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都市伝説・・・奇憚・・・blog

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2025.02.04 (Tue) Category : 

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カキタ様

2010.03.16 (Tue) Category : 都市伝説・ホラー・オカルト

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 02:23:17.20 ID:BQ7SuDrQ0
じゃあ、俺が田舎に転校していた頃の話でも


俺、家庭がごたごたしていた事が以前あってさ。
それが理由で学校とか行きづらくなっちゃって。

友達とかは
「気にすんなよ、一緒に遊ぼうぜ」
とか言ってくれるんだけどその友達の親とかは俺を腫れ物みたいに扱ってさ。
何かと辛い時期があったワケ。

それを不憫に感じた爺ちゃんが、
「落ち着くまで俺の所にこい。学校も一時的にこっちに移せ」
とか言ってけっこう遠い田舎へ招待してくれたんだ。

そこの田舎、いわゆる過疎地ってところで1学級が20人足らずの小規模な土地だったんだ。
俺はそこでも友人に恵まれて、新しく出来た友達と一緒に野山を駆け巡ってた。

田舎の子供ってほんとパワフルで色々な畦道を遊び場にするんだけれど、なぜかそいつらが絶対に遊ばない場所が一箇所だけあったんだ。

そこは神社の鳥居前。

少し薄暗い林の中に建っている神社で、その前に立ってある大きい鳥居があったんだ。
『だるまさんが転んだ』とか『かくれんぼ』とかに使えそうな場所だったのに、何故か友人たちは露骨にそこを避けるんだよ。

で、ちょっと気になって理由を聞いてみたら

大人が
「遊んじゃいけない」
と再三注意を促していたらしい。

でもそこは、注意を促すにしては充分開けた場所で、周りに車が来る気配すら感じない。
妙な不自然さを子供心に感じたから、もう少し突っ込んで話を聞いてみると
「カキタ様にさらわれるって、爺ぃちゃが言った」
って低学年の子が教えてくれたんだ。

子どもの頃の記憶はうろ覚えだけど、その「カキタ様」という響きは妙に頭に残っている。

当時ガキ大将気質だった俺は、何というか
『大人のルールに逆らう俺カコイイ!』みたいな小二病も患っていたみたいで遊ぶことが禁止されている地で遊ぶ事に妙な憧れを持ってしまった。


で、休みの日に何人か集めて鳥居の前で遊んでみることにしたんだ。

集まったのは、俺を含む6人の男子。
いざ鳥居の前に集まったら、俺以外の男子は
「ここで遊ぶの止めようぜ」
と腰が引け気味だった。

それを見て俺は
「何怖がってるんだよ、カキタ様とか信じるなんてガキみたいな事言ってんじゃねぇよwww」
と怖いモノ知らずの発言を皆に訴えた。

それを聞いて他の友人たちは
「俺はガキじゃない! いいぜ、遊ぼうや!!」
みたいな売り言葉に買い言葉で遊びを承諾。

そして、その鳥居の前で遊ぶことになったんだ。

でも鳥居の前で遊ぶといっても、遊び方は制限される。
結局、その地域では『けいどろ』と呼ばれる鬼ごっこで遊ぶことになった。

『けいどろ』は平たく言えば鬼ごっこで、警察(鬼)役と泥棒役に分かれて遊ぶものだ。
警察は泥棒を捕まえて、一箇所に固める。 
泥棒は捕まっている仲間の誰かにタッチしたら全員逃げられる。
所定時間までに泥棒が一人でも生きている状態か、もしくは警察が泥棒役を全員捕まえるかで勝負は決着。

で、捕まえた泥棒役を集める場所が鳥居前になった。

それからゲームが始まって、凄く楽しい時間が過ぎていった。

…ただ一つ気になるのは、泥棒役で鳥居前に捕まった際、妙な寒気を感じた事。
うだるような炎天下で追いかけっこをしていたのに、その鳥居前でジッとしているだけで妙な冷ややかさを感じた。

