都市伝説・・・奇憚・・・blog
追い返される
2008.07.12 (Sat) | Category : 誰も信じない人へ
頭蓋骨骨折に脳挫傷、外傷性くも膜下出血、顔面骨折etcとヤバそうな病名?オンパレードで意識不明の重体だった。
どうにか峠を越したが意識不明の日々が続いたある日、妹がいきなり
「おじいちゃん」
と呟いて、目を覚ました。
回復してからその時のことを妹に尋ねると、
「おじいちゃんに追い返された」
と言う。
何でも、見知らぬ場所を歩いていたらいきなり母方の祖父(すでに死亡)が現れて
「帰れ」
と怒られたらしい。
その後のことは覚えていないが、気付いたら病室にいたと。
良く聞く話だとは思うが、まさか身内が体験するとは。
何はともあれ、じいちゃん、たった一人の妹を守ってくれてありがとう。
堅物でアナログな人だったからこのカキコは見れないかもしれないけど、気持ちだけでも届きますように。
肘鉄
2008.07.12 (Sat) | Category : 誰も信じない人へ
そのとき、振り回した私の肘が、側にいた青年の胸板に当たった。
「うっ!…」
彼はそう呻くと後ろに仰け反った…。
※ ※ ※
私が工事現場のガードマンをしていたときだから、もう10年以上前のことだ…。
その日は東京・目白の駅の近くのビル工事現場に来ていた。
普段は先輩のYさんが独りで切り盛りしているのであったが、その日は大型の工事車両の搬入が数十台予定されており、また現場前の道幅が狭く、大型車の車幅ぎりぎりしかないため、歩行者の誘導要員として、呼び出されていた。
と、言ってもあらかじめ工事車両より無線で道路へ進入する連絡が入るので、ゆっくりと、歩行者を止め車を待てば良い手はずであり、楽勝の内容であった。
問題もなく作業は進み、ほとんどの予定車両は終了。あと数台を残すだけとなった。
あと数台で終わると、緊張が解けかけたそのとき、現場へ来客がやって来た。
「おい、Nくん。お客さん来たから俺、監督呼んでくるね。ちょっとだけ独りで頼む!」
先輩のYさんはそういうと、事務所へ監督を呼びに走っていった…。
私は独り、無線を片手に工事車両からの連絡を待ちながら道路に立っていた。
5分、10分…Yさんは一向に戻ってくる気配はない。
無線からの連絡も無く、暇になった私は眼下に見える山手線をぼんやりと眺めていた…。
ブロロロロロ…
突然、大型車の排気音があたりに響いた。
私が顔を上げると、現場前の道路に工事車両がこちらに向かって走ってくる。
「や、やばい!」
私は辺りを見渡した。
幸い、学生達と数人の会社員風の男しかいない。
「今なら間に合う!」
私は、現場ゲートまで走って行った。
「すみません!工事車両が参りますので、少々お待ち下さい!」
私はそう叫ぶとと、私は手を大きく広げる動作をしながら、通行者へ背中を向けた。
そのとき、振り回した私の肘が、側にいた一人の学生らしき青年の胸板に当たった。
「うっ!…」
彼はそう呻くと後ろに仰け反った。
「ごめんなさい!」
目前に迫る工事車両を目の前に、私はろくに振り返りもせず、おざなりにお詫びをした。
すると、広げた私の手と青年の間に、サラリーマンらしき男2人が体を押し込んできた。
男ふたりは、体を使って私を前に押し出そうとしている。
「なんだ?、こいつら?」
業務の邪魔をされた私は、ぐっと足を踏ん張り、彼らをにらみ返した。
しかし、彼らは一向にひるむこともなく、私をにらみ返す。
ゲート前では、ゆっくりと工事車両が入口前で切り回しながらゲートに入ろうとしている。
そのとき、ゲート前に戻ってきていたYさんと監督の姿が目に入った。
「○▼×↓※◎☆〒♀▲!!」
Yさんは泣きそうな顔をしながら、私に向かって声にならない声で何かを言っている。
両手はまるで私を拝んでいるかような仕草で、左右に振っている。
よく見ると、隣の監督も同じ様な仕草を繰り返していた。
やがて、工事車両がゲート内に入りきると、私の後ろの男達の威圧も収まった。
私は、ようやく両手を降ろすと、後ろの歩行者に対して懸命の笑顔を作り、
「お待たせいたしました、どうぞお通り下さい!」
と、会釈をしながら頭を下げた。
しかし男達は歩き出さずに私を挟んで立っている。
男の、向こうを学生らしき若者達が通り過ぎて行く。
