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都市伝説・・・奇憚・・・blog

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2024.11.23 (Sat) Category : 

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ー虐殺ー <オオ○キ教授シリーズ>

2018.01.23 (Tue) Category : 創作作品

742:オオ○キ教授◆.QTJk/NbmY:2008/12/07(日)00:42:11ID:H8wRhXRO0
虐殺 1/8

7月に入ったころ、仕事仲間から嫌な話を聞いた。
人里離れた山中の一軒家の周囲に、犬や猫の死骸が大量に散乱しているという。
一軒家に住む家族の仕業らしいが、仕事仲間も、
「興味はあるんだけど、腐敗臭がすごくて、家に近寄ることができないんだ。たぶん、家の中には、もっとたくさんの動物が死んでるぜ」
と、直接確かめることはしなかったらしい。
近くでの営業周りの仕事をゲットした俺は、この日、その家に足を運んでみることにした。

麓の村は、商店もある活気づいた田舎町だった。
大きな国道が走っていて、車通りが激しいせいか、閉鎖的な雰囲気はまったくない。
それでも、家々を回っているときに、時折、妙な臭いが鼻をつくことがあった。
「気持ちの悪い臭いですね」
と持ちかけると、村の人間は一様に顔をしかめて、
「あれは加藤のとこだわ。飼えなくなったペットを山に放す輩が後を絶たんもんだから、加藤が次々と始末してるんだわ」
と言った。



743:オオ○キ教授◆.QTJk/NbmY:2008/12/07(日)00:42:34ID:H8wRhXRO0
虐殺 2/8

なんだ…。俺は拍子抜けした。
動物虐待かと思ったら、野犬や野良猫の駆逐だったのか。
「加藤さんっていうのは、そういうのを請け負う業者か何かですか?」
と聞くと、村人は、
「そうじゃない。いつのまにか住み着いた余所者で、虐殺が好きな一家だわな」
と答えた。

…虐殺…。
俺の脳裏にI村での光景がよぎった。
子どもの首を容赦なく刎ねた鬼。
弱い者への慈悲などまったくない生き物の行為だった。

自分の子どもでさえ平気で凍死させる母親のいる世の中だ。
動物『ごとき』を喜んで殺す人間がいても、不思議はないのかもしれない。

俺は仕事を適当に切り上げて、山に向かった。
『鬼のような』人間を見てみたかった。



744:オオ○キ教授◆.QTJk/NbmY:2008/12/07(日)00:42:58ID:H8wRhXRO0
虐殺 3/8

仕事仲間の話では、かなり奥深く入り込まないと辿り着けないということだったが、俺はすんなりと『加藤』邸に着いた。
途中に散乱していたという犬猫の死骸にもお目にかかってない。
仕事仲間から情報を得たのは半月ほど前だったから、片づけたのかもしれない。

なんとなく大月に電話してみた。
仕事ではすでに別行動を取っていた大月は、ちょうど遅い昼食に入っている時間だったらしく、
「また妙なことに興味を持って」
と笑いながらしばらく付き合ってくれた。
が、最後には、
「気をつけて近づいてくださいよ」
と、改まった声で忠告をしてきた。

俺自身、なぜこんなことに関わろうとするのか、自分の行為が説明できない。
ただ、『見たい』。
鬼のような人間の姿を。
本物の鬼ではなく、ただのエゴの固まりである人間の姿を。



745:オオ○キ教授◆.QTJk/NbmY:2008/12/07(日)00:43:27ID:H8wRhXRO0
虐殺 4/8

人気のない加藤邸の玄関先を迂回し、右側に開けている庭を回った。
臭いがきつい。動物の臭いじゃない。腐乱した死体の臭いだ。
柵などはなかったが、手を入れてあるらしい敷地は、かなりの面積を持っていた。
3分ほどかけてゆっくりと裏口に回ると、そこには。
痩せ衰えた茶毛のレトリバーに餌を与える初老の男がいた。

男はかがんで、餌箱を犬の鼻先に押しつけている。
一見、普通の飼い主とペットの光景に見えた。
が、レトリバーは餌を拒んでいた。
犬に詳しくない俺が見ても明らかに栄養失調なのに、餌箱に口をつけようとしなかった。
初老の男は、しばらくして諦めたように、餌箱を取り上げた。

俺は声をかけた。
「その犬、餌を食べないんですか?」
老人は少し警戒したようだったが、俺が名刺を差し出すと、
「ああ。訪問販売か」
と、若干、修正してほしい認識で受け入れてくれた。



746:オオ○キ教授◆.QTJk/NbmY:2008/12/07(日)00:43:50ID:H8wRhXRO0
虐殺 5/8

「今日はこの地区を回らせてもらっているんですが、麓の人たちから加藤さんのことをお聞きしまして」
俺は警戒を解くべく、情報源を明らかにする。
老人は憎々しげな表情を浮かべたあと、
「ロクな事は言っとらんだろう」
と、麓の住人に対する敵意を顕わにした。

