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都市伝説・・・奇憚・・・blog

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2024.11.25 (Mon) Category : 

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ー毒男の怖い話とか音楽とか雑談とかー <毒男シリーズ>

2017.01.11 (Wed) Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象

1:毒男◆B.DOLL/gBI[]2017/01/09(月)21:15:36.156ID:wL0kuuJ60.net
|A-) 怖い話は探しながら人がいる限りゆっくりと
   怖い話書ける人、貼れる人はどうぞー
   レスがなくなったらさるさんくらったか寝たか人いなくなったと思ってね



8:毒男◆B.DOLL/gBI[]2017/01/09(月)21:19:47.371ID:wL0kuuJ60.net
小学4年生くらいのことなんだけど、親戚が水泳教室を開いていて、そこの夏季合宿みたいなのに参加させてもらった。
海辺の民宿に泊まって、海で泳いだり魚を釣ったり山登ったりする。
小学生が十数人と、あとは引率の先生が男女あわせて4人くらいいた。
俺は同年代のいとこがいたせいで、すぐに他の生徒ともうちとけ、1週間毎日楽しく過ごした。

その最終日前日のことだったと思う。
運悪く台風が近づいてきているということで、海でも泳げず俺たちは部屋でくさっていた。
みんなは部屋で喋ったりお菓子食べたりテレビ見たりしてたが、俺は目の前の海を、民宿の2階の窓からぼんやりと眺めてた。
強風で物凄い高さの波がバッコンバッコンやって来るグレーの海。

なんだあれ?
思わず声が出たのかもしれない。
気がつくと後ろにKちゃんもやってきて一緒に窓の外を見ていた。
2つ上の6年生で、虫取りが上手な奴だったと記憶している。
「え、あれ…」
Kちゃんも浜辺のそれに気がついたらしく、目が大きく見開いている。

荒れ狂う海のすぐそばを、白いモノが歩いてくる。
歩いてくる?というか移動してくる。
男か女かも分からない。
俺は近眼なんで良く見えない。
服とか着てるようには見えないんだけど、全身真っ白だ。
真っ白のウェットスーツ?そんなものあるのか?
動きはまるでドジョウ掬いをしているような感じで、両手を頭の上で高速で動かしている。



15:毒男◆B.DOLL/gBI[]2017/01/09(月)21:20:47.951ID:wL0kuuJ60.net
俺の真後ろで突然やかんが沸騰した。
ピーーーーーーーー!
いや、ちがう。

Kちゃんの叫び声だった。
引率の先生が飛んできた。
Kちゃんは何回もやかんが沸騰したような音を出して畳をザリザリとはだしの足でこすって、窓から離れようとしていた。

その後引率の先生と他の先生とがKちゃんを病院に連れて行ったような気がする。
その日はみんな怖くなって布団をくっつけあって寝た。
Kちゃんは戻ってこなかった。

数年後親戚の集まりでいとこと会ったので、その夏の事を聞いてみた。
いとこは何故か露骨に嫌な顔をした。
Kちゃんはストレス性のなんとかで(脳がどうとか言ってたかな)その後すぐに水泳教室をやめたらしい。
水泳教室自体も、夏季合宿の類を中止したそうだ。
Kちゃんは何を見たと言っていた?俺が聞きたいのはこれだけなんだが、どうしても聞きだせなかった。

俺は、その夏季合宿の後すぐ眼鏡をかけるようになった。
でも今でも、その夏季合宿の時に眼鏡をかけていたら…と思う。
Kちゃんは一緒に森を探索したときに、木に擬態しているような虫も真っ先に見つけるほど目が良かった。
Kちゃんはきっと、その浜辺で踊っていたモノ(踊っていたとしか言い様がない)を、はっきりと見てしまったに違いないんだ。

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29:毒男◆B.DOLL/gBI[]2017/01/09(月)21:36:06.191ID:wL0kuuJ60.net
ある心霊番組の制作をやった時のこと。
同じチームにDさんって先輩がいた。

ある日、視聴者から番組あてに送られてきた心霊写真を数人でチェックしていた。
その途中で回ってきた一枚の写真。

夜の路上、数人でガードレールにもたれて笑い合うその後ろ、あり得ない場所に男の姿。
30~40歳位のアゴのたるんだ中年男。
そこまで分かるくらい鮮明に写っている。
「二重写しなんじゃねーの」
「ありがちだよね。パンチ不足」

確かに既出っぽい印象だったし、一目見て怖いって思うような心霊写真じゃなかった。
「どれ…」
Dさんもその写真を手にとり、じっと睨み付けた。

「どうしたのDさん。それ使えそう?」
私の問いに、Dさんは写真を見つめたまま答えない。
心なしか顔色が変わっている。
「…これ送ってきたの誰?」

スタッフの一人が封書の名前と住所を読み上げ、それを聞いたDさんは眉をひそめた。
「何?知ってる人?」
「いや、初耳だよ。送ってきた人に心当たりはない。だけど…」
Dさんは写真に写っている痩せ型の男の顔を指差してこう言った。
「こいつに見覚えがあるんだ。間違いない」
「それって知り合いの人の霊ってことなの?」
「そうじゃない。顔見知りの霊…ってチョット違うか。いや、妙な話なんだけど─」

事の起こりは、Dさんがこの仕事を始めた頃、ある番組に送られてきた心霊写真だった。
冴えない中年男の顔が、子供の足下の地面からヌゥッと突き出ている。
クッキリと写ってはいるが、アングルがあり得ない上に顔のサイズも大きすぎる。
Dさんはその写真をモニター越しに見たのだが、その時は特に強い印象は受けなかった。

2度目の出会いは自身が制作に携わった番組のスタジオ収録でのこと。
酒蔵の中で撮影された女性の背後、パイプの隙間の暗闇にボンヤリと浮かぶ青白い影。
ズームされた瞬間、そこにあの男の顔を見たDさんは、思わず声を上げてしまった。

そして今回送られてきた写真。
またもや、忘れようもないあの顔がハッキリと写っている。



31:毒男◆B.DOLL/gBI[]2017/01/09(月)21:37:02.503ID:wL0kuuJ60.net
「─というわけで、コイツの顔を拝むのはもう3回目なんだ。そう言う意味では顔見知りって言えないこともないわな」

3枚の写真は、送り主もロケーションも撮影日もバラバラで、互いに何の接点もない。
ただ、その場に居るはずのない、ある男が写りこんでいる点だけが共通している。
そんな写真が3回もDさんの目に触れた。これは偶然なのだろうか?

