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ー毒男の怖い話とか音楽とか雑談とかー <毒男シリーズ>
2016.07.16 (Sat) | Category : ホラー・怪奇現象・不思議現象
1:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/07/10(日)00:09:13.280ID:KUgYdFxo0.netBE:708155702
|A-) 怖い話は探しながら人がいる限りゆっくりと
怖い話書ける人、貼れる人はどうぞー
レスがなくなったらさるさんくらったか寝たか人いなくなったと思ってね
2:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/07/10(日)00:10:46.339ID:KUgYdFxo0.netBE:708155702
|A-) 眠いから2時くらいまで
そこまでもつかも微妙だけど
(続きは『続きを読む』をクリック)
5:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/07/10(日)00:21:18.549ID:KUgYdFxo0.netBE:708155702
私は幼い頃、一人でいる事の多い子供でした。
実家は田舎の古い家で、周りには歳の近い子供は誰もいませんでした。
弟が一人いたのですが、まだ小さくかったので一緒に遊ぶという感じではありませんでした。
父も母も祖父も、弟が生まれてから、以前ほど私をかまってくれなくなって、少し寂しかったのだと思います。
とにかく、その頃の私は一人遊びで日々を送っていました。
私の家は古い田舎造りの家で、小さな部屋がたくさんありました。
南西の隅には納戸があり、古い道具や小物が納められていました。
その納戸に入り込んでは、仕舞ってある品々をオモチャ代わりにして遊ぶのが、当時の私の楽しみでした。
その鏡を見つけたのが何時のことだったのかは、ハッキリしません。
もともと手鏡だったようなのですが、私が見つけたときは、枠も柄も無いむき出しの丸い鏡でした。
かなり古そうなものでしたが、サビや曇りが殆ど無く、奇麗に映りました。
そして、これもいつ頃だったのか良く憶えていないのですが、ある時、その鏡を覗くと私の背後に見知らぬ女の子が映っていました。
驚いて振り返りましたが、もちろん、私の後ろに女の子など居ません。
どうやら、その子は、鏡の中だけにいるようです。
不思議に思いましたが、怖くはありませんでした。
色白で髪の長い女の子でした。
その子は鏡に写る私の肩ごしにこっちを見て、ニッコリと笑いました。
「こんにちは。」
やがて私たちは話を交わすようになりました。
私は彼女の事をナナちゃんと呼んでいました。
両親は、納戸に籠り、鏡に向かって何ごとか喋っている私を見て気味悪く思ったようですが、鏡を取り上げるような事はしませんでした。
それに、大人達にはナナちゃんは見えないようでした。
ある日、私はナナちゃんに、
「一緒に遊ぶ友達がいなくて寂しい」
というようなことを話しました。
すると、ナナちゃんは、
「こっちへ来て私と遊べばいい」
と言ってくれました。
しかし私が、
「どうやってそっちに行ったらいいの?」
と聞くと、ナナちゃんは困ったような顔になって
「わからない」
と答えました。
そのうちナナちゃんが
「…聞いてみる」
と小声で言い足しました。
私は誰に聞くのか知りたかったのですが、何となく聞いてはいけないような気がして黙っていました。
6:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/07/10(日)00:21:47.789ID:KUgYdFxo0.netBE:708155702
それから何日か経ったある日、ナナちゃんが嬉しそうに言いました。
「こっちへ来れる方法がわかったの。私と一緒にこっちで遊ぼう。」
私は嬉しくなりましたが、いつも両親に、
「出かける時は祖父か母へ相談しなさい」
と言い聞かされていたので、
「お母さんに聞いてくる」
と答えました。
すると、ナナちゃんは、また少し困った顔になって、
「このことは誰にも話してはいけない。話したら大変なことになる、もう会えなくなるかもしれない。」
というような事を言いました。
私は、
「それはイヤだ」
と思いましたが、言いつけを破るのも怖かったので黙り込んでしまいました。
するとナナちゃんは、
「じゃあ明日はこっちで遊ぼうね?」
と聞いてきました。
私は、
「うん」
と返事をしました。
「約束だよ。」
ナナちゃんは微笑んで小指をこっちに突きだしてきました。
私はその指に合わせるように小指の先で鏡を触りました。
ほんの少しだけ暖かいような気がしました。
その夜はなかなか眠れませんでした。
両親にはナナちゃんのことは話しませんでした。
しかし、寝床に入って暗闇の中でじっとしていると、いろんな疑問が湧いてきました。
鏡の中にどうやって入るのだろう?
そこはどんな所なんだろう?
ナナちゃんはどうしてこっちに来ないんだろう?
こっちへ帰ってこれるのだろうか?
