上に散らかって、カーテンも閉め切ったままだった。

E「昼間はカーテンくらい開けろよな。」
O「さすが母ちゃんw」

するとYは

Y「いや、カーテン開けるなって言われてるし…。」
E「え?誰に?」
O「何?!もしかして女か?」
Y「あぁ…まぁ…。」
EとO「マジか?!」

しかしYの部屋は1部屋しかなく、どこをどう見ても3人以外の人は見当たらない。

O「え~と、女は帰ったのかな?」
Y「いるんだ。そこに。」

そう言ってYは、壁を指した。
E「おいY、お前大丈夫か?」
Y「いや…いるんだ。」
EとOは顔を見合わせた。
いるって言っても、そこには漫画がギッシリ詰まった本棚と衣装タンスしかない。

E「…どういうこと?」
Y「そこ…そこの隙間に…。」
どうやらYは本棚とタンスの隙間を言っているようだ。
EとOは恐る恐る、その隙間を覗いてみた。
およそ5cmほどの隙間には、有り得ないことに女性が立ってこっちを見ていた。



19:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:07:21.399ID:7blKN20t0
「ベッドの下に…」

マンションで一人暮らしをしているA子の部屋に、友人のBが泊まりで遊びにきていました。
楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、気づけば真夜中。明日も朝が早い2人は、もう寝ることになりました。

じゃぁどうやって寝ようか?という事になったのですが、その部屋はシングルのベッドが一つしかありません。
仕方なくA子がベッドで、Bは床に布団を敷いて寝ることになりました。

「じゃおやすみ~」

A子が部屋の電気を消そうとした時、Bが突然
「あ~ちょっとコンビニ行きたくなっちゃった!ね~一緒に行こうよ?」
と言い出します。

眠気で面倒なA子は
「私はいいから、一人で行ってきてよ~」
と断るのですが、Bは絶対に2人で!今すぐ行こう!と言ってききません。

根負けしたA子は、渋々Bと部屋を出てコンビニへと向かうのですが、どうもBの様子がおかしい。
顔は真っ青で汗をかき、逃げるようにコンビニへ向かおうとするのです。

「ちょっと~B、どうしたのよ~?」
Aが問うと、Bは答えました。

「A子が電気を消そうとした時にベッドの下を見たら、そこに包丁を持った男の人がいるのが見えた…。」

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21:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:08:16.524ID:7blKN20t0
「おーい」

れは大学生の頃、友人達と海へ遊びに行った時の話です。
尚、以下に出てくる人名は全て仮名です。

その日、僕は友人である田中と佐藤の男3人で、海へと遊びに来ていました。
具体的に何処へ行こうと決めていたわけでもなく、なんとなく海際を車で流して、空いてる砂浜が見つかったら適当に遊ぼうとか。
まぁそんな感じの集まりでした。

「おい、ここいいんじゃねーの?」
「バカ、メチャ混みだろ。もっと空いてるとこがいいよ。」

お互いそんな事を言いながら車を走らせている内に、人の多い海水浴場から少し外れた岩場混じりの砂浜を発見。
沖合でウィンドサーフィンをしている人達がいる他は殆ど人もおらず、如何にも穴場っぽいその雰囲気が気にいった僕たちは、車を止めてそこで遊ぶことにしました。

海に入る前、皆で持ち込んだ浮き輪やフロートマットをシュコシュコと空気入れで膨らませます。
正直、僕はあまり水泳が得意ではなく浮き輪は生命線。その点で言えば、田中も佐藤もどっこいどっこいです。



22:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:08:58.759ID:7blKN20t0
水遊び自体はなかなか楽しいものでした。
人の居ない海は快適で、天気も快晴。絶好の海水浴日和です。
ビーチボールで遊んだり、フロートマットで水辺を漂ったり。
そうやって海遊びを満喫していると、田中がトイレに行ってくると言い出しました。

「ションベンならそこらですればいいじゃん。」
「うるせ、大だよ大。向こうの海水浴場にトイレあるの見えたから、ちょっとそこまで行ってくるわ。」

田中を見送った後で、僕もなんとなく休憩する気分になり、波打ち際に置いたフロートマットに寝転がりました。

それから10分ほど経ったでしょうか。
マットの上で少しウトウトしていると、海の方から人を呼ぶ声がして、僕は目を覚ましました。

「おーい」

何処から呼んでいるのかと辺りを見渡すと、少し沖合で佐藤らしき人影がこちらに向かって手を振っているのが見えました。

「おーい」
「なんだ?なんかあったのか?」
「おーい」

声を掛けましたが、向こうは聞こえてないのか、こちらに向かって手を振るばかり。
仕方がないので、佐藤のいる沖へ向けてフロートマットを漕ぎ出します。

「おーい」
「お前何やってんだよ。大して泳げないくせに。」
「おーい」

近付きながら声を掛けますが、こちらが何を言っても向こうは「おーい」と繰り返すだけです。
一体何なんだ?と訝しんでところで、僕は気が付きました。

(え?あいつ誰だ?)



23:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:09:20.474ID:7blKN20t0
背格好が似ていたのでなんとなく佐藤だと思いこんでいましたが、よく見ると全くの別人です。
しかも相手は浮き輪すら付けていません。
僕より水泳が苦手な佐藤が、こんなところまで浮き輪無しで来られるわけがないのです。

いつの間にか呼ぶのを辞め、無表情のままじっとこちらを見つめているその男。
僕はゾーッとし、慌てて向きを変えて砂浜に戻ろうとしました。
しかし潮の流れが早く、幾らバタ足でフロートマットを押しても一向に砂浜へ戻れません。
そうしている内に、ガッと何かに右足首を掴まれました。
グイグイと物凄い力で海に引きずり込まれ、必死になってもがくものの、遂にはフロートマットからも手が離れてしまいました。

(やばい、死ぬ!助けて!)

水を飲み、もうダメだ…
そう思ったギリギリのところで、僕はたまたま近くに居たサーファーに助けられました。
助けられるのが後少しでも遅かったら、本当に危なかったところです。
僕はサーファーボードに引き上げられ、息も絶え絶えながらなんとか砂浜にまで帰り付きました。

海から上がった僕の側に、驚いた顔をした田中と佐藤の2人が駆け寄って来ます。



24:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:09:41.621ID:7blKN20t0
「おい、お前大丈夫か?」
「すいません、友人がご迷惑を。おかげで助かりました。」
「いや、早く気が付けてよかったですよ。ただ…」
「?何があったんですか?」

田中の言葉に、サーファーの人が答えました。

「…ここで泳ぐの、もう止めた方がいいですよ。その、そちらの人をボードに引っ張り上げようとした時に見えたんですが…。その人の足に、水中から男がぶら下がっていたんです。あれは多分、人間じゃありませんよ。こっちも怖くて、もうちょっとで手を離すところでした。」

僕の右足首には、人の手の形をした痣がくっきりと残っていました。
当然もう泳ぐどころではなくなり、僕たちは慌ててその浜から逃げるように立ち去りました。

後で聞いた話によると、その場所は離岸流が多発するせいで遊泳禁止となっており、地元の人間は絶対に泳がない場所なんだそうです。
今でも「おーい」と呼ぶ声を聞くと、当時の恐怖を思い出します。



25:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:10:34.215ID:7blKN20t0
「猛スピード」

漏れにはちょっと変な趣味があった。その趣味って言うのが、夜中になると家の屋上に出てそこから双眼鏡で自分の住んでいる街を観察すること。
いつもとは違う、静まり返った街を観察するのが楽しい。
遠くに見えるおおきな給水タンクとか、酔っ払いを乗せて坂道を登っていくタクシーとか、ぽつんと佇むまぶしい自動販売機なんかを見ていると妙にワクワクしてくる。

漏れの家の西側には長い坂道があって、それがまっすぐ漏れの家の方に向って下ってくる。
だから屋上から西側に目をやれば、その坂道の全体を正面から視界に納めることができるようになってるわけね。
その坂道の脇に設置されてる自動販売機を双眼鏡で見ながら
「あ、大きな蛾が飛んでるな~」
なんて思っていたら、坂道の一番上のほうから物凄い勢いで下ってくる奴がいた。

「なんだ?」
と思って双眼鏡で見てみたら全裸でガリガリに痩せた子供みたいな奴が、満面の笑みを浮かべながらこっちに手を振りつつ、猛スピードで走ってくる。
奴はあきらかにこっちの存在に気付いているし、漏れと目も合いっぱなし。
ちょっとの間、あっけに取られて呆然と眺めていたけど、なんだか凄くヤバイことになりそうな気がして、急いで階段を下りて家の中に逃げ込んだ



26:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:10:51.055ID:7blKN20t0
ドアを閉めて、鍵をかけて
「うわーどうしようどうしよう、なんだよあれ!!」
って怯えていたら
ズダダダダダダッって屋上への階段を上る音が。明らかに漏れを探してる。
「凄いやばいことになっちゃったよ、どうしよう、まじで、なんだよあれ」
って心の中でつぶやきながら、声を潜めて物音を立てないように、リビングの真中でアイロン(武器)を両手で握って構えてた。