「やっぱ偶然…ですかね」
「さぁな。ただ、世の中に心霊写真がどれだけあるのか知らないけど、俺はこんな心霊写真を他に見たことがないし、そんな写真があるって話を聞いたこともない」
Dさんは、何か文句があるなら言ってみろ、というような顔つきで私を睨んだ。

「…で、何かあったんですか?」
「何が?」
「だから…よくあるじゃないですか、霊障だとか何とか」
「どうかなぁ。身体はどこも具合悪くないし、特に不幸事もないしなぁ」
「じゃあ、その男がDさんの写真に写ってたとかはない?」
「うーん、覚えはないなぁ。オレ写真写り悪いから嫌いなんだよ、撮られるの」
「写す側にしてもそそられませんよ。40過ぎのむさい野郎なんて」
「悪かったな…つーか、この年で独身ってのはコイツの祟りなのか?オイ…」

後は、いつものようにDさんの愚痴を聞くハメになった。

それからしばらくして、Dさんに女の子を紹介する事になった。
とりあえず写真を見たい、という先方の要望を伝えると、Dさんは写真の束を私に押しつけ、
「適当に選んどいてくれ」
とロケに行ってしまった。
しかたなく、私はDさんの「適当な」写真を選ぶという不毛な作業を始めた。



32:毒男◆B.DOLL/gBI[]2017/01/09(月)21:37:39.293ID:wL0kuuJ60.net
写真を撮られるのが嫌いと言うだけあって、スナップ写真ですら数が少ない。
パラパラと写真を繰っていると、後ろからポンポンと肩を叩かれた。
振り返ると、番組の女性スタッフが坊さんを一人連れて立っていた。

「今良いかな?この人、○○寺の住職さん」
「あーハイハイ」
「今度番組に出てもらうんで打合せに来てもらったんだ。ちょと部屋借りれる?」
「ちょっと待って下さい…」
席を立とうとして、坊さんの視線がDさんの写真に向いているのに気づいた。

「この人…」
「ああ、番組のスタッフですよ。今はちょっと出てるんですけど」
ちょっといいですか、と断ってから、坊さんは写真の束を取り上げた。
「おかしな写真ですね。この人、大丈夫なんですか?」
眉間にしわを寄せて、そんな事を言う。

「どういう事ですか?」
「この人、写真の顔と実際の顔が違う感じがしませんか?…ホラ、これもだ」
坊さんはDさんの写真を次々と机に並べる。言われてみればそんな気もしてきた。

「そうですね。そう言えば、本人も写真写りが悪いって気にしてましたよ」
「そんなレベルじゃないでしょう。例えばこれ、別人の顔でしょう?」
そう言って、坊さんはDさんのアゴのあたりを指差した。だらしなくたるんだアゴ。
「あれ?Dさんってどっちかっていうと痩せてる方ですよね?」
女性スタッフが頓狂な声を上げた。
確かに、実際に見るDさんの顔はもっとシャープな印象だ。
少なくとも、こんなにアゴがたるんでいるようには見えない。

「何なんですか、これ?」
「顔の下半分が別人と重なってるんです。ほら、この写真は鼻から下ですね。」
坊さんは手の平で顔の下半分を隠した。すると、実際のDさんの印象にグッと近づく。
「…で、これは目から上」
別の写真の、今度は顔の下半分を覆う。
「本当だ…こっちのほうがしっくりきますね」



33:毒男◆B.DOLL/gBI[]2017/01/09(月)21:38:10.542ID:wL0kuuJ60.net
そこで、私はあることを思いついた。
2枚の写真のカラーコピーを取り、それぞれの顔の上半分と下半分を切り抜いた。
それをつなげてみる…すると、例の中年男の顔が現れた。
背筋が急に寒くなる。

「…これって生きている人の仕業ですか?」
「違います。霊ですね。死霊です。ここまで綺麗に重なっているのは記憶にありませんが」
坊さんはあっさりとそう言った。
「たまにあるんですよ、こういう現象って。写真写りが悪い時なんかは要注意です」
「要注意って…霊障とか、そーいうのはあるんですか」
「さあ分かりません。ケースバイケースでしょう。ただ、こうなってしまうと─」
そこで一呼吸置き、Dさんの写真を指差した。

「─何にせよ、もう手遅れです」

夜になって帰ってきたDさんには、坊さんとのやりとりは何も話さなかった。
その後、Dさんの仕事振りに変わりはない。
ただ、紹介した女の子には見事に振られたようだ。



44:毒男◆B.DOLL/gBI[]2017/01/09(月)21:55:19.717ID:wL0kuuJ60.net
夜。
雨の降る深い闇の林道で、1人の女が傘も持たずに佇んでいる。
それを見たタクシーの運転手は、その様子を気味悪く感じながらも女の前にタクシーを停車させ乗っていくように勧めた。
女は黙って運転手を一瞥すると、後部座席に乗り込み一言
「×××へ」
とだけ言った。

現在の場所から数十キロも離れた場所の名前であった。
そこまで歩いて行くつもりだったのか…。

運転中、2人の間に会話は無かった。
目的地に到着し、
「着きましたよ」
と言って運転手が振り返ると居るはずの女が消えている。
タクシー運転手の間では有名な都市伝説の一つである。
無論、一般人だろうとこの話を知る人は多いだろう。

しかし、多いだけで“実際にそれを体験した人”というのは一体どれくらい居るのであろうか?
残念ながらその数は少ないと思う。
そんな中、昔タクシー運転手であった田中さんがこんな体験談を語ってくれた。
その体験談は、どこかあの都市伝説に似ているような気がする。

当時タクシーの運転手だった田中さんがその女に出会ったのは、雨の強い夕暮れ時のことであった。
半ば道路に飛び出すようにしてタクシーを止めに入ったその女を、田中さんは危うく轢いてしまうところだったという。