そんな事を考えるうちに、だんだん不安になってきました。
そして、ナナちゃんのことが少し怖くなってきました。
次の日、私はナナちゃんに会いに行きませんでした。
次の日も、その次の日も、私は納戸には近寄りませんでした。
結局、それ以来、私は納戸へ出入りすることを止めたのです。
7:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/07/10(日)00:23:25.136ID:KUgYdFxo0.netBE:708155702
月日が経ち、私は町の高校へ行くために家を出ました。
卒業しても家に戻ることもなく近くの町で働き始め、やがて私は結婚して所帯を持ちました。
その頃になると、ナナちゃんのことはすっかり忘れていました。
結婚後しばらくして、妻が妊娠し、しばらく親元に戻ることになりました。
すると、家事をするのも面倒だし、誰もいない家に一人で居るのも寂しかったので、私は何かと用事を作って頻繁に実家に帰る事が多くなりました。
その日も、実家で夕食を食べ、そのまま泊まることにしました。
夜中に目が覚めてトイレに立ちました。
洗面所で手を洗いながら、何気なく鏡を覗きました。
廊下の途中の仕切が開いていて、その向こうの暗闇にあの納戸がうっすらと見えていました。
その時、おやっと思いました。
トイレに来る時にはその仕切を閉めた覚えがあったのです。
振り返ってみると、やっぱり仕切は閉じています。
しかし、もう一度鏡を見ると、仕切は開いていて、納戸の白い扉が闇に浮かび上がるように見えています。
全身が総毛立ちました。
と、その扉が少し動いたような気がしました。
その瞬間、私はナナちゃんの事を思い出しました。
とっさに「ヤバイッ」と思いましたが、鏡から目を離すことは出来ませんでした。
やっぱり扉は動いています。
もう一度振り返っても廊下の仕切は閉じたままです。
鏡の中では納戸の扉がもう半分以上開いていました。
開いた扉の向こう、納戸の奥の闇に白いモノが浮かんでいました。
これまでにない恐怖を感じながらも、わたしはその白いモノを凝視しました。
それは、懐かしい少女の笑顔でした。
そこで私の記憶は途切れています。
気がつくと、私は布団の中で朝を迎えていました。
気味の悪い夢を見た…
そう思った私は、実家にいるのが何となく嫌になり、その日は休みだったのですが、すぐに自宅に帰る事にしました。
8:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/07/10(日)00:24:39.067ID:KUgYdFxo0.netBE:708155702
私の自宅のマンションには住民用に半地下になった駐車場があります。
日中でも薄暗いそこに車を乗り入れ、自分のスペースに停めた後、最後にバックミラーを見ました。
すると、私のすぐ後ろにナナちゃんの顔がありました。
驚いて後ろを振り返りましたが、後部座席には誰もいません。
バックミラーに目を戻すと、ナナちゃんはまだそこに居ました。
鏡の中からじっとこっちを見ています。
色白で長い髪を両側で結んだナナちゃんは、昔と全く変わっていないように見えました。
恐怖のあまり視線を外すことも出来ず、震えながらその顔を見返していると、やがて、ナナちゃんはニッコリと笑いました。
「こんにちは。」
「どうしてあの時、来てくれなかったの?私ずっと待っていたのに。」
ナナちゃんは相変わらす微笑んだまま、そう言いました。
私が何と言って良いのかわからずに黙っていると、ナナちゃんは言葉を継ぎました。
「ねえ、私と今からこっちで遊ぼう。」
そして、ミラーに映った私の肩越しにこっちに向かって手を伸ばしてきました。
「こっちで遊ぼう…」
「ダメだ!」
私は思わず大声で叫びました。
「ごめん。ナナちゃん。僕は、もうそっちへは行かない。行けないんだ!」
ナナちゃんは手を差し伸べたまま黙っています。
私は、ハンドルを力一杯掴んで震えながら、さっきよりも小さな声で言いました。
「僕には妻もいる。子供だって、もうすぐ生まれる。だから…」
そこで私は俯いて絶句してしまいました。
しばらくそのままの姿勢で震えていましたが、やがて、私は恐る恐るミラーの方を見ました。
ナナちゃんは、まだそこに居ました。
「そう…わかった。○○ちゃんは大人になっちゃったんだね。もう私とは遊べないんだ。」
ナナちゃんは少し寂しそうにそう言いました。
「しょうがないよね…」
ナナちゃんは、そこでニッコリと笑いました。
本当に無邪気な笑顔でした。
私はその時、ナナちゃんが許してくれた、と思いました。
「ナナちゃん…」
「だったら私はその子と遊ぶ。」
私がその言葉を理解出来ぬうちに、ナナちゃんは居なくなってしまいました。
それっきり、ナナちゃんは二度と私の前に現れることはありませんでした。
2日後、妻が流産しました。
以来、今に至るまで、私達は子供をつくっていません。
現在、私はナナちゃんの事を弟に話すべきなのか、本当に迷っています。
11:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]2016/07/10(日)00:28:18.860ID:tLLdE2oS0.net
私っていうからずっと女の人だと思ってたら男のひとなんだね
ナナちゃんは鏡から出れないのかと思てたけどそうでもないみただねぇ
だから子供連れていけたんだねぇ
最後なんで弟に話すべきか迷ってんの?
12:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/07/10(日)00:33:32.551ID:KUgYdFxo0.netBE:708155702
>>11
|A-) なんで弟なんだろうね
それは俺もよくわからない…w
18:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/07/10(日)00:47:09.038ID:KUgYdFxo0.netBE:708155702
北大阪のM市に住む大塚さんの話である。
大塚さんは、四、五歳くらいになるまでよく、母親に連れられて今は人手に渡ってしまっている“おばあちゃんのお家”に行っていた。
その“おばあちゃんのお家”に関する記憶で、大塚さんに強く残っているのはどういうわけか次のようなものである。
“おばあちゃんのお家”には、土蔵があった。
ほの白い、ぶあつい壁のそれは立派な土蔵で、母屋からはずいぶん離れていた。
大塚さんもよくその土蔵のそばで遊んだりしたのだが、どういうわけかおばあさんは大塚さんがそうすることを喜ばなかった。
というよりも、遊んでいるところを見つかると、いつも大目玉を食っていたのである。
「**ちゃん、遊ぶなら前栽か、おうちの中でお遊び。いいかい。ここで遊んじゃだめだよ」
そういった意味のお小言を、何度も言われた大塚さんである。
それにしても、蔵の中ならばともかく、蔵のまわりさえ近づいてはいけないとはどういうことなのか?
危ない、近づいてはいけないというなら、井戸のまわりの方が先にくるのではないだろうか?
ともかく、子供というものはダメといわれるとよけいにそれをやりたくなるものだ。
蔵の入り口にはいつも頑丈な鍵がかかっていたが、一度だけどうしたものか、その入り口が細く開いていたことがあった。
もちろん、大塚さんがそれを見逃すはずはなかった。
(探検だ!)
小さな窓からなんとか光が入ってくるだけの蔵の中は、湿気ていて、ホコリっぽく、独特の臭いがした。
想像とは違って、ほとんど何もない。がらんとしている。
ただ、二階へと通じる急な階段が、入り口からすぐはじまっていたのが大塚さんの興味を誘った。
ぎいっ。
みしっ。
ぎぎい~っ。
みし~っ。
歩く度に板が軋んで、いかにもあぶなげだった。
(なあ~んだ)
二階も一階とそれほど変わらない。
やっぱりほとんど物は見当たらなかった。
大塚さんは、少しがっかりした。
歩く度にホコリが舞い上がって、かすかに差し込む陽光がいくつもの光のカーテンをつくっていた。
目を引くものといえば、それくらいのものだった。
もっとホコリを舞い上げようとして、汚れるのもかまわずにバタバタ走りまわっていた大塚さんが、何かにぶつかったのはその時だった。
(あっ!)
大塚さんは、はねとばされて、その場にしりもちをついた。
それからきょとんとした顔になった。
なぜなら、自分が何にぶつかったのか、ぜんぜんわからなかったからだ。
何しろ、物らしい物がないところなのだから。
そこには、ホコリが静かに漂っているだけだ。
なんにもない。なんにも……。
21:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/07/10(日)00:48:50.458ID:KUgYdFxo0.netBE:708155702
ミシリ。
しんとした中で、何かが軋む音がした。
大塚さんの背後だ。
階段からだ。
誰かが階段の板を踏んでいる……?
(おばあちゃん?)
大塚さんは、反射的にそう思った。
たった今ぶつかったものも気になったけれど、土蔵に入り込んでいるところを見つけられて、叱られるということの方がもっと気になった。
で、なかば首をすくめながらそちらに振り返った。
顔が、そこにあった。
大塚さんの知らないおばさんが(たぶん女だったというのだが)階段の中ほどに立っているらしく、二階の床すれすれに大塚さんをじっと見つめていた。
顔は、唇あたりから上しか見えない。
このあたりが、ひどくあいまいだが、髪の形も顔の特徴も、ほとんど大塚さんはおぼえていない。
ただ、その目というのが、いっぱいに見開かれているにもかかわらず、黒目の部分がほとんどまぶたに隠れてしまっていた。
まったく死んだ魚のようだった。
顔は、すぐにすっと下にひっこんだ。
それっきり二階に上がってもこないし、外に出ていく音もしない。
いきなり、大塚さんは泣きだしていた。
べつだんどこか痛いわけでも、今の知らないおばさんに何をされたわけでもないのに、とにかく大声で泣いていた。
その声を聞きつけて、母親たちが駆けつけてきたのは間もなくだった。
予想に反して、大塚さんはあまり怒られなかった。
ただ、土蔵の中でこういうことがあったというと、母親たちは急に黙ってしまった。
23:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/07/10(日)00:49:54.684ID:KUgYdFxo0.netBE:708155702
その夜、大塚さんが座敷で寝ていると、襖の向こうから母親とおばあさんが話をする、小さな声が聞こえてきた。
「また、開いていたよ。……錠前が落ちていてね。いったい、どうなっているのかねえ」
「そうはいっても、アレだけ取り壊していいものかどうか。アレのことは、あの人にも言われていたんだけど」
「出入りの**さんが見たときには、白けたニヤニヤ顔のが、薄暗がりの中に、ぎっしり立っていたというじゃあないか」
「話し声も、だんだんひどくなってくるし」
「私もこの頃じゃあ、すっかり気が弱くなったよ。…母屋のほうにまで入ってきたらどうしようかと思って、夜は廊下を一人で歩けやしないよ。このあいだも、もの凄い気配だったんだよ。悲鳴をあげたんだよ」
と、おばあさんが訴えていたのが、妙になまなましく思い出せるというのである。
大塚さんが成人する前に、“おばあちゃんのお家”はなくなってしまった。
例の土蔵もそのとき、取り壊されてしまった。