しばらくしたら、今度は階段をズダダダダッって下りる音。
もう、バカになりそうなくらいガタガタ震えていたら
ドアをダンダンダンダンダンダン!!って叩いて、チャイムをピンポンピンポン!ピポポン!ピポン!!と鳴らしてくる。
「ウッ、ンーッ!ウッ、ンーッ!」
って感じで、奴のうめき声も聴こえる。
心臓が一瞬とまって、物凄い勢い脈打ち始めた。

さらにガクガク震えながら息を潜めていると、数十秒くらいでノックもチャイムもうめき声止んで、元の静かな状態に……。
それでも当然、緊張が解けるわけがなく、日が昇るまでアイロンを構えて硬直していた。
あいつはいったい何者だったんだ。
もう二度と夜中に双眼鏡なんか覗かない。



27:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:11:48.960ID:7blKN20t0
「トイレのオバサン」

学校のトイレって怖いよな、怪談に事欠かない舞台だと思うよ。
昔の学校のトイレっていうのはやけに薄暗くて、それでいて何となくひんやりした空気がある。
特に放課後ともなると人の気配が無くなって、その空気の冷たさが際立つんだろうな。

最近は綺麗なトイレの学校も多くあるらしいが、どんなに明るい色のタイルを張り付けても、どんなにモダンなデザインの手洗い場を設けてたとしても、あの学校のトイレにある独特の空気や恐怖は簡単に拭いきれるものじゃないと思うんだ。

うちの学校のトイレも、当時としては珍しく綺麗だった。
前年に車いすの為のバリアフリー化が行われ、その一環だったと思う。
けど旧校舎のトイレまでは手が回らず、そちらは相変わらず陰気な雰囲気だった。

こちらの陰気なトイレには噂があって、放課後に一人で用を足していると便器の中から河童の手が現れて、中へ引きずり込まれると言うものだった。
水洗トイレにどうやって引き込むんだろうかとの疑問もあったが、小学生にはトイレに河童と言うだけでも怖い物で、皆そのトイレをなるべく使わないようにしてた。

ある日クラブ活動でちょっと帰りが遅めになった時、職員室の方で女の子が何人か泣いて居たことがある。
聞き耳を立てていると、トイレで変な人を見たと言うのだ。

「ああ、あの旧校舎のトイレってやっぱり何か出るんだな」
と一人で納得していたが、どうも違うらしい。
変な人を見たのは新しいトイレの方なんだって。

その子がトイレに入ると、手前にあるトイレの扉が閉まってて開いてるのは奥の方しか無かった。
仕方なく一番奥の扉が開いてるトイレに入ろうとしたら、オバサンが和式便器にしゃがんだままコッチを見ていたらしい。

一瞬、使用中だったんだと思ったその子は謝って別のトイレに行こうとしたんだけど、よく考えれば扉を閉めないで用を足す人が居るだろうか…?という疑問が湧いた。
変な人がいたなと思って、先生に言いに行こうとトイレを出た時、そのオバサンが個室からしゃがんだまま出てきたのだという。

オバサンはしゃがんだまま、ずりずりって摺り足で女の子の方に近づいてきて、あまりの恐怖に女の子は逃げ出してきたのだとか。

ただの不審者だとは思うんだけど…なんか見たっていう女の子が言うには、そのオバサン、腰から下が無かったって言うんだよね。



29:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:12:50.627ID:7blKN20t0
「小学校のトイレ」

あれは小学校4年生のころだったかな。学校のトイレで体験したちょっと怖い話。

その日は、台風が近づいていて大雨で警報がでたため、学校が途中で中止になり下校命令が出ていました。
みんな帰り支度をしている中、私はふとトイレに行きたくなってしまいまして、一人で学校の一階にあるトイレに行ったんです。

そこのトイレは特にこれといった噂もなく、普通のトイレだったんですが、台風のせいかいつもより薄暗く少し肌寒い気がしました。

「早く用を済ませて帰り支度しなくちゃ」

そう思って小便器の前に立っていたのですが、ザーーっと横の個室から水を流す音が聞こえてきたんです。

その時は
「あ、誰か入っているのかな?」
くらいにしか思わなかったんですが、どうも何かがおかしい。

鳴りやまないんです。ザーーっと水を流す音が。

そのころにはさすがに用も足し終わっていて、恐怖心もすごくあったんですけど好奇心が勝っちゃったみたいで、その例の音がする個室の前に立ってドアを開けようと手を伸ばしたんです。