その中に私がエルボー(肘打ち)を食らわせた青年の姿が見えた。
私は即座に、
「さっきは、ごめんね!痛かった?」
と、大きな声をかけた。
青年は、こちらを向き「にこり」と笑いながら
「大丈夫!」
と言うように軽く手を振ると、周りの友達と話しながら歩いていった。
そして青年が去ると、男達も私から離れて去っていった。
現場前では、Yさんと監督が、四つん這いになって肩を震わせていた…。
私は、何が起きたのかわからず、その場に立っていた。
※ ※ ※
その数週間後、何気なくテレビを見ていた私に、あの青年の婚約発表が飛び込んできた。
「礼宮さま、ご婚約!(現:秋篠宮殿下)」
プロポーズした場所は、現場前の道路出口の交差点だった…。
戦前なら、きっと処刑されていたなぁ…。
消えないろうそく
2008.07.10 (Thu) | Category : 誰も信じない人へ
長兄は戦争後復員され、今もご存命ですが次兄・三兄の方はそれぞれ、フィリピン(だったかな?)戦線・沖縄本土決戦にて戦死され祖母の妹にあたる四女の方は幼くして病死。
戦後生き残ったのは、長兄・長女・次女・三女(祖母)だったそうです。
それぞれの方に、ちょっとずつ不思議なエピソードがあるのですが今回は、祖母のお姉さんに当たる方のお話です。
それが長女の方か、次女の方かは覚えていません。ごめんなさい(汗
祖母のお姉さんお二人は、それぞれ乳癌と脳関係でお亡くなりになっています。
乳癌でなくなった方のお姉さんは、お子さんが女の子ひとりきりでよく祖母に
「あんたのとこの子を一人くれ」
と言っていたとかいないとかで私の母や叔母がしょっちゅう遊びにいっていた経緯で私や私の妹弟も、随分と可愛がってもらった思い出があります。
随分と長い間、乳癌と闘っている間は
「押しかけてもご迷惑だ」
という両親の判断でお見舞いに行くこともかなわなかったのですが。
5年前、私と妹が親元を離れている時期に(確か春先に)、その大伯母はなくなりました。
葬式には父母と弟が参列したと後で聞きましたが、大伯母が無くなった際、配偶者である大伯父はたいそう悲しんで大伯母の戒名と一緒にご自分の戒名もつけてもらっていたそうです。
(生存者の戒名は、墓石や位牌に赤字で彫られるんですね)
夏休み、帰省した際に大伯母の戒名の記載されたハガキを見つけ
「里帰りついでに、仏壇におまいりしてこよう」
という話になり私はなんとなく、その戒名を眺めていました。
鑑賞用の菊を趣味で世話していた大伯母らしく、戒名には菊や香といった漢字が並んでいたように思います。
大伯父の家に行って仏壇に手を合わせ、火をつけたろうそくを消そうとしました。
母は小さい頃から私に
「仏壇のろうそくは息で吹き消しちゃだめだよ。必ず手で仰いで消しなさい。 仏様が何か言いたいとき、まだ帰らないで欲しいときは絶対消えないんだから。そのかわり満足してくれたら、すっと消させてくれるんだ」
と教えてくれたとおり、そのときも手であおいで消そうとするのですがろうそくはなかなか消えてくれません。
室内で風もないのに、ゆらゆら揺れてたり、大きく膨らんだり縮んだりする炎をみて母と
「おばちゃん、まだいなさいって言ってるんだね」
と話していました。
ふと、仏壇真正面に安置されている大伯母の位牌が気になりました。
「・・あれ?おばちゃんの戒名、覚えてきたのと違う・・」
最初は私の勘違いかと思って言い出せなかったのですが次になんとなくそわそわするので、部屋をぐるっと見渡すと、後ろの壁に戒名をしたためた紙が貼ってあるのに気がつきました。
近寄ってみてみると、その紙は出発前に覚えてきた戒名と同じ漢字が並んでいました。
「ねぇ、おじちゃん。おばちゃんの戒名間違って彫ってあるよ、多分」
大伯父が驚いたのは言うまでもありません。
それまで数ヶ月、毎日自分も手を合わせてきた妻の位牌が間違って彫られているとは・・。
大伯父をはじめ、お参りしてくれた沢山の方々も気づかなかったそうです。
これは彫り直してもらわなきゃねーって話をした後、ろうそくの炎を軽く手で仰ぐと、本当に何の抵抗もなくふっと消えたのです。
帰りの車の中で、ちょっとしんみりしながら
「おばちゃん、名前が違うーって言ってたんだね」
って話を母としました。