都市伝説・・・奇憚・・・blog
山奥のキャンプ場
2008.03.13 (Thu) | Category : 人を信じすぎる人へ
川の中州に作られたそこは、一時期のモノマニアックスなアウトドアブームの終了と、ニュースでも報道された遭難事故の為に、既にさびれきっていたが、そこにテントを張った5人の男たちにはかえって好都合だった。
夜になると外には真の闇が広がり、音も川のせせらぎと、ときどきテントをささっとなでていく柳の枝の立てる音のみ。
既に明かりは消され、男たちはテント内の思い思いの場所で眠りについている。
イビキや、ときおり聞こえる体を動かす音が混じってはいるが、あいかわらずの静けさだ。
ひとりの男性が、さっきから寝付けないのか、何度も寝返りをうっている。
屋外で眠るのは慣れっこなはずなのに、その夜は何故か体のどこかにイヤな感じがまとわりつくようで、寝付けない。
男はその原因に、やがて気づく。
柳の枝がテントを打つ、ザザー、ザザーという音が、寝る前より激しくなっているのだ。しかもよく聞いてみると、音は、こちら側を打っている…と思えば向こう側を打ち、また別のところを打つ。
テントの回りにはそんなにもヤナギは群生していなかったハズだが…と思った男は、さらにその音には規則性があることに気が付いた。
ザザー、ザザーという音は、テントの回りをゆっくりと、ぐるぐる回っているのだ。
男はテントから顔を出し、音の正体を確かめようとした。
そして運悪く、ちょうどテントの角を曲がってきたそれと、顔をつきあわせてしまったのだ。
それは、長い髪の毛をざんばらに振り乱す、ゲタゲタと笑う若い女だった…。
のちに分かったことだが、その女は近くの村に住む地主の出戻りの娘さんでどうやら精神に異常のある人だったらしい。
その翌朝、テントから出てみると、女はどうやら裸足だったようで、テントのまわりには、血で押された女の足跡が円を描いていたという。
豚
2008.03.06 (Thu) | Category : 人を信じすぎる人へ
5階建てのアパートの最上階に住んでいる家族。
その家族にはもうすぐ幼稚園に入園予定の女の子がいました。
お昼御飯を食べ終わった後に女の子を近所の公園に散歩に連れて行くのが母親の日課でした。
ところが今日に限って女の子はお昼ご飯を食べ終わると何処かへ遊びに行ってしまったのです。
しばらくして帰ってきた女の子に、心配になった母親が
「どこに遊びに行っていたの?」
と聞くと、
「アパートの裏で豚さんと遊んでいたの」
と言いました。
(裏で豚なんか飼っていたかしら?)
母親はそう思いつつも1人で遊びに行けた女の子を少し見直しました。
夜になり父親が帰って来るのを2人で待っていました。
しかし、いつまでたっても帰ってきません。
「お父さんまだ帰ってこないの?つまんないから豚さんと遊んでくる」
女の子はそう言うと母親の手を引っ張り
「お母さんも一緒に行こうよ」
と言いました。
子供一人で行かせるのも心配だし、自分も豚を見てみたいと言う気持ちがあったので一緒に行く事にしました。
女の子の手を握り階段を下りてアパートの裏へ周りました。
そこはとても生き物を飼っているとは思えない薄暗い場所。
「どこに豚がいるの?」
母親がそう聞くと女の子は持っていた懐中電灯である場所を照らしました。
「あれだよ、ママ」
そこには屋上から飛び降りて顔面が潰れた父親が横たわっていました。
真っ赤な小人
2008.03.04 (Tue) | Category : 人を信じすぎる人へ
5年程前、帰省のため、福岡行きの新幹線に乗っていた。
その客車は、かなり空いていた。
新横浜で、一人のおばさんが乗り込み、通路向こうの席に座った。
おばさんは、隣の女性にしきりに何か、訴えはじめた。
様子が明らかに変だ。
おばさんは、寝巻きのまま飛出して来たような服装でピンクの汚れたスリッパを履いている。
話のほうも支離滅裂で、なんとか聞き取れたのは、
「京都のお寺に、逃げ込む」
「夜、眠れない」
「眠ると、真っ赤な小人が大勢やってきて、家をガタガタ揺らすのだ」
ということ。
話すうちに、恐怖がよみがえり、半狂乱になっていく。
私と、隣の女性がなんとか落ち着かせた。
安心したのか、おばさんは眠気を訴え始めた。
京都に着いたら起こしてくれ、と何度も懇願しながらおばさんは、眠りに着いた。
しばらくして、おばさんが、うなされ始めた。うわ言を繰り返す。
「こわい やめて かんべんして ゆらさないで…」
その頃には、恐怖は完全に、我々にも感染していた。
凍りついた我々を乗せて新幹線は、西へと、疾走していく…。