都市伝説・・・奇憚・・・blog
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見えてるくせに(萌ver.#2)
2010.01.07 (Thu) | Category : 都市伝説・改変萌ver.
雨の日に、十字路になっている交差点で信号待ち。
道の向こうに全身がもやもやした影みたいのに包まれた女の子が立っていた。
異様な気配を感じてその子をじっと見ていたらすーっとその子が寄ってきて、すれ違いざまに
「よく気付いたね」
と小さな声で言って通り過ぎていった。
聞こえるかどうか分からないけど、伝えなきゃ、と思ってこう言った。
「そりゃ気付くよ」
その瞬間、だだだだっ、と背後から足音が響いてきた。
やがて足音の主は俺の前に回りこんで急ブレーキ。水しぶきがあがる。
「な、なんて言ったの今っ!!」
「いや……だから、そりゃ気付くよって」
「どうして!」
「君の名前も知らないけど……いつも通学時間、ここですれ違ってたよね?」
「う、うん……学校違ったから」
「君とすれ違わなくなってから、この近くで女の子が交通事故にあった、って聞いて……もしかしたらと思ったんだ」
結局、その子の名前もわからないままだった。
それから今日まで一ヶ月近くの間、彼女の姿を見ることはなかった。
「…………ふ、ふん。ボク霊感あるんだよスゴイっしょー、って? ばっかじゃないの?」
「うん、馬鹿かもしれない」
「なによそれ。何が言いたいの?」
「生きてるうちに告白できなかったなんて、大馬鹿だなってこと」
「………っ! そ、それって……その……」
真っ赤な顔でこちらを凝視する彼女。雨の中でも彼女の制服は濡れていない。
ああ、やっぱりこの子は亡くなってるんだな、と思って少し胸が苦しくなる。
「君のことが好きです。名前も知らないけど、好きでした」
「あ……ぁ……う…………え、っと………」
もじもじと手を動かしながら俯き加減でしどろもどろ。
可愛らしい仕草をじっと見つめる。雨はまだ止まない。
「過去形になっちゃうのが悲しいけど……本当の気持ちだよ。もっと早く言えば良かった」
「……過去形じゃ………ぃゃ…」
「え?」
「……だから! 勝手に過去形にしないでって言ってるの!」
「だって……」
彼女は亡くなってる。どうすることもできない。
「も、もうちょっとだから、その………待ってなさい!命令だからね!いい!?」
「待つって……何を?」
「い・い・か・ら・黙・っ・て・待・つ・の」
「ワカリマシタ」
幽霊に胸倉掴まれて意味不明な脅迫をされたのは俺くらいだろうなあ、と他人事のように考える。
「待て」ってなんだろう。取り憑かれて連れて行かれちゃうんだろうか。
「約束だからね……破ったらマジ祟るから。貞子なんて目じゃないんだから」
「う、うん、待てばいいんだね? よく分かんないけど、とにかく待つよ」
「ん。……じゃ、じゃあ、ばいばい!」
「あっ………」
くるっと踵を反して駆け出す彼女。
雨にけぶって見えなくなっていく細い背中を呆然と見送る。
ああ――また名前を聞きそびれた。
―訊いた? 201号の患者さんの話
―意識戻ったらしいねー……このまま植物状態かもって言われてたのに
―あんな若い娘がそれじゃあんまりだもんね、ともかく良かったわ
―でもなんで突然……先生だって匙投げてたのに
―ねえ?