それから昼食を取るのを忘れてずっと遊んでいると、気づけば夕暮れ前になっていた。
今になって知ったけれど、あの頃合って「黄昏時」っていう言葉で表せたんだな。

どのくらいの夕暮れだったかと言うと、夕焼け空が真っ赤になって、みんなの顔が徐々に見えづらくなっていたくらい。

田舎の空って街に比べて深い色合いを出すもんなんだと幼心に思ったよ。

「七つの子」のチャイムも鳴って、そろそろ解散の時間帯。
でも遊び足りない俺たちは、最後に『だるまさんがころんだ』で〆ようという事にしたんだ。

とりあえず『だるまさんがころんだ』を三回やって、それで今日は終わりね、っていう事を取り決めてその日最後の遊びが始まった。

みんな暴れまくってテンションも高かったし、何より「夕暮れ前」っていう独特の時間帯に大人数で遊んでいるという事が特別に思えて楽しかったんだ。


一回目。鬼は友人の一人。

「だーるーまさーんがー、こーろんだ!」
という声が境内に響く。
俺たちはギャーギャー言いながらも遊び騒いでいた。

ただ、変な違和感を俺はそのとき感じていたんだ。

なんていうのか形容しづらいけれど、こう、『一つだけ異物が交じってる』みたいな場の雰囲気。
間違い探しの絵を最初に見たときの違和感みたいな、なんとも言えないものを感じてた。

で、二回目。鬼は再びさっきと同じ友人。
「だーるまさんが! ころんだ!!」
という早口でまくし立てる声を聞いて、
「おい、早えーよwwww」
とみんなで笑いあってた。