今となっては、大塚さんの体験が何であったのか、あの土蔵には何かわけがあったのか、親戚も含めて知っている人間は誰もいないようだ。
現在では、“おばあちゃんのお家”があった土地には、どこか誰かの家が建っている。
しゃれた、洋風住宅だ。
外から見たかぎりでは、ごくふつうの家のように見えるのだが、昔、土蔵があった場所までふつうかどうかはなんとも言えない。
47:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/07/10(日)01:23:36.934ID:KUgYdFxo0.netBE:708155702
最近体験したことです。誰にも言わないつもりだったけどなんか気持ちがモヤモヤしまくりなのでここに書きます。
昨年末くらいからなんだけど、ときどき急に目眩とか吐き気がするようになりました。
最初は風邪かと思ったんだけど普通に元気にしてるのに突然気分が悪くなって、しばらくしたら治ることの繰り返しで普通の体調の悪さとは違うのです。
病院に行っても原因が分からず、ストレスでしょうとか言われ薬をもらって飲んだけど全然治りませんでした。
そんなことが1カ月以上続いていたのですが…
つい先日のことです。用事があって近所の家に行ったのですが、たまたま先客がいらしたので、玄関先でその方に方に軽く会釈しました。
するとその方、品の良い50代くらいの奥さんでしたが、いきなり顔色が変わったのです。
その奥さんは、
「いきなりこんなことを聞いてごめんなさいね、もしかしてあなたが着ていらっしゃるそのセーターは手編みで最近プレゼントされたものじゃありません?」
とおっしゃいました。
いきなりのことで私は引きまくりでしたが、確かにそれは、中学からの長い付き合いの友人がクリスマス前に贈ってくれたセーターでした。
友人は編み物がプロ級の腕前で、家族や友人にセーターとか小物を編んで送るのを趣味みたいにしてるのです。
私がそう言うと、そのご婦人は
「そのお友達って、こういう感じの方でしょ」
と、容姿を詳しく描写されたのですが、それがもうビンゴ、本人を知っているのではないかと疑うくらいピッタリ。
その方、いわゆる霊感のある方なのだそうで、へ~世の中には本当にそういう能力の持ち主がいるんだな~と私は単純に感心していたのですが、
そのあとこの方が言った言葉に激しいショックを受けてしまいました。
49:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/07/10(日)01:24:05.518ID:KUgYdFxo0.netBE:708155702
「普段は私、霊感に関することは親しい人以外には言わないようにしてるんです。だっておかしな人だと思われますでしょ?
でも、あなたのことはどうしても見て見ぬ振りできなくて。こんなことを言って気を悪くされるでしょうけれど私にはそのセーターの編み目の一つ一つから
『死ね』『不幸になれ』
という言葉が吐き出されているのが聞こえるんです…」
そう言われたのです。当然私は怒りました。
だってその友達とは長年仲良く付き合ってきたし、だいたい彼女はそんなことを言うような人ではないんです。
でもよくよく思い返してみると、体調の悪くなるのは必ずそのセーターか、その少し前にもらったマフラーを身に付けていたときでした。
そして、一応すすめに従ってセーターとマフラーを処分したら体調も良くなってしまいました。
あの奥さんの言葉をそのまま鵜呑みにすることはできないにしても、もし本当だったとしたら…
親友と思っていた人が、一目一目恨みを込めながらセーターを編んでいたってことでしょうか?
恨まれる心当たりは全くないのですが。
その方の言葉によると
「お友達ご自身も自分の気持ちには全く気付いてないのかもしれませんよ。手作りの物には心の奥底にある思いが乗り移ることがありますから」
だそうです。
66:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/07/10(日)01:41:53.427ID:KUgYdFxo0.netBE:708155702
先月のことです。Aと俺は山へ測量に入りました。
山の測量に行く時は、最低3人で行くようにしていたんですけど、行くハズだった奴がインフルエンザで倒れて、
他に手の空いてる人も居なかったんで、しょうがなく2人で行くことになったわけです。
でもやっぱり不安だったんで、境界を案内してくれる地元のおっさんについでに測量も手伝ってくれるように頼みました。
おっさんは賃金くれればOKという事で、俺たちは3人で山に入りました。
前日からの雪で山は真っ白でした。
でも、ポールがよく見えるので、測量は意外にサクサク進みました。
午前中一杯かかって尾根の所まで測ったところで、おっさんの携帯が鳴りました。
おっさんはしばらく話をしていましたが、通話を終えると、急に用事ができたので下りると言い出したのです。
おいおいって思ったんですけど、あとは小径に沿って土地の境界やから、そこを測っていけばイイからって言われて、
小径沿いだったら大丈夫かもな、まぁしゃーないかみたいなムードで、結局Aと俺の二人で続きをやることになりました。
ところがおっさんと別れてすぐ、急に空が曇ってきて天候が怪しくなってきました。
このまま雪になるとヤバイよな、なんて言いながら、Aと俺は早く済まそうと思ってペースを上げました。
ところで、俺らの会社では山の測量するのにポケットコンパスって呼ばれている器具を使っています。
方位磁石の上に小さな望遠鏡が付いていて、それを向けた方向の方位や高低角が判るようになっています。
軽くて丈夫で扱いが簡単なので、山の測量にはもってこいなんです。
俺はコンパスを水平に据え、ポールを持って立っているAの方に望遠鏡を向けて覗きました。
雪に覆われた地面と枝葉に雪をかかえた木立が見えますが、ポールもAの姿も見えません。
少し望遠鏡を動かすと、ロン毛の頭が見えたので、次に、ポールを探して目盛りを読むためにピントを合わせました。
(あれ?)