「本当に突然出てきたもんだから、ビックリしたな。最初は怒鳴ってやろうと思ったけど、あの様子見てたら…」

その異様な様子に田中さんは怒鳴ることも忘れてしまったらしい。
この強い雨のなか傘も持たずに、布に包んだ赤ん坊を抱いた女は運転席側の窓を叩き続け
「乗せてください」
と呪文のように繰り返し呟いていた。

「雨に濡れた長い髪が顔にベッタリ貼り付いててな、表情が読み難かったが歳は20代前半位か。目が据わってたのが印象的だったな…それと――」

――それと、赤ん坊の抱き方が奇妙だったという。
右腕で赤ん坊を外側から丸め込むように片手で抱いて、残った左掌をその頭に置いていた。
別に撫でている風も無く、本当にただ赤ん坊の頭に手を置いているようだったという。



45:毒男◆B.DOLL/gBI[]2017/01/09(月)21:57:01.458ID:wL0kuuJ60.net
田中さんは後部座席に女を座らせると、何処へ向かうのか訪ねた。

「とにかく近くの病院まで…子供が……急いで!」

何と無く女の事情を理解した田中さんは、今の場所から一番近いであろう病院を思い出すと一気に車を走らせた。

「運転中は喋れる雰囲気じゃなかったな。バックミラーで何度かその女性の様子を見てたんだけど…」

女は俯いたまま我が子に何かを呟きかけていた。
腕はあの“奇妙な抱き方”のまま崩す素振りは一度も見せなかったという。
話し掛ける勇気の出なかった田中さんは、その代り車の速度を上げると病院まで急ぐことにした。

しかし、田中さんはすぐに自分の選んだ選択肢が間違っていたことを思い知らされたという。
大雨のせいもあったのであろうか、突然変った信号で田中さんが急停止したところ、後部座席に座っていた女性がよろけて運転席の背中にぶつかってしまったのだという。

ベリッ

女のぶつかった衝撃が消えると同時に、父の背後で嫌な音が響いた。

「本当に、嫌な音だった。まだ治りきっていない大きなカサブタを、思いっきり剥がしたことある?あれの何十倍も凄い音がしたな」

何かの剥がれるような奇妙な音のすぐ後で、今度は何か重い物が
「ゴトッ」
と落ちるような音がした。
何事かと思い田中さんが振り返ると、女は別段慌てる風も無く落とした何かを拾おうと座った状態から身を屈め、左手を伸ばして床をまさぐっていた。

信号が次に変るまでまだ余裕があったため、田中さんはその様子をずっと眺めていたという。
さっきのこともあるため赤ん坊の安否も気になったのだが、身を屈めた女の胸や頭の下に隠れて赤ん坊の様子はわからなかった。

数秒後、目的の物を掴んだのか女の動きが一瞬止まった。
身を起した彼女の左手には、よく分からない『何か』が鷲掴みにされていた。
丸く、紫がかった奇妙な塊であったという。
女がその『何か』を掴んだままの左手を元の位置に戻すと、
「クチュッ」
という小さな音と共に先ほどと何ら変わらぬ“奇妙な抱き方”が完成した。

その全ての動作を目にした田中さんは、何かに気付いたように目を見開くと、叫びに近い声でこう言ったという。

「降りてくれ!!金は要らないから、出てってくれ!!!」

女は前に振り返った田中さんをバックミラー越しに睨み付けると、ロックの外れたドアを開けて大人しく出て行った。
開きっぱなしのドアから雨音が間断なく響き渡ってきた。

「彼女が落とした物ってのは赤ん坊の生首だったんだ。可哀想に、詮索はしないが一度離れちまったものを彼女は必死にくっ付けようとしてあんな抱き方してたんだろうな。それで急いで病院に連れて行こうとしてたわけだ」

田中さんはそこまで一気に喋り終えると、何かを思い出したように顔を上げ溜息を吐いた。



54:毒男◆B.DOLL/gBI[]2017/01/09(月)22:09:27.094ID:wL0kuuJ60.net
寂れた飲み屋で一枚の写真を手に上司が話してくれた。

「お前も知ってるだろうけど、俺は山に行くんだ。写真を撮りにね。
大学の頃から山はしょっちゅう登ってたから、技術には自信を持ってたんだけど、今から15年くらい前かな。
あまりにいい景色だったんで夢中でシャッターを切ってたら、足を滑らして転げ落ちちゃったんだ。

根が卑しいのかカメラをしっかり持ってたんだけど、なんとか体を引っ掛けることが出来た。
でも危険な状態だった。一メートル先は完全な崖だったんだ。
なんとか体はとどめているけど、いつまた滑り出すか分からない。
その時上からザイルがするすると降りてきたんだ。
カメラを首にかけて夢中で登ったよ。

安全なとこまで登りきって一息ついたんだけど、誰もいない。
叫んでみたけど返事もないんだ。是非お礼を言いたかったのだが、仕方がないと思ってその日は山を降りたんだ。
家に帰って写真を現像してみると、山の写真の中に一枚見覚えのない写真があるんだよ」

と言って上司は写真をよこした。

崖に引っかかっている時に偶然撮れてしまった写真らしい。
そしてその写真の真中に崖の上から覗きこむようにして男の顔が映っている。

「俺はこの人にお礼が言いたくていつもこの写真を持ち歩いてるんだ。だけど…お前、分かるか?」
写真の男の顔は皺だらけであったが上司の顔にそっくりであった。

「年々、俺の顔がそいつに似てきてるんだ…」
上司はそれを悩みの種にしているようだった。

しかし俺は思う。
写真の真中で薄ら笑いをうかべるこいつが、上司を突き落としたのではないかと。

数年前その上司は亡くなった。
その死に顔は写真の男にそっくりだった。



66:毒男◆B.DOLL/gBI[]2017/01/09(月)22:29:05.541ID:wL0kuuJ60.net
この話は実は最近体験した話なのですが、話の内容が内容なので家族や知人には話せず、今までまだ2、3人にしか話した事のない実際に起こった話です。

3年前の夏、私は船を持っている叔父と二人で太平洋漂流などと無邪気にはしゃぎながら優雅な船舶生活を体験させて貰っていました。
叔父と私は昔からウマが合い、私はまるで本当の息子のように昔からいろいろな所へ連れて行って貰ったものです。
そんな日々を事件が襲ったのは船上生活を始めて5日もしたある夜。

