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都市伝説・・・奇憚・・・blog

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2025.01.23 (Thu) Category : 

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―超能力― <師匠シリーズ>

2012.12.26 (Wed) Category : 創作作品

941 超能力  1/9 ウニ New! 2006/02/22(水) 23:45:38 ID:CqBHiC0Y0
大学時代、霊感の異常に強いサークルの先輩に会ってからやたら霊体験をするようになった俺は、オカルトにどっぷ
り浸かった学生生活を送っていた。

俺は一時期、超能力に興味を持ちESPカードなどを使って、半ば冗談でESP能力開発に取り組んだことがあった。
師匠と仰ぐその先輩はと言えば、畑違いのせいか、超能力なんていうハナシは嫌いなようだった。
しかし信じてないというわけではない。
こんなエピソードがある。

テレビを見ていると、日露超能力対決!などという企画の特番をやっていた。
その中でロシア人の少女が目隠しをしたまま、箱に密封された紙に書かれている内容を当てる、という実験があった。
ようするに透視するというのだ。
少女が目隠しをしたあとで芸能人のゲストが書いたもので事前に知りようがないはずなのに、少女は見事にネズミの
絵を当てたのだった。

しかしテレビを見ていた師匠が言う。
「こんなの透視じゃない」



942 超能力  2/9 ウニ New! 2006/02/22(水) 23:47:26 ID:CqBHiC0Y0
目隠しがいかに厳重にされたか見ていたはずなのに、そんなことを言い出したので、
「どういうことです?」
と問うと、真面目くさった顔で、
「こんなのはテレパスなら簡単だ」
意表をつかれた。

ようするに精神感応(テレパシー)能力がある人間なら、その紙に書いたゲストの思考を読めば、こんな芸当は朝飯
前だというのである。
どんなに厳重に目隠しをしようと、箱に隠そうと、それを用意した人間がいる限り、中身はわかる。

師匠は、テレビで出てくるような透視能力者はすべてインチキで、ちょっとテレパシー能力があるだけの凡人だ、と
言った。
『テレパシー能力のある凡人』という表現が面白くて笑ってしまった。
師匠はムッとしたが、俺が笑い続けているのは他に理由があった。
ロシア人の少女の傍に立つ通訳の男を、よく知っていたからだ。



943 超能力  3/9 ウニ New! 2006/02/22(水) 23:49:41 ID:CqBHiC0Y0
インチキ超能力芸でなんども業界から干された、その筋では有名な山師だ。
俺は今回の透視実験のタネも知っている。
時々
「続けて大丈夫か」
というようなことを言いながら少女の身体に触る、その触り方で絵の情報を暗号化して伝えているのだ。
以前雑誌で読んだことのある、彼のいつもの手口だった。

松尾何某がそこにいれば
「通訳にも目隠しさせろ」
などと意地悪なことを言い出すところである。

俺はあえて、この少女をテレパスだと信じている師匠にこの特番の裏を教えなかった。
なんだか、かわいらしい気がしたから。

そんなことがあった数日後、師匠が俺の下宿を訪ねてきて、
「今日はやりかえしに来た」
と言う。
あの番組のあと、雑誌やテレビでインチキが暴露されてちょっと話題になったから、師匠の耳にも入ったらしい。
俺が知っていてバカにしていたことも・・・

俺は嫌な予感がしたが、部屋に上げないわけにはいかない。
師匠はカバンから、厚紙で出来た小さな箱を二つだし、テーブルの上に置いた。

(※続きは『続きを読む』をクリック)




 









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―雨― <師匠シリーズ> 

2012.10.02 (Tue) Category : 創作作品

934 雨 1/7 ウニ 2006/02/22(水) 23:37:54 ID:CqBHiC0Y0
大学1回生の夏ごろ。
京介さんというオカルト系のネット仲間の先輩に不思議な話を聞いた。

市内のある女子高の敷地に夜中、一箇所だけ狭い範囲に雨が降ることがあるという。
京介さんは地元民で、その女子高の卒業生だった。
「京介」はハンドルネームで、俺よりも背が高いが、れっきとした女性だ。