結局、あのときに感じていた違和感は今でもよく分からない。
でも…言葉にできない不気味さというのが、あの場には確かにあったんだ。

どうにも妙な空気が落ち着かない俺は、「ころんだ!」と鬼が言った状態から
いの一番に動いてしまった。


最後の鬼は俺に決まった。

そして最後の三回目。鬼は俺。

さっきから何度も繰り返している『妙な雰囲気』は置いといて、俺はただ純粋に(もっと長く遊んでいたい)と思っていた。

だから、
「だ~~る~~ま~~さ~~んが~~!」
とわざと声の調子を間延びさせて、一秒でも長く楽しい時間が続けばいいなと子どもながらに時間に抵抗していたんだ。


そして、ゲームを楽しめるためにわざと早口で。

「ころんだ!」

そう言って振り返ってみると、友人五人が変な格好で止まっていた。


ただ。
もう夕暮れから夜へと以降を始めた時間だから皆の表情は確認できなかったけれど。


列の一番後ろにいた友人が、何故か顔を歪めていたような気がした。


そして、また俺は鳥居に顔を伏せて数を数える。

次はさっきの間延びした分を取り戻すような早口で。

「だるまさんがころんだ!」



そう言って振り返ると、一番後ろにいた友人の姿が消えていた。

本当に一瞬の事だった。
ここは見晴らしの良い場所で、辺り一面を見渡せる程度の広さがある。

なのに、たった数秒で忽然と姿が消えるのはおかしい。

「おい、○○君どこいった!?」

と俺がみんなに言うと、

「あれ? あいつどこ行った?」
「帰ったんじゃね?」
「いやいや、俺らと一緒にさっきまで遊んでたろ?」

みたいな事を言い出す始末。

妙な薄ら寒さを感じたから、その日はそれで解散。
目の前から姿を消した友人は、「もう帰ったんだろう」という事で一旦落ち着いた。

「明日学校で会ったら、なんで急に帰ったか聞こう」
と残った皆で言い合ってその鳥居前を後にした。


その日の夕食後。
なんか玄関前が騒がしいから、俺もなんとなくそっちへ向かったら消えた○○君のお母さんが狼狽した様子で爺ちゃんに訊ねていた。


「うちの息子、知りませんか?」


帰っていなかった。
○○君は家にも帰らず、本当に目の前から消えた。

「ああ、たっくん(俺)。うちの息子と今日遊んだよね?あの子がどこに行ったのか知らない?」

そう聞かれて、俺は咄嗟に
「し、知らない」
と言ってしまった。

なぜそう言ったのは分からないけれど、なんとなく怒られるような予感がしたからだろう。

それからしばらくして○○君のお母さんは爺ちゃん家を後にした。

取り残された俺と爺ちゃん。


リビングに向かう最中。
爺ちゃんが、俺にポツリと話す。

「正直に言ってみれ。 …今日、どこで遊んだ?」

もう観念するしかない。
俺は本当の事を話した。

「じ、神社の前の鳥居で、○○君たちと遊んだ…」


それを聞いた爺ちゃん、目をカッと開いて俺に怒鳴った。


「馬鹿ったれ! あの場所じゃ遊ぶなって大人から言われんかったか!?」

普段は優しい爺ちゃんだったから、怒られた事がショックで俺は大泣き。
でも爺ちゃんはそんなこと意に介さないように、急いでリビングに向かって色んな人に電話し始めた。

どんな内容の電話だったのかは流石に分からないけれど、そこから聞こえてきた、たった一つの単語だけは覚えている。


「カキタ様」、と。


そこから爺ちゃんは慌しくどこかへ出かける準備を始める。

どこに向かうのか聞いたら、公民館で集会があるという事らしい。


「いいか、爺ちゃん帰ってくるまで、絶対に鍵を開けちゃいかんぞ」

と何度も俺に伝えて、爺ちゃんは家を後にした。


今となっては、○○君に関する村の緊急集会だったのだろうと思う。

そして結局、その日に爺ちゃんは帰って来なかった。

その晩に一つだけ不思議な事があったのは、

風もない寝苦しい夜だったのに、妙に玄関のドアがガチャガチャと音を立てていたくらいだ。


次の日には全校朝会。

名前はぼかしていたが、○○君の事に関してだった。
「あまり遅くまで遊ばないように」
という校長からの釘刺しで朝会は終了。

教室では昨日遊んだ面子で、消えた○○君の安否を気にしていた。

結論から言うと、○○君は数日後に保護された。

どこで見つかったのかと言うと、隣の県にある峠の中腹だった。

トラック運転手が夜中に峠を走っていると、道のド真ん中で泣いている子どもを保護したらしい。
その保護された子どもが○○君だったワケだ。

…俺たちが遊んでいたあの場所から、100kmは下らない場所までどのようにして行ったんだろうか。

しかも発見されたときの○○君は、擦り傷などの怪我もなく、どこもボロボロになった様子は無かったようで。
小学生が徒歩で歩くにはあまりにも厳しすぎる距離を移動したのにも関わらず、不思議な状態で発見されていた。

あれから随分と年も経ち、俺も大学生となった。

数年前に爺ちゃんが他界したとき、久しぶりに懐かしの土地へ向かってみた。

幾分か土地開発は進んでいたものの、昔遊んだ場所は変わらずあのままだ。

葬式が終わったあとの時間を使って、例の『鳥居前』へと足を運んでみた。

あの思い出のままの姿で俺を迎えてくれた鳥居は、何も語らずにただ悠々と建っている。


今でもこの鳥居前で子どもは遊んでいないのだろうか。

あの時の○○君のような事件が、実はまだこの地で起こっているんじゃないのだろうか。


今でも、「カキタ様」の真実を俺は知らない。


 








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リンフォン(2010.03.16追記)

2010.03.15 (Mon) Category : 都市伝説・ホラー・オカルト

183 本当にあった怖い名無し 2006/05/13(土) 13:10:26 ID:d6nOfoGU0

先日、アンティーク好きな彼女とドライブがてら、骨董店やリサイクルショップを回る事になった。

俺もレゲエとか古着など好きで、掘り出し物のファミコンソフトや古着などを集めていた。
買うものは違えども、そのような物が売ってる店は同じなので、楽しく店を巡っていた。お互い掘り出し物も数点買う事ができ、テンション上がったまま車を走らせていると、一軒のボロッちい店が目に付いた。

「うほっ!意外とこんな寂れた店に、オバケのQ太郎ゴールドバージョンが眠ってたりすんだよな」
浮かれる俺を冷めた目で見る彼女と共に、俺は店に入った。

コンビニ程度の広さの、チンケな店だった。主に古本が多く、家具や古着の類はあまり置いていない様だった。ファミコンソフトなど、「究極ハリキリスタジアム」が嫌がらせのように1本だけ埃を被って棚に置いてあるだけだった。

もう出ようか、と言いかけた時、
「あっ」
と彼女が驚嘆の声を上げた。俺が駆け寄ると、ぬいぐるみや置物などが詰め込まれた、バスケットケースの前で彼女が立っていた。

「何か掘り出し物あった?」
「これ、凄い」

そう言うと彼女は、バスケットケースの1番底に押し込まれる様にあった、正20面体の置物を、ぬいぐるみや他の置物を掻き分けて手に取った。

今思えば、なぜバスケットケースの1番底にあって外からは見えないはずの物が彼女に見えたのか、不思議な出来事はここから既に始まっていたのかもしれない。

「何これ?プレミアもん?」
「いや、見たことないけど…この置物買おうかな」

まぁ、確かに何とも言えない落ち着いた色合いのこの置物、オブジェクトとしては悪くないかもしれない。俺は、安かったら買っちゃえば、と言った。

レジにその正20面体を持って行く。しょぼくれたジイさんが古本を読みながら座っていた。
「すいません、これいくらですか?」
その時、俺は見逃さなかった。ジイさんが古本から目線を上げ、正20面体を見た時の表情を。