その夜は突然の大嵐で高さ10mはあろうかという大波が船を襲い、私と叔父はゴロゴロとあちこち転がりながら、人生の終わりを予感しました。
そのうちに私は頭を打ち気を失い、しばらくして目がさめるともう波が全くなくなっておりました。
叔父はひっくり返ったベッドの上は煙草を吸っていました。

「やっかいなことになってもーたわ」
目覚めた私に叔父が投げかけた第一声がそれでした。どうやら座礁してしまったらしくしばし途方にくれているようでした。

「どうしよか…」
「…無線やな」
「出したん?…」
「…今起きた」
無口に煙草を吸いながら二人そんな話をしていました。

しばらくしてとにかく外出てみようと思いデッキに出て確認すると、地面は赤黒い色をした見るからに奇妙な大地で、アンモニア臭がツンと鼻を突きました。
「おーいこっち来て手伝ってくれ」

叔父に呼ばれて私は行かないわけもなく、急ぎ足で船内に戻ったその時、ズズズズズズゥーンと船が沈みまた大きな波が船をひっくり返さんばかりに揺らしました。
「おっおわっおわわわわ!」
何が起こったのかわからず理不尽に荒れだした大海原に自然の脅威を思い知らされながら叔父のもとにたどり着きました。

しばらくして波が止み、太平洋のゆりかごのような波が緩やかに船を揺らします。
「おい、外これ…」
叔父の側に駆け寄り私も外を見ました。そこに広がっていたのは果てしなく続く太平洋でした…。
理不尽にも陸は消え、私と叔父は真っ青になり近くの島に急ぎました。

その後無事地元に帰港した私達は今まであった事を忘れてしまったかのように振る舞い日常に帰りつきました。

陸のない所に陸が出る…そんな事が太平洋では本当にあるんです。
海にはまだまだ未知なる物が潜んでいます。
島ほどもある生物がいる。
誰も信じなかった私のこんな体験でした。



69:毒男◆B.DOLL/gBI[]2017/01/09(月)22:36:28.929ID:wL0kuuJ60.net
これは私が今住んでいる所に引っ越す前の話なんですが、以前住んでいた県営住宅(まだ新しく、中古で入居はしていません)は私が生まれて間もない頃に入ったそうです。

そこには私も小学校の5年までしか住んでいなかったんですが、13号棟まであり、子供が多い割には何故か人気が少ないように感じる土地でした。

また、私達が住んでいた13号棟は小さい道路に挟まれ、前の12号棟とも疎外感のある場所でした(ちなみに室号は404であからさまに不吉)。

それは私が3歳頃、最初に経験したのは母でした。
ある夜中、母は12号棟にある公園のほうからこちらへ歩いてくる人影を観たらしく、本能的に
「ヤバイ」
と思って、自分の家へ戻ったそうです。
その人影(よくよく見ると死装束を着た長い髪の女だったそうです)はスーっといった雰囲気で13号棟の1階1部屋ずつ、ノックをしては上の階へ上がって来ました。

4階に住む母は、急いで家の鍵を閉めてふすまを閉じ(寝る前にふすまを閉める習慣だったので)、私たちが寝ている部屋へ来て寝たフリをしたそうです。
そして次に周ってくるのが
「うちだ」
と感じた瞬間、はっと目が覚めたそうで、気がつくと隣にはいつもの家族が眠っています。
「あぁ、夢だったのか」
と母がほっとして頭上にある時計を見ようとした瞬間、ふすまが半分ほど開いているのに気づきました。

そしてはっとした瞬間、金縛りにあい、うっすらと目をあけてみると目の前には先ほど目にした死装束の女性が、物凄い形相で母を睨んでいました。
そして次の瞬間力任せに首を絞めてきたそうです。
「苦しい」
と気が遠くなった瞬間、母は気を失ってしまったのですが、次の日起きるとふすまはやはり半分開いていました。

それが、母にとって一番怖かった体験だったそうです。

次の体験者は私の弟でした。
弟も親の血なのか子供の頃から結構見る体質だったらしく、異常なまでの怖がりで、小さい頃はいつも夜中にトイレに行くときは必ず家族を起こしていたのですが、何故かその日は1人でトイレに行こうと思ったらしく、ふきガラスつきの扉(どうもこの県住のデザインらしく、どこの家にも着いていました)を半分開いた瞬間、誰かがいるのが見え、よくよく見るとどうも母が観た例の女性と同じらしく(ですが母は「怖がりだから」と弟にはその話をしていません)、半泣きで私たちが寝ている部屋に戻ってきて詳細を話しました(それで母が上の体験を言ったものだから余計に弟は怖がりになってしまったんですがw)。



70:毒男◆B.DOLL/gBI[]2017/01/09(月)22:37:45.705ID:wL0kuuJ60.net
そしてある日、今度は父が妙なことを母に言いました。
「お前、夜中何度も俺の手を撫でてるやろ」
と。
母は私と弟と同室で寝ており、父はスペースがないので1人別室で寝ていたのですが、もちろん母は
「そんなことしていない」
と言い張ります。

そしてある日、父がまた手を撫でられていると感じた時に、うっすらと目をあけて手のほうを見てみると、白い着物から伸びた青白い手が父の手を延々と撫でていたそうです。
今では父は
「よく考えると母さんの手よりももっとほっそりとしてて綺麗だった」
と笑い話にしていますが…。

そんな風に同一人物と思われる霊に私以外の家族全員が観たことになったのですが、これがあまりにも小学校の頃の私にとって、友達と話す時にいい話題になるので、ある日下校途中に、同じ13号棟に住む同い年の友達にこの話をしてみました
(オチに使おうとその子には最後まで「同じ霊らしかった」とは言わなかったのですが)。

すると、その子も家で霊体験をしたことがあるらしく、これは弟と同じくふきガラスの扉を開いたときに見たそうなんですが、この話を聞いたとき私ははっとして、
「もしかして、その幽霊って死装束を来た髪の長い女の人じゃなかった?」
と尋ねたところ、友達は
「うん、そうだよ。なんでわかったの?」
と驚かれました。
もしかしたらこの霊は13号棟付近をうろついているのかもしれません。

