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ラノベ風(2017.07.25追記)
2017.07.10 (Mon) | Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象
468名前:⑦⑦⑦ 2017/07/05(Wed)09:03:38
高校生の時の話。
幼馴染の女の子が
「相談がある」
ともちかけてきた。
改まってそんな話する間柄でもなく、どうしたのかと聞くと
「気持ちが知りたい」
とか
「どう思ってるのか知りたい」
とか。
『ああこれが恋の悩み相談てやつか』
としみじみ思い、彼女の付き添いって形でその相手のいるとこへ向かった。
「ここなんだけど」
着いたところはただの道路脇。
「誰もいねーじゃん」
と半笑いで彼女に聞くと
「いるよ?○○君には見えないかもしれないけど」
『ま た か !』
中学時代に、妙な心霊体験に付き合わされて以来、しばらくそっち系の話なんてしてなかった(意識的に避けてた)から、油断していた。
ノコノコついてきたことを後悔しつつ、恐る恐る
「じゃあ、気持ちが知りたいって・・・?」
「ああ、この人?の気持ちが知りたいの。なんでココにずっといるのかな、って」
「じゃあ俺じゃなくてもいいじゃん」
そう言いかけると、彼女はにぃっと笑って
「ほら、○○君は『聞こえる人』じゃん?私、『見える人』だけど聞こえないの」
つまり俺にその見えない相手の声を聞いてくれということですかそうですか。
しかも俺が『聞こえる人』だと決め付けている。何を根拠に。
何もない空間をぼんやり見つめながら
「その人ってどんなカッコ?」
と彼女に聞いてみた。
「うーん。言わないほうがいいかな」
聞くんじゃなかった。
「一言で言うとね、カタチとして、ありえない」
『どんなだよ!』
「人の身体のパーツがめちゃくちゃについてる感じかな」
『あああ・・・』
「だいたいこの辺にいるから、何か言ってるかどうか、聞いてみて」
嫌だ!とは言えない男子高校生。
はいはいわかりましたよ
469名前:⑦⑦⑦ 2017/07/05(Wed)09:10:43
彼女が指し示すあたりに(嫌々ながら)近付く。
特に何も見えないし聞こえない。
「悪いけど、なんも聞こえねー。だって俺、聞こえる人とかじゃねーし」
そう言うと彼女は残念そうに
「そーかぁ、○○君ならイケると思ったんだけど・・・帰ろっか」
「帰るべ、どっか寄ってく?」
ふと、視線をさっきの道路脇に移した途端、凄まじい寒気と、全身の感覚が研ぎ澄まされたような、針でつつかれたような、痛みにも似た感覚が走った。
何かいる。
さっき彼女から聞いたそのものがいる。
人だった、ということが辛うじてわかる程度に、パーツは確かについているが、どこが顔で、どこが胴体で、どこが四肢で、なんてわからない。
人の残骸、とでも言えばいいのか、とにかくそいつがふらふらと動いている。
「○○君、見えちゃった?もしかして」
彼女が驚いたような、嬉しそうな顔で俺を見る。
それに答える余裕もなく、俺はただそいつを見ていた。
いや、正確には、俺が見られていた。
そいつの『目』が、俺をはっきりと視界に捉えたのがわかった。
だんだんと、そいつの目は俺の足元から上へ上へ目線を上げてくる。
目を逸らしたいが、俺は固まってしまったかのように身動きひとつ取れずにいた。
470名前:⑦⑦⑦ 2017/07/05(Wed)09:13:39
そして、とうとうそいつと目が合ってしまった。
高速で震えてブレている感じでぼんやりと見えるそいつの目。
濁っているのか、空洞なのか、黒目だけなのか。
とにかく真っ黒だった。
ただ、目が合った、という感覚が確かにあった。
その瞬間、そいつの『声』が脳に飛び込んできた。
『見るな。殺すぞ』
声が聞こえてすぐ、そいつは消えた。
俺はその場にへたり込む。
「いなくなっちゃったね。あいつ、何か言ってた?聞いたんでしょ?あいつの声」
彼女が嬉々として俺に聞いてくる。
「見るな。殺すぞ。だってさ・・・」
呆然としながら呟く俺に、彼女は笑って