驚愕、としか表現出来ないような表情を一瞬顔に浮かべ、すぐさま普通のジイさんの表情になった。
「あっ、あぁ…これね…えーっと、いくらだったかな。ちょ、ちょっと待っててくれる?」

そう言うとジイさんは、奥の部屋(おそらく自宅兼)に入っていった。奥さんらしき老女と何か言い争っているのが断片的に聞こえた。やがて、ジイさんが1枚の黄ばんだ紙切れを持ってきた。
 

「それはね、いわゆる玩具の1つでね、リンフォンって名前で。この説明書に詳しい事が書いてあるんだけど」
ジイさんがそう言って、黄ばんだ汚らしい紙を広げた。随分と古いものらしい。

紙には例の正20面体の絵に「RINFONE(リンフォン)」と書かれており、それが「熊」→「鷹」→「魚」に変形する経緯が絵で描かれていた。

わけの分からない言語も添えてあった。ジイさんが言うにはラテン語と英語で書かれているらしい。
「この様に、この置物が色んな動物に変形出来るんだよ。まず、リンフォンを両手で包み込み、おにぎりを握るように撫で回してごらん」

彼女は言われるがままに、リンフォンを両手で包み、握る様に撫で回した。
すると、「カチッ」と言う音がして、正20面体の面の1部が隆起したのだ。

「わっ、すご~い」
「その出っ張った物を回して見たり、もっと上に引き上げたりしてごらん」

ジイさんに言われるとおりに彼女がすると、今度は別の1面が陥没した。
「すご~い!パズルみたいなもんですね!ユウ(←俺の愛称)もやってみたら」

この仕組みを言葉で説明するのは凄く難しいのだが、「トランスフォーマー」と言う玩具をご存知だろうか?カセットテープがロボットに変形したり、拳銃やトラックがロボットに…と言う昔流行った玩具だ。このリンフォンも、正20面体のどこかを押したり回したりすると、熊や鷹、魚などの色々な動物に変形する、と想像してもらいたい。

もはや、彼女はリンフォンに興味深々だった。俺でさえ凄い玩具だと思った。
「あの…それでおいくらなんでしょうか?」

彼女がおそるおそる聞くと、
「それねぇ、結構古いものなんだよね…でも、私らも置いてある事すら忘れてた物だし…よし、特別に1万でどうだろう?ネットなんかに出したら好きな人は数十万でも買うと思うんだけど」

そこは値切り上手の彼女の事だ。結局は6500円にまでまけてもらい、ホクホク顔で店を出た。
次の日は月曜日だったので、一緒にレストランで晩飯を食べ終わったら、お互いすぐ帰宅した。

月曜日。仕事が終わって家に帰り着いたら、彼女から電話があった。
「ユウくん、あれ凄いよ、リンフォン。ほんとパズルって感じで、動物の形になってくの。仕事中もそればっかり頭にあって、手につかない感じで。マジで下手なTVゲームより面白い」

と一方的に興奮しながら彼女は喋っていた。電話を切った後、写メールが来た。
リンフォンを握っている彼女の両手が移り、リンフォンから突き出ている、熊の頭部のような物と足が2本見えた。俺は、良く出来てるなぁと感心し、その様な感想をメールで送り、やがてその日は寝た。


次の日、仕事の帰り道を車で移動していると、彼女からメールが。
「マジで面白い。昨日徹夜でリンフォンいじってたら、とうとう熊が出来た。見にきてよ」
と言う風な内容だった。

俺は苦笑しながらも、車の進路を彼女の家へと向けた。
「なぁ、徹夜したって言ってたけど、仕事には行ったの?」
着くなり俺がそう聞くと、
「行った行った。でも、おかげでコーヒー飲み過ぎて気持ち悪くなったけど」
と彼女が答えた。

テーブルの上には、4つ足で少し首を上げた、熊の形になったリンフォンがあった。
「おぉっ、マジ凄くないこれ?仕組みはどうやって出来てんだろ」
「凄いでしょう?ほんとハマるこれ。次はこの熊から鷹になるはずなんだよね。早速やろうかなと思って」
「おいおい、流石に今日は徹夜とかするなよ。明日でいいじゃん」
「それもそうだね」

と彼女は良い、簡単な手料理を2人で食べて、1回SEXして(←書く必要あるのか?寒かったらスマソ)その日は帰った。ちなみに、言い忘れたが、リンフォンは大体ソフトボールくらいの大きさだ。
 