ちなみに、この霊だけでなく、昔実際に起きた事件で近所のどぶ川にまだ3歳頃の男の子が落ちて溺死したことがあってから、夜になると風もないのに放置された三輪車が勝手に動き回るのを目撃した人がいたり、団地の集会所にいった近所のオバサンによると
「あそこに正座したおじいさんが時々いたり消えたりしている」
と指差したり、(一度たくさんの人が目撃して騒動になったそうです)怪現象は後をたちませんでした。

その後、震災もあって私の家族はその団地を離れた(ガラも悪くなったので)のですが、私の家族の後に4040号室に入った家族もいたようで、つい数年前母がまだ団地に住んでいた友達に会ったときにこっそりと話された話がこれでした。

「あなたたちの後に入った家族…男の子がいたんだけど、突然家で首を吊って自殺したのよ。もう半年経つんだけどまだ原因不明なんだって」

…と。



76:毒男◆B.DOLL/gBI[]2017/01/09(月)22:48:15.198ID:wL0kuuJ60.net
聞くともなしに聞いた話、夏休みに起きたことだそうです。

木造2階建ての2階で昼寝をしていた子供が、ドアチャイムの音に目を覚まして玄関へ向かった。
その子が寝ている間に親は外出したらしい。
以前にもそういうことは多かったので子供は
「面倒くさいなぁ」
と思いつつ階段を駆け下り、そのまま真っ直ぐにドアスコープを覗いた。

すると外にいる人もドアスコープを覗き込んでいた。
いきなり目が合ってしまった子供は驚いて後ろへひっくり返ってしまった。
「変な人?」
と思っているとドアをノックする音がする、トントン、ドアをノックする音がする。

鍵は掛かっている、すこし怖かったけれど子供はもう一度ドアスコープを覗いてみた。
すると夏の日差しに照らされた玄関先におかしな物が見えた。
150センチくらいのグレーの人影が左右にブルブルと震えているのだ。
「???」
と思った子供がスコープに張り付いていると、やがて影は視界の外へ消えた。裏庭の方へ回ったようだ。

震える影は両の手を下前方へ差し出して、老人のように前屈みによろけながら動いていった。
それはまるで落とし物を探しているような様子だった。

尋常ではない物の様子に
「お化けがいる!」
と思った子供は、影が家の中へ入ってこないように戸締まりをすることにした。
裏に回った影が来ないうちに家中の戸を閉めてしまおうと思ったのだ。
先ずは始めに一階。
…炊事場にある裏口は閉まっていた。
…テレビや食卓のある八畳間も閉まっていた。
…父と母が床を敷く六畳間も閉まっていた。
外出した母が戸締まりをしていってくれたのだ。



78:毒男◆B.DOLL/gBI[]2017/01/09(月)22:49:09.407ID:wL0kuuJ60.net
戸締まりを確認した子供は少し安心するとこれからどうしようかと考えた。
影がどこかへ行ってしまっているなら、誰かが帰ってくるまで外へ出てしまいたい。
…しかしまだ影が外にいるかどうか確認するのは怖い。
子供は誰かが帰ってくるまで二階へ避難することにした。

誰もいないはずの室内、左右を見渡しながら玄関へ向かった子供は急な階段を2段ごとに駆け上がった。

ダダダダダダンッ!

しかし次で二階というところで子供は足を踏み外してしまった。
最後から2段目のところで何かに足を引っかけたのだ。
腹這いの姿勢で階段を滑り落ちた子供。
1階に落ちた子供は再びおかしな物を見た。

それは2階から顔を覗かせる中年女性の顔だった。
傷だらけの古い映画のようにカタカタと震える白茶けた顔。
じっと自分を見つめるその顔に、もちろん覚えはない。
あわてて下へ目を逸らした子供、子供の目には磨き込まれた階段が映っている。
…その階段の踏み板の下、その木の継ぎ目の隙間からか細い腕が伸びていた。

子供の恐怖心はもう限界だった。
その子供の目の前で、腕はするりと継ぎ目の中へ消えていった。
と同時に子供は堰を切ったように泣き始めた。

昼寝をしているはずの子供の声に、隣家で話し込んでいた母親が血相を変えて戻ってきた。
しかし階段の下、玄関先でうずくまる子供の話は全く要領を得ない。
「寝ぼけて階段を踏み外したのだろう」
ということで子供は病院へ連れて行かれた。
頭を打った様子もなく、幸い軽い打撲だけだったのでその日のうちに子供は家へ帰された。

しかしその子供が二階へ上がることは一家が引っ越す日までついになかったそうです。



83:毒男◆B.DOLL/gBI[]2017/01/09(月)22:58:08.460ID:wL0kuuJ60.net
中1の夏でした。
私の祖母の一番上の兄、泰造さんが亡くなりました。

といっても、私は泰造さんとは殆ど面識がなかったのですが、夏休みということもあり、両親と共にお葬式に出掛ける事になり、私はそのとき初めて泰造さんの屋敷を訪れたのでした。

そこは某県の山奥、大自然に囲まれた、まさしく田舎といった場所で、屋敷と呼ぶにふさわしい、古いながらもとても大きな家構えでした。

敷地内には鶏小屋があり、たくさんの鶏が飼育されていました。
泰造さんの娘にあたるおばさんが、売りには出せない小さな卵を私や親戚の子供達にくれたので、大人達が集まるまでの時間、私は子供達と一緒にその卵を使って、おままごとなどをして過ごしました。

そのうちお葬式が始まり、私は足の痺れと眠気と闘いながらあまり面識のない泰造さんの遺影を見つめていました。

そしてお葬式も滞りなく終わり、両親や親戚のおじさんおばさん達はビールや寿司を囲みながら、泰造さんの思い出話や子供たちの話、世間話などで盛り上がり、私もおじさん達にビールを注いだりと愛想をふりまきながら、やがて田舎の涼しく心地よい風を感じる夕暮れ時となっていました。

ふと尿意を感じた私は席を立ち、ひとり便所へと向かいました。

かなりの田舎ということもあり、便所は少し変わったつくりをしていました。
扉を開くと裸電球の下、まず男用の小便器があり、そこにまた扉があります。
それを開くといわゆる、ぼっとん便所が奥にあるのです。

