都市伝説・・・奇憚・・・blog
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☆☆気がつけば1億PV☆☆
「祟られ屋」マサさん(1)
2019.05.11 (Sat) | Category : 創作作品
211:傷◆cmuuOjbHnQ:2007/03/10(土)00:01:52ID:WmdfX0hw0
嫌韓の人とかは読み飛ばしてください。
以前、俺は韓国人の「祟られ屋」の所に半年ほどいた事がある。
その「祟られ屋」を仮に「マサさん」と呼ぶことにする。
マサさんは10代の頃に日本に渡ってきた、在日30年以上になる韓国人。
韓国人には珍しい「二文字姓」の本名を持つ一族の出身で、在日朝鮮人実業家に呼び寄せられた先代の「拝み屋」だった父親に付いて来日したらしい。
「マサさん」というのは、その風貌から。
現役時代のマサ斎藤というプロレスラーに似ているから。
俺はある事件で「祟り」に遭い、命を落としそうになったことがある。
その事件が生涯初めての霊体験であり、マサさんと知り合うきっかけになった。
今日はその事件について書きたいと思う。
212:傷◆cmuuOjbHnQ:2007/03/10(土)00:03:20ID:WmdfX0hw0
俺の古くからの友人にPと言う在日朝鮮人の男がいる。
Pの実家は、焼肉屋にラブホテル、風俗店や金貸しを営む資産家だった。
P家の経営するラブホはカラオケやゲーム、ルームサービスも充実して流行っていた。
「事件」があったのは、そんなP家の経営するラブホの新店舗。
新店舗もオープン当初は立地条件も良く流行っていたらしい。
しかし、ある時を境に客足がガクッと落ち込んでしまった。
まあ、お約束ってやつかな。
どうもそのホテル、「出る」らしいんだ。
そのホテルに出るだけじゃなく、Pの実家の婆さんが亡くなり、お袋さんは重度の鬱病、親父さんも胃癌になるといった具合に身内の不幸が重なった。
地元の商店街ではPの家が祟られているという噂が流れていたようだ。
そんな地元の噂を聞きつけたのか、拝み屋だか霊媒師だかのオバサンがPのところに売り込みに来たらしい。
213:傷◆cmuuOjbHnQ:2007/03/10(土)00:06:16ID:WmdfX0hw0
そのオバサンはPらのコミュニティーでは金には汚いけれど「本物」だということで結構有名な人だったようだ。
自信たっぷりに
「お前の所に憑いている悪霊を祓ってやる。失敗したら金は要らない。成功したら500万払え」
と言って来たらしい。
P本人は信心深いタマではなく、ハナッから相手にする気はなかった。
タカリの一種くらいにしか見ていなかった。
しかし、Pのオヤジさんは病気ですっかり参っていたせいもあって、このお祓いの話に乗り気だったらしい。
それでも500万という金はデカイ。
社長はオヤジさんだが、馬鹿な無駄金を使うのを黙って見ている訳には行かない。
そこで、Pは俺に
「報酬10万に女も付ける。出るという噂の部屋に一晩泊まってみてくれ」
と頼んできた。
ガキの頃から知っている俺が泊まって、何もなかったと言えばアボジも納得するだろうと。
万が一、本当に出たらオバサンにお払いを頼む。
出なければシカトして500万は他のラブホの改装の足しにでもする。
俺はオカルトネタは大好きだけれど、霊感って奴は皆無。
心霊スポット巡りも嫌いじゃないので快諾した。
214:傷◆cmuuOjbHnQ:2007/03/10(土)00:07:29ID:WmdfX0hw0
Pに頼まれた翌週末、午後8時過ぎくらいにPの知り合いが経営する韓デリの女の子と落ち合って、問題のホテルの508号室(角部屋)に入った。
部屋に入った時点では霊感ゼロの俺が感じるものは特になかった。
ただ、デリ嬢のユキちゃん(ほしのあき似、Fカップ美乳!)はしきりに
「寒い」
と言っていた。
夏とはいえキャミ姿で肩を出した服装。
「冷房がきついのかな」
位にしか思わなかった。
エアコンを止めてもユキちゃんが
「寒い」
と言っていたので、俺たちはバスタブに湯を溜めて風呂に入った。
バスルームでいちゃつきながら口で1発抜いてもらって、ベッドで3発やった。
部屋にゴムは2個しかなかったので3発目は生だった。
ユキちゃんはスケベですごいテクニシャン。
3時間以上頑張って流石に疲れて、1時くらいには眠ってしまった。
215:傷◆cmuuOjbHnQ:2007/03/10(土)00:09:17ID:WmdfX0hw0
どれくらい眠っただろうか。
俺は、耳元で爪を切るような「パチン、パチン」と言う音を聞いて目が覚めた。
隣で眠っているはずのユキちゃんがいない。
ソファーの上に畳んであった服もバッグもない。
俺が寝ている間に帰ったのか?
オールナイトで朝食も一緒に食べに行くはずったのに…
俺はタバコに火を付けようとしたが、オイル切れという訳でも、石がなくなった訳でもないのにジッポに火がつかない。
部屋にあった紙マッチも湿ってしまっているのか火が付かない。
俺はタバコを戻して回りを見渡した。
部屋の雰囲気が違う。
物の配置は変わらないのだけれど、全てが色褪せて古ぼけた感じ。
それに微かに匂う土っぽい臭い…
俺は全身に嫌な汗をかいていた。
体が異様に重い。
目覚ましに熱いシャワーでも浴びようと思って、俺はバスルームに入った。
シャワーの蛇口をひねる。
しかし、お湯は出てこない。
「ゴボゴボ」と言う音がして、ドブが腐ったような臭いがしてきた。
俺は内線でフロントに
「シャワーが壊れているみたいなのだけれど」
と電話した。
フロントのオバサンは
「今行きます」
と答えた。
216:傷◆cmuuOjbHnQ:2007/03/10(土)00:10:25ID:OepwUrv70
俺は腰にバスタオルを巻いた状態で洗面台で顔を洗っていた。
すると、入り口のドアをノックする音がする。
ハンドタオルで顔を拭きながらドアの方を見ると、そこには全裸のユキちゃんが立っていた。
ユキちゃんの様子がおかしい。
目が黒目だけ?で真っ黒。
そして、左手には白鞘の日本刀を持っている。
「ユキちゃん?」
と声をかけても無言。そのまま迫ってくる。
そして、刀を抜いた。やばい!
俺は部屋に退がりテーブルの上に合ったアルミの灰皿をユキの顔面に投げつけた。しかし、当らない。
いや、すりぬけた?
今度は胸元にジッポを投げつける。
しかし、これもすり抜けて?入り口のドアに当たり「ガンッ」と音を立てる。
ユキは刀を上段から大きく振り下ろした。
かわそうにも体が重くて思うように動かない。
俺は左手で顔面を守った。
ガツッ、どんっ!
前腕の半ばで切断された俺の左腕が床に転がる。
俺は小便を漏らしながら声にならない悲鳴を上げた。
217:傷◆cmuuOjbHnQ:2007/03/10(土)00:11:22ID:WmdfX0hw0
床にめり込んだ切っ先を抜いて構えたユキは、更に左の肩口に刀を振り下ろす。
左肩から鳩尾辺りまで切り裂かれる。
俺はユキに体当たりしてドアの方に走る。
血に滑って足を取られながら逃げたけれど背中を切られた。
ドアを開けて外に逃げようとしたが鍵が閉まっている!俺は後を振り返った。
その瞬間、ユキが刀を振り下ろした。
首に鈍い衝撃を感じ、次の瞬間ゴンッという音と共におでこに強い衝撃と痛みを感じた。
シューという音と生暖かい液体の感触を右の頬に感じながら、俺は意識を失った。
218:傷◆cmuuOjbHnQ:2007/03/10(土)00:13:14ID:WmdfX0hw0
俺は頭の先で「ガリガリ」と言う音を聞いて目が覚めた。
体中が痛い。
頭も酷い二日酔いのようにガンガンする。
音のする方をみるとユキがドアをガリガリ引っ掻いていた。
何時間そうしていたのかは知らないけれど、両手の爪は剥がれて血まみれ。
ドアには血の跡がいっぱい付いていた。
俺はユキの肩を揺すって
「ユキちゃん」
と声をかけたけれども、空ろな目で朝鮮語らしい言葉でブツブツ言っているだけで無反応。
俺はユキを抱きかかえてベッドに運んだ。
ベッドにユキを横たえると俺は部屋を見渡した。
勿論、俺の首も左腕も付いてる。
部屋の内装も真新しい。
しかし、俺は恐怖に震えていた。
バスルームではシャワーが出しっぱなしになっていた。
入り口のドアの手前には俺が投げた灰皿とジッポライター。
ベッドの手前のフローリングの床には小便の水溜り…そして真新しい傷…
血痕とユキの持っていた刀は無かったが。
219:傷◆cmuuOjbHnQ:2007/03/10(土)00:15:05ID:WmdfX0hw0
俺はPに携帯で連絡を入れた。
Pは1時間ほどで人を連れて来るという。
とりあえず俺はユキに服を着せ、シャワーを浴びた。
熱い湯を体がふやけそうなくらいに浴び続けた。
シャワーを出て洗面台で自分の姿を見た俺はまた凍りついた。
首と左肩から鳩尾にかけて幅5ミリ位の線状のどす黒い痣になっていた。
左腕も。
背中を鏡に映すと背中にもあった。
いずれも昨晩ユキに刀で切られた場所だ。
約束の時間に30分ほど遅れてPはデリヘルの店長とホテルの支配人?、若い男2人を連れてやってきた。
支配人はドアの爪痕を見て青い顔をして無言で突っ立っていた。
デリヘルの店長は火病ってギャーギャー喚いていた。
ユキは頭からタオルケットを掛けられ、2人の若い男に支えられながら駐車場へ向かった。
俺は、Pの車を運転しながら(Pは物凄く酒臭かった。泥酔状態で運転してくるコイツの方が幽霊よりも怖い!)、昨晩起こった出来事をPに話し、お祓いすることを強く勧めた。
流石のPも俺の首と腕の痣を目にして納得したようだった。
220:傷◆cmuuOjbHnQ:2007/03/10(土)00:16:40ID:WmdfX0hw0
1週間ほどしてPから連絡があった。次の月曜の晩にお払いをする。
現場を見るついでに俺の話しも直接聞きたいらしいから、霊媒師のオバサンに会って欲しいということだった。
俺の方も異存は無かった。
俺は約束の時間に待ち合わせの場所に行った。
霊媒師のオバサンは50歳ということだったが、割と綺麗な人だった。
Pに
「ユキはどうした?」
と聞くと、Pは
「ぶっ壊れて、もうダメみたい。韓国から家族が迎えに来るらしい」
オバサンは俺の向かいの席に座り、俺の両手を握って俺の目を瞬きもしないで見つめた。
10分くらいそうしたか、無言で手を離すと、Pの家族も見たいと言う。
俺たちはPの車に乗ってPの実家に向かった。
オバサンはPの家の中を見て回り、俺のときと同じようにPのオヤジさんとお袋さんの手を握って顔を凝視した。
霊媒師のオバサンは、俺のときよりも更に険しい顔をしてPに
「問題の部屋に連れて行って」
と言った。
俺たちはPの車に乗って例のホテルに向かった。
221:傷◆cmuuOjbHnQ:2007/03/10(土)00:18:38ID:WmdfX0hw0
車中では3人とも無言だった。
後部座席のオバサンは水晶の数珠を手に持って声を出さずに唇だけでブツブツ何かを唱えていた。
15分ほどで俺たちはホテルに着いた。
俺たちは車から降りた。
後部座席のドアが開いてオバサンが車から降りた瞬間、オバサンが手にしていた数珠がパーンと弾け飛んだ。
オバサンは顔に汗をびっしょりかいて怯えた様子で
「ごめんなさい、これは私の手には負えない。気の毒だけれど、ごめんなさい」
と言って大通りの方に足早に向かって行った。
するとPは物凄い剣幕で
「ふざけるな!金はいくらでも出すから何とかしてくれよ!」
と叫びながらオバサンを追った。
オバサンはPを無視して早足で歩く。
すがり付くようにPは朝鮮語で泣きそうな声で喚きたてた。
しかし、オバサンはタクシーを捕まえて、Pを振り切って去って行ってしまった。
222:傷◆cmuuOjbHnQ:2007/03/10(土)00:21:12ID:WmdfX0hw0
それから1ヶ月ほど経ったか?
俺は困り果てていた。
霊現象の類は無かったものの、ホテルで付いた痣が膿んで酷い事になっていた。
始めは化膿したニキビみたいなポツポツが痣の線に沿って出来る感じで、ちょっと痒いくらいだったが、やがてニキビは潰れ爛れて、傷は深くなって行った。
ドロドロに膿んで痛みも酷かった。
皮膚科に通って抗生物質などの内服薬とステロイド系の軟膏を塗ったが全く効果は無かった。
そんな時にPから連絡があった。
今すぐ会いたいと。
223:傷◆cmuuOjbHnQ:2007/03/10(土)00:25:06ID:WmdfX0hw0
たった1ヶ月会わなかっただけなのに、Pの姿は変わり果てていた。
Pは安田大サーカスのクロちゃんに似たピザだったが、別人のようにゲッソリとやつれていた。
肌の色はドス黒い土気色で、白髪が一気に増え、円形脱毛症だらけになっていた。
Pが消え入りそうな声で
「よう」
と声をかけてきた。
俺が
「どうしちゃったんだよ?」
と聞くとPは答えた。
Pは俺をホテルに迎えにいった晩から今日まで「あの部屋で」「毎晩」「斬り殺されている」らしい。
殺されて次に目が覚めたときには自分の部屋にいるのだけれど、今いる自分の部屋より「あの」ホテルの部屋での出来事の方がリアルなのだと言う。
Pの話を聞いて俺もあの晩のことを思い出して嫌な汗をかいた。
変わり果てたPの様子、霊媒師に逃げられた晩の必死な様子にも納得がいった。
そして、1ヶ月もの間、毎晩あの恐怖に晒されながら正気?を保っているPの精神力に驚きを隠せなかった。
俺はPに
「御祓いはしなかったのか?」
と聞いた。
Pは答えた
「祈祷師、拝み屋の類も色々回ったけど、これを見ただけで追い払われたよ。あのババアに逃げられたってだけで会ってももらえないのが殆どだったけれどな」
そう言うと、Pは着ていたTシャツを脱いだ。
Pの体には俺と同じ、夥しい数の「傷」があった。
膿んで深くなったもの、まだ痣の段階のもの…
224:傷◆cmuuOjbHnQ:2007/03/10(土)00:31:44ID:WmdfX0hw0
Pの話だと、俺たちの傷は医者に治せる類のものではないらしい。
放って置けば傷はどんどん深くなり、やがては死に至ると…
そして、「祟り」の性質から、普通の拝み屋や祈祷師には手は出せないらしい。
だが、Pのオヤジさん、商工会の会長の伝で朝鮮人の起した祟りや呪といったトラブルを解決してくれる「始末屋」がいるらしい。
Pはその始末屋のところに一緒に来いと言う。
そこに行けば3ヶ月から半年は戻って来れないという。
俺は迷った。
しかし、あのホテルでの出来事や傷の事、Pの様子から俺は腹を括った。
俺は勤め先に辞表を出して、Pと共に迎えの車に乗った。
その紹介された「始末屋」がマサさんだった。
半年間、俺たちはマサさんの下で過ごし、「機」を待った。
色々と恐ろしい思いもしたが、半年後、事件は解決した。
事件の解決についてはマサさんの下での生活の話しを読んでもらわなければ判りにくいと思う。
長くなったので続きはまた後ほど。
半分くらい書けているので明日にでも。
乱文に付き合っていただいてありがとうございました。
225:本当にあった怖い名無し:2007/03/10(土)00:41:09ID:437hIIhy0
>>224
wktk
226:◆/ugjf8lbGQ:2007/03/10(土)00:43:08ID:yuu6nE6s0
乙
続きに期待してます
227:本当にあった怖い名無し:2007/03/10(土)00:45:01ID:z+xYXTpgO
こ、これはまさに洒落怖…
明日に激しく期待
228:◆8JA8zHAJAY:2007/03/10(土)00:47:04ID:s8CvkJiA0
うん激しく期待だね
231:本当にあった怖い名無し:2007/03/10(土)02:05:25ID:437hIIhy0
半島系の祈祷とかどんな感じなんだろね?