「バンッ」
勢いよくドアが開きました。
私はまだドアに手をかけていません。
中をのぞくと、水だけが勢いよく流れていました。

もうこの時点で今すぐ逃げ出したかったんですが、なぜか足が動かない。
すると後ろで気配がしました。
首だけを後ろに向かせると、びしょびしょに濡れた男の子がうつむいて立っていました。
この子の顔を見ちゃいけないと、なぜか直感で思いましたね。

足も動くようになっていたので、ゆっくりと顔を上げていっている男の子を尻目に、一目散に教室に逃げ帰りました。

結局みんなに話しましたが誰にも信じてもらえず、もどかしい気持ちでいっぱいだったのですが、あれ以来、そこのトイレは一人では行けなくなってしまいました。
あの時、男の子の顔を見てしまっていたらどうなっていたのだろう…と今になっては思います。



32:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:15:01.917ID:7blKN20t0
「旧校舎の女の子」

とある学校で、旧校舎から女の子が見ている、という噂が広がった。

その学校には使われていない3階建ての旧校舎が、校庭を挟んで新校舎と向かい合わせに建てられていた。
旧校舎はもう数十年は使われておらず、先生から入る事は禁じられている。
その旧校舎の3階の一番端の教室に、女の子が立っているというのだ。

最初はS君だけがその女の子に気づき、他の友人は誰も見た事がなかったのだが、次第に
「見た」
という人が増えていった。
その女の子はおかっぱの髪型で、なぜかS君が校庭にいるときにだけ現れていた。
皆はお化けだと怖がっていたが、幽霊なんて怖くないと思っていたS君は
「ヤベー、オレの事好きな子なのかな?」
なんて呑気なことをいっていた。

そんなある日、友達と学校から帰宅しようとしたS君がふと旧校舎を見てみると、また3階端の教室からあの女の子が見ていた。
「よし!今日こそあの子に会いにいってみよう!!」
絶対に止めた方が良いという友達の忠告も聞かず、S君は一人旧校舎へと入っていった。

立ち入り禁止と言われているものの、旧校舎への侵入は皆が経験していた。裏の入口から侵入できるのだ。
しかし2階や3階へ踏み入ったという人は今までに聞いたことがない。
S君はギシギシ音をたてる階段をのぼって、3階端の教室まで向かった。
辿り着いた教室のドアを引くと、中は物置場のようになっていた。埃が積もった机や椅子が所狭しと重ねて並べられている。
そしてその窓際に、女の子が肘を窓枠へ乗せて立っていた。

「本当にいた!」
と一瞬心を躍らせたものの、明らかな異変にS君は気付いた。
女の子は腰まで長い髪が伸びていたのだが、そこから下の下半身がなかったのだ。

「これは…マズい…!」



33:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:15:23.533ID:7blKN20t0
S君はそう思ったものの、恐怖で体が思うように動かない。すると女の子の首だけがゆっくりと後ろへ回りはじめた。
首を真後ろに向けた女の子の顔は青白くボロボロで、目には穴だけがあり、口は耳まで裂けていて人間ではなかった。

「うわぁぁーーーー!!!」

悲鳴をあげてS君が後ろへ尻もちをつくと、その女の子は肘をかけていた窓際からトカゲのように這って近づいてきた。
S君はとにかく夢中で逃げて階段を転げ落ち、全速力で旧校舎の出口へ突っ走った。

旧校舎の裏には、S君の帰りを友人達が心配して待っていた。
するとそこに血だらけになったS君が飛び出してきて
「ヤバい!ヤバい!!」
と大声で叫びパニック状態に陥っていた。
訳のわからない友人達が
「どうした!S!?」
と尋ねるものの、S君は
「あ~~!!」
と大声をあげて泣き叫ぶばかりなので、急いで職員室へと担ぎ込まれた。
職員室でも取り乱しているS君をみて、先生たちは開口一番に
「まさか旧校舎に入ったのか?!」
と尋ね、友人たちが
「そうです」
と答えるなり数人で旧校舎の方へと向かっていった。

その後、S君は階段から転げ落ちたため体のあちこちを縫う怪我をしたものの、なんとか回復した。
旧校舎は先生たちによって厳重に封印され、どこからも侵入できないようになってしまった。
こんな事件が起きたのに、先生たちに詳細を聴いてみても
「旧校舎には近寄らないように」
の一点張りで何も教えてくれない。
S君はすっかり懲りたのか、その日見たというお化けの話はしてくれるものの、旧校舎には近寄るどころか視界にも入れないようになっていた。
先生も協力して、S君にだけは校庭で体育の授業をさせないという特別措置を取っているところを見ると、かなりヤバい事になっているのは間違いないのだろう。