ですが、電気は始めの個室の裸電球しかなく、私はふたつめの扉をあけたまま、薄暗いぼっとん便所で用を足すことになりました。
田舎の夏の夕暮れの独特な雰囲気と、慣れない木造の便所で少し気味が悪かったのですが、鼻歌を歌い、気を紛らわしながら用を足し、服を整えて振り返りました。

それはいました。

ひとつめの個室の裸電球の下、白い服を着て、真っ黒な長い髪を無造作に束ねた女のうしろ姿。
私は恐怖で体が痺れたようになり、厭な汗が体中から噴き出しているのを感じました。
どれぐらいの時間でしょう。長いような短いような。女の頭から目を離せずにいた私の耳に
「コォォーーーー……」
という、かすれた音のような声のようなものが聞こえてきました。

それと同時に私は少しずつ視線を下へとおとしていきました。
私の目に飛び込んできたものは、異様に爪の長いおんなの手の甲…そして足の…指…?

こっちを向いてる……!!



85:毒男◆B.DOLL/gBI[]2017/01/09(月)22:59:10.225ID:wL0kuuJ60.net
うしろ姿だとおもっていた女は、まぎれもなく正面を向いていました。
髪をすべて前へ下ろし、あごのあたりでひとつに束ねていたのです。
女の顔は全く見えない…見えないけれど見える…見えない…。
「ひぃぃ…ひぃぃ…」
私はガタガタ震えながら、泣いていました。
そして女はゆっくりと両手をあげ、髪を束ねている紐に手をかけようとしました…。

そのとき
「ガタッ」
と扉の開く音と同時に、父の姿が見えました。

グルッ

女が扉のほうへ振り返り、そこで私は気を失いました。

目を覚ますと、私は布団に寝かされていました。
両親が心配そうに私の顔を覗き込んでいました。
「変な女がおったんよ!!怖かった…怖かった…。」
また泣きそうになる私を見て、二人はうんうんと頷いていました。
父はあの女の姿を見てはいないようでした。

少し落ち着きを取り戻した私に、おばさんが一冊の古びた冊子を持ってきました。
それは亡くなった泰造さんの覚え書きのようなものでした。
そのうちの黄ばんだ1ページに墨で描かれていた絵は、私が便所で見た女そのものでした。

「うちのお父さんな、こんなおそろしいもん、よう見とったみたいなんよ。この覚え書きはお父さんが死んでしもてから見つけたんやけど、なんやいつもえらい怯えとったんやわ。それやのに全然気付いてあげれんかった…。」
そう言っておばさんは涙ぐんでいました。

その覚え書きを見せてもらうと、泰造さんはあの女のことを後女(うしろ女?)と呼んでいたようでした。

鶏の飼育についてや森での狩りなどの覚え書きの合間合間に、後女について記してありました。
今となってはあまり覚えていませんが、最後のページにはこう書いてあったと思います。

「後女の真の面、真の背、目にしたとき我は死すか」

私は後女が振り返ったあのとき、女の後頭部を見たような気もするし、見なかったような気もします。



97:毒男◆B.DOLL/gBI[]2017/01/09(月)23:22:52.070ID:wL0kuuJ60.net
練馬にある高層マンション群で10年くらい前にあった出来事。
ある学生が夜遊びをして深夜に家に帰ってきた。
彼の自宅は上の方の階。エレベーターに乗った。
そのマンションのエレベーターは防犯のために窓ガラスの付いているタイプ。
各階のエレベーターホールが見える。

学生が何気なく窓から外を眺めていると、2階のエレベーターホールのはじっこに、子供が二人立っているのが目に入った。
兄弟のような雰囲気で背の高い子と小さい子の二人。手をつないでいる。
そんな子供の兄弟が薄暗いエレベーターホールの端に立っているのだ。
こんな時間になにをしているのだろう?

疑問に持つ間もなく、エレベーターは2階を通りすぎる。
2階の天井と3階の床で一瞬、視界が途切れて、3階のエレベーターホールが見えはじめる。

あっ。
思わず声が上がった。
さっき2階にいたはずの兄弟がここにもいるのだ。
さっきと同じように手をつないでエレベーターホールのほの暗いすみに。
いくらなんでも子供二人がエレベーターを追い越して階段を登ってこれるわけがない。
さっきと同じ子供なのか。
確かめる間もなく、エレベーターは3階を通りすぎる。
3階の天井と4階の床で一瞬、視界が途切れて、5階のエレベーターホールが見えはじめる。

いる。
やはり子供の兄弟が5階のエレベーターホールにもいるのだ。
しかもさっきよりもエレベーターに近い位置にいる。
ホールが薄暗い上に、下を向いていてその表情は見えない。
たたぼんやり立っているのだ。
まさか近づいてくるのか?

嫌な予感は6階を通過する時に現実になった。
5階よりも少しエレベーターに近づくように兄弟が立っている。
7階、8階、9階と子供たちは少しずつエレベーターに近づいてくる。



98:毒男◆B.DOLL/gBI[]2017/01/09(月)23:23:32.517ID:wL0kuuJ60.net
すでに学生はエレベーターの小窓から避けるように、エレベーターの奥へと後ずさりをしていた。
エレベーターの止まるのは14階。
それまでに消えてくれ!
だが、子供たちは確実にエレベーターに近づいてくる。

12階。
子供たちはもう扉の前に立っていた。
うつむいたまま。

13階。
悲鳴を上げた。
子供の兄弟が小窓にぴったりを顔をくっつけて中を覗き込んでいるのだ。
じっとこちらをその精気のない目が追いかけてくる。
エレベーターの上昇にあわせて。
学生は思わず気絶した。

気がつくとエレベーターは14階に止まっていて、倒れた彼の身体が挟まって自動扉が開閉していた。
それ以来、彼は夜遊びをしなくなった。



104:毒男◆B.DOLL/gBI[]2017/01/09(月)23:37:51.845ID:wL0kuuJ60.net
僭越ながら自分の恐怖体験を書かせて下さい。
夜書くと恐いので昼間に書きます。