「あ、でもいなくなっちゃったから、これはただの警告だね。そっか、見られなくないのか、あいつ」
「こっちは睨まれて、目が合って、大変だったんだぞ」
彼女に愚痴ると、彼女は急に真面目な顔をして言った。
「あいつ、目なんかついてたっけ?」
「え?見えてなかったんですか?」
驚く俺を横目に彼女はため息をつきながら
「○○君には見えたのに、私には見えなかった。なんか嫌だなぁ。私、負けてるなぁ」
こんな調子で、彼女に付き合わされる機会が徐々に多くなっていく俺だった。
(※⑦⑦⑦さんからの投稿です。ありがとうございました)
高校生の時の話。
幼馴染の女の子が
「相談がある」
ともちかけてきた。
改まってそんな話する間柄でもなく、どうしたのかと聞くと
「気持ちが知りたい」
とか
「どう思ってるのか知りたい」
とか。
『ああこれが恋の悩み相談てやつか』
としみじみ思い、彼女の付き添いって形でその相手のいるとこへ向かった。
「ここなんだけど」
着いたところはただの道路脇。
「誰もいねーじゃん」
と半笑いで彼女に聞くと
「いるよ?○○君には見えないかもしれないけど」
『ま た か !』
中学時代に、妙な心霊体験に付き合わされて以来、しばらくそっち系の話なんてしてなかった(意識的に避けてた)から、油断していた。
ノコノコついてきたことを後悔しつつ、恐る恐る
「じゃあ、気持ちが知りたいって・・・?」
「ああ、この人?の気持ちが知りたいの。なんでココにずっといるのかな、って」
「じゃあ俺じゃなくてもいいじゃん」
そう言いかけると、彼女はにぃっと笑って
「ほら、○○君は『聞こえる人』じゃん?私、『見える人』だけど聞こえないの」
つまり俺にその見えない相手の声を聞いてくれということですかそうですか。
しかも俺が『聞こえる人』だと決め付けている。何を根拠に。
何もない空間をぼんやり見つめながら
「その人ってどんなカッコ?」
と彼女に聞いてみた。
「うーん。言わないほうがいいかな」
聞くんじゃなかった。
「一言で言うとね、カタチとして、ありえない」
『どんなだよ!』
「人の身体のパーツがめちゃくちゃについてる感じかな」
『あああ・・・』
「だいたいこの辺にいるから、何か言ってるかどうか、聞いてみて」
嫌だ!とは言えない男子高校生。
はいはいわかりましたよ
469名前:⑦⑦⑦ 2017/07/05(Wed)09:10:43
彼女が指し示すあたりに(嫌々ながら)近付く。
特に何も見えないし聞こえない。
「悪いけど、なんも聞こえねー。だって俺、聞こえる人とかじゃねーし」
そう言うと彼女は残念そうに
「そーかぁ、○○君ならイケると思ったんだけど・・・帰ろっか」
「帰るべ、どっか寄ってく?」
ふと、視線をさっきの道路脇に移した途端、凄まじい寒気と、全身の感覚が研ぎ澄まされたような、針でつつかれたような、痛みにも似た感覚が走った。
何かいる。
さっき彼女から聞いたそのものがいる。
人だった、ということが辛うじてわかる程度に、パーツは確かについているが、どこが顔で、どこが胴体で、どこが四肢で、なんてわからない。
人の残骸、とでも言えばいいのか、とにかくそいつがふらふらと動いている。
「○○君、見えちゃった?もしかして」
彼女が驚いたような、嬉しそうな顔で俺を見る。
それに答える余裕もなく、俺はただそいつを見ていた。
いや、正確には、俺が見られていた。
そいつの『目』が、俺をはっきりと視界に捉えたのがわかった。
だんだんと、そいつの目は俺の足元から上へ上へ目線を上げてくる。
目を逸らしたいが、俺は固まってしまったかのように身動きひとつ取れずにいた。
470名前:⑦⑦⑦ 2017/07/05(Wed)09:13:39
そして、とうとうそいつと目が合ってしまった。
高速で震えてブレている感じでぼんやりと見えるそいつの目。
濁っているのか、空洞なのか、黒目だけなのか。
とにかく真っ黒だった。
ただ、目が合った、という感覚が確かにあった。
その瞬間、そいつの『声』が脳に飛び込んできた。
『見るな。殺すぞ』
声が聞こえてすぐ、そいつは消えた。
俺はその場にへたり込む。
「いなくなっちゃったね。あいつ、何か言ってた?聞いたんでしょ?あいつの声」