引用元:死ぬ程洒落にならない怖い話をあつめてみない?160
http://mimizun.com/log/2ch/occult/1173196483/211-231
嫌韓の人とかは読み飛ばしてください。
以前、俺は韓国人の「祟られ屋」の所に半年ほどいた事がある。
その「祟られ屋」を仮に「マサさん」と呼ぶことにする。
マサさんは10代の頃に日本に渡ってきた、在日30年以上になる韓国人。
韓国人には珍しい「二文字姓」の本名を持つ一族の出身で、在日朝鮮人実業家に呼び寄せられた先代の「拝み屋」だった父親に付いて来日したらしい。
「マサさん」というのは、その風貌から。
現役時代のマサ斎藤というプロレスラーに似ているから。
俺はある事件で「祟り」に遭い、命を落としそうになったことがある。
その事件が生涯初めての霊体験であり、マサさんと知り合うきっかけになった。
今日はその事件について書きたいと思う。
212:傷◆cmuuOjbHnQ:2007/03/10(土)00:03:20ID:WmdfX0hw0
俺の古くからの友人にPと言う在日朝鮮人の男がいる。
Pの実家は、焼肉屋にラブホテル、風俗店や金貸しを営む資産家だった。
P家の経営するラブホはカラオケやゲーム、ルームサービスも充実して流行っていた。
「事件」があったのは、そんなP家の経営するラブホの新店舗。
新店舗もオープン当初は立地条件も良く流行っていたらしい。
しかし、ある時を境に客足がガクッと落ち込んでしまった。
まあ、お約束ってやつかな。
どうもそのホテル、「出る」らしいんだ。
そのホテルに出るだけじゃなく、Pの実家の婆さんが亡くなり、お袋さんは重度の鬱病、親父さんも胃癌になるといった具合に身内の不幸が重なった。
地元の商店街ではPの家が祟られているという噂が流れていたようだ。
そんな地元の噂を聞きつけたのか、拝み屋だか霊媒師だかのオバサンがPのところに売り込みに来たらしい。
213:傷◆cmuuOjbHnQ:2007/03/10(土)00:06:16ID:WmdfX0hw0
そのオバサンはPらのコミュニティーでは金には汚いけれど「本物」だということで結構有名な人だったようだ。
自信たっぷりに
「お前の所に憑いている悪霊を祓ってやる。失敗したら金は要らない。成功したら500万払え」
と言って来たらしい。
P本人は信心深いタマではなく、ハナッから相手にする気はなかった。
タカリの一種くらいにしか見ていなかった。
しかし、Pのオヤジさんは病気ですっかり参っていたせいもあって、このお祓いの話に乗り気だったらしい。
それでも500万という金はデカイ。
社長はオヤジさんだが、馬鹿な無駄金を使うのを黙って見ている訳には行かない。
そこで、Pは俺に
「報酬10万に女も付ける。出るという噂の部屋に一晩泊まってみてくれ」
と頼んできた。
ガキの頃から知っている俺が泊まって、何もなかったと言えばアボジも納得するだろうと。
万が一、本当に出たらオバサンにお払いを頼む。
出なければシカトして500万は他のラブホの改装の足しにでもする。
俺はオカルトネタは大好きだけれど、霊感って奴は皆無。
心霊スポット巡りも嫌いじゃないので快諾した。
214:傷◆cmuuOjbHnQ:2007/03/10(土)00:07:29ID:WmdfX0hw0
Pに頼まれた翌週末、午後8時過ぎくらいにPの知り合いが経営する韓デリの女の子と落ち合って、問題のホテルの508号室(角部屋)に入った。
部屋に入った時点では霊感ゼロの俺が感じるものは特になかった。
ただ、デリ嬢のユキちゃん(ほしのあき似、Fカップ美乳!)はしきりに
「寒い」
と言っていた。
夏とはいえキャミ姿で肩を出した服装。
「冷房がきついのかな」
位にしか思わなかった。
エアコンを止めてもユキちゃんが
「寒い」
と言っていたので、俺たちはバスタブに湯を溜めて風呂に入った。
バスルームでいちゃつきながら口で1発抜いてもらって、ベッドで3発やった。
部屋にゴムは2個しかなかったので3発目は生だった。
ユキちゃんはスケベですごいテクニシャン。
3時間以上頑張って流石に疲れて、1時くらいには眠ってしまった。
215:傷◆cmuuOjbHnQ:2007/03/10(土)00:09:17ID:WmdfX0hw0
どれくらい眠っただろうか。
俺は、耳元で爪を切るような「パチン、パチン」と言う音を聞いて目が覚めた。
隣で眠っているはずのユキちゃんがいない。
ソファーの上に畳んであった服もバッグもない。
俺が寝ている間に帰ったのか?
オールナイトで朝食も一緒に食べに行くはずったのに…
俺はタバコに火を付けようとしたが、オイル切れという訳でも、石がなくなった訳でもないのにジッポに火がつかない。
部屋にあった紙マッチも湿ってしまっているのか火が付かない。
俺はタバコを戻して回りを見渡した。
部屋の雰囲気が違う。
物の配置は変わらないのだけれど、全てが色褪せて古ぼけた感じ。
それに微かに匂う土っぽい臭い…
俺は全身に嫌な汗をかいていた。
体が異様に重い。
目覚ましに熱いシャワーでも浴びようと思って、俺はバスルームに入った。
シャワーの蛇口をひねる。
しかし、お湯は出てこない。
「ゴボゴボ」と言う音がして、ドブが腐ったような臭いがしてきた。
俺は内線でフロントに
「シャワーが壊れているみたいなのだけれど」
と電話した。
フロントのオバサンは
「今行きます」
と答えた。
216:傷◆cmuuOjbHnQ:2007/03/10(土)00:10:25ID:OepwUrv70
俺は腰にバスタオルを巻いた状態で洗面台で顔を洗っていた。
すると、入り口のドアをノックする音がする。
ハンドタオルで顔を拭きながらドアの方を見ると、そこには全裸のユキちゃんが立っていた。
ユキちゃんの様子がおかしい。
目が黒目だけ?で真っ黒。
そして、左手には白鞘の日本刀を持っている。
「ユキちゃん?」
と声をかけても無言。そのまま迫ってくる。
そして、刀を抜いた。やばい!
俺は部屋に退がりテーブルの上に合ったアルミの灰皿をユキの顔面に投げつけた。しかし、当らない。
いや、すりぬけた?
今度は胸元にジッポを投げつける。
しかし、これもすり抜けて?入り口のドアに当たり「ガンッ」と音を立てる。
ユキは刀を上段から大きく振り下ろした。
かわそうにも体が重くて思うように動かない。
俺は左手で顔面を守った。
ガツッ、どんっ!
前腕の半ばで切断された俺の左腕が床に転がる。
俺は小便を漏らしながら声にならない悲鳴を上げた。
217:傷◆cmuuOjbHnQ:2007/03/10(土)00:11:22ID:WmdfX0hw0
床にめり込んだ切っ先を抜いて構えたユキは、更に左の肩口に刀を振り下ろす。
左肩から鳩尾辺りまで切り裂かれる。
俺はユキに体当たりしてドアの方に走る。
血に滑って足を取られながら逃げたけれど背中を切られた。
ドアを開けて外に逃げようとしたが鍵が閉まっている!俺は後を振り返った。
その瞬間、ユキが刀を振り下ろした。
首に鈍い衝撃を感じ、次の瞬間ゴンッという音と共におでこに強い衝撃と痛みを感じた。
シューという音と生暖かい液体の感触を右の頬に感じながら、俺は意識を失った。
218:傷◆cmuuOjbHnQ:2007/03/10(土)00:13:14ID:WmdfX0hw0
俺は頭の先で「ガリガリ」と言う音を聞いて目が覚めた。
体中が痛い。
頭も酷い二日酔いのようにガンガンする。
音のする方をみるとユキがドアをガリガリ引っ掻いていた。
何時間そうしていたのかは知らないけれど、両手の爪は剥がれて血まみれ。
ドアには血の跡がいっぱい付いていた。
俺はユキの肩を揺すって
「ユキちゃん」
と声をかけたけれども、空ろな目で朝鮮語らしい言葉でブツブツ言っているだけで無反応。
俺はユキを抱きかかえてベッドに運んだ。
ベッドにユキを横たえると俺は部屋を見渡した。
勿論、俺の首も左腕も付いてる。
部屋の内装も真新しい。
しかし、俺は恐怖に震えていた。
バスルームではシャワーが出しっぱなしになっていた。
入り口のドアの手前には俺が投げた灰皿とジッポライター。
ベッドの手前のフローリングの床には小便の水溜り…そして真新しい傷…
血痕とユキの持っていた刀は無かったが。
219:傷◆cmuuOjbHnQ:2007/03/10(土)00:15:05ID:WmdfX0hw0
俺はPに携帯で連絡を入れた。
Pは1時間ほどで人を連れて来るという。
とりあえず俺はユキに服を着せ、シャワーを浴びた。
熱い湯を体がふやけそうなくらいに浴び続けた。
シャワーを出て洗面台で自分の姿を見た俺はまた凍りついた。
首と左肩から鳩尾にかけて幅5ミリ位の線状のどす黒い痣になっていた。
左腕も。
背中を鏡に映すと背中にもあった。
いずれも昨晩ユキに刀で切られた場所だ。
約束の時間に30分ほど遅れてPはデリヘルの店長とホテルの支配人?、若い男2人を連れてやってきた。
支配人はドアの爪痕を見て青い顔をして無言で突っ立っていた。
デリヘルの店長は火病ってギャーギャー喚いていた。
ユキは頭からタオルケットを掛けられ、2人の若い男に支えられながら駐車場へ向かった。
俺は、Pの車を運転しながら(Pは物凄く酒臭かった。泥酔状態で運転してくるコイツの方が幽霊よりも怖い!)、昨晩起こった出来事をPに話し、お祓いすることを強く勧めた。
流石のPも俺の首と腕の痣を目にして納得したようだった。
220:傷◆cmuuOjbHnQ:2007/03/10(土)00:16:40ID:WmdfX0hw0
1週間ほどしてPから連絡があった。次の月曜の晩にお払いをする。
現場を見るついでに俺の話しも直接聞きたいらしいから、霊媒師のオバサンに会って欲しいということだった。
俺の方も異存は無かった。
俺は約束の時間に待ち合わせの場所に行った。
霊媒師のオバサンは50歳ということだったが、割と綺麗な人だった。
Pに
「ユキはどうした?」
と聞くと、Pは
「ぶっ壊れて、もうダメみたい。韓国から家族が迎えに来るらしい」
オバサンは俺の向かいの席に座り、俺の両手を握って俺の目を瞬きもしないで見つめた。
10分くらいそうしたか、無言で手を離すと、Pの家族も見たいと言う。
俺たちはPの車に乗ってPの実家に向かった。
オバサンはPの家の中を見て回り、俺のときと同じようにPのオヤジさんとお袋さんの手を握って顔を凝視した。
霊媒師のオバサンは、俺のときよりも更に険しい顔をしてPに
「問題の部屋に連れて行って」
と言った。
俺たちはPの車に乗って例のホテルに向かった。
221:傷◆cmuuOjbHnQ:2007/03/10(土)00:18:38ID:WmdfX0hw0
車中では3人とも無言だった。
後部座席のオバサンは水晶の数珠を手に持って声を出さずに唇だけでブツブツ何かを唱えていた。
15分ほどで俺たちはホテルに着いた。
俺たちは車から降りた。
後部座席のドアが開いてオバサンが車から降りた瞬間、オバサンが手にしていた数珠がパーンと弾け飛んだ。
オバサンは顔に汗をびっしょりかいて怯えた様子で
「ごめんなさい、これは私の手には負えない。気の毒だけれど、ごめんなさい」
と言って大通りの方に足早に向かって行った。
するとPは物凄い剣幕で
「ふざけるな!金はいくらでも出すから何とかしてくれよ!」
と叫びながらオバサンを追った。
オバサンはPを無視して早足で歩く。
すがり付くようにPは朝鮮語で泣きそうな声で喚きたてた。
しかし、オバサンはタクシーを捕まえて、Pを振り切って去って行ってしまった。
222:傷◆cmuuOjbHnQ:2007/03/10(土)00:21:12ID:WmdfX0hw0
それから1ヶ月ほど経ったか?
俺は困り果てていた。
霊現象の類は無かったものの、ホテルで付いた痣が膿んで酷い事になっていた。
始めは化膿したニキビみたいなポツポツが痣の線に沿って出来る感じで、ちょっと痒いくらいだったが、やがてニキビは潰れ爛れて、傷は深くなって行った。
ドロドロに膿んで痛みも酷かった。
皮膚科に通って抗生物質などの内服薬とステロイド系の軟膏を塗ったが全く効果は無かった。
そんな時にPから連絡があった。
今すぐ会いたいと。
223:傷◆cmuuOjbHnQ:2007/03/10(土)00:25:06ID:WmdfX0hw0
たった1ヶ月会わなかっただけなのに、Pの姿は変わり果てていた。
Pは安田大サーカスのクロちゃんに似たピザだったが、別人のようにゲッソリとやつれていた。
肌の色はドス黒い土気色で、白髪が一気に増え、円形脱毛症だらけになっていた。
Pが消え入りそうな声で
「よう」
と声をかけてきた。
俺が
「どうしちゃったんだよ?」
と聞くとPは答えた。
Pは俺をホテルに迎えにいった晩から今日まで「あの部屋で」「毎晩」「斬り殺されている」らしい。
殺されて次に目が覚めたときには自分の部屋にいるのだけれど、今いる自分の部屋より「あの」ホテルの部屋での出来事の方がリアルなのだと言う。
Pの話を聞いて俺もあの晩のことを思い出して嫌な汗をかいた。
変わり果てたPの様子、霊媒師に逃げられた晩の必死な様子にも納得がいった。
そして、1ヶ月もの間、毎晩あの恐怖に晒されながら正気?を保っているPの精神力に驚きを隠せなかった。
俺はPに
「御祓いはしなかったのか?」
と聞いた。
Pは答えた
「祈祷師、拝み屋の類も色々回ったけど、これを見ただけで追い払われたよ。あのババアに逃げられたってだけで会ってももらえないのが殆どだったけれどな」
そう言うと、Pは着ていたTシャツを脱いだ。
Pの体には俺と同じ、夥しい数の「傷」があった。
膿んで深くなったもの、まだ痣の段階のもの…
224:傷◆cmuuOjbHnQ:2007/03/10(土)00:31:44ID:WmdfX0hw0
Pの話だと、俺たちの傷は医者に治せる類のものではないらしい。
放って置けば傷はどんどん深くなり、やがては死に至ると…
そして、「祟り」の性質から、普通の拝み屋や祈祷師には手は出せないらしい。
だが、Pのオヤジさん、商工会の会長の伝で朝鮮人の起した祟りや呪といったトラブルを解決してくれる「始末屋」がいるらしい。
Pはその始末屋のところに一緒に来いと言う。
そこに行けば3ヶ月から半年は戻って来れないという。
俺は迷った。
しかし、あのホテルでの出来事や傷の事、Pの様子から俺は腹を括った。
俺は勤め先に辞表を出して、Pと共に迎えの車に乗った。
その紹介された「始末屋」がマサさんだった。
半年間、俺たちはマサさんの下で過ごし、「機」を待った。
色々と恐ろしい思いもしたが、半年後、事件は解決した。
事件の解決についてはマサさんの下での生活の話しを読んでもらわなければ判りにくいと思う。
長くなったので続きはまた後ほど。
半分くらい書けているので明日にでも。
乱文に付き合っていただいてありがとうございました。
225:本当にあった怖い名無し:2007/03/10(土)00:41:09ID:437hIIhy0
>>224
wktk
226:◆/ugjf8lbGQ:2007/03/10(土)00:43:08ID:yuu6nE6s0
乙
続きに期待してます
227:本当にあった怖い名無し:2007/03/10(土)00:45:01ID:z+xYXTpgO
こ、これはまさに洒落怖…
明日に激しく期待
228:◆8JA8zHAJAY:2007/03/10(土)00:47:04ID:s8CvkJiA0
うん激しく期待だね
231:本当にあった怖い名無し:2007/03/10(土)02:05:25ID:437hIIhy0
半島系の祈祷とかどんな感じなんだろね?