水曜日。通勤帰りに、今度は俺からメールした。
「ちゃんと寝たか?その他もろもろ、あ~だこ~だ…」

すると
「昨日はちゃんと寝たよ!今から帰って続きが楽しみ」
と返事が返ってきた。

そして夜の11時くらいだったか。俺がPS2に夢中になっていると、写メールが来た。
「鷹が出来たよ~!ほんとリアル。これ造った人マジ天才じゃない?」
写メールを開くと、翼を広げた鷹の形をしたリンフォンが移してあった。

素人の俺から見ても精巧な造りだ。今にも羽ばたきそうな鷹がそこにいた。
もちろん、玩具だしある程度は凸凹しているのだが。それでも良く出来ていた。
「スゲー、後は魚のみじゃん。でも夢中になりすぎずにゆっくり造れよな~」
と返信し、やがて眠った。

木曜の夜。俺が風呂を上がると、携帯が鳴った。彼女だ。

「ユウくん、さっき電話した?」
「いいや。どうした?」

「5分ほど前から、30秒感覚くらいで着信くるの。通話押しても、何か街の雑踏のザワザワみたいな、大勢の話し声みたいなのが聞こえて、すぐ切れるの。着信見たら、普通(番号表示される)か(非通知)か(公衆)とか出るよね?でもその着信見たら(彼方(かなた))って出るの。こんなの登録もしてないのに。気持ち悪くて」

「そうか…そっち行ったほうがいいか?」
「いや、今日は電源切って寝る」
「そっか、ま、何かの混線じゃない?あぁ、所でリンフォンどうなった?魚は」
「あぁ、あれもうすぐ出来るよ、終わったらユウくんにも貸してあげようか」
「うん、楽しみにしてるよ」

金曜日。奇妙な電話の事も気になった俺は、彼女に電話して、家に行く事になった。
リンフォンはほぼ魚の形をしており、あとは背びれや尾びれを付け足すと、完成という風に見えた。

「昼にまた変な電話があったって?」
「うん。昼休みにパン食べてたら携帯がなって、今度は普通に(非通知)だったんで出たの。それで通話押してみると、(出して)って大勢の男女の声が聞こえて、それで切れた」
「やっぱ混線かイタズラかなぁ?明日ド0モ一緒に行ってみる??」
「そうだね、そうしようか」

その後、リンフォンってほんと凄い玩具だよな、って話をしながら魚を完成させるために色々いじくってたが、なかなか尾びれと背びれの出し方が分からない。

やっぱり最後の最後だから難しくしてんのかなぁ、とか言い合いながら、四苦八苦していた。
やがて眠くなってきたので、次の日が土曜だし、着替えも持ってきた俺は彼女の家に泊まる事にした。

嫌な夢を見た。暗い谷底から、大勢の裸の男女が這い登ってくる。
俺は必死に崖を登って逃げる。後少し、後少しで頂上だ。助かる。
頂上に手をかけたその時、女に足を捕まれた。

「連  れ  て  っ  て  よ  ぉ  !  !  」
汗だくで目覚めた。まだ午前5時過ぎだった。再び眠れそうになかった俺は、ボーっとしながら、彼女が置きだすまで布団に寝転がっていた。

土曜日。携帯ショップに行ったが大した原因は分からずじまいだった。
そして、話の流れで気分転換に
「占いでもしてもらおうか」
って事になった。

市内でも「当たる」と有名な「猫おばさん」と呼ばれる占いのおばさんがいる。
自宅に何匹も猫を飼っており、占いも自宅でするのだ。所が予約がいるらしく、電話すると、運よく翌日の日曜にアポが取れた。その日は適当に買い物などして、外泊した。


日曜日。昼過ぎに猫おばさんの家についた。チャイムを押す。
「はい」
「予約したた00ですが」
「開いてます、どうぞ」

玄関を開けると、廊下に猫がいた。俺たちを見ると、ギャッと威嚇をし、奥へ逃げていった。廊下を進むと、洋間に猫おばさんがいた。文字通り猫に囲まれている。

俺たちが入った瞬間、一斉に「ギャーォ!」と親の敵でも見たような声で威嚇し、散り散りに逃げていった。流石に感じが悪い。彼女と困ったように顔を見合わせていると、

「すみませんが、帰って下さい」
と猫おばさんがいった。ちょっとムッとした俺は、どういう事か聞くと、

「私が猫をたくさん飼ってるのはね、そういうモノに敏感に反応してるからです。猫たちがね、占って良い人と悪い人を選り分けてくれてるんですよ。こんな反応をしたのは始めてです」

