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先輩との肝試し
2018.04.09 (Mon) | Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象
引用元:死ぬ程洒落にならない怖い話をあつめてみない?147
933:本当にあった怖い名無し:2006/11/01(水)18:57:52ID:xco/+y1i0
はじめに:地域特定されない為、言葉は標準語に直しています。
俺たちの関係って師匠シリーズの昆布さんと師匠に似てるような気がする。
俺が所属してる地元の青年会(のようなもの)にいる先輩と一緒に二度目の肝試しをしている時に感じた事だ。
当時から師匠シリーズのファンだった俺は、なんとなく登場人物の二人と自分たちを重ね合わせながら夜の廃屋を歩いていた。
といっても、その先輩は”師匠”ほどぶっ飛んだ人ではないし、普段は常識ある普通の好青年だ。
俺自身も霊感は今までなかったし、多分今もないだろう。
おかしな体験をする原因は絶対に”先輩”だ。
というか、それ以外考えられない。
事の始まりは中学を卒業し、青年会に入ってから1年ほど経ったある夏の夜だった。
「どうだい、今から遊びに行かないか?」
と、俺と、同い年数人が先輩に声をかけられた。名前をYとする。
彼が主人公である”先輩”であり、俺の4つ年上である。
俺たちは喜んで2つ並んでる車の前の方に乗り込んだ。
メンバーを紹介すると、前の車両にYさん、俺、M(同い年)。
後ろの車両にTさん、同い年の2人(H、Oとする)の計6人。
「どこに行くんだろ?w」
と、いろいろと話しているうちに、車はどんどん街頭がない山道に進んでいった。
「あの・・・Yさん、なんかだんだん暗くなってる気がするんですが・・・。」
俺はこの辺からもうビクつきまくっていた。
こりゃ絶対心霊スポットじゃねぇか!
「ああ~、そろそろ言っとかなきゃね、Tトンネルに行こうと思ってるんだよ。」
反射的に逃げ出そうとしたが、そこは走行中の車。成す術がなかった。
霊感があったわけではないし、霊を信じていたわけでもなかった。
934:本当にあった怖い名無し:2006/11/01(水)18:58:25ID:xco/+y1i0
しかし、やはり心霊スポットとなると気が滅入ってしまう。
しかもTトンネルとは県内随一の最怖スポットとして、若者たちの間で噂されているトンネルだ。
とにかく先輩の手前、俺も悲観に暮れている場合ではない。
もしもここで怖がったりしていたら、トンネルで置き去りにされるに決まっている。
「へぇ~そうなんですか、楽しみですね。」
といった感じに明るく振舞っていた。しかし、すでに異変は始まっていた。
同乗していたMが突然
「気分が悪い」
といって、車を停めてくれと言うのだ。
先輩は
「え、ここで!?困るなぁ。」
と言って、なかなか停めてくれない。
とりあえず俺がビニール袋を渡したが、何度もおぇっ!おぇっ!となるばかりで、一向にモノは出てこない。
仕方ない、といった表情になった先輩が、車を停め、俺に向かって
「中に居ろよ。」
と言った。
同い年が気分を悪くしているのに、先輩にそんな事をさせるわけにはいかない。
とMを降ろそうとしている先輩に声を掛けたが、
「いいから居ろ。絶対に外に出るなよ。」
と逆に釘を刺されてしまった。
後ろの車両を見ると、Tさんも同じようにHとOに外に出ないように言っているようだ。
しばらくしてMが戻ってきた。
元気がないようだが、すっきり吐いて気分が良さそうにも見える。
俺が先輩に
「すいません。」
と謝ると、
「いいよいいよ、俺が悪いんだし。」
と返された。
「?」
と思ったが、きっとこんな山道に連れてきて悪かった、という意味なんだな、と勝手に納得した。
そして、ついにTトンネルに到着した頃には、午前1時を回った頃だったと思う。
とりあえず車から降りて、と言われた俺たちは、トンネルの手前で停まった車から降りた。