引用元:死ぬ程洒落にならない怖い話をあつめてみない?160
http://mimizun.com/log/2ch/occult/1173196483/211-231
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ー田舎 前編ー <師匠シリーズ>
2019.05.01 (Wed) | Category : 創作作品
909:田舎 前編 ◆oJUBn2VTGE:2007/03/07(水)19:47:40ID:OPG460nV0
大学1回生の秋。
その頃うちの大学には試験休みというものがあって、夏休み→前期試験→試験休みというなんとも中途半端なカリキュラムとなっていた。
夏休みは我ながらやりすぎと思うほど遊びまくり、実家への帰省もごく短い間だった。
そこへ降って沸いた試験休みなる微妙な長さの休暇。
俺はこの休みを、母方の田舎への帰省に使おうと考えた。
高校生の時に祖母が亡くなってその時には足を運んだが、まともに逗留するとなると中学生以来か。
母の兄である伯父も
「一度顔を出しなさい」
と言っていたので、ちょうどいい。
その計画を、試験シーズンの始まったころにサークルの先輩になんとはなしに話した。
「すごい田舎ですよ」
とその田舎っぷりを語っていたのであるが、ふと思い出して小学生のころにそこで体験した「犬の幽霊」の話をした。
夜中に赤ん坊の胴体を銜えた犬が家の前を走り、その赤ん坊の首が笑いながら後を追いかけていくという、なんとも夢ともうつつともつかない奇妙な体験だった。
先輩は
「ふーん」
とあまり興味なさそうに聞いていたが、俺がその田舎の村の名前を出した途端に身を乗り出した。
「いまなんてった?」
面食らって復唱すると、先輩は目をギラギラさせて
「つれてけ」
と言う。
俺が師匠と呼び、オカルトのいろはを教わっているその人の琴線に触れるものがあったようだ。
910:田舎 前編 ◆oJUBn2VTGE:2007/03/07(水)19:48:47ID:OPG460nV0
伯父の家はデカイので一人二人増えても全然大丈夫だったし、おおらかな土地柄なので友人を連れて行くくらいなんでもないことだった。
「いいですけど」
結局師匠を伴って帰省することとなったのだが、それだけでは終わらなかった。
試験期間中にもかかわらず俺は地元のオカルト系ネット仲間が集まるオフ会に参加していた。
そんな時期に試験があるなんてウチの大学くらいなわけで、フリーターや社会人が多いそのオフ会はお構いなしに開かれた。
それなら参加しなければいいだけの話のはずだが、オカルトに関することに触れている時間がなにより楽しかったそのころの俺は、あたりまえのようにファミレスに足を運んだのだった。その後の2年間の留年の契機がもう始まっていたと言える。
「試験休みに入ったら、母方の田舎に行くんスよ」
そこでも少年時代の奇妙な体験を披露した。
反応はまずまずだったが「子供のころの話」というフィルターのためか、オカルトマニア度の高い方々のハートにはあまり響かなかったようだ。すぐにそのころホットだった心霊スポットであるヒャクトウ団地への突撃計画へ話が移っていった。
ところがそれを尻目に、ある先輩がつつッと俺の隣へやってきて
「おまえの田舎は四国だよな」
と言う。
オフでも「京介」というネット上のハンドルネームで呼ばれる人で、ハッとするほど整った顔立ちの女性だった。
俺はこの人に話しかけられると、いつもドキドキしてそれに慣れることがない。
「そうです」
と答えると、真面目な顔をして
「四国には犬にまつわる怪談が多い」
と言った。
911:田舎 前編 ◆oJUBn2VTGE:2007/03/07(水)19:50:43ID:OPG460nV0
そして
「なんと言っても、おまえの故郷は犬神の本場だ」
と、何故か俺の肩をバンバンと叩くのだった。
「犬神ってなんですか」
という俺の問いに、紺屋の白袴だと笑い
「犬を使って人を呪う術だよ」
と耳元で囁いた。ヒャクトウ団地突撃団の怪気炎が騒々しかったためだが、耳に息が掛かって、それがどうしようもなく俺をゾクゾクさせた。
田舎はどんなところだと聞くので、先日師匠にしたような話をした。
そして村の名前をだした瞬間に、まるで先日の再現のように身を起こして
「ほんとか」
と言うのである。
これには俺の方が狐につままれたような気持ちで、誘うというより半ば疑問系に
「一緒に行きますか?」
と言った。
京介さんは綺麗な眉毛を曲げて
「うーん」
と唸ったあと、
「バイトがあるからなあ」
とこぼした。
「コラ、おまえらも行くんだぞヒャクトウ団地」
他のメンバーから本日のメインテーマを振られて、その話はそれまでだった。
けれど俺は見逃さなかった。
「バイトがあるから」
と言った京介さんが、そのあと突撃団の輪に背を向けて小さなスケジュール帳をなんども確認しているのを。
京介さんはたぶん、行きたがっている。
バイトがあるのも本当だろうが、なかば弟分とはいえ、男である俺と二人で旅行というのにも抵抗があるのだろう。
いや、案外そんなことおかまいなしに
「いいよ」
とあっさり承知するような人かもしれない。
「一緒に行きますか」
などとサラリと言えてしまったのも、きっとそういうイメージがあったからだ。
ともかく、あと一押しだという感触はあった。
一瞬、二人で行けたらなあという楽しげな妄想が浮かんだが、師匠も来るのだということを思い出し、少し残念な気持ちになった。
912:田舎 前編 ◆oJUBn2VTGE:2007/03/07(水)19:51:58ID:OPG460nV0
しかし、師匠と京介さんというコンビの面白さは実感していたので、これはなんとしても二人セットで来させたい。
ところがこの二人、水と油のように仲が悪い。
一計を案じた。
オフ会がハネたあと、散会していく人の中からCoCoさんという、その集まりの中心人物をつかまえた。
彼女も俺と同じ大学だったが、試験などよりこちらのほうが大事なのだろう。
そして彼女は師匠の恋人であり、京介さんとも親しい仲であるという、まさに味方に引き入れなければならない人だった。
CoCoさんはあっさりと俺の計画に乗ってくれた。
むしろノリノリで、ああしてこうして、という指示まで俺に飛ばし始めた。
簡単に言うと、師匠には「師匠、俺、CoCoさん」の3人旅行だと思わせ、京介さんには「京介さん、俺、CoCoさん」の3人旅だと思わせるのだ。
いずれ当然バレるが、現地についてしまえばなし崩し的にどうとでもなる。
つまりいつもの俺の手口なのだった。
翌日、CoCoさんから「キョースケOK」とのメールが来た。
同じ日に、
「なんか、一緒に来たいって行ってるけどいいか?」
と、CoCoさんの同行を少し申し訳なさそうに師匠が尋ねてきた。
もちろん気持ちよく了承する。
これで里帰りの準備が整った。
そして試験の出来はやはり酷いものだった。
俺と師匠は南風という特急電車で南へ向かっていた。
甘栗を食べながら、俺は師匠に「何故俺の田舎に興味があるのか」という最大の疑問をぶつけていた。
京介さんとCoCoさんは一つ後の南風で来るはずだ。
師匠にはCoCoさんが用事があり、少し遅れて来ることになっており、京介さんに対しては、俺は一日早く帰省して待っていることになっていた。
913:田舎 前編 ◆oJUBn2VTGE:2007/03/07(水)19:53:41ID:OPG460nV0
「う~ん」
と言ったあと、もう種明かしをするのはもったいないな、という風を装いながらも、師匠は俺の田舎に伝わる民間信仰の名前を挙げた。
なんだ。
そんな拍子抜けするような感じがした。
田舎で生活する中でわりと耳にする機会のある名前だった。別段特別なものという印象はない。
具体的にどんなものかと言われると少し出てこないが、まあ困ったことがあったら、太夫(たゆう)さんを呼んで拝んでもらうというようなイメージだ。それは田舎での生活の中に自然に存在していたもので、別段怪しげなものでもない。
もっとも、一度か二度、小さいときになにかの儀式を見た記憶があるだけで、どういうものかは実際はよくわからない。
どうして師匠がそんなマイナーな地元の信仰を知っているのだろうと、ふと思った。
京介さんもやっぱりそれに対して反応したのだろうか。
「それ、なんですか」
窓の外に広がる海を頬杖をついて見ていた師匠の首筋に、紐のようなものが見えた。
「アクセ」
こっちを見もせずにそう言ったものの、師匠がアクセサリーの類をつけるところを見たことがない俺は首を捻った。
俺の視線を感じたのか胸元に手をあてて、師匠はかすかに笑った。
その瞬間、なんとも言えない嫌な予感に襲われたのだった。
ガタンガタンと電車が線路の連結部で跳ねる音が大きくなった気がして、俺は理由もなく車内を見回した。
いくつかの駅で停まったあと、電車はとりあえずの目的地についた。
「ひどイ駅」
と開口一番、師匠は我が故郷の駅をバカにした。
914:田舎 前編 ◆oJUBn2VTGE:2007/03/07(水)19:55:39ID:OPG460nV0
駅周辺にある椰子の木を指差してゲラゲラ笑う師匠を連れて街を歩く。「遅れて」来るCoCoさんを待つ間、昼飯を腹に入れるためだ。
途中、ボーリング場の前にある電信柱に立ち寄った。
地元では通の間で有名な心霊スポットだ。
夜中、その前を歩くと電信柱に寄り添うように立つ影を見るという。見たあとどんな目に会うかという部分は、様々なヴァリエーションが存在する。
話を聞いた師匠は
「ふーん」
と鼻で返事をして周囲を観察していたかと思うと、やがて興味を無くして首を振った。
先に進みながら師匠を振り返り、
「どうでした」
と聞くと、Tシャツの襟元をパタパタさせながら
「なにかいるっぽい」
と言った。
なにかいるっぽいけど、よくわかんない。よくわかんないってことは、大したことない。
大したことないってことは、よけいに歩いて暑いってことだよ。
不満げにそう言うのだった。
確かに暑い日だった。本格的な秋が来る前の最後の地熱がそこかしこから吹き上がって来ているようだった。
師匠が
「サワチ料理が食いたい」
と、まるでトルコに旅行した日本人がいきなりシシケバブを食べたがるようなことを言うので、昼から食べるものではないということを苦心して納得させ、二人で蕎麦を食べた。
アーケード街をぶらぶらと散策したあと駅に戻ると、ワンピース姿のCoCoさんといつもと同じジャケット&ジーンズの京介さんがちょうど改札を出て来る所だった。
「よお」
と手を上げかけて、京介さんの動きが止まる。
師匠も止まる。
と思ったのもつかの間、一瞬の隙をつかれてチョークスリーパーに取られる。
「何度引っ掛けるんだお前は」
頭の後ろから師匠の声がする。口調が笑ってない。
915:田舎 前編 ◆oJUBn2VTGE:2007/03/07(水)19:57:04ID:OPG460nV0
「何度引っ掛かるんですか」
俺は右手を必死に腕の隙間に入れようとしながらも強気にそう言った。
向こうでは、踵を返そうとする京介さんをCoCoさんが押しとどめている。
俺とCocoさんの説明を中心に、師匠がよけいなことを言って京介さんが本気で怒る場面などを経て、実に15分後。
「暑いし、もういいよ」
という京介さんの疲れたような一言で、同行四人という状況が追認されることになった。
思うにこの二人、共通点が多いのが同族嫌悪となっているのではないだろうか。
無類のオカルト好きであり、ジーンズをこよなく愛し、俺という共通の弟分を持ち、それからこの後に知ったのであるが二人とも剣道の有段者だった。
俺はよくこの二人を称して磁石のS極とS極と言った。
その時もお互いの磁場の分だけ距離を置いていたので、その真ん中でCoCoさんにだけ聞こえるようにその例えを耳打ちすると、彼女は何を思ったのか
「二人とも絶対Mだ」
とわけのわからない断言をして、俺にはその意味がその日の夜までわからなかった。
夜になにかあったわけではない。ただ俺がそれだけ鈍かったという話だ。
ただ一つ、そのときに気になることがあった。
さっき師匠にチョークスリーパーを掛けられた時に感じた不思議な香りが、かすかに鼻腔に残っている。
まさかな。
そう思ってCoCoさんを見たが、あいかわらず何を考えているのかよくわからない表情をしていた。
そうしているうちに、駅のロータリーに車がついた。
四人の前で作業着を着た初老の男性が車から降りながら手を振る。
伯父だった。
バスなり電車なりで行けるよ、とあれほど言ったのに
「ちょうどこっちに出てくる用事があるき」
と車で迎えに来てくれたのだった。
916:田舎 前編 ラスト ◆oJUBn2VTGE:2007/03/07(水)19:58:43ID:OPG460nV0
ところどころに真新しい汚れのついた作業着を見て、そんな用事なんてなかったことはすぐわかる。
久しぶりの俺の帰省が嬉しかったのだろう。俺が連れてきた初対面の3人と愛想よく握手をして、
「さあ乗ったり乗ったり」
と笑う。
ここから村までは車で3時間は掛かる。
車内でも伯父はよく喋り、よく笑い、それまでの険悪なムードはひとまず影を潜めた。
日差しの眩しい国道を気持ち良く疾走する車の、窓の向こうに広がる景色を眺めながら、俺は来て良かったなあと気の早いことを考えていた。
思えば、その無類のオカルト好きが二人揃って俺の帰省について来ると言い出した事態の意味を、その時もう少し考えてみるべきだったのかも知れない。
紺屋の白袴と笑われても仕方がない。俺は、俺のルーツでもある山間部の因習と深い闇を、知らな過ぎたのだった。
だがとりあえず今のところは、ひたすらに暑い日だった。
引用元:死ぬ程洒落にならない怖い話をあつめてみない?159
https://hobby9.5ch.net/test/read.cgi/occult/1172663729/909-916
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大学1回生の秋。
その頃うちの大学には試験休みというものがあって、夏休み→前期試験→試験休みというなんとも中途半端なカリキュラムとなっていた。
夏休みは我ながらやりすぎと思うほど遊びまくり、実家への帰省もごく短い間だった。
そこへ降って沸いた試験休みなる微妙な長さの休暇。
俺はこの休みを、母方の田舎への帰省に使おうと考えた。
高校生の時に祖母が亡くなってその時には足を運んだが、まともに逗留するとなると中学生以来か。
母の兄である伯父も
「一度顔を出しなさい」
と言っていたので、ちょうどいい。
その計画を、試験シーズンの始まったころにサークルの先輩になんとはなしに話した。
「すごい田舎ですよ」
とその田舎っぷりを語っていたのであるが、ふと思い出して小学生のころにそこで体験した「犬の幽霊」の話をした。
夜中に赤ん坊の胴体を銜えた犬が家の前を走り、その赤ん坊の首が笑いながら後を追いかけていくという、なんとも夢ともうつつともつかない奇妙な体験だった。
先輩は
「ふーん」
とあまり興味なさそうに聞いていたが、俺がその田舎の村の名前を出した途端に身を乗り出した。
「いまなんてった?」
面食らって復唱すると、先輩は目をギラギラさせて
「つれてけ」
と言う。
俺が師匠と呼び、オカルトのいろはを教わっているその人の琴線に触れるものがあったようだ。
910:田舎 前編 ◆oJUBn2VTGE:2007/03/07(水)19:48:47ID:OPG460nV0
伯父の家はデカイので一人二人増えても全然大丈夫だったし、おおらかな土地柄なので友人を連れて行くくらいなんでもないことだった。
「いいですけど」
結局師匠を伴って帰省することとなったのだが、それだけでは終わらなかった。
試験期間中にもかかわらず俺は地元のオカルト系ネット仲間が集まるオフ会に参加していた。
そんな時期に試験があるなんてウチの大学くらいなわけで、フリーターや社会人が多いそのオフ会はお構いなしに開かれた。
それなら参加しなければいいだけの話のはずだが、オカルトに関することに触れている時間がなにより楽しかったそのころの俺は、あたりまえのようにファミレスに足を運んだのだった。その後の2年間の留年の契機がもう始まっていたと言える。
「試験休みに入ったら、母方の田舎に行くんスよ」
そこでも少年時代の奇妙な体験を披露した。
反応はまずまずだったが「子供のころの話」というフィルターのためか、オカルトマニア度の高い方々のハートにはあまり響かなかったようだ。すぐにそのころホットだった心霊スポットであるヒャクトウ団地への突撃計画へ話が移っていった。
ところがそれを尻目に、ある先輩がつつッと俺の隣へやってきて
「おまえの田舎は四国だよな」
と言う。
オフでも「京介」というネット上のハンドルネームで呼ばれる人で、ハッとするほど整った顔立ちの女性だった。
俺はこの人に話しかけられると、いつもドキドキしてそれに慣れることがない。
「そうです」
と答えると、真面目な顔をして
「四国には犬にまつわる怪談が多い」
と言った。
911:田舎 前編 ◆oJUBn2VTGE:2007/03/07(水)19:50:43ID:OPG460nV0
そして
「なんと言っても、おまえの故郷は犬神の本場だ」
と、何故か俺の肩をバンバンと叩くのだった。
「犬神ってなんですか」
という俺の問いに、紺屋の白袴だと笑い
「犬を使って人を呪う術だよ」
と耳元で囁いた。ヒャクトウ団地突撃団の怪気炎が騒々しかったためだが、耳に息が掛かって、それがどうしようもなく俺をゾクゾクさせた。
田舎はどんなところだと聞くので、先日師匠にしたような話をした。
そして村の名前をだした瞬間に、まるで先日の再現のように身を起こして
「ほんとか」
と言うのである。
これには俺の方が狐につままれたような気持ちで、誘うというより半ば疑問系に
「一緒に行きますか?」
と言った。
京介さんは綺麗な眉毛を曲げて
「うーん」
と唸ったあと、
「バイトがあるからなあ」
とこぼした。
「コラ、おまえらも行くんだぞヒャクトウ団地」
他のメンバーから本日のメインテーマを振られて、その話はそれまでだった。
けれど俺は見逃さなかった。
「バイトがあるから」
と言った京介さんが、そのあと突撃団の輪に背を向けて小さなスケジュール帳をなんども確認しているのを。
京介さんはたぶん、行きたがっている。
バイトがあるのも本当だろうが、なかば弟分とはいえ、男である俺と二人で旅行というのにも抵抗があるのだろう。
いや、案外そんなことおかまいなしに
「いいよ」
とあっさり承知するような人かもしれない。
「一緒に行きますか」
などとサラリと言えてしまったのも、きっとそういうイメージがあったからだ。
ともかく、あと一押しだという感触はあった。
一瞬、二人で行けたらなあという楽しげな妄想が浮かんだが、師匠も来るのだということを思い出し、少し残念な気持ちになった。
912:田舎 前編 ◆oJUBn2VTGE:2007/03/07(水)19:51:58ID:OPG460nV0
しかし、師匠と京介さんというコンビの面白さは実感していたので、これはなんとしても二人セットで来させたい。