「うそだー」
と言う俺を睨んで、じゃあ来いよ、と連れて行かれた。
真夜中に女子高に潜入するとは、さすがに覚悟がいった
が、建物の中に入るわけじゃなかったことと、セキュリティーが甘いという京介さんの言い分を信じてついていった。



935 雨 2/7 ウニ 2006/02/22(水) 23:38:37 ID:CqBHiC0Y0
場所は校舎の影になっているところで、もとは焼却炉があったらしいが、今は近寄る人もあまりいないという。
「どうして雨が降るんですか」
と声をひそめて聞くと、
「むかし校舎の屋上から、ここへ飛び降りた生徒がいたんだと。その時飛び散って地面に浸み込んだ血を洗うために雨が降るんだとか」
「いわゆる七不思議ですよね。ウソくせー」

京介さんはムッとして、足を止めた。
「ついたぞ。そこだ」
校舎の壁と、敷地を囲むブロック塀のあいだの寂しげな一角だった。
暗くてよく見えない。
近づいていった京介さんが
「おっ」
と声をあげた。
「見ろ。地面が濡れてる」

(続きは『続きを読む』をクリック)




 









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―将棋― <師匠シリーズ>

2012.09.01 (Sat) Category : 創作作品

910 将棋 1/8 ウニ 2006/02/22(水) 20:03:27 ID:CqBHiC0Y0
師匠は将棋が得意だ。
もちろん将棋の師匠ではない。
大学の先輩で、オカルトマニアの変人である。俺もまた、オカルトが好きだったので、師匠師匠と呼んでつきまとっていた。

大学1回生の秋に、師匠が将棋を指せるのを知って勝負を挑んだ。
俺も多少心得があったから。しかし結果は惨敗。角落ち(ハンデの一種)でも相手にならなかった。

1週間後、パソコンの将棋ソフトをやり込んでカンを取り戻した俺は、再挑戦のために師匠の下宿へ乗り込んだ。
結果、多少善戦した感はあるが、やはり角落ちで蹴散らされてしまった。
感想戦の最中に、師匠がぽつりと言った。
「僕は亡霊と指したことがある」
いつもの怪談よりなんだか楽しそうな気がして、身を乗り出した。



911 将棋  2/8 ウニ 2006/02/22(水) 20:04:45 ID:CqBHiC0Y0
「手紙将棋を知ってるか」
と問われて頷く。
将棋は普通長くても数時間で決着がつく。1手30秒とかの早指しなら数十分で終わる。
ところが手紙将棋というのは、盤の前で向かい合わずに、お互い次の手を手紙で書いてやり取りするという、なんとも気の長い将棋だ。
風流すぎて若者には理解出来ない世界である。

ところが師匠の祖父はその手紙将棋を、夏至と冬至だけというサイクルでしていたそうだ。
夏至に次の手が届き、冬至に返し手を送る。
年に2手しか進まない。将棋は1勝負に100手程度かかるので、終わるまでに50年はかかる計算になる。
「死んじゃいますよ」
師匠は頷いて、祖父は5年前に死んだと言った。

戦時中のことだ。
前線に出た祖父は娯楽のない生活のなかで、小隊で将棋を指せるただひとりの戦友と、紙で作ったささやかな将
棋盤と駒で、あきることなく将棋をしていたという。



912 将棋  3/8 ウニ 2006/02/22(水) 20:05:30 ID:CqBHiC0Y0
その戦友が負傷をして、本土に帰されることになったとき、二人は住所を教えあい、ひと時の友情の証しに戦争が終われば手紙で将棋をしようと誓い合ったそうだ。
戦友は北海道出身で、住むところは大きく隔たっていた。

戦争が終わり、復員した祖父は約束どおり冬至に手紙を出した。『2六歩』とだけ書いて。
夏至に『3四歩』とだけ書いた無骨な手紙が届いたとき、祖父は泣いたという。
それ以来、年に2手だけという将棋は続き、祖父は夏至に届いた手への返し手を半年かけて考え、冬至に出した手にどんな手を返してくるか、半年かけて予想するということを、それは楽しそうにしていたそうだ。

5年前にその祖父が死んだとき、将棋は100手に近づいていたが、まだ勝負はついていなかった。
師匠は、祖父から将棋を学んでいたので、ここでバカ正直な年寄りたちの、生涯をかけた遊びが途切れることを残念に思ったという。

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