数分後に後ろからTさんの車もやって来る。
6人揃ったところで、とりあえずYさんの写真で記念撮影することに。
「右右・・・あ、それだと見えないよ、T、ちょっと左に寄って。」
見えない?何の事だ?俺は少しずつ怖くなってきた。
夏とは言え、夜の山、しかもトンネルの前とあっては、少し肌寒い。
先輩2人はロンTを着ていた。なるほど、最初からここに来るつもりだったか。
935:本当にあった怖い名無し:2006/11/01(水)18:59:00ID:xco/+y1i0
中央が妙に開いている記念写真を撮った後、Tさんが
「撮れたか?」
と言っていた。
それに
「う~ん、五分五分だね。」
と返す先輩。
慌てて
「Yさんて、ひょっとして・・・。」
と言おうとしたが、Tさんは俺が全部言い終わる前に言った。
「Yは霊を呼び寄せる体質だから、皆罰当たりなことはすんなよ~w」
と、もうこの時点で俺は帰りたかった。
当たり前だ。”霊感がある”ならまだ頼もしい気もするが、”呼び寄せる”人とこんな所にいるなんて考えたくもない。
そのシチュエーションに現実に直面しているのだ。
その後もトンネルを二往復ほどしたが、何度か嫌な目にあった。
「いるいる」
などと言っては写真を取りまくる先輩。
目の前に現れた青い光、雨が降ったような「ザー」という音。
外に出てみると、車には水一滴ついていなかった。
小さなライトの光を追うことが怖くなり、かといって暗闇を見つめるのも怖かった。
もうウンザリした俺はついに
「帰りましょうよ!」
と今日始めて泣き言を言った。
普段のこのコンビのノリなら、きっと俺の後ろに向かって
「出たー!」
と叫び、一目散に走り出すはずだ。
俺はそれを覚悟して、絶対にビビらないぞ、と腹を括っていた。
しかし2人は顔を向け合って
「わかった。」
と呟いた。心持ちTさんは顔色が悪かった気がする。
再び車に乗り込んだ時は、本当にホッとした。まったく酷い目にあった。
しかし、本当に怖いのはここからだった。
936:本当にあった怖い名無し:2006/11/01(水)18:59:46ID:xco/+y1i0
帰り道、突然俺の中に悪寒が襲った。
なんというか、心臓が冷え切ってしまったような、嫌な感じだ。
「お前らさぁ、今変な感じしなかった?」
ふと先輩が呟く。
Mを見ると、冷や汗をかいていた。
目が合うと、俺もコイツと同じ表情をしているのがわかった。
「・・・わかります?」
もう怖くて怖くて、こう聞くのが精一杯だった。
だが、さらに俺たちを絶望の淵に追いやる一言が先輩から発せられた。
「うん、だってシートの真ん中にいるもん。」
恥ずかしい話、俺はこの時少し漏らしてしまった。
俺はそれを認めたくなくて、大きな声で叫んだ。
「アンタに何がわかるんだ!もういい加減にしてくれ!!」
青年会では決して使ってはいけない、年上への暴言。
「じゃあさ、お前らなんでそんなに真ん中開けて座ってんの?」
後部座席に座っている俺たちは、2人にしてはやけにシートの中央部分を開けて座っていることに気付いた。
「さっきの事は、黙っててあげるから。」
先輩は微笑を浮かべた。
937:本当にあった怖い名無し:2006/11/01(水)19:03:26ID:xco/+y1i0
え~、とりあえずここまでです。
雑な文で読みづらかったと思いますが、長文を書くのは苦手なもんで・・・。スイマセン。
ここまでではよくある、”霊感のある人と一緒に肝試ししたら酷い目に合った”という話なんですが、文字通り洒落にならない後日談がありますので、また機会があれば投下したいと思います。
引用元:死ぬ程洒落にならない怖い話をあつめてみない?148
157前スレ>>933後日談2006/11/03(金)15:18:16ID:V0jk0lgW0
先輩と始めての肝試しをした翌日、車に同乗していたMが俺の家に訪れた。
「なんか、変なんだ。」
と電話で話していたように、顔色が悪い。
昨日の事を引きずってるのか?