自分の隣のアパートには自殺物件があります。
かくいう仏さんを第一に発見したのは俺と母なんですがベランダから下の階に首吊りでした。
双眼鏡でしっかり見てしまったので間違いありませんし、見てしまったのを後悔しています。
首がぐにゃりと曲がって青紫色に変色した彼女(女性でした)は朝一番に視界に入った最悪なものでした。

まだ息があったらしく時折びくりびくりと痙攣してました。
その度にロープとベランダの柵がぎしぎし音をたててるようで気味悪く、速攻警察へ電話したのを覚えてます。
話はそんな彼女が死を選ぶ前日から始まっていました。

前日、会社が休みだたので自宅近辺をぶらりぶらりしてると、中年の女性が(仏さまになった彼女)二階の部屋からゴミ置き場へ必死の形相で布団やらラジカセやらカセットコンロやらを出しているのが目に止まりました。

もう部屋にあるものは不燃可燃粗大ゴミ構わず出しているようだったのです。
鏡台や食器、化粧品。冷蔵庫の中身からなんでもありでした。
挙げ句の果てには畳や絨毯まで出し始める始末。
おいおい、いくらなんでもそりゃないだろう?とさすがに声をかけましたが
「いいんです。奇麗にしなくてはいけないんです。」
と弱々しく彼女は答えました。

そうこうしている内に、近所で有名な一階に住むアル中の親爺が登場して訳の分からん説教をしてましたが、彼女は聞いてないか聞こえないようでした。

「すみません」
と口では言いながらやはり家財道具をゴミ置き場に運びます。
テレビ、コンポ、傘たくさん、掃除機etc。
出るわ出るわおよそ家財道具が全て運び出された当たりでアル中親爺が呆れたのか
「これもらってもいいか?おいねぇちゃん?!」
と今考えるととんでもない事を口走りました。
「どうぞ」
と言われて親爺はコンポと絨毯、掃除機を自分の家に持って帰りました。
「あなた方も何かいりますか?」
と弱々しく俺ら野次馬に言いましたが恐いのと電波チックなものを感じていたであろう数名は無言で自宅へ帰路を進めたように覚えてます。

その翌日、彼女はこの世を最悪のやり方で去りました。
彼女の酬いはアル中親爺に降り掛かりました。



105:毒男◆B.DOLL/gBI[]2017/01/09(月)23:38:50.511ID:wL0kuuJ60.net
忌ま忌ましい出来事から一か月程立ってからアル中親爺がおかしくなりました。
普段はアル中らしく独り言絶叫飲酒か野球に大声で突っ込みを入れるだけのうるさい親爺でしたが様子が変です。
アル中の戯言がひどく生々しい戯言に聞こえはじめました。

「なんでお前がここにいるんだ!バカやろう!!次はぶっ殺すぞ!!!」
「帰れっていってんだろう!じゃなかったら酒飲め!!」
「すんません。もうすんません!」

また、親爺も一応働いて留守のはずの隣室からぼそぼそ声がした事もありました。
日増しに暴言、空暴力、異常行動は凄惨を極めました。
壁を蹴飛ばす、サッシを割る(結構力いります)、非常ベルを鳴らす。
挙げ句の果てに警察に泣きついたりしてました。
どうも、もう一人住人が増えてそいつが帰らない旨をKにろれつが回らない舌で訴えてるようでした。

無論警察は酔っ払いの戯言には耳を貸さずその場を納めるだけでしたが、夜中に最大3台パトカーが来た時は尋常じゃないな?と俺も思いました。
アル中親爺の一人恐怖(?)はエスカレートしてゆきました。
不思議なのは、独り者の親爺なのに(無論友人知人は寄り付かない)誰かを蹴るような音がしたり、壁にぶつけるような音がしたりしていたのが不思議です。

そのたびに女性の声で
「うううううう」
とか
「堪忍して下さい」
とか聞こえてました。
ある日、ピークに達したのでしょう。
親爺は黒ブリーフ一枚でアパートから飛び出しうろうろしてたのを輔導されました。
その後、絨毯は刻まれ、コンポと掃除機には粗大ゴミの札が貼られて捨てられていました。

親爺は酒も飲まなくなったようで無口になり痩せたように思います。
ひっそりと人を避けるようにしてるようです。
時折、仏壇の鐘を鳴らす音が聞こえるようになりました。
別人になってしまった親爺を家人は
「年取ったなぁ」
と言ってますが、俺は違うと感じてます。
絶対何か向こう側の事件があったのだ。と…。

教訓:いらないからといって、無闇に人から物を貰うのはやめましょう。
その物には何があるか分かったもんじゃありません。



109:毒男◆B.DOLL/gBI[]2017/01/09(月)23:43:07.821ID:wL0kuuJ60.net
その日は朝から暑かった。
自室でテレビゲームに興じていた少年の耳に、母親の叱責交じりの声が飛び込んできた。

「ほら、ゲームばっかりやってないで、草むしりしちゃいなさい。お母さんとの約束でしょ?」
少年は、誕生日に欲しかったゲームソフトを買ってもらう代わりに、夏休みになったら毎朝庭の草むしりをすることを約束していたのである。
テレビ画面から視線を外して窓を見ると、雲一つ無い抜けるような青空が広がっていた。

うんざりしたような表情になった少年だが、観念したのであろう、ゲーム機の電源を落とすと、後片付けもそこそこに小走りで階下へと降りていった。

「猫の額程の」という形容詞がしっくり来るほどの狭い庭ではあったが、それでも庭掃除の作業は小さな子の少年にとっては重労働であった。
慣れない体勢に加え、真夏の日射がじりじりと熱い。
ものの十分も経たないうちに、少年は全身汗まみれになっていた。

1メートル四方もむしり終えないうちに少年は音を上げ、よろめきながら庭の片隅で青々と葉を茂らせているイチョウの木へと歩み寄っていった。
母屋の東側にあるこの庭で、唯一日陰が出来ている場所である。

木の根元に腰を下ろし、少年は息をついた。
風はほとんど吹いていなかったが、それでも直射日光の下に居るよりは幾分もましであった。
人心地ついたところで、少年は自分が座っている場所がいくらか隆起しているのに気付いた。
こんもりと、まるで何かが埋まっているかのような形状であり、少年は物は試しにとその場所を掘り始めた。