ピントが合うと、俺はおかしなことに気付きました。
俺たちはヘルメットを被って測量をしていたのですが、Aはなぜかメットを脱いでいて、後ろを向いています。
それにAの髪の毛は茶髪だったはずなのに、今見えているのは真っ黒な髪です。
(おかしいな)
望遠鏡から目を上げると、Aがメットを被り、こっちを向いて立っているのが見えました。
が、そのすぐ後ろの木立の隙間に人の姿が見えます。
もう一度望遠鏡を覗いて少し動かしてみました。
女がいました。
立木に寄りかかるように後ろ向きで立っています。
白っぽい服を着ていて、黒い髪が肩を覆っていました。
(こんな雪山に…なんで女?)
俺はゾッとして望遠鏡から目を離しました。
「おーい!」
Aが俺の方に声を掛けてきました。
すると、それが合図だったかのように、女は斜面を下って木立の中に消えてしまいました。
「なにやってんスかー。はよして下さいよー。」
Aのその声で、俺はわれに返りました。
68:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/07/10(日)01:44:35.544ID:KUgYdFxo0.netBE:708155702
コンパスを読んで野帳に記入した後、俺は小走りでAのそばに行って尋ねました。
「今、お前の後ろに女立っとったぞ、気ぃついてたか?」
「またそんなこと言うて、止めてくださいよー。」
笑いながら、そんなことを言っていたAも、俺が真剣だとわかると
「…マジっすか?イヤ、全然わかりませんでしたわ。」
と、表情が強ばりました。
Aと俺は、あらためて木立の方を探りましたが、木と雪が見えるばかりで女の姿はありません。
「登山してるヤツとちゃうんですか?」
「いや、そんな風には見えんかった…」
そこで俺は気付きました。
あの女は、この雪山で一人で荷物も持たず、おまけに半袖の服を着ていたんです。
「それ、ほんまにヤバイじゃないっスか。気狂い女とか…」
Aはかなり怯えてました。
俺もビビってしまい、居ても立ってもいられない心持ちでした。
そんなことをしているうちに、周囲はだんだん暗くなって、とうとう雪が降ってきました。
「はよ終わらして山下ろ。こらヤバイわ。」
俺たちは慌てて測量作業を再開しました。
天候はドンドン悪化して、吹雪のようになってきました。
ポールを持って立っているAの姿も見にくいし、アッという間に降り積もる雪で、小径もわかりづらくなってきました。
携帯も圏外になっていました。
俺は焦ってきて、一刻も早く山を下りたい一心でコンパスを据え付けました。
レベルもろくに取らずに、Aの方に望遠鏡を向けようとしてそっちを見ました。
すると、さっきの女がAのすぐ後ろに立っていました。
今度は前を向いているようですが、吹雪のせいで良く見えません。
Aは気付いていないのかじっと立っていました。
「おーい!」
俺が声をかけてもAは動こうとしません。
すると、女のほうが動くのが見えました。
慌てて望遠鏡をそっちに向けてビビリながら覗くと、女は目を閉じてAの後ろ髪を掴み、後ろから耳元に口を寄せていました。
何事か囁いているような感じです。
Aは逃げようともしないで、じっと俯いていました。
女は、そんなAに囁き続けています。
70:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/07/10(日)01:45:14.962ID:KUgYdFxo0.netBE:708155702
俺は恐ろしくなって、ガクガク震えながらその場に立ち尽くしていました。
やがて、女はAの側を離れ、雪の斜面を下り始めました。
すると、Aもその後を追うように立木の中へ入って行きます。
「おーい!A!何してるんや!戻れー!はよ戻ってこい!」
しかし、Aはそんな俺の声を無視して、吹雪の中、女の後を追いかけて行きました。
俺は、測量の道具を放り出して後を追いました。
Aはヨロヨロと木立の中を進んでいます。
「ヤバイって!マジで遭難するぞ!」
このままでは、自分もヤバイ。
本気でそう思いました。
逃げ出したいっていう気持ちが爆発しそうでした。
周囲は吹雪で真っ白です。
それでも、何とかAに近づきました。
「A!A!しっかりせえ!死んでまうぞ!」
すると、Aがこっちを振り向きました。
Aは虚ろな目で、あらぬ方向を見ていました。
そして、全く意味のわからない言葉で叫びました。
「*******!***!」
口が見たこともないくらい思いっきり開いていました。
ホンキで下あごが胸に付くくらい。
舌が垂れ下がり、口の端が裂けて血が出ていました。
あれは、完全にアゴが外れていたと思います。
そんな格好で、今度は俺の方に向かってきました。
「…****!***!」
それが限界でした。
俺は、Aも測量の道具も、何もかも放り出して、無我夢中で山を下りました。
車の所まで戻ると、携帯の電波が届く所まで走って、会社と警察に電話しました。
72:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/07/10(日)01:45:52.228ID:KUgYdFxo0.netBE:708155702
やがて、捜索隊が山に入り、俺は事情聴取されました。
最初は、あの女のことを、どう説明したらよいのか悩みましたが、結局見たままのことを話しました。
警察は淡々と調書を取っていました。
ただ、Aに女が何かを囁いていた、というところは繰り返し質問されました。
翌々日、遺体が一つ見つかりました。
白い夏服に黒髪。
俺が見た、あの女の特徴に一致していました。
俺は警察に呼ばれて、あの時の状況についてまた説明させられました。
その時に、警察の人から、その遺体についていろいろと聞かされました。
女の身元はすぐにわかったそうです。
去年の夏に、何十キロも離れた町で行方不明になっていた女の人でした。
ただ、なぜあんな山の中に居たのかはわからない、と言うことでした。
俺は、あの時のことはもう忘れたい、と思っていたので
そんなことはどうでもエエ、と思って聞いていました。
けれど、一つ気になることがありました。
女の遺体を調べたところ、両眼に酷い損傷があったそうです。
俺は、Aのヤツそんなことをしたのか、と思いましたが、どうも違ったみたいで、その傷は随分古いものだったようです。
「目はぜんぜん見えんかったはずや。」
警察の人はそう言いました。
結局、Aの行方は、今でもわかっていません。
残された家族のことを考えると、Aには生きていて欲しい、とは思いますが、あの時のことを思い出すと、正直なところ、もう俺はAに会いたくありません。
ただ、何となく嫌な予感がするので、先週、髪を切って坊主にしました。
86:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/07/10(日)02:18:06.322ID:KUgYdFxo0.netBE:708155702
僕がまだ六歳ぐらいのときの話。
それまで市街地に住んでたんだけど、小学校へあがる春に緑の多い郊外に引っ越したんだ。
近所には田圃や畑があって、兼業農家をやってる地元の人が多い。
そんなのどかな環境の町はずれにある新興住宅に、僕ら家族は移ってきた。
慣れないこともあったけど、僕は小学校へあがってすぐに友達ができて、二ヶ月もたった頃には、もうすっかりその町に馴染んだつもりになってた。
ある日曜日、昼ご飯を食べてから友達三人と学校の近くにある田圃のあぜ道で、遊びがてら、おたまじゃくしをとっていた。
ビンに入れて家に持って帰って、カエルになるのを見たかったからだ。
用水路のなかに手を突っ込んでたら、いきなり小便がしたくなってきた。
僕は何匹かつかまえていたし、もう帰ってもよかったんだけど、友達は、もっとつかまえるつもりでいた。
時刻は五時半ぐらいだったと思う。
そろそろ日が暮れどきで、空はうっすらと陰り始めていた。
僕は友達を置いて、ちょっと小便しにいってくると駆けだした。
家まで帰る気はなくて、そこらで適当なところを探してた。
ちょっと離れたところに、まだ行ったことのない古いお寺があって、歩いていた道からそこに飛び込むと、トイレを探すのが面倒だったから、寺の横手のほうにある低い木の茂みですませた。
はやく友達のところへ帰りたかったけれど、なにを間違えたのか、僕は道とは反対の、寺の裏側へ歩いていってしまった。
間違ったとわかって引き返そうとしたとき、小さくカチャカチャと音がした。
何だろうと思って振り返ったら、暗い寺のなかからボンヤリと黄色い光が漏れてる。
そっちに行くと、雨戸と障子が開け放してあって、ふと見れば、薄暗い60W電球を吊った下で、四人家族がご飯を食べてた。
住職らしい丸禿の男と、痩せた奥さんと、まだ小さい子供が二人、ちゃぶ台のまわりに正座して、それぞれに茶碗を持ってる。
カチャカチャっていうのは、お箸が茶碗に当たる音だった。
その光景に、僕はなんとなく寒々しい違和感を覚えた。
誰も何も言わずに、黙々と食べながら、裏庭に立っている僕のほうをジッと見ているんだけど、誰もが無表情で、何も話さないんだ。
静まり返った食卓に、ただカチャカチャとお箸の音がするだけ。
僕も何も言わず、その場から立ち去ろうとした。
そしたら、奥さんが小さな声で、
「あんた、どこの子?これ食べていく?」
と。
87:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/07/10(日)02:19:17.317ID:KUgYdFxo0.netBE:708155702
振り向いたら、奥さんのそばにあった「おひつ」から、ご飯を茶碗によそってくれてる。
「はい、お食べよ」
って、茶碗を出してくれたその白い腕が、こちらへ、異様に長くニュルッと伸びてきたように感じた。
そして、そのご飯を見たとき、僕はビックリどころか、心臓がとまりそうになった。
ご飯に色がついていて、赤飯かと一瞬思ったけど、
あきらかにそれは血だったんだ!