「昨日寝てる時、夢を見たんだ。それが変な感じで・・・。」
そう言うとMは、携帯電話を取り出し、話を始めた。
「夢の中で、ず~っと携帯が鳴ってるんだよ。すごくうるさくて、耳にガンガン響いくんだ。思わず目が覚めた。汗をビッショリかいてたけど、慌てて携帯を確認した。」
俺はいつしか身を乗り出して聞いていた。幽霊を信じてないとはいえ、オカルトな話は好きだった。
「ふんふん、それで?」
「・・・何も変化はなかった。」
「はぁ?」
落胆した。それだとただのおかしな夢を見たと言うだけじゃないか。
そう言ってソファにどかっと座った俺を見ながら、Mは全く動じずに続けた。
「違うんだ。その後、もう一度眠りについた。やはり携帯が鳴り続けている。だけど今回はあまり耳に響くというようなことはなかった。むしろ心地いいぐらいだった。急に、その電話を取ってみたくなった。通話ボタンを押して、耳にあててみた。」
俺はこの辺りから少し不気味な感じに襲われていた。
先輩と俺、そしてT先輩とMというと、これから何度も心霊スポットを訪れることになる4人組だ。
そこで何度も心霊現象(時には思い違いもあったかもしれないが)を体験することになるが、大抵何か起こる時に俺は悪寒を感じる。何も起こらない時もあったし、悪寒を感じずとも何か起こったこともあった。
だが、恐らく7~8割の確率でその予感は当たっていたように思う。
しかしこれは先輩のせいだと思う。
現に、何度か先輩がいない時に肝試しを敢行したこともあったが、何も起こらないことが殆どだったし、何か不可解な現象が起こったときも悪寒は感じなかった。
その感覚が今俺を襲った。この頃はまだ気付いていなかったが、これは先輩がいない状況での最初で最後の悪寒だった。
158本当にあった怖い名無し2006/11/03(金)15:18:47ID:V0jk0lgW0
「風の音が聞こえるんだ。ヒュー、ヒューって。それがずっと。俺は震えてた。また目が覚めた。今度は確認する気が起きなかったが、何故か吸い寄せられるように携帯を開いたんだ。留守電が一つ残ってる。聞いたことのない番号だった。再生ボタンを押すと・・・想像の通り。」
とりあえず聞かせてくれ、と頼んだが、怖くなってすぐに消してしまったという。
嘘をついてるような感じではなかった。そもそも、昨日あんな目に遭っておいてこんな嘘がつけるだろうか。
先輩ならともかく、Mは普通の人間だ。そんな図太い神経は持ち合わせていないだろう。
「とりあえず、Yさんに相談してみよう。」
と提案した。俺の手に負える話ではない。虫歯が出来たら歯医者に行くべきだ。
先輩の家は俺の家からものの数分、自転車で行けば数十秒のところにある。
連絡をとり、今から来てもOKだというので、お邪魔することにした。
この時先輩の部屋に初めて入ったが、意外にも普通の部屋だった。
流行ってる音楽のポスター、清潔そうなベット、最近不調なんだと嘆いていたプレイステーション・・・
いたって普通の大学生の部屋だ。俺はMが体験したという話を詳しく話した。
「う~ん、何といっても昨日初めて心霊体験をしたばっかりだからね、ストレスから来るものじゃないかな。」
おいおい、アンタ何いきなり無責任なこと言っちゃってるのよ。これが俺の感想。
しかしMの顔は徐々に晴れやかになっていっていた。
やはり当事者からすると、科学的な答えを貰ったら安心してしまうのだろうか。
その後は普通にプレステで遊んだりして、その夢のことには誰も何も触れなかった。
途中、Mが彼女との約束を思い出したとかで、先に帰ってしまった。
俺も一緒に帰ろうかとも思ったが、丁度ゲームも白熱していたので、少し残ることにした。
Mを見送ってきた先輩が、2人きりになった部屋でよいしょ、とベッドの上に腰掛けた。
159前スレ>>933後日談2006/11/03(金)15:20:01ID:V0jk0lgW0
「・・・いや実はさ、Mのことなんだけど、アレ僕の悪戯なんだ。」
「え?えぇ!?」
またまたとんでもない事を言う。悪戯?夢の中で?
