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カードが語るメッセージ
2017.06.24 (Sat) | Category : 人を信じすぎる人へ
431名前:⑦⑦⑦ 2017/06/19(Mon)09:48:42
フローレンス・ブランソンにとって運勢判断はじつに実入りのいい商売だった。
その道のベテランとして週に四晩はレストランで働き、自宅にも客を招き、私的なパーティーでも店開きした。
毎年、クリスマスシーズンは掻き入れ時だった。
シカゴ北西の治安の良い近郊住宅地ノーウッドパークでクリスマスのお祭り騒ぎが佳境を迎えつつあった1978年もその事情は変わらない。
その年の12月2日、ブランソンはある裕福な友人が自宅で開いたパーティーで運勢判断の店を広げた。
いつものようにブランソンは仕事に精を出した。
彼女のおはこは24枚のカードを使ったトランプ占いだ。
まず相手に気持ちを込めてカードをシャッフルしてもらい、それを特定のパターンに並べて、隠された意味を探っていく。
そして一枚一枚のカードが語るメッセージを正確に読みとるために天与の゛霊能力゛を総動員する。
しかも彼女はこの種の多くの商売仲間同様、相手の外見的特徴〜声の調子や神経質そうなそぶり、ちょっとした仕草や身繕い、洋服の着こなし方〜から性格や境遇の手がかりを見抜く達人だった。
人はほとんど無言でいるときも、経験を重ねた゛霊能者゛に対しては多くを語るものなのだ。
ブランソンは屋敷の小部屋にあるカードテーブルに陣取ってせっせと商売に励んだ。
それはとても愉快な宵だった、と彼女は回想する。
ホストは好人物で招かれた客もほとんど顔見知りだった。
ところが、客のほとんどの運勢を読み終えたころ、一面識もない人物がテーブルの反対側に腰を下ろし、自己紹介を始めた。
ジョン・ウェイン・ゲイシーというのがその男の名前だった。
432名前:⑦⑦⑦ 2017/06/19(Mon)09:51:43
゛霊能者゛はプロの目ですばやく相手を一瞥した。
背は1メートル70位とさほど高くないが、体重はゆうに百キロを越える巨漢である。
グレーと茶の格子柄のしわの寄ったジャケットも、ポリエステル製の茶色のズボンも、はちきれんばかりだ。
相手の腫れぼったい顔に目をやったブランソンは、そこに極度の疲労感を感じとった。
垂れ下がったまぶたの奥から、まばたきもせずにこちらを見つめる青い瞳。
シャツの襟に重たく覆いかぶさる喉のたるみと二重顎。
この男には不健全な何かがある、とブランソンは確信した。
放蕩癖――いや、もっと邪悪な何かが。
彼女は一組のカードを手渡し、男がすばやくシャッフルする様子をじっと観察した。
短くずんぐりした指だった。
左手にはめた金とダイヤの派手な指輪がきらりと光った。
ブランソンの記憶によると、占いはこんな具合に進んだ。
戻されたカードの山を上から順に12枚目まで開いていくと、ハートのエース――愛のカード――がたちまちジャックに囲まれ、しかもそこにスペードが割り込んできた。ジャックはボーイフレンドの存在を意味する。そしてスペードは暗黒を物語っている。
もとよりブランソンは、初対面の瞬間から漠然とした不安を感じとっていたが、今やそれは明確な恐怖心に変わった。
433名前:⑦⑦⑦ 2017/06/19(Mon)09:55:25
「あなたには男友達がいらっしゃるのね」
ブランソンはあえてそう尋ねてみた。
「飲み友達の話かい」
「いいえ。つまり……もっと違う意味で興味を感じる若い男性のことですわ。そういう男性にあなたはロマンチックな思いをいだいている」
「確かにそんな夢は見るがね」
静かな口調だ。ブランソンもそれ以上深追いするのを止めた。
次に開いたカードはスペードのエースだった。それは危険な性的倒錯の象徴だ。
続いてもう一枚、今度は投獄や法律とのトラブルをさし示すクラブのエースが現れた。
テーブルに広げられた一連のカードは、暗黙のうちに、ジャック――つまり男友達――に危険が迫っていることを物語っていた。
しかも、犯罪の餌食にされる危険すらある。
