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都市伝説・・・奇憚・・・blog

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2025.01.23 (Thu) Category : 

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ー霊障ー <沙耶ちゃんシリーズ>

2017.11.14 (Tue) Category : 創作作品

652:まこと◆T4X5erZs1g:2008/08/07(木)23:43:55ID:8xFSOoXu0
<霊障-1>
初めに断っておきます。俺の書く話は、筋は実話だけど設定はデフォルメしてある。
特にこの章はかなり狂わせてあるんで、似通った現場があったとしても別物。
だから近場の人は気にせんでください。

沙耶ちゃんの大学生活もあと1年を切った初夏のことだ。
ゴボウのようにどす黒い顔とやせ細った親父の面倒を看ていたとき、彼女から電話があった。
「火傷ってすごく痛いんですね」
はあ???
他愛のない話だった。
今朝、独り暮らしの沙耶ちゃんが朝飯を作ろうとしたときに、蒸気で指を痛めたらしい。
むしろ
「火傷って初めてしました」
って彼女の言葉のほうが、俺にはビックリだったよw

火傷の痛みがわかったので供養に行きたいところがある。車を出してほしい。
彼女はそう言った。
付き合いが長いんで意味はすぐにわかる。
火傷が元で死んだ誰かの残留したエネルギーを慰めたいんだな。

親父の所にいることを告げると
「わかってます」
と言われた。そして
「私もそのうちにご挨拶に伺っていいですか?」
と付け足してくる。
二つ返事したのは言うまでもない。

親父の病室に戻ると
「お前もそういう歳になったか」
と笑われた。
「孫の顔までは待ってられんが、結婚式ぐらいなら行ってやるぞ」
とも。

一瞬、沙耶ちゃんが生霊でも飛ばして挨拶に来たのかと思ったよ。
ま、電話の相手が女だと悟った親父の冗談だったと、今では思ってるけどね。



653:まこと◆T4X5erZs1g:2008/08/07(木)23:46:08ID:8xFSOoXu0
<霊障-2>
自宅アパートに戻った翌日、休日だったこともあって、さっそく沙耶ちゃんを乗せて早朝に出発した。
今回の目的地は片道4時間はかかる山中のトンネル。
途中でメシ食ったり観光したりと、ちょっとしたデート気分を味わえたww

沙耶ちゃんがそのトンネルを知ったのは中学生のときらしい。
親父さんが主幹線と間違えて入った旧道の途中に、ぽっかりと孤独に口を開けていたそうだ。
「まだトンネルが見える前から、高い叫び声がずっと聞こえてたの。。。。『いいいいいいいいいいい』って感じで、すごく険のある声」
沙耶ちゃんの透明感のある高音で真似されてもピンと来なかったが。

「見たくなくてトンネルの中はうつむいてたんだけど、声だけは聞こえるでしょ。。。あのね。。。」
そこで言葉を切って、
「あ、ごめんね。今から行くとこなのに、こんな話したら気味悪いよね?」
と俺に確認。
「何をいまさら」
と笑って返した。

安心したように彼女は続ける。
「トンネルの中には男の人がいたみたい。んと。。。たぶん、まことさんよりも若い人。その人がトンネル中を走り回りながら『熱い熱いっ』って叫んでるの。。。。。。怖かったあ」

そんな場所になぜ自分から行くかなあ。
沙耶ちゃんに『浄霊行脚』の供を頼まれるようになってからずっと持っていた疑問は、最近、解けつつある。
彼女は『正しく使う』ことで、自分の能力を肯定したいんだ、きっと。

予備知識を避けるために沙耶ちゃんには言わなかったが、そのトンネルでは確かに焼身遺体が見つかっていた。
若年者同士の抗争で負けたグループの1人が、灯油をかけられて火達磨になってる。
換算すると、事件は沙耶ちゃんがトンネルを通った2、3年前ということになる。

霊も新しい(?)ほうが活性化しているっていうのが俺の思い込み。
だから、今回、10年以上経った古い霊体への対面は期待ハズレかもしれないな。



654:まこと◆T4X5erZs1g:2008/08/07(木)23:48:26ID:8xFSOoXu0
<霊障-3>
夜に近いほうが視やすいだろうとゆっくり来たが、午後3時には問題のトンネルに着いてしまった。
「出直そうか?」
と沙耶ちゃんに問うと、
「えー。夜なんか怖いからイヤですよお」
と文句を言われた。何しに来たんだよ、まったく(笑)。

左を下に激しく傾いている道路。
その上に垂直に立っているトンネルは、入り口がいびつで、確かに不安定な感覚を覚える。
地元では心霊スポットとして有名なようだが、こういう三半規管を狂わす作りも関係しているのかもしれないな。