俺は何故か閃くものがあって、彼女への妙な電話、俺の見た悪夢をおばさんに話した。すると、
「彼女さんの後ろに、、動物のオブジェの様な物が見えます。今すぐ捨てなさい」
と渋々おばさんは答えた。

それがどうかしたのか、と聞くと
「お願いですから帰って下さい、それ以上は言いたくもないし見たくもありません」
とそっぽを向いた。

彼女も顔が蒼白になってきている。俺が執拗に食い下がり、
「あれは何なんですか?呪われてるとか、良くアンティークにありがちなヤツですか?」
おばさんが答えるまで、何度も何度も聞き続けた。するとおばさんは立ち上がり、

「あれは凝縮された極小サイズの地獄です!!地獄の門です、捨てなさい!!帰りなさい!!」
「あのお金は…」
「入   り   ま   せ   ん   !   !」

この時の絶叫したおばさんの顔が、何より怖かった。


その日彼女の家に帰った俺たちは,すぐさまリンフォンと黄ばんだ説明書を新聞紙に包み、ガムテープでぐるぐる巻きにして、ゴミ置き場に投げ捨てた。

やがてゴミは回収され、それ以来これといった怪異は起きていない。
数週間後、彼女の家に行った時、アナグラム好きでもある彼女が、紙とペンを持ち、こういい始めた。

「あの、リンフォンってRINFONEの綴りだよね。偶然と言うか、こじ付けかもしれないけど、これを並べ替えるとINFERNO(地獄)とも読めるんだけど…」
「…ハハハ、まさか偶然偶然」
「魚、完成してたら一体どうなってたんだろうね」
「ハハハ…」

俺は乾いた笑いしか出来なかった。あれがゴミ処理場で処分されていること、そして2つ目がないことを、俺は無意識に祈っていた。


 








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痩せた子供

2010.03.14 (Sun) Category : 都市伝説・ホラー・オカルト

おれにはちょっと変な趣味があった。

その趣味って言うのが、夜中になると家の屋上に出てそこから双眼鏡で自分の住んでいる街を観察すること。
いつもとは違う、静まり返った街を観察するのが楽しい。

遠くに見えるおおきな給水タンクとか酔っ払いを乗せて坂道を登っていくタクシーとか、ぽつんと佇むまぶしい自動販売機なんかを見ていると妙にワクワクしてくる。

おれの家の西側には長い坂道があって、それがまっすぐおれの家の方に向って下ってくる。
だから屋上から西側に目をやれば、その坂道の全体を正面から視界に納めることができるようになってるわけね。

その坂道の脇に設置されてる自動販売機を双眼鏡で見ながら
「あ、大きな蛾が飛んでるな~」
なんて思っていたら、坂道の一番上のほうから物凄い勢いで下ってくる奴がいた。


「なんだ?」
と思って双眼鏡で見てみたら全裸でガリガリに痩せた子供みたいな奴が、満面の笑みを浮かべながらこっちに手を振りつつ、猛スピードで走ってくる。

奴はあきらかにこっちの存在に気付いているし、おれと目も合いっぱなし。

ちょっとの間、あっけに取られて呆然と眺めていたけど、なんだか凄くヤバイことになりそうな気がして、急いで階段を下りて家の中に逃げ込んだ。


ドアを閉めて、鍵をかけて
「うわーどうしようどうしよう、なんだよあれ!!」
って怯えていたら、ズダダダダダダッって屋上への階段を上る音が。明らかにおれを探してる。

「凄いやばいことになっちゃったよ、どうしよう、まじで、なんだよあれ」
って心の中でつぶやきながら、リビングの真中でアイロン(武器)を両手で握って構えてた。
しばらくしたら、今度は階段をズダダダダッって下りる音。

もう、バカになりそうなくらいガタガタ震えていたら、ドアをダンダンダンダンダンダン!!って叩いて、チャイムをピンポンピンポン!ピポポン!ピポン!!と鳴らしてくる。

「ウッ、ンーッ!ウッ、ンーッ!」
って感じで、奴のうめき声も聴こえる。

心臓が一瞬とまって、物凄い勢い脈打ち始めた。
さらにガクガク震えながら息を潜めていると、数十秒くらいでノックもチャイムもうめき声止んで、元の静かな状態に……。

日が昇るまでアイロンを構えて硬直していた。
あいつはいったい何者だったんだ。


 









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