ところがこの二人、水と油のように仲が悪い。
一計を案じた。
オフ会がハネたあと、散会していく人の中からCoCoさんという、その集まりの中心人物をつかまえた。
彼女も俺と同じ大学だったが、試験などよりこちらのほうが大事なのだろう。
そして彼女は師匠の恋人であり、京介さんとも親しい仲であるという、まさに味方に引き入れなければならない人だった。
CoCoさんはあっさりと俺の計画に乗ってくれた。
むしろノリノリで、ああしてこうして、という指示まで俺に飛ばし始めた。
簡単に言うと、師匠には「師匠、俺、CoCoさん」の3人旅行だと思わせ、京介さんには「京介さん、俺、CoCoさん」の3人旅だと思わせるのだ。
いずれ当然バレるが、現地についてしまえばなし崩し的にどうとでもなる。
つまりいつもの俺の手口なのだった。
翌日、CoCoさんから「キョースケOK」とのメールが来た。
同じ日に、
「なんか、一緒に来たいって行ってるけどいいか?」
と、CoCoさんの同行を少し申し訳なさそうに師匠が尋ねてきた。
もちろん気持ちよく了承する。
これで里帰りの準備が整った。
そして試験の出来はやはり酷いものだった。
俺と師匠は南風という特急電車で南へ向かっていた。
甘栗を食べながら、俺は師匠に「何故俺の田舎に興味があるのか」という最大の疑問をぶつけていた。
京介さんとCoCoさんは一つ後の南風で来るはずだ。
師匠にはCoCoさんが用事があり、少し遅れて来ることになっており、京介さんに対しては、俺は一日早く帰省して待っていることになっていた。
913:田舎 前編 ◆oJUBn2VTGE:2007/03/07(水)19:53:41ID:OPG460nV0
「う~ん」
と言ったあと、もう種明かしをするのはもったいないな、という風を装いながらも、師匠は俺の田舎に伝わる民間信仰の名前を挙げた。
なんだ。
そんな拍子抜けするような感じがした。
田舎で生活する中でわりと耳にする機会のある名前だった。別段特別なものという印象はない。
具体的にどんなものかと言われると少し出てこないが、まあ困ったことがあったら、太夫(たゆう)さんを呼んで拝んでもらうというようなイメージだ。それは田舎での生活の中に自然に存在していたもので、別段怪しげなものでもない。
もっとも、一度か二度、小さいときになにかの儀式を見た記憶があるだけで、どういうものかは実際はよくわからない。
どうして師匠がそんなマイナーな地元の信仰を知っているのだろうと、ふと思った。
京介さんもやっぱりそれに対して反応したのだろうか。
「それ、なんですか」
窓の外に広がる海を頬杖をついて見ていた師匠の首筋に、紐のようなものが見えた。
「アクセ」
こっちを見もせずにそう言ったものの、師匠がアクセサリーの類をつけるところを見たことがない俺は首を捻った。
俺の視線を感じたのか胸元に手をあてて、師匠はかすかに笑った。
その瞬間、なんとも言えない嫌な予感に襲われたのだった。
ガタンガタンと電車が線路の連結部で跳ねる音が大きくなった気がして、俺は理由もなく車内を見回した。
いくつかの駅で停まったあと、電車はとりあえずの目的地についた。
「ひどイ駅」
と開口一番、師匠は我が故郷の駅をバカにした。
914:田舎 前編 ◆oJUBn2VTGE:2007/03/07(水)19:55:39ID:OPG460nV0
駅周辺にある椰子の木を指差してゲラゲラ笑う師匠を連れて街を歩く。「遅れて」来るCoCoさんを待つ間、昼飯を腹に入れるためだ。
途中、ボーリング場の前にある電信柱に立ち寄った。
地元では通の間で有名な心霊スポットだ。
夜中、その前を歩くと電信柱に寄り添うように立つ影を見るという。見たあとどんな目に会うかという部分は、様々なヴァリエーションが存在する。
話を聞いた師匠は
「ふーん」
と鼻で返事をして周囲を観察していたかと思うと、やがて興味を無くして首を振った。
先に進みながら師匠を振り返り、
「どうでした」
と聞くと、Tシャツの襟元をパタパタさせながら
「なにかいるっぽい」
と言った。
なにかいるっぽいけど、よくわかんない。よくわかんないってことは、大したことない。
大したことないってことは、よけいに歩いて暑いってことだよ。
不満げにそう言うのだった。
確かに暑い日だった。本格的な秋が来る前の最後の地熱がそこかしこから吹き上がって来ているようだった。
師匠が
「サワチ料理が食いたい」
と、まるでトルコに旅行した日本人がいきなりシシケバブを食べたがるようなことを言うので、昼から食べるものではないということを苦心して納得させ、二人で蕎麦を食べた。
アーケード街をぶらぶらと散策したあと駅に戻ると、ワンピース姿のCoCoさんといつもと同じジャケット&ジーンズの京介さんがちょうど改札を出て来る所だった。
「よお」
と手を上げかけて、京介さんの動きが止まる。
師匠も止まる。
と思ったのもつかの間、一瞬の隙をつかれてチョークスリーパーに取られる。
「何度引っ掛けるんだお前は」
頭の後ろから師匠の声がする。口調が笑ってない。
915:田舎 前編 ◆oJUBn2VTGE:2007/03/07(水)19:57:04ID:OPG460nV0
「何度引っ掛かるんですか」
俺は右手を必死に腕の隙間に入れようとしながらも強気にそう言った。
向こうでは、踵を返そうとする京介さんをCoCoさんが押しとどめている。
俺とCocoさんの説明を中心に、師匠がよけいなことを言って京介さんが本気で怒る場面などを経て、実に15分後。
「暑いし、もういいよ」
という京介さんの疲れたような一言で、同行四人という状況が追認されることになった。
思うにこの二人、共通点が多いのが同族嫌悪となっているのではないだろうか。
無類のオカルト好きであり、ジーンズをこよなく愛し、俺という共通の弟分を持ち、それからこの後に知ったのであるが二人とも剣道の有段者だった。
俺はよくこの二人を称して磁石のS極とS極と言った。
その時もお互いの磁場の分だけ距離を置いていたので、その真ん中でCoCoさんにだけ聞こえるようにその例えを耳打ちすると、彼女は何を思ったのか
「二人とも絶対Mだ」
とわけのわからない断言をして、俺にはその意味がその日の夜までわからなかった。
夜になにかあったわけではない。ただ俺がそれだけ鈍かったという話だ。
ただ一つ、そのときに気になることがあった。
さっき師匠にチョークスリーパーを掛けられた時に感じた不思議な香りが、かすかに鼻腔に残っている。
まさかな。
そう思ってCoCoさんを見たが、あいかわらず何を考えているのかよくわからない表情をしていた。
そうしているうちに、駅のロータリーに車がついた。
四人の前で作業着を着た初老の男性が車から降りながら手を振る。
伯父だった。
バスなり電車なりで行けるよ、とあれほど言ったのに
「ちょうどこっちに出てくる用事があるき」
と車で迎えに来てくれたのだった。
916:田舎 前編 ラスト ◆oJUBn2VTGE:2007/03/07(水)19:58:43ID:OPG460nV0
ところどころに真新しい汚れのついた作業着を見て、そんな用事なんてなかったことはすぐわかる。
久しぶりの俺の帰省が嬉しかったのだろう。俺が連れてきた初対面の3人と愛想よく握手をして、
「さあ乗ったり乗ったり」
と笑う。
ここから村までは車で3時間は掛かる。
車内でも伯父はよく喋り、よく笑い、それまでの険悪なムードはひとまず影を潜めた。
日差しの眩しい国道を気持ち良く疾走する車の、窓の向こうに広がる景色を眺めながら、俺は来て良かったなあと気の早いことを考えていた。
思えば、その無類のオカルト好きが二人揃って俺の帰省について来ると言い出した事態の意味を、その時もう少し考えてみるべきだったのかも知れない。
紺屋の白袴と笑われても仕方がない。俺は、俺のルーツでもある山間部の因習と深い闇を、知らな過ぎたのだった。
だがとりあえず今のところは、ひたすらに暑い日だった。
引用元:死ぬ程洒落にならない怖い話をあつめてみない?159
https://hobby9.5ch.net/test/read.cgi/occult/1172663729/909-916
.
夜が来る
2019.04.16 (Tue) | Category : 創作作品
452:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)13:22:48.07ID:ovlqF/TA0.net
創作の長文怪談とか需要ある?
453:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)13:25:03.03ID:Ems24qRB0.net
>>452
あるさ
454:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)13:36:51.93ID:ovlqF/TA0.net
んじゃ
455:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)13:37:54.95ID:ovlqF/TA0.net
今晩は、都内の大学に通っている山尾と申します。よろしくお願いします。
私、大学の3年生なんですけど、今年の10月にアパートを引っ越したんです。
はい、前のアパートが、道路の拡張工事に引っかかって取り壊されるためです。
そのことは前から言われてたので、8月ころから新しい部屋を探してました。
不動産屋さん回りをしてたら、すごく条件のいいところが一ヶ所あったんです。
前のところよりも大学に近くて、電車を使わずに通えそうな距離で、しかも家賃も1万円ほど安いという。
それで、現地を見にいったとき、不躾かと思ったんですが、不動産屋さんに、
「こんな家賃なのは、なにかわけがあるんですか?」
って、思いきって聞いてみました。
そしたら、不動産屋さんはちょっと困った顔をしましたが、外に出て、アパートの裏手側に回ったんです。
そこですね、道をはさんで墓地になってたんです。
もちろん高い塀に囲まれてるので、外からは墓地だとはわからないんですけど。
でも、私はあんまり気にならなかったんですよ。
というのは、空いていた部屋は2階のいちばん端で、お寺の区画は切れてて、窓からはお墓が見えなかったんです。
不動産屋さんは、
「所有者からははっきり聞いてはいませんが、こういう事情で他所よりお安いんだと思います」
こう話してました。
それで、立ち退きの期限もあったので、そこに決めちゃったんです。
それとですね、今回の話に関係があるんですけど、キッチンのついた一間の部屋の中を見せてもらってるとき、ガス台の上、換気扇があるところの横に、金属の赤い箱があったんです。
はい、天井から10cmほど下で、もちろんイスとかに上がらないと手が届かない高さです。
456:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)13:38:55.96ID:ovlqF/TA0.net
「あれは?」
って聞いたら、
「あっ、ガス検知器です」
という答えで、たしかに、真ん中に小さなライトが一つ点滅していました。
そのときはなんとなく納得したんですけど、今考えれば赤い色って変ですよね。
で、引っ越しをしました。
荷物が少なかったので、業者には頼まず、大学のサークル仲間で免許を持ってる人が運んでくれたんです。
その日の夜は、お礼に、新しい部屋でピザなんかをとって、少しお酒を飲んだんですけど、一人、
「この部屋、なんかなあ」
っていう友だちがいて、
「何?」
って聞いたら、
「気を悪くしないでね。ケチをつけてるわけじゃないんだけど、この部屋、暗く感じない?」
じつは、私もそう思ってたんです。けどそれは、部屋の照明が古くなっているせいだと考えてました。
蛍光灯だったので、新しい大家さんに、LEDとかに変えられないか話してみようと思いました。
それから、1ヶ月は何も起きなかったです。照明のほうは旧式で、LEDは無理だったんですけど、蛍光管を変えたら明るくなりました。
先月のことです。夜の8時ころでしたか。バイトから帰って、キッチンで料理してました。
簡単な献立ですけど、生活費節約のために、毎日自炊してたんです。
そしたら、フライパンの油がパチンとはじけて顔にあたり、びっくりして横の壁にドンとぶつかってしまって。
そのとき、ウインウインってサイレンの音がすぐ上から聞こえて、見るとガス検知器のライトの点滅が激しくなってました。
あわてて火を消したんですが、ガスの臭いはしなかったです。
私がぶつかったせいだと思って、見てみようと机からイスをひっぱり出してるうち、音は消えて、点滅も収まったんです。
はい、それから2週間後くらいですね。
その日は遅く、11時ころに部屋に戻りました。
457:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)13:39:56.73ID:ovlqF/TA0.net
冷蔵庫から飲み物を出してると、携帯が鳴ったんです。
出てみると地元にいる母でした。
「あ、お母さん、どしたの、こんな時間に?」
実家は夜が早くて、ふつうはもう寝てる時間なんです。
母はいつもののんびりした声で、
「お父さんの具合が悪くってねえ」
「え?どういうこと?」
変なことを言うなあと思いました。
私の父は4年前に病気で亡くなってて、母は、実家で兄の家族と同居してるんです。
「お父さんてどういうこと?」
そしたら少し沈黙があって、
「・・・そっちは停電してないのかい?」
って。
「何言ってるのよお母さん、私のとことそっち、すごく離れてるじゃない。お母さんのほう、停電なの?」
「そうかい、停電じゃないのかい・・・じゃあ、夜が来るよ」
そこで電話は切れました。
その途端、部屋の電気がぱっと消えたんです。
「え、え?ホントに停電?!」
ウワンウワンウワン・・・ガス検知器がまた鳴り出したんです。
赤い光の点滅で、天井がまだらになって見えました。
「ああ、どうしよう?」
暗い中をキッチンまで行きましたが、もちろんガスはついてないです。
まずこれを止めなきゃと思ったんですが、まごまごしてるうちに音と光が消え、真っ暗闇になったんです。
窓のカーテンを開けてみました。
下は道なので、街灯とかの光が見えるはずなんですが、それもなくて、この地域一帯が停電なんだと思いました。
でも、地震があったわけでも、台風でもないのに。とにかく暗くてどうにもならず、手探りで机の引き出しから懐中電灯を出したんです。
スイッチを入れると、一瞬だけつきましたが、すぐに消えて、また真っ暗に。
ああ、こんなときに電池切れ。
玄関のドアを開けて外の廊下に出てみました。
そしたらやっぱり街全体が真っ暗で。
458:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)13:40:58.23ID:ovlqF/TA0.net
「そうだ、隣はどうしてるんだろう」
はい、私の部屋は端なんですけど、右隣の人はあいさつをして知っていて、私と同じ大学生だったんです。
インターホンを押しましたが反応ありません。
ああ、停電でこれも切れてるんだと考えて、ドアをドンドンとノックしました。
そしたら、ドアが少し開いて、
「誰?」
という声がしたので、
「あたし、隣の山尾」
そう言うと、チェーンロックを外す音がしてドアが開きました。
「あ、すみません、急に停電になったので、何かわかることないのかと思って」
「入って」
中はぼうっとオレンジ色の明かりで、部屋のテレビ台の上にロウソクが立ててあったんです。
「あ、準備いいですね。うちは懐中電灯もつかなくて。どうして停電になってるかわかりますか?」
「・・・夜が来たから」
「え? どういうことです?」
「ほら、こっち来てみて」
隣の人は、窓に寄ってカーテンを開けました。外をのぞくと、私のとこからは見えない塀の中のお墓が青白く光ってて、たくさんの人がいるように思ったんです。
「え、あれは?」
「死んだ人が少し出てきてるの。夜だから」
「ええ?」
ここで急にすごく怖くなったんです。
ロウソクの光に照らされた顔が、別人のように思えてきて。
「私、戻ります」
そう言って、逃げるようにして部屋に戻ってきました。
でも、相変わらず真っ暗で。
また、携帯が鳴ったんです。番号は実家から。おそるおそる出てみると、やはり母でした。
「お母さん、こっちも停電、これ、どうなってるのよ?!」
「だから、夜が来たんだって。もうすぐお父さんがそっちへ着くよ」
私は携帯を放り出し、部屋の鍵をかけてベッドに飛び込みました。
布団をかぶっていると、ドンドン、ドンドン、ドアをノックする音が聞こえ、
459:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)13:42:25.98ID:ovlqF/TA0.net
それはドカンドカンと蹴りつける音にかわりました。
でも、私はずっと布団か出ず、そのうちに音は聞こえなくなり、眠ってしまったんです。
目を覚ますと朝の気配がしました。
はい、外が明るくなってたんです。
時間は9時を過ぎてましたが、その日、大学の授業は午後からでした。
まず携帯を見ました。
でも、実家の母からの着信はなかったんです。あと、電気もつきました。
すごく怖かったんですが、隣の部屋の前に行ってインターホンを押すと、隣の人が出てきて、
「どうしたの?」
と聞くので、
「昨日、停電ありましたか?」
「いや、気がつかなかったけど」
こんなやりとりになったんです。
この調子だと、私が部屋に入ったことも否定されるだろうと考えて、言い出しませんでした。
・・・ここまでくると、全部が夢だったって思いますよね。
私は昨日、帰ってきてすぐに寝て、停電する夢を見てた。
そうとしか解釈しようがないです。念のために、母に電話してみました。
母はすぐ出て
「これからパートに行くんだけど、どしたの?」
「昨日の夜、電話した?」
「いや、してない」
・・・あとは、あのガス検知器だけです。イスに上がって金属の箱を見たら、4隅がネジ止めされてたんです。
そのときはどうにもならず、大学の帰りにねじ回しを買ってきて、箱を開けました。
中は真ん中に一つだけ、ブレーカーのような大きなスイッチがあって、上にあがってました。
下側に白い紙が貼ってあり、そこに筆字で「夜」ってあったんです。
大家さんに連絡したんですが不在で、不動産屋にかけました。
担当者が出たので解約したいって話すと、理由を聞いてきたから、一言だけ、
「ガス検知器の中を見ました」
そう言ったら、
「・・・ああ、わかりました。解約は了承します。・・・次のお部屋はお決まりですか?」
頭にきたので電話を切り、誰かに話を聞いてもらいたくてここに来たんです。
460:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)14:20:40.19ID:bLK25kiy0.net
こわい・・
なんやったんやろ?