車を路肩に止めると、沙耶ちゃんは躊躇なく助手席から降り立った。
トンネルを囲む木々をぐるりと見回し、耳に軽く手を当てる。
「まだいるみたい」
振り返った彼女の瞳は真っ黒だった。
沙耶ちゃんの後ろについて俺もトンネル内に足を入れた。一応車道だ。
集中してる沙耶ちゃんが轢かれないように注意していてやらないと。

沙耶ちゃんは、重い闇とかすかな西日の留まる坑内をどんどん進み、中央部の、巨大な落書きがされている左の壁に対面して止まった。しゃがみこみ、歳月を思わせる黒ずんだ壁に指を這わせる。
何も感じない俺は、せめて邪魔にならないように、彼女から5mぐらい離れて背を向けた。

持参した水筒の水を供えている音がする。
数日前、
「火傷ってどうしたら治るんですか~?」
と泣きそうな声で電話してきた沙耶ちゃんの様子を想像して、つい口元がほころんだ。


(続きは『続きを読む』をクリック)











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ー酒の効果ー <沙耶ちゃんシリーズ>

2017.11.12 (Sun) Category : 創作作品

581:まこと◆T4X5erZs1g:2008/08/06(水)00:41:29ID:49b5lfXD0
<酒の効果-1>
梶が無事に3年に進級した。
留年してやがったから、知らせを聞くまで俺もなんとなくやきもきしてた。
お祝いに飲もうということになって、バイトが終わった朝からファミレスにしけこんだんだ。
俺も梶も、睡眠時間を削っても気にならない性質だったし。

俺 「体育大って単位取れなかったら潰し効かないんだろ?中退にならなくてよかったなあ」
梶 「まことさんが言うと重みあるねww さすが中卒」
俺 「うるせえよw これで2年は安泰だろ。俺が徹夜仕事きつくなったら、店頼むな」

梶の大学は3年生から4年生はエスカレーターになっているそうだ。
次は卒業をめざせばいいってことになる。
梶 「えー?あの店、治安が悪いから夜中はひょろいの入れないんでしょ?まことさんの後が見つからなかったら、俺、当分1人?」

梶が不満に思うのも無理はない。
店の場所は繁華街の外れで、夜中になると客層はひどく低レベルになる。俺が採用されたのだって、武道の段持ちって理由なんだ。

俺 「真面目な話、俺、バイトでつないでる余裕がなくなってきてんのよ。飛行機代稼がないと」
梶には親父の容態は伝えてあった。
梶 「ああ、そっか。。。そろそろ定職持たないと沙耶姫も可哀相だしw」
なぜそっちに話を振るかなあ。。orz

俺 「沙耶ちゃんは関係ねーよ、馬鹿」
梶 「『おやすみなさあい♪』の携帯メールが入るのにー?」
俺 「。。。頼めばお前にも入れてくれるよ」
我ながら不機嫌な声で答える。

俺が沙耶ちゃんとプライベートで会うようになってから1年以上が過ぎていた。
なのに俺は未だに彼女の運転手としての域を出ていない。
なんつか。。。容姿的にも性格的にも彼女は完璧すぎて、俺には入り込む余地がないって感じで。。。。
まあ、そんなことはいいんだよ!

って俺が独りごちてる間に、梶のヤツが沙耶ちゃんに電話を入れていた。
「沙耶姫、ここに来るってw」
。。。絶対に、よくやったとは言わねえぞ。



582:まこと◆T4X5erZs1g:2008/08/06(水)00:42:04ID:49b5lfXD0
<酒の効果-2>
昨夜の0時に別れた沙耶ちゃんはしっかり寝たようで、快活な二重まぶたの大きな瞳で俺たちを見つけた。
「朝から飲んでるんですかー?」
と非難しながらも、自分も中ジョッキをオーダーする。

梶と同じく大学生の沙耶ちゃんは、いま春休み中。
プライベートでの接点が途絶えていただけに、思わぬボーナスだった。

馬鹿な話でさんざん盛り上がり、ファミレスを出たのは昼だった。
俺と梶は適当にセーブしていたので店を出るころには素面に近かったが、沙耶ちゃんはかなり盛り上がってたね。
鼻歌を歌いながら俺たちにまとわりついたりしてた。

「沙耶ちゃんって何杯飲んだっけ?」
「三杯ぐらいじゃない?」

梶とそんな会話をしながら笑って見ていると、つと彼女が立ち止まって、何もいない空間に頭を下げた。

「ぶつかっちゃうとこだった」
肩をすくめながらそう言って駆け寄る沙耶ちゃんに、梶が
「誰もいないしwww」
と突っ込む。

それからも数度、彼女は、いきなり立ち止まったり不自然に避けるといったアクションを繰り返した。
そのたびに俺たちに
「いまって生きてる人じゃなかった。。。?」
と確認して困惑する。