ブランソンは胃のむかつきを覚えた。
商売や女性運はどうだろう、と男は尋ねた。
ええ、大丈夫、行く手には富が見えますわ。
ブランソンはそんなお決まりの言葉でカードのお告げを手短に説明し、相手が立ち去るとすぐ商売道具をそそくさとハンドバッグにしまいこんだ。
今夜はもうこのカードは使うまい。と彼女は心に決めた。そしてこれからも二度と。
パーティーが終わり、屋敷をあとにしたブランソンは、ひどくほっとした気持ちを味わったという。
だが、帰宅途中でいったん車をとめ、夜の冷気を吸いに外に出たとき、丸々と太ったジョン・ゲイシーの顔が心に浮かびあがってきた。
ふらつく足で道端にたどり着くと、彼女は嘔吐した。
その夜自分が確かに邪悪な存在と向き合っていたことを、フローレンス・ブランソンは直感的に悟っていた。
しかしその詳細は知る由もなかった。
゛霊能力゛のいかんにかかわらず、男の゛床下゛に隠された秘密までは見とおせなかった。
それは彼女の想像力をはるかに越える恐ろしい話だったのである。
出典:『連続殺人者』タイムライフ編
(※⑦⑦⑦さんからの投稿です。ありがとうございました)
管理人補足
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フローレンス・ブランソンにとって運勢判断はじつに実入りのいい商売だった。
その道のベテランとして週に四晩はレストランで働き、自宅にも客を招き、私的なパーティーでも店開きした。
毎年、クリスマスシーズンは掻き入れ時だった。
シカゴ北西の治安の良い近郊住宅地ノーウッドパークでクリスマスのお祭り騒ぎが佳境を迎えつつあった1978年もその事情は変わらない。
その年の12月2日、ブランソンはある裕福な友人が自宅で開いたパーティーで運勢判断の店を広げた。
いつものようにブランソンは仕事に精を出した。
彼女のおはこは24枚のカードを使ったトランプ占いだ。
まず相手に気持ちを込めてカードをシャッフルしてもらい、それを特定のパターンに並べて、隠された意味を探っていく。
そして一枚一枚のカードが語るメッセージを正確に読みとるために天与の゛霊能力゛を総動員する。
しかも彼女はこの種の多くの商売仲間同様、相手の外見的特徴〜声の調子や神経質そうなそぶり、ちょっとした仕草や身繕い、洋服の着こなし方〜から性格や境遇の手がかりを見抜く達人だった。
人はほとんど無言でいるときも、経験を重ねた゛霊能者゛に対しては多くを語るものなのだ。
ブランソンは屋敷の小部屋にあるカードテーブルに陣取ってせっせと商売に励んだ。
それはとても愉快な宵だった、と彼女は回想する。
ホストは好人物で招かれた客もほとんど顔見知りだった。
ところが、客のほとんどの運勢を読み終えたころ、一面識もない人物がテーブルの反対側に腰を下ろし、自己紹介を始めた。
ジョン・ウェイン・ゲイシーというのがその男の名前だった。
432名前:⑦⑦⑦ 2017/06/19(Mon)09:51:43
゛霊能者゛はプロの目ですばやく相手を一瞥した。
背は1メートル70位とさほど高くないが、体重はゆうに百キロを越える巨漢である。
グレーと茶の格子柄のしわの寄ったジャケットも、ポリエステル製の茶色のズボンも、はちきれんばかりだ。
相手の腫れぼったい顔に目をやったブランソンは、そこに極度の疲労感を感じとった。
垂れ下がったまぶたの奥から、まばたきもせずにこちらを見つめる青い瞳。
シャツの襟に重たく覆いかぶさる喉のたるみと二重顎。
この男には不健全な何かがある、とブランソンは確信した。
放蕩癖――いや、もっと邪悪な何かが。
彼女は一組のカードを手渡し、男がすばやくシャッフルする様子をじっと観察した。
短くずんぐりした指だった。
左手にはめた金とダイヤの派手な指輪がきらりと光った。
ブランソンの記憶によると、占いはこんな具合に進んだ。
戻されたカードの山を上から順に12枚目まで開いていくと、ハートのエース――愛のカード――がたちまちジャックに囲まれ、しかもそこにスペードが割り込んできた。ジャックはボーイフレンドの存在を意味する。そしてスペードは暗黒を物語っている。