ご飯粒が血で真っ赤になっていたんだ!
はっと顔をあげたら、もくもくと無表情で食べている四人家族の口も血だらけになっていて、胸などにも口からぽろぽろこぼれたご飯粒が点々と赤くくっついている!
それでも、住職も二人の子供たちも、一様にカチャカチャ箸を動かして血まみれのご飯を口にかき込んでいて…
急に生臭い匂いが漂ってきて吐きそうになった。
奥さんの差し出している茶碗に背を向けると、走り出した。
あまりの怖さに膝ががくがくしていたけど、なんとかかんとか友達のところまで戻れた。
それで、寺で見たことを泣きながら話したら、ずっと地元に住んでる友達が、真っ青になって震えながら言ったんだ。
「あの寺、今は誰も住んでないよ。だって、みんな死んだから」
聞けば、前の住職は何かの事情でノイローゼのようになって、家族が寝ているときに包丁を持ち出して無理心中をはかり、
奥さんと子供たちを刺し殺したあとは、自分も首の動脈を切って自殺したということだった。二年前に…
僕らは怖くなってそれぞれ走って家に帰った。
寺で見たことを親に話したけれど、あまり真剣にとりあってくれなかった。
その夜から二日続けて高熱がでて、きっと体調が悪かったからそんな幻を見たんだろう、ということにされてしまった。
今でも、その寺はある。すっかり寂れて荒れ果てているが。
住職一家の供養はされているはずだということだが、あの寺の裏手に行けば、今もぼんやりと黄色い光が見えるような気がして大学の休みに帰省しても、僕は絶対にあそこには近寄らないようにしている。
93:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/07/10(日)02:27:31.710ID:KUgYdFxo0.netBE:708155702
小学校のころ、俺のクラスにユキオ(どんな漢字かは忘れた)っていう奴が転校してきた。
小柄でハーフっぽい顔で、どことなくオドオドした感じの奴だった。
ユキオには両親がいなくて、爺ちゃん婆ちゃんと一緒に暮らしていた。
その辺の事情を、先生は教えてくれなかったが、ユキオ本人から聞いた。
俺たちは、最初のうち、ユキオをイジメた。
と言っても、金脅し取ったりとかじゃなくて、すれ違いざま背中にエルボーしたり、筆箱をカッターで切ったり、集会の時にオナラをしたと騒ぎ立ててみたり、まぁ他愛もないものだったと思う。
それでも、本人には辛かったかもしれんけど。
だけど、ユキオは普段オドオドしてるくせに、そんな時は妙に根性を見せて、泣いたりムキになったりすることが無かった。
先生に告げ口もしなかった。
だから、あまり面白くなくて、そのうち俺らもイジメたりしなくなった。
ただ、ユキオは良く学校を休んだ。
月にどれくらい休んだのかは忘れたけど、しょっちゅう休んでたっていう印象は残ってる。
その頃、うちの学校では、給食のパンを休んだ奴のところへ、同じクラスで近所の奴が届けるっていうルールがあった。
ユキオの家にパンを届けるのは俺の役目だった。
家はけっこう離れていたけど、同級では一番近かったし、良く通る帰り道の途中だったし。
ユキオの家は木造の文化住宅で、いかにも爺ちゃん婆ちゃんが住んでそうな家だった。
中に入ったことは無かった。何となく暗い感じで、俺的に嫌な雰囲気の家だった。
パンを届ける時は、いつも婆ちゃんにパンを渡してそそくさと帰った。
ある日、またユキオが休んだので、俺はパンを届けに行った。
玄関で呼ぶと、珍しくユキオ本人が出てきた。風邪でもひいているのか、顔色が悪い。
ユキオは俺に、家の中に入るように誘った。
「××××があるから、やろうよ。」
とか言って。
そのオモチャは俺の欲しかったヤツだったんで、嫌な感じを振り払って、家の中に入った。
ユキオの部屋に入って、ちょっと驚いた。
そこら中にシールやステッカーがベタベタと貼ってあって、その中には神社のお札みたいなのも混ざっていた。
俺らが入ってきた襖にも隙間がないくらい貼ってある。
「…なんだ、これ。」
「おじいちゃんとおばあちゃんがお札を貼るんだけど、それだけだと何となく怖いからシールも貼るんだ。」
ユキオが自分で書いたようなお札もあった。
「お札破ったらいいじゃん。」
「そんなことしたら、おじいちゃんに怒られるし…」
ユキオは口籠もってしまった。
その日は、ユキオの部屋で1時間ぐらい遊んで帰った。
95:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/07/10(日)02:28:57.070ID:KUgYdFxo0.netBE:708155702
次の日も、ユキオは学校を休んだ。
先生が俺にユキオの様子を聞いてきた。
なんか調子悪そうだった、と言うと
「そうか…休むっていう電話も掛かってこないから、どんな様子なのかと思ってな。」
「電話したら?」
