都市伝説・・・奇憚・・・blog
ばあちゃんの咳
2008.03.27 (Thu) | Category : 誰も信じない人へ
しかし、具合がとても悪いわけではなく、買い物に行ったり、公民館か何かの裁縫や編み物教室によく通っていた。
ところが、突然死んでしまった。なにかの発作らしく外で倒れてそのまま逝ってしまったらしい。死んでしばらくして葬式もすんで一段落ついた。
ところが、父親が
「ばあちゃんの部屋から咳の音が聞こえる」
と言い出した。
母親は長いこと聞いてたから耳に残ってるんだろうと空耳だと言い、取り合わなかった。
しかし、そのうち漏れも母親も聞くようになった。昼間家にいると突然聞こえたりする。夕食を食べてるときなんかに一家3人聞こえたりして、
「これは、ばあちゃんがいるんじゃないか」
と騒いだ。当然ばあちゃんは火葬してこの世にいない。部屋は無人だった。
あまりにも続くので、咳がした瞬間、3人でばあちゃんの部屋に入った。
なかにはばあちゃんが着物や古い日記などを詰め込んでとって置いた段ボールがたくさん置いてある。ばあちゃんが死んだので年末にまとめて処分しようと押入れから出して置いといたものだ。
突然、母親が段ボールを探し始めた。中から公民館の教室で習ったと思われる、裁縫などがたくさん出てきた。しばらくして包装紙にくるまれた物が出てきた。
中をあけると、ぬいぐるみだ。たしかクマだと思う。紙も入っていて、
「お誕生日おめでとう」
とある。忙しくてそれどころじゃなかったが、ばあちゃんの命日の5日後が漏れの誕生日だった。昔からばあちゃんは漏れに女の子っぽいものばかり買い与えた。誕生日にぬいぐるみを贈ろうと公民館に行ったのだろう。それを見て母親が急に泣き出したのを覚えている。
やはり、ぬいぐるみを見つけてから咳はしなくなった。
ぬいぐるみはその家を引っ越していつの間にか無くなってしまった。
両親もばあちゃんくらいの年になったがそのときの事はよく覚えてて、
「咳はぬいぐるみを見つけてほしい合図だった」
と信じている。
母親を心配する子供
2008.03.26 (Wed) | Category : 誰も信じない人へ
ある病院での話。
病理実習でレポートを提出する役になった実習生のA、助手から標本室の鍵をもらうときこんな話を聞かされました。
「地階の廊下で、おかっぱ頭の女の子がマリつきをしているのを見たら、絶対目を合わさず、話しかけられても喋るなよ。いっぺん返事をしてしまうと、すごい力で手をつかまれ、こう言われるんだ。
『私って、大人になったらどんなだと思う?』そう言うと見る見る美女に変身して『こうなれたはずなのに、お前達のおかげで…』と化け物の顔になって襲ってくるらしいぞ」
「・・・で、それから?」
「それから・・・って、まあそういう話だから」
何を古くさいホラ怪談言ってるんだか、とAは標本を探し出して実習室に帰っていこうとしていました。
するとどこからともなくマリつきをしているような音が聞こえる。見ると、来るときには気づかなかったが、霊安室 がほんのり明るくなっており、その前で小さな女の子が手まりを持ってたたずんでいるではありませんか。
友人の心臓は縮み上がりましたが、常識が現実に引き戻します。何を考えているんだ、この子は現実の存在だ、家族に不幸があって、ここで待ってるだけなんだ、なにを怖がることがある・・・。
ぎくしゃくと通り過ぎようとするAを、女の子が呼び止めました。子供に似合わぬ刺すように鋭い視線を寄せ、「せんせい、お母さんのしゅじゅつの様子はどうですか?」
と。
落ち着きかけていた彼の心臓はまた凍り付きかけます。手術って・・・、なんで霊安室 前でそんなことを・・・、
ああ、やはりこの子は霊なんだ、母親と一緒に事故にでも遭って死んだのに、母親を心配して自分はまだ生きてるつもりで白衣の人間に様子を聞いているんだ、そして母親と自分を救えなかった恨み言を言い始めるんだ・・・。
何も言ってはいけないと言う忠告もどこへやら、彼は蒼白になって言い訳を考えます。
ボクはね、白衣着てるけど医者じゃないんだ、まだ勉強中なんだ、お母さんや君のことはとっても気の毒だけど、ボクは関係ないんだ・・・、そう言おうとしたとき、霊安室 横のドアが開け放たれます。
彼は声にならない叫びをあげながらそちらに向き直りました。
そこには目を真っ赤に泣きはらした若い男性が立っていました。そして先ほどの子供を手招きし、抱きすくめました。
ふるえながら壁にへばりついている友人と目があって、男性は訝しげながら会釈し、普通ならぬ様子に
「子供が何か?」
と尋ねてきました。
新手の霊の登場かという疑いも捨てきれない友人は、それでも落ち着きをしだいに取り戻し、かすれる声で答えます。
「お子さんがお母さんの手術のことで聞いてこられたもので、事情が判らなくて・・・」
男は苦い笑みをかすかに浮かべました。
「そうですか。実は女房が急死しましてね。病院についたときにはもう・・・。今解剖中なんです。お母さんの体の中をもう一度調べてもらうと子供に説明したら、死んじゃった後でも手術して助けてもらえるんだね、って言うからそうなったらいいねって・・・。」
しばし呆然と立ちつくした後、友人はご愁傷様でしたと頭を下げ、まだ震える手足をせかせてその場を去りました。
振り返ると、その親子は薄暗い廊下でいつまでも寄り添いすすり泣いていました。
体に血の気が戻ってくるのと、ガラにもなく涙がこみあげてくるのを感じながら、これは本物の怪談だった方がよっぽどダメージ少ないだろうな、とAは感じたものでした。
・・・Aはその後基礎研究の方向に進みました。
「臨床だと、毎日の仕事がああいう悲しみの上に成り立つのか、なんて感じたから」
とのことだそうです。
同級生
2008.03.25 (Tue) | Category : 誰も信じない人へ
山道を走っている途中で、女が急に
「あっ!」
と声を上げた。
女は見える性質だというのは前々から分かっていたので、また見えたんだなという事は分かった。
そうしたら女がいきなり
「中学のときの友達だ!」
まさか知り合いの霊が出るとは思いもよらなかったので、ちょいビビッた。
俺がどこで見えたのか聞いてみたら、なんと車に乗っているらしい。
マジッすか!しかもずっと俺の顔を覗き込んでニコニコしてると。
女曰く、俺のことを気に入ったらしくベッタリらしい。
そのまま家に着くまでの約30分間、ずっとそばで見られてました。
家に着いて、とりあえず話を聞く事に。
その彼女(霊)曰くその山道で彼氏とのドライブ中、スピードの出しすぎでガードレールを飛び出してしまい
そのまま崖下に転落。彼氏の方は一命を取り留めたが、彼女の方は助からなかったらしい。
しかもお腹には赤ちゃんがいたという。
そして赤ちゃんを見失ったらしく、探している最中で知っている顔を見たから乗り込んだと。
話しが一段落してからは、しばらくは昔話に花を咲かせていたのだが、女が
「友達に分かるかもしれない人がいるからそっち行ってみて。」
うちらでは手に負えない事がわかり、その道のプロを紹介する事にした。
ちょこちょこと話をした後で、
「また、遊びに来るから。」
そういって彼女は旅立ちました。
彼女がどこかで、子供と一緒に幸せでいる事を願います。
昔話をしている間中、俺が遊ばれていた事を後になって知らされました。
目の前二センチ位の距離でずっとニコニコしてたと…