道の向こうに全身がもやもやした影みたいのに包まれた女の子が立っていた。
異様な気配を感じてその子をじっと見ていたらすーっとその子が寄ってきて、すれ違いざまに
「よく気付いたね」
と小さな声で言って通り過ぎていった。
聞こえるかどうか分からないけど、伝えなきゃ、と思ってこう言った。
「そりゃ気付くよ」
その瞬間、だだだだっ、と背後から足音が響いてきた。
やがて足音の主は俺の前に回りこんで急ブレーキ。水しぶきがあがる。
「な、なんて言ったの今っ!!」
「いや……だから、そりゃ気付くよって」
「どうして!」
「君の名前も知らないけど……いつも通学時間、ここですれ違ってたよね?」
「う、うん……学校違ったから」
「君とすれ違わなくなってから、この近くで女の子が交通事故にあった、って聞いて……もしかしたらと思ったんだ」
結局、その子の名前もわからないままだった。
それから今日まで一ヶ月近くの間、彼女の姿を見ることはなかった。
「…………ふ、ふん。ボク霊感あるんだよスゴイっしょー、って? ばっかじゃないの?」
「うん、馬鹿かもしれない」
「なによそれ。何が言いたいの?」
「生きてるうちに告白できなかったなんて、大馬鹿だなってこと」
「………っ! そ、それって……その……」
真っ赤な顔でこちらを凝視する彼女。雨の中でも彼女の制服は濡れていない。
ああ、やっぱりこの子は亡くなってるんだな、と思って少し胸が苦しくなる。
「君のことが好きです。名前も知らないけど、好きでした」
「あ……ぁ……う…………え、っと………」
もじもじと手を動かしながら俯き加減でしどろもどろ。
可愛らしい仕草をじっと見つめる。雨はまだ止まない。
「過去形になっちゃうのが悲しいけど……本当の気持ちだよ。もっと早く言えば良かった」
「……過去形じゃ………ぃゃ…」
「え?」
「……だから! 勝手に過去形にしないでって言ってるの!」
「だって……」
彼女は亡くなってる。どうすることもできない。
「も、もうちょっとだから、その………待ってなさい!命令だからね!いい!?」
「待つって……何を?」
「い・い・か・ら・黙・っ・て・待・つ・の」
「ワカリマシタ」
幽霊に胸倉掴まれて意味不明な脅迫をされたのは俺くらいだろうなあ、と他人事のように考える。
「待て」ってなんだろう。取り憑かれて連れて行かれちゃうんだろうか。
「約束だからね……破ったらマジ祟るから。貞子なんて目じゃないんだから」
「う、うん、待てばいいんだね? よく分かんないけど、とにかく待つよ」
「ん。……じゃ、じゃあ、ばいばい!」
「あっ………」
くるっと踵を反して駆け出す彼女。
雨にけぶって見えなくなっていく細い背中を呆然と見送る。
ああ――また名前を聞きそびれた。
―訊いた? 201号の患者さんの話
―意識戻ったらしいねー……このまま植物状態かもって言われてたのに
―あんな若い娘がそれじゃあんまりだもんね、ともかく良かったわ
―でもなんで突然……先生だって匙投げてたのに
―ねえ?
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メリーさん(萌ver.2)
2009.12.29 (Tue) | Category : 都市伝説・改変萌ver.
以前紹介した【メリーさん(萌ver)】に続く第2弾。
- - - - - -
「もしもし、私メリーさん。今あなたの家の前にいるの。」
「ごめん。仕事で家に居ないんだ。これ携帯に転送されてるんだよ。」
「え?…え?」
「7時には帰ると思うから、またかけ直してくれる?」
「あ…うん。わかった。」
早めに仕事が終わったので帰ってみたら、ドアにもたれかかって眠ってました。
- - - - - -
「もしもし、私メリーさん。今あなたの家の前にいるの。」
「ごめん。仕事で家に居ないんだ。これ携帯に転送されてるんだよ。」
「え?…え?」
「7時には帰ると思うから、またかけ直してくれる?」
「あ…うん。わかった。」
早めに仕事が終わったので帰ってみたら、ドアにもたれかかって眠ってました。
濡れ女(萌ver.)#4
2009.12.23 (Wed) | Category : 都市伝説・改変萌ver.