「いや、したんだけど誰も出ないんだ。おじいさんかおばあさんは、居たか?」
「昨日は見なかった。」
「うーん、休むんだったら電話してくれって、ユキオにでもいいから言っといてくれ。」
その日もユキオの部屋で遊んだ。
ユキオはオモチャを沢山持っていた。
少しうらやましくなって聞くと、お父さんとお母さんが買ってくれた、と答えた。
「お前のお父さんとお母さんってドコにいるんだよ?」
「死んだ。」
ユキオはあっさりとそう言った。
「なんで?」
「交通事故。」
オモチャをいじりながら俯いて答えるユキオを見て、さすがに、これ以上は悪い気がして、話を変えた。
「明日は学校行く?」
「わかんない。」
「お前、大丈夫かよ。」
「…」
「休む時は電話しろって先生言ってたぞ。」
「…ゴメン。」
「俺に言ってもしょーがないよ。おじいちゃんとおばあちゃんは?」
「奥の部屋にいるよ。」
「じゃあ、そう言っとけよな。」
「…眠れないんだ。」
「はぁ?」
「お父さんとお母さんが夢に出てきて、僕のことを呼ぶんだ。」
「…」
「ユキオ、ユキオって僕のことを何度も呼ぶんだ。それが怖くて、だから眠れないんだ。」
「…」
「昨日は、腕をつかまれた、僕を連れて行くつもりなんだ。」
俺はだんだん怖くなってきて、もう帰る、と言うと、ユキオはやけにしつこく引き留めた。
「お前が怖いのはわかるけど、俺がここに泊まるわけにいかねーだろ?」
「なんで?」
「俺ん家はお母さんが心配するから…」
そこまで言って、
「ヤバ!」
って思った。
ユキオは俯いて何も言わなくなってしまった。
俺は、居たたまれなくなって、ユキオの家を半ば飛び出すように出ていった。
96:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/07/10(日)02:30:42.858ID:KUgYdFxo0.netBE:708155702
次の日もユキオは学校を休んだ。
先生は、一緒に行くと言って、帰りに俺を車に乗せてユキオの家に向かった。
先生が玄関で呼んでも、何の返事もなかった。
玄関を開けると先生が顔をしかめた。
靴を脱いで家に上がった。
台所やユキオの部屋には誰もいなかった。
ユキオの部屋を出ると右手に部屋があった。
ユキオが昨日言っていた奥の部屋というのはそこなんだろう、と俺は思った。
先生がそこの襖を開けた。
そのとたん、先生は立ちすくんで、すぐに襖を閉めた。
その一瞬の間に、先生の体ごしに部屋の中が見えた。
ユキオの血塗れの顔が見えた。
それから、先生が警察を呼んだんだと思う。
その日の、そこから先のことはほとんど憶えていないけれど、警察は来ていた。
次の日、先生がユキオと爺ちゃんと婆ちゃんが死んだことをクラスの皆に伝えた。
けれど血塗れだったとは言わなかった。
ただ、死んだと言った。
あとで、俺は先生にユキオの夢の話をした。
先生はしばらく黙って聞いていた。
そして、誰にも言うな、と言って、俺にユキオの両親のことを教えてくれた。
ユキオの親の死因は自殺だった。
一家心中を図っていた。
ユキオはその時、運良く生き延びて、爺ちゃん婆ちゃんのところへ引き取られた。
俺はそれを聞いても、そんなに驚かなかった。
なんとなく、そんな気がしていた。
何日かして、俺は警察に呼ばれて、ユキオの家へ行った時のことを話した。
ユキオの夢のことも話した。
警官は、俺に、その話がウソでないかをしつこく聞いた。
俺はウソじゃないと何度も言った。
「本当に、君はあの家で、ユキオ君からその話を聞いたのかい?」
「うん。」
一緒に来ていた先生が困った顔をしていた。
警官が先生に向かって、ヒョイヒョイと手を振った。
それが合図だったのか、先生はしばらく考えてから俺に言った。
「あのなぁ、俺とお前がユキオの家に行っただろ。あの時…」
先生は言いにくそうだった。
俺は嫌な予感がした。
「…あの時、ユキオ達は、間違いなく、死んで3日は経っていたんだ。」
100:毒男◆B.DOLL/gBI[]2016/07/10(日)02:35:21.917ID:KUgYdFxo0.netBE:708155702
|A-) というわけで怖い話と音楽終わりー
102:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします[]2016/07/10(日)02:36:50.433ID:WktbI6q3a.net
おつかれさま
120:過去ログ★[]
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引用元:毒男の怖い話とか音楽とか雑談とか
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1468076953/
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