そしてこの話をS君から聞いた人達は、なぜか頻繁に旧校舎の3階端教室にいる女の子のお化けを目にするようになった。
以前はS君がいなければ見れなかったはずなのに…。



36:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:17:36.516ID:7blKN20t0
「ヤマノケ」

一週間前の話。
娘を連れて、ドライブに行った。
なんてことない山道を進んでいって、途中のドライブインで飯食って。
で、娘を脅かそうと思って舗装されてない脇道に入り込んだ。

娘の制止が逆に面白くって、どんどん進んでいったんだ。
そしたら、急にエンジンが停まってしまった。

山奥だからケータイもつながらないし、車の知識もないから娘と途方に暮れてしまった。
飯食ったドライブインも歩いたら何時間かかるか。

で、しょうがないからその日は車中泊して、次の日の朝から歩いてドライブイン行くことにしたんだ。

車内で寒さをしのいでるうち、夜になった。
夜の山って何も音がしないのな。
たまに風が吹いて木がザワザワ言うぐらいで。

で、どんどん時間が過ぎてって、娘は助手席で寝てしまった。
俺も寝るか、と思って目を閉じてたら、何か聞こえてきた。

今思い出しても気味悪い、声だか音だかわからん感じで「テン(ケン?)・・・ソウ・・・メツ・・・」って何度も繰り返してるんだ。
最初は聞き間違いだと思い込もうとして目を閉じたままにしてたんだけど、音がどんどん近づいてきてる気がして、たまらなくなって目を開けたんだ。



37:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:17:58.633ID:7blKN20t0
そしたら、白いのっぺりした何かが、めちゃくちゃな動きをしながら車に近づいてくるのが見えた。
形は「ウルトラマン」のジャミラみたいな、頭がないシルエットで足は一本に見えた。
そいつが、例えるなら「ケンケンしながら両手をめちゃくちゃに振り回して身体全体をぶれさせながら」向かってくる。

めちゃくちゃ怖くて、叫びそうになったけど、なぜかそのときは
「隣で寝てる娘がおきないように」
って変なとこに気が回って、叫ぶことも逃げることもできないでいた。
そいつはどんどん車に近づいてきたんだけど、どうも車の脇を通り過ぎていくようだった。
通り過ぎる間も、
「テン・・・ソウ・・・メツ・・・」
って音がずっと聞こえてた。

音が遠ざかっていって、後ろを振り返ってもそいつの姿が見えなかったから、ほっとして娘の方を向き直ったら、そいつが助手席の窓の外にいた。
近くでみたら、頭がないと思ってたのに胸のあたりに顔がついてる。
思い出したくもない恐ろしい顔でニタニタ笑ってる。



39:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:18:20.911ID:7blKN20t0
俺は怖いを通り越して、娘に近づかれたって怒りが沸いてきて、
「この野郎!!」
って叫んだんだ。
叫んだとたん、そいつは消えて、娘が跳ね起きた。

俺の怒鳴り声にびっくりして起きたのかと思って娘にあやまろうと思ったら、娘が

「はいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれた」

ってぶつぶつ言ってる。

やばいと思って、何とかこの場を離れようとエンジンをダメ元でかけてみた。
そしたらかかった。

急いで来た道を戻っていった。
娘はとなりでまだつぶやいている。

早く人がいるとこに行きたくて、車を飛ばした。
ようやく街の明かりが見えてきて、ちょっと安心したが、娘のつぶやきが
「はいれたはいれた」
から
「テン・・ソウ・・メツ・・」
にいつの間にか変わってて、顔も娘の顔じゃないみたいになってた。

家に帰るにも娘がこんな状態じゃ、って思って、目についた寺に駆け込んだ。
夜中だったが、寺の隣の住職が住んでるとこ?には明かりがついてて、娘を引きずりながらチャイムを押した。

住職らしき人が出てきて娘を見るなり、俺に向かって
「何をやった!」
って言ってきた。



40:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:18:48.355ID:7blKN20t0
山に入って、変な奴を見たことを言うと、残念そうな顔をして、気休めにしかならないだろうが、と言いながらお経をあげて娘の肩と背中をバンバン叩き出した。

住職が泊まってけというので、娘が心配だったこともあって、泊めてもらうことにした。
娘は「ヤマノケ」(住職はそう呼んでた)に憑かれたらしく、49日経ってもこの状態が続くなら一生このまま、正気に戻ることはないらしい。
住職はそうならないように、娘を預かって、何とかヤマノケを追い出す努力はしてみると言ってくれた。
妻にも俺と住職から電話して、なんとか信じてもらった。

住職が言うには、あのまま家に帰っていたら、妻にもヤマノケが憑いてしまっただろうと。
ヤマノケは女に憑くらしく、完全にヤマノケを抜くまでは、妻も娘に会えないらしい。

一週間たったが、娘はまだ住職のとこにいる。
毎日様子を見に行ってるが、もう娘じゃないみたいだ。
ニタニタ笑って、なんともいえない目つきで俺を見てくる。
早くもとの娘に戻って欲しい。

遊び半分で山には行くな。



41:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:19:33.778ID:7blKN20t0
「谷底にいるアレ」

これは小学5年生の頃の話、一番恐ろしかった。これ以上の体験は、後にも先にも無い。
内容が内容だけに信じてくれない人も居るが、俺は確かに見た、と思っている。
そして見たのは俺一人じゃない。

親の後に付いて山中の獣道を歩いてた。季節は夏。周囲は夕闇が迫って来ていた。
陸自空挺レンジャー出身の親父が先導していたので、疲れはしていたけど恐怖は無かった。頼れる親父であった。

聞こえる音といえば二人の歩く音と木々のざわめき、種類は分からないが鳥の鳴き声と、谷を流れる川の音…だけだと思っていた。
何か、人の声が聞こえた気がした。でも、特に川の音などは人の声に聞こえる場合もある。最初はそれだと思っていた。
けれども、気にすれば気にするほど、人の声としか思えなくなってきた。

「とうさん…誰かの声、聞こえない?」
「……」
「誰だろ、何言ってるんだろ?」
「いいから、歩け」

言われるままに、黙々と歩いた。だが、やっぱり声が気になる…どこからしているんだろう?

周囲をキョロキョロしながら歩ていると、谷底の川で何かが動いているのが見えた。
獣道から谷底までは結構な距離がある上に、木や草も多い。
そして夕闇が迫っているので、何かが居たとしてもハッキリ見える筈は無い。
ところが、ソイツはハッキリと見えた。

獣道と谷底の川は距離があるものの、並行したような形になっている。
そして、ソイツは谷底を歩きながら、ずっと我々に付いてきていた。

「お~い、こっちに来いよぉ~!」



42:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:19:52.452ID:7blKN20t0
谷底を歩く坊主頭の男は、我々に叫んでいた。
ゲラゲラ笑いながら、同じ台詞を何度も繰り返している。
それだけでも十分異様だったが、その男の風体も奇妙だった。

着ているものが妙に古い。時代劇で農民が着ているような服だ。
顔は満面の笑顔。だが、目の位置がおかしい。頭も妙にボコボコしている。
そして、結構な速度で移動している。ゴツゴツした石や岩が多い暗い谷底を、ものともせず歩いている。

大体、こんな暗くて距離もあるのに、何故あそこまでハッキリ見えるんだろう?と言うより、白く光ってないか、あの人?
小学生の俺でも、その異様さに気付き、思わず足を止めてしまった。

「見るな、歩け!」

親父に一喝された。その声で我に返る俺。途端に、恐ろしくなった。
しかし恐がっても始まらない。後はもう、ひたすら歩くことだけに集中した。
その間も谷底からは、相変わらずゲラゲラ笑いながら呼ぶ声がしていた。

気付けば、俺と親父は獣道を出て、車両が通れる程の広い道に出ていた。
もう、声は聞こえなくなっていた。
帰りの車中、親父は例の男について話してくれた。話してくれたと言っても、一方的に喋ってた感じだったけれど。

「7,8年位前まで、アレは何度か出ていた。でも、それからはずっと見なかったから、もう大丈夫だと思っていた。お前も見ると思わなかった」
「呼ぶだけで特に悪さはしないし、無視してれば何も起きない。ただ、言う事を聞いて谷底に降りたら、どうなるか分らない」
「成仏を願ってくれる身内も、帰る家や墓も無くて寂しいから、ああして来る人を呼んでるんだろう」

大体、こんな感じの内容だったと思う。
その後も、その付近には何度か行ったけれど、その男には会ってない。
今度こそ成仏したんだろうか?



44:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:21:24.642ID:7blKN20t0
「かるさん」

私には双子の姉がいます。
これは私達が10歳の頃の冬休みに、家族揃って父の実家へ泊まりに行った時の話です。

そこへ行くのは本当に久しぶりで、年の近い親戚や祖父母に会える事がとても楽しみだったのですが、まさかあんな怖い事が起こるだなんて思いもしませんでした。

父の実家は山口県にあり、周りはぽつんぽつんと民家がある位で昼間でもあまり人通りはありません。
それでも子供にとっては普段行かない場所というのは冒険心に満ち溢れており、着いて早々姉と共に遊びに出て行きました。

姉と懐かしいねなんて話しながら田んぼに挟まれた1本道を歩いていると、向こうから足を引きずった女の子が歩いてくるのが見えました。
道幅がとても狭いので、その女の子が先に通ってから私達も先へ進もうと思い立ち止まりましたが、不意に姉が私を強く引っ張り、元来た道を戻ろうとしたのです。
どうしたのか聞いても

「いいから、急いで帰るよ!」

としか言わず、そのまま私は父の実家に帰りました。

玄関に着くと祖母が迎えに出てくれましたが、顔面蒼白な姉を見てとても驚き、何があったのか聞いてきました。
すると姉は
「そこの1本道でA子ちゃんを見たけどA子ちゃんじゃなかった!」
と泣き出しました。

A子ちゃんとは親戚の子で私達より3歳年上の女の子です。
以前は山口に来た時はよく遊んでいたのですが、あの時見た人は腰まで伸びた髪もぐちゃぐちゃで服も泥で汚れており、面影は全くありませんでした。

姉の話しを詳しく聞いた所、足を引きずっていた女の子はA子ちゃんに似ていますが違う化け物で、本物のA子ちゃんはその化け物の引きずっている方の足を掴んで引きずられていたと言うのです。

姉の話しを聞いた祖母は
「かるさんが出たんか」
と言い、部屋の中へ急いで入ってしまいました。



46:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:21:44.485ID:7blKN20t0
その後は両親や祖母に
「何もないから心配するな」
と言われ、無理やり寝かしつけられました。
そしてまだ数泊する予定だったのを切り上げて、翌朝早くに自宅に戻る事となったのです。

あの時の事は暫く親に聞いても何も答えてくれませんでしたが、先日やっと
「もう大人になったし」
と教えてもらえました。

どうやら「かるさん」というのは方言で「借りる」と言うらしく、あの地域では昔から、時々亡くなった人間が生きている人間の体を借りて歩き回るという事があるのだそうです。

誰彼構わず借りる訳ではなく、亡くなった人と近しい人の体を借りる事が多いらしく、あのA子ちゃんだと思った人は数年前に亡くなったA子ちゃんのお母さんだったのです。

かるさんは体を借りて歩き回って気が済めば(それが何時間後か何日後かはわかりませんが)元に戻れるらしいのですが、その間体を取られた本人は体の一部にしがみついていないと戻れなくなってしまうそうなんです。

でもかるさんが借りるのは今まで成人のみで、子供の体を借りる事はこれが初めてとの事でした。

子供の体に大人の魂では体が衰弱死してしまうと、あの後祖父や親戚達がお坊さんを呼んだりして大騒ぎだったそうです。
結局祈祷師さんか誰かがかるさんを引きはがして事なきを得たそうですが、A子ちゃんは数週間程入院したらしいです。

私にはあの時しがみつくA子ちゃんは全く見えませんでした。
しかし姉にはしっかりと、必死の形相で足を掴んでいるA子ちゃんが見えていたようです。

かるさんも恐ろしいですが、姉の知らない部分も垣間見えて怖くなった出来事でした。



48:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:23:26.173ID:7blKN20t0
「お盆の海」

これは私の友人に起きた実際の体験談です。

お盆には海に入ってはいけないと、古くから伝えられていますよね。
それは、イラ(クラゲ)が出てしまうからという物理的な事だけではないようです。
つまり、霊に海の中へと連れていかれてしまうからだとも言われています。

ですが、お盆は帰省で皆が集まったりでどうしても遊びに夢中になってしまいます。
ダメだと分かっていながらも、海に入って遊んでいる方も少なくありません。
当時の私達もそんな連中でした。

その時、私たちは女性3人と男性4人で海の中に入って遊んでいました。
私は体調の事もあり、砂浜から遊ぶ皆を見ていました。

事件は突然起こりました。
そんなに深くも無い浅瀬で、1人の男性が急に姿を消したのです。
目の前から、ボトっと音を立てて海の中へと姿を消してしまったのです。

遠くから見ている私は、皆の悲鳴が遊んでいるものなのかも分からずに、ただ見ている事しか出来ませんでした。

姿を消した友人は、他の男性に引きずられ出てきました。
男性陣は気を失っている友人を一生懸命引っ張り、女性たちはそれを見守る事しか出来ませんでした。
私も急いで海の家の人を呼びに行きましたが、お盆で人がいらっしゃらないため急いで救急車を呼びました。
救急車が来るまでは見よう見まねの人工呼吸を行い、どうにか友人が目を覚ましてくれるのを祈りました。
救急車に乗せて皆で病院に向かう途中、いったい何が起きたのか誰も把握する事すら出来ていませんでした。



49:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:23:51.016ID:7blKN20t0
浅瀬でビーチボールで遊んでいると、急に友人が姿を消した。
脚でも滑らせたのかと、皆で分からない原因の追及をしました。

病院に搬送された友人はその後、意識が回復しました。
しかし病室で病院の方に
「何があったのですか?」
と青い顔をして聞かれた時、私たちは事態の深刻さに気づきました。

友人の背中には、子どもの様な手形のアザが無数についていました。

病院の方に
「子どもさんと遊んでいたのですか」
と聞かれるも、海には私達だけしかおらず、子どもなんて1人もいませんでした。
私達は皆友人の背中を見て、血の気が引きました。

友人の目が覚めた時に何があったのか問いましたが、友人は
「自分でもよく分からないけれど、誰かに引っ張られた…」
と言いました。
私達は病室の友人にも鏡で背中のアザを見せました。
友人は自分の身に何が起きたのかわからず、更に困惑しているようでした。

友人のアザは2~3日は消えずに残り、私達の胸には一生消えない傷跡が刻まれました。
それから二度とお盆に海へ入る事はやめましたが、私たちは恐怖からお盆だけでは無く海自体に入れなくなりました。



51:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:25:47.066ID:7blKN20t0
「夜に騒ぐ人形」

私の家には私が生まれたときに購入された雛人形があります。それと共に市松人形も購入されました。

いずれの人形も母が私のために大切に大切に毎年飾ってくれていました。
私も気に入っており、幼い頃はずっと雛壇の前で人形達を見つめていたくらいです。

しかし、ある年その人形を出し忘れたときがありました。

その頃にはだいぶん私も成長しそこまで人形に入れ込んでいた訳でもないので、気にもとめていませんでした。
しかしひな祭りの二、三日後から夢を見ました。

内容は、市松人形が私の髪を宙に浮いて撫でていたり、兄弟のように私と市松人形が育てられていたり、等身大の雛人形が出てきて私を雛壇の上から見下ろしていたりと様々でした。
ですが、そんなことが何日も続くとさすが気持ち悪くなり、母に頼んでギリギリに人形をだしてもらうことになりました。
そうすると夢を見ることもなくなって私はほっとしていました。

ですが数日後、夜中2時くらいにトイレに起きると雛人形のおいている部屋からほら貝の音が鳴って来たのです。
気持ち悪くなって部屋へすぐかけ戻りましたが、その後特になにか起こることはありませんでした。

次の日に雛人形を見ましたが…変なところは何もなくいつもの雛人形でした。
今から考えてみると、出してもらえた人形達が祭りをしていたのではないかと思っています。

それ以降毎年飾るようになったので何か起こることはありませんが、大切にしている物は魂が宿ると言いますし、私の人形たちにも宿っているのかもしれませんね。
なにか悪いことが起きたわけではありませんが、それ以降雛人形を見て純粋に可愛いや綺麗と思えなくなったのは確かです。

来年の雛祭り、家の都合上どうも今回はまた雛人形が出せないかも知れないのですが…。またあの夢に悩まされるのかと思うと、今から不安でいっぱいになってしまいます。



52:以下、VIPがお送りします 2019/07/23(火)15:27:00.071ID:7blKN20t0
「三本足のリカちゃん人形」

ある女性が公衆トイレを利用した時、ふと足元を見るとリカちゃん人形が転がっていた。
なんでこんなところにリカちゃん人形があるんだろう?忘れ物かな?
不思議に思った彼女が何気なく手にしてみると、そのリカちゃん人形には通常の足の他にもう1本、不気味な茶色い足がついていた。

ビックリして思わずリカちゃん人形を投げると、その人形が喋りだした。
「わたしリカちゃん。呪われてるの…。」

恐怖を感じた彼女は、急いでその場から逃げだした。
しかし三本足のリカちゃん人形の声は、その後もずっと彼女の耳に聞こえ続けていた。
まるで耳元にいるかのように、ずっと同じ言葉を囁き続けているのだ。
「わたしリカちゃん。呪われているの…。」

耐え切れなくなった彼女はついに発狂してしまい、自分で鼓膜を破ってしまった。


【納涼】怖い話【VIP】(中編)
【納涼】怖い話【VIP】(後編)




引用元:【納涼】怖い話【VIP】
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1563861238/




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