…たしかに彼らは、この『加藤』氏のことを快く評価はしていなかったが、それにしても温度差があるな…。

双方に角が立たないようにフォローする。
「野犬の駆除をしてくれるからありがたいと言ってましたよ。でも、本当は駆除じゃなくて、飼ってみえるみたいですね」
老人の持つ餌箱の中身は、ちゃんとしたドッグフードに見えたからだ。
老人は、足元の痩せた犬を一瞥し。
酷薄な笑いを浮かべて言った。
「これには農薬が混ぜてある。食えば速攻で死ぬ」
それから、怯えた表情のレトリバーに向かって、付け足した。
「じっくり餓死するのが望みのようだがな」
俺は言葉に詰まって、立ち尽くした。



747:オオ○キ教授◆.QTJk/NbmY:2008/12/07(日)00:44:20ID:H8wRhXRO0
虐殺 6/8

老人に首輪を掴まれた痩せ犬は、引きずられるように家の裏口に消えていった。
あの犬…これから徐々に衰弱して死んでいくのか…。
やりきれなくなって、大月に解決策を求めた。
大月は、
「ちょっと待ってくださいよ」
と電話口でしばらく沈黙したあと、
「そのレベルの虐待なら警察が動くと思います。けど、犬は保健所で薬殺されるでしょうね。だから、先にここに連絡してください」
と、ある施設の電話番号を提示してきた。
『アニマルシェルター』。野生化した犬や猫を保護して、新しい飼い主を探す施設なのだという。
「彼らなら悪質な飼い主に対抗する手段も持っています。笹川さんが動くより、的確に処置してくれますよ」

大月の説明に、かなりの精神的安定を得て、俺はいったん山を下りることにした。
加藤邸のテリトリーの中では、妙な動きを控えたほうがよさそうだと思ったから。
来たときとは逆に、左回りに庭先を戻ると、家の中から、突然、犬の断末魔が聞こえた。
あえて思考をシャットアウトして、玄関まで戻る。

玄関のすぐ外に、さっきのレトリバーの惨殺体が置かれてあった。



748:オオ○キ教授◆.QTJk/NbmY:2008/12/07(日)00:44:55ID:H8wRhXRO0
虐殺 7/8

窓から、強い憎悪を浮かべた太った老婦の顔が覗いている。
その横に、30代ぐらいの痴呆じみた男が、返り血で濡れた服を着たまま立っていた。

なぜ、こんなことができるんだ?

俺は血走った瞳で睨んでいる犬の死体を無視して帰途に着いた。
『お前が来なければ、もっと生きられた』
犬の恨みが聞こえるような気がしたから、無視せずにはいられなかった。

帰り道には、累々と積もる動物の遺骸。
来るときはなかったはずだ。
仕事仲間の話を思い出した。
「その死体のひとつひとつが、助けてくれって言ってるような気がして、頭がおかしくなりそうだった」
俺は口笛を吹きながら帰った。
お前たちはもう死んでいるんだ。俺にはどうすることもできないんだ。だから無視するよ。

麓につき、営業車の運転席に身を沈めてから、アニマルシェルターに連絡をした。
シェルターの職員は、
「動物も人間と一緒だったでしょう?死ぬときには強い想いを残します。だから、我々は自費を投じて救助活動をしてしまうんですよ」
と言った。



749:オオ○キ教授◆.QTJk/NbmY:2008/12/07(日)00:45:34ID:H8wRhXRO0
虐殺 8/8

その夜。
仕事を終えた俺は、大月を強引に飲みに誘った。
運転は暴走気味なくせに、飲酒運転は絶対にしない大月は、この日も一滴も飲まなかったが。
俺は、I村の件からずっと疑問に思っていたことを大月にぶつけた。
「俺はなぜ、こんな厄介ごとばかりに首を突っ込むようになったんだろう?以前はうまく避けていたのに」
大月は首をかしげながら、
「さあ?」
と言うばかりだ。
「本物の鬼が見たいんだよ」
俺は益体もないことを言って、さらに大月を困らせる。

「今日の一家も、やってることは鬼に匹敵するが、角はなかった。ただのサディスティックな人間だ」
「I村で見た鬼は、角も牙もあって、硬そうな筋肉と震え上がるような大声を出していた。あれは俺の幻覚なのか?それとも本物だったのか?」
「本物の鬼には、どこに行けば会えるんだ?」
大月は、
「なぜそんなものが気にかかるんです?」
と、ノンアルコールを呷りながら聞く。
俺は答えた。
「もし俺が鬼に呪われたのなら、俺のかみさんや子どもにも影響が及ぶかもしれないだろ。俺はあいつらだけは守りたい」

大月は笑って、そして呆れた。
「親ってのは、みんなそんな発想をするんだな」
そして、俺のグラスを取り上げると、
「その辺にしましょう。明日はもっと大酒のみの住職のとこに連れて行ってあげますから」
と言った。



引用元:【霊感持ちの】シリーズ物総合スレ6【友人・知人】
https://anchorage.5ch.net/test/read.cgi/occult/1223829762/742-749












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