その後はないの?
461:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)14:51:47.37ID:Ems24qRB0.net
情景が浮かばない部分もあったけど面白かったよ
>>460
創作って宣言してる
464:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)19:47:05.71ID:Jn3qiUSN0.net
>>461
ほんまやー!
恥ずかしい。ありがとう
463:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)15:56:03.20ID:XHE9yHmE0.net
はい、だけがいちいち気になってしまった
面白かったよ
466:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)22:44:03.18ID:Jn3qiUSN0.net
なんか、ゲームのサイレン思い出した
467:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)22:45:38.34ID:aKptZBXX0.net
面白かったし怖かった
電話あたりがヒヤッとした
469:本当にあった怖い名無し:2019/03/02(土)03:09:56.72ID:+RjFH8jd0.net
世にも奇妙なとかそんな感じに仕上げたね
リアルさに欠けるがそこが良かった
472:本当にあった怖い名無し:2019/03/02(土)08:26:05.54ID:wqQ/iBcg0.net
語り口調のために一文一文が短くてそこに丁寧語が入るからくどい感じがしちゃった
でもその冗長な感じの中にスッとオカルトな描写が入れられてるのはよかった
急にそっちの世界に引き込まれるような感覚に近くて
小説とか怪談師だったらインタビュー形式でそういう表現にすればある程度違和感なくせるだろうけど掲示板の書き込みという形を取る以上はこの違和感はどうしても出てしまうのが残念だった
評論家気取りみたいでごめんね感想としては面白かったからまた書いて欲しい
引用元:死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?353
http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1546870543/452-472
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創作の長文怪談とか需要ある?
453:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)13:25:03.03ID:Ems24qRB0.net
>>452
あるさ
454:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)13:36:51.93ID:ovlqF/TA0.net
んじゃ
455:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)13:37:54.95ID:ovlqF/TA0.net
今晩は、都内の大学に通っている山尾と申します。よろしくお願いします。
私、大学の3年生なんですけど、今年の10月にアパートを引っ越したんです。
はい、前のアパートが、道路の拡張工事に引っかかって取り壊されるためです。
そのことは前から言われてたので、8月ころから新しい部屋を探してました。
不動産屋さん回りをしてたら、すごく条件のいいところが一ヶ所あったんです。
前のところよりも大学に近くて、電車を使わずに通えそうな距離で、しかも家賃も1万円ほど安いという。
それで、現地を見にいったとき、不躾かと思ったんですが、不動産屋さんに、
「こんな家賃なのは、なにかわけがあるんですか?」
って、思いきって聞いてみました。
そしたら、不動産屋さんはちょっと困った顔をしましたが、外に出て、アパートの裏手側に回ったんです。
そこですね、道をはさんで墓地になってたんです。
もちろん高い塀に囲まれてるので、外からは墓地だとはわからないんですけど。
でも、私はあんまり気にならなかったんですよ。
というのは、空いていた部屋は2階のいちばん端で、お寺の区画は切れてて、窓からはお墓が見えなかったんです。
不動産屋さんは、
「所有者からははっきり聞いてはいませんが、こういう事情で他所よりお安いんだと思います」
こう話してました。
それで、立ち退きの期限もあったので、そこに決めちゃったんです。
それとですね、今回の話に関係があるんですけど、キッチンのついた一間の部屋の中を見せてもらってるとき、ガス台の上、換気扇があるところの横に、金属の赤い箱があったんです。
はい、天井から10cmほど下で、もちろんイスとかに上がらないと手が届かない高さです。
456:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)13:38:55.96ID:ovlqF/TA0.net
「あれは?」
って聞いたら、
「あっ、ガス検知器です」
という答えで、たしかに、真ん中に小さなライトが一つ点滅していました。
そのときはなんとなく納得したんですけど、今考えれば赤い色って変ですよね。
で、引っ越しをしました。
荷物が少なかったので、業者には頼まず、大学のサークル仲間で免許を持ってる人が運んでくれたんです。
その日の夜は、お礼に、新しい部屋でピザなんかをとって、少しお酒を飲んだんですけど、一人、
「この部屋、なんかなあ」
っていう友だちがいて、
「何?」
って聞いたら、
「気を悪くしないでね。ケチをつけてるわけじゃないんだけど、この部屋、暗く感じない?」
じつは、私もそう思ってたんです。けどそれは、部屋の照明が古くなっているせいだと考えてました。
蛍光灯だったので、新しい大家さんに、LEDとかに変えられないか話してみようと思いました。
それから、1ヶ月は何も起きなかったです。照明のほうは旧式で、LEDは無理だったんですけど、蛍光管を変えたら明るくなりました。
先月のことです。夜の8時ころでしたか。バイトから帰って、キッチンで料理してました。
簡単な献立ですけど、生活費節約のために、毎日自炊してたんです。
そしたら、フライパンの油がパチンとはじけて顔にあたり、びっくりして横の壁にドンとぶつかってしまって。
そのとき、ウインウインってサイレンの音がすぐ上から聞こえて、見るとガス検知器のライトの点滅が激しくなってました。
あわてて火を消したんですが、ガスの臭いはしなかったです。
私がぶつかったせいだと思って、見てみようと机からイスをひっぱり出してるうち、音は消えて、点滅も収まったんです。
はい、それから2週間後くらいですね。
その日は遅く、11時ころに部屋に戻りました。
457:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)13:39:56.73ID:ovlqF/TA0.net
冷蔵庫から飲み物を出してると、携帯が鳴ったんです。
出てみると地元にいる母でした。
「あ、お母さん、どしたの、こんな時間に?」
実家は夜が早くて、ふつうはもう寝てる時間なんです。
母はいつもののんびりした声で、
「お父さんの具合が悪くってねえ」
「え?どういうこと?」
変なことを言うなあと思いました。
私の父は4年前に病気で亡くなってて、母は、実家で兄の家族と同居してるんです。
「お父さんてどういうこと?」
そしたら少し沈黙があって、
「・・・そっちは停電してないのかい?」
って。
「何言ってるのよお母さん、私のとことそっち、すごく離れてるじゃない。お母さんのほう、停電なの?」
「そうかい、停電じゃないのかい・・・じゃあ、夜が来るよ」
そこで電話は切れました。
その途端、部屋の電気がぱっと消えたんです。
「え、え?ホントに停電?!」
ウワンウワンウワン・・・ガス検知器がまた鳴り出したんです。
赤い光の点滅で、天井がまだらになって見えました。
「ああ、どうしよう?」
暗い中をキッチンまで行きましたが、もちろんガスはついてないです。
まずこれを止めなきゃと思ったんですが、まごまごしてるうちに音と光が消え、真っ暗闇になったんです。
窓のカーテンを開けてみました。
下は道なので、街灯とかの光が見えるはずなんですが、それもなくて、この地域一帯が停電なんだと思いました。
でも、地震があったわけでも、台風でもないのに。とにかく暗くてどうにもならず、手探りで机の引き出しから懐中電灯を出したんです。
スイッチを入れると、一瞬だけつきましたが、すぐに消えて、また真っ暗に。
ああ、こんなときに電池切れ。
玄関のドアを開けて外の廊下に出てみました。
そしたらやっぱり街全体が真っ暗で。
458:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)13:40:58.23ID:ovlqF/TA0.net
「そうだ、隣はどうしてるんだろう」
はい、私の部屋は端なんですけど、右隣の人はあいさつをして知っていて、私と同じ大学生だったんです。
インターホンを押しましたが反応ありません。
ああ、停電でこれも切れてるんだと考えて、ドアをドンドンとノックしました。
そしたら、ドアが少し開いて、
「誰?」
という声がしたので、
「あたし、隣の山尾」
そう言うと、チェーンロックを外す音がしてドアが開きました。
「あ、すみません、急に停電になったので、何かわかることないのかと思って」
「入って」
中はぼうっとオレンジ色の明かりで、部屋のテレビ台の上にロウソクが立ててあったんです。
「あ、準備いいですね。うちは懐中電灯もつかなくて。どうして停電になってるかわかりますか?」
「・・・夜が来たから」
「え? どういうことです?」
「ほら、こっち来てみて」
隣の人は、窓に寄ってカーテンを開けました。外をのぞくと、私のとこからは見えない塀の中のお墓が青白く光ってて、たくさんの人がいるように思ったんです。
「え、あれは?」
「死んだ人が少し出てきてるの。夜だから」
「ええ?」
ここで急にすごく怖くなったんです。
ロウソクの光に照らされた顔が、別人のように思えてきて。
「私、戻ります」
そう言って、逃げるようにして部屋に戻ってきました。
でも、相変わらず真っ暗で。
また、携帯が鳴ったんです。番号は実家から。おそるおそる出てみると、やはり母でした。
「お母さん、こっちも停電、これ、どうなってるのよ?!」
「だから、夜が来たんだって。もうすぐお父さんがそっちへ着くよ」
私は携帯を放り出し、部屋の鍵をかけてベッドに飛び込みました。
布団をかぶっていると、ドンドン、ドンドン、ドアをノックする音が聞こえ、
459:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)13:42:25.98ID:ovlqF/TA0.net
それはドカンドカンと蹴りつける音にかわりました。
でも、私はずっと布団か出ず、そのうちに音は聞こえなくなり、眠ってしまったんです。
目を覚ますと朝の気配がしました。
はい、外が明るくなってたんです。
時間は9時を過ぎてましたが、その日、大学の授業は午後からでした。
まず携帯を見ました。
でも、実家の母からの着信はなかったんです。あと、電気もつきました。
すごく怖かったんですが、隣の部屋の前に行ってインターホンを押すと、隣の人が出てきて、
「どうしたの?」
と聞くので、
「昨日、停電ありましたか?」
「いや、気がつかなかったけど」
こんなやりとりになったんです。
この調子だと、私が部屋に入ったことも否定されるだろうと考えて、言い出しませんでした。
・・・ここまでくると、全部が夢だったって思いますよね。
私は昨日、帰ってきてすぐに寝て、停電する夢を見てた。
そうとしか解釈しようがないです。念のために、母に電話してみました。
母はすぐ出て
「これからパートに行くんだけど、どしたの?」
「昨日の夜、電話した?」
「いや、してない」
・・・あとは、あのガス検知器だけです。イスに上がって金属の箱を見たら、4隅がネジ止めされてたんです。
そのときはどうにもならず、大学の帰りにねじ回しを買ってきて、箱を開けました。
中は真ん中に一つだけ、ブレーカーのような大きなスイッチがあって、上にあがってました。
下側に白い紙が貼ってあり、そこに筆字で「夜」ってあったんです。
大家さんに連絡したんですが不在で、不動産屋にかけました。
担当者が出たので解約したいって話すと、理由を聞いてきたから、一言だけ、
「ガス検知器の中を見ました」
そう言ったら、
「・・・ああ、わかりました。解約は了承します。・・・次のお部屋はお決まりですか?」
頭にきたので電話を切り、誰かに話を聞いてもらいたくてここに来たんです。
460:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)14:20:40.19ID:bLK25kiy0.net
こわい・・
なんやったんやろ?
その後はないの?
461:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)14:51:47.37ID:Ems24qRB0.net
情景が浮かばない部分もあったけど面白かったよ
>>460
創作って宣言してる
464:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)19:47:05.71ID:Jn3qiUSN0.net
>>461
ほんまやー!
恥ずかしい。ありがとう
463:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)15:56:03.20ID:XHE9yHmE0.net
はい、だけがいちいち気になってしまった
面白かったよ
466:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)22:44:03.18ID:Jn3qiUSN0.net
なんか、ゲームのサイレン思い出した
467:本当にあった怖い名無し:2019/03/01(金)22:45:38.34ID:aKptZBXX0.net
面白かったし怖かった
電話あたりがヒヤッとした
469:本当にあった怖い名無し:2019/03/02(土)03:09:56.72ID:+RjFH8jd0.net
世にも奇妙なとかそんな感じに仕上げたね
リアルさに欠けるがそこが良かった
472:本当にあった怖い名無し:2019/03/02(土)08:26:05.54ID:wqQ/iBcg0.net
語り口調のために一文一文が短くてそこに丁寧語が入るからくどい感じがしちゃった
でもその冗長な感じの中にスッとオカルトな描写が入れられてるのはよかった
急にそっちの世界に引き込まれるような感覚に近くて
小説とか怪談師だったらインタビュー形式でそういう表現にすればある程度違和感なくせるだろうけど掲示板の書き込みという形を取る以上はこの違和感はどうしても出てしまうのが残念だった
評論家気取りみたいでごめんね感想としては面白かったからまた書いて欲しい
引用元:死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?353
http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1546870543/452-472
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3年前父親が死んだ時に俺が死んだ事にした話
2019.04.13 (Sat) | Category : 創作作品
1:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:11:43.727ID:OkzJ9400M.net
母親は俺が小さい頃に死んだ
俺は32歳の無職で父親は70歳だった
朝起きると父親が布団の中で冷たくなっていた
俺は一人っ子だし親戚付き合いも希薄だから魔が差したんだ
119に通報して
「息子が死んでる」
って言った
3:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:12:23.130ID:iKN2qfpxa.net
ほう
5:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:12:41.813ID:1MM0NgnAx.net
お前70と見分けつかないくらい老けてんの?
10:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:15:28.381ID:a2985X5Gd.net
ミステリーかよ
11:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:15:29.101ID:OkzJ9400M.net
数十分後何故か救急車だけでなく警察も来た
どうやら自宅で死んだ場合は事件性がないか家族に一応確認するらしい
俺は息子が朝食の時間になっても部屋から出てこないから様子を見たら死んでいたと言うような説明をした
その後は病院で俺の死亡診断書を作成して貰って役所に届け出た
12:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:15:41.158ID:DyGO76rG0.net
1巻だけ面白いタイプの漫画
16:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:20:55.578ID:OkzJ9400M.net
俺は半分引きこもりで太っているから老けて見える
父親は現役のころから健康に気を使っていたから年の割に見た目は若かった
それでも死ぬときは死ぬ
死因は心筋梗塞だった
俺は参列者ひとりだけの家族葬を行い父親を火葬した
俺は三流大学を中退してから少しバイトをして後はずっと無職だったから親戚には居ないものとして扱われていた
だから火葬が終わってから親戚に連絡しても何も言われなかった
正直少し悲しくもあったがこれで俺という存在は消えた
18:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:25:06.663ID:OkzJ9400M.net
俺が入れ替わりをしようと考えたのは父親が俺に医療保険がメインの生命保険をかけていたのを知っていたというのが大きい
死亡時の保険金は1000万円だった
更に父親が退職金や年金を溜めこんでいたのも薄々感づいていた
俺は月に5000円の小遣いしか貰っていなかったからな
父親の貯金は3000万円以上あった
19:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:29:14.197ID:OkzJ9400M.net
タンスに入っていた父親の通帳の下に封筒があって俺宛の手紙が入っていた
そこには俺のために金を残していること
父親が死んでもこの金で暫くは生活できるだろうが一生は無理だから働けとか
お前はやれば出来る息子だとか書いてあった
俺は父親とそこまで仲が良かったわけじゃないし正直この手紙も説教臭いと思った
20:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:30:18.142ID:1Orwwkf40.net
マジモンのクズ
21:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:32:18.462ID:OkzJ9400M.net
当面は保険金と貯金で生活出来る
しかし俺がこの入れ替わりで一番期待していたのはこんなモノじゃない
父親の年金だ
書類上は父親は生きているから年金を貰えるのだ
父親はそれなりの会社に勤めていたから俺は月額にして20万近くの収入源を手に入れた
22:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:35:27.840ID:aMt4KnzKa.net
どこかに叙述トリックがあるはず
気を抜くなよお前ら
23:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:37:13.480ID:OkzJ9400M.net
こうして俺は死んだ父親と入れ替わることによって働かずにまとまった貯金と安定した収入を手に入れた
最初の1年は良かった
ゲームやアニメのBDBOXを買ったりしてこの世の春を謳歌した
人生で初めて風俗にも行った
出前で高い寿司を食ったりもした
24:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:42:17.598ID:OkzJ9400M.net
でもそんな日々も長くは続かなかった
俺の住んでいる地域で高齢者一人世帯の戸別訪問が始まったんだ
最初は適当に追い返していたんだけどあいつら公務員だからかやたらとしつこい
その上最初はお若いですねーとか言ってた癖に最近は俺のことを疑ってるような気がしてきた
25:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:54:52.808ID:RlouGd0Ed.net
ホントならすげえ
26:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:03:23.149ID:OkzJ9400M.net
すまん来客だった
それから俺は毎日いつバレるかと不安でその事しか考えられなくなった
いかに戸別訪問のヤツらを騙すか必死だった
それまで楽しかったゲームやアニメに集中出来なくなった
ノイローゼみたいになっていた
ある時俺は全てを明かして楽になろうと決意した
28:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:17:53.771ID:OkzJ9400M.net
俺は戸別訪問のおばちゃんに俺が俺であることを説明した
一番俺のことを疑ってるように見えたおばちゃんだ
俺の話を聞いたおばちゃんは泣き出した
かわいそうにかわいそうにって
29:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:24:05.334ID:OkzJ9400M.net
俺は初めは俺のやったことに対して泣いてるんだと思った
でも違った
おばちゃんは息子さんが死んだのを受け入れられないんだね
私たちがいるからねみたいな事を言っていた
どうやら俺は疑われていると勘違いしていたみたいだった
その後も何度も説明したけどおばちゃんは全然信じてくれなかった
30:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:31:20.818ID:OkzJ9400M.net
その日おばちゃんは結局最後まで信じてくれずに帰っていった
俺はもう父親のふりをするのに疲れていた
夕方近所の交番に行って同じ話をしたけどやっぱり信じて貰えなかった
次の日また戸別訪問が来た
ただいつもと様子が違った
結論から言うと俺は認知症の疑いで入院させられた
31:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:39:48.600ID:OkzJ9400M.net
入院した病院で検査を受けたけど俺は認知症ではなく重度の虚言癖だと診断された
ようするに誰も俺が俺だって信じてくれなかった
俺は嘘つきになってしまった
32:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:40:52.721ID:H7/cbeDB0.net
なんだそりゃwww
33:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:43:41.701ID:Ulc2d3i30.net
何か星新一のショートショートにありそうな話だな
36:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:47:45.334ID:xtljKNyed.net
落語に出来そうないい流れだ
37:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:51:37.811ID:OkzJ9400M.net
その後も何度か俺が俺だと主張したけど老人の戯言としか受け取って貰えなかった
結果として俺は父親との入れ替わりに完全に成功した
金銭的にはなに不自由なく暮らせるけど俺は世間から消えてしまった
信じて貰えないかもしれないけど本当の話だ
38:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:52:48.780ID:sFdA9TLyr.net
世界最高齢になれそう
40:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:55:46.696ID:OkzJ9400M.net
俺不健康だから無理だよ
43:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)17:00:49.473ID:xtljKNyed.net
オチが弱いからお前は精神病んで本当に自分が親父なんだと思い込むことにして
44:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)17:01:56.664ID:Ulc2d3i30.net
え?終わり?オチは?
48:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)17:06:11.833ID:OkzJ9400M.net
実話なんだからオチとか言われても困るよ
50:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)17:08:59.160ID:M6yCdMghM.net
世にも奇妙ななら
本当に体が入れ替わってたってパターンかな
54:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)17:16:30.458ID:OkzJ9400M.net
まぁ作り話だよ
殆ど思いつきで書いたんだけど意外とウケてうれしい
最後は>>43も良いな
ちなみに実はこれ半分実話なんだ
俺が無職で親が老人でまもなく死にそうってとこな
55:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)17:17:07.778ID:fvDhT5yS0.net
>>54
最後のが一番怖いじゃねえか
60:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)17:25:31.200ID:dNzmO1E0a.net
>>54
いいオチがついたな
66:過去ログ★[]
■このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
引用元:3年前父親が死んだ時に俺が死んだ事にした話
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1553667103/
.
母親は俺が小さい頃に死んだ
俺は32歳の無職で父親は70歳だった
朝起きると父親が布団の中で冷たくなっていた
俺は一人っ子だし親戚付き合いも希薄だから魔が差したんだ
119に通報して
「息子が死んでる」
って言った
3:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:12:23.130ID:iKN2qfpxa.net
ほう
5:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:12:41.813ID:1MM0NgnAx.net
お前70と見分けつかないくらい老けてんの?
10:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:15:28.381ID:a2985X5Gd.net
ミステリーかよ
11:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:15:29.101ID:OkzJ9400M.net
数十分後何故か救急車だけでなく警察も来た
どうやら自宅で死んだ場合は事件性がないか家族に一応確認するらしい
俺は息子が朝食の時間になっても部屋から出てこないから様子を見たら死んでいたと言うような説明をした
その後は病院で俺の死亡診断書を作成して貰って役所に届け出た
12:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:15:41.158ID:DyGO76rG0.net
1巻だけ面白いタイプの漫画
16:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:20:55.578ID:OkzJ9400M.net
俺は半分引きこもりで太っているから老けて見える
父親は現役のころから健康に気を使っていたから年の割に見た目は若かった
それでも死ぬときは死ぬ
死因は心筋梗塞だった
俺は参列者ひとりだけの家族葬を行い父親を火葬した
俺は三流大学を中退してから少しバイトをして後はずっと無職だったから親戚には居ないものとして扱われていた
だから火葬が終わってから親戚に連絡しても何も言われなかった
正直少し悲しくもあったがこれで俺という存在は消えた
18:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:25:06.663ID:OkzJ9400M.net
俺が入れ替わりをしようと考えたのは父親が俺に医療保険がメインの生命保険をかけていたのを知っていたというのが大きい
死亡時の保険金は1000万円だった
更に父親が退職金や年金を溜めこんでいたのも薄々感づいていた
俺は月に5000円の小遣いしか貰っていなかったからな
父親の貯金は3000万円以上あった
19:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:29:14.197ID:OkzJ9400M.net
タンスに入っていた父親の通帳の下に封筒があって俺宛の手紙が入っていた
そこには俺のために金を残していること
父親が死んでもこの金で暫くは生活できるだろうが一生は無理だから働けとか
お前はやれば出来る息子だとか書いてあった
俺は父親とそこまで仲が良かったわけじゃないし正直この手紙も説教臭いと思った
20:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:30:18.142ID:1Orwwkf40.net
マジモンのクズ
21:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:32:18.462ID:OkzJ9400M.net
当面は保険金と貯金で生活出来る
しかし俺がこの入れ替わりで一番期待していたのはこんなモノじゃない
父親の年金だ
書類上は父親は生きているから年金を貰えるのだ
父親はそれなりの会社に勤めていたから俺は月額にして20万近くの収入源を手に入れた
22:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:35:27.840ID:aMt4KnzKa.net
どこかに叙述トリックがあるはず
気を抜くなよお前ら
23:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:37:13.480ID:OkzJ9400M.net
こうして俺は死んだ父親と入れ替わることによって働かずにまとまった貯金と安定した収入を手に入れた
最初の1年は良かった
ゲームやアニメのBDBOXを買ったりしてこの世の春を謳歌した
人生で初めて風俗にも行った
出前で高い寿司を食ったりもした
24:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:42:17.598ID:OkzJ9400M.net
でもそんな日々も長くは続かなかった
俺の住んでいる地域で高齢者一人世帯の戸別訪問が始まったんだ
最初は適当に追い返していたんだけどあいつら公務員だからかやたらとしつこい
その上最初はお若いですねーとか言ってた癖に最近は俺のことを疑ってるような気がしてきた
25:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)15:54:52.808ID:RlouGd0Ed.net
ホントならすげえ
26:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:03:23.149ID:OkzJ9400M.net
すまん来客だった
それから俺は毎日いつバレるかと不安でその事しか考えられなくなった
いかに戸別訪問のヤツらを騙すか必死だった
それまで楽しかったゲームやアニメに集中出来なくなった
ノイローゼみたいになっていた
ある時俺は全てを明かして楽になろうと決意した
28:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:17:53.771ID:OkzJ9400M.net
俺は戸別訪問のおばちゃんに俺が俺であることを説明した
一番俺のことを疑ってるように見えたおばちゃんだ
俺の話を聞いたおばちゃんは泣き出した
かわいそうにかわいそうにって
29:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:24:05.334ID:OkzJ9400M.net
俺は初めは俺のやったことに対して泣いてるんだと思った
でも違った
おばちゃんは息子さんが死んだのを受け入れられないんだね
私たちがいるからねみたいな事を言っていた
どうやら俺は疑われていると勘違いしていたみたいだった
その後も何度も説明したけどおばちゃんは全然信じてくれなかった
30:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:31:20.818ID:OkzJ9400M.net
その日おばちゃんは結局最後まで信じてくれずに帰っていった
俺はもう父親のふりをするのに疲れていた
夕方近所の交番に行って同じ話をしたけどやっぱり信じて貰えなかった
次の日また戸別訪問が来た
ただいつもと様子が違った
結論から言うと俺は認知症の疑いで入院させられた
31:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:39:48.600ID:OkzJ9400M.net
入院した病院で検査を受けたけど俺は認知症ではなく重度の虚言癖だと診断された
ようするに誰も俺が俺だって信じてくれなかった
俺は嘘つきになってしまった
32:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:40:52.721ID:H7/cbeDB0.net
なんだそりゃwww
33:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:43:41.701ID:Ulc2d3i30.net
何か星新一のショートショートにありそうな話だな
36:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:47:45.334ID:xtljKNyed.net
落語に出来そうないい流れだ
37:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:51:37.811ID:OkzJ9400M.net
その後も何度か俺が俺だと主張したけど老人の戯言としか受け取って貰えなかった
結果として俺は父親との入れ替わりに完全に成功した
金銭的にはなに不自由なく暮らせるけど俺は世間から消えてしまった
信じて貰えないかもしれないけど本当の話だ
38:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:52:48.780ID:sFdA9TLyr.net
世界最高齢になれそう
40:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)16:55:46.696ID:OkzJ9400M.net
俺不健康だから無理だよ
43:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)17:00:49.473ID:xtljKNyed.net
オチが弱いからお前は精神病んで本当に自分が親父なんだと思い込むことにして
44:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)17:01:56.664ID:Ulc2d3i30.net
え?終わり?オチは?
48:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)17:06:11.833ID:OkzJ9400M.net
実話なんだからオチとか言われても困るよ
50:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)17:08:59.160ID:M6yCdMghM.net
世にも奇妙ななら
本当に体が入れ替わってたってパターンかな
54:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)17:16:30.458ID:OkzJ9400M.net
まぁ作り話だよ
殆ど思いつきで書いたんだけど意外とウケてうれしい
最後は>>43も良いな
ちなみに実はこれ半分実話なんだ
俺が無職で親が老人でまもなく死にそうってとこな
55:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)17:17:07.778ID:fvDhT5yS0.net
>>54
最後のが一番怖いじゃねえか
60:以下、VIPがお送りします[]2019/03/27(水)17:25:31.200ID:dNzmO1E0a.net
>>54
いいオチがついたな
66:過去ログ★[]
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http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1553667103/
.