【#1】【#2】【#3】はこちら
- - - - - -
あいつは、いつもベッドの枕元に立っている。気になって眠れないんだよな。
「なぁ、お前もこっちに入って来たら?」
急に話しかけられ、あいつはビクッと体を震わす。
「あ・・・な、なんで、私が貴方と一緒に寝なきゃいけないの!?」
「俺が一緒に寝たいだけ。それに、そうやって枕元に立っていられると気になって眠れないんだ。」
俺の本心だ。駆け引きとか、そういったのは性に合わない。こんな性格のお陰で大分損してきた。
あいつは、無言のまま俺に背を向け、しばらくして消えていった。
いつもこうだ。正直な気持ちを伝えると相手に避けられる。
俺は、明日には、またあいつが出てきてくれることを祈り、静かに両目を閉じた。意識が闇に同化していく。
「ちょっと!どっちかに寄りなさいよっ!私が入るところないじゃないの!」
突然の聞き慣れた声で、俺は飛び起きた。
「お前・・・来てくれたのか。」
「い、一緒に寝た方が湿気が強くなると思ったから・・・しょうがなく一緒に寝るんだからね!私が一緒に寝たいわけじゃないの!分かった!?」
そう言いながらあいつは俺の横に入ってくる。
背をこちらに向けたままだが、あいつの息づかいが聞こえてくるほど俺たちは近付いてた。
俺は何も言わずに、あいつを後ろから抱きしめた。あいつは、一瞬ビクッと肩を振るわせたが何も抵抗をせず、俺に抱かれる。
暖かかった。
何百年もこの世に残る、人間ではない存在のあいつ。それでも・・・あいつは暖かい。
「まだダメだよ。」
ポツリとあいつが呟いた。
「分かってる。しばらく・・・このままで居させてくれ。」
「うん。」
俺の声は―――あいつの声も―――震えていた。
「なぁ、一つだけ聞いて良いか?」
あいつから返事は無い。俺は構わず続ける。
「お前、生きていた頃の記憶あるんだよな・・・。まだ旦那のこと、好きなのか?」
あいつは、力任せに俺の腕を振り払い、俺の方へ体を向ける。
「な、何言ってんのよっ!そんなこと、貴方に・・・か、関係無いでしょ!!」
いつもの照れ隠しの言葉とは違う―――触れられたくない物に触れられたからか、本気の言葉に聞こえた。
俺の口から勝手に次の言葉が出ていた。
「関係あるさ!お前に惚れちまったんだから!」
言葉にして・・・あいつにぶつけて、やっと本当の・・・自分の気持ちが分かった。
あの記述を知ってから、俺の中に渦巻いていたモヤモヤが消えていく。
「なっ・・・人間と妖怪が幸せになれるわけ無いじゃない!む、無責任なこと言わないでっ!」
確かに、先程までは俺も妖怪と結ばれるなんて無理だと諦めかけていた。
でも・・・一抹の希望は見えた。
「お前を抱いて・・・お前の暖かさを知って・・・お前の中にも人間の部分が沢山あるって分かった。大丈夫。俺に任せろ。俺を信じろ!」
無言のまま・・・
俺はあいつと、あいつは俺と、瞳を合わせたまま時が流れた。
「私、結婚なんてしてないの。」
永遠に続くかと思われた沈黙が破られる。
あいつは、話を続けた。
「彼が居なくなったのは、結婚式の前日。彼は死んだわけじゃないの。私を捨てて、他の女と逃げたのよ。だから―――もう、何も思ってないよ。」
俺は、あいつにかける言葉が見つからない。あいつは、まだ言葉を続ける。
「だから、私は綺麗なままなの。ねぇ・・・信じてるからね!」
俺はやっとの事で声を出す。
「あぁ、俺を信じてく・・・・んっ!?」
何が起きたか理解出来なかった。
唇に柔らかい感触が・・・あいつの顔が俺の目の前にあった。
「し、信じてるからねっ!」
呆然とする俺を尻目にあいつはクルリと背を向ける。
俺は、何が何だかわからないまま・・・朝方まで眠ることが出来なかった。
「いつまで寝てるのよっ!いつも冷めないうちに食べてって言ってるでしょ!」
「ん・・・あ、あぁ。」
昨夜の事がまるで無かったかのように、いつも通りのあいつだった。
俺は、いつも通り、あいつの作った朝食を食べ、大学へ向かう。
「んじゃ、行ってくるわ。」
あいつは何故か赤くなっていた。
「ちょっと待って・・・ん・・・、ん・・・。いってらっしゃい!また帰るの遅かったら怒るからねっ!」
いきなりのキス。そしてあいつは俺を蹴飛ばし、ドアを閉めた。
(完)
- - - - - -