もとよりブランソンは、初対面の瞬間から漠然とした不安を感じとっていたが、今やそれは明確な恐怖心に変わった。
433名前:⑦⑦⑦ 2017/06/19(Mon)09:55:25
「あなたには男友達がいらっしゃるのね」
ブランソンはあえてそう尋ねてみた。
「飲み友達の話かい」
「いいえ。つまり……もっと違う意味で興味を感じる若い男性のことですわ。そういう男性にあなたはロマンチックな思いをいだいている」
「確かにそんな夢は見るがね」
静かな口調だ。ブランソンもそれ以上深追いするのを止めた。
次に開いたカードはスペードのエースだった。それは危険な性的倒錯の象徴だ。
続いてもう一枚、今度は投獄や法律とのトラブルをさし示すクラブのエースが現れた。
テーブルに広げられた一連のカードは、暗黙のうちに、ジャック――つまり男友達――に危険が迫っていることを物語っていた。
しかも、犯罪の餌食にされる危険すらある。
ブランソンは胃のむかつきを覚えた。
商売や女性運はどうだろう、と男は尋ねた。
ええ、大丈夫、行く手には富が見えますわ。
ブランソンはそんなお決まりの言葉でカードのお告げを手短に説明し、相手が立ち去るとすぐ商売道具をそそくさとハンドバッグにしまいこんだ。
今夜はもうこのカードは使うまい。と彼女は心に決めた。そしてこれからも二度と。
パーティーが終わり、屋敷をあとにしたブランソンは、ひどくほっとした気持ちを味わったという。
だが、帰宅途中でいったん車をとめ、夜の冷気を吸いに外に出たとき、丸々と太ったジョン・ゲイシーの顔が心に浮かびあがってきた。
ふらつく足で道端にたどり着くと、彼女は嘔吐した。
その夜自分が確かに邪悪な存在と向き合っていたことを、フローレンス・ブランソンは直感的に悟っていた。
しかしその詳細は知る由もなかった。
゛霊能力゛のいかんにかかわらず、男の゛床下゛に隠された秘密までは見とおせなかった。
それは彼女の想像力をはるかに越える恐ろしい話だったのである。
出典:『連続殺人者』タイムライフ編
(※⑦⑦⑦さんからの投稿です。ありがとうございました)
管理人補足
ジョン・ウェイン・ゲイシー (John Wayne Gacy, 1942年3月17日 - 1994年5月10日)は、アメリカ合衆国生まれの連続殺人者。子供たちを楽しませるため、パーティなどでピエロに扮することが多かったことからキラー・クラウン(殺人道化、殺人ピエロ)の異名を持つ。
少年時代はボーイスカウトに入っていたことがあり、資産家の名士でチャリティー活動にも熱心な模範的市民だと思われていたが、アルバイト料の支払いなどの名目で呼び寄せた少年に性的暴行を加えたうえで殺害し、その遺体を自宅地下および近くの川に遺棄していた。自身の同性愛を隠すために殺害したとされている。1972年から1978年のあいだ、少年を含む33名を殺害したことが明らかになっている。彼の犯行はアメリカ社会を震撼させた。
刑務所で彼の描いたピエロの絵画は連続殺人者犯マニアには大変な人気があり、展示会が開かれたり、高値で取引されている。著名人では俳優のジョニー・デップが購入して所有している。
スティーヴン・キングのホラー小説「IT」に登場する殺人鬼ペニーワイズのモデルとなった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ジョン・ゲイシー
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Title : 無題
その犯人の描いたピエロの絵、まったく上手くないじゃん……。
そういう犯人が描いたという付加価値(と言っていいものかどうかも判らんけど)がなきゃ、ただの落描きのゴミだよこれ……。こう言っちゃなんだが、ジョニー・デップもとんだ俗物だな。
NONAME 2017.06.24 (Sat) 22:16 編集
Re:無題
>そういう犯人が描いたという付加価値(と言っていいものかどうかも判らんけど)がなきゃ、ただの落描きのゴミだよこれ……。
そういうのでプレミアってつくんだろうねぇ
2017.07.03 20:46