僕には産まれた時から父がおらず、母に育てられてきた
2019.04.13 (Sat) | Category : 創作作品
809:本当にあった怖い名無し:2007/02/26(月)22:19:06ID:HNQoYsT7O
僕には産まれた時から父がおらず、母に育てられてきた。
あまり話したがらないが、母は、父は病死したと言っていた。
それだからか、母方の祖父はしょっちゅう遊びに来てくれて、僕にとって祖父が父親代わりだった。
しかし、母からも祖父からも、父の写真を見せてもらったことはなかった。
そして、東京の大学でU(仮名)と知り合い、以来4年に渡って交際を続けてきた。
6月の終わり頃、僕はUの実家にそろそろ挨拶に行きたいと言った。
Uは今度実家に連絡すると言ってくれた。
翌日にはUからOKの返事をもらい、週末に2人で実家に出向くことになった。
しかし、Uは何故かあまり乗り気ではなかった。
その日は雨だった。
駅からタクシーで30分程で、Uの実家に着いた。
とても大きく、いかにもといった感じの日本家屋だった。
建てられてから軽く100年は経っているだろう。
庭には大きな松と紅葉の木があり、塀から高く突き出していた。
また、この家は他の家と離れており、小高い丘の上にあった。
しかし、周りはちょっとした林になっていて、丘の下を見渡せる訳ではなかった。
入口にはUのおじいさんがいた。
待ちきれなくて出てきたのだろうとUは笑っていた。
そしておじいさんはこちらに気づくと、にっこり微笑んだ。
しかし、すぐに笑顔が凍り、とても驚いたような表情になった。
おじいさんは何も言わず、ただ僕の顔を凝視していた。
どうやら僕を見て驚いたらしい。
僕は早速何かやらかしてしまったのかと焦ってしまったが、すぐおじいさんは気をとりなおしたようにまた笑顔になり、僕たちを客間に案内してくれた。
810:本当にあった怖い名無し:2007/02/26(月)22:23:23ID:HNQoYsT7O
しかし、僕にはおじいさんの顔はまだ引きつっているように見えた。
客間に着くと、僕はすぐにおじいさんに、Uと結婚を前提にお付き合いしていると挨拶した。
しかしおじいさんは腕を組み、さっきのような驚いた表情ではなく、今度は難しい顔をして黙ってしまった。
何か考え込んでいるようだった。
そこに、外から車の音がした。
Uは
「お母さんとお父さんが帰ってきた」
と言った。
そして間もなく玄関から話し声が聞こえ、客間にUのお父さんとお母さんが姿を現わした。
予想はしていたが、やはり2人は僕を見るなりすぐに信じられないといった表情になり、その場に凍りついてしまった。
Uは何が何だかさっぱり分からないという顔をしており、この状況に戸惑っていた。
僕も同じだった。
その時おじいさんが立ち上がり
「ちょっと待っていてくれ」
と言い、Uの両親を連れてどこかへ行ってしまった。
Uは僕にごめんなさい、と謝っていた。
しばらくしておじいさんだけが戻ってきて
「今日はもう遅いから泊まって行きなさい」
とだけ言い、また去っていった。
夕食の時はおじいさんも両親も、先程とはうってかわって僕にいろいろと話しかけてきてくれた。
しかし、やはりどこかぎこちない感じがした。
むりやり話をしているような、何かを隠しているような・・・そんなふうに見えた。
風呂を済ませ、僕はUにこの家のことをいろいろ聞いてみた。
しかし、Uは返事らしい返事をしてくれず、枕を抱えて俯いていた。
何かを怖がっているようだった。
僕は
「どうしたの?」
と尋ねたが、Uは寝よう、とだけ言ってさっさと寝てしまった。
811:本当にあった怖い名無し:2007/02/26(月)22:31:27ID:HNQoYsT7O
明らかに様子がおかしかったが、夜も遅かったので僕もとりあえず電気を消して床についた。
その時だった。
バンッ!ガスッ!ドスッ!・・・ガンガンガン!・・・・・・
どこからかものすごい音が響いてきた。
ガンガンガンガン!!・・・ドカッ!ドン!・・・
めちゃくちゃに何かを叩きつける音・・・僕は夢の怖さに似たような、訳の分からない気持ちに襲われた。
Uが、僕の手を痛いくらいに握りしめてくる。
ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン!!!!!
降りしきる雨の中、正体の分からない、狂気に満ちた音が轟く。
1時間くらい続いただろうか・・・正確な時間など分からない。
ドンッ!・・・ガンガンガン!・・・ガン、カン・・・
不規則なこの音は、始まった時と同じく、突然止んだ。
いきなり訪れた静寂に、僕はすぐに安堵することはできなかった。
心臓の鼓動で自分の存在を、その得体の知れない何かに気取られるような気がしたからだ。
しかしこれ以降、さっきの凄まじい音が聞こえることはなく、安心したからか、僕はすぐに眠りに落ちていった。
812:本当にあった怖い名無し:2007/02/26(月)22:37:56ID:HNQoYsT7O
翌朝、障子越しに差し込む日の光で目が覚めた。
昨夜のあのできごとが現実なのか夢なのか、区別がつかないような気がした。
僕はUに昨日のことについて聞いてみた。
Uによると、これはときどき起こることらしかった。
しかし決まった日に起こるようなものではなく、その時間もまちまちなのだという。
そして、かつてUがおじいさんに聞いた時には、
「鬼が暴れている」
と言われたそうだ。
Uが乗り気でなかったのは、この家でいつ昨日のようなことが起こるか分からないからだったらしい。
昼過ぎ、また空が曇ってきた。
Uの両親は病院に行くらしく、30分程前に車に乗って出かけていた。
本当は2人にも居てもらいたかったが、とりあえず僕はおじいさんに改めて真剣に付き合っていると挨拶した。
・・・しかし、返ってきた答えは
「賛成しかねる」
だった。
すかさずUが
「なんで!?」
と切り返すが、おじいさんは答えなかった。
「・・・昨日S(僕の名前)見て驚いてたのと関係あるんじゃないの!?」
おじいさんは困った顔をしながら僕たちを見ていた。
Uは怒ったようにおじいさんを問い詰める。
しばらくして、おじいさんが口を開いた。
おじいさんによると、僕はある嫌な過去を思い出させるのだという。
813:本当にあった怖い名無し:2007/02/26(月)22:45:37ID:HNQoYsT7O
Uのお母さんは小さい頃、Uのおばあさんに虐待を受けていて、そのことが明るみに出ると、おばあさんはすぐに自殺してしまったらしい。
おばあさんは気を病んでいて、病院通いだったらしい。
このことはお母さんの心に大きな傷を残した。
時が経ち、お母さんは1人の男と付き合い始めた。
しかしお母さんはすぐにここに逃げてきた。
この男は粗暴な奴で、すぐにお母さんに暴力を振るったらしい。
慢性的に続く暴力に耐えられなくなったらしい。
そして、後にお母さんは今のお父さんと知り合い、Uが産まれた。
ここまで聞いて、Uはとても驚いていたようだが、すぐに
「それとSとどんな関係があるの?」
と聞いた。
おじいさんによると、僕の顔が、かつてお母さんに暴力を振るったその男にそっくりらしい。
Uは何か言いかけたが、おじいさんは
「お父さんとお母さんの意見を聞こう」
と言い、また黙り込んでしまった。
嫌な沈黙が続く。
・・・しばらくして、今度は僕が口を開いた。
朝から感じていた疑問をぶつけてみた。
「昨日、何かを叩きつけるようなすごい音が聞こえたんですが・・・?」
おじいさんは腕を組んで黙ったままだった。
「鬼がいる、とか」
おじいさんはしばらく黙っていたが、口を開いた。
「たしかに・・・ここでは鬼がたまに暴れる。部屋に閉じ込めておる。台所の隣の廊下の部屋じゃ。近づいてはならん」
Uはお母さんの過去については全く知らず、「鬼」がいるらしいその部屋に入ったことはなかった。
夜になり、雨が降り出した。Uの両親は帰って来ず、夕食は3人だけだった。
昨日と違い、おじいさんは僕に話しかけることはなく終始無言で、とても気まずい時間だった。
風呂を済ませ、僕は寝室に行った。
昨日のこともあり、Uは不安で仕方ないというような顔をしていたし、僕もそうだっただろう。
電気を消そうとする僕の手が震えていた。
それでもなんとか電気を消した。
昨日のような轟音はなかった。
いつ来るか分からないという恐怖と長い間戦っていたが、いつの間にか眠ってしまった。
814:本当にあった怖い名無し:2007/02/26(月)22:52:11ID:HNQoYsT7O
・・・プルルルル・・・
・・・プルルルル・・・
規則的に鳴るベルの音。
僕は電話の音で目が覚めた。
隣を見ると、Uも目を覚ましていた。
雨はしとしとと降り続けていた。
その中、電話の呼出音が響く。
「電話に出てくる」
と言いUが立ち上がりかけた時、電話は鳴りやんだ。
「・・・なんだ」
と少し残念そうに言ってUが布団に入りかけたその時、
コツコツコツ・・・
足音が聞こえた。
最初はおじいさんかと思ったが、その考えはすぐに捨てた。
おじいさんなら、裸足かスリッパを履いているはずだが、この音は間違いなく靴のそれだった。
そして板張りの廊下を歩いているであろうその足音は、こちらに近づいていた。
この部屋に居てはまずい、そう直感した。
この時、僕は何故か足音の主が泥棒の類ではないと、確信していた。
僕はUを連れて、立ち上がらず、座ったまま滑るようにして襖に近づいた。
ゆっくりと襖を開ける。
襖にかける手が嫌な汗をかいている。
足音は僕たちの部屋に迫っていた。
しかしここで音を立てたら万事休すだ。
ぎりぎり人1人が通れるスペースまで開けて、Uを中に入れ、続いて僕が入り、襖を閉めたその時、
スゥーーーッ・・・
襖が開いた。
そして、とても近くで畳の上を歩く音が聞こえた。
・・・僕たちがさっきまで居た部屋に居る!
817:本当にあった怖い名無し:2007/02/26(月)23:00:13ID:HNQoYsT7O
僕は震える手でまた襖を開け、僕たちは廊下に出た。
そして、僕たちはできる限り音を立てずに移動し、隠れられる部屋を探し台所まで来たその時、
コツコツコツ・・・
足音が背後から近づいてくるのを感じた。
Uは悲鳴を上げる寸前だったが、なんとか押さえた。
僕たちは横の廊下に入り、近くの部屋に入った。
裸電球が黄色い薄明かりを放っていた。
それに照らされ・・・無数の壁の穴、引っ掻き傷が露になった。
何かが暴れた痕のようだった。
僕は戦慄した。
ここはもしかして、あの部屋なんじゃ・・・
その時、
ヒタヒタヒタ・・・
今度は裸足の足音が近づく。それは真っ直ぐこちらに向かって来た。そして扉の前に来て、
カチャ・・・
扉が開き、おじいさんが現れた。
「早く逃げろ!」
小声だが危機迫る口調だった。
その時だった。
ガスッ!バタッ・・・
何かがおじいさんを強打し、彼はその場に倒れた。
そして、入口に別の人影が現れた。
819:本当にあった怖い名無し:2007/02/26(月)23:03:36ID:HNQoYsT7O
右手にバットを持つ、ずぶ濡れの・・・Uのお母さん。
その形相は正に「鬼」のようだった。
「なんで、生きている」
お母さんが呟いた。
その声は冷たく、激しい憎しみが込められていた。
「・・・お前は殺したはず」
お母さんが殺した?
「死ね」
僕「え?」
「死ねええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」
お母さんが僕目掛けてバットを振り下ろす!
間一髪でそれを避ける。
ガンッ!と床が大きな音を立てる。
「逃げろ!!」
僕はUに叫んだ。
しかしUは根が生えたようにその場から動かない。
「早く!!」
再び叫んだその時、
ガンッ!
脳天に衝撃を受けた。
倒れる一瞬、Uが入口に走るのが見えた。
床に倒れた僕をお母さんが見下ろす。
その無表情さに鳥肌が立った。
少しの間、僕とお母さんは見つめあった。
そして、お母さんは目を見開き顔を歪め、ぞっとするような笑みを浮かべた。
朦朧とする意識の中、バットを振り上げる姿が見えた。
821:本当にあった怖い名無し:2007/02/26(月)23:06:57ID:HNQoYsT7O
これ程死を身近に感じたことはなかった・・・その時、
ダダダダダダ!
誰かが走ってくる。
お母さんが後ろを向いた瞬間、
バリンッ!!・・・ドサッ・・・
お母さんが倒れた。
僕の視界に多数のガラスの破片が見えた。
Uが、ビンの口の部分だけを持って立っていた。
そして、僕に駆け寄ってきた。
U「大丈夫!?」
それから僕はUに支えられながら家を飛び出し、雨でずぶ濡れになりながら丘を下り、一番近い家に助けを求めた。
そしてすぐ、警察に連絡した。
空は白み始めていた。
30分程で警察が僕たちの元に到着し、僕たちは病院に直行し、他のパトカーはUの実家に向かった。
翌朝、検査入院でベッドに寝ていた僕と付き添っているUの元に、Uのお父さんが駆けつけた。
警察が実家に入り、おじいさんが無事保護されたらしい。
しかしUが
「お母さんは?」
と尋ねると、お父さんは俯いた。
「お母さんは、ガラス瓶で、おそらく自分で首を切って、死んでいたらしい」
822:本当にあった怖い名無し:2007/02/26(月)23:10:59ID:HNQoYsT7O
泣きじゃくるUを宥めた後、お父さんは語り出した。
お母さんは解離性同一性障害、つまり二重人格だったのだという。
元々の原因はおそらく幼い頃の虐待。
初めて症状が出始めたのは、お母さんが例の暴力を振るった男から逃げてきた後かららしい。
もう1人のお母さんはとにかく凶暴で、男の力でも押えるのが難しかった。
病院から出される薬で改善はしていたが、まだ危険であることには変わらなかった。
そこで、昼間は常にお父さんと一緒に行動し、夜は部屋を1つ設けお母さんを隔離し、暴れても被害が広がらないようにした。
それこそが「鬼」を封じたあの部屋、無数の穴や傷があったあの部屋だった。
娘であるUに真相を知られないようにするため、みんなで「鬼がいる」などと嘘をついたのだ。
そこに、お母さんの人生を狂わせた引き金になった男に瓜二つの僕が現れた。
それであの時の記憶が甦ったのだろう、とお父さんは言った。
昨日病院に行った時、お母さんはそのまま入院するはずだったらしい。
本当はもっと早く入院させるべきだったろうが、お父さんはそれを望まなかった。
お母さんと離れたくなかった。
そしてお母さんの人格は入れ替わり、夜に病院を抜け出した。
お父さんは主治医と話していて、そのことに気づかなかった。
急いで家に電話をかけ、おじいさんに知らせた。
と、ここまで話終えてお父さんは僕たちに
「すまない」
と言いと頭を下げ、病室を出ていった。
823:本当にあった怖い名無し:2007/02/26(月)23:16:35ID:HNQoYsT7O
それから僕の母が駆けつけた。
僕はすぐに母に質問した。
「父さんはどういう人だったの?」
母は黙っていたが、やがて口を開いた。
母は、父に半ば犯されるような形で妊娠し、僕が産まれたらしい。
そして何より衝撃的だったのは、父は病死ではなく、何者かに殺されたということだった。
僕はUのお母さんの
「お前は殺したはず」
という言葉を思い出した。
Uのお母さんに暴力を振るったのは多分僕の父で、お母さんはそれに耐えかねて父を殺した。
これに対する罪の意識と幼い頃の記憶でお母さんの精神は限界を越え、その重圧を回避するためにもう1つの人格が現れた。
そして夜、僕のことを父と思い込んで襲った・・・
Uも僕と同じことを考えたのか、心がどこかに飛んで行ってしまったような表情をしていた。
母は泣きながら僕たちに
「ごめんなさい」
と言った。
数日後僕は退院した。
病院の入口でUと、Uのお父さんとおじいさんが迎えに来ていた。
僕はおじいさんと話をした。
僕「申し訳ありません。こんなことになったのも、全部僕の責任です。僕が来てしまったからです」
おじいさんは黙っていた。
そして、Uのお父さんが口を開いた。
「母さんは君たちのことに賛成していたよ」
「あと、それには自分の存在が邪魔だって。自分はもしかしたら君を襲ってしまうかもしれないって言ってた。だから母さんは、自殺したんだと思う。君たちには幸せになってもらいたいって何度も言ってたからね」
824:本当にあった怖い名無し:2007/02/26(月)23:19:19ID:HNQoYsT7O
次に、おじいさんが僕の目を見て言った。
「Uを不幸にしないと言い切れるか?」
僕は少し間を置いて、
「はい」
と答えた。
それから何年か過ぎた今、僕はUと結婚披露宴の準備をしている。
母も、Uのお父さんとおじいさんも出席する予定だ。
僕はUのおじいさんとの約束を、Uのお母さんの願いを実現しようと、心に誓っている。
820:本当にあった怖い名無し:2007/02/26(月)23:04:45ID:kgQcmqY60
つ【創作文芸】
引用元:死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?158
https://hobby9.5ch.net/test/read.cgi/occult/1171708347/809-824
.