あいつは、いつもベッドの枕元に立っている。気になって眠れないんだよな。
「なぁ、お前もこっちに入って来たら?」
急に話しかけられ、あいつはビクッと体を震わす。
「あ・・・な、なんで、私が貴方と一緒に寝なきゃいけないの!?」
「俺が一緒に寝たいだけ。それに、そうやって枕元に立っていられると気になって眠れないんだ。」
俺の本心だ。駆け引きとか、そういったのは性に合わない。こんな性格のお陰で大分損してきた。
あいつは、無言のまま俺に背を向け、しばらくして消えていった。
いつもこうだ。正直な気持ちを伝えると相手に避けられる。
俺は、明日には、またあいつが出てきてくれることを祈り、静かに両目を閉じた。意識が闇に同化していく。
「ちょっと!どっちかに寄りなさいよっ!私が入るところないじゃないの!」
突然の聞き慣れた声で、俺は飛び起きた。
「お前・・・来てくれたのか。」
「い、一緒に寝た方が湿気が強くなると思ったから・・・しょうがなく一緒に寝るんだからね!私が一緒に寝たいわけじゃないの!分かった!?」
そう言いながらあいつは俺の横に入ってくる。
背をこちらに向けたままだが、あいつの息づかいが聞こえてくるほど俺たちは近付いてた。
俺は何も言わずに、あいつを後ろから抱きしめた。あいつは、一瞬ビクッと肩を振るわせたが何も抵抗をせず、俺に抱かれる。
暖かかった。
何百年もこの世に残る、人間ではない存在のあいつ。それでも・・・あいつは暖かい。
「まだダメだよ。」
ポツリとあいつが呟いた。
「分かってる。しばらく・・・このままで居させてくれ。」
「うん。」
俺の声は―――あいつの声も―――震えていた。
「なぁ、一つだけ聞いて良いか?」
あいつから返事は無い。俺は構わず続ける。
「お前、生きていた頃の記憶あるんだよな・・・。まだ旦那のこと、好きなのか?」
あいつは、力任せに俺の腕を振り払い、俺の方へ体を向ける。
「な、何言ってんのよっ!そんなこと、貴方に・・・か、関係無いでしょ!!」
いつもの照れ隠しの言葉とは違う―――触れられたくない物に触れられたからか、本気の言葉に聞こえた。
俺の口から勝手に次の言葉が出ていた。
「関係あるさ!お前に惚れちまったんだから!」
言葉にして・・・あいつにぶつけて、やっと本当の・・・自分の気持ちが分かった。
あの記述を知ってから、俺の中に渦巻いていたモヤモヤが消えていく。
「なっ・・・人間と妖怪が幸せになれるわけ無いじゃない!む、無責任なこと言わないでっ!」
確かに、先程までは俺も妖怪と結ばれるなんて無理だと諦めかけていた。
でも・・・一抹の希望は見えた。
「お前を抱いて・・・お前の暖かさを知って・・・お前の中にも人間の部分が沢山あるって分かった。大丈夫。俺に任せろ。俺を信じろ!」
無言のまま・・・
俺はあいつと、あいつは俺と、瞳を合わせたまま時が流れた。
「私、結婚なんてしてないの。」
永遠に続くかと思われた沈黙が破られる。
あいつは、話を続けた。
「彼が居なくなったのは、結婚式の前日。彼は死んだわけじゃないの。私を捨てて、他の女と逃げたのよ。だから―――もう、何も思ってないよ。」
俺は、あいつにかける言葉が見つからない。あいつは、まだ言葉を続ける。
「だから、私は綺麗なままなの。ねぇ・・・信じてるからね!」
俺はやっとの事で声を出す。
「あぁ、俺を信じてく・・・・んっ!?」
何が起きたか理解出来なかった。
唇に柔らかい感触が・・・あいつの顔が俺の目の前にあった。
「し、信じてるからねっ!」
呆然とする俺を尻目にあいつはクルリと背を向ける。
俺は、何が何だかわからないまま・・・朝方まで眠ることが出来なかった。
「いつまで寝てるのよっ!いつも冷めないうちに食べてって言ってるでしょ!」
「ん・・・あ、あぁ。」
昨夜の事がまるで無かったかのように、いつも通りのあいつだった。
俺は、いつも通り、あいつの作った朝食を食べ、大学へ向かう。
「んじゃ、行ってくるわ。」
あいつは何故か赤くなっていた。
「ちょっと待って・・・ん・・・、ん・・・。いってらっしゃい!また帰るの遅かったら怒るからねっ!」
いきなりのキス。そしてあいつは俺を蹴飛ばし、ドアを閉めた。
(完)
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