「そんな事できるんですか?」
もうこの人なら出来るんだろう。案の定の答えが返ってきた。
「出来るよ。そういうシチュエーションを作れば。昨日車の中に乗り込んじゃった奴がいるでしょ?」
「あぁ、そういえば奴の事後処理を聞いてなかったですね。やっぱり除霊とかしたんですか?」
「とんでもない、僕は霊媒師じゃないんだから。もちろん、送ってきたよ。」
送ってきた?どういうことだ?いやいや、冷静に考えると・・・考えたくもない。
「あの後君たちを送ってから、Tトンネルにまた戻ったんだ。ずっと僕の車にいてくれても困るし、かといって気まぐれでいつか車を降りてくれるのを待つのもねぇ・・・。」
トンネルに着いた先輩が思いついたのが、電話でトンネルの様子を実況中継をしようというモノだった。
ターゲットを吟味することになったが、まず俺はダメだった。俺は同い年の幹事を務めていた。
先輩も幹事だったので、お互いに番号を知っていたのだ。
「第一、K(俺)よりもMの方が成功しやすそうだったからね。」
なんでも、前スレの肝試しの最中、Mが気分を悪くしたのは、先輩が呼び寄せた霊のせいだったのだという。
単純な車酔いではなかったとは思っていた。
Mが車酔いをしてる所なんて見たことがなかったし、むしろ俺の方が酔いやすい体質だった。
「Mは僕に寄ってくる霊と波長が合うんだろうね。すごく敏感だった。」
Mは先輩の番号を知らなかった。しかし、先輩は偶然(?)車に名簿を入れていたので、調べることができたのだという。
さっそくMの携帯にかける。出ない。相当疲れてたのか。と先輩は諦めようかと思ったが、留守電に繋がったので、とりあえずメッセージを残すことにした。かといって何か言うにしても適当な文句が思いつかず、無言電話になったというわけだ。
Mの言っていた「風」というのは、恐らくトンネルの中を吹き抜けた風のことだったんだろう。
160本当にあった怖い名無し2006/11/03(金)15:21:01ID:V0jk0lgW0
「夢の中で僕の電話が掛かってきたってのはわかる。実際に掛けたんだから、横で携帯が鳴ってることになる。現実世界での現象が夢の中に現れるのはよくあること、ってことは君もTVやら何やらで聞いたことがあるだろう。だけど、まさか夢の中で電話に出ちゃうとはね・・・。」
俺はこの時、Mがここに居なくて本当によかったと思った。俺がアイツの立場なら発狂しかねない。
「僕もこんな事になると思ってなかった。いや、確かに何か起こるかもしれない、とは思ったけど・・・。夢の中で僕の留守電を聞いた。しかも現実に残したメッセージと同じ内容を、だよ。」
マジで怖い。この世で一番怖いのは幽霊ではなく人間だ。というのは間違ってない。
「それで、アイツには伝えるべきですかね?」
「う~ん、もう彼は単なる悪夢だと思ってるだろうし、別にいいんじゃない?多分害はないし。」
それだと今日一番損をしたのは俺ってことじゃないか。
なんで一番無関係な俺がここまで怖い思いしなきゃいけないんだ・・・。
「まぁ、Mがそんなに霊に敏感な奴だとは思わなかったし・・・予想以上に怖がってたもん。もうやらないよ。」
嘘だ。この笑みは絶対に嘘だ。この人はまたいろんな悪戯を打ってくるはずだ。次の標的は俺かもしれない。
この日からしばらく、眠るのが怖かった。
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