僕には産まれた時から父がおらず、母に育てられてきた。
あまり話したがらないが、母は、父は病死したと言っていた。
それだからか、母方の祖父はしょっちゅう遊びに来てくれて、僕にとって祖父が父親代わりだった。
しかし、母からも祖父からも、父の写真を見せてもらったことはなかった。
そして、東京の大学でU(仮名)と知り合い、以来4年に渡って交際を続けてきた。
6月の終わり頃、僕はUの実家にそろそろ挨拶に行きたいと言った。
Uは今度実家に連絡すると言ってくれた。
翌日にはUからOKの返事をもらい、週末に2人で実家に出向くことになった。
しかし、Uは何故かあまり乗り気ではなかった。
その日は雨だった。
駅からタクシーで30分程で、Uの実家に着いた。
とても大きく、いかにもといった感じの日本家屋だった。
建てられてから軽く100年は経っているだろう。
庭には大きな松と紅葉の木があり、塀から高く突き出していた。
また、この家は他の家と離れており、小高い丘の上にあった。
しかし、周りはちょっとした林になっていて、丘の下を見渡せる訳ではなかった。
入口にはUのおじいさんがいた。
待ちきれなくて出てきたのだろうとUは笑っていた。
そしておじいさんはこちらに気づくと、にっこり微笑んだ。
しかし、すぐに笑顔が凍り、とても驚いたような表情になった。
おじいさんは何も言わず、ただ僕の顔を凝視していた。
どうやら僕を見て驚いたらしい。
僕は早速何かやらかしてしまったのかと焦ってしまったが、すぐおじいさんは気をとりなおしたようにまた笑顔になり、僕たちを客間に案内してくれた。
810:本当にあった怖い名無し:2007/02/26(月)22:23:23ID:HNQoYsT7O
しかし、僕にはおじいさんの顔はまだ引きつっているように見えた。
客間に着くと、僕はすぐにおじいさんに、Uと結婚を前提にお付き合いしていると挨拶した。
しかしおじいさんは腕を組み、さっきのような驚いた表情ではなく、今度は難しい顔をして黙ってしまった。
何か考え込んでいるようだった。
そこに、外から車の音がした。
Uは
「お母さんとお父さんが帰ってきた」
と言った。
そして間もなく玄関から話し声が聞こえ、客間にUのお父さんとお母さんが姿を現わした。
予想はしていたが、やはり2人は僕を見るなりすぐに信じられないといった表情になり、その場に凍りついてしまった。
Uは何が何だかさっぱり分からないという顔をしており、この状況に戸惑っていた。
僕も同じだった。
その時おじいさんが立ち上がり
「ちょっと待っていてくれ」
と言い、Uの両親を連れてどこかへ行ってしまった。
Uは僕にごめんなさい、と謝っていた。
しばらくしておじいさんだけが戻ってきて
「今日はもう遅いから泊まって行きなさい」
とだけ言い、また去っていった。
夕食の時はおじいさんも両親も、先程とはうってかわって僕にいろいろと話しかけてきてくれた。
しかし、やはりどこかぎこちない感じがした。
むりやり話をしているような、何かを隠しているような・・・そんなふうに見えた。
風呂を済ませ、僕はUにこの家のことをいろいろ聞いてみた。
しかし、Uは返事らしい返事をしてくれず、枕を抱えて俯いていた。
何かを怖がっているようだった。
僕は
「どうしたの?」
と尋ねたが、Uは寝よう、とだけ言ってさっさと寝てしまった。
811:本当にあった怖い名無し:2007/02/26(月)22:31:27ID:HNQoYsT7O
明らかに様子がおかしかったが、夜も遅かったので僕もとりあえず電気を消して床についた。
その時だった。
バンッ!ガスッ!ドスッ!・・・ガンガンガン!・・・・・・
どこからかものすごい音が響いてきた。
ガンガンガンガン!!・・・ドカッ!ドン!・・・
めちゃくちゃに何かを叩きつける音・・・僕は夢の怖さに似たような、訳の分からない気持ちに襲われた。
Uが、僕の手を痛いくらいに握りしめてくる。
ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン!!!!!
降りしきる雨の中、正体の分からない、狂気に満ちた音が轟く。
1時間くらい続いただろうか・・・正確な時間など分からない。
ドンッ!・・・ガンガンガン!・・・ガン、カン・・・
不規則なこの音は、始まった時と同じく、突然止んだ。
いきなり訪れた静寂に、僕はすぐに安堵することはできなかった。
心臓の鼓動で自分の存在を、その得体の知れない何かに気取られるような気がしたからだ。
しかしこれ以降、さっきの凄まじい音が聞こえることはなく、安心したからか、僕はすぐに眠りに落ちていった。
812:本当にあった怖い名無し:2007/02/26(月)22:37:56ID:HNQoYsT7O
翌朝、障子越しに差し込む日の光で目が覚めた。
昨夜のあのできごとが現実なのか夢なのか、区別がつかないような気がした。
僕はUに昨日のことについて聞いてみた。
Uによると、これはときどき起こることらしかった。
しかし決まった日に起こるようなものではなく、その時間もまちまちなのだという。
そして、かつてUがおじいさんに聞いた時には、
「鬼が暴れている」
と言われたそうだ。
Uが乗り気でなかったのは、この家でいつ昨日のようなことが起こるか分からないからだったらしい。
昼過ぎ、また空が曇ってきた。
Uの両親は病院に行くらしく、30分程前に車に乗って出かけていた。
本当は2人にも居てもらいたかったが、とりあえず僕はおじいさんに改めて真剣に付き合っていると挨拶した。
・・・しかし、返ってきた答えは
「賛成しかねる」
だった。
すかさずUが
「なんで!?」
と切り返すが、おじいさんは答えなかった。
「・・・昨日S(僕の名前)見て驚いてたのと関係あるんじゃないの!?」
おじいさんは困った顔をしながら僕たちを見ていた。
Uは怒ったようにおじいさんを問い詰める。
しばらくして、おじいさんが口を開いた。
おじいさんによると、僕はある嫌な過去を思い出させるのだという。
813:本当にあった怖い名無し:2007/02/26(月)22:45:37ID:HNQoYsT7O
Uのお母さんは小さい頃、Uのおばあさんに虐待を受けていて、そのことが明るみに出ると、おばあさんはすぐに自殺してしまったらしい。
おばあさんは気を病んでいて、病院通いだったらしい。
このことはお母さんの心に大きな傷を残した。
時が経ち、お母さんは1人の男と付き合い始めた。
しかしお母さんはすぐにここに逃げてきた。
この男は粗暴な奴で、すぐにお母さんに暴力を振るったらしい。
慢性的に続く暴力に耐えられなくなったらしい。
そして、後にお母さんは今のお父さんと知り合い、Uが産まれた。
ここまで聞いて、Uはとても驚いていたようだが、すぐに
「それとSとどんな関係があるの?」
と聞いた。
おじいさんによると、僕の顔が、かつてお母さんに暴力を振るったその男にそっくりらしい。
Uは何か言いかけたが、おじいさんは
「お父さんとお母さんの意見を聞こう」
と言い、また黙り込んでしまった。
嫌な沈黙が続く。
・・・しばらくして、今度は僕が口を開いた。
朝から感じていた疑問をぶつけてみた。
「昨日、何かを叩きつけるようなすごい音が聞こえたんですが・・・?」
おじいさんは腕を組んで黙ったままだった。
「鬼がいる、とか」
おじいさんはしばらく黙っていたが、口を開いた。
「たしかに・・・ここでは鬼がたまに暴れる。部屋に閉じ込めておる。台所の隣の廊下の部屋じゃ。近づいてはならん」
Uはお母さんの過去については全く知らず、「鬼」がいるらしいその部屋に入ったことはなかった。
夜になり、雨が降り出した。Uの両親は帰って来ず、夕食は3人だけだった。
昨日と違い、おじいさんは僕に話しかけることはなく終始無言で、とても気まずい時間だった。
風呂を済ませ、僕は寝室に行った。
昨日のこともあり、Uは不安で仕方ないというような顔をしていたし、僕もそうだっただろう。
電気を消そうとする僕の手が震えていた。
それでもなんとか電気を消した。
昨日のような轟音はなかった。
いつ来るか分からないという恐怖と長い間戦っていたが、いつの間にか眠ってしまった。
814:本当にあった怖い名無し:2007/02/26(月)22:52:11ID:HNQoYsT7O
・・・プルルルル・・・
・・・プルルルル・・・
規則的に鳴るベルの音。
僕は電話の音で目が覚めた。
隣を見ると、Uも目を覚ましていた。
雨はしとしとと降り続けていた。
その中、電話の呼出音が響く。
「電話に出てくる」
と言いUが立ち上がりかけた時、電話は鳴りやんだ。
「・・・なんだ」
と少し残念そうに言ってUが布団に入りかけたその時、
コツコツコツ・・・
足音が聞こえた。
最初はおじいさんかと思ったが、その考えはすぐに捨てた。
おじいさんなら、裸足かスリッパを履いているはずだが、この音は間違いなく靴のそれだった。
そして板張りの廊下を歩いているであろうその足音は、こちらに近づいていた。
この部屋に居てはまずい、そう直感した。
この時、僕は何故か足音の主が泥棒の類ではないと、確信していた。
僕はUを連れて、立ち上がらず、座ったまま滑るようにして襖に近づいた。
ゆっくりと襖を開ける。
襖にかける手が嫌な汗をかいている。
足音は僕たちの部屋に迫っていた。
しかしここで音を立てたら万事休すだ。
ぎりぎり人1人が通れるスペースまで開けて、Uを中に入れ、続いて僕が入り、襖を閉めたその時、
スゥーーーッ・・・
襖が開いた。
そして、とても近くで畳の上を歩く音が聞こえた。
・・・僕たちがさっきまで居た部屋に居る!
817:本当にあった怖い名無し:2007/02/26(月)23:00:13ID:HNQoYsT7O
僕は震える手でまた襖を開け、僕たちは廊下に出た。
そして、僕たちはできる限り音を立てずに移動し、隠れられる部屋を探し台所まで来たその時、
コツコツコツ・・・
足音が背後から近づいてくるのを感じた。
Uは悲鳴を上げる寸前だったが、なんとか押さえた。
僕たちは横の廊下に入り、近くの部屋に入った。
裸電球が黄色い薄明かりを放っていた。
それに照らされ・・・無数の壁の穴、引っ掻き傷が露になった。
何かが暴れた痕のようだった。
僕は戦慄した。
ここはもしかして、あの部屋なんじゃ・・・
その時、
ヒタヒタヒタ・・・
今度は裸足の足音が近づく。それは真っ直ぐこちらに向かって来た。そして扉の前に来て、
カチャ・・・
扉が開き、おじいさんが現れた。
「早く逃げろ!」
小声だが危機迫る口調だった。
その時だった。
ガスッ!バタッ・・・
何かがおじいさんを強打し、彼はその場に倒れた。
そして、入口に別の人影が現れた。
819:本当にあった怖い名無し:2007/02/26(月)23:03:36ID:HNQoYsT7O
右手にバットを持つ、ずぶ濡れの・・・Uのお母さん。
その形相は正に「鬼」のようだった。
「なんで、生きている」
お母さんが呟いた。
その声は冷たく、激しい憎しみが込められていた。
「・・・お前は殺したはず」
お母さんが殺した?
「死ね」
僕「え?」
「死ねええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」
お母さんが僕目掛けてバットを振り下ろす!
間一髪でそれを避ける。
ガンッ!と床が大きな音を立てる。
「逃げろ!!」
僕はUに叫んだ。
しかしUは根が生えたようにその場から動かない。
「早く!!」
再び叫んだその時、
ガンッ!
脳天に衝撃を受けた。
倒れる一瞬、Uが入口に走るのが見えた。
床に倒れた僕をお母さんが見下ろす。
その無表情さに鳥肌が立った。
少しの間、僕とお母さんは見つめあった。
そして、お母さんは目を見開き顔を歪め、ぞっとするような笑みを浮かべた。
朦朧とする意識の中、バットを振り上げる姿が見えた。
821:本当にあった怖い名無し:2007/02/26(月)23:06:57ID:HNQoYsT7O
これ程死を身近に感じたことはなかった・・・その時、
ダダダダダダ!
誰かが走ってくる。
お母さんが後ろを向いた瞬間、
バリンッ!!・・・ドサッ・・・
お母さんが倒れた。
僕の視界に多数のガラスの破片が見えた。
Uが、ビンの口の部分だけを持って立っていた。
そして、僕に駆け寄ってきた。
U「大丈夫!?」
それから僕はUに支えられながら家を飛び出し、雨でずぶ濡れになりながら丘を下り、一番近い家に助けを求めた。
そしてすぐ、警察に連絡した。
空は白み始めていた。
30分程で警察が僕たちの元に到着し、僕たちは病院に直行し、他のパトカーはUの実家に向かった。
翌朝、検査入院でベッドに寝ていた僕と付き添っているUの元に、Uのお父さんが駆けつけた。
警察が実家に入り、おじいさんが無事保護されたらしい。
しかしUが
「お母さんは?」
と尋ねると、お父さんは俯いた。
「お母さんは、ガラス瓶で、おそらく自分で首を切って、死んでいたらしい」
822:本当にあった怖い名無し:2007/02/26(月)23:10:59ID:HNQoYsT7O
泣きじゃくるUを宥めた後、お父さんは語り出した。
お母さんは解離性同一性障害、つまり二重人格だったのだという。
元々の原因はおそらく幼い頃の虐待。
初めて症状が出始めたのは、お母さんが例の暴力を振るった男から逃げてきた後かららしい。
もう1人のお母さんはとにかく凶暴で、男の力でも押えるのが難しかった。
病院から出される薬で改善はしていたが、まだ危険であることには変わらなかった。
そこで、昼間は常にお父さんと一緒に行動し、夜は部屋を1つ設けお母さんを隔離し、暴れても被害が広がらないようにした。
それこそが「鬼」を封じたあの部屋、無数の穴や傷があったあの部屋だった。
娘であるUに真相を知られないようにするため、みんなで「鬼がいる」などと嘘をついたのだ。
そこに、お母さんの人生を狂わせた引き金になった男に瓜二つの僕が現れた。
それであの時の記憶が甦ったのだろう、とお父さんは言った。
昨日病院に行った時、お母さんはそのまま入院するはずだったらしい。
本当はもっと早く入院させるべきだったろうが、お父さんはそれを望まなかった。
お母さんと離れたくなかった。
そしてお母さんの人格は入れ替わり、夜に病院を抜け出した。
お父さんは主治医と話していて、そのことに気づかなかった。
急いで家に電話をかけ、おじいさんに知らせた。
と、ここまで話終えてお父さんは僕たちに
「すまない」
と言いと頭を下げ、病室を出ていった。
823:本当にあった怖い名無し:2007/02/26(月)23:16:35ID:HNQoYsT7O
それから僕の母が駆けつけた。
僕はすぐに母に質問した。
「父さんはどういう人だったの?」
母は黙っていたが、やがて口を開いた。
母は、父に半ば犯されるような形で妊娠し、僕が産まれたらしい。
そして何より衝撃的だったのは、父は病死ではなく、何者かに殺されたということだった。
僕はUのお母さんの
「お前は殺したはず」
という言葉を思い出した。
Uのお母さんに暴力を振るったのは多分僕の父で、お母さんはそれに耐えかねて父を殺した。
これに対する罪の意識と幼い頃の記憶でお母さんの精神は限界を越え、その重圧を回避するためにもう1つの人格が現れた。
そして夜、僕のことを父と思い込んで襲った・・・
Uも僕と同じことを考えたのか、心がどこかに飛んで行ってしまったような表情をしていた。
母は泣きながら僕たちに
「ごめんなさい」
と言った。
数日後僕は退院した。
病院の入口でUと、Uのお父さんとおじいさんが迎えに来ていた。
僕はおじいさんと話をした。
僕「申し訳ありません。こんなことになったのも、全部僕の責任です。僕が来てしまったからです」
おじいさんは黙っていた。
そして、Uのお父さんが口を開いた。
「母さんは君たちのことに賛成していたよ」
「あと、それには自分の存在が邪魔だって。自分はもしかしたら君を襲ってしまうかもしれないって言ってた。だから母さんは、自殺したんだと思う。君たちには幸せになってもらいたいって何度も言ってたからね」
824:本当にあった怖い名無し:2007/02/26(月)23:19:19ID:HNQoYsT7O
次に、おじいさんが僕の目を見て言った。
「Uを不幸にしないと言い切れるか?」
僕は少し間を置いて、
「はい」
と答えた。
それから何年か過ぎた今、僕はUと結婚披露宴の準備をしている。
母も、Uのお父さんとおじいさんも出席する予定だ。
僕はUのおじいさんとの約束を、Uのお母さんの願いを実現しようと、心に誓っている。
820:本当にあった怖い名無し:2007/02/26(月)23:04:45ID:kgQcmqY60
つ【創作文芸】
引用元:死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?158
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