先程の草むしりより短い時間で、「それ」は地面の中から現れた。
異様なまでに白く、だが斑に紫色に変色した細い腕。
その手の薬指には、プラチナのリングが嵌められていた。
少年は、そのリングに見覚えがあった。
それを認めた途端、少年の思考は完全に混乱した。

では、先程自分を草むしりに急き立てたあの「声の主」は、一体……?
「お母さ……」
呟きかけたところで、いつの間にか縁側に出てきていた「母親」と眼が合った。
ほとんど垂直近くまで吊りあがった眼。耳の辺りまで哄笑の形で裂けた口。
異形の表情の「母親」と。

その日も朝から暑かった。
少年は母親との約束通りに、今日も汗だくになりながら草むしりに精を出している。
その甲斐あってか、庭は以前よりもずっとスッキリし、見栄えのするものに変わりつつあった。
イチョウは今日も木陰を作り、少年が涼みに来るのを待っている。

その根元には、こんもりと盛り上がった土の小山が二つ。



116:毒男◆B.DOLL/gBI[]2017/01/09(月)23:55:57.153ID:wL0kuuJ60.net
自分の友人から聞いた話をひとつ。

友人は大学時代あるアパートに下宿した。
そこはかなり古かったけど格安な物件で住み始めてすぐ気になったことが…
夜遅くたまにドンドンドンと壁を叩く音がするのだ。

20分くらいその一定のリズムで叩きつづける音がやまない。
毎晩てわけでもないから最初は無視していたが、あるとき気づいた。
その音はかならず金曜日の夜やってきて、しかも決まった時刻に始まり、決まった時刻に終わる。

それに気づいて急に気味が悪くなった。
そこは角部屋だから叩いてるやつは隣の部屋の奴以外ありえない。
隣は人は住んでるみたいだったが、一度も顔を見たことがなかった。
根が小心な友人は文句を言いにも行けずにいた。

そしてまた金曜の夜いつもの時刻あれが来た。
隣の部屋と接する壁に耳を横付けると、確かにその壁から
ドン…ドン…ドン…
と音がする。
機械的な一定のリズムと強さで…

友人は気味が悪い分、むかついてきたので、ダーン!と壁を蹴ってやった。2度3度…
すると隣の部屋からもダーンダーンダーン!と強く叩き返してきた。
友人は完全に頭にきて部屋を飛び出し、隣の部屋を訪ねた。

玄関でブザーを鳴らすとそこの住人が出てきた。
くらーい目をした男だった。
友人が
「どういうつもりだよ、ドンドン壁を叩きやがって…」
強い口調で言うと、男は。
何言ってんだ、そっちが叩くから叩き返したんじゃねえか
と言い返す。

さらに男は、
「今だってお前の部屋にいる奴が叩いてるやないか」
と言う…
友人は呆気にとられた。
男に引っ張られるように隣の部屋に入ると、自分の部屋と接する壁から
ドン…ドン…ドン…
と音が鳴りつづけていた…



117:毒男◆B.DOLL/gBI[]2017/01/09(月)23:56:28.105ID:wL0kuuJ60.net
次の週の金曜、友人はその友人B君を部屋に呼んだ。
B君は仲間うちでも有名な霊感の持ち主だった。

そして夜、いつものあの時刻にあれがやって来た。
ドン…ドン…ドン…ドン…
音が鳴り始めてすぐにB君は言った。

「この部屋はすぐに出て行ったほうがええわ。」
その理由を尋ねると、B君はなかなか答えてくれなかった。
それでもしつこく食い下がると、
「いやな…そこの壁にシミができてるのわかるやろ」
B君の指差す方向を見ると確かにはっきりわかるシミが壁にできていた。

はいった時、壁紙は張り替えていてこんなシミは絶対なかったはずなのに。
「そこの前に頭から血を流した女の人が正座してて…」
「ずっと壁に頭を打ち付けてんねん、ドン…ドン…ドン…て」



125:毒男◆B.DOLL/gBI[]2017/01/10(火)00:16:20.093ID:A6MZi/nl0.net
聞いた話ですが・・
霊感の強いSさん(女性)の実体験です

小さい頃、家の近くの大きな木から視線を感じたためふと見ると、木の下に恐ろしい形相をした女性を見たそうです
それから何十年か経ち、Sさんも20歳を越え、結婚を前提に男の人と付き合うようになりました。

ある日いつものように支笏湖(北海道)方へドライブにでかけました。
窓から風景を見ていると(森の中です)一本だけ違う大きな木があったのです。
小さい頃見たあの木なんです。
目線をずらそうとするのですがどうしてもそらせません。

どうしようと思っていると、やはりもの凄い形相をした女性が木の下にいました。
そして
「いやだ」
と思ったときは目を合わせてしまいました。
Sさんは早く通り過ぎたく、彼に飛ばしてと言ったのですが返事をしません。
彼を見ると彼が動いてないのです。
片手にカセットテープを入れ替えようとしているままの形で・・

「え?」
体をゆすったのですが、石の様にびくともしないのです。
時計を見ました。1分・・2分・・自分の中で数えても動かないのです。
それどころか木の下の女性がこちらに歩いてくるのです。
「まずい」
と思ったSさんは車から降り走って逃げようとしたのですが、外の光景も全て止まってるのです。
表現しにくいのですが風も止まってるというのです。

その時
「あ、動き出す」
と感じたので急いで車に乗り込んだ瞬間、突然時間がもどりました。彼氏はカセットを新しいのに変え平然としてます。
「今、と・とまってたよね」
彼氏に聞くとなんの事やらちんぷんかんぷんでした。
逆に怒られたようです。
訳のわからん事を言うなって・・
サイドミラーから見てもさっきの木はもうありませんでした。

最近彼女も結婚し、当時の彼氏も今は旦那様になり、旦那様の会社の社宅に住むようになったのですが、家の近くにまたあの木があるそうです



126:毒男◆B.DOLL/gBI[]2017/01/10(火)00:16:50.014ID:A6MZi/nl0.net
|A-) 怖い話終わりー



200:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[sage]2017/01/10(火)02:38:54.591ID:d7wUjdQma.net
おつ



202:過去ログ★[]
■このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています


引用元:毒男の怖い話とか音楽とか雑談とか
http://vipper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1483964136/




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