彼女が嬉々として俺に聞いてくる。
「見るな。殺すぞ。だってさ・・・」
呆然としながら呟く俺に、彼女は笑って
「あ、でもいなくなっちゃったから、これはただの警告だね。そっか、見られなくないのか、あいつ」
「こっちは睨まれて、目が合って、大変だったんだぞ」
彼女に愚痴ると、彼女は急に真面目な顔をして言った。
「あいつ、目なんかついてたっけ?」
「え?見えてなかったんですか?」
驚く俺を横目に彼女はため息をつきながら
「○○君には見えたのに、私には見えなかった。なんか嫌だなぁ。私、負けてるなぁ」
こんな調子で、彼女に付き合わされる機会が徐々に多くなっていく俺だった。
(※⑦⑦⑦さんからの投稿です。ありがとうございました)
491:⑦⑦⑦ : 2017/07/23 (Sun) 19:16:28
高校3年の夏休み、幼馴染から電話が来た。
「勉強手伝って・・・」
死にそうな声だ。
「人の手伝いをする余裕なんかないんだが」
「ううう・・・化けて出てやる・・・」
彼女が言うとなんとなくリアルなので、渋々行くことに。
図書館にいるってことで、そんなに遠くもないので歩いて行く。
クソ暑い昼下がりに、クソ重いカバンを背負ってだるそうに歩く俺。
途中、道路脇で子供が一人、地団駄を踏んでいる。
小学1年ぐらいの男の子だ。
『ああ、このぐらいの歳の子は飛び跳ねたり、わけもなく一人行進みたいなことするのが好きだものなぁ』
としみじみ思いながら微笑ましい気持ちでその子を眺める。
そのうち、その子の動きがでたらめでなく、一定の連続した動きになっていることに気付いた。
空中をつかむ→つかんで地面に投げる→バンバン踏む
この動きの繰り返しだ。
なんとなく楽しそうに、一心不乱に続けている。
「何してるんだ?」
ちょっと気になって、男の子に話しかけた。
「こわいおじちゃんをねぇ、ころしてるの」
暑さの吹っ飛ぶ答えに、聞き返すこともできずその場を去る俺。
図書館に着き、幼馴染に早速報告。
「あのねー、全部そっち系に結びつけるのって、どーかと思うよ?」
お前の影響じゃ!
「子供って、そーいうのあるじゃん?一人遊びっていうか、空想で楽しむっていうかさ。その子もそれじゃないかな・・・あ・・・」
あ、って何よ。
「それってさ、どのへん?その子がいたとこ」
あ。
あの道路脇。
俺が『人間パーツ寄せ集め』に睨まれたとこだ。
俄然、元気になった幼馴染。
ふむふむ言いながら、一人納得のご様子。
「ちょっと休憩。行ってみよか、そこ」
492:⑦⑦⑦ : 2017/07/23 (Sun) 19:19:21
休憩て・・・俺着いたばっか・・・
今来たばっかの道を今度は二人で辿る。
「なんでその時点で気付かないかなー?○○君は才能あるのにさー」
知らんうちに才能まで芽生えさせられてる俺。
そうこうしてるうち、問題の場所へ。
男の子はまだいた。
「この子がやってたんだ・・・」
彼女が宝物でも見るかのように潤んだ瞳で男の子を見つめる。
彼女が男の子に近付いた途端、男の子が脱兎の如く逃げ出した。
ご丁寧に、逃げる間際も、念入りに地面をバンバン踏みつけて。
「あーあ、逃げられちゃった。聞いてみたいこといっぱいあったのに」
「どゆこと?」
残念がる彼女に聞く。
「○○君はホント、理解力が乏しいねー。あの子の動き、見てたでしょ?」
何かをつかんで(ちぎって?)は投げつけ、踏みつけ・・・
「まさかあの子が『人間パーツ寄せ集め』をあんな姿に?」
「そゆこと。子供にこんな姿にされたんじゃ、そりゃ見られたくないもんねー」
「『こんな姿』って。まだ見えてんの?」
「うん、もうバラッバラだけどね。そのうち消えるんじゃな
い?」
どこからともなく
「見るな・・・」
という声が聞こえたような気がした。
「○○君、やっぱ才能あるよ、うんうん」
彼女が腕組みしながらしきりに頷く。
「何でだよ。そのバラバラのやつも今回は見えなかったし」
「へ、充分だよ?あの子が見えたんだから」
彼女があっけらかんと答える。
あの子、見ちゃいけないもんだったのか・・・
.
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