幽霊って、昼日中にそんなにいるもんなんだ?
まあ考えてみれば、いま生きてる人間より今まで死んだ人間のほうがずっと多いんだから、ありえるのか。

梶は沙耶ちゃんの妄想だと思い始めたようで、俺に
「見えてる気になってるだけじゃないの?」
と耳打ちしてきた。

すると。
「違うよ」
沙耶ちゃんはくるっとこちらを向いて答えた。
梶の声は沙耶ちゃんに聞こえる大きさじゃなかったんだが。
沙耶ちゃんはもともと色素の薄い子で、肌も白いし、髪の毛や瞳の色も日本人離れした紅茶色をしている。
でも、振り返った彼女の眼は、虹彩も瞳孔も区別がつかないぐらい真っ黒に塗られていた。

梶も、俺と同じものを感じたのか、鳥肌の立った腕をさすっている。
「私には人と死人の区別がつかないの」
自嘲気味にうつむく彼女の顔が見る見る青くなって、道端に座り込んだ。
「吐きそう。。。」

でもな、酔った沙耶ちゃんを介抱しながら、なんか俺は嬉しかったね。
彼女にも隙があったことが。



引用元:【霊感持ちの】シリーズ物総合スレ4【友人・知人】
https://hobby11.5ch.net/test/read.cgi/occult/1216318669/581-582











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ー親父の病気ー <沙耶ちゃんシリーズ>

2017.11.11 (Sat) Category : 創作作品

505:まこと◆T4X5erZs1g:2008/08/04(月)23:38:22ID:ZXMsBH9b0
<親父の病気-1>
ごめん、今回はオカルトの要素が薄い。

沙耶ちゃんにいろんなものが見え始めたのは、小学生の高学年ぐらいだそうだ。
彼女の父親と母親は、次女である沙耶ちゃんにはあまり興味を抱かなかった。
家はそこそこ裕福だったようだが、沙耶ちゃんは食事をもらうのにも頭を下げるという劣悪な環境に身を置いていたようだ。

ストレスのすべてをぶつけてくる親に対して、沙耶ちゃんは先回りして逃れる必要があった。
親の顔色をうかがい、金銭の制約を持ち出されないようにするために。

彼女に最初に芽生えたのは、霊を感じる能力ではなく、他人の心を読み取る感応力だった。
テレパスと言い換えたほうがわかりやすいか。
霊能力はオマケ。むしろ要らないと彼女は言っていた。

バイトで親しくなってから数ヶ月後、俺はプライベートでも沙耶ちゃんと会うようになっていた。
。。。と言っても、彼女が大学から帰ってくるときに車を用意するだけの関係だったがorz

俺が30を目前に控えたある日、沙耶ちゃんが真面目な口調で切り出した。
「まことさんって、ご家族に恵まれてないですよね?」



506:まこと◆T4X5erZs1g:2008/08/04(月)23:38:43ID:ZXMsBH9b0
<親父の病気-2>
俺 「まあ当たってる」
沙耶「。。。結婚は考えてないんですか?」
俺 「相手いねーしww」
内心、期待に弾けそうになりながらそう答えた。いま考えると、馬鹿すぎ、俺。。。。

沙耶「探したほうがいいですよ。まことさんは家族がなくなったらダメになる人だと思います」
俺 「いや、いないことはないんだけどね(汗)」
沙耶ちゃん、俺の家族にならない? って言えっつーの、俺。。。。。。。。

俺の家族は、親父しかいなくなっていた。
母親は俺が高校に入ったばかりのころに蒸発した。浮気相手と。
姉貴がいたが、なぜか母さんのことは棚に上げて親父ばかり非難していた。
そして駆け落ちという形で自らも家を出て行った。

俺には親父の非がわからなかった。子どもだったからかもしれない。
いまもわからないけど。
親類でひしめく田舎の集落のことだ。俺の家庭のことはすぐに知れることになった。

同情が多数だったと思うが、若かった俺は、母や姉を恥部とすることが嫌で村を出た。
高校は卒業しなかった。

沙耶ちゃんを送り届けてから、なんとなく気になって親父に電話をした。
そういえば、電話すらここ何年もしていなかった。
親父は浮かれた様子で、俺の連絡を喜んだよ。そして言った。
「今日な、医者に肝臓癌だと言われた。俺の顔を見られるのもあと一年だぞ」

余命をはるかに凌いで、2年後に親父は他界した。
俺は自宅アパートと故郷を飛行機で行ったり来たりして、自分が納得するまで親父の余生につき合った。
臨終の少し前、親父は言った。
「お前が電話して来なかったら、このときまでお前には知らせないつもりだった」

沙耶ちゃんには感謝してるよ。
もし彼女に再会することができたら、真っ先にこの話を伝えてやりたい。
彼女は自分の能力を含めた存在自体を消したいと思っていたようだから。



引用元:【霊感持ちの】シリーズ物総合スレ4【友人・知人】
https://hobby11.5ch.net/test/read.cgi/occult/1216318669/505-506












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