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都市伝説・・・奇憚・・・blog

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2024.11.22 (Fri) Category : 

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ロープの痕

2007.11.28 (Wed) Category : 誰も信じない人へ

私の兄は、優秀な人間でしたが、ちょっと引き篭もりが入っていました(引き篭もりなんていう言葉ができる前のことです)。生真面目すぎて世の中の不正が許せなかったり、自分が世界に理解
してもらえないことを悩んでいました。
私が高校生の時、大学を休学していた兄が突然
 「絵の勉強がしたい」
と言い出しました。私達は皆びっくりしました。兄は確かに絵は小さい頃からとても上手だったのですが、勉強も良くできたので
いい大学に入り、紙の上ではエリートコースを進むかのように見えていたからです。また、鬱がひどくなってきてからは、絵を描くとよけいに鬱になるようで、医者からも絵を描くのをとめられていましたし。
休学中とは言え、いずれは鬱状態を脱して、エリートコースに戻るのだろうと思っていた親は反対しました。反対されたことによって、兄はますます引き篭もりが激しくなっていく様でした。
そんな時、途方にくれた母は、ある易者に相談しに行ったそうです。兄の写真を持って。するとその易者は言ったそうです。
 「息子さんの好きにさせてあげないと、首を吊って死んでしまいますよ」
と。その易者が指差した兄の写真の首の回りには、驚くべきことにうっすらとロープの跡が見えたそうです。映画の「オーメン」みたいに。

驚愕した母は、その易者に言われた通り、毎日一杯の水を供え、毎朝のトイレ掃除を欠かさず、兄のために必死で祈ったそうです(もともと無宗教な家庭でしたので、母がそんな言葉を真に受けて実行していたのが当時の私には不思議に思えましたが)。その写真は箪笥の奥深く隠し、誰にも見せませんでした。
結局両親はその易者の言葉に従い、兄が行きたいという海外のアート・インスチチュートの受験を許可しました。驚くことに兄は入学が許可されました。
それから十二年が過ぎ、兄は現在は芸術家として生計をたてられるようになりました。その兄が結婚することになった時、母が初めて私にこの話をしてくれたのです。そしてその時、十二年ぶりに、例の写真を箪笥から取り出しました。
それを見て母は驚愕に目を見張り、そしてはらはらと涙を流しました。十二年前には確かにあったというロープの跡は全